(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160942
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20221013BHJP
H02M 7/487 20070101ALI20221013BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/487
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065480
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】高木 健吾
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770BA03
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA32
5H770DA41
5H770PA21
5H770PA26
5H770QA01
5H770QA06
5H770QA12
5H770QA22
(57)【要約】
【課題】スイッチング素子を有する3つ以上の複数の半導体モジュールを共通の冷却面に配置する場合にも、複数の半導体モジュールを効率よく冷却することが可能な電力変換装置を提供する。
【解決手段】この電力変換装置100は、各々、スイッチング素子を有する半導体モジュール11、半導体モジュール12、および、半導体モジュール13を含む。半導体モジュール11および半導体モジュール13は、冷却面81aに互いに離間してα方向に並べて配置されている。そして、半導体モジュール12は、半導体モジュール11および半導体モジュール13に対して、α方向に交差するβ方向側に離間して、冷却面81aに配置されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を有する複数の半導体モジュールを含む電力変換部と、
前記複数の半導体モジュールの各々が配置される冷却面を有し、前記冷却面に配置された前記複数の半導体モジュールの各々を冷却する冷却体と、を備え、
前記複数の半導体モジュールは、各々、前記スイッチング素子を有する第1半導体モジュール、第2半導体モジュール、および、第3半導体モジュールを含み、
前記第1半導体モジュールおよび前記第3半導体モジュールは、前記冷却体の前記冷却面に互いに離間して第1方向に並べて配置され、
前記第2半導体モジュールは、前記第1半導体モジュールおよび前記第3半導体モジュールに対して、前記第1方向に交差する第2方向側に離間して、前記冷却体の前記冷却面に配置されている、電力変換装置。
【請求項2】
前記第1半導体モジュール、前記第2半導体モジュール、および、前記第3半導体モジュールの各々は、前記冷却体の前記冷却面と接する長方形の被冷却面を有する直方体形状を有し、
前記第1半導体モジュールおよび前記第3半導体モジュールは、前記被冷却面の短辺が前記第1方向に沿うように互いに離間して平行に並べて配置され、
前記第2半導体モジュールは、前記被冷却面の短辺が前記第1方向に直交する前記第2方向に沿うように配置されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
各々、前記電力変換部を含み、個別に電力を切り替えて出力するように構成されている第1電力変換群および第2電力変換群をさらに備え、
前記冷却体は、前記第1電力変換群に含まれる前記電力変換部の前記複数の半導体モジュールの各々が配置される前記冷却面である一方面と、前記第2電力変換群に含まれる前記電力変換部の前記複数の半導体モジュールの各々が配置される前記冷却面である他方面とを有する板状の冷却板部を含む、請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記冷却体は、前記冷却板部に対して熱交換可能に接続されており、前記第1電力変換群および前記第2電力変換群に対して共通して用いられる放熱部を含む、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第1半導体モジュールおよび前記第3半導体モジュールの各々は、1つの前記スイッチング素子を有し、
前記第2半導体モジュールは、2つの前記スイッチング素子を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1半導体モジュールと前記第2半導体モジュールとを電気的に接続する板状の第1接続導体と、
前記第2半導体モジュールと前記第3半導体モジュールとを電気的に接続する板状の第2接続導体と、をさらに備え、
前記第1接続導体および前記第2接続導体は、互いに絶縁された状態で積層されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記電力変換部は、上位電位と中間電位と下位電位との3つのレベルの電位の電力を出力するように構成されており、
入力の正極側と負極側との間において互いに直列に接続されている正極側コンデンサおよび負極側コンデンサを含み、入力された電力を平滑する平滑コンデンサモジュールと、
前記正極側に設けられた前記第1半導体モジュールの正側端子と、前記正極側コンデンサの正側に接続する前記平滑コンデンサモジュールの正側端子とを電気的に接続する正側導体と、
前記正極側コンデンサの負側および前記負極側コンデンサの正側に接続する前記平滑コンデンサモジュールの中間端子と、前記正極側に設けられた前記第1半導体モジュールの負側端子と、前記負極側に設けられた前記第3半導体モジュールの正側端子とを電気的に接続する中間導体と、
前記負極側に設けられた前記第3半導体モジュールの負側端子と、前記負極側コンデンサの負側に接続する前記平滑コンデンサモジュールの負側端子とを電気的に接続する負側導体と、をさらに備え、
前記正側導体と、前記中間導体と、前記負側導体とは、この順に互いに絶縁された状態で積層されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記平滑コンデンサモジュールは、直方体形状を有し、前記複数の半導体モジュールの各々が配置される前記冷却体の前記冷却面と対向するように配置され、
前記平滑コンデンサモジュールの前記正側端子、前記負側端子、および、前記中間端子は、直方体形状を有する前記平滑コンデンサモジュールにおいて、前記冷却面と対向する面に対して前記第1方向側に隣り合う共通の端子配置面に配置されており、
前記正側導体、前記中間導体、および、前記負側導体は、前記冷却面に沿う方向から前記端子配置面に沿う方向に折り曲げられたL字状の板状である、請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記平滑コンデンサモジュールの前記中間端子は、前記端子配置面において、前記冷却面と対向する面側の辺に沿って1列に4つ配置されており、
前記平滑コンデンサモジュールの前記正側端子は、隣り合って2つ配置されており、
前記平滑コンデンサモジュールの前記負側端子は、隣り合って2つ配置されており、
2つの前記正側端子および2つの前記負側端子の各々は、前記端子配置面において、1列に配置される4つの前記中間端子の各々と隣り合うように1列に配置されている、請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
各々、前記電力変換部を含み、三相の交流電力のうちの各々の相の交流電力をそれぞれ出力する第1相電力変換ユニット、第2相電力変換ユニット、および、第3相電力変換ユニットをさらに備え、
前記冷却体は、前記第1相電力変換ユニットに含まれる前記複数の半導体モジュールの各々を冷却する第1冷却体と、前記第2相電力変換ユニットに含まれる前記複数の半導体モジュールの各々を冷却する第2冷却体と、前記第3相電力変換ユニットに含まれる前記複数の半導体モジュールの各々を冷却する第3冷却体と、を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記電力変換部は、鉄道車両に搭載され、前記鉄道車両に補助電源を供給するための補助電源ラインに対して交流電力を出力するように構成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置に関し、特に、複数の半導体モジュールを含む電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の半導体モジュールを含む電力変換装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の電力変換装置は、複数の半導体モジュールを備える。複数の半導体モジュールでは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である半導体素子とダイオードとの並列接続回路からなる電流スイッチ回路が2つ直列に配置されている。そして、上記特許文献1に記載の電力変換装置では、複数の半導体モジュールのうちの4つの半導体モジュールが、冷却器に接するように上下に並べて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電力変換装置では、スイッチング動作により熱源となる半導体素子(スイッチング素子)を含む4つの半導体モジュールが上下に並べられて冷却器に配置されているため、半導体モジュール同士の距離が比較的近くなる。このため、スイッチング素子を有する3つ以上の半導体モジュールを共通の冷却面(冷却器)に配置する場合に、半導体モジュールの冷却効率が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、スイッチング素子を有する3つ以上の複数の半導体モジュールを共通の冷却面に配置する場合にも、複数の半導体モジュールを効率よく冷却することが可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による電力変換装置は、スイッチング素子を有する複数の半導体モジュールを含む電力変換部と、複数の半導体モジュールの各々が配置される冷却面を有し、冷却面に配置された複数の半導体モジュールの各々を冷却する冷却体と、を備え、複数の半導体モジュールは、各々、スイッチング素子を有する第1半導体モジュール、第2半導体モジュール、および、第3半導体モジュールを含み、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールは、冷却体の冷却面に互いに離間して第1方向に並べて配置され、第2半導体モジュールは、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールに対して、第1方向に交差する第2方向側に離間して、冷却体の冷却面に配置されている。
【0008】
この発明の一の局面による電力変換装置では、上記のように、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールは、冷却体の冷却面に互いに離間して第1方向に並べて配置されている。そして、第2半導体モジュールは、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールに対して、第1方向に交差する第2方向側に離間して、冷却体の冷却面に配置されている。これにより、共通の冷却面において、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールが第1方向に並べて配置され、第1方向と交差する第2方向側に第2半導体モジュールが離間して配置されているため、第1半導体モジュール、第2半導体モジュール、および、第3半導体モジュールが、同じ方向に並べられて共通の冷却面に配置されている場合に比べて、第1半導体モジュール、第2半導体モジュール、および、第3半導体モジュール同士の冷却面上での互いの距離を大きくすることができる。そのため、第1半導体モジュール、第2半導体モジュール、および、第3半導体モジュールの各々に含まれる熱源となる複数のスイッチング素子同士の距離を大きくすることができる。その結果、熱源同士の距離を大きくすることができるので、スイッチング素子を有する3つ以上の複数の半導体モジュールを共通の冷却面に配置する場合にも、複数の半導体モジュールを効率よく冷却することができる。
【0009】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、第1半導体モジュール、第2半導体モジュール、および、第3半導体モジュールの各々は、冷却体の冷却面と接する長方形の被冷却面を有する直方体形状を有し、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールは、被冷却面の短辺が第1方向に沿うように互いに離間して平行に並べて配置され、第2半導体モジュールは、被冷却面の短辺が第1方向に直交する第2方向に沿うように配置されている。このように構成すれば、第2半導体モジュールの長方形の被冷却面と、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールの長方形の被冷却面とを、互いに直交する向きに配置することができる。そのため、冷却面において、平行に配置されている第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールに対して斜めに交差する向きに第2半導体モジュールを配置する場合と異なり、第2半導体モジュールから第1半導体モジュールまでの距離と、第2半導体モジュールから第3半導体モジュールまでの距離とを等しくすることができるため、第1半導体モジュール側と第3半導体モジュール側との間において、冷却効率に偏りが生まれることを抑制することができる。その結果、複数の半導体モジュールの冷却を均等に行うことができるので、半導体モジュールを効率よく冷却することができる。
【0010】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、各々、電力変換部を含み、個別に電力を切り替えて出力するように構成されている第1電力変換群および第2電力変換群をさらに備え、冷却体は、第1電力変換群に含まれる電力変換部の複数の半導体モジュールの各々が配置される冷却面である一方面と、第2電力変換群に含まれる電力変換部の複数の半導体モジュールの各々が配置される冷却面である他方面とを有する板状の冷却板部を含む。このように構成すれば、個別に電力を切り替えて出力するように構成されている第1電力変換群および第2電力変換群を、共通の冷却板部の一方面および他方面に配置することによって冷却することができる。そのため、1つの冷却板部の同じ側の面に第1電力変換群および第2電力変換群を配置する場合に比べて、電力出力動作を切り替えながら共通の冷却板部を用いることによって、冷却板部の冷却面の面積を小さくすることができる。その結果、装置構成の小型化および部品点数の削減を図りながら、効率よく複数の半導体モジュールを冷却することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、冷却体は、冷却板部に対して熱交換可能に接続されており、第1電力変換群および第2電力変換群に対して共通して用いられる放熱部を含む。このように構成すれば、第1電力変換群および第2電力変換群に対して共通して用いられる冷却板部に対して、共通して用いられる放熱部を熱交換可能に接続することによって、複数の半導体モジュールを冷却することができる。そのため、冷却板部に加えて放熱部をも共通とすることによって、装置構成の小型化および部品点数の削減をより図りながら、効率よく複数の半導体モジュールを冷却することができる。
【0012】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールの各々は、1つのスイッチング素子を有し、第2半導体モジュールは、2つのスイッチング素子を有する。このように構成すれば、1つのスイッチング素子を有する第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールを第1方向に並べて配置するとともに、2つのスイッチング素子を有する第2半導体モジュールを、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールの並ぶ第1方向とは異なる第2方向側に離間して配置することができる。そのため、熱源の多い第2半導体モジュールのみを異なる方向である第2方向側に離間させて配置することによって、複数の熱源同士の距離が近づきすぎることを抑制するように複数の半導体モジュールを配置することができる。その結果、冷却体による各々の半導体モジュールの冷却効率に差が生じることを抑制することができるので、より効率よく複数の半導体モジュールを冷却することができる。
【0013】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、第1半導体モジュールと第2半導体モジュールとを電気的に接続する板状の第1接続導体と、第2半導体モジュールと第3半導体モジュールとを電気的に接続する板状の第2接続導体と、をさらに備え、第1接続導体および第2接続導体は、互いに絶縁された状態で積層されている。このように構成すれば、第1接続導体と第2接続導体とが互いに絶縁された状態で積層されているので、第1半導体モジュールから第2半導体モジュールに向かって流れる電流と、第2半導体モジュールから第3半導体モジュールに向かって流れる電流とを隣接させた状態で対向させて流すことができる。そのため、第1接続導体と第2接続導体とにおいて電流が互いに対向して流れることによって、第1接続導体と第2接続導体とにおいて発生する寄生インダクタンスを低下させることができる。その結果、第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールを第1方向に並べて配置するとともに、第2半導体モジュールを第1方向と交差する第2方向側に離間して配置した状態において、それぞれを接続する第1接続導体および第2接続導体を互いに積層することによって、複数の半導体モジュールを効率よく冷却することができるとともに、寄生インダクタンスによる電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0014】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、電力変換部は、上位電位と中間電位と下位電位との3つのレベルの電位の電力を出力するように構成されており、入力の正極側と負極側との間において互いに直列に接続されている正極側コンデンサおよび負極側コンデンサを含み、入力された電力を平滑する平滑コンデンサモジュールと、正極側に設けられた第1半導体モジュールの正側端子と、正極側コンデンサの正側に接続する平滑コンデンサモジュールの正側端子とを電気的に接続する正側導体と、正極側コンデンサの負側および負極側コンデンサの正側に接続する平滑コンデンサモジュールの中間端子と、正極側に設けられた第1半導体モジュールの負側端子と、負極側に設けられた第3半導体モジュールの正側端子とを電気的に接続する中間導体と、負極側に設けられた第3半導体モジュールの負側端子と、負極側コンデンサの負側に接続する平滑コンデンサモジュールの負側端子とを電気的に接続する負側導体と、をさらに備え、正側導体と、中間導体と、負側導体とは、この順に互いに絶縁された状態で積層されている。このように構成すれば、3つのレベルの電位の電力を出力する3レベルインバータにおいて、正側導体と中間導体とを隣り合うように積層するとともに、負側導体と中間導体とを隣り合うように積層することができる。そのため、正側導体に流れる電流と中間導体に流れる電流とを対向させることによって正側導体と中間導体とに発生する寄生インダクタンスを小さくすることができるとともに、負側導体に流れる電流と中間導体に流れる電流とを対向させることによって負側導体と中間導体とに発生する寄生インダクタンスを小さくすることができる。その結果、正側導体と中間導体と負側導体とにおいて発生する寄生インダクタンスを低下させることができるので、3レベルインバータにおいて、複数の半導体モジュールを効率よく冷却することができるとともに、寄生インダクタンスによる電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、平滑コンデンサモジュールは、直方体形状を有し、複数の半導体モジュールの各々が配置される冷却体の冷却面と対向するように配置され、平滑コンデンサモジュールの正側端子、負側端子、および、中間端子は、直方体形状を有する平滑コンデンサモジュールにおいて、冷却面と対向する面に対して第1方向側に隣り合う共通の端子配置面に配置されており、正側導体、中間導体、および、負側導体は、冷却面に沿う方向から端子配置面に沿う方向に折り曲げられたL字状の板状である。このように構成すれば、正側導体、中間導体、および、負側導体が、冷却面に沿う方向から端子配置面に沿う方向に折り曲げられたL字状の板状であるため、複数の半導体モジュールと平滑コンデンサモジュールとの距離を近づけて配置した場合にも、冷却面と対向する面に隣り合う端子配置面において、正側導体、中間導体、および、負側導体と、平滑コンデンサモジュールとを容易に接続させることができる。そのため、複数の半導体モジュールと平滑コンデンサモジュールとの距離を近づけて配置した場合にも、端子を接続する組み立て作業を容易に行うことができる。その結果、複数の半導体モジュールと平滑コンデンサモジュールとを近づけることによって装置構成を小型化することができるとともに、組み立て作業の作業性を向上させることができる。
【0016】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、平滑コンデンサモジュールの中間端子は、端子配置面において、冷却面と対向する面側の辺に沿って1列に4つ配置されており、平滑コンデンサモジュールの正側端子は、隣り合って2つ配置されており、平滑コンデンサモジュールの負側端子は、隣り合って2つ配置されており、2つの正側端子および2つの負側端子の各々は、端子配置面において、1列に配置される4つの中間端子の各々と隣り合うように1列に配置されている。このように構成すれば、正側端子および負側端子の各々が中間端子と隣合って配置されていない場合に比べて、正側導体および負側導体のそれぞれと、中間導体との重なり合う部分の距離をより大きくすることができる。そのため、正側導体および負側導体のそれぞれと、中間導体とにおいて、流れる電流が対向する部分の距離をより大きくすることができる。その結果、正側導体、中間導体、および、負側導体において発生するインダクタンスをより小さくすることができるので、電力変換効率の低下をより抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、各々、電力変換部を含み、三相の交流電力のうちの各々の相の交流電力をそれぞれ出力する第1相電力変換ユニット、第2相電力変換ユニット、および、第3相電力変換ユニットをさらに備え、冷却体は、第1相電力変換ユニットに含まれる複数の半導体モジュールの各々を冷却する第1冷却体と、第2相電力変換ユニットに含まれる複数の半導体モジュールの各々を冷却する第2冷却体と、第3相電力変換ユニットに含まれる複数の半導体モジュールの各々を冷却する第3冷却体と、を含む。このように構成すれば、第1相電力変換ユニット、第2相電力変換ユニット、および、第3相電力変換ユニットの各々に含まれる複数の半導体モジュールを、別個の冷却体によって冷却することができる。そのため、第1相電力変換ユニット、第2相電力変換ユニット、および、第3相電力変換ユニットの各々において、互いの距離を大きくするように複数の半導体モジュールを各々の冷却体に配置することができるので、スイッチング素子を有する複数の半導体モジュールを効率よく冷却することができる。そのため、三相の交流電力うちの各々の相の交流電力をそれぞれ別個に出力する場合にも、スイッチング素子を有する複数の半導体モジュールを効率よく冷却することができる。
【0018】
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、電力変換部は、鉄道車両に搭載され、鉄道車両に補助電源を供給するための補助電源ラインに対して交流電力を出力するように構成されている。このように構成すれば、鉄道車両に補助電源を供給するための補助電源ラインに対して交流電力を出力する場合にも、電力変換部におけるスイッチング素子を有する複数の半導体モジュールを効率よく冷却することができる。そのため、鉄道車両において、より安定した補助電源を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、スイッチング素子を有する3つ以上の複数の半導体モジュールを共通の冷却面に配置する場合にも、複数の半導体モジュールを効率よく冷却することが可能な電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態による電力変換装置が搭載される鉄道車両を示した模式図である。
【
図2】本実施形態による電力変換装置の構成を説明するための模式図である。
【
図3】本実施形態による電力変換装置の回路図である。
【
図4】第1相電力変換ユニットにおける第1電力変換群の回路図である。
【
図6】平滑コンデンサモジュールと、3つの半導体モジュールとの接続を説明するための模式図である。
【
図7】冷却体の構成を説明するための斜視図である。
【
図8】冷却体の冷却面における半導体モジュールの配置を説明するための図である。
【
図9】平滑コンデンサモジュールにおける端子の配置を示した図である。
【
図11】接続導体による半導体モジュールと平滑コンデンサモジュールとの接続を説明するための図である。
【
図12】第1電力変換群および第2電力変換群の配置について説明するための図である。
【
図13】本発明の変形例による平滑コンデンサモジュールの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~
図12を参照して、本実施形態による電力変換装置100の構成について説明する。なお、電力変換装置100は、鉄道車両101に搭載される。
【0023】
(鉄道車両の構成)
図1に示すように、鉄道車両101は、直流電源としての架線102から供給される電力により、レール上を走行するように構成されている。以下の説明では、鉄道車両101の進行方向をX方向、鉄道車両101の左右方向をY方向、鉄道車両101の上下方向(鉛直方向)をZ方向とする。
【0024】
鉄道車両101は、パンタグラフ101a、遮断器101b(
図3参照)、補助電源ライン101c、負荷101d、および、電力変換装置100を備えている。パンタグラフ101aは、架線102に供給されている電力を受電(集電)する。遮断器101bは、過電流が発生した場合に電路を解放する。遮断器101bは、たとえば、高速度遮断器を含む。補助電源ライン101cは、鉄道車両101に補助電源を供給するための電源ラインである。具体的には、補助電源ライン101cは、後述する電力変換装置100からの電力を負荷101dに供給するための電源ラインである。負荷101dは、鉄道車両101に搭載された空調機器や制御機器等を含む。負荷101dは、電力変換装置100から補助電源ライン101cを介して供給される交流電力によって動作する。
【0025】
電力変換装置100は、架線102からの直流電力を三相の交流電力に変換して、負荷101dに供給する補助電源装置である。また、電力変換装置100は、鉄道車両101の車体の底部の下側(Z2側)に取り付けられている。
【0026】
(電力変換装置の全体構成)
図2に示すように、本実施形態では、電力変換装置100は、3つの電力変換ユニットを備える。具体的には、電力変換装置100は、第1相電力変換ユニット100a、第2相電力変換ユニット100b、および、第3相電力変換ユニット100cを備える。第1相電力変換ユニット100a、第2相電力変換ユニット100b、および、第3相電力変換ユニット100cは、それぞれ三相の交流電力のうちの各々を出力するように構成されている。具体的には、第1相電力変換ユニット100aはU相の交流電力を出力するように構成されている。第2相電力変換ユニット100bはV相の交流電力を出力するように構成されている。そして、第3相電力変換ユニット100cはW相の交流電力を出力するように構成されている。
【0027】
図3に示すように、電力変換装置100は、1群側と2群側との2つの電力変換動作を切り替えて実行可能に構成された待機冗長系の電力変換装置である。第1相電力変換ユニット100aは、第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aを含む。また、第2相電力変換ユニット100bは、第1電力変換群1bおよび第2電力変換群2bを含む。また、第3相電力変換ユニット100cは、第1電力変換群1cおよび第2電力変換群2cを含む。
【0028】
本実施形態では、第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aは、それぞれ、電力変換動作を行う電力変換部10および20を含む。そして、第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aは、個別に電力を切り替えて出力するように構成されている。具体的には、U相の交流電力を出力する第1相電力変換ユニット100aは、U相を出力する第1電力変換群1aと、U相を出力する第2電力変換群2aとを含む。同様に、V相を出力する第2相電力変換ユニット100bは、V相を出力する第1電力変換群1bと、V相を出力する第2電力変換群2bとを含む。また、W相を出力する第3相電力変換ユニット100cも同様に、W相を出力する第1電力変換群1cと、W相を出力する第2電力変換群2cとを含む。そして、第1電力変換群1a、1b、および、1cは、1群側を構成し、第2電力変換群2a、2b、および、2cは、2群側を構成する。
【0029】
第1相電力変換ユニット100aは、通常時において、2群側の第2電力変換群2aを動作させずに1群側の第1電力変換群1aを動作させ、入力された直流電力を変換してU相の交流電力を出力する。そして、電力変換装置100は、1群側の第1電力変換群1aにおいて故障などの不具合が発生した場合には、第1電力変換群1aからの出力を第2電力変換群2aからの出力に切り替えるように構成されている。第2相電力変換ユニット100bおよび第3相電力変換ユニット100cも、同様に1群側に不具合が発生した場合に2群側に切り替えて電力変換動作を行うように構成されている。
【0030】
また、電力変換装置100は、スイッチ3a、3b、3c、および、3dを備える。スイッチ3a~3dは、1群側からの出力と2群側からの出力を切り替えるために開閉するように構成されている。電力変換装置100は、図示しない制御部からの制御信号に基づいて、1群側(第1電力変換群1a、1b、および、1c)を動作させる場合に、スイッチ3aおよび3cを導通させる。そして、電力変換装置100は、制御部からの制御信号に基づいて、2群側(第2電力変換群2a、2b、および、2c)を動作させる場合には、スイッチ3bおよび3dを導通させる。スイッチ3a~3dは、たとえば、電磁接触器を含む。
【0031】
(電力変換ユニット)
次に、
図2~
図12を参照して、第1相電力変換ユニット100aの構成について説明する。なお、第2相電力変換ユニット100bおよび第3相電力変換ユニット100cは、第1相電力変換ユニット100aと構成が同様であるため、説明を省略する。
【0032】
図2~
図4に示すように、第1相電力変換ユニット100aの1群側の第1電力変換群1aは、電力変換部10、平滑コンデンサモジュール30、および、接続導体50を備える。そして、第1相電力変換ユニット100aの2群側の第2電力変換群2aは、電力変換部20、平滑コンデンサモジュール40、および、接続導体60を備える。
【0033】
図3および
図4に示すように、本実施形態では、電力変換部10は、上位電位と中位電位と下位電位との3つのレベルの電位の電力を出力するように構成されている。具体的には、電力変換部10は、パンタグラフ101aからの直流電圧の入力である正極側と、接地されている負極側との入力に基づいて、電力変換動作を行い3つのレベルの電位を出力する3レベルインバータ回路を有する。本実施形態では、鉄道車両101に搭載される電力変換部10および20は、補助電源ライン101cに対して交流電力を出力するように構成されている。
【0034】
〈半導体モジュール〉
図5に示すように、第1電力変換群1aの電力変換部10は、3つの半導体モジュール(半導体モジュール11、半導体モジュール12、および半導体モジュール13)を含む。半導体モジュール11は、1つのスイッチング素子Q1を有する。半導体モジュール12は、2つのスイッチング素子Q2およびQ3を有する。そして、半導体モジュール13は、1つのスイッチング素子Q4を有する。スイッチング素子Q1~Q4は、たとえば、IGBTである。なお、3つの半導体モジュール11、12、および、13は、特許請求の範囲における「複数の半導体モジュール」の一例である。また、半導体モジュール11、12、および、13は、それぞれ、特許請求の範囲における「第1半導体モジュール」、「第2半導体モジュール」、および、「第3半導体モジュール」の一例である。
【0035】
本実施形態では、半導体モジュール11は、正極側に設けられている。そして、半導体モジュール11は、スイッチング素子Q1およびダイオードD1が並列に接続された正側に配置されるスイッチング回路と、負側に配置されるダイオードD2とを有する。半導体モジュール11では、正側に配置されるスイッチング回路と負側に配置されるダイオードD2とが直列に接続されている。そして、半導体モジュール11は、端子P1、端子C1、端子N1、および、端子G1を有する。端子P1は、半導体モジュール11の正側に接続される。端子N1は、半導体モジュール11の負側に接続される。端子C1は、半導体モジュール11の正側に配置されるスイッチング回路と負側に配置されるダイオードD2との間に接続される。そして、端子G1は、後述するゲート基板70からのゲート信号が入力されるスイッチング素子Q1のゲート端子に接続される。なお、端子P1および端子N1は、それぞれ、特許請求の範囲における「第1半導体モジュールの正側端子」および「第1半導体モジュールの負側端子」の一例である。
【0036】
また、本実施形態では、半導体モジュール12は、スイッチング素子Q2およびダイオードD3が並列に接続された正側に配置されるスイッチング回路と、スイッチング素子Q3およびダイオードD4が並列に接続された負側に配置されるスイッチング回路との2つのスイッチング回路を有する。半導体モジュール12では、2つのスイッチング回路が直列に接続されている。そして、半導体モジュール12は、端子P2、端子C2、端子N2、端子G2、および、端子G3を有する。端子P2は、半導体モジュール12の正側に接続される。端子N2は、半導体モジュール12の負側に接続される。端子C2は、半導体モジュール12の正側に配置されるスイッチング回路と負側に配置されるスイッチング回路との間に接続される。そして、端子G2は、後述するゲート基板70からのゲート信号が入力されるスイッチング素子Q2のゲート端子に接続される。同様に、端子G3は、後述するゲート基板70からのゲート信号が入力されるスイッチング素子Q3のゲート端子に接続される。
【0037】
また、本実施形態では、半導体モジュール13は、負極側に設けられている。そして、半導体モジュール13は、正側に配置されるダイオードD5と、スイッチング素子Q4およびダイオードD6が並列に接続された負側に配置されるスイッチング回路とを有する。半導体モジュール13では、正側に配置されるダイオードD5と負側に配置されるスイッチング回路とが直列に接続されている。そして、半導体モジュール13は、端子P3、端子C3、端子N3、および、端子G4を有する。端子P3は、半導体モジュール13の正側に接続される。端子N3は、半導体モジュール13の負側に接続される。端子C3は、半導体モジュール13の正側に配置されるダイオードD5と、負側に配置されるスイッチング回路との間に接続される。そして、端子G4は、後述するゲート基板70からのゲート信号が入力されるスイッチング素子Q4のゲート端子に接続される。なお、端子P3および端子N3は、それぞれ、特許請求の範囲における「第3半導体モジュールの正側端子」および「第3半導体モジュールの負側端子」の一例である。
【0038】
図2および
図4に示すように、第1相電力変換ユニット100aは、ゲート基板70を含む。ゲート基板70は、図示しない制御部からの制御信号に基づいて、スイッチング素子Q1~Q4のスイッチング動作を制御するためのゲート信号を出力する。ゲート信号は、たとえば、PWM(pulse width modulation)信号である。なお、ゲート基板70は、2群側の第2電力変換群2aの電力変換部20に対しても、同様にゲート信号を出力する。なお、ゲート基板70は、第1相電力変換ユニット100aのY1方向側において、XZ平面に沿うように配置されている。
【0039】
〈平滑コンデンサモジュール〉
図4に示すように、第1電力変換群1aの平滑コンデンサモジュール30は、コンデンサ31およびコンデンサ32を有する。本実施形態では、平滑コンデンサモジュール30は、入力された電力を平滑する。コンデンサ31およびコンデンサ32は、第1電力変換群1aにおいて入力の正極側と負極側との間において互いに直列に接続されるように構成されている。具体的には、平滑コンデンサモジュール30は、正極側にコンデンサ31、負極側にコンデンサ32が接続されるように構成されている。コンデンサ31および32は、たとえば、フィルムコンデンサである。なお、コンデンサ31は、特許請求の範囲における「正極側コンデンサ」の一例である。また、コンデンサ32は、特許請求の範囲における「負極側コンデンサ」の一例である。
【0040】
また、平滑コンデンサモジュール30は、端子P4、端子C4、および、端子N4を有する。端子P4は、平滑コンデンサモジュール30の正極側に接続される。すなわち、端子P4は、コンデンサ31の正極側に接続される。端子N4は、平滑コンデンサモジュール30の負極側に接続される。すなわち、端子N4は、コンデンサ32の負極側に接続される。そして、端子C4は、平滑コンデンサモジュール30の中間端子である。すなわち、端子C4は、コンデンサ31とコンデンサ32との間に接続される。具体的には、端子C4は、コンデンサ31の負極側とコンデンサ32の正極側とに接続される。
【0041】
〈半導体モジュールとコンデンサとの電気的な接続〉
図4および
図6に示すように、接続導体50は、電力変換部10(半導体モジュール11~13)と、平滑コンデンサモジュール30とを電気的に接続する。具体的には、接続導体50は、導体51、導体52、導体53、導体54、および、導体55を含む。なお、導体51は、特許請求の範囲における「第1接続導体」の一例である。また、導体52は、特許請求の範囲における「第2接続導体」の一例である。また、導体53は、特許請求の範囲における「正側導体」の一例である。また、導体54は、特許請求の範囲における「中間導体」の一例である。また、導体55は、特許請求の範囲における「負側導体」の一例である。
【0042】
本実施形態では、導体51は、半導体モジュール11と半導体モジュール12とを電気的に接続する。具体的には、導体51は、半導体モジュール11の端子C1と半導体モジュール12の端子P2とを接続する。また、導体52は、半導体モジュール12と半導体モジュール13とを電気的に接続する。具体的には、導体52は、半導体モジュール12の端子N2と半導体モジュール13の端子C3とを接続する。
【0043】
また、本実施形態では、導体53は、正極側に設けられた半導体モジュール11の端子P1と平滑コンデンサモジュール30の端子P4とを電気的に接続する。また、導体53は、入力の正極側と電気的に接続される。そして、導体54は、平滑コンデンサモジュール30の端子C4と、正極側に設けられた半導体モジュール11の端子N1と、負極側に設けられた半導体モジュール13の端子P3とを電気的に接続する。そして、導体55は、負極側に設けられた半導体モジュール13の端子N3と、平滑コンデンサモジュール30の端子N4とを電気的に接続する。
【0044】
上記のようにして、第1電力変換群1aは、電力変換部10、平滑コンデンサモジュール30、および、接続導体50によって3レベルインバータ回路を構成している。なお、2群側の第2電力変換群2aは、1群側の第1電力変換群1aの構成と電気的に同様の構成によって、3レベルインバータ回路を構成している。すなわち、2群側の電力変換部20、平滑コンデンサモジュール40、および、接続導体60は、それぞれ、電力変換部10、平滑コンデンサモジュール30、および、接続導体50と電気的に同様の構成である。
【0045】
〈冷却体〉
また、
図2に示すように、本実施形態では、電力変換装置100は、冷却体80を備える。冷却体80は、複数の半導体モジュール(U相の半導体モジュール11~13、および、V相およびW相の複数の半導体モジュール)の各々を冷却する。また、冷却体80は、冷却体80a、冷却体80b、および、冷却体80cを含む。冷却体80aは、第1相電力変換ユニット100aに含まれる複数の半導体モジュール(半導体モジュール11~13)の各々を冷却する。冷却体80bは、第2相電力変換ユニット100bに含まれる複数の半導体モジュールの各々を冷却する。そして、冷却体80cは、第3相電力変換ユニット100cに含まれる複数の半導体モジュールの各々を冷却する。なお、冷却体80aは、特許請求の範囲における「第1冷却体」の一例である。また、冷却体80bは、特許請求の範囲における「第2冷却体」の一例である。冷却体80cは、特許請求の範囲における「第3冷却体」の一例である。
【0046】
図7に示すように、本実施形態では、冷却体80aは、冷却板部81、放熱部82、および、冷媒配管83を有する。本実施形態では、冷却体80aの冷却板部81は、冷却面81aと冷却面81bとを有する板状の部材である。冷却面81aおよび81bは、複数の半導体モジュールの各々が配置される。冷却体80aは、冷却面81aおよび81bに配置された複数の半導体モジュールの各々を冷却する。具体的には、冷却面81aには、第1電力変換群1a(1群側)に含まれる電力変換部10の複数の半導体モジュール11~13が配置される。そして、冷却面81bには、第2電力変換群2a(2群側)に含まれる電力変換部20の複数の半導体モジュールが配置される。すなわち、冷却体80aの冷却板部81は、1群側の第1電力変換群1aと、2群側の第2電力変換群2aとに対して共通して用いられる。なお、冷却面81aは、特許請求の範囲における「一方面」および「冷却面」の一例である。また、冷却面81bは、特許請求の範囲における「他方面」および「冷却面」の一例である。
【0047】
また、放熱部82は、冷却板部81と同様に、第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aに対して共通して用いられる。放熱部82は、冷却板部81に対して熱交換可能に構成されている。放熱部82は、複数の板状のフィンを有する。放熱部82は、複数の板状のフィンを介して、自然対流によって周囲の空気と熱交換を行うことによって、第1電力変換群1aの電力変換部10および第2電力変換群2aの電力変換部20を冷却するように構成されている。
【0048】
冷媒配管83は、内部に冷媒である冷却水が流通する冷媒流路を有する。冷媒配管83内の冷却水は、冷却板部81側で加熱されて気化する。そして、加熱された冷却水は、放熱部82側で冷却されて液体に戻る。これにより、冷却板部81と放熱部82との間で熱交換が行われる。なお、液体に戻った冷却水が冷却板部81側に重力によって流れ込むように、冷却板部81側が放熱部82側より低くなるように冷却体80aは、水平面(XY平面)から7度傾けて(
図7および
図8参照)配置されている。
【0049】
なお、冷却体80bおよび冷却体80cは、それぞれ、冷却体80aと同様に、第2相電力変換ユニット100bおよび第3相電力変換ユニット100cの1群側および2群側を共通して冷却するように構成されている。
【0050】
〈電力変換ユニットの各部の配置〉
図7および
図8に示すように、電力変換部10の半導体モジュール11~13は、冷却体80aの冷却面81aに配置されている。本実施形態では、半導体モジュール11および半導体モジュール13は、冷却体80aの冷却面81aに互いに離間してα方向(
図8参照)に並べて配置されている。そして、半導体モジュール12は、半導体モジュール11および半導体モジュール13に対して、α方向に交差するβ方向(
図8参照)側に離間して、冷却体80aの冷却面81aに配置されている。なお、α方向は、特許請求の範囲における「第1方向」の一例である。また、β方向は、特許請求の範囲における「第2方向」の一例である。
【0051】
具体的には、本実施形態では、半導体モジュール11、半導体モジュール12、および、半導体モジュール13の各々は、直方体形状を有している。そして、半導体モジュール11、半導体モジュール12、および、半導体モジュール13の各々は、冷却体80aの冷却面81aと接する長方形の被冷却面11a、12a、および13a(
図7参照)を有する。半導体モジュール11~13は、図示しないねじなどの締結部材によって冷却面81aに固定されている。また、半導体モジュール11および半導体モジュール13は、被冷却面11aおよび13aの短辺11bおよび13b(
図8参照)がα方向に沿うように互いに離間して平行に並べて配置されている。そして、半導体モジュール12は、被冷却面12aの短辺12b(
図8参照)がα方向に直交するβ方向に沿うように配置されている。詳細には、半導体モジュール11は、α方向の冷却体80aの放熱部82側(Y2方向側)に配置されている。半導体モジュール13は、α方向のゲート基板70側(Y1方向側)に配置されている。そして、半導体モジュール12は、鉛直上方向側(Z1方向側)に配置されている。また、半導体モジュール11の短辺11bと、半導体モジュール13の短辺13bとは、α方向に沿って一直線上に並ぶように配置される。また、半導体モジュール12の2つの短辺12bは、それぞれ、半導体モジュール11の長辺11c(
図8参照)と、半導体モジュール13の長辺13c(
図8参照)とβ方向に沿って一直線上に並ぶように配置されている。これにより、半導体モジュール11~13は、半導体モジュール11および13の長辺11cおよび13c側においてねじなどの締結部材が挿入される孔部と、半導体モジュール12の短辺12b側においてねじなどの締結部材が挿入される孔部とが一直線上に並べて配置されることによって、組み立て作業を容易に行うことが可能に構成されている。
【0052】
なお、冷却板部81(冷却体80a)が、水平面から7度傾いて配置されているため、半導体モジュール11および半導体モジュール13が並べて配置されるα方向は、Y方向から7度傾いた方向となる。同様にβ方向は、Z方向(鉛直方向)から7度傾いた方向となる。
【0053】
また、
図8に示すように、半導体モジュール11において、端子N1、端子P1、端子N1、端子P1、および、端子C1が、この順にβ方向に沿ってZ1方向側(半導体モジュール12側)からZ2方向側に向かって1列に並んで配置されている。同様に、半導体モジュール13において、端子N3、端子P3、端子N3、端子P3、および、端子C3が、この順にβ方向に沿ってZ1方向側(半導体モジュール12側)からZ2方向側に向かって1列に並んで配置されている。そして、半導体モジュール12において、端子N2、端子P2、端子N2、端子P2、および、端子C2が、この順にα方向に沿ってY1方向側からY2方向側(冷却体80aの放熱部82側)に向かって1列に並んで配置されている。また、半導体モジュール11の端子G1および半導体モジュール13の端子G4は、Z2方向側(半導体モジュール12とは反対方向側)に配置されている。そして、半導体モジュール12の端子G2および端子G3は、Y2方向側(冷却体80aの放熱部82側)に配置されている。
【0054】
また、
図9に示すように、本実施形態では、平滑コンデンサモジュール30は、直方体形状を有している。そして、平滑コンデンサモジュール30は、複数の半導体モジュール11~13の各々が配置される冷却体80aの冷却面81aと対向するように配置される。具体的には、平滑コンデンサモジュール30は、
図9の面30aが冷却面81aと対向するように配置される。面30aは、長方形の形状を有しており、各辺がα方向とβ方向とに沿うように配置される。なお、面30aは、特許請求の範囲における「冷却面と対向する面」の一例である。
【0055】
また、平滑コンデンサモジュール30は、面30aと隣り合う面30bを有する。本実施形態では、面30bは、直方体形状を有する平滑コンデンサモジュール30において、面30aに対してα方向に隣り合う面である。具体的には、面30bは、面30aに対して、α方向において冷却体80aの放熱部82が配置される側の反対側(Y1方向側)に配置される。なお、面30bは、特許請求の範囲における「端子配置面」の一例である。
【0056】
そして、本実施形態では、平滑コンデンサモジュール30の端子P4、端子C4、および、端子N4は、共通の面30bに配置される。具体的には、端子C4は、面30bにおいて、面30a側の辺に沿って(β方向に沿って)1列に4つ配置されている。また、平滑コンデンサモジュール30の端子P4は、隣合って2つ配置されている。そして、平滑コンデンサモジュール30の端子N4は、同様に、隣り合って2つ配置されている。2つの端子P4および2つの端子N4の各々は、面30bにおいて、1列に配置される4つの端子C4の各々と隣り合うように1列に配置されている。
【0057】
詳細には、面30bのX2方向側の辺に沿って、4つの端子C4が1列に配置されている。そして、面30bのX1方向側の辺に沿って、2つの端子P4および2つの端子N4が、この順に1列に配置されている。なお、4つの端子C4は、電気的に同電位(
図4参照)であるが、平滑コンデンサモジュール30の内部では、コンデンサ31側の端子C4(Z1方向側に配置されている2つの端子C4)と、コンデンサ32側の端子C4(Z2方向側に配置されている2つの端子C4)とは、電気的に接続されていない(絶縁された)状態である。そのため、1群側の平滑コンデンサモジュール30と2群側の平滑コンデンサモジュール40とを、配置する向きを変更することなく共通のモジュールを用いて構成することができる。
【0058】
図10および11に示すように、本実施形態では、導体51および導体52は、板状である。そして、導体51および導体52は、互いに絶縁された状態で積層されている。具体的には、導体51および導体52は、平滑コンデンサモジュール30の面30aと冷却体80aの冷却板部81における冷却面81aとの間において積層されている。また、導体53、導体54、導体55は、平滑コンデンサモジュール30の面30aに沿う方向から面30bに沿う方向に折り曲げられたL字状の板状である。すなわち、導体53~55は、YZ平面に沿う方向からX方向に沿って折り曲げられた板状である。また、導体53、導体54、および、導体55は、この順に互いに絶縁された状態で積層されている。
【0059】
また、
図11に示すように、導体51および52と、導体53、54、および、55とは、同様に、互いに絶縁された状態で積層されている。導体51~55は、たとえば、アルミなどの金属導体に絶縁フィルムシートを積層したラミネートブスバーである。導体51は、
図11の点線L1の領域において、半導体モジュール11の端子C1と接続し、
図11の点線L2の領域において、半導体モジュール12の端子P2と接続する。導体52は、
図11の点線L3の領域において、半導体モジュール13の端子C3と接続し、
図11の点線L2の領域において、半導体モジュール12の端子N2と接続する。また、導体53は、
図11の点線L1の領域において、半導体モジュール11の端子P1と接続し、
図11の点線L4の領域において、平滑コンデンサモジュール30の端子P4と接続する。また、導体54は、
図11の点線L1の領域において、半導体モジュール11の端子N1と接続し、
図11の点線L3の領域において、半導体モジュール13の端子P3と接続し、
図11の点線L4の領域において、平滑コンデンサモジュール30の端子C4と接続する。また、導体55は、
図11の点線L3の領域において、半導体モジュール13の端子N3と接続し、
図11の点線L4の領域において、平滑コンデンサモジュール30の端子N4と接続する。
【0060】
図12に示すように、2群側の電力変換部20、平滑コンデンサモジュール40、および接続導体60は、それぞれ、1群側の電力変換部10、平滑コンデンサモジュール30、および、接続導体50と、左右対称となるように配置されている。また、第1相電力変換ユニット100aに対する入力および出力は、図示しない接続導体(ブスバー)によって接続されている。また、半導体モジュール11~13のゲート端子(端子G1~G4)とゲート基板70とは、図示しない導線によって接続されている。
【0061】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0062】
本実施形態では、半導体モジュール11(第1半導体モジュール)および半導体モジュール13(第3半導体モジュール)は、冷却体80aの冷却面81aに互いに離間してα方向(第1方向)に並べて配置されている。そして、半導体モジュール12(第2半導体モジュール)は、半導体モジュール11および半導体モジュール13に対して、α方向に交差するβ方向(第2方向)側に離間して、冷却体80aの冷却面81aに配置されている。これにより、共通の冷却面81aにおいて、半導体モジュール11および半導体モジュール13がα方向に並べて配置され、α方向と交差するβ方向側に半導体モジュール12が離間して配置されているため、半導体モジュール11、半導体モジュール12、および、半導体モジュール13が、同じ方向に並べられて共通の冷却面81aに配置されている場合に比べて、半導体モジュール11、半導体モジュール12、および、半導体モジュール13同士の冷却面81a上での互いの距離を大きくすることができる。そのため、半導体モジュール11、半導体モジュール12、および、半導体モジュール13の各々に含まれる熱源となる複数のスイッチング素子Q1~Q4同士の距離を大きくすることができる。その結果、熱源同士の距離を大きくすることができるので、3つ以上の複数の半導体モジュール(半導体モジュール11~13)を共通の冷却面81aに配置する場合にも、スイッチング素子Q1~Q4を有する3つ以上の複数の半導体モジュール(半導体モジュール11~13)を共通の冷却面81aに配置する場合にも、複数の半導体モジュール(半導体モジュール11~13)を効率よく冷却することができる。
【0063】
また、本実施形態では、半導体モジュール11(第1半導体モジュール)、半導体モジュール12(第2半導体モジュール)、および、半導体モジュール13(第3半導体モジュール)の各々は、冷却体80aの冷却面81aと接する長方形の被冷却面11a~13aを有する直方体形状を有し、半導体モジュール11および半導体モジュール13は、被冷却面11aおよび13aの短辺11bおよび13bがα方向(第1方向)に沿うように互いに離間して平行に並べて配置され、半導体モジュール12は、被冷却面12aの短辺12bがα方向に直交するβ方向(第2方向)に沿うように配置されている。これにより、半導体モジュール12の長方形の被冷却面12aと、半導体モジュール11および半導体モジュール13の長方形の被冷却面11aおよび13aとを、互いに直交する向きに配置することができる。そのため、冷却面81aにおいて、平行に配置されている半導体モジュール11および半導体モジュール13に対して斜めに交差する向きに半導体モジュール12を配置する場合と異なり、半導体モジュール12から半導体モジュール11までの距離と、半導体モジュール12から半導体モジュール13までの距離とを等しくすることができる。そのため、半導体モジュール11側と半導体モジュール13側との間において、冷却効率に偏りが生まれることを抑制することができる。その結果、複数の半導体モジュール11~13の冷却を均等に行うことができるので、半導体モジュール11~13を効率よく冷却することができる。
【0064】
また、本実施形態では、各々、電力変換部10および20を含み、個別に電力を切り替えて出力するように構成されている第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aをさらに備え、冷却体80aは、第1電力変換群1aに含まれる電力変換部10の複数の半導体モジュール11~13の各々が配置される冷却面81a(一方面)と、第2電力変換群2aに含まれる電力変換部20の複数の半導体モジュールの各々が配置される冷却面81b(他方面)とを有する板状の冷却板部81を含む。これにより、個別に電力を切り替えて出力するように構成されている第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aを、共通の冷却板部81の冷却面81aおよび冷却面81bに配置することによって冷却することができる。そのため、1つの冷却板部81の同じ側の面に第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aを配置する場合に比べて、電力出力動作を切り替えながら共通の冷却板部81を用いることによって、冷却板部81の冷却面81a(冷却面81b)の面積を小さくすることができる。その結果、装置構成の小型化および部品点数の削減を図りながら、効率よく複数の半導体モジュールを冷却することができる。
【0065】
また、本実施形態では、冷却体80aは、冷却板部81に対して熱交換可能に接続されており、第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aに対して共通して用いられる放熱部82を含む。これにより、第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aに対して共通して用いられる冷却板部81に対して、共通して用いられる放熱部82を熱交換可能に接続することによって、複数の半導体モジュールを冷却することができる。そのため、冷却板部81に加えて放熱部82をも共通とすることによって、装置構成の小型化および部品点数の削減をより図りながら、効率よく複数の半導体モジュールを冷却することができる。
【0066】
また、本実施形態では、半導体モジュール11(第1半導体モジュール)および半導体モジュール13(第3半導体モジュール)の各々は、1つのスイッチング素子Q1(Q4)を有し、半導体モジュール12(第2半導体モジュール)は、2つのスイッチング素子Q2およびQ3を有する。これにより、1つのスイッチング素子Q1(Q4)を有する半導体モジュール11および半導体モジュール13をα方向(第1方向)に並べて配置するとともに、2つのスイッチング素子Q2およびQ3を有する半導体モジュール12を、半導体モジュール11および半導体モジュール13の並ぶα方向とは異なるβ方向(第2方向)側に離間して配置することができる。そのため、熱源の多い半導体モジュール12のみを異なる方向であるβ方向側に離間させて配置することによって、複数の熱源同士の距離が近づきすぎることを抑制するように複数の半導体モジュール(半導体モジュール11~13)を配置することができる。その結果、冷却体80aによる各々の半導体モジュール11~13の冷却効率に差が生じることを抑制することができるので、より効率よく複数の半導体モジュール11~13を冷却することができる。
【0067】
また、本実施形態では、半導体モジュール11(第1半導体モジュール)と半導体モジュール12(第2半導体モジュール)とを電気的に接続する板状の導体51(第1接続導体)と、半導体モジュール12と半導体モジュール13(第3半導体モジュール)とを電気的に接続する板状の導体52(第2接続導体)と、をさらに備え、導体51および導体52は、互いに絶縁された状態で積層されている。これにより、導体51と導体52とが互いに絶縁された状態で積層されているので、半導体モジュール11から半導体モジュール12に向かって流れる電流と、半導体モジュール12から半導体モジュール13に向かって流れる電流とを隣接させた状態で対向させて流すことができる。そのため、導体51と導体52とにおいて電流が互いに対向して流れることによって、導体51と導体52とにおいて発生する寄生インダクタンスを低下させることができる。その結果、半導体モジュール11および半導体モジュール13をα方向(第1方向)に並べて配置するとともに、半導体モジュール12をα方向と交差するβ方向(第2方向)側に離間して配置した状態において、それぞれを接続する導体51および導体52を互いに積層することによって、複数の半導体モジュール11~13を効率よく冷却することができるとともに、寄生インダクタンスによる電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、電力変換部10および20は、上位電位と中間電位と下位電位との3つのレベルの電位の電力を出力するように構成されており、入力の正極側と負極側との間において互いに直列に接続されているコンデンサ31(正極側コンデンサ)およびコンデンサ32(負極側コンデンサ)を含み、入力された電力を平滑する平滑コンデンサモジュール30と、正極側に設けられた半導体モジュール11(第1半導体モジュール)の端子P1(正側端子)と、コンデンサ31の正側に接続する平滑コンデンサモジュール30の端子P4(正側端子)とを電気的に接続する導体53(正側導体)と、コンデンサ31の負側およびコンデンサ32の正側に接続する平滑コンデンサモジュール30の端子C4(中間端子)と、正極側に設けられた半導体モジュール11の端子N1(負側端子)と、負極側に設けられた半導体モジュール13(第3半導体モジュール)の端子P3(正側端子)とを電気的に接続する導体54(中間導体)と、負極側に設けられた半導体モジュール13の端子N3(負側端子)と、コンデンサ32の負側に接続する平滑コンデンサモジュール30の端子N4(負側端子)とを電気的に接続する導体55(負側導体)と、をさらに備え、導体53と、導体54と、導体55とは、この順に互いに絶縁された状態で積層されている。これにより、3つのレベルの電位の電力を出力する3レベルインバータにおいて、導体53と導体54とを隣り合うように積層するとともに、導体55と導体54とを隣り合うように積層することができる。そのため、導体53に流れる電流と導体54に流れる電流とを対向させることによって導体53と導体54とに発生する寄生インダクタンスを小さくすることができるとともに、導体55に流れる電流と導体54に流れる電流とを対向させることによって導体55と導体54とに発生する寄生インダクタンスを小さくすることができる。その結果、導体53と導体54と導体55とにおいて発生する寄生インダクタンスを低下させることができるので、3レベルインバータにおいて、複数の半導体モジュール11~13を効率よく冷却することができるとともに、寄生インダクタンスによる電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、平滑コンデンサモジュール30は、直方体形状を有し、複数の半導体モジュール11~13の各々が配置される冷却体80aの冷却面81aと対向するように配置され、平滑コンデンサモジュール30の端子P4(正側端子)、端子N4(負側端子)、および、端子C4(中間端子)は、直方体形状を有する平滑コンデンサモジュール30において、面30a(冷却面81aと対向する面)に対してα方向(第1方向)側に隣り合う共通の面30b(端子配置面)に配置されており、導体53(正側導体)、導体54(中間導体)、および、導体55(負側導体)は、冷却面81aに沿う方向から面30bに沿う方向に折り曲げられたL字状の板状である。これにより、導体53、導体54、および、導体55が、冷却面81aに沿う方向から面30bに沿う方向に折り曲げられたL字状の板状であるため、複数の半導体モジュール11~13と平滑コンデンサモジュール30との距離を近づけて配置した場合にも、冷却面81aと対向する面30aに隣り合う面30bにおいて、導体53、導体54、および、導体55と、平滑コンデンサモジュール30とを容易に接続させることができる。そのため、複数の半導体モジュール11~13と平滑コンデンサモジュール30との距離を近づけて配置した場合にも、端子を接続する組み立て作業を容易に行うことができる。その結果、複数の半導体モジュール11~13と平滑コンデンサモジュール30とを近づけることによって装置構成を小型化することができるとともに、組み立て作業の作業性を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、平滑コンデンサモジュール30の端子C4(中間端子)は、面30b(端子配置面)において、面30a(冷却面81aと対向する面)側の辺に沿って1列に4つ配置されており、平滑コンデンサモジュール30の端子P4(正側端子)は、隣り合って2つ配置されており、平滑コンデンサモジュール30の端子N4(負側端子)は、隣り合って2つ配置されており、2つの端子P4および2つの端子N4の各々は、面30bにおいて、1列に配置される4つの端子C4の各々と隣り合うように1列に配置されている。これにより、端子P4および端子N4の各々が端子C4と隣合って配置されていない場合に比べて、導体53(正側導体)および導体55(負側導体)のそれぞれと、導体54(中間導体)との重なり合う部分の距離をより大きくすることができる。そのため、導体53および導体55のそれぞれと、導体54とにおいて、流れる電流が対向する部分の距離をより大きくすることができる。その結果、導体53、導体54、および、導体55において発生するインダクタンスをより小さくすることができるので、電力変換効率の低下をより抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態では、各々、電力変換部を含み、三相の交流電力のうちの各々の相の交流電力をそれぞれ出力する第1相電力変換ユニット100a、第2相電力変換ユニット100b、および、第3相電力変換ユニット100cをさらに備え、冷却体80は、第1相電力変換ユニット100aに含まれる複数の半導体モジュールの各々を冷却する冷却体80a(第1冷却体)と、第2相電力変換ユニット100bに含まれる複数の半導体モジュールの各々を冷却する冷却体80b(第2冷却体)と、第3相電力変換ユニット100cに含まれる複数の半導体モジュールの各々を冷却する冷却体80c(第3冷却体)と、を含む。これにより、第1相電力変換ユニット100a、第2相電力変換ユニット100b、および、第3相電力変換ユニット100cの各々に含まれる複数の半導体モジュールを、別個の冷却体80(80a~80c)によって冷却することができる。そのため、第1相電力変換ユニット100a、第2相電力変換ユニット100b、および、第3相電力変換ユニット100cの各々において、互いの距離を大きくするように複数の半導体モジュールを各々の冷却体80a~80cに配置することができるので、スイッチング素子を有する複数の半導体モジュールを効率よく冷却することができる。そのため、三相の交流電力うちの各々の相の交流電力をそれぞれ別個に出力する場合にも、スイッチング素子を有する複数の半導体モジュールを効率よく冷却することができる。
【0072】
また、本実施形態では、電力変換部10は、鉄道車両101に搭載され、鉄道車両101に補助電源を供給するための補助電源ライン101cに対して交流電力を出力するように構成されている。このように構成すれば、鉄道車両101に補助電源を供給するための補助電源ライン101cに対して交流電力を出力する場合にも、電力変換部10におけるスイッチング素子Q1~Q4を有する複数の半導体モジュール11~13を効率よく冷却することができる。そのため、鉄道車両101において、より安定した補助電源を供給することができる。
【0073】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0074】
たとえば、上記実施形態では、半導体モジュール11(第1半導体モジュール)および半導体モジュール13(第3半導体モジュール)は、被冷却面11aおよび13aの短辺11bおよび13bがα方向(第1方向)に沿うように互いに離間して平行に並べて配置され、半導体モジュール12は、被冷却面12aの短辺12bがα方向に直交するβ方向(第2方向)に沿うように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明では、半導体モジュール11および13が並べて配置されるα方向と、半導体モジュール12が離間して配置されるβ方向とが、直交していなくともよい。
【0075】
また、上記実施形態では、冷却体80aは、第1電力変換群1aを冷却する冷却面81a(一方面)と、第2電力変換群2aを冷却する冷却面81b(他方面)とを有する板状の冷却板部81を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aを共通の冷却面において冷却するように構成してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aに対して共通して用いられる放熱部82を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1電力変換群1aおよび第2電力変換群2aのそれぞれに対して、別個に用いられる2つの放熱部を含んでもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、放熱部82は、空冷式の放熱フィンを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、放熱部82は、水冷式であってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、半導体モジュール11(第1半導体モジュール)および半導体モジュール13(第3半導体モジュール)の各々は、1つのスイッチング素子Q1(Q4)を有し、半導体モジュール12(第2半導体モジュール)は、2つのスイッチング素子Q2およびQ3を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1半導体モジュールが2つのスイッチング素子を有し、第2半導体モジュールおよび第3半導体モジュールが1つのスイッチング素子を有するように構成してもよい。また、第1半導体モジュール、第2半導体モジュールおよび第3半導体モジュールの各々が、2つのスイッチング素子を有するように構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、導体51(第1接続導体)および導体52(第2接続導体)は、互いに絶縁された状態で積層されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、導体51および導体52は、互いに平行に配置されていて、積層されていなくともよい。
【0080】
また、上記実施形態では、電力変換部10は、上位電位と中間電位と下位電位との3つのレベルの電位の電力を出力する3レベルインバータ回路を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電力変換部を、2レベルの三相インバータ回路または2レベルの3相コンバータ回路を構成するようにしてもよい。その場合には、3つの半導体モジュールには、それぞれ、2つずつのスイッチング素子が含まれるように構成してもよい。また、その場合には、冷却体の冷却板部の2つの冷却面の各々に、1群側および2群側のそれぞれの2レベル三相インバータまたは2レベル三相コンバータを配置するように構成してもよい。また、1群側および2群側の2つの2レベル三相インバータまたは2レベル三相コンバータは、1つの負荷または電源に並列に接続されてもよいし、2つの異なる負荷または電源に接続されてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、平滑コンデンサモジュール30の端子は、ゲート基板70側(Y1方向側)の面30b(端子配置面)に共通して配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、平滑コンデンサモジュールを、ゲート基板側とは反対の放熱部(放熱フィン)側の面に端子を配置するように構成してもよい。また、平滑コンデンサモジュールを、鉛直上方向側または鉛直下方向側の面に端子を配置するように構成してもよい。また、平滑コンデンサモジュールを、端子を共通の1つの面にまとめて配置せず、2つ以上の異なる面に分けて配置するように構成してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、平滑コンデンサモジュール30の2つの端子P4(正側端子)および2つの端子N4(負側端子)の各々は、面30b(端子配置面)において、1列に配置される4つの端子C4(中間端子)の各々と隣り合うように1列に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図13に示す変形例による平滑コンデンサモジュール230のように、正側端子P204と、中間端子C204と、負側端子N204とをこの順番に2列に並べて配置してもよい。なお、実施形態による平滑コンデンサモジュール30のように端子を配置する方が、変形例による平滑コンデンサモジュール230に比べて、接続導体同士の重なりあう部分の長さを大きくすることができるため、接続導体の寄生インダクタンスをより低下させることができる。
【0083】
また、上記実施形態では、三相の交流電力のうちの各々の相の交流電力をそれぞれ出力する第1相電力変換ユニット100a、第2相電力変換ユニット100b、および、第3相電力変換ユニット100cを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、1つの電力変換ユニットを備え、三相の交流電力を出力するように構成されていてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、電力変換部10(20)は、鉄道車両101に搭載され、鉄道車両101に補助電源を供給するための補助電源ライン101cに対して交流電力を出力するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、鉄道車両101の駆動用の電力を供給するように構成してもよい。また、鉄道車両では、なく電気自動車などの車両に搭載するように構成してもよい。また、車両ではなく、据え置き型の電動機(モータ)などに対して電力を供給するように構成してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、半導体モジュール11(第1半導体モジュール)および半導体モジュール13(第3半導体モジュール)に対して、半導体モジュール12(第2半導体モジュール)が鉛直上方向側(Z1方向側)に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2半導体モジュールが第1半導体モジュールおよび第3半導体モジュールに対して鉛直下方向側に配置されるように構成してもよい。また、半導体モジュール11および半導体モジュール13を上下方向に沿って配置するとともに、半導体モジュール12を水平方向に離間させるように配置してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1a、1b、1c 第1電力変換群
2a、2b、2c 第2電力変換群
10、20 電力変換部
11 半導体モジュール(第1半導体モジュール、複数の半導体モジュール)
11a 被冷却面
11b 短辺
12 半導体モジュール(第2半導体モジュール、複数の半導体モジュール)
12a 被冷却面
12b 短辺
13 半導体モジュール(第3半導体モジュール、複数の半導体モジュール)
13a 被冷却面
13b 短辺
30、40、230 平滑コンデンサモジュール
30a 面(冷却面と対向する面)
30b 面(端子配置面)
31 コンデンサ(正極側コンデンサ)
32 コンデンサ(負極側コンデンサ)
51 導体(第1接続導体)
52 導体(第2接続導体)
53 導体(正側導体)
54 導体(中間導体)
55 導体(負側導体)
80、80a、80b、80c 冷却体
81 冷却板部
82 放熱部
81a 冷却面(一方面)
81b 冷却面(他方面)
100 電力変換装置
100a 第1相電力変換ユニット
100b 第2相電力変換ユニット
100c 第3相電力変換ユニット
101 鉄道車両
101c 補助電源ライン