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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160939
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】自然エネルギー活用冷暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20221013BHJP
【FI】
F24F1/0007 331
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065472
(22)【出願日】2021-04-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】520174126
【氏名又は名称】株式会社アクアイースター
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】木村 太
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050BB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自然エネルギーを用いて温度や湿度をコントロールすることの可能な自然エネルギー活用冷暖房装置を提供する。
【解決手段】自然エネルギー活用冷暖房装置100は、空気の流れを作るファン120と、空気の流れ方向に沿って配置される複数の熱交換器110-1、110-2と、を備え、少なくとも1つの熱交換器110-1、110-2は、地下水を利用して熱交換を行う熱交換部を有し、該熱交換部に空気を通過させることにより地下水が気化して空気の温度が変化するように構成されている。かかる構成によれば、少なくとも1つの熱交換器は地下水がかけ流しで滴下される熱交換部を有するものとし、熱交換部にかけ流しで滴下した地下水に気液接触させる。このため、地下水の気化により空気の温度を変化させることができる。よって、自然エネルギーを用いて温度や湿度をコントロールすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流れを作るファンと、
空気の流れ方向に沿って配置される複数の熱交換器と、
を備え、
少なくとも1つの前記熱交換器は、地下水を利用して熱交換を行う熱交換部を有し、該熱交換部に空気を通過させることにより地下水が気化して空気の温度が変化することを特徴とする、自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項2】
前記熱交換部は非吸水素材製であり、地下水は前記熱交換部の表面にかけ流しで滴下されることを特徴とする、請求項1に記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項3】
前記熱交換部は吸水素材製であり、地下水は前記熱交換部が保持できる水分量を超えて流れることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項4】
少なくとも1つの熱交換器は、内部に水が流通し空気と直接接触せず熱交換を行う非接触熱交換部を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項5】
前記非接触熱交換部は、内部に地下水が流通しており、表面を通過する空気を内部に流通する地下水と熱交換させて温度を低下させることを特徴とする、請求項4に記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項6】
前記非接触熱交換部は、内部に流す水に静止型混合器で加圧エアーを混和させて入り口において絞りノズルが減圧して噴き出すことによって温度が低下することを特徴とする、請求項4に記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項7】
前記非接触熱交換部は、内部に空気よりも高温の温水が流通しており、表面を通過する空気を内部に流通する温水と熱交換させて温度を上昇させることを特徴とする、請求項4に記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項8】
前記非接触熱交換部は、加圧蒸気を絞りノズルで減圧させて内部に吹き込むことにより温度を上昇させることを特徴とする、請求項4に記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項9】
前記非接触熱交換部は、インラインミキサーで空気と100度以上に加熱、加圧した水との2流体を混和し、絞りノズルで減圧させて内部に吹き込むことにより水蒸気が凝縮し熱を生み温度を上昇させることを特徴とする、請求項4に記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項10】
前記ファンは、空気の上流側端部に配置され、複数の前記熱交換器に空気を吹き付けることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項11】
前記ファンは、空気の下流側端部に配置され、複数の前記熱交換器から空気を吸引することを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギー活用冷暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自然エネルギー活用冷暖房装置としては、特開2016-23850号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献には、パネル状の多孔質の物に水を流してそのパネルにファンで風を通過させて気化熱で冷却し、冷風を得る装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-23850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、日本の夏は高温多湿なので、上記従来の自然エネルギー活用冷暖房装置では、湿度が高い日は気温から3度位しか下がらない。そのため、例えば35度が32度程度にしか低下せず、しかも湿度でじめじめする。また、上記従来の自然エネルギー活用冷暖房装置では、気化冷却であるため、湿度の高い日本の夏では、じめじめしてしかも湿度が上がると風が冷えない。このように、自然エネルギーを使って温度や湿度をコントロールすることが困難であるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、自然エネルギーを用いて温度や湿度をコントロールすることの可能な自然エネルギー活用冷暖房装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明によれば、空気の流れを作るファンと、空気の流れ方向に沿って配置される複数の熱交換器と、を備え、少なくとも1つの前記熱交換器は、地下水がかけ流しで滴下される熱交換部を有し、該熱交換部に空気を通過させることにより地下水が気化して空気の温度が変化することを特徴とする、自然エネルギー活用冷暖房装置が提供される。
【0007】
かかる構成によれば、少なくとも1つの熱交換器は地下水がかけ流しで滴下される熱交換部を有するものとし、熱交換部にかけ流しで滴下した地下水に気液接触させる。このため、地下水の気化により空気の温度を変化させることができる。地下水の温度は年中ほぼ一定の約17度であるため、気温の高い夏は、地下水の気化によって空気の温度が低下し、気温の低い冬は地下水の気化によって空気の温度が上昇する。よって、自然エネルギーを用いて温度や湿度をコントロールすることができる。
【0008】
また、熱交換器は、表面に地下水がかけ流しされる構成であるため、簡単な構造で済み、コストを抑えることができる。また、熱交換器は地下水のかけ流しであるため、常に新鮮な地下水を用いることができる。
【0009】
このように本発明は、豊富な地下水をかけ流しで利用できることで優れた効果を有する。特に、工業用などの冷暖房装置として、利用価値が高い。
【0010】
本発明は様々な応用が可能である。例えば、前記熱交換部は非吸水素材製であり、地下水は前記熱交換部の表面を流れるようにしてもよい。熱交換部が従来のような吸水する素材からなるものではないため、雑菌の繁殖を防止することができる。
【0011】
また、前記熱交換部は吸水素材製であり、地下水は前記熱交換部が保持できる水分量を超えて流れるようにしてもよい。熱交換部は常に新鮮な地下水を給水することができるため、熱交換部は年中ほぼ一定の温度を保つことができる。
【0012】
また、少なくとも1つの熱交換器は、内部に水が流通し空気と直接接触せず熱交換を行う非接触熱交換部を有するようにしてもよい。非接触熱交換部は、空気と水とが直接接触せず、空気と非接触熱交換部の表面との接触により熱交換のみが行われ、気化が行われない。よって、湿度を上げることなく温度のみを変化させることができる。
【0013】
また、前記非接触熱交換部は、内部に地下水が流通しており、表面を通過する空気を内部に流通する地下水と熱交換させて温度を低下させるようにしてもよい。かかる構成により、空気は非接触熱交換部の表面に接触して熱交換のみが起き温度が低下するとともに除湿も行われる。よって、温度と湿度が低下した風を得ることができる。
【0014】
また、前記非接触熱交換部は、内部に流す水に静止型混合器で加圧エアーを混和させて、入り口において絞りノズルで減圧させて噴き込み温度を低下させるようにしてもよい。かかる構成により、非接触熱交換部に噴き込む温度を低下させることができるため、非接触熱交換部に使用する水は、地下水に限らず水道水などでもよくなり、使用する水の自由度が増す。
【0015】
また、前記非接触熱交換部は、内部に空気よりも高温の温水が流通しており、表面を通過する空気を内部に流通する温水と熱交換させて温度を上昇させるようにしてもよい。かかる構成により、空気は非接触熱交換部の表面に接触して熱交換のみが起き温度が上昇する。よって、温度が上昇した風を得ることができる。また、約60度の温水を大量に排水する工場があるが、非接触熱交換部の内部に流通させる温水にこのような排温水を利用することによって、経費を削減することができる。
【0016】
また、前記非接触熱交換部は、加圧蒸気を絞りノズルで減圧させて内部に吹き込むことにより温度を上昇させるようにしてもよい。かかる構成によれば、非接触熱交換部に供給する水の温度を上昇させることができるため、暖房に用いることができる。
【0017】
また、前記非接触熱交換部は、インラインミキサーで空気と100度以上に加熱、加圧した水との2流体を混和し、絞りノズルで減圧させて内部に吹き込むことにより水蒸気が凝縮し熱を生み温度を上昇させようにしてもよい。かかる構成によれば、水蒸気が凝縮し熱を生むフェーンの現象が起きるため、非接触熱交換部に供給する水の温度を効率的に上昇させることができる。
【0018】
また、前記ファンは、空気の上流側端部に配置され、複数の前記熱交換器に空気を吹き付けるようにしてもよい。かかる構成によれば、上流側からファンによって空気を吹き付けるため、空気の対流が起きて効果的に温度をコントロールできる。
【0019】
また、前記ファンは、空気の下流側端部に配置され、複数の前記熱交換器から空気を吸引するようにしてもよい。かかる構成によれば、下流側からファンによって空気を吸引するため、空気の拡散が抑えられ効率的に熱交換器を通過するため、効果的に温度をコントロールできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の自然エネルギー活用冷暖房装置によれば、自然エネルギーを用いて温度や湿度をコントロールすることが可能である。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置100の構成を概略的に示す斜視図である。
図2】第1熱交換器110の構成を概略的に示す斜視図であり、(a)は全体構成を示し、(b)は(a)の符号A部分を拡大して示したものである。
図3】ファン120の構成を概略的に示す図である。
図4】第1の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置100の作用を示す図である。
図5】第2の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置200の構成を概略的に示す斜視図である。
図6】第3の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置300の構成を概略的に示す斜視図である。
図7】第4の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置400の構成を概略的に示す斜視図である。
図8】第5の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置500の構成を概略的に示す斜視図である。
図9】第6の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置600の構成を概略的に示す斜視図である。
図10】第7の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置700の構成を概略的に示す斜視図である。
図11】第8の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置800の構成を概略的に示す斜視図である。
図12】第9の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置900の構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る自然エネルギー活用冷暖房装置100の構成について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置100の構成を概略的に示す斜視図である。図2は、第1熱交換器110の構成を概略的に示す斜視図であり、(a)は全体構成を示し、(b)は(a)の符号A部分を拡大して示したものである。図3は、ファン120の構成を概略的に示す図である。本実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置100は冷房を目的とするものである。
【0024】
自然エネルギー活用冷暖房装置100は、図1に示したように、空気の流れを作るファン120と、空気の流れ方向に沿って配置される2つの第1熱交換器110-1、110-2を備える。以下、2つの第1熱交換器110-1、110-2を区別しない場合は、第1熱交換器110として説明する。第1熱交換器110は、非吸水素材製の熱交換部112を有し、熱交換部112の表面に地下水をかけ流しで滴下しながら空気を通過させることにより地下水が気化して空気の温度が変化するように構成される。
【0025】
(第1熱交換器110)
第1熱交換器110は、空気の吸入側に配置されて空気を冷却するものである。第1熱交換器110は、図2に示したように、非吸水素材製の第1熱交換部112を有する。第1熱交換部112は、波状に成型したステンレス製の細長い薄板112aが間隔を空けて左右方向に複数並べて多孔質状に構成されている。
【0026】
第1熱交換部112の上部には地下水を供給するための地下水供給部114が設けられている。第1熱交換部112に供給された地下水は、上部から薄板112aに滴下されて、薄板112aを伝って第1熱交換器110の下方から排水される。地下水は、第1熱交換器110にかけ流しで供給される。地下水の温度は年間を通してほぼ一定の約17度である。
【0027】
第1熱交換器110は、第1熱交換部112に滴下された地下水と、第1熱交換部112の薄板112aの間を通過する空気と、が接触することによって空気を冷却する。地下水と空気の温度差が大きいと、結露による若干の除湿効果がある。
【0028】
2つの第1熱交換器110-1、110-2はファン120を介して配置される。第1熱交換器110-1が空気の上流側に配置され、第1熱交換器110-2が下流側に配置される。
【0029】
(ファン120)
ファン120は、図1及び図2に示したように、第1熱交換器110-1、110-2の間に配置され、空気を吸排気するものである。ファン120は、第1熱交換器110-1を介して空気を吸引するとともに、第1熱交換器110-2を介して空気が排出されるようにする。
【0030】
以上、自然エネルギー活用冷暖房装置100の構成について説明した。次に自然エネルギー活用冷暖房装置100の作用について、図4を参照しながら説明する。図4は、第1の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置100の作用を示す図である。
【0031】
第1熱交換器110-1、110-2には、図4に示したように、地下水がかけ流しで滴下されている。ファン120によって吸引された空気は、第1熱交換器110-1を通過する際に、地下水と気液接触して冷却される。例えば、第1熱交換器110-1が通過する前の空気が30度の場合、第1熱交換器110-1を通過後には21度まで下がる。地下水と空気の温度差が大きいと、結露による若干の除湿効果もある。
【0032】
第1熱交換器110-1によって冷却された空気は、ファン120によって第1熱交換器110-2に送風される。冷却された空気は、第1熱交換器110-2を通過する際に、地下水と気液接触して冷却される。例えば、第1熱交換器110-2が通過する前の冷却空気が21度の場合、第1熱交換器110-2を通過後には温度がさらに下がる。また、気化が起きないので除湿がされる。
【0033】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、少なくとも第1熱交換部112の表面にかけ流しで滴下した地下水に気液接触させるため、地下水の気化により空気の温度を低下させることができる。よって、自然エネルギーを用いて温度や湿度をコントロールすることができる。
【0034】
また、第1熱交換器110及び第2熱交換器130は地下水のかけ流しであるため、常に新鮮な地下水を用いるため、雑菌の繁殖を防止することができる。
【0035】
また、第1熱交換器110-1、110-2は、表面に地下水がかけ流しされる構成であるため、簡単な構造で済み、コストを抑えることができる。
【0036】
また、空気の上流側の第1熱交換器110-1によって温度低下した空気を、さらに空気の下流側の第1熱交換器110-2の表面にかけ流しで滴下した地下水に気液接触させると、気化が起きず熱交換だけが起きる。よって、温度と湿度が低下した風を得ることができる。
【0037】
また、第1熱交換部112は、非吸水素材製の金属であるため地下水が吸収されて外気で温度上昇することがない。よって、第1熱交換部112を流れる地下水が温度上昇しないため、空気を効率的に冷却することができる。
【0038】
なお、本実施形態では、第1熱交換部112を非吸水素材製としたが、第1熱交換部を吸水素材製としてもよい。第1熱交換部にかけ流しされる地下水は第1熱交換部が保持できる水分量を超えて流されるようにしてもよい。このように、第1熱交換部は常に新鮮な地下水を給水することができるため、第1熱交換部は年中ほぼ一定の温度を保つことができる。
【0039】
また、本実施形態では、空気の流れの上流側から第1熱交換器110-1、ファン120、第1熱交換器110-2の順に配置したが、ファン120は、第1熱交換器110-1と第1熱交換器110-2の間、又はファン120、第1熱交換器110-1、第1熱交換器110-2の順に配置してもよい。ファンと熱交換器の配置、数は適宜設計することができるものであり、他の実施形態も同様である。
【0040】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る自然エネルギー活用冷暖房装置200の構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、第2の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置200の構成を概略的に示す斜視図である。本実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置200は、空気の下流側に配置される第2熱交換器230の構成が第1の実施形態の第1熱交換器110-2と相違するものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。よって、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0041】
本実施形態の第2熱交換器230は、内部に水が流れ空気と直接接触せず熱交換を行う非接触熱交換部232を有する。第2熱交換器230は、フィンコイル式、プレートフィン式、ラジエータ式などの熱交換器を使用可能である。本実施形態では、非接触熱交換部232は、内部に地下水が流通しており、表面を通過する空気を内部に流通する地下水と熱交換させて温度を低下させるように構成されている。
【0042】
以上、自然エネルギー活用冷暖房装置200の構成について説明した、次に、自然エネルギー活用冷暖房装置200の作用について説明する。ファン120によって吸引されて、第1熱交換器110によって冷却された空気は、第2熱交換器230に送風される。第1熱交換器110によって冷却された空気は、第2熱交換器230を通過する際に、非接触熱交換部232の内部を流通する地下水によって冷却された表面に接触して、熱交換し冷却される。空気が非接触熱交換部232を通過する際に水に接触せず、熱交換のみが行われ、気化が起きないので、空気の冷却に加えて除湿も行われる。
【0043】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第2熱交換器230を内部に水が流れ空気と直接接触せず熱交換を行う非接触熱交換部232を有するものとすることにより、第1熱交換器110によって温度低下した空気が非接触熱交換部232の表面に接触する。このとき、空気は地下水に直接接触せず、地下水によって冷却された第2熱交換器の表面に接触して熱交換のみが起きる。よって、温度が低下するとともに除湿も行われ、温度と湿度が低下した風を得ることができる。
【0044】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る自然エネルギー活用冷暖房装置300の構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、第3の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置300の構成を概略的に示す斜視図である。本実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置300は、第2熱交換器330の構成が第1の実施形態の第2熱交換器130と相違するものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。よって、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0045】
本実施形態の第2熱交換器330は、図6に示したように、第2の実施形態の第2熱交換器230とほぼ同様の構成とすることができる。第2熱交換器330は、非接触熱交換部332に流す水に静止型混合器340で大量の加圧エアーを混和させて、第2熱交換器330の入り口において絞りノズル350で瞬時減圧させて温度を低下させるように構成されている。
【0046】
非接触熱交換部332の入り口には、絞りノズル350が接続されている。絞りノズル350には静止型混合器340が連結されている。静止型混合器340は、第2熱交換器330に供給する水を生成するものである。静止型混合器340では、地下水などの水に大量の加圧エアーを混和させた水を生成する。絞りノズル350は、静止型混合器340で生成された水を瞬時減圧させて温度を低下させて非接触熱交換部332に供給する。
【0047】
このように、第2熱交換器330に供給する水を静止型混合器340と絞りノズル350で生成するため、例えば、地下水を使用する場合は、地下水の温度よりもさらに低下させた水を供給することができる。また、水道水などを使用する場合は、夏場で上昇した水の温度を低下させて供給することができる。さらに、第2熱交換器330から排出された温度が上昇した水を静止型混合器340と絞りノズル350で生成して温度を低下させて再び第2熱交換器330に供給するようにしてもよい。
【0048】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、静止型混合器340と絞りノズル350で水の温度を低下させることができるため、第2熱交換器330に使用する水は、地下水に限らず水道水などでもよくなり、使用する水の自由度が増す。
【0049】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る自然エネルギー活用冷暖房装置400の構成について、図7を参照しながら説明する。図7は、第4の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置400の構成を概略的に示す斜視図である。本実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置400は、暖房を目的とするものであり、第2熱交換器430の構成が第1の実施形態の第2熱交換器130と相違するものであり、その他の点は第1の実施形態と同様である。よって、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0050】
本実施形態の第2熱交換器430は、図7に示したように、第2の実施形態の第2熱交換器230とほぼ同様の構成とすることができる。第2熱交換器430は、非接触熱交換部432に流す水に加圧蒸気を絞りノズル450によって瞬時減圧で内部に噴きだすことにより温度を上昇させるように構成されている。
【0051】
非接触熱交換部432の入り口には、絞りノズル450が接続されている。絞りノズル450には加圧蒸気生成器440が連結されている。加圧蒸気生成器440は地下水などの水を加圧蒸気に生成する。絞りノズル450は、加圧蒸気生成器440で生成された加圧蒸気を瞬時減圧で非接触熱交換部432の内部に吹き込むことにより、温度を上昇させた温水を供給する。
【0052】
このように、第2熱交換器430に供給する水を加圧蒸気生成器440と絞りノズル450で生成するため、例えば、地下水を使用する場合は、地下水の温度よりも温度を上昇させた温水を供給することができる。また、水道水などを使用する場合は、冬場で低下した水の温度を上昇させて供給することができる。さらに、第2熱交換器330から排出された温度が低下した水を加圧蒸気生成器440と絞りノズル450で温度を上昇させて再び第2熱交換器430に供給するようにしてもよい。
【0053】
以上、自然エネルギー活用冷暖房装置400の構成について説明した。次に自然エネルギー活用冷暖房装置400の作用について説明する。本実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置400は暖房を目的とするものである。
【0054】
第1熱交換器110には、地下水がかけ流しで滴下されている。冬場は地下水の温度よりも外気の温度の方が低いため、ファン120によって吸引された空気は、第1熱交換器110を通過する際に、地下水と気液接触して昇温される。
【0055】
第1熱交換器110によって昇温された空気は、ファン120によって第2熱交換器430に送風される。第2熱交換器430は、第1熱交換器110で昇温された空気よりも高温である。このため、第1熱交換器110で昇温された空気は、第2熱交換器430の内部を流通する温水によって昇温された表面に接触して、熱交換し昇温される。空気が第2熱交換器230を通過する際に水に接触せず、熱交換のみが行われる。
【0056】
(第4の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第2熱交換器430に供給する水の温度を上昇させることができるため、暖房に用いることができる。
【0057】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る自然エネルギー活用冷暖房装置500の構成について、図8を参照しながら説明する。図8は、第5の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置500の構成を概略的に示す斜視図である。本実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置500は、暖房を目的とするものであり、加圧蒸気生成器440をインラインミキサー540に変更した点が第4の実施形態と相違するものであり、その他の点は第4の実施形態と同様である。よって、本実施形態では、上記第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0058】
本実施形態の第2熱交換器530は、図8に示したように、第2の実施形態の第2熱交換器230とほぼ同様の構成とすることができる。第2熱交換器530は、インラインミキサー540で空気と100度以上に加熱、加圧した水との2流体を混和し、絞りノズル550によって瞬時減圧で非接触熱交換部532の内部に噴き出すことにより温度を上昇させるように構成されている。第2熱交換器530と絞りノズル550は、第4の実施形態の第2熱交換器430と絞りノズル450と同様であるため、以下、主にインラインミキサー540について説明する。
【0059】
インラインミキサー540は、ミキサー通過のときに加圧と減圧が起きる構造で、キャビテーションが発生して、熱交換装置としても使えるものである。インラインミキサー540に供給する水は、ミカ触媒のフィルタを通過させて表面張力を変え、気化を起きやすくしたものを用いる。なお、本実施形態では、ミカ触媒のフィルタを用いたが、必ずしもミカ触媒のフィルタを用いなくてもよい。インラインミキサー540では、ミカ触媒で処理した水を加圧して、大量の空気を混ぜ、普通のポンプで用いることが可能な1メガパスカル以下の水とする。
【0060】
以上、自然エネルギー活用冷暖房装置500の構成について説明した。自然エネルギー活用冷暖房装置500の作用については、上記で説明したインラインミキサー540の作用を除いて第4の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置400の作用と同様である。
【0061】
(第5の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、インラインミキサー540と絞りノズル550を用いることで、第2熱交換器530に供給する水の温度を効率的に上昇させることができる。
【0062】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る自然エネルギー活用冷暖房装置600の構成について、図9を参照しながら説明する。図9は、第6の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置600の構成を概略的に示す斜視図である。本実施形態では、ファン120の位置が第1の実施形態とは異なるものであり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0063】
本実施形態では、ファン120は、空気の最も上流側に配置されており、第1熱交換器110-1、110-2に空気を吹き付けるように構成されている。
【0064】
(第6の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、上流側からファン120によって第1熱交換器110-1、110-2に空気を吹き付けるため、空気の対流が起きて効果的に温度をコントロールできる。
【0065】
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る自然エネルギー活用冷暖房装置700の構成について、図10を参照しながら説明する。図10は、第7の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置700の構成を概略的に示す斜視図である。本実施形態では、ファン120の位置が第1の実施形態とは異なるものであり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0066】
本実施形態では、ファン120は、空気の最も下流側に配置されており、第1熱交換器110-1、110-2から空気を吸引するように構成されている。
【0067】
(第7の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、下流側からファン120によって空気を吸引するため、空気の拡散が抑えられ効率的に第1熱交換器110-1、110-2を通過するため、効果的に温度をコントロールできる。
【0068】
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態に係る自然エネルギー活用冷暖房装置800の構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、第8の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置800の構成を概略的に示す斜視図である。本実施形態では、第1熱交換器110-1、110-2、110-3の数とファン120の位置が第1の実施形態とは異なるものであり、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0069】
本実施形態では、図11に示したように、第1熱交換器110は、空気の上流側端部に3つ配置されており、ファン120は空気の下流側端部に配置され、3つの第1熱交換器110-1、110-2、110-3から空気を吸引するように構成されている。
【0070】
(第8の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、3つの第1熱交換器110-1、110-2、110-3を用いるため温度を効率よく低下させることができる。
【0071】
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態に係る自然エネルギー活用冷暖房装置900の構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、第9の実施形態の自然エネルギー活用冷暖房装置900の構成を概略的に示す斜視図である。本実施形態では、第2熱交換器230の数が第2の実施形態とは異なるものであり、その他の構成は第2の実施形態と同様である。
【0072】
本実施形態では、図12に示したように、1つの第1熱交換器110と3つの第2熱交換器230-1、230-2、230-3の間にファン120が配置されている。すなわち、空気の最も上流側に第1熱交換器110が1つ配置され、空気の下流側に3つの第2熱交換器230-1、230-2、230-3が配置される。ファン120によって、第1熱交換器110から空気が吸引され、3つの第2熱交換器230-1、230-2、230-3に空気を吹き付けるように構成されている。
【0073】
(第9の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第1熱交換器110及び第2熱交換器230の種類と数、ファン120の位置にバリエーションを持たせることができるため、使用環境に適した自然エネルギー活用冷暖房装置とすることができる。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば、上記第1の実施形態では、第1熱交換部112は、金属製としたが、本発明はこの例に限定されない。熱交換部は任意の非吸水素材製とすることができる。例えば、任意のセラミック製としてもよい。また例えば、樹脂や任意の素材を樹脂コーティングしたもので構成してもよく、セラミック多孔質、ビーズを積層して多孔質状に構成し、その間に風を通過させる構成としてもよい。さらに、水を流すことによって水の膜を作り、この水の膜を空気が通過するだけの構成としてもよい。他の実施形態も同様である。
【0076】
また、上記実施形態では、熱交換器を2つ又は3つ備える構成について説明したが、本発明ではこの例に限定されない。装置内に任意の数の熱交換器を備えることができる。
【0077】
また、上記実施形態では、ファンが1つの場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。装置内に2つ以上のファンを備えるようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、第1熱交換器と第2熱交換器という2種類の構成の熱交換器を用いて説明したが、本発明はこの例に限定されない。少なくとも1つの熱交換器は、地下水を利用して熱交換を行う熱交換部を有し、該熱交換部に空気を通過させることにより地下水が気化して空気の温度が変化する構成であれば、熱交換には任意の設計とすることができる。
【0079】
上記実施形態、応用例、変形例は、任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0080】
100、200、300、400、500、600、700、800、900 自然エネルギー活用冷暖房装置
110 第1熱交換器
112 第1熱交換部
112a 薄板
114 地下水供給部
120 ファン
230、330、430、530 第2熱交換器
232、332、432、532 非接触熱交換部
340 静止型混合器
350、450、550 絞りノズル
440 加圧蒸気生成器
540 インラインミキサー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2021-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流れを作るファンと、
空気の流れ方向に沿って配置される複数の熱交換器と、
を備え、
少なくとも1つの前記熱交換器は、地下水を利用して熱交換を行う熱交換部を有し、該熱交換部に空気を通過させることにより地下水が気化して空気の温度が変化し、
少なくとも1つの前記熱交換器は、内部に水が流通し空気と直接接触せず熱交換を行う非接触熱交換部を有し、
前記非接触熱交換部は、インラインミキサーで空気と100度以上に加熱、加圧した水との2流体を混和し、絞りノズルで減圧させて内部に吹き込むことにより水蒸気が凝縮し熱を生み温度を上昇させることを特徴とする、自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項2】
前記熱交換部は非吸水素材製であり、地下水は前記熱交換部の表面にかけ流しで滴下されることを特徴とする、請求項1に記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項3】
前記熱交換部は吸水素材製であり、地下水は前記熱交換部が保持できる水分量を超えて流れることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項4】
前記ファンは、空気の上流側端部に配置され、複数の前記熱交換器に空気を吹き付けることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。
【請求項5】
前記ファンは、空気の下流側端部に配置され、複数の前記熱交換器から空気を吸引することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の自然エネルギー活用冷暖房装置。