IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ショウエイの特許一覧

<>
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図1
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図2
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図3
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図4
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図5
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図6
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図7
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図8
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図9
  • 特開-カートリッジろ過装置システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160974
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】カートリッジろ過装置システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 27/00 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
B01D27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021088792
(22)【出願日】2021-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】593211382
【氏名又は名称】株式会社ショウエイ
(72)【発明者】
【氏名】辻 永
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA02
4D116AA12
4D116BB01
4D116BC13
4D116BC44
4D116BC47
4D116BC75
4D116BC76
4D116BC77
4D116DD05
4D116EE02
4D116EE12
4D116FF15B
4D116FF16B
4D116GG01
4D116KK04
4D116QA13C
4D116QB32
4D116QB43
4D116QC02A
4D116QC04
4D116QC05A
4D116QC08A
4D116QC12A
4D116QC13A
4D116RR01
4D116RR04
4D116RR16
4D116UU14
4D116UU15
4D116VV07
(57)【要約】
【課題】設置面積が小さく軽量で、施設内外から監視可能な浴槽及びプール向けろ過装置を提供する。
【解決手段】ろ過材としてプリーツ型カートリッジを使用し、ろ過装置本体及びろ過材のケーシングを樹脂で成形する。本体の直胴部は筒状体とし、積み重ねることで上方向に寸法が可変である。直胴部1段に対しカートリッジろ過材を1個収め、カートリッジも積み重ねることで、直胴部の段数に応じたろ過材量及びろ過面積となる。浴槽にも使用できるよう、前記プリーツ型カートリッジは逆洗浄可能なようにフィルタ表面で懸濁物質をせき止めるようにろ過する。機器の運転状況は、ろ過装置の制御盤内に設けられたサーバへネットワークを介して接続することで、情報端末から監視可能である。異常が発生した際は、警報をメールで指定した端末へ通知することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴又は遊泳用の水槽に使用されるカートリッジろ過装置であって、ろ過材が、逆洗浄可能なプリーツ型カートリッジであり、ろ過装置の制御盤で運転に必要な情報を取得し、前記情報を制御盤に設けたデータサーバへ保存するとともに、インターネットブラウザ機能を持った情報端末からローカルエリアネットワーク及びインターネットを介して前記データサーバへ接続することでろ過装置の運転状況を監視可能であることを特徴とする、逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項2】
前記運転に必要な情報は、水温、装置内圧力、塩素濃度、であることを特徴とする、請求項1に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項3】
前記運転に必要な情報として更に、水槽の水位、警報、ポンプが運転中か否か、ろ過運転中か逆洗浄運転中か、自動運転中か手動運転中か、を取得することを特徴とする、請求項1乃至請求項2に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項4】
前記警報は、前記制御盤に予め設定された値範囲から外れたときに発せられることを特徴とする、請求項3に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項5】
前記警報は、前記データサーバに予め設定された値範囲から外れたときに発せられることを特徴とする、請求項3に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項6】
前記警報が発せられたとき、前記データサーバから予め設定された電子メールアドレスへ警報内容を送信することを特徴とする、請求項3乃至請求項5に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項7】
前記運転に必要な情報として更に、濁度及び色度を取得することを特徴とする、請求項1乃至請求項6に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項8】
前記運転に必要な情報として更に、水素イオン濃度、電気伝導率、酸化還元電位、を取得することを特徴とする、請求項1乃至請求項7に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項9】
前記運転に必要な情報として更に、補給水量を取得することを特徴とする、請求項1乃至請求項8に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項10】
前記逆洗浄可能なプリーツ型カートリッジは、不織布又はろ紙の長尺なシートを短辺と平行に山折りと谷折りを長辺方向に繰り返したものを折目を軸方向とした筒状に綴じ、前記筒の外径と略同径の円盤の中央に前記筒の内径と略同径の円形の穴を設けたものを前記筒の端板とすることで構成され、前記シートは、片面の繊維密度が濾過目的である懸濁物質がシート内部へ入り込めない程度に密であり他面側へ向けて次第に疎になる断面構造をもち、ろ過時は繊維密度が密の面から疎の面に向けて通水させることで密の面の表面で懸濁物質をろ過し、逆洗浄時は繊維密度が疎の面から密の面に向けて通水させることで密の面の表面の懸濁物質を除去することを特徴とする、請求項1乃至請求項9に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項11】
前記逆洗浄可能なプリーツ型カートリッジは、更に、フィルタ外周に通水用の開口部を設けた支持筒体と、フィルタ内周に通水用の開口部を設けた支持筒体と、をもつことを特徴とする、請求項1乃至請求項10に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【請求項12】
前記逆洗浄可能なプリーツ型カートリッジを収めるろ過タンクは樹脂成形され、少なくとも、上底が開放されるとともに水の出入口を側面にもち上底から水の出入口へ誘導する集水板をもつ最下段筒体と、上底と下底が開放されており前記プリーツ型カートリッジの高さと略同じ高さと前記プリーツ型カートリッジの外径よりやや大きい内径とをもつ中段筒体と、底辺が開放されるとともに頂部に水の出入口をもつ最上段筒体と、前記プリーツ型カートリッジの内径と略同径の円形通水部をもち前記最下段筒体と前記中段筒体との間に設けられる円盤状の中板とに分かれ、夫々の間にパッキンを挟みながらボルトナットで固定する構造となっており、更に、前記中段筒体1段に前記プリーツ型カートリッジ1個を収める構造となっており、前記中段筒体を積み重ねることで収納可能な前記プリーツ型カートリッジの個数を増やすことができることを特徴とする、請求項1乃至請求項11に記載の逆洗浄可能なカートリッジろ過装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽又はプールに供されるカートリッジろ過装置を使用したろ過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に都市部に於いて高層ビルの上階に宿泊施設が開かれることが増えている。このような施設には、大浴場や宿泊者向けプール施設などが設けられることが多く、それらの水槽の浄化を目的として、ろ過装置が併設される。このような施設では、ろ過装置関連の問題として、大きくは以下の2点が挙げられる。一つは設置場所に関して設置面積や重量の問題、二つめは管理に割く人員の問題である。
【0003】
一つめの設置場所に関して詳しくは、次の通りである。上層階に浴槽やプールを設ける場合、ろ過装置も同じか近傍の階に設けるのが普通である。すると、設置面積が限られていたり、建築物躯体の耐荷重の都合でなるべく軽量な装置を望まれたり、重労働であるろ過材の交換に苦慮したりする。
【0004】
二つめの人員に関しては、次の通りである。経営効率化のため人員を少人数にしている場合は、機器の管理者がフロントなど他業務との兼任になっていることが多く、機器に異常があったときに気づくのが遅れてしまうこともある。また、管理者が交代する際、十分に引き継ぎができておらず異常な状態がわからなかったり対応方法が不明で処置が遅れることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、設置面積が小さく軽量でろ過材の交換が簡単な浴槽及びプール向けろ過装置を、機器の運転状況監視システムとともに提供することで管理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、本発明は、カートリッジろ過方式を採用する。一般的な砂ろ過方式ではろ過材交換のために使用済みのろ過砂やろ過砂利を取り出すのにスコップなどを使用して手作業で行うが、時間と体力を大きく消費する。大型の場合はバキュームカーも使用できるが、本発明で想定している設置場所はビルの上層階であるため、バキュームカーの進入は困難である。対してカートリッジろ過材を取り外すのに大掛かりな作業は不要である。
【0007】
装置に異常があったとき、その場にいない従業員や保守請負会社が素早く気づくためには、装置から離れた場所でも異常を監視できるシステムが必要である。本発明では、制御盤で収集した装置の運転情報をインターネット上のデータサーバへ蓄積しておき、情報端末から前記データサーバへ接続することで、装置の現在状態や運転状況の履歴を監視することができる。前記データサーバでは、運転状況をウェブページ形式で表示させるので、前記情報端末として、インターネットブラウザの機能を持つ一般的なものとして、パソコンやタブレット端末、スマートフォン等を利用可能である。
【0008】
しかし、段落番号0007の方法だけでは、管理者が能動的に前記データサーバへアクセスしない限り異常を把握することができない。そこで、異常が発生したときには、前記データサーバから予め設定された情報端末へ異常を知らせる。この方法を電子メール送信によるものとすれば、前記情報端末を交換してもメールアドレスが変わらなければ引き続き受信することができるし、メールアドレスが変わったときもデータサーバの設定を変更するだけでよく、特別なアプリケーション等を情報端末にインストールするなどの方法と比べて手間が少ない。
【0009】
機器の異常は、一般的には、制御盤に予め設定された値の範囲を逸脱した場合に発生と判断され、警報が発せられる。しかし、段落番号0004で述べたように前任者からの引き継ぎが十分でないなどの未熟な管理者が、制御盤に設定された値の範囲を意図せず又は意味を理解できず変更してしまい、本来警報が発せられるべき値にあっても通知されない可能性もある。これを防ぐため、前記データサーバにも値の範囲を設定しておき、制御盤で異常と判断されない場合でも、データサーバに於いて異常と判断されれば警報を発することができるようにする。このためには、初期設定の時点で制御盤とデータサーバ双方で値の範囲を同じ設定にしておくことと、値の範囲の変更が必要となった場合には制御盤とデータサーバ双方で変更することが必要である。
【0010】
ところで、浴槽向けろ過装置の選定にあっては、厚生労働省の指針にて1週間に1回以上ろ過タンクを十分に逆洗浄して懸濁物質を排出することが求められている。従来のカートリッジろ過材では、ろ過材の繊維内部に懸濁物質が入り込み、逆洗浄で浄化するのは困難であった。そこで本発明では、カートリッジを、長尺の不織布又はろ紙をろ過材とし折り目が短辺と平行になるよう蛇腹状に折りたたみ、短辺を軸方向として筒状に成形して得られるプリーツ型カートリッジとし、ろ過材のろ過面にあたる側の繊維密度を密にして繊維間の隙間を小さくすることで、繊維の隙間で絡め捕るのではなく懸濁物質が繊維を通過しないようにしてろ過材表面でろ過を行う。入浴及び遊泳用水中の懸濁物質は主に垢など生物由来の有機物であり、水分子より分子量が大きいため可能である。このとき、水を逆流させると表面の懸濁物質が剥落し逆洗浄の効果が発揮されるので、浴槽にも本発明は適用可能である。本発明では、繊維が密の面の対面を疎としているが、これにより、繊維の密度が絞りの役割を果たして流速が増すため、逆洗浄の効率も良くなる。
【0011】
砂ろ過方式との比較では、砂ろ過方式ではろ過材の表面から約300mm程度の深さでろ過していると言われており、ろ過能力を大きくするためにはタンクの直径を大きくしてろ過面積を増やす必要がある。つまり、砂ろ過方式でろ過能力を増やそうとすると機器が大きくなってしまう。本発明では、本体をパーツに分け、直胴部のパーツを積み重ねることで本体を縦方向にのばすことができる。前記プリーツ型カートリッジの外径はろ過タンクの内径よりやや小さい程度の寸法で、上下のカートリッジ端板とフィルタ外周支持筒体及びフィルタ内周支持筒体とで構成されるケーシングにより堅強なため、直胴部1段に対しプリーツ型カートリッジ1段として上方向に積み重ねることができる。これにより、本体内部に収めるプリーツ型カートリッジの数を増やすことができ、設置面積を変えずにろ過面積を増やすことが可能である。なお、設置場所や安全上の問題から積み重ねる段数が不足してしまう場合は、設置面積は大きくなってしまうが、一般的なろ過装置と同じように、ろ過タンクを複数台設けて並列運転することも可能である。
【0012】
軽量という点では、ろ過材の重量はろ過装置本体を樹脂で成形し、本発明のカートリッジのケーシングも樹脂とすることで、金属製タンクと比較して軽量となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明を実施すると、設置面積を小さく軽量化でき、施設運営時の管理も容易になる。
【0014】
段落番号0013で述べた効果のほか、本発明では、砂ろ過装置と比較して逆洗浄の所要時間も短くて済む。逆洗浄は、ろ過材に対してろ過と逆の方向に水を流してろ過材を洗浄することであるが、砂ろ過装置では逆洗浄時にろ過砂を水流によって浮かせて粒子同士の距離を十分に大きくすることで、粒子の間隙で捕捉していた懸濁物質を除去する。このため、数分から十数分程度の時間が必要である。それに対し本発明では、ろ過材表面に付着した懸濁物質を水流で落とすだけで良く、数十秒程度で完了する。逆洗浄に使用した水は多くの汚れを含むため再利用せず排水するので、逆洗浄にかかる時間が長いほど排水量が多くなり、短いほど少なくなる。排水した分だけ水を補給する必要があり、浴槽や温水プールでは適温にするための燃料費も必要となるので、逆洗浄時間が短くなるほど省コスト化、省エネルギー化、二酸化炭素排出量の削減を図ることができ、経済的でありながら環境への配慮もできるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の構成図である。
図2図2は、本発明の運転情報の流れを示した図である。
図3図3は、逆洗浄可能なプリーツ型カートリッジを収めるろ過タンクの正面図である。
図4図4は、図3の正面断面図を更に展開したものである。
図5図5は、図3の左側面断面図を更に展開したものである。
図6図6は、逆洗浄可能なプリーツ型カートリッジを収めた状態のろ過タンクの正面断面図である。
図7図7は、図6の正面断面図の展開図である。
図8図8は、図7のろ過タンクのA-A断面図である。
図9図9は、ろ過運転中のフィルタ厚み方向断面図である。
図10図10は、逆洗浄運転中のフィルタ厚み方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面とともに説明する。
【実施例0017】
図1は、本発明の構成図である。本発明のろ過装置は、符号10のろ過タンクを中心に符号20のセンサ類、符号30の配管上機器、符号40の制御盤と、一般にろ過ユニットで使用される集毛器や熱交換器などで構成される。符号20のセンサ類には、符号21の水位センサ、装置内圧力を取得する符号22の圧力センサ、水温を取得する符号23の温度センサ、符号24の水質測定器、補給水量を取得するために補給水配管上に取り付けられている符号25の流量センサが含まれる。水質測定器とは、請求項2でいうところの塩素濃度を測定する機器や、請求項4でいうところの濁度及び色度を測定する機器や、請求項8でいうところの水素イオン濃度、電気伝導率、酸化還元電位を測定する機器を指す。塩素濃度、濁度、色度、水素イオン濃度、電気伝導率、酸化還元電位を測定する機器は夫々別の機器でも良いし、一体となっていても良い。また、符号30の配管上機器には、符号31のポンプと符号32の切替弁とを含む。これらは、符号40の制御盤によって制御されている機器である。本発明のろ過装置は、符号51の施設内ネットワークを介して符号52のインターネットに接続される。インターネットには、符号60のデータサーバも接続されている。前記データサーバを置く保守請負会社では、利便性やセキュリティの観点からローカルエリアネットワークを組んでいる可能性が高いことから、図1でも符号53の保守請負会社内ネットワークとして表しているが、直接インターネットにつながっていても本発明の効果を得ることはできる。また、保守請負会社内に監視用の端末として符号73の保守請負会社監視用情報端末を置いているが、こちらも必須ではない。
【0018】
本発明の運転情報の流れは、図2を用いて説明する。符号40の制御盤は、運転中は常に符号20のセンサ類で取得した情報を収集している。また、符号30の配管上機器の制御を行う上で各機器の状態も取得している。この他、運転制御が自動なのか手動なのか、運転中なのか停止中なのかといった装置全体の状況や警報の状態も、一般的なろ過装置と同じように取得している。これらの運転情報は、符号51の施設内ネットワークを介して符号52のインターネットに接続され、符号53の保守請負会社内ネットワーク上にある符号60のデータサーバへ蓄積される。このとき、制御盤から情報をインターネット送信するのに施設内ネットワークを介しているのは、本発明のために新たに回線を契約しないで済むようにするためである。符号70の情報端末を用いてろ過装置の運転状況を監視する場合は、前記情報端末のインターネットブラウザ機能を利用し、インターネットを介して前記データサーバへ接続して前記データサーバ上の表示用ウェブページを表示する。前記情報端末の図は一例で、デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォンなど、インターネットに接続でき、インターネットブラウザ機能を持つものであればどのような形の物でも良い。また、符号71の施設内で利用している情報端末は施設内ネットワークを介してインターネットへ接続しているが、それ自身が通信回線を有している場合は、符号72の施設外で利用している情報端末と同じように直接インターネットへ接続しても良い。また、前記表示用ウェブページは、セキュリティの観点から、パスワード等による認証機能を備えていると良い。
【0019】
前記制御盤は、符号41で示すように制御盤に記録された設定値を持っている。これは、正常な場合に測定値が示す値の範囲である。各測定値が前記制御盤に記録された設定値を逸脱した場合に異常と判断され警報が発せられる。これがデータサーバへ送られると、前記データサーバは、予め設定されたメールアドレスへ電子メールを送信し、警報内容を伝える。図2では、符号45で表されている。
【0020】
前記データサーバにも、段落番号0019の制御盤のように正常な場合に測定値が示す値の範囲を持つ。データサーバに記録された設定値は、符号61で表される。前記データサーバに記録された設定値は、前記制御盤に記録された設定値と同じ値の範囲を設定するが、誤って前記制御盤に記録された設定値を不正な範囲に設定してしまったときのバックアップとして存在する。データサーバに記録された設定値は保守請負会社のみが変更できるので、測定値が前記データサーバに記録された設定値を逸脱しているのに制御盤から警報が発せられていないときは、前記制御盤に記録された設定値が正常でない手順で変更されたことを示す。このとき、前記データサーバは独自に警報を発し、予め設定されたメールアドレスへ電子メールを送信し、警報内容を伝える。前記データサーバが発した警報の電子メールは、符号65で示されている。
【0021】
なお、段落番号0019乃至0020の説明に関して、図2の情報端末のうち、前記警報の電子メールを受け取っているものと受け取っていないものが記されているが、これは、前記データサーバにメールアドレスが設定されているものと設定されていないものがあることを示している。つまり、監視画面の閲覧は表示用ウェブページのアドレスと認証用パスワード等を知っていればインターネットブラウザ機能を持つどの情報端末を使用しても可能だが、警報の電子メールは前記データサーバに予め設定されたメールアドレスを受信する設定がなされている情報端末のみで受信可能ということである。
【0022】
本段落からは、本発明の一部であるろ過タンクについて説明する。前記ろ過タンクは、大きく本体最下段筒体、中板、本体中段筒体、本体最上段筒体、とで構成され、ボルトナット等で固定することで筒体の形となる。その部分を次の3つの図面で説明する。図3は、逆洗浄可能なプリーツ型カートリッジを収めるろ過タンクの正面図であり、図4は、図3の正面断面図を更に展開したものである。符号111の本体最下段筒体は構造が分かりにくいため、更に図5にて図3の左側面断面図を更に展開したものを示している。本体最下段筒体の内部は、符号112の下部通水口に向けて鏡板状になっている。なお、図4以降の断面図に於いて、前記ろ過タンクを筒体の形に構築するために使用されるボルトナットは、視認性を優先するため一部を除き省略されている。
【0023】
前記ろ過タンクの最下部は、符号111の本体最下段筒体と符号121の中板と、漏水を防ぐために間に挟むパッキンとで構成される。実施例では、ろ過タンクを水密にするために用いるパッキンを符号151のOリングとしているので、以後ろ過タンクに使用されるパッキンをOリングと呼ぶ。前記中板は、カートリッジを支持する目的と、水が確実にカートリッジを通過するよう、フィルタ以外の部分を覆う目的で設ける。このとき、中板の中心にはカートリッジの内径と同じ径の穴が開けられており、その中心に符号171の芯棒が、符号122の芯棒係止部品を介して取り付けられている。前記芯棒係止部品は、前記中板中心部の穴の直径方向に取り付けられた棒状の部品で、中板中心部の穴を完全にふさいでしまわないようになっている。本実施例では、前記中板中心部の穴の直径に重なるよう取り付けられた角棒となっている。また、前記中板中心部の穴を取り囲むように、符号172のガイド棒が複数本円形に取り付けられる。前記ガイド棒は、カートリッジの外径よりやや大きい円を描くよう配設される。前記芯棒と前記ガイド棒は、ろ過タンクの直胴部よりやや上までの高さになる長尺で、少なくとも上端はオネジとなっている。符号145の頂部通水口をもつ符号141の本体最上段筒体は、本体最下段筒体と同じように、Oリングを挟んで本体中段筒体に固定される。ろ過タンクの直胴部は、他の部分と同じようにOリングを挟みながら、符号131の本体中段筒体を積み重ねることで、直胴部寸法を伸ばすことができる。
【0024】
図6は、逆洗浄可能なプリーツ型カートリッジを収めた状態のろ過タンクの正面断面図であり、図7は、図6の正面断面図の展開図である。また、図8は、図7のろ過タンクのA-A断面図である。本実施例では、前記ケーシングは符号166で表される上下のカートリッジ端板と符号167のフィルタ外周支持筒体と符号168のフィルタ内周支持筒体とで構成される。前記ケーシングは、積み重ねた時の重力でフィルタが変形しないようにするためと、ろ過及び逆洗時の水圧に耐えられるようにするために用いる。軽量化のため、前記プリーツ型カートリッジのケーシングは樹脂製である。また、前記ケーシングは図6及び図7の断面部分に示す通り補強のため曲げ形状をしているが、視認性を優先し、フィルタ内周支持筒体が見える部分に於いて凹凸の線は省略している。
【0025】
ろ過タンクの内部に納める前記プリーツ型カートリッジは、略本体中段筒体の高さと同寸法の高さをもち、互いの間及び中板との間に符号152のパッキンを挟みながら、塔内のガイド棒に囲まれた空間へ収める。前記パッキンはプリーツ型カートリッジの外径と略同径の円盤状で、前記プリーツ型カートリッジの内径と略同径の穴を持つ。水密性を高めるためにリング状の凸部を持っていても良い。前記プリーツ型カートリッジと前記円盤状のパッキンとをひと組として、本体中段筒体の段数と同じ組数を収める。最上段まで積み上げたところで、前記円盤状のパッキンを挟んで符号173のカートリッジ押え板を重ねる。前記カートリッジ押え板にはボルト穴があり、前記芯棒と前記ガイド棒を通してナットで締める。こうすることで、積み上げたプリーツ型カートリッジの上部に蓋をすることができ、水が確実にカートリッジを通過する。また、プリーツ型カートリッジの設置枠である前記ガイド棒を固定することで、前記円盤状のパッキンも含めて前記プリーツ型カートリッジが動かないよう固定することができる。但し、前記プリーツ型カートリッジを固定する方法及び上部に蓋をする方法は本発明の本質ではなく、他の方法によっても良い。
【0026】
ろ過タンク内で通水可能な箇所は、前記プリーツ型カートリッジと前記円盤状のパッキンを積み上げてできた内部の空間である符号169のカートリッジ内部空間と、前記プリーツ型カートリッジ前記本体中段筒体との間及び前記本体最上段筒体内の空間である符号132の筒体内部空間である。段落番号0025で構造を説明したように、前記フィルタと前記筒体内部空間との間は、前記プリーツ型カートリッジを通過しないと行き来できないようになっている。
【0027】
水が前記プリーツ型カートリッジを通過する際は、その構成要素であるフィルタを断面方向に通過する。その様子を表したものが、図9のろ過運転中のフィルタ厚み方向断面図及び図10の逆洗浄運転中のフィルタ厚み方向断面図である。符号165がフィルタで、断面図となっていることで繊維の密度が密の面と疎の面とになっていることがわかる。符号90の物質は、懸濁物質である。また、符号80の矢印は水流を表している。
【0028】
前記フィルタの断面は、繊維の密度が密の面から段階的に疎の面になっている。密度が密の面は、表面が平滑でフィルタ内面へ入り込める大きさの隙間は殆どない。ろ過時は、図9のように、前記フィルタの密の面から疎の面へ向けて通水する。すると、懸濁物質はフィルタ内面へ入り込めずフィルタ表面に蓄積され、水だけが通過しろ過される。この仕組みのため、ろ過性能は比較的高い。逆洗浄の際は、図10のように、フィルタの疎の面から密の面へ向けて通水することで、蓄積されていた懸濁物質が洗浄される。懸濁物質はフィルタ内面まで入り込んでいないので、洗浄は短時間で済む。一例でいえば、砂ろ過で逆洗浄を約5分掛けていたところ、本発明では約30秒程度で可能となった実績がある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、都市部の高層ビル上階に設けられた宿泊施設向け浴槽やプールを想定した内容となっているが、設置場所を問わず、浴槽やプール設備であれば対応可能である。
【0030】
但し、水質は上水又はそれに準じた水とし、温泉水などの含有成分が多い水には適さない。これは、懸濁物質とともに水中の含有成分も蓄積されることでろ過能力が落ちたり、水に溶解した含有成分がフィルタ表面を通過した後に他成分と化学反応を起こして析出しフィルタ内部に留まったりすることが考えられるためである。
【符号の説明】
【0031】
10 ろ過タンク
111 本体最下段筒体
112 下部通水口
120 中板組
121 中板
122 芯棒係止部品
130 中段組
131 本体中段筒体
132 筒体内部空間
140 最上段組
141 本体最上段筒体
145 頂部通水口
151 Oリング
152 パッキン
160 カートリッジ1段組
161 プリーツ型カートリッジ
165 フィルタ
166 カートリッジ端板
167 フィルタ外周支持筒体
168 フィルタ内周支持筒体
169 カートリッジ内部空間
171 芯棒
172 ガイド棒
173 カートリッジ押え板
20 センサ類
21 水位センサ
22 圧力センサ
23 温度センサ
24 水質測定器
25 流量センサ
30 配管上機器
31 ポンプ
32 切替弁
40 制御盤
41 制御盤に記録された設定値
45 制御盤が発した警報による警報メール
51 施設内ネットワーク
52 インターネット
53 保守請負会社内ネットワーク
60 データサーバ
61 データサーバに記録された設定値
65 データサーバが発した警報による警報メール
70 情報端末
71 施設内で利用している情報端末
72 施設外で利用している情報端末
73 保守請負会社監視用情報端末
80 水流
90 懸濁物質
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10