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特開2022-160908手摺りパネル用ビード及び手摺り用ビード取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160908
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】手摺りパネル用ビード及び手摺り用ビード取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065432
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】507027508
【氏名又は名称】久米工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121429
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】久米 隆嗣
(72)【発明者】
【氏名】後藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】前山 賢二
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301HH18
2E301JJ05
2E301JJ09
2E301JJ12
2E301MM03
2E301NN01
2E301NN32
2E301NN33
(57)【要約】
【課題】手摺りの上桟あるいは下桟のビード取付溝内に取り付けられている、ガラスパネルの衝撃及び振動を吸収するビードを簡単かつ安全に交換する。
【解決手段】手摺りの下桟20に設けられた長尺のビード取付溝24に、パネル4に当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビード23が取着されたビード取付構造であって、ビード23は、パネル4の外面に当接するビード本体23aとビード取付溝24内に取着される取着部23bとを備え、ビード取付溝24は、ビード23の取着部23bが挿入される挿入開口24aと取着部23bが収容される収容空間24bとを備えた。そして、ビード23の取着部23bは、上下の端縁部23dの反挿入側の角部を面取りによる斜面23eに形成し、ビード取付溝24の挿入開口24aは、上下の縁部24cの収容空間24b側の角部を面取りによる斜面24dに形成した。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺りの上桟及び下桟のいずれかまたは両方に設けられた長尺のビード取付溝に取着され、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺の手摺りパネル用ビードであって、
緩衝材からなり、前記パネルの外面に当接するビード本体と、該ビード本体から所定距離離間して前記パネルと反対側に突出して前記ビード取付溝内に取着される取着部と、前記ビード本体と前記取着部とを連接する連接部と、を備え、
前記ビード取付溝は、前記取着部が挿入される挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有しており、
前記取着部は、前記ビード取付溝の挿入開口より大きい板状に形成され、上下の端縁部が弾性的に撓みつつ前記挿入開口に前方から挿入されて前記ビード取付溝の収容空間内に取着されるべく、前記上下の端縁部の反挿入側の角部が面取りによる斜面に形成されていることを特徴とする手摺りパネル用ビード。
【請求項2】
前記取着部は、前記ビード取付溝内に取着されている状態から前記挿入開口の前方に引き出し可能に取着されることを特徴とする請求項1に記載の手摺りパネル用ビード。
【請求項3】
手摺りの上桟及び下桟のいずれかまたは両方に設けられ、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビードが取着される長尺の手摺りパネル用ビード取付溝であって、
前記ビードに設けられた板状の取着部が挿入される該取着部より小さい挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有し、
前記ビードの取着部が、その上下の端縁部が弾性的に撓みつつ前記挿入開口に前方から挿入されて前記収容空間内に取着されるべく、前記挿入開口における上下の縁部の収容空間側の角部が面取りによる斜面に形成されていることを特徴とする手摺りパネル用ビード取付溝。
【請求項4】
前記ビードの取着部が前記収容空間内に取着されている状態から前記挿入開口の前方に引き出し可能に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の手摺りパネル用ビード取付溝。
【請求項5】
手摺りの上桟及び下桟のいずれかまたは両方に設けられた長尺のビード取付溝に、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビードが取着された手摺り用ビード取付構造であって、
前記ビードは、緩衝材からなり、前記パネルの外面に当接するビード本体と、該ビード本体から所定距離離間して前記パネルと反対側に突出して前記ビード取付溝内に取着される取着部と、前記ビード本体と前記取着部とを連接する連接部と、を備え、
前記ビード取付溝は、前記ビードの取着部が挿入される挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有しており、
前記ビードの取着部は、前記ビード取付溝の挿入開口より大きい板状に形成されているとともに、上下の端縁部の反挿入側の角部が面取りによる斜面に形成され、
前記ビード取付溝の挿入開口は、上下の縁部の前記収容空間側の角部が面取りによる斜面に形成されていることを特徴とする手摺り用ビード取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンションのベランダ等の手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収し保護する手摺りパネル用ビード、手摺りパネル用ビード取付溝及び手摺り用ビード取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンションのベランダ等の手摺りとして、ガラス製のパネルが設置されたものがある。この種の手摺りは、特許文献1等にも記載されているように、ベランダのコンクリート製土台のパラペットに支柱が立設され、左右両側の支柱間に笠木を受ける上桟及び下桟が架設され、上桟と下桟との間にパネルが配設されている。上桟及び下桟の各内壁面には、例えば、図8に示す長尺のビード取付溝41が水平方向の全体に至って設けられ、ビード取付溝41内には、パネル4と当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビード42が取り付けられている。
【0003】
ここで、上桟及び下桟40の各ビード取付溝41内に取り付けられたビード42は、緩衝材からなり、全長に至って断面一定で、ビード本体42aから連接部42bを介して所定距離離間した細長板状の取着部42cが形成されている。また、ビード取付溝41は、全長に至って断面略C字状の一定形状をなし、ビード42の取着部42cが挿入される挿入開口41aと、ビード42の取着部42cが収容される収容空間41bとが形成されている。このように形成されているから、ビード42は、ビード取付溝41の一方の側端の開口から長手方向にスライドさせながら挿入することによりビード取付溝41内に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-287174
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ビード42やガラス製のパネル4は、台風等によって傷付いたり、破損することがあり、その場合には交換する必要がある。また、ビード42は、一般に弾性を有する合成樹脂材等の緩衝材で形成されており、長期使用により劣化することがあり、そのような場合にも交換が必要となることがある。しかし、従来のビード42は、ビード取付溝41内に収容される板状の取着部42cにおける上下の端縁部の角部42dが、図8に示すように、ほぼ直角に形成されていて、ビード42の取付時に重なり合う、ビード42の取着部42cの端縁部の平面部42e及びビード取付溝41の挿入開口41aの縁部の平面部41cの面積が大きいことから、挿入開口41aの前方からの挿入抵抗が大きいために、取着部42cの上下の端縁部を弾性的に撓ませつつビード取付溝41の挿入開口41a内にその前方からビード42を押し込んで収容空間41b内に挿入することができなかった。
【0006】
このため、ビード42は、ビード取付溝41の一方の側端の開口から長手方向にスライドさせながら挿入する必要があるから、一旦、ビード取付溝41が設けられている上桟及び下桟40を手摺りから取り外さなければならなかった。更に、下桟40を取り外すには、その上方のパネル4を取り外す必要もある。したがって、ビード42の交換は大変面倒で手間がかかっていた。
【0007】
加えて、パネル4は重量があり、ベランダの外側へりに設置されているとともに一般に高所に設置されている。また、下桟40は着脱時には外部空間側に手を伸ばして支柱に取り付けられているビスを着脱しなければならない。したがって、ビード42の交換は大変危険な作業ともなっていた。
【0008】
そこで、本発明は、手摺りの上桟あるいは下桟のビード取付溝内に取り付けられている、ガラスパネルの衝撃及び振動を吸収するビードを簡単かつ安全に交換することができる手摺りパネル用ビード、手摺りパネル用ビード取付溝及び手摺り用ビード取付構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の手摺りパネル用ビードは、手摺りの上桟及び下桟のいずれかまたは両方に設けられた長尺のビード取付溝に取着され、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビードであって、
緩衝材からなり、前記パネルの外面に当接するビード本体と、該ビード本体から所定距離離間して前記パネルと反対側に突出して前記ビード取付溝内に取着される取着部と、前記ビード本体と前記取着部とを連接する連接部と、を備え、
前記ビード取付溝は、前記取着部が挿入される挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有しており、
前記取着部は、前記ビード取付溝の挿入開口より大きい板状に形成され、上下の端縁部が弾性的に撓みつつ前記挿入開口に前方から挿入されて前記ビード取付溝の収容空間内に取着されるべく、前記上下の端縁部の反挿入側の角部が面取りによる斜面に形成されたものである。
【0010】
請求項3の手摺りパネル用ビード取付溝は、手摺りの上桟及び下桟のいずれかまたは両方に設けられ、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビードが取着される長尺のビード取付溝であって、
前記ビードに設けられた板状の取着部が挿入される該取着部より小さい挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有し、
前記ビードの取着部が、その上下の端縁部が弾性的に撓みつつ前記挿入開口に前方から挿入されて前記収容空間内に取着されるべく、前記挿入開口の上下の収容空間側の縁部が面取りによる斜面に形成されたものである。
【0011】
請求項2の手摺りパネル用ビード及び請求項4の手摺りパネル用ビード取付溝は、特に、ビードの取着部が、ビード取付溝内に取着されている状態から挿入開口の前方に引き出し可能に取着されている。
【0012】
請求項5の手摺り用ビード取付構造は、手摺りの上桟及び下桟のいずれかまたは両方に設けられた長尺のビード取付溝に、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビードが取着されたものであって、
前記ビードは、緩衝材からなり、前記パネルの外面に当接するビード本体と、該ビード本体から所定距離離間して前記パネルと反対側に突出して前記ビード取付溝内に取着される取着部と、前記ビード本体と前記取着部とを連接する連接部と、を備え、
前記ビード取付溝は、前記ビードの取着部が挿入される挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有しており、
前記ビードの取着部は、前記ビード取付溝の挿入開口より大きい板状に形成されているとともに、上下の端縁部の反挿入側の角部が面取りによる斜面に形成され、
前記ビード取付溝の挿入開口は、上下の前記収容空間側の縁部が面取りによる斜面に形成されたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ビードの取着部における上下の端縁部の反挿入側の角部、及びビード取付溝の挿入開口における上下の縁部の収容空間側の角部が面取りによる斜面に形成されており、角部が斜面になっている分、ビードの取着部の上下の端縁部とビード取付溝の挿入開口の上下の縁部とが干渉する部分の面積は従来のもの比べて小さい。このため、ビード取付溝の挿入開口より大きいビードの取着部の上下の端部を弾性的に撓ませつつビード取付溝の挿入開口内に前方から挿入して収容空間内に収容し取り付けることができる。その結果、ビードが台風等で破損したり劣化したときなどにおいて、上桟及び下桟を手摺りから一旦取り外すことなくビードを簡単かつ安全に交換することができる。
【0014】
そして、ビードの取着部における端縁部の反挿入側の角部や、ビード取付溝の挿入開口における縁部の収容空間側の角部が、面取りにより斜面に形成されているので、交換の際、小さい力で手前側に引き抜くことができ、楽に交換作業を行なうことができるとともに、引き抜く際に、ビード本体と取着部とを連接している連接部に強い力が加わって連接部が破断したり亀裂が入るのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態の手摺りの正面図である。
図2】(a)は図1のA-A切断線による断面図、(b)は(a)のC部拡大図である。
図3】(a)は図1のB-B切断線による断面図、(b)は(a)のD部拡大図、(c)は(a)のE部拡大図である。
図4図2の支柱及び縦材の分解斜視図である。
図5図1の手摺りにパネルを配置する方法を説明する説明図である。
図6図3の下桟のビード及びビード取付溝を示す側面図であり、(a)は取付直前の状態、(b)は取付後の状態を示す。
図7図3の上桟のビード及びビード取付溝を示す側面図である。
図8】従来のビード及びビード取付溝を示し、(a)はビードを取り付けた状態の側面図、(b)は(a)のF部拡大図、(c)はビードの取り付け方法を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の手摺りパネル用ビード、手摺りパネル用ビード取付溝及びビード取付構造を図に基づいて説明する。本実施形態では、手摺りはマンションのベランダに設置され、手摺りにはガラス製のパネルが組み付けられたものを例示する。
【0017】
図1乃至図3は、本発明の手摺りパネル用ビード(以下、単に「ビード」と表記する。)が取り付けられている手摺り1を示す。手摺り1は、マンションのベランダの外側縁部に沿って所定間隔で支柱2が立設され、左右の縦材10と、笠木36を受ける上桟30と、下桟20と、で囲まれてなる四角枠体3が支柱2から僅かに外部空間側に飛び出て設けられており、四角枠体3の内部にパネル4が配置されている。ビードは、笠木36を受ける上桟30及び下桟20における外側壁面の内部に形成されたビード取付溝に取着されている。以下、各部材について具体的に説明する。
【0018】
図3及び図4に示すように、支柱2は、角パイプからなり、ベランダの外側縁部に設けられた低い手摺り壁であるパラペット5に下端部が埋め込まれて一定間隔で立設されている。支柱2は、外部空間側の外面の幅方向中央にスリット2aが縦方向に設けられ、その内部側にはコ字板状の収納溝2bが突設されている。スリット2aには、後述の縦材10の隔壁11の一端部が嵌挿されている。支柱2の内壁面の4箇所には、上方から上桟30を載置し固定するためのビスが取り付けられるビス取付孔2cが設けられている。
【0019】
次に、四角枠体3の左右の側辺部を構成している縦材10は、図2及び図4に示すように、平面視略T字状を成す長尺体からなり、アルミニウム等により一体に形成されている。縦材10の中央には左右を仕切る隔壁11が縦方向全長に至って形成されており、隔壁11の一端には突起部12が設けられ、他端には平板状の外装板部13が形成されている。縦材10の中間部には後述の縦材用押縁17を保持するための押縁保持部14が設けられている。更に、縦材10の外装板部13の内壁面には、一定断面のビード取付溝15が縦方向全長に至って突設されている。また、縦材10の外装板部13の内壁面には、縦材用押縁17の端部が嵌合する押縁嵌合溝16が縦方向全長に至って設けられている。
【0020】
縦材用押縁17は、パネル4を保持するために縦材10に組み付けられるものであり、図5(c)に示すように、全体が略L字板状に形成されている。縦材用押縁17の中間部の山形頂部には、直角の切込み部17aが形成され、両端部にはフランジ17b,17cが形成されている。縦材用押縁17は、縦材10の隔壁11の左右両側における押縁保持部14と外装板部13との各空間内において、一方のフランジ17bは押縁嵌合溝16内に嵌入し、山形頂部の切込み部17aは押縁保持部14に嵌合した状態で配置される。
【0021】
次に、四角枠体3の下辺部を構成している下桟20は、図3(c)及び図6(a)に示すように、断面略L字状の長尺板材からなり、パネル4の水平方向に沿ってパネル4の下端を下方から支持している。支柱2の下端部の外部空間側の外壁には支柱2とほぼ同一幅の下桟受金具25が外部空間側に向けて水平方向に突出し、下桟受金具25はビスを使用して支柱2の外壁に固定されている。下桟受金具25の上面には所定長さの略板状の下桟取付金具26が支柱2の両側に配置された2つの下桟20の端部にそれぞれ水平方向に取り付けられている。下桟取付金具26は下桟受金具25との当接面が嵌合した状態で下桟受金具25に載置され、ビスでこれに固定されている。
【0022】
下桟20は、水平板部21が下桟取付金具26との当接面の一部が嵌合した状態でこれに載置され、ビスで固定されている。下桟20は、アルミニウム等により一体に形成されている。下桟20の垂直板部22の上端部の内壁面には、ビード23の取着部23bが嵌挿され取着されるビード取付溝24が下桟20の水平方向全長に至って設けられている。ビード取付溝24は、図6に示すように、ビード23の取着部23bが挿入される挿入開口24aと、内部にビード23の取着部23bを収容する収容空間24bとを有している。挿入開口24aの上下の縁部24cの収容空間24b側の角部は、面取りによる平面状の斜面24dに形成されている。
【0023】
ビード取付溝24に取着されたビード23は、ポリ塩化ビニル(PVC)等の合成樹脂の弾性材からなり緩衝性を有し、図6に示すように、パネル4の外面と当接するビード本体23aと、ビード本体23aから所定距離離間してパネル4と反対側に突出してビード取付溝24に取着される取着部23bと、ビード本体23aと取着部23bとの間に形成されこれらを連接する連接部23cと、を備えている。図6においては、ビード本体23aは、2つの弾性材を接合したものを示しているが、1つの弾性材で形成したものでもよく、その形態は特に問わない。なお、図6に示すビード本体23aは、パネル4の板厚が例えば10mmを超える場合には分離して1つの弾性材のみの形態で使用される。これは、後述の上桟30のビード33のビード本体33aについて同じである。
【0024】
取着部23bは、ビード取付溝24の挿入開口24aより大きい板状に形成され、上下の端縁部23dにおける反挿入側の角部は面取りにより平面状の斜面23eに形成されている。面取りされた斜面23eの角度は、ビード取付溝24の挿入開口24aの縁部24cに面取りされた斜面24dと同一であってもよいし多少異なっていてもよい。連接部23cの上下幅は、ビード取付溝24の挿入開口24aの上下間隔より僅かに小さく形成されている。
【0025】
ビード23の取着部23bは、上下の端縁部23dが弾性的に撓みつつビード取付溝24の挿入開口24a内に前方から押し込まれて挿入開口24aの上下の縁部24cより内部側に取着される。ビード23は、パネル4の外面と当接して、パネル4に加わる衝撃及び振動を吸収するとともに、外部から塵埃等がパネル4の内部側に侵入するのを防ぐ。
【0026】
下桟20の水平板部21の上部にはパネル4の下端と当接してこれを下方から支持するガラスセッティングブロック27がパネル4の水平方向全長に至って配設されている。更に、パネル4と下桟受金具25の垂直板部との間には、下桟用押縁28が配設されており、その下端部は下桟20の水平板部21と係合した状態でこれに載置されている。下桟用押縁28とパネル4の下端部の外面との間はシール材29によって封止されている。
【0027】
次に、四角枠体3の上辺部を構成している上桟30は、笠木36を受ける笠木受となるものであり、両側の支柱2間に架設され、図3に示すように、アルミニウム等により長尺に形成されている。上桟30における支柱2の上端部に位置する水平板部31は、支柱2のビス取付孔2cにビスを使用して固定されている。上桟30におけるパネル4の上方には、パネル4が所定距離上方にスライドするのを許容するパネル上動許容空間32が形成されている。
【0028】
上桟30における外部空間側の内壁面には、下桟20と同様のビード取付溝34が上桟30の水平方向全長に至って設けられている。図7に示すように、このビード取付溝34は、下桟20のビード取付溝24と同様に、ビード33の取着部33bが挿入される挿入開口34aと、内部にビード33の取着部33bを収容する収容空間34bとを有している。挿入開口34aの上下の縁部34c,34cの収容空間34b側は、面取りによる平面状の斜面34dに形成されている。ビード取付溝34は、ビード33を挿入開口34aの前方から押し込んで収容空間34b内に収容することができる。上桟30とパネル4の上端部の外面との間はシール材35によって封止されている。
【0029】
上桟30の上部には笠木36が上桟30の上面全体を覆うように取り付けられている。笠木36は、図3(b)に示すように、両側部内面に被係合部36aが設けられ、上方から押し付けることにより被係合部36aが上桟30の両側部に形成された係合部30aと係合し、抜脱するのが防止されている。
【0030】
パネル4は、図5(a)に示すように、縦材10の隔壁11をその一端の突起部12を軸に左右いずれかの方向に少し回動させて両側の縦材10の間隔を広げ、斜めにしてベランダの内部側から両側の縦材10の間に挿入し、図5(b)に示すように、少し左右方向にスライド移動させつつ配置し、図5(c)に示すように、縦材用押縁17を外装板部13と押縁保持部14との間に挿入して組み付けた後、パネル4の両端部を両側の縦材10のそれぞれの外装板部13と押縁保持部14との間の正規の位置に配置し、パネル4の下端部をガラスセッティングブロック27上に載置する。その後、図5(d)に示すように、パネル4の外面と縦材用押縁17との間にシール材18を充填するとともに、図示しないが、同様に、パネル4の上端部の外面と上桟30との間、及びパネル4の下端部の外面と上桟20との間にシール材を充填する。一方で、パネル4の設置後は、パネル4の側端部の外面にビード取付溝15に取着されたビード19のビード本体19aが当接し、パネル4の上端部の外面には上桟30のビード取付溝34に取着されたビード33のビード本体33aが当接し、パネル4の下端部の外面には下桟20のビード取付溝24に取着されたビード23のビード本体23aが当接する。
【0031】
このように構成されている手摺り1において、上桟30及び下桟20の各ビードの取着部における上下の端縁部の角部の斜面、及び上桟30及び下桟20の各ビード取付溝の挿入開口における上下の縁部の角部の斜面は、手摺り用ビード取付構造Sを構成する。
【0032】
次に、上記のように構成された本実施形態のビード、ビード取付溝及びビード取付構造の作用を説明する。
本実施形態の手摺り用ビード取付構造Sは、図6に示すように、下桟20のビード23の取着部23bにおける上下の端縁部23dの角部が面取りによる斜面23eに形成され、ビード取付溝24の挿入開口24aにおける上下の縁部24cの角部が面取りによる斜面24dに形成されているので、角部が斜面に形成されている分、ビード23の端縁部23dにおける平面部の長さ及び面積、並びにビード取付溝24の縁部24cにおける平面部の長さ及び面積は従来のものに比べて小さい。つまり、ビード23の取着部23bの端縁部23dの平面部とビード取付溝24の挿入開口24aの縁部24cの平面部とが、取着時に重なって干渉する部分の長さ及び面積は、従来のものに比べてかなり小さい。
【0033】
このため、その分、挿入時に受けるビード23の挿入抵抗は小さくなり、ビード23は、取着部23bの上下の端縁部23dを弾性的に撓ませつつビード取付溝24の挿入開口24aに前方から挿入して収容空間24b内に収容し取り付けることが可能である。その結果、ビード23は、ビード取付溝24の側方の端部開口から水平方向にスライドさせて取着する場合に限らず、ビード取付溝24の挿入開口24aに直交して前方から押し込むことによりビード取付溝24に取着することもできる。
【0034】
また、ビード23の取着部23bの上下の端縁部23dにおける反挿入側の角部が斜面23eに形成され、及びビード取付溝24の挿入開口24aの上下の縁部24cにおける収容空間24b側の角部が斜面24dに形成されているので、ビード23は、ビード取付溝24に取り付けられている状態から手前側に取り外すときは、比較的小さい力で抜き取ることができる。その結果、ビード23は取り外し易いし、高所のベランダでも作業を安全に行なうことができる。
【0035】
更に、ビード23は、比較的小さい力で引き抜くことができるから、ビード23を取り外すときに、無理な力で引張ることによって、断面積の小さい連接部23cに亀裂や破断が生じるのを防止することもできる。
【0036】
これらの結果、上桟30、下桟20を個々に取り外すことなく組み付けられている状態のまま、ビード23を簡単かつ安全に交換することができる。すなわち、ビード23は、台風等により傷付いたり破損したとき、あるいは経年劣化したときなどには交換する必要がある。このとき、従来は、劣化したビード23は、ビード取付溝24の側方の開口からしか取り外すことができなかったため、まずは、笠木36及び上桟30を取り外し、重量のあるパネル4をベランダの内部側に取り外し、更に下桟20を取り外してからでないと、ビード23を交換することができなかった。しかし、本実施形態のビード23は、ビード取付溝24の挿入開口24aの前方すなわち手前側に抜き出すことによって取り外すこともできるから、笠木36、上桟30及び下桟20を取り外すことなく組み付けられている状態のまま交換することができる。したがって、ビード23を簡単に交換できる。
【0037】
ビード23の交換は、具体的には、パネル4を躯体内側から取り外す。このときは、縦材10を少し回動して両側の縦材10,10間の間隔を広げて手前側に取り外すことができる。パネル4を躯体内側に取り外せば、ビード取付溝24及びそれに取着されているビード23はベランダの内部側に臨むので、作業者は、パネル4の下端の隙間から手を差し入れてビード23のビード本体23aを把持し手前側に抜き出してビード取付溝24から取着部23bを抜き出す。その後、新しいビード23をビード取付溝24の挿入開口24aの前方から押し込んで収容空間24b内に収容し取着する。このとき、パネル4も破損していれば、その交換も行なう。なお、ビード23を交換するとき、パネル4は、躯体内側から取り外すことができ、また、取り付けることができるので、高所においても安全にこれらの作業を行なうことができる。
【0038】
ここで、ビード23の交換は、パネル4を取り外すことなく行なうことも可能である。すなわち、パネル4を上方に少し持ち上げて上端部を上桟30のパネル上動許容空間32内に移動させる。それにより、パネル4の下端部は、ガラスセッティングブロック27から上方に僅かに離間し、ガラスセッティングブロック27との間に隙間が形成されるので、その隙間内に支持材を組み入れてパネル4を下方から支持させる。そこで、パネル4の下端の隙間に手を差し入れてビード取付溝24からビード23を手前側に抜き出す。
【0039】
なお、ビード23は、ビード取付溝24から外し易くはなっても、取着部23bが下桟20のビード取付溝24内に収容され、かつ、反対側のビード本体23aはパネル4の外面と当接する構成となっている、すなわち、パネル4とビード取付溝24とで挟持されているので、ビード取付溝24から不用意に外れてしまうことはなく、安定して保持される。
【0040】
また、ビード23の取着部23bは、端縁部23dの角部が面取りされてはいるものの、全体的には所要の厚さに形成されているので、必要な強度と剛性を有し、ビード取付溝24内には安定して確実に保持される。
【0041】
なお、下桟20のビード23がビード取付溝24内の挿入開口24aの前方から取り付け可能であること、取着されているビード23を挿入開口24aから楽に引き出すことができること、及びビード23はビード取付溝24内に安定して確実に保持されることは、上桟30に設けられているビード33及びビード取付溝34についても同じである。
【0042】
ところで、上記実施形態では、下桟20のビード23の取着部23bにおける上下の端縁部23dの角部と、下桟20のビード取付溝24の挿入開口24aにおける上下の縁部24cの角部との両方に、面取りによる斜面が形成されているが、本発明を実施する場合には、これに限られるものではなく、ビード23かビード取付溝24のいずれかのみについて角部に面取りによる斜面を形成してもよい。これは上桟30のビード33及びビード取付溝34についても同じである。
【0043】
なお、上記実施形態の各ビードは、取着部の端縁部において反挿入側の角部が面取りによる斜面に形成されているが、逆の挿入側の角部をも面取りによる斜面に形成するのを妨げるものではない。また、各ビード取付溝は、挿入開口の上下の収容空間側の縁部が面取りによる斜面に形成されているが、逆のパネル側の角部をも面取りによる斜面に形成するのを妨げるものでもない。
【0044】
また、本発明の手摺りのパネルを保護する各ビード及び各ビード取付溝は、マンションのベランダに設置された手摺りに設けられたものに限られるものではなく、ビルのバルコニー等に設置された手摺りに設けられたものにも同様に適用することができる。
そして、パネル4はガラス製の平面板状のものであるが、これに限られるものではなく、合成樹脂製のものなどであってもよく、曲面状等のものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 手摺り 24b 収容空間
2 支柱 24c 縁部
4 パネル 24d 斜面
10 縦材 30 上桟
20 下桟 33 ビード
23 ビード 33a ビード本体
23a ビード本体 33b 取着部
23b 取着部 34 ビード取付溝
23c 連接部 34a 挿入開口
23d 端縁部 34b 収容空間
23e 斜面 34c 縁部
24 ビード取付溝 34d 斜面
24a 挿入開口 S 手摺り用ビード取付構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺りの支柱間に水平方向に架設された上桟及び下桟のいずれかまたは両方に水平方向に設けられた長尺のビード取付溝に取着され、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺の手摺りパネル用ビードであって、
緩衝材からなり、前記パネルの外面に当接するビード本体と、該ビード本体から所定距離離間して前記パネルと反対側に突出して前記ビード取付溝内に取着される取着部と、前記ビード本体と前記取着部とを連接する連接部と、を備え、
前記ビード取付溝は、前記取着部が挿入される挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有し、左右両端側方に、前記支柱から外部空間側に離間して縦材が立設されており、
前記取着部は、前記ビード取付溝の挿入開口より上下幅が大きく上下の端面が水平面である板状に形成され、上下の端縁部が弾性的に撓みつつ前記挿入開口に前方から挿入されて前記ビード取付溝の収容空間内に取着されるとともに、前記ビード取付溝内に取着されている状態から前記挿入開口の前方に引き出し可能とすべく、前記上下の端面は反挿入側の角部のみに面取りによる斜面形成されていることを特徴とする手摺りパネル用ビード。
【請求項2】
手摺りの支柱間に水平方向に架設された上桟及び下桟のいずれかまたは両方に水平方向に設けられた長尺のビード取付溝に、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビードが取着された手摺り用ビード取付構造であって、
前記ビードは、緩衝材からなり、前記パネルの外面に当接するビード本体と、該ビード本体から所定距離離間して前記パネルと反対側に突出して前記ビード取付溝内に取着される取着部と、前記ビード本体と前記取着部とを連接する連接部と、を備え、
前記ビード取付溝は、前記ビードの取着部が挿入される挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有し、左右両端側方に、前記支柱から外部空間側に離間して縦材が立設されており、
前記ビードの取着部は、前記ビード取付溝の挿入開口より上下幅が大きく、上下の端面が水平面である板状に形成され、上下の端縁部が弾性的に撓みつつ前記挿入開口に前方から挿入されて前記ビード取付溝の収容空間内に取着されるとともに、前記ビード取付溝内に取着されている状態から前記挿入開口の前方に引き出し可能とすべく、前記上下の端面は反挿入側の角部のみに面取りによる斜面形成され、
前記ビード取付溝の挿入開口は、上下の縁部の前記収容空間側の角部が面取りによる斜面に形成されていることを特徴とする手摺り用ビード取付構造。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
そこで、本発明は、手摺りの上桟あるいは下桟のビード取付溝内に取り付けられている、ガラスパネルの衝撃及び振動を吸収するビードを簡単かつ安全に交換することができる手摺りパネル用ビード及び手摺り用ビード取付構造の提供を課題とするものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項1の手摺りパネル用ビードは、手摺りの支柱間に水平方向に架設された上桟及び下桟のいずれかまたは両方に水平方向に設けられた長尺のビード取付溝に取着され、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビードであって、
緩衝材からなり、前記パネルの外面に当接するビード本体と、該ビード本体から所定距離離間して前記パネルと反対側に突出して前記ビード取付溝内に取着される取着部と、前記ビード本体と前記取着部とを連接する連接部と、を備え、
前記ビード取付溝は、前記取着部が挿入される挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有し、左右両端側方に、前記支柱から外部空間側に離間して縦材が立設されており、
前記取着部は、前記ビード取付溝の挿入開口より上下幅が大きく上下の端面が水平面である板状に形成され、上下の端縁部が弾性的に撓みつつ前記挿入開口に前方から挿入されて前記ビード取付溝の収容空間内に取着されるとともに、前記ビード取付溝内に取着されている状態から前記挿入開口の前方に引き出し可能とすべく、前記上下の端面における反挿入側の角部のみに面取りによる斜面形成されたものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項2の手摺り用ビード取付構造は、手摺りの支柱間に水平方向に架設された上桟及び下桟のいずれかまたは両方に水平方向に設けられた長尺のビード取付溝に、前記手摺りのパネルに当接して衝撃及び振動を吸収する長尺のビードが取着されたものであって、
前記ビードは、緩衝材からなり、前記パネルの外面に当接するビード本体と、該ビード本体から所定距離離間して前記パネルと反対側に突出して前記ビード取付溝内に取着される取着部と、前記ビード本体と前記取着部とを連接する連接部と、を備え、
前記ビード取付溝は、前記ビードの取着部が挿入される挿入開口と該取着部が収容される収容空間とを有し、左右両端側方に、前記支柱から外部空間側に離間して縦材が立設されており、
前記ビードの取着部は、前記ビード取付溝の挿入開口より上下幅が大きく上下の端面が水平面である板状に形成され、上下の端縁部が弾性的に撓みつつ前記挿入開口に前方から挿入されて前記ビード取付溝の収容空間内に取着されるとともに、前記ビード取付溝内に取着されている状態から前記挿入開口の前方に引き出し可能とすべく、前記上下の端面には反挿入側の角部のみに面取りによる斜面形成され、
前記ビード取付溝の挿入開口は、上下の縁部の前記収容空間側の角部が面取りによる斜面に形成されたものである。