特開 2022-160957 吸着支持伸展ロッド

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022160957

(43)【公開日】2022-10-20

(54)【発明の名称】吸着支持伸展ロッド

(51)【国際特許分類】

   B25J 18/02 20060101AFI20221013BHJP

【ＦＩ】

B25J18/02

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021065509

(22)【出願日】2021-04-07

(71)【出願人】

【識別番号】390000804

【氏名又は名称】白山工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100138519

【弁理士】

【氏名又は名称】奥谷 雅子

(74)【代理人】

【識別番号】100210675

【弁理士】

【氏名又は名称】下山 潤

(72)【発明者】

【氏名】廣瀬 茂男

【テーマコード（参考）】

3C707

【Ｆターム（参考）】

3C707CS08

3C707CU03

3C707FU01

3C707HT04

3C707MS27

3C707MT05

(57)【要約】

【課題】
簡単な構造で、安定性の高い伸展ロッドを提供すること。
【解決手段】
複数のロッド１２を伸展可能な、伸展ロッド１０と、伸展ロッド１０を支持するベース３０と、伸展ロッド１０を伸展させる伸展機構４０と、伸展ロッド１０の複数のロッド１２に固着された吸着器２０とを備え、伸展機構４０が伸展ロッド１０をベース３０側より順次伸展し、伸展したロッド１２の吸着器２０を壁面１００に順次吸着させる、吸着支持伸展ロッド１。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

複数のロッドを伸展可能な、伸展ロッドと；
前記伸展ロッドを支持するベースと；
前記伸展ロッドを伸展させる伸展機構と；
前記伸展ロッドの複数のロッドに固着された吸着器とを備え；
前記伸展機構が前記伸展ロッドを前記ベース側より順次伸展し、前記伸展したロッドの前記吸着器を壁面に順次吸着させる；
吸着支持伸展ロッド。

【請求項2】

前記伸展ロッドは、テレスコピック機構により複数のロッドを伸展可能なテレスコピックロッドであり；
前記伸展機構は、内圧で膨張して前記テレスコピックロッドを伸展させる内圧機構であり；
前記伸展ロッドの先端ロッドに接続されてベース方向に張力を生ずるワイヤを備え；
前記ワイヤが前記先端ロッドの伸展を制御しつつ前記内圧機構が前記テレスコピックロッドを前記ベース側より順次伸展させる；
請求項１に記載の吸着支持伸展ロッド。

【請求項3】

複数の前記ワイヤを備え；
前記テレスコピックロッドの傾きが調整可能である；
請求項２に記載の吸着支持伸展ロッド。

【請求項4】

前記吸着器に圧縮空気を送る圧縮空気機構と切換え弁とイジェクタをさらに備え；
前記伸展ロッドの伸展に伴い移動しているロッドの前記吸着器では前記吸着器から圧縮空気を排気し、既に伸展しているロッドの前記吸着器ではイジェクタから排気して壁面に吸着する；
請求項１ないし３の何れか１項に記載の吸着支持伸展ロッド。

【請求項5】

前記吸着器はホットメルト接着剤により壁面に吸着し；
前記ホットメルト接着剤の温度を制御する温度制御装置を備える；
請求項１ないし３の何れか１項に記載の吸着支持伸展ロッド。

【請求項6】

前記吸着器は前記ロッドに対し傾斜可能である；
請求項４または５に記載の吸着支持伸展ロッド。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、吸着支持伸展ロッドに関し、特に、高所作業での安定性に優れた吸着支持伸展ロッドに関するものである。

【背景技術】

【0002】

高所作業をするために、折り畳んだロッドを伸展したり、テレスコピック機構によりロッドを伸展する装置が用いられている。しかし、伸展したロッドを安定させるためには、ベース部分の転倒を防止するために、ベース部分に重量を持たせたり、ベース部分に広がった脚部を設けるなどの対策を講じている。

【0003】

装置をより簡便にするために、伸展したロッドに吸盤を設けて、壁に吸着させることが提案されている(例えば、特許文献１参照)。特許文献１に開示された発明では、伸縮可能なアーム部（５）の先端に、検査機構（１０）と、吸盤（１９）や車輪（２０）などから成るアーム倣い機構（７）を有する。検査時に、アーム部（５）を安定させるために吸盤（１９）を橋桁（４１）に吸着固定して安定させる。なお、吸盤（１９）は電磁式でもよいとされる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開平１０－８２０１７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかし、特許文献１に開示された発明では、アーム部および検査機構が検査対象物と固着させるのはアーム倣い機構の吸盤だけであり、吸盤に大きな吸着力が要求される。また、電磁式とする場合には、検査対象が橋桁などの磁性体に限られてしまう。

【0006】

そこで、本発明は、簡単な構造で、安定性の高い伸展ロッドを提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記課題を解決するために、本発明の第１の態様に係る吸着支持伸展ロッド１は、例えば図１に示すように、複数のロッド１２を伸展可能な、伸展ロッド１０と、伸展ロッド１０を支持するベース３０と、伸展ロッド１０を伸展させる伸展機構４０と、伸展ロッド１０の複数のロッド１２に固着された吸着器２０とを備え、伸展機構４０が伸展ロッド１０をベース３０側より順次伸展し、伸展したロッド１２の吸着器２０を壁面１００に順次吸着させる。

【0008】

このように構成すると、伸展ロッドがベース側から順次伸展し、伸展したロッドを吸着器で順次壁面に吸着させるので、簡単な構造で、安定性の高い伸展ロッドを提供することができる。

【0009】

本発明の第２の態様に係る吸着支持伸展ロッドは、例えば図１に示すように、伸展ロッドは、テレスコピック機構により複数のロッド１２を伸展可能なテレスコピックロッド１０であり、伸展機構は、内圧で膨張してテレスコピックロッドを伸展させる内圧機構４０であり、テレスコピックロッド１０の先端ロッド１２－１に接続されてベース３０方向に張力を生ずるワイヤ５０を備え、ワイヤ５０が先端ロッド１２－１の伸展を制御しつつ内圧機構４０がテレスコピックロッド１０をベース３０側より順次伸展させる。このように構成すると、テレスコピックロッドは、先端ロッドの伸展をワイヤで制御されつつ、内圧機構で伸展させられるので、ベース側から順次伸展することになる。

【0010】

本発明の第３の態様に係る吸着支持伸展ロッドは、例えば図１に示すように、複数のワイヤ５０－１，５０－２を備え、テレスコピックロッド１０の傾きが調整可能である。このように構成すると、テレスコピックロッドの傾きを容易に調整することができる。

【0011】

本発明の第４の態様に係る吸着支持伸展ロッドは、例えば図２に示すように、吸着器２０に圧縮空気を送る圧縮空気機構２２と切換え弁２８とイジェクタ２６をさらに備え、伸展ロッド１０の伸展に伴い移動しているロッド１２の吸着器２０では吸着器２０から圧縮空気を排気し、既に伸展しているロッド１２の吸着器２０ではイジェクタ２６から排気して壁面に吸着する。このように構成すると、簡易な構造で、移動しているロッドの吸着器からは圧縮空気を排気して壁面から離間しロッドの移動の妨げとならず、既に伸展しているロッドの吸着器では壁面に吸着できる。

【0012】

本発明の第５の態様に係る吸着支持伸展ロッドでは、図３に示すように、吸着器７０はホットメルト接着剤７２により壁面に吸着し、ホットメルト接着剤７２の温度を制御する温度制御装置７４を備える。このように構成すると、壁面に吸着させ、取り外すときにホットメルト接着剤を高温にし、移動しているときおよび吸着している状態ではホットメルト接着剤を低温にすることで、簡易な構造で、吸着器はロッドの移動の妨げとならず、壁面に吸着できる吸着支持伸展ロッドとなる。

【0013】

本発明の第６の態様に係る吸着支持伸展ロッドは、吸着器２０はロッド１２に対し傾斜可能である。このように構成すると、吸着器は傾斜した壁面にも容易に吸着することができる。

【発明の効果】

【0014】

本発明の吸着支持伸展ロッドによれば、複数のロッドを伸展可能な伸展ロッドと、伸展ロッドを支持するベースと、伸展ロッドを伸展させる伸展機構と、伸展ロッドの複数のロッドに固着された吸着器とを備え、伸展機構が伸展ロッドをベース側より順次伸展し、伸展したロッドの吸着器を壁面に順次吸着させので、簡単な構造で、安定性の高い伸展ロッドを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】図１は、本発明による吸着支持伸展ロッドの一態様の概念を示す図で、（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図である。

【図2】図２は、吸着器の構成を示す概念図である。

【図3】図３は、他の吸着器の構成を示す概念図である。

【図4】図４は、伸展ロッドとしてテレスコピックロッドを用いた例における、ロッドの伸展状況を示す側面図である。

【図5】図５は、伸展ロッドとしてテレスコピックロッドを用いた例における、ロッドの伸展状況を示す正面図である。

【図6】図６は、伸展ロッドとして折り畳みロッドを用いた例における、ロッドの伸展状況を示す正面図である。

【発明を実施するための形態】

【0016】

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一または相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。先ず、図１を参照して、本発明による吸着支持伸展ロッドの構成について説明する。

【0017】

図１は、伸展ロッドとしてテレスコピックロッド１０を用いる吸着テレスコピックロッド１を示す図で、（ａ）は側面図、（ｂ）は正面図である。吸着テレスコピックロッド１は、例えば原子力建屋内で高所の検査をするのに用いられる。なお、その他の建築物や橋梁等における高所作業等にも用いられ、用途は限定されない。図１では、吸着テレスコピックロッド１は壁面１００に沿って用いられる。

【0018】

テレスコピックロッド１０は、複数のロッド１２がテレスコピック機能により伸展可能である。すなわち、複数のロッド１２は、入れ子になっており、一番太いロッド１２がベース３０に支持される。ロッド１２は、ベース３０側の外側に外側ストッパ１４を、先端側の内側に内側ストッパ１６を有し、ロッド１２が伸展すると、そのロッド１２の外側ストッパ１４が、そのロッド１２に対しベース３０寄りの（ロッド１２を内側に入れていた）ロッド１２の内側ストッパ１６と当接し、ロッド１２の伸展位置が定まる。

【0019】

テレスコピックロッド１０は、伸展機構４０により伸展され、収縮される。例えば、テレスコピックロッド１０が、入れ子になった複数のロッド１２の間で気密に構成されるならば、伸展機構４０は、テレスコピックロッド１０内の内圧を高める機構でよい。ここでいう気密は厳密な意味での気密でなくてもよく、内圧によりロッド１２を伸展させることができればよい。あるいは、テレスコピックロッド１０内に内圧により膨張する膨張体（不図示）を備えて、膨張体の内圧を高めてもよい。伸展機構４０としては、これらの内圧機構に限られず、電磁的機構でもよく、伸展機構４０については、特に限定はされない。

【0020】

複数のロッド１２には、吸着器２０が固着される。なお、吸着器２０は、テレスコピックロッド１０のロッド１２全てに固着されていなくてもよい。例えば、１つ置きのロッド１２に固着されることでもよい。テレスコピックロッド１０では、すべてのロッド１２に対し、２本のアーム１８が固定され、アーム１８の先端に吸着器２０が固定される。すなわち、１本のロッド１２に対し、２つの吸着器２０が備えられる。このようにすると、図１（ｂ）に示すように、伸展するテレスコピックロッド１０の壁面１００に向かって左右の両方で吸着器２０が壁に吸着するので、安定性が高くなる。しかし、ロッド１２に固定される吸着器２０は１つであってもよく、３つ以上であってもよい。なおアーム１８と吸着器２０の間に支持具２１を備えてもよい。支持具２１を傾斜可能とすると、テレスコピックロッド１０に対し、壁面１００が局所的に傾斜していても、吸着器２０で吸着できるので好ましい。支持具２１を傾斜可能にするための機構は、ユニバーサルジョイント等、公知のものでよい。さらに、支持具２１を僅かに伸縮可能に構成すると、吸着器２０が壁面１００から離れやすくなる。

【0021】

ここで、図２を参照して、吸着器２０について説明する。吸着器２０は、基本的に吸盤である。ただし、ゴムのような弾性により鏡面に吸着する吸盤では、壁面１００等の凹凸により吸着力が弱められ、また、吸着を止めて外すのに大きな力が必要となり、吸着テレスコピックロッド１で用いるのに適していない。そこで、圧縮空気機構としての空気源２２からの圧縮空気を利用して、吸着器２０の吸着および取り外しを行うと共に、ロッド１２の移動時に壁面１００から一定距離浮き上がるように空気を噴出するようにする。

【0022】

すなわち、空気源２２と吸着器２０の間の空気流路に、分岐部２４を備え、分岐された一の流路にはイジェクタ２６を設置し、他の流路には絞り弁２７を設置し、切換え弁２８で２つの空気流路のいずれかを吸着器２０と接続する。イジェクタ２６側に圧縮空気を通すとイジェクタ２６を通過するときに陰圧を生じ、その陰圧を切換え弁２８を介して吸着器２０に伝えることで、吸着器２０は空気を吸引し、壁面１００に吸着する。一方、絞り弁２７側に圧縮空気を通すと絞り弁２７で減圧されて切換え弁２８を介して吸着器２０に送られ、吸着器２０は空気を噴出する。よって、吸着器２０が壁面１００に吸着していても、空気を噴出することでホバークラフト（登録商標）のように、壁面１００から一定距離浮き上がる。イジェクタ２６で陰圧を生じるように空気源２２からの圧縮空気は高圧とされるので、絞り弁２７を用いて減圧して吸着器２０に送るが、構成や用途によっては絞り弁２７はなくてもよい。さらに、吸着器２０から空気流を噴出するために、吸着器２０は壁面１００から一定距離浮き上がろうとする。すなわち、吸着器２０が壁面１００に近ければ噴出した空気流により壁から離れようとするが、壁面１００から離れると噴出した空気流は弱まり、壁面１００から離れようとする力も弱まる。このように、壁面１００から一定距離浮き上がるので、ロッド１２と共に吸着器２０が移動される際に、吸着器２０が壁面とこすれて移動を妨げることも、また、吸着器２０や壁面１００が損傷することも防止することができる。なお、切換え弁２８を切り替えるだけでは、分岐部２４からイジェクタ２６を通る空気流路が常に開放されたままとなるので、分岐部２４とイジェクタ２６の間に仕切弁２５を設ける。あるいは、分岐部２４を切換え弁としてもよい。このような空気流路を、すべての吸着器２０に、あるいは、同じロッド１２に固着される吸着器２０毎に備える。なお、空気源２２は１つで、全ての吸着器２０に圧縮空気を送ることでよい。

【0023】

図１に戻ると、テレスコピックロッド１０の先端のロッド１２－１には、ベース３０からワイヤ５０が接続され、ベース３０方向への張力が掛けられる。ワイヤ５０は壁面１００に向かって左右に２本設けられるのが好ましい。左右に２本のワイヤ５０－１、５０－２を設けることにより、ワイヤの長さを制御することでテレスコピックロッド１０の左右の傾きを調整できるためである。なお、ワイヤ５０の本数は２本に限られず、１本でも、３本以上でもよく、３本以上のワイヤ５０で先端のロッド１２－１に、３方向以上で張力を掛けることで、テレスコピックロッド１０の立体的な姿勢を制御できる。ワイヤ５０は、ベース３０上のリール５２に巻かれて張力を調整し、テレスコピックロッド１０の伸展を制御する。

【0024】

ベース３０は、テレスコピックロッド１０、リール５２、伸展機構４０等を載置するテーブルであり、特に限定はされない。リール５２、伸展機構４０等は、ベース３０とは異なる場所に設置されてもよい。また、ベース３０は、車輪３２を有して、移動可能であってもよいし、床に固定され、例えば台車に乗せて移動するようにしてもよい。

【0025】

次に図４および図５をも参照して、吸着テレスコピックロッド１の伸展について説明する。図４および図５は、吸着テレスコピックロッド１を伸展する状態を示す側面図と正面図であり、（ａ）～（ｄ）は、それぞれ、伸展する前、１本のロッド１２を伸展したところ、２本のロッド１２を伸展したところ、３本全てのロッド１２を伸展したところを示す。なお、ここではロッド１２の本数を４本としているが、ロッド１２の本数は任意である。また、図４および図５では、先端側のロッドから１２－１、１２－２、１２－３、１２－４とする。

【0026】

（ａ）のように、吸着テレスコピックロッド１はテレスコピックロッド１０を収縮した状態で、壁面１００の傍へ移動する。先ず、（ａ）の初期状態から伸展機構４０によりテレスコピックロッド１０の伸展を開始する。例えば、内圧を高め始めることでよい。その際ベース３０に固定されているロッド１２－４の吸着器２０では、イジェクタ２６側に圧縮空気を通して吸着器２０は壁面１００に吸着し、他の吸着器２０では吸着器２０から空気を噴出し、壁から離れるようにする。テレスコピックロッド１０では、内圧が高まることにより、ロッド１２－１、２、３の全てが伸展しようとするが、ワイヤ５０で先端のロッド１２－１に張力が掛けられるので、テレスコピックロッド１０の伸展が抑制される。ここで、ベース３０側のロッドが外側となる入れ子であり、ベース３０側のロッド１２を押し上げる力が強くなる。したがって、まずロッド１２－３が伸展する。ロッド１２－３の外側ストッパ１４がロッド１２－４の内側ストッパ１６に当たるまで伸展する。その際、ワイヤ５０で先端のロッド１２－１に張力を掛けて、急激な伸展を防止すると共に、ロッド１２－３が伸展したところで一時伸展を止めるのがよい。そして、（ｂ）に示すように、ロッド１２－３が伸展したら、ロッド１２－３に固着された吸着器２０では、イジェクタ２６側に圧縮空気を通して吸着器２０を壁面１００に吸着させる。

【0027】

次に、（ｃ）に示すように、ロッド１２－２を同様に伸展させ、その後に（ｄ）に示すようにロッド１２－１を同様に伸展させ、テレスコピックロッド１０の伸展が完了する。このようにテレスコピックロッド１０を伸展させることにより、ロッド１２を伸展させる度に吸着器２０で壁面１００に固定するので、伸展させる際にもテレスコピックロッド１０が安定する。そして、伸展が完了したときには、複数の吸着器２０で壁面１００に固定されるので、安定して高所作業をすることができる。また、伸展する際に、２本のワイヤ５０－１、５０－２でテレスコピックロッド１０の傾きを調整することもできる。

【0028】

テレスコピックロッド１０を収縮する場合には、ロッド１２－１の吸着器２０から空気を噴出させ、ワイヤ５０－１、５０―２で引っ張り、先端のロッド１２－１をロッド１２－２内に収容する。続いて、ロッド１２－２の吸着器２０から空気を噴出させ、ワイヤ５０－１、５０―２で引っ張り、ロッド１２－２をロッド１２－３内に収容し、次に同様にしてロッド１２－３をロッド１２－４に収容することにより、安定した状態のまま、先端側から順次収縮することができる。

【0029】

次に図５を参照して、折り畳みロッド６０を用いた吸着支持伸展ロッド２について説明する。吸着支持伸展ロッド２では、伸展ロッドとして折り畳みロッド６０を用いる点で吸着テレスコピックロッド１と異なる。図５は、折り畳みロッド６０を伸展する状態を示す側面図と正面図であり、（ａ）～（ｅ）は、それぞれ、伸展する前、ベース３０からベース側のロッド６２－４を伸展したところ、２本のロッド６２―４、６２－３を伸展したところ、３本のロッド６２―４、６２－３、６２－２を伸展したところ、４本のロッド６２―４、６２－３、６２－２、６２－１を伸展したところを示す。

【0030】

（ａ）に示すように折り畳みロッド６０では、各ロッド６２が折りたためられた状態、すなわちロッド６２が水平な状態で、ベース３０により吸着支持伸展ロッド２の作業場所へ移動する。伸展機構（不図示）により、（ｂ）に示すようにベース３０からロッド６２－４を伸展させる。すなわち、水平から立ち上げる。ロッド６２－３、６２－２、６２－１もロッド６２－４と共に立ち上がる。ロッド６２－４が伸展すると、ロッド６２－４の吸着器２０を壁に吸着させる。次に（ｃ）に示すようにロッド６２－３を伸展させ、ロッド６２－３の吸着器２０を壁に吸着させる。次に、（ｄ）に示すようにロッド６２―２を伸展させ、ロッド６２－２の吸着器２０を壁に吸着させ、次に、（ｅ）に示すようにロッド６２―１を伸展させ、ロッド６２－１の吸着器２０を壁に吸着させる。

【0031】

このように、伸展ロッドとして折り畳みロッド６０を用いても、ベース側から順次ロッド６２を伸展させ、吸着器２０を吸着させることにより、安定して折り畳みロッド６０を伸展させると共に、伸展が完了して高所作業を行うときにも安定させることができる。

【0032】

なお、図５では、各ロッド６２に１つの吸着器２０が固着されるように示したが、２つ以上の吸着器２０が固着されてもよく、また、ロッド６２の全てに吸着器が固着されなくてもよい。ロッド６２の数も４には限られない。

【0033】

また、図３を参照して、吸着器２０とは別の、ホットボンドとして販売されているようなホットメルト接着剤７２が塗布された平板７１で吸着し、ホットメルト接着剤７２の温度を制御する温度制御装置を備えた吸着器７０について説明する。ホットメルト接着剤７２は、加温することにより流動性を有し、温度低下することにより硬化するものであればよい。なお、ホットメルト接着剤７２が常温で十分な強度に硬化する場合には、低温は常温でよく、温度制御装置７４は加温装置でよい。すなわち、温度制御装置７４として、ヒータ７６、電源７７およびスイッチ７８を備えていればよい。さらに、高温の温度を一定意に辞するためのサーモスタット（不図示）を備えてもよい。温度制御装置７４全体を内蔵してもよいし、図３に示すように、電源７７およびスイッチ７８は外部に設置されてもよい。このような吸着器７０では、壁面に吸着させるとき、および、取り外すときにホットメルト接着剤７２を高温にして流動性を高め、ロッド１２，６２を移動しているとき、および、吸着している状態ではホットメルト接着剤７２を低温にすればよい。このように簡易な構造で、吸着器はロッド１２、６２の移動の妨げとならず、壁面１００に吸着できる吸着支持伸展ロッド１、２となる。

【0034】

伸展ロッドとして、テレスコピックロッド１０および折り畳みロッド６０を例にして説明したが、他の公知の伸展可能なロッドを用いてもよい。

【符号の説明】

【0035】

１ 吸着テレスコピックロッド（吸着支持伸展ロッド）
２ 吸着支持伸展ロッド
１０ テレスコピックロッド（伸展ロッド）
１２（１２－１、１２－２、１２－３、１２－４） ロッド
１４ 外側ストッパ
１６ 内側ストッパ
２０ 吸着器
２１ 支持具
２２ 空気源（圧縮空気機構）
２４ 分岐部
２５ 仕切弁
２６ イジェクタ
２７ 絞り弁
２８ 切換え弁
３０ ベース
３２ 車輪
４０ 伸展機構
５０（５０－１、５０－２） ワイヤ
５２ リール
６０ 折り畳みロッド（伸展ロッド）
６２（６２－１、６２－２、６２－３、６２－４） ロッド
７０ 吸着器
７１ 平板
７２ ホットメルト接着剤
７４ 温度制御装置
７６ ヒータ
７７ 電源
７８ スイッチ
１００ 壁面

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】