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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160936
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/13 20060101AFI20221013BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20221013BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
B60C11/13 C
B60C5/00 H
B60C11/03 B
B60C11/03 100B
B60C11/13 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065467
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】佐野 伸悟
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC12
3D131BC19
3D131BC20
3D131CB06
3D131EB05U
3D131EB11V
3D131EB11W
3D131EB11X
3D131EB28V
3D131EB28W
3D131EB31W
3D131EB32V
3D131EB33V
3D131EB33W
3D131EB43W
3D131EB46W
3D131EB47V
3D131EB48V
3D131EB48W
3D131EB83V
3D131EB83W
3D131EC01W
3D131EC12V
3D131EC12W
3D131EC12X
(57)【要約】
【課題】排水性及びトラクション性の良い空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】第1溝部14と第2溝部15とを交互に並ぶことによりジグザグ状に延びる周方向溝10と、周方向溝10のタイヤ軸方向WD一方側及び他方側に設けられた第1陸部40及び第2陸部41とを備える。第1陸部40に設けられた第1横溝20は、第1溝部14に開口する第1開口部16を有し、第1横溝20の一方の溝壁22aは、第2溝部15において第1陸部40を区画する第1陸部側第2溝壁15aに接続され、第1陸部側第2溝壁15aに沿って延びる。第2陸部41に設けられた第2横溝30は、第1溝部14に開口し第1開口部16よりタイヤ周方向CDに長い第2開口部17を有し、第2横溝30の一方の溝壁30aは、第2溝部15において第2陸部41を区画する第2陸部側第2溝壁15bに接続され、第1陸部側第2溝壁15aの延長上に第2開口部17が設けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延びる周方向溝と、
前記周方向溝のタイヤ軸方向一方側に設けられた第1陸部と、
前記周方向溝のタイヤ軸方向他方側に設けられた第2陸部と、
タイヤ周方向に間隔をあけて前記第1陸部に設けられた複数の第1横溝と、
タイヤ周方向に間隔をあけて前記第2陸部に設けられた複数の第2横溝と、
を備えた空気入りタイヤにおいて、
前記周方向溝は、タイヤ周方向に対して傾斜する第1溝部と、前記第1溝部より短くタイヤ周方向に対して前記第1溝部と逆方向に傾斜する第2溝部とが交互に並ぶことによりジグザク状に延び、
前記第1横溝は、前記第1溝部に開口する第1開口部を有し、
前記第1横溝の一方の溝壁は、前記第2溝部において前記第1陸部を区画する第1陸部側第2溝壁に接続され、前記第1陸部側第2溝壁に沿って延び、
前記第2横溝は、前記第1溝部に開口し前記第1開口部よりタイヤ周方向に長い第2開口部を有し、
前記第2横溝の一方の溝壁は、前記第2溝部において前記第2陸部を区画する第2陸部側第2溝壁に接続され、
前記第1陸部側第2溝壁の延長上に前記第2開口部が設けられている空気入りタイヤ。
【請求項2】
タイヤ周方向に対する前記第1陸部側第2溝壁の角度が10度以上である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
タイヤ周方向に対する前記第2陸部側第2溝壁の角度が、タイヤ周方向に対する前記第1陸部側第2溝壁の角度と異なっている請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記第2陸部が前記第1陸部よりタイヤ軸方向外側に配置されている請求項1~3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ周方向にジグザグ状に延びる主溝を有する空気入りタイヤが知られている。このような空気入りタイヤは、主溝がジグザグ状であるためにトラクション性に優れるが排水性能が低下しやすい。
【0003】
そこで、特許文献1のように、ジグザグ状の主溝によって区画された陸部に横溝が設けられた空気入りタイヤが知られている。このような空気入りタイヤでは横溝内を水が通過することで排水性を向上させることができるが、更なる排水性能の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-105446
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、排水性及びトラクション性の良い空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる周方向溝と、前記周方向溝のタイヤ軸方向一方側に設けられた第1陸部と、前記周方向溝のタイヤ軸方向他方側に設けられた第2陸部と、タイヤ周方向に間隔をあけて前記第1陸部に設けられた複数の第1横溝と、タイヤ周方向に間隔をあけて前記第2陸部に設けられた複数の第2横溝と、を備えた空気入りタイヤにおいて、前記周方向溝は、タイヤ周方向に対して一方側に傾斜する第1溝部と、前記第1溝部より短くタイヤ周方向に対して他方側に傾斜する第2溝部とが交互に並ぶことによりジグザク状に延び、前記第1横溝は、前記第1溝部に開口する第1開口部を有し、前記第1横溝の一方の溝壁は、前記第2溝部において前記第1陸部を区画する第1陸部側第2溝壁に接続され、前記第1陸部側第2溝壁に沿って延び、前記第2横溝は、前記第1溝部に開口し前記第1開口部よりタイヤ周方向に長い第2開口部を有し、前記第2横溝の一方の溝壁は、前記第2溝部において前記第2陸部を区画する第2陸部側第2溝壁に接続され、前記第1陸部側第2溝壁の延長上に前記第2開口部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
上記の空気入りタイヤは、特に第1横溝及び第2横溝の上記の構造により、排水性及びトラクション性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの断面図
図2図1の空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図
図3図2のトレッドパターンの要部拡大図
図4図2のIV-IV線断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書における各形状及び寸法等は、特に断らない限り、タイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態でのものである。正規リムとは、JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、又はETRTO規格における「Measuring Rim」である。正規内圧とは、JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の「最大値」、又はETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」である。
【0010】
図1に例示するように、空気入りタイヤ1のタイヤ軸方向両側にビード部2が設けられている。ビード部2は、円形に巻かれた鋼線からなるビードコア2aと、ビードコア2aの径方向外側に設けられたゴム製のビードフィラー2bとからなる。タイヤ軸方向両側のビード部2にはカーカスプライ5が架け渡されている。カーカスプライ5はタイヤ周方向に直交する方向に並べられた多数のプライコードがゴムで被覆されたシート状の部材である。カーカスプライ5は、タイヤ軸方向両側のビード部2の間で空気入りタイヤ1の骨格形状を形成するとともに、ビード部2の周りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されることによりビード部2を包んでいる。カーカスプライ5の内側には空気の透過性の低いゴムからなるシート状のインナーライナー6が貼り付けられている。
【0011】
カーカスプライ5のタイヤ径方向外側には1枚又は複数枚のベルト7が設けられている。ベルト7はスチール製の多数のコードがゴムで被覆されて出来た部材である。ベルト7のタイヤ径方向外側には路面との接地面(以下「接地面」とする)を有するトレッド3が設けられている。また、カーカスプライ5のタイヤ軸方向両側にはサイドウォールゴム4が設けられている。これらの部材の他にも、空気入りタイヤ1の機能上の必要に応じて、ベルト下パッドやチェーハー等の部材が設けられている。
【0012】
図2は、一実施形態に係るタイヤのトレッド3の一部展開図である。図中、符号CLは、タイヤ軸方向中心に相当するタイヤ赤道面を示す。符号WDは、タイヤ軸方向(タイヤ幅方向とも称される。)を示し、タイヤ軸方向WD内側とはタイヤ赤道面CLに近づく方向をいい、タイヤ軸方向WD外側とはタイヤ赤道面CLから離れる方向をいう。符号CDは、タイヤ回転軸を中心とした円周上の方向であるタイヤ周方向を示す。また、図1において、符号RDは、タイヤ径方向(タイヤ回転軸に垂直な方向)を示し、タイヤ径方向RD内側とはタイヤ回転軸に近づく方向をいい、タイヤ径方向RD外側とはタイヤ回転軸から離れる方向をいう。
【0013】
本実施形態のタイヤは、車両に装着される際の表裏の指定があるタイヤであり、すなわち、車両に装着する際に外側に装着される面と内側に装着される面とが指定されている。そのため、タイヤの例えばサイドウォールには、車両への装着向きを指定するための表示が設けられている。図1及び図2中、符号OUTで示すタイヤ軸方向WD一方側が車両装着姿勢において外側(車両外側)に向き、符号INで示すタイヤ軸方向WD他方側が車両装着姿勢において内側(車両内側)に向くように、車両に装着される。
【0014】
トレッド3の表面には、タイヤ周方向CDに延びる複数の主溝10,11,12,13がタイヤ軸方向WDに間隔をおいて設けられている。なお、主溝10,11,12,13は、一般に5mm以上の溝幅(開口幅)を持つタイヤ周方向CDに連続する周方向溝である。
【0015】
この例では、主溝10,11,12,13は4本、即ち、タイヤ赤道面CLの車両内側に位置する第1センター主溝10、タイヤ赤道面CLの車両外側に位置する第2センター主溝11、第1センター主溝10とタイヤ軸方向WD一方側(車両内側)の接地端E1との間に位置する第1ショルダー主溝12、及び第2センター主溝11とタイヤ軸方向WD他方側(車両外側)の接地端E2との間に位置する第2ショルダー主溝13が、トレッド3の表面に設けられている。
【0016】
第1センター主溝10は、タイヤ周方向に対してタイヤ軸方向WDの一方側へ傾斜して直線状に延びる第1溝部14と、第1溝部14より短くタイヤ周方向CDに対して第1溝部14と逆方向(タイヤ軸方向WDの他方側)へ傾斜して直線状に延びる第2溝部15とからなる。第1溝部14と第2溝部15とが交互に並び、それにより第1センター主溝10がジグザグ状になっている。
【0017】
第1溝部14は、センター陸部40を区画するセンター陸部側第1溝壁14aと第1メディエート陸部41を区画するメディエート陸部側第1溝壁14bとが、互いに平行に設けられている。
【0018】
第2溝部15は、センター陸部40を区画するセンター陸部側第2溝壁15aと第1メディエート陸部41を区画するメディエート陸部側第2溝壁15bとが、タイヤ周方向CDに対して異なる角度をなしている。この例では、タイヤ周方向CDに対するセンター陸部側第2溝壁15aの角度θ1が、タイヤ周方向CDに対するメディエート陸部側第2溝壁15bの角度θ2より大きくなっている(図3参照)。
【0019】
第2センター主溝11、第1ショルダー主溝12、及び第2ショルダー主溝13は、いずれもタイヤ周方向CDに平行に延びるストレート状である。
【0020】
トレッド3には主溝10,11,12,13によって区画形成された複数の陸部が設けられている。詳細には、タイヤ赤道面CL上に第1センター主溝10と第2センター主溝11との間に区画されたセンター陸部40が設けられている。センター陸部40のタイヤ軸方向WD一方側には、第1センター主溝10と第1ショルダー主溝12との間に区画された第1メディエート陸部41と、第1ショルダー主溝12とタイヤ軸方向WD一方側の接地端E1との間に区画された第1ショルダー陸部43とが、設けられている。センター陸部40のタイヤ軸方向WD他方側には、第2センター主溝11と第2ショルダー主溝13との間に区画された第2メディエート陸部42と、第2ショルダー主溝13とタイヤ軸方向WD他方側の接地端E2との間に区画された第2ショルダー陸部44とが、設けられている。
【0021】
第2メディエート陸部42は、タイヤ周方向CDに連続するリブとして形成されており、その他の陸部、つまり、センター陸部40、第1メディエート陸部41、第1ショルダー陸部43及び第2ショルダー陸部44は、タイヤ軸方向WDに延びる横溝によって分断され、タイヤ周方向CDに並ぶ複数のブロックの列となっている。
【0022】
この例では、ジグザグ状の第1センター主溝10によって区画されたセンター陸部40及び第1メディエート陸部41のトレッドパターンに特徴がある。以下、センター陸部40及び第1メディエート陸部41の構成について詳細に説明する。
【0023】
センター陸部40には、センター陸部40を横断する複数の第1横溝20がタイヤ周方向CDに間隔をおいて設けられている。センター陸部40は、複数の第1横溝20と2つのセンター主溝10,11とによって区画されたブロック(センターブロック)をタイヤ周方向CDに複数並べたブロック列をなしている。
【0024】
図3に拡大して示すように、第1横溝20は、屈曲部21を有して折れ曲がった形状をなしており、この例では、平面視においてV字状に折れ曲がった切り返し状に形成されている。
【0025】
第1横溝20は、屈曲部21から第1センター主溝10に連通するように延びる一方横溝部22と、屈曲部21から第2センター主溝11に連通するように延びる他方横溝部23とで構成されている。屈曲部21は、タイヤ赤道面CLより第1センター主溝10側に位置しており、鋭角状をなしている。
【0026】
一方横溝部22は、第1センター主溝10において第1溝部14と第2溝部15との連結位置を含むように、第1センター主溝10の第1溝部14に第1開口部16が開口し、第1開口部16から第2溝部15に沿って設けられている。
【0027】
具体的には、一方横溝部22の一方の溝壁22aは、第1センター主溝10の第2溝部15においてセンター陸部40を区画するセンター陸部側第2溝壁15aに接続され、センター陸部側第2溝壁15aに沿って設けられている。
【0028】
一方横溝部22の他方の溝壁22bは、第1溝部14においてセンター陸部40を区画するセンター陸部側第1溝壁14aに接続されている。
【0029】
この例では、他方の溝壁22bが屈曲部21に向かうに従って漸次一方の溝壁22aに近づくように設けられ、これにより第1開口部16から屈曲部21に向かって一方横溝部22の溝幅が漸次狭くなっているが、他方の溝壁22bが一方の溝壁22aと平行に設けられ、一方横溝部22が一定の溝幅に設けられてもよい。また、一方横溝部22と第1センター主溝10とのなす角度が鋭角である鋭角状の角部24の先端を丸めてもよい。
【0030】
なお、本明細書において一方横溝部22の一方の溝壁22aがセンター陸部側第2溝壁15aに沿って設けられているとは、一方の溝壁22aがセンター陸部側第2溝壁15aと同一平面上にある(つまり、センター陸部側第2溝壁15aと平行である)場合だけでなく、一方の溝壁22aとセンター陸部側第2溝壁15aのなす角度θ3が150度以上210度以下の場合も含む概念である。
【0031】
タイヤ周方向CDに対する一方の溝壁22aの角度θ4は、タイヤ周方向CDに対するセンター陸部側第2溝壁15aの角度θ1より小さいことが好ましい。また、一方の溝壁22aとセンター陸部側第2溝壁15aのなす角度θ3が150度以上180度以下であることが好ましい。タイヤ周方向CDに対する一方の溝壁22aの角度θ4は、10度以上80度以下であることが好ましく、タイヤ周方向CDに対するセンター陸部側第2溝壁15aの角度θ1は、10度以上80度以下であることが好ましい。
【0032】
他方横溝部23は、屈曲部21から第2センター主溝11に向かってストレート状に延びる横溝部分であり、第2センター主溝11に連通している。他方横溝部23は、一方横溝部22の延在方向に対して交差する方向に延びる横溝部分であり、屈曲部21からタイヤ周方向CDにおいて一方横溝部22と同じ側に延在している。
【0033】
図4に示すように、第1横溝20には、溝底を隆起させて溝深さを浅く形成した底上げ部25が設けられている。底上げ部25は、他方横溝部23の屈曲部21側で最も高く隆起し、そこから第1センター主溝10及び第2センター主溝11へ向かって溝深さが漸次深くなるように傾斜状に形成されている。底上げ部25は、第1横溝20の溝幅全体で形成されることにより前後のブロック間を繋いでいる。
【0034】
更に、センター陸部40には、他方横溝部23に平行な方向に延びる複数のサイプ27がタイヤ周方向CDに間隔をあけて設けられている。サイプ27は負荷状態において接地面への開口端が閉塞する幅の狭い細溝である。サイプ27は、第1横溝20が存在しない箇所においてセンター陸部40を横断するように設けられているとともに、他方横溝部23の延長線上にも設けられている。
【0035】
第1メディエート陸部41には、タイヤ軸方向WDに延びる複数の第2横溝30及び複数の第3横溝31がタイヤ周方向CDに交互に設けられている。
【0036】
複数の第3横溝31は、第1ショルダー主溝12からタイヤ軸方向WDへ延び第1メディエート陸部41内で終端している。複数の第2横溝30は、タイヤ周方向CDに隣接する第3横溝31の間に、第1センター主溝10と第1ショルダー主溝12とを連通し第1メディエート陸部41を横断するように設けられている。第1メディエート陸部41は、複数の第2横溝30と、第1センター主溝10と、第1ショルダー主溝12によって区画されたブロック(メディエートブロック)をタイヤ周方向CDに複数並べたブロック列をなしている。
【0037】
第2横溝30は、第1センター主溝10において第1溝部14と第2溝部15との連結位置を含むように第1センター主溝10の第1溝部14に第2開口部17が開口する。第2横溝30の第2開口部17は、一方横溝部22の第1開口部16よりタイヤ周方向CDに長い開口からなり、第2溝部15に沿って第2横溝30が設けられている。
【0038】
具体的には、第2横溝30の一方の溝壁30aは、第1センター主溝10の第2溝部15において第1メディエート陸部41を区画するメディエート陸部側第2溝壁15bに接続され、メディエート陸部側第2溝壁15bに沿って設けられている。
【0039】
第2横溝30の他方の溝壁30bは、第1溝部14において第1メディエート陸部41を区画するメディエート陸部側第1溝壁14bであって、図2及び図3に示すような平面視においてセンター陸部側第2溝壁15aの延長線Lよりメディエート陸部側第2溝壁15bから離れた位置において接続されている。
【0040】
これにより、センター陸部側第2溝壁15aの延長線L上に、一方横溝部22の第1開口部16よりタイヤ周方向CDに沿った開口幅の長い第2開口部17が設けられている。
【0041】
この例では、第2横溝30と第1センター主溝10とのなす角度が鋭角である鋭角状の角部26の先端を丸めてもよい。
【0042】
なお、図3に示すように、一方横溝部22の一方の溝壁22aとセンター陸部側第1溝壁14aとで形成された角部24や、第2横溝30の他方の溝壁30bとセンター陸部側第1溝壁14aとで形成された角部26の先端が丸められている場合、各溝壁の延長線の交点P、Qからセンター陸部側第2溝壁15aやメディエート陸部側第2溝壁15bまでのタイヤ周方向CDの距離を、第1開口部16及び第2開口部17のタイヤ周方向CDに沿った開口幅とする。
【0043】
図4に示すように、第2横溝30の第1センター主溝10側の端部には、溝底を隆起させて溝深さを浅く形成した底上げ部33が設けられている。底上げ部33は、第2横溝30の溝幅全体で形成されることにより前後のブロック間を繋いでいる。
【0044】
更に、第1メディエート陸部41には、第2横溝30及び第3横溝31に平行な方向に延びる複数のサイプ34が設けられている。サイプ34は負荷状態において接地面への開口端が閉塞する幅の狭い細溝である。サイプ34は、第2横溝30と第3横溝31との間にタイヤ周方向CDに間隔をあけて設けられている。
【0045】
本実施形態の空気入りタイヤ1では、第1センター主溝10がジグザグ状であるため前後方向のトラクション性に優れている。
【0046】
また、一方横溝部22の一方の溝壁22aが、センター陸部側第2溝壁15aに接続されるとともにセンター陸部側第2溝壁15aに沿って延び、センター陸部側第2溝壁15aの延長上に第2横溝30の第2開口部17が設けられている。そのため、湿潤路面の走行時に、一方横溝部22内の水が、第1センター主溝10にスムーズに排出されるとともに、第2開口部17から第2横溝30を通って第1ショルダー主溝12にも排出されやすくなり、排水性を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態では、タイヤ周方向CDに対するセンター陸部側第2溝壁15aの角度θ1と、タイヤ周方向CDに対するメディエート陸部側第2溝壁15bの角度θ2とが異なる角度をなしているため、トラクション性に優れている。
【0048】
特に、タイヤ周方向CDに対するセンター陸部側第2溝壁15aの角度θ1が、タイヤ周方向CDに対するメディエート陸部側第2溝壁15bの角度θ2より大きくなっている場合、湿潤路面の走行時に一方横溝部22内の水が、センター陸部側第2溝壁15aによって第2横溝30へ誘導されやすくなり、排水性を向上することができる。
【0049】
上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0050】
例えば、上記実施形態では、第1センター主溝10をジグザグ状の周方向溝に設けるとともに、センター陸部40に第1横溝として一方横溝部22を設け、第1メディエート陸部41に第2横溝30を設けたが、第2センター主溝11やショルダー主溝12,13等任意の主溝をジグザグ状の周方向溝に設け、ジグザグ状の周方向溝のタイヤ軸方向一方側及び他方側のそれぞれの陸部に、一方横溝部22及び第2横溝30と同様の横溝を設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…空気入りタイヤ、2…ビード部、3…トレッド、4…サイドウォール、10…第1センター主溝、11…第2センター主溝、12…第1ショルダー主溝、13…第1ショルダー主溝、14…第1溝部、14a…センター陸部側第1溝壁、14b…メディエート陸部側第2溝壁、15…第2溝部、15a…センター陸部側第2溝壁、15b…メディエート陸部側第2溝壁、16…第1開口部、17…第2開口部、20…第1横溝、21…屈曲部、22…一方横溝部、23…他方横溝部、24…角部、25…底上げ部、26…角部、30…第2横溝、31…第3横溝、40…センター陸部、41…第1メディエート陸部、42…第2メディエート陸部、43…第1ショルダー陸部、44…第2ショルダー陸部
図1
図2
図3
図4