(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160944
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】照明器具の施工方法及び照明器具
(51)【国際特許分類】
E21F 17/06 20060101AFI20221013BHJP
E21D 9/06 20060101ALI20221013BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221013BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20221013BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221013BHJP
【FI】
E21F17/06
E21D9/06
F21S2/00 230
F21S2/00 630
F21S8/04 410
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065485
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】513042562
【氏名又は名称】エレコン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521147547
【氏名又は名称】皆元商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(72)【発明者】
【氏名】高山 哲治
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC01
(57)【要約】
【課題】照明器具を容易に施工することができ、工事用空間において必要な照度を早期に確保することができる照明器具の施工方法を提供する。
【解決手段】照明器具2は、可撓性を有し且つ長尺状に形成された発光部4と、発光部4の長手方向における一端部に電気的に接続された第1の電力ケーブル6とを備える。照明器具2の施工方法は、(a)照明器具2を巻回した状態又は折り畳んだ状態で台車32に搭載するステップと、(b)照明器具2の第1の電力ケーブル6を分電盤38に電気的に接続するステップと、(c)シールド掘削機24が、トンネル空間26において台車32を牽引しながら分電盤38から離れる方向に推進するステップと、(d)シールド掘削機24が推進するのに伴って、台車32から照明器具2をシールド掘削機24の推進方向と反対方向に繰り出すステップと、(e)繰り出された照明器具2をトンネル空間26に配置するステップとを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事用空間に照明器具を施工する照明器具の施工方法であって、
前記照明器具は、
可撓性を有し、且つ、長尺状に形成された発光部と、
前記発光部の長手方向における一端部に電気的に接続された第1の電力ケーブルと、を備え、
前記施工方法は、
(a)前記照明器具を巻回した状態又は折り畳んだ状態で台車に搭載するステップと、
(b)前記照明器具の前記第1の電力ケーブルを電力供給源に電気的に接続するステップと、
(c)推進体が、前記工事用空間において前記台車を牽引しながら前記電力供給源から離れる方向に推進するステップと、
(d)前記推進体が推進するのに伴って、前記台車から前記照明器具を前記推進体の推進方向と反対方向に繰り出すステップと、
(e)繰り出された前記照明器具を前記工事用空間に配置するステップと、を含む
照明器具の施工方法。
【請求項2】
前記照明器具は、前記発光部を複数備え、
前記複数の発光部は、各々の長手方向に沿って間隔を置いて配置され、
前記照明器具は、さらに、前記複数の発光部のうち隣り合う一対の発光部の間にそれぞれ配置され、当該一対の発光部の各々の長手方向における一端部を互いに電気的に接続する1又は複数の第2の電力ケーブルを備え、
前記第1の電力ケーブルは、前記複数の発光部のうち最も外側に配置された発光部の長手方向における一端部に電気的に接続されている
請求項1に記載の照明器具の施工方法。
【請求項3】
前記台車には、滑車が回転可能に支持されており、
前記(d)において、前記照明器具を前記滑車に案内させながら前記台車から前記推進体の推進方向と反対方向に繰り出す
請求項1又は2に記載の照明器具の施工方法。
【請求項4】
前記発光部の長手方向における両端部には、先端に向けて先細りとなるテーパ部が形成されている
請求項3に記載の照明器具の施工方法。
【請求項5】
前記発光部は、
可撓性を有する基板、及び、前記基板に実装された複数の発光素子を有する光源ユニットと、
前記光源ユニットを覆うように配置された透光部材であって、可撓性を有し、且つ、長尺状に形成された透光部材と、を有し、
前記透光部材の長手方向に直交する断面形状は、円形状、楕円形状及び多角形状のいずれかである
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明器具の施工方法。
【請求項6】
前記発光部は、前記光源ユニットを一対有しており、
前記一対の光源ユニットは、当該一対の光源ユニットの各々の前記複数の発光素子が互いに反対側を向くように、互いに対向して配置されている
請求項5に記載の照明器具の施工方法。
【請求項7】
前記工事用空間は、地中のトンネル空間であり、
前記推進体は、地中を掘削しながら推進することにより、地中に前記トンネル空間を形成するシールド掘削機である
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明器具の施工方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の照明器具の施工方法に用いられる照明器具であって、
可撓性を有し、且つ、長尺状に形成された発光部と、
前記発光部の長手方向における一端部に電気的に接続された第1の電力ケーブルと、を備える
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具の施工方法及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
地中にガス管又は水道管等を敷設するために、シールド掘削機で地中を掘削することにより地中にトンネル空間を形成するシールド工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このシールド工法では、シールド掘削機で地中にトンネル空間を形成した後に、当該トンネル空間に照明器具を施工する。この照明器具でトンネル空間を照明することにより、作業員はトンネル空間において作業することが可能となる。
【0003】
従来の照明器具の施工工法は、例えば次のようにして行われる。まず、作業員は、分岐ケーブル及び複数の棒状ライトを、シールド掘削機に連結された台車に搭載する。次に、シールド掘削機が地中を掘削しながら推進することにより、台車がシールド掘削機により牽引される。
【0004】
シールド掘削機がある程度の距離を推進した時点で、作業員は、分岐ケーブルを台車からトンネル空間における照明器具の設置場所まで運搬し、分岐ケーブルを分電盤等に電気的に接続するとともに、分岐ケーブルをトンネル空間の側壁に支持する。
【0005】
次に、作業員は、複数の棒状ライトを台車からトンネル空間における上記設置場所まで運搬し、複数の棒状ライトを分岐ケーブルから分岐した複数のコネクタにそれぞれ差し込む。これにより、複数の棒状ライトが点灯する。最後に、作業員は、複数の棒状ライトをトンネル空間の側壁に支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の照明器具の施工工法では、作業員は、(i)分岐ケーブルをトンネル空間の側壁に支持する作業、(ii)複数の棒状ライトを分岐ケーブルの複数のコネクタにそれぞれ差し込む作業、(iii)複数の棒状ライトをトンネル空間の側壁に支持する作業をそれぞれ個別に行う必要があるため、非常に手間が掛かるという課題が生じる。
【0008】
また、シールド掘削機が推進してから、作業員が複数の棒状ライトを分岐ケーブルの複数のコネクタにそれぞれ差し込むまでの間は、トンネル空間において必要な照度を確保することができないという課題が生じる。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、照明器具を容易に施工することができるとともに、工事用空間において必要な照度を早期に確保することができる照明器具の施工方法及び照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る照明器具の施工方法は、工事用空間に照明器具を施工する照明器具の施工方法であって、前記照明器具は、可撓性を有し、且つ、長尺状に形成された発光部と、前記発光部の長手方向における一端部に電気的に接続された第1の電力ケーブルと、を備え、前記施工方法は、(a)前記照明器具を巻回した状態又は折り畳んだ状態で台車に搭載するステップと、(b)前記照明器具の前記第1の電力ケーブルを電力供給源に電気的に接続するステップと、(c)推進体が、前記工事用空間において前記台車を牽引しながら前記電力供給源から離れる方向に推進するステップと、(d)前記推進体が推進するのに伴って、前記台車から前記照明器具を前記推進体の推進方向と反対方向に繰り出すステップと、(e)繰り出された前記照明器具を前記工事用空間に配置するステップと、を含む。
【0011】
本態様によれば、照明器具の発光部は、可撓性を有し、且つ、長尺状に形成されている。これにより、推進体が推進するのに伴って、台車において巻回された状態又は折り畳まれた状態の照明器具を、台車から推進体の推進方向と反対方向に繰り出すことができる。作業員は、この繰り出された照明器具を工事用空間に配置すればよいので、照明器具を容易に施工することができる。また、照明器具を台車から繰り出す前に、照明器具の第1の電力ケーブルを電力供給源に電気的に接続するので、照明器具は、点灯した状態で台車から繰り出されるようになる。その結果、工事用空間において必要な照度を早期に確保することができる。
【0012】
例えば、前記照明器具は、前記発光部を複数備え、前記複数の発光部は、各々の長手方向に沿って間隔を置いて配置され、前記照明器具は、さらに、前記複数の発光部のうち隣り合う一対の発光部の間にそれぞれ配置され、当該一対の発光部の各々の長手方向における一端部を互いに電気的に接続する1又は複数の第2の電力ケーブルを備え、前記第1の電力ケーブルは、前記複数の発光部のうち最も外側に配置された発光部の長手方向における一端部に電気的に接続されているように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、照明器具は発光部を複数備えているので、発光部の数を適宜調節することにより、工事用空間において所望の範囲を容易に照明することができる。
【0014】
例えば、前記台車には、滑車が回転可能に支持されており、前記(d)において、前記照明器具を前記滑車に案内させながら前記台車から前記推進体の推進方向と反対方向に繰り出すように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、照明器具を台車からスムーズに繰り出すことができる。
【0016】
例えば、前記発光部の長手方向における両端部には、先端に向けて先細りとなるテーパ部が形成されているように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、照明器具を台車から繰り出す際に、発光部の長手方向における両端部が滑車に引っ掛かるのを抑制することができる。
【0018】
例えば、前記発光部は、可撓性を有する基板、及び、前記基板に実装された複数の発光素子を有する光源ユニットと、前記光源ユニットを覆うように配置された透光部材であって、可撓性を有し、且つ、長尺状に形成された透光部材と、を有し、前記透光部材の長手方向に直交する断面形状は、円形状、楕円形状及び多角形状のいずれかであるように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、発光部の全周方向からほぼ均一に光を出射することができる。
【0020】
例えば、前記発光部は、前記光源ユニットを一対有しており、前記一対の光源ユニットは、当該一対の光源ユニットの各々の前記複数の発光素子が互いに反対側を向くように、互いに対向して配置されているように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、発光部の全周方向からより均一に光を出射することができる。
【0022】
例えば、前記工事用空間は、地中のトンネル空間であり、前記推進体は、地中を掘削しながら推進することにより、地中に前記トンネル空間を形成するシールド掘削機であるように構成してもよい。
【0023】
本態様によれば、シールド掘削機を用いたシールド工法において、照明器具をトンネル空間に施工することができる。
【0024】
本発明の一態様に係る照明器具は、上述したいずれかの照明器具の施工方法に用いられる照明器具であって、可撓性を有し、且つ、長尺状に形成された発光部と、前記発光部の長手方向における一端部に電気的に接続された第1の電力ケーブルと、を備える。
【0025】
本態様によれば、上述と同様に、照明器具を容易に施工することができるとともに、工事用空間において必要な照度を早期に確保することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様に係る照明器具の施工方法等によれば、照明器具を容易に施工することができるとともに、工事用空間において必要な照度を早期に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】実施の形態に係る照明器具の発光部を抜き出して示す図である。
【
図3】実施の形態に係る発光部のテーパ部を拡大して示す図である。
【
図4】
図3のIV-IV線による、実施の形態に係る発光部の断面図である。
【
図5】
図3のV-V線による、実施の形態に係る発光部の断面図である。
【
図6】実施の形態に係る照明器具の施工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態に係る照明器具の施工方法を説明するための図である。
【
図8】実施の形態に係る照明器具の施工方法を説明するための図である。
【
図9】実施の形態に係る照明器具の施工方法を説明するための図である。
【
図10】比較例に係る照明器具の施工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図11】比較例に係る照明器具の施工方法を説明するための図である。
【
図12】比較例に係る照明器具の施工方法を説明するための図である。
【
図13】実施の形態の変形例に係る照明器具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0029】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、特許請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0030】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0031】
(実施の形態)
[1.照明器具の構成]
まず、
図1~
図5を参照しながら、実施の形態に係る照明器具2の構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る照明器具2を示す図である。
図2は、実施の形態に係る照明器具2の発光部4を抜き出して示す図である。
図3は、実施の形態に係る発光部4のテーパ部10を拡大して示す図である。
図4は、
図3のIV-IV線による、実施の形態に係る発光部4の断面図である。
図5は、
図3のV-V線による、実施の形態に係る発光部4の断面図である。
【0032】
図1に示すように、照明器具2は、地中のトンネル空間を照明するための器具であり、後述するようにしてトンネル空間に施工される。照明器具2は、複数の発光部4(4a,4b,4c,4d,4e)と、一対の第1の電力ケーブル6と、複数の第2の電力ケーブル8とを備えている。
【0033】
複数の発光部4(4a~4e)の各々は、可撓性(フレキシブル性)を有し、且つ、長尺状に形成されている。
図1に示すように、複数の発光部4は、各々の長手方向(
図1において左右方向)に沿って間隔を置いて配置されている。具体的には、複数の発光部4a,4b,4c,4d,4eは、この順に間隔を置いて配置されている。複数の発光部4の配置間隔Dは、例えば約5mである。なお、本実施の形態では、照明器具2が5個の発光部4を備える場合について説明するが、これに限定されず、照明器具2の用途等に応じて、2個、3個、4個又は6個以上の任意の数の発光部4を備えるようにしてもよい。
【0034】
図2に示すように、複数の発光部4の各々は、その長手方向に沿って柔軟に屈曲可能である。また、
図3に示すように、複数の発光部4の各々の長手方向における両端部には、先端(第1の電力ケーブル6側又は第2の電力ケーブル8側)に向けて先細りとなるテーパ部10が形成されている。複数の発光部4の各々のテーパ部10を除く部分の直径は、当該発光部4の長手方向に亘って略等しく、例えば1cm~数cmである。複数の発光部4の各長さL1は、例えば0.6m~1.2mである。
【0035】
第1の電力ケーブル6は、複数の発光部4a~4eのうち最も外側(
図1において最も左側)に配置された発光部4aの長手方向における一端部(隣り合う発光部4bと反対側の端部)に電気的に接続されている。また、第1の電力ケーブル6は、複数の発光部4a~4eのうち最も外側(
図1において最も右側)に配置された発光部4eの長手方向における一端部(隣り合う発光部4dと反対側の端部)に電気的に接続されている。一対の第1の電力ケーブル6の各々は可撓性を有しており、その直径は発光部4の直径よりも小さい。一対の第1の電力ケーブル6の各先端部には、防水コネクタ12が設けられている。
【0036】
複数の第2の電力ケーブル8はそれぞれ、複数の発光部4のうち隣り合う一対の発光部4の間(発光部4aと発光部4bとの間、発光部4bと発光部4cとの間、発光部4cと発光部4dとの間、発光部4dと発光部4eとの間)に配置され、当該一対の発光部4の各々の長手方向における一端部を互いに電気的に接続する。第2の電力ケーブル8は可撓性を有しており、その直径は発光部4の直径よりも小さい。
【0037】
図4及び
図5に示すように、発光部4は、一対の光源ユニット14と、透光部材16とを有している。
【0038】
一対の光源ユニット14の各々は、基板18と、複数の発光素子20とを有している。基板18は、可撓性を有するフレキシブルプリント基板であり、発光部4の長手方向に沿って長尺状に形成されている。基板18は、第1の電力ケーブル6又は第2の電力ケーブル8に電気的に接続されている。複数の発光素子20の各々は、例えばチップ型の白色LED(Light Emitting Diode)である。複数の発光素子20は、基板18の一方の面に実装され、基板18の長手方向に沿って間隔を置いて配置されている。なお、
図5に示すように、基板18の一方の面には、複数の発光素子20の各々に所定の電力を供給するためのコンバータ22が実装されている。一対の光源ユニット14は、当該一対の光源ユニット14の各々の複数の発光素子20が互いに反対側を向くように、互いに対向して配置されている。
【0039】
透光部材16は、一対の光源ユニット14からの光を拡散させるための部材であり、一対の光源ユニット14を覆うように配置されている。透光部材16は、可撓性を有し、且つ、長尺状に形成されている。透光部材16は、透光性及び可撓性を有する材料、例えば乳白色のシリコン又はポリ塩化ビニル(PVC)等で形成されている。
図4に示すように、透光部材16の長手方向(
図4の紙面に対して垂直な方向)に直交する断面形状は、円形状である。
図4に示すように、発光部4の長手方向に沿った方向から見て、一対の光源ユニット14からの光は、透光部材16を透過する際に乱反射することにより、全周方向から拡散しながら出射するようになる。なお、本実施の形態では、透光部材16の断面形状を円形状に形成したが、これに限定されず、例えば楕円形状又は多角形状に形成してもよい。
【0040】
[2.照明器具の施工方法]
次に、
図6~
図9を参照しながら、実施の形態に係る照明器具2の施工方法について説明する。
図6は、実施の形態に係る照明器具2の施工方法の流れを示すフローチャートである。
図7~
図9は、実施の形態に係る照明器具2の施工方法を説明するための図である。なお、
図9は、
図8のIX-IX線断面図である。
【0041】
以下、
図7に示すように、シールド掘削機24(推進体の一例)で地中を掘削することにより地中にトンネル空間26(工事用空間の一例)を形成するシールド工法において、上述した照明器具2をトンネル空間26に施工する場合について説明する。なお、
図7及び
図8において、照明器具2により照明されていないトンネル空間26の領域をグレーで表現してある。
【0042】
図7に示すように、シールド掘削機24は、地中を掘削するためのシールドマシンであり、地中に垂直方向(Z軸方向)に掘られた立坑28から、水平方向(X軸のプラス方向)に地中を掘削しながら推進する。シールド掘削機24には、各種機器を搭載するための台車30を介して、各種資材(照明器具2及び各種ケーブル類等を含む)を搭載するための台車32が連結されている。台車32には、滑車34が回転可能に支持されている。
【0043】
図6に示すように、まず、作業員36は、照明器具2を折り畳んだ状態で台車32に搭載する(S101)。この時、照明器具2の複数の発光部4の各々は可撓性を有しているので、作業員36は、複数の発光部4の各々を屈曲させながら折り畳むことができる。なお、作業員36は、照明器具2を例えば8の字巻きで巻回した状態で台車32に搭載してもよい。
【0044】
次に、
図7に示すように、作業員36は、照明器具2の第1の電力ケーブル6の防水コネクタ12を、地上及び坑内に均等に設置された分電盤38(電力供給源の一例)から立坑28を介してトンネル空間26まで延びる電源ケーブル40の防水コネクタ42に電気的に接続する(S102)。すなわち、照明器具2の第1の電力ケーブル6は、電源ケーブル40を介して分電盤38に電気的に接続される。なお、ステップS102は、ステップS101よりも前に実行されてもよい。
【0045】
これにより、分電盤38からの交流電力(例えば、AC200V)は、電源ケーブル40を介して照明器具2に供給され、上述したコンバータ22(
図5参照)により交流電力から直流電力(例えば、DC24V)に変換されて複数の発光部4の各発光素子20に供給される。そのため、照明器具2の第1の電力ケーブル6が電源ケーブル40を介して分電盤38に電気的に接続された時点で、複数の発光部4が全て点灯するようになる。
【0046】
次に、シールド掘削機24は、トンネル空間26において地中を掘削しながら推進する(S103)。この時、シールド掘削機24は、トンネル空間26において台車30及び台車32を牽引しながら、分電盤38から離れる方向(X軸のプラス方向)に推進する。
【0047】
このようにシールド掘削機24が推進するのに伴って、照明器具2は、電源ケーブル40によりシールド掘削機24の推進方向と反対方向(X軸のマイナス方向)に引っ張られるようになる。これにより、
図7及び
図8に示すように、照明器具2は、トンネル空間26を台車32からシールド掘削機24の推進方向と反対方向に繰り出される(S104)。具体的には、照明器具2の複数の発光部4の各々は、滑車34に案内されながら順次繰り出される。この時、複数の発光部4の各々は可撓性を有しているため、撓んだ状態で滑車34に案内されるようになる。
【0048】
次に、
図9に示すように、作業員36は、台車32から繰り出された照明器具2を、トンネル空間26の側壁に固定されたハンガー44に支持(配置)する(S105)。この時、作業員36は、照明器具2をハンガー44に支持させるとともに、他のケーブル類(例えば、他の電力ケーブル及び通信ケーブル等)をハンガー44に支持させてもよい。なお、説明の都合上、
図7及び
図8では、ハンガー44の図示を省略してある。また、説明の都合上、
図9では、台車32に搭載された照明器具2及び滑車34の図示を省略してある。
【0049】
以上のようにして施工された照明器具2により、トンネル空間26が照明される。これにより、作業員36は、トンネル空間26で作業を行うことができる。
【0050】
なお、トンネル空間26を長距離に亘って照明したい場合には、照明器具2を2組用意し、一方の照明器具2の第1の電力ケーブル6の防水コネクタ12と、他方の照明器具2の第1の電力ケーブル6の防水コネクタ12とを電気的に接続してもよい。あるいは、一方の照明器具2の任意の第2の電力ケーブル8を切断し、この切断した第2の電力ケーブル8に他方の照明器具2の第2の電力ケーブル8を電気的に繋げてもよい。
【0051】
[3.効果]
ここで、
図10~
図12を参照しながら、比較例に係る照明器具100の施工方法について説明する。
図10は、比較例に係る照明器具100の施工方法の流れを示すフローチャートである。
図11及び
図12は、比較例に係る照明器具100の施工方法を説明するための図である。なお、
図11及び
図12において、
図7及び
図8における構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
図10及び
図11に示すように、まず、作業員36は、照明器具100を台車32に搭載する(S201)。照明器具100は、分岐ケーブル102と、複数の棒状ライト104とを有している。
【0053】
分岐ケーブル102には、コネクタ106及び複数のコネクタ108が設けられている。コネクタ106は、分岐ケーブル102の長手方向における一端部に設けられている。複数のコネクタ108は、分岐ケーブル102から分岐されており、分岐ケーブル102の長手方向に沿って間隔を置いて配置されている。
【0054】
複数の棒状ライト104の各々は、例えば複数のLEDを光源とする棒状のライトであり、可撓性を有していない。複数の棒状ライト104の各々には、コネクタ110が設けられている。
【0055】
次に、シールド掘削機24は、トンネル空間26において地中を掘削しながら推進する(S202)。
図11に示すように、シールド掘削機24がある程度の距離を推進した時点で、作業員36は、分岐ケーブル102を台車32からトンネル空間26における照明器具100の設置場所まで運搬する(S203)。そして、作業員36は、分岐ケーブル102のコネクタ106を電源ケーブル40の防水コネクタ42に電気的に接続し(S204)、分岐ケーブル102をトンネル空間26の側壁に固定されたハンガー(図示せず)に支持する(S205)。
【0056】
次に、
図12に示すように、作業員36は、複数の棒状ライト104を台車32からトンネル空間26における上記設置場所まで運搬し(S206)、複数の棒状ライト104の各コネクタ110をそれぞれ分岐ケーブル102の複数のコネクタ108に電気的に接続する(S207)。これにより、棒状ライト104を分岐ケーブル102に接続する度に、当該棒状ライト104が点灯する。
【0057】
しかしながら、比較例に係る照明器具100の施工方法では、作業員36は、(i)分岐ケーブル102をトンネル空間26の側壁に支持する作業、(ii)複数の棒状ライト104を分岐ケーブル102に接続する作業、(iii)複数の棒状ライト104をトンネル空間26の側壁に支持する作業をそれぞれ個別に行う必要があるため、非常に手間が掛かるという課題が生じる。
【0058】
また、シールド掘削機24が推進してから、作業員36が全ての棒状ライト104を分岐ケーブル102に接続するまでの間は、トンネル空間26において必要な照度を確保することができないという課題が生じる。
【0059】
これに対して、本実施の形態では、照明器具2の複数の発光部4の各々は、可撓性を有し、且つ、長尺状に形成されている。これにより、シールド掘削機24が推進するのに伴って、台車32において巻回された状態又は折り畳まれた状態の照明器具2を、台車32からシールド掘削機24の推進方向と反対方向に繰り出すことができる。作業員36は、この繰り出された照明器具2をトンネル空間26に配置すればよいので、照明器具2を容易に施工することができる。
【0060】
また、照明器具2を台車32から繰り出す前に、照明器具2の第1の電力ケーブル6を分電盤38に電気的に接続するので、照明器具2は、点灯した状態で台車32から繰り出されるようになる。その結果、トンネル空間26において必要な照度を早期に確保することができる。
【0061】
[4.変形例]
図13を参照しながら、実施の形態の変形例に係る照明器具2Aの構成について説明する。
図13は、実施の形態の変形例に係る照明器具2Aを示す図である。
図13において、
図1における構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0062】
図13に示すように、実施の形態の変形例に係る照明器具2Aは、発光部4Aを1つのみ備えている。そのため、照明器具2Aは、上述した第2の電力ケーブル8を備えていない。発光部4Aは、可撓性を有し、且つ、長尺状に形成されている。発光部4Aの長さL2は、例えば約50mである。発光部4Aの長手方向(
図13において左右方向)における両端部にはそれぞれ、第1の電力ケーブル6が電気的に接続されている。
【0063】
本変形例においても、上述と同様の効果を得ることができる。
【0064】
(他の変形例等)
以上、本発明の1つ又は複数の態様に係る照明器具の施工方法及び照明器具について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0065】
上記実施の形態では、工事用空間をトンネル空間26に適用したが、これに限定されず、例えば建築現場における作業空間等に適用してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、隣接する一対の発光部4を第2の電力ケーブル8で互いに電気的に接続したが、これに限定されない。例えば、一方の発光部4の第2の電力ケーブル8の一端部にコネクタを設け、且つ、他方の発光部4の第2の電力ケーブル8の一端部にもコネクタを設けて、両コネクタを電気的に接続してもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、複数の発光部4の各発光色を全て白色としたが、これに限定されない。例えば、複数の発光部4のうち特定の発光部4の発光色のみを他の発光色(赤色又は緑色等)にしてもよい。これにより、トンネル空間26における特定の発光部4に対応する箇所に対して、何らかの明示をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えばシールドマシンで地中を掘削することにより地中にトンネル空間を形成するシールド工法等に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
2,2A,100 照明器具
4,4a,4b,4c,4d,4e,4A 発光部
6 第1の電力ケーブル
8 第2の電力ケーブル
10 テーパ部
12,42 防水コネクタ
14 光源ユニット
16 透光部材
18 基板
20 発光素子
22 コンバータ
24 シールド掘削機
26 トンネル空間
28 立坑
30,32 台車
34 滑車
36 作業員
38 分電盤
40 電源ケーブル
44 ハンガー
102 分岐ケーブル
104 棒状ライト
106,108,110 コネクタ