IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電源装置および電源制御方法 図1
  • 特開-電源装置および電源制御方法 図2
  • 特開-電源装置および電源制御方法 図3
  • 特開-電源装置および電源制御方法 図4
  • 特開-電源装置および電源制御方法 図5
  • 特開-電源装置および電源制御方法 図6
  • 特開-電源装置および電源制御方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160915
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】電源装置および電源制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221013BHJP
   H02H 3/16 20060101ALI20221013BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02H3/16 A
H02J7/00 302C
B60R16/02 645D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065444
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白島 大樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
(72)【発明者】
【氏名】木村 康臣
(72)【発明者】
【氏名】吉村 実
(72)【発明者】
【氏名】米▲崎▼ 圭一
【テーマコード(参考)】
5G004
5G503
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA01
5G004DA01
5G004DC01
5G004DC14
5G004FA01
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB01
5G503CC02
5G503DA17
5G503DA18
5G503FA06
5G503FA17
(57)【要約】
【課題】一過性の過電流による系統間スイッチの遮断を防止しつつ、ヒューズが溶断する前に系統間スイッチを遮断できる電源装置および電源制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る電源装置は、第1系統、第2系統、系統間スイッチ、第1検出部、第2検出部、およびリレー制御部を備える。第1系統は、第1電源の電力を負荷に供給する。第2系統は、第2電源の電力を負荷に供給する。系統間スイッチは、第1系統および第2系統を接続する接続経路を接続切断可能である。第1検出部は、接続経路を流れる電流が地絡に対応する第1閾値を超えた場合に、系統間スイッチの遮断要求を行う。第2検出部は、電流値と時間とから算出したジュール熱が所定のジュール熱を超えた場合に、系統間スイッチの遮断要求を行う。リレー制御部は、第1検出部または第2検出部から遮断要求を受けると、系統間スイッチを遮断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源の電力を負荷に供給する第1系統と、
第2電源の電力を負荷に供給する第2系統と、
前記第1系統および前記第2系統を接続する接続経路を接続切断可能な系統間スイッチと、
前記接続経路を流れる電流の電流値が地絡に対応する第1閾値を超えたことを検出した場合に、前記系統間スイッチの遮断要求を行う第1検出部と、
前記電流値と時間とからジュール熱を計算し、算出したジュール熱が所定のジュール熱を超えたことを検出した場合に、前記系統間スイッチの遮断要求を行う第2検出部と、
前記第1検出部または前記第2検出部から前記遮断要求を受けると、前記系統間スイッチを遮断するリレー制御部と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第2検出部は、
前記電流値が前記第1閾値より低い第2閾値を超えてからのジュール熱が前記所定のジュール熱を超えた場合に前記遮断要求を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、
前記電流値が前記第1閾値よりも低い第2閾値を超えると前記第2検出部に通知し、
前記第2検出部は、
前記第1検出部から通知を受けてからのジュール熱が前記所定のジュール熱を超えた場合に前記遮断要求を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
第1電源の電力を負荷に供給する第1系統と、
第2電源の電力を負荷に供給する第2系統と、
前記第1系統および前記第2系統を接続する接続経路を接続切断可能な系統間スイッチと、
を備える電源装置の第1検出部が、
前記接続経路を流れる電流の電流値が地絡に対応する第1閾値を超えたことを検出した場合に、前記系統間スイッチの遮断要求を行うことと、
前記電源装置の第2検出部が、
前記電流値と時間とからジュール熱を計算し、算出したジュール熱が所定のジュール熱を超えたことを検出した場合に、前記系統間スイッチの遮断要求を行うことと、
前記電源装置のリレー制御部が、
前記第1検出部または前記第2検出部から前記遮断要求を受けると、前記系統間スイッチを遮断することと
を含むことを特徴とする電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、電源装置および電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の自動運転による走行中に電源失陥が発生しても、安全な場所まで退避走行させて停車させることができるように、第1電源と第2電源とを備え、一方の電源系統に地絡が発生した場合に、他方の電源系統によって自動運転用の車載機器(負荷)へ電力を供給する冗長電源システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
冗長電源システムは、自動運転用の第1負荷に接続される第1系統と、第1負荷と同一の機能を備える第2負荷に接続される第2系統と、第1系統および第2系統間を接続切断可能な系統間スイッチとを備える。第1系統と第1負荷とは、ヒューズを介して接続される。第2系統と第2負荷とはヒューズを介して接続される。
【0004】
冗長電源システムは、通常時には、系統間スイッチを導通して第1電源から第1負荷および第2負荷へ電力を供給する。そして、冗長電源システムは、第1系統に地絡などの電源失陥が発生すると、系統間スイッチを遮断して第2電源から第2負荷へ電力を供給して退避走行のためのバックアップ制御を行う。
【0005】
冗長電源システムは、例えば、第1系統と第2系統とを接続する接続経路に地絡によって閾値を超える過電流が流れると系統間スイッチを遮断するが、一時的な過負荷によって閾値を超える過電流が接続経路に流れる場合にも系統間スイッチを遮断することがある。
【0006】
車両は、地絡ではなく過負荷による過電流であることが確認されて系統間スイッチが再接続されるまで、自動運転を許可できない。このため、冗長電源システムは、一次的な過負荷を地絡と誤判定して系統間スイッチを頻繁に遮断しないように、接続経路を流れる電流と比較する閾値を比較的高く設定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-61240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、冗長電源システムは、閾値を比較的高く設定した場合、接続経路に流れる電流が閾値以下であっても、一定値以上の電流が接続経路に長時間流れるとヒューズが溶断して第1負荷および第2負荷に電力を供給できなくなる。
【0009】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、一過性の過電流による系統間スイッチの遮断を防止しつつ、ヒューズが溶断する前に系統間スイッチを遮断できる電源装置および電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の一態様に係る電源装置は、第1系統と、第2系統と、系統間スイッチと、第1検出部と、第2検出部と、リレー制御部とを備える。第1系統は、第1電源の電力を負荷に供給する。第2系統は、第2電源の電力を負荷に供給する。系統間スイッチは、前記第1系統および前記第2系統を接続する接続経路を接続切断可能である。第1検出部は、前記接続経路を流れる電流の電流値が地絡に対応する第1閾値を超えたことを検出した場合に、前記系統間スイッチの遮断要求を行う。第2検出部は、前記電流値と時間とからジュール熱を計算し、算出したジュール熱が所定のジュール熱を超えたことを検出した場合に、前記系統間スイッチの遮断要求を行う。リレー制御部は、前記第1検出部または前記第2検出部から前記遮断要求を受けると、前記系統間スイッチを遮断する。
【発明の効果】
【0011】
実施形態の一態様に係る電源装置および電源制御方法は、一過性の過電流による系統間スイッチの遮断を防止しつつ、ヒューズが溶断する前に系統間スイッチを遮断できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る電源装置の構成例を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係る電源装置の通常時動作例を示す説明図である。
図3図3は、実施形態に係る系統間スイッチの制御方法の説明図である。
図4図4は、実施形態に係る系統間スイッチの制御方法の説明図である。
図5図5は、実施形態に係る電源装置の第1系統地絡時動作例を示す説明図である。
図6図6は、実施形態に係る電源装置の第2系統地絡時動作例を示す説明図である。
図7図7は、実施形態に係る電源装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、電源装置および電源制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、自動運転機能を備える車両に搭載されて負荷へ電力を供給する電源装置を例に挙げて説明するが、実施形態に係る電源装置は、自動運転機能を備えていない車両に搭載されてもよい。
【0014】
また、以下では、電源装置が搭載される車両が電気自動車またはハイブリット自動車である場合について説明するが、電源装置が搭載される車両は、内燃機関によって走行するエンジン自動車であってもよい。
【0015】
[1.電源装置の構成]
図1は、実施形態に係る電源装置の構成例を示す説明図である。図1に示すように、実施形態に係る電源装置1は、第1電源10と、第1負荷101と、一般負荷102と、第2負荷103と、自動運転制御装置100とに接続される。電源装置1は、第1電源10の電力を第1負荷101および一般負荷102に供給する第1系統110と、後述する第2電源20の電力を第2負荷103に供給する第2系統120とを備える。
【0016】
第1負荷101は、自動運転用の負荷を含む。例えば、第1負荷101は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダ等を含む。一般負荷102は、例えば、ディスプレイ、エアコン、オーディオ、ビデオ、および各種ライト等を含む。第1負荷101は、ヒューズ61を介して第1系統110に接続される。一般負荷102は、ヒューズ62を介して第1系統110に接続される。
【0017】
第2負荷103は、第1負荷101と同様の機能を備える。第2負荷103は、例えば、ステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダ等の自動運転中に動作する装置を含む。第2負荷103は、ヒューズ63を介して第2系統120に接続される。
【0018】
第1負荷101、一般負荷102、および第2負荷103は、電源装置1から供給される電力によって動作する。自動運転制御装置100は、第1負荷101または第2負荷103を動作させて、車両を自動運転制御する装置である。
【0019】
第1電源10は、DC/DCコンバータ(以下、「DC/DC11」と記載する)と、鉛バッテリ(以下、「PbB12」と記載する)とを含む。なお、第1電源10の電池は、PbB12以外の任意の2次電池であってもよい。
【0020】
DC/DC11は、発電機と、PbB12よりも電圧が高い高圧バッテリとに接続され、発電機および高圧バッテリの電圧を降圧して第1系統110に出力する。発電機は、例えば、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。高圧バッテリは、例えば、電気自動車やハイブリット自動車に搭載される車両駆動用のバッテリである。
【0021】
なお、第1電源10は、エンジン自動車に搭載される場合、DC/DC11の代わりにオルタネータ(発電機)が設けられる。DC/DC11は、PbB12の充電、第1負荷101および一般負荷102への電力供給、第2負荷103への電力供給、および後述する第2電源20の充電を行う。
【0022】
電源装置1は、第2電源20と、系統間スイッチ41と、電池用スイッチ42と、第1検出部31と、第2検出部32と、リレー制御部33と、電流センサ5とを備える。第2電源20は、第1電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。第2電源20は、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する)を備える。なお、第2電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0023】
系統間スイッチ41は、第1系統110と第2系統120とを接続する接続経路130を接続および切断可能なスイッチである。電池用スイッチ42は、LiB21と第2系統120とを接続および切断可能なスイッチである。
【0024】
電流センサ5は、系統間スイッチ41と第2系統120との間に接続され、系統間スイッチ41に流れる電流の電流値を検出し、検出結果を第1検出部31と第2検出部32とに出力する。なお、電流センサ5は、系統間スイッチ41を流れる電流の電流値を検出可能であれば、系統間スイッチ41と第1系統110との間に接続されてもよい。
【0025】
第1検出部31、第2検出部32、およびリレー制御部33は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、第1検出部31、第2検出部32、およびリレー制御部33は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0026】
第1検出部31、第2検出部32、およびリレー制御部33は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、以下の動作を行う。
【0027】
第1検出部31は、接続経路130を流れる電流の電流値が地絡に対応する第1閾値を超えたことを検出した場合に、リレー制御部33に対して系統間スイッチ41の遮断要求を行う。第1閾値は、第1系統110または第2系統120に地絡が発生した場合に、接続経路130に流れることが予測される電流値であり、ヒューズ61,62,63が溶断しない電流値の上限値よりも低い値である。
【0028】
第2検出部32は、電流センサ5によって検出される電流値と時間とからジュール熱を計算し、算出したジュール熱が所定のジュール熱を超えたことを検出した場合に、リレー制御部33に対して系統間スイッチ41の遮断要求を行う。所定のジュール熱は、ヒューズ61,62,63が溶断しないジュール熱の上限よりも少ないジュール熱である。
【0029】
リレー制御部33は、第1検出部31または第2検出部32から遮断要求を受けると、系統間スイッチ41を遮断する。これにより、電源装置1は、第1系統110または第2系統120に地絡発生した場合に、系統間スイッチ41を遮断することによって、第1系統110および第2系統120のうち、地絡していない方の系統に接続された電源の放電を防止することができる。
【0030】
また、電源装置1は、例えば、過負荷による一過性の過電流が接続経路130に流れた場合に、系統間スイッチ41の不必要な遮断を防止しつつ、ヒューズ61,62,63が溶断する前に系統間スイッチ41を遮断できる。
【0031】
そして、リレー制御部33は、第1系統110および第2系統120のうち、一方の系統に地絡等の電源失陥が発生した場合には、他方の系統によって負荷へ電力を供給する。これにより、電源装置1は、自動運転中にいずれか一方の系統が地絡しても、他方の系統を使用し、自動運転制御装置100によって車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。
【0032】
[2.電源装置の通常時動作]
リレー制御部33は、第1系統110および第2系統120に地絡が発生していない通常時には、図2に示すように、系統間スイッチ41を導通し、電池用スイッチ42を遮断して、第1電源10から第1負荷101、一般負荷102、および第2負荷103に電力を供給する。
【0033】
[3.電源装置による系統間スイッチの制御方法]
ここで、図3および図4を参照して、電源装置1が通常時動作中に行う系統間スイッチの制御方法について説明する。図3および図4は、実施形態に係る系統間スイッチの制御方法の説明図である。
【0034】
図3および図4には、接続経路130を流れる電流の電流値およびジュール熱の時間変化と、第1検出部31および第2検出部32による遮断要求の出力タイミングと、リレー制御部33による系統間スイッチ41の制御タイミングとの対応関係を示している。
【0035】
図3に示すように、電源装置1では、通常時動作中に、地絡の発生によって接続経路130を流れる電流の電流値が急激に上昇する場合がある。この場合、第2検出部32は、時刻t1において電流値が前述した第1閾値よりも低い第2閾値を超えると、電流値と時刻t1からの経過時間とからジュール熱を算出する。
【0036】
その後、第1検出部31は、時刻t2において電流値が第1閾値を超えると、リレー制御部33に対して系統間スイッチ41の遮断要求を出力する。このとき、第2検出部32は、算出したジュール熱が前述した所定のジュール熱を超えないので、遮断要求を出力しない。
【0037】
リレー制御部33は、時刻t2において、第1検出部31からの遮断要求を受けると、即座に系統間スイッチ41を遮断する。このように、電源装置1は、例えば、地絡の発生により電流値が急激に上昇した場合には、即座に系統間スイッチ41を遮断することによって、ヒューズ61,62,63の溶断を防止することができる。
【0038】
また、図4に示すように、電源装置1では、過負荷状態の発生によって接続経路130を流れる電流の電流値が緩やかに上昇して第2閾値を超えるが、第1閾値を超えない場合がある。この場合、第1検出部31は、遮断要求を出力しない。しかし、ヒューズ61,62,63は、第2閾値を超える電流が長時間継続して流れると溶断するおそれがある。
【0039】
そこで、第2検出部32は、時刻t3において電流値が前述した第1閾値よりも低い第2閾値を超えると、電流値と時刻t3からの経過時間とからジュール熱を算出する。その後、第2検出部32は、時刻t4において算出したジュール熱が前述した所定のジュール熱を超えると、リレー制御部33に対して系統間スイッチ41の遮断要求を出力する。
【0040】
リレー制御部33は、時刻t4において、第2検出部32からの遮断要求を受けると、即座に系統間スイッチ41を遮断する。このように、電源装置1は、例えば、電流値が緩やかに上昇して第2閾値を超えても、即座には系統間スイッチ41を遮断しないので、系統間スイッチ41の不必要な遮断を防止することができる。
【0041】
ただし、電源装置1は、電流値が第1閾値を超えなくても、電流値が第2閾値を超えてからのジュール熱が所定のジュール熱を超える場合には、系統間スイッチ41を遮断するので、ヒューズ61,62,63の溶断を防止することができる。
【0042】
なお、上記した第1検出部31および第2検出部32の動作は一例であり、種々の変形が可能である。例えば、第1検出部31は、接続経路130を流れる電流の電流値が第1閾値よりも低い第2閾値を超えると第2検出部32に通知する構成であってもよい。
【0043】
この場合、第2検出部32は、第1検出部31から通知を受けてからのジュール熱が所定のジュール熱を超えた場合に、リレー制御部33に対して遮断要求を行う。この構成によっても、電源装置1は、一過性の過電流による系統間スイッチ41の遮断を防止しつつ、ヒューズ61,62,63が溶断する前に系統間スイッチを遮断できる。
【0044】
[4.電源装置の第1系統地絡時動作]
次に、図5を参照して、電源装置1の第1系統地絡時動作について説明する。図5は、実施形態に係る電源装置の第1系統地絡時動作例を示す説明図である。
【0045】
リレー制御部33は、第1系統110または第2系統において地絡が発生し、電流センサ5によって第1閾値を超える電流値が検出されると、第1検出部31から遮断要求を受ける。このとき、リレー制御部33は、接続経路130を流れた過電流の方向を第1検出部31から取得する。
【0046】
リレー制御部33は、第1検出部31から遮断要求を受けると、図5に示すように、まず、系統間スイッチ41を遮断し、地絡200の発生を自動運転制御装置100に通知する。その後、リレー制御部33は、接続経路130を流れた過電流の方向が第2系統120から第1系統110に向かう方向であった場合、第1系統110の地絡200と判定する。
【0047】
リレー制御部33は、第1系統110の地絡200を検出すると、電池用スイッチ42を導通する。これにより、自動運転制御装置100は、第2電源20の電力によって第2負荷103を動作させ、車両を退避走行させて安全な場所に停車させることができる。
【0048】
[5.電源装置の第2系統地絡時動作]
次に、図6を参照して、電源装置1の第2系統地絡時動作について説明する。図6は、実施形態に係る電源装置の第2系統地絡時動作例を示す説明図である。
【0049】
リレー制御部33は、第1系統110または第2系統において地絡が発生し、電流センサ5によって第1閾値を超える電流値が検出されると、第1検出部31から遮断要求を受ける。このとき、リレー制御部33は、接続経路130を流れた過電流の方向を第1検出部31から取得する。
【0050】
リレー制御部33は、第1検出部31から遮断要求を受けると、図6に示すように、まず、系統間スイッチ41を遮断し、地絡200の発生を自動運転制御装置100に通知する。その後、リレー制御部33は、接続経路130を流れた過電流の方向が第1系統110から第2系統120に向かう方向であった場合、第2系統120の地絡200と判定する。
【0051】
リレー制御部33は、第2系統120の地絡200を検出した場合、電池用スイッチ42を遮断状態に維持する。これにより、自動運転制御装置100は、第2電源20の放電を抑えつつ、第1電源10の電力によって第1負荷101を動作させ、車両を退避走行させて安全な場所に停車させることができる。
【0052】
[6.電源装置が実行する処理]
図7は、実施形態に係る電源装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。電源装置1は、図2に示した通常時動作中に、図7に示す処理を繰り返し実行する。
【0053】
具体的には、図7に示すように、電源装置1は、通常時動作中に、接続経路130の電流値が第2閾値を超えたか否かを判定する(ステップS101)。電源装置1は、電流値が第2閾値を超えていないと判定した場合(ステップS101,No)、処理を終了し、ステップS101から処理を再度開始する。
【0054】
また、電源装置1は、電流値が第2閾値を超えたと判定した場合(ステップS101,Yes)、ジュール熱を算出し(ステップS102)、算出したジュール熱が所定のジュール熱を超えたか否かを判定する(ステップS103)。
【0055】
電源装置1は、算出したジュール熱が所定のジュール熱を超えていないと判定した場合(ステップS103,No)、接続経路130の電流値が第1閾値を超えたか否かを判定する(ステップS104)。
【0056】
電源装置1は、電流値が第1閾値を超えていないと判定した場合(ステップS104,No)、処理をステップS102へ移す。また、電源装置1は、電流値が第1閾値を超えたと判定した場合(ステップS104,Yes)、処理をステップS105へ移す。
【0057】
また、算出したジュール熱が所定のジュール熱を超えたと判定した場合(ステップS103,Yes)、処理をステップS105へ移す。ステップS105において、電源装置1は、系統間スイッチ41を遮断する。
【0058】
その後、電源装置1は、第1系統110の地絡か否かを判定する(ステップS106)。電源装置1は、第1系統110の地絡でないと判定した場合(ステップS106,No)、第2系統120の地絡であると判定し、自動運転制御装置100に対し第2系統120に地絡が発生したことを通知して(ステップS108)処理を終了する。これにより、第1系統110によって退避走行制御が行われる。また、電源装置1は、第1系統110の地絡と判定した場合(ステップS106,Yes)、電池用スイッチ42を遮断し(ステップS107)、自動運転制御装置100に対し第1系統110に地絡が発生したことを通知して(ステップS109)処理を終了する。これにより、第2系統120によって退避走行制御が行われる。
【0059】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 電源装置
10 第1電源
11 DC/DC
12 PbB
20 第2電源
21 LiB
31 第1検出部
32 第2検出部
33 リレー制御部
41 系統間スイッチ
42 電池用スイッチ
5 電流センサ
61,62,63 ヒューズ
100 自動運転制御装置
101 第1負荷
102 一般負荷
103 第2負荷
110 第1系統
120 第2系統
130 接続経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7