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特開2022-160976酵素複合材料及びその製造方法と使用方法
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  • 特開-酵素複合材料及びその製造方法と使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022160976
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】酵素複合材料及びその製造方法と使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 11/06 20060101AFI20221013BHJP
   C12P 5/00 20060101ALI20221013BHJP
   C12N 9/00 20060101ALN20221013BHJP
【FI】
C12N11/06
C12P5/00
C12N9/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021095661
(22)【出願日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】202110371990.X
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521247836
【氏名又は名称】浙江工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】成卓韋
(72)【発明者】
【氏名】陳建孟
(72)【発明者】
【氏名】王家徳
(72)【発明者】
【氏名】於建明
(72)【発明者】
【氏名】陳東之
(72)【発明者】
【氏名】趙景開
【テーマコード(参考)】
4B033
4B050
4B064
【Fターム(参考)】
4B033NA02
4B033NA22
4B033NB13
4B033NC05
4B033ND04
4B033ND08
4B033NG09
4B033NH09
4B033NH10
4B050CC02
4B050DD01
4B050EE01
4B050LL05
4B064AB05
4B064AB08
4B064CA21
4B064CA31
4B064CA33
4B064DA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハロアルカン汚染物質の分解等に使用できる酵素複合材料、その製造方法および使用方法を提供する。
【解決手段】ジアゾールリガンドを水と混合し、酵素液を加え、架橋剤を添加し、25℃の下で5~25min架橋反応させた後、硝酸亜鉛六水和物水溶液を加え、室温で30~150min磁力を利用して攪拌子を回転させ、4℃の下で12h静置し、反応混合液の遠心を行い、沈降乾燥させることで得られる酵素複合材料であって、前記ジアゾールリガンドは、2-メチルイミダゾール又は2-アミノベンズイミダゾールの一種又は二種であり、前記架橋剤はグルタルアルデヒドである、酵素複合材料を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の方法により製造されることを特徴とする酵素複合材料。
ジアゾールリガンドを水と混合し、酵素液を加え、架橋剤を添加し、25℃の下で5~25min架橋反応させた後、硝酸亜鉛六水和物水溶液を加え、室温で30~150min磁力を利用して攪拌子を回転させ、4℃の下で12h静置し、反応混合液の遠心を行い、沈降乾燥させることで、酵素複合材料が得られ、前記ジアゾールリガンドは、2-メチルイミダゾール又は2-アミノベンズイミダゾールの一種又は二種であり、前記架橋剤はグルタルアルデヒドである。
【請求項2】
前記ジアゾールリガンドは、2-アミノベンズイミダゾールと2-メチルイミダゾールの物質量の比1:4-19に基づいて混合したものであり、或いは2-アミノベンズイミダゾールであることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料。
【請求項3】
前記ジアゾールリガンドの総物質量と、硝酸亜鉛六水和物水溶液における硝酸亜鉛六水和物の物質量の比は1:0.05-0.25であり、前記酵素液における酵素質量の添加量は、ジアゾールリガンドの総物質量に対して計上すると、100-500mg/molであり、前記グルタルアルデヒドの添加容積の終濃度は0.5-2.0%であることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料。
【請求項4】
前記水の容積添加量は、ジアゾールリガンドの総物質量に対して計上すると、300-800 mL/molであることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料。
【請求項5】
前記架橋反応とは、25℃の下で20min反応させることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料。
【請求項6】
前記反応混合液の遠心及び沈降乾燥とは、反応混合液が4℃、6000-8000rpmの下で、20-30min遠心を行い、収集してから沈降させ、続いて超純水を使って2-3min洗浄した後、遠心分離させて、2-3回繰り返し、0.05MPaの下で、8h真空乾燥を行った後、酵素複合材料が得られることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料。
【請求項7】
前記酵素液は以下のプロセスにより製造されることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料。
まずステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)(中国の保存番号CCTCCNO:M 20191025)をLB固体培地に接種し、30℃のインキュベーターで培養することで、斜面培地が得られ、5g/L酵母エキスと、10g/L NaNO3と、10g/Lペプトンと、18g/L寒天と、pH の調整自体が不要で、溶剤が脱イオン水である条件で、LB固体培地を作り、斜面培地をLB液体培地に接種し、30 ℃の下で、160rpm振とう機にて24h培養し、培養液を4℃、8000rpmの下で20min遠心し、収集してから沈降させた後、0.05MでPHが7.0であるリン酸緩衝液を使って3min洗浄してから遠心分離させて、3回繰り返して、超音波細胞破砕機により、洗浄後の菌液を400Wで、3秒超音波処理してから2秒間欠、99回繰り返した条件で、細胞を破砕した後、4℃、8000rpmの下で、30min遠心を行い、上澄み液を取って酵素液であり、5g/L酵母エキスと、10g/L NaNO3と、10g/Lペプトンと、pH の調整自体が不要で、溶剤が脱イオン水である条件で、LB液体培地を作る。
【請求項8】
ハロアルカン汚染物質の分解への使用方法であって、前記請求項1に記載の酵素複合材料を前記ハロアルカン汚染物質の分解に用いることを特徴とするハロアルカン汚染物質の分解への使用方法。
【請求項9】
前記使用方法は、酵素複合材料を触媒とし、ハロアルカンを基質とし、PH7.0で、0.05Mのリン酸緩衝液を反応媒体とし、25℃水浴で、150rpmの下で反応させて、ハロアルカンを分解することを特徴とする請求項8に記載の酵素複合材料がハロアルカン汚染物質の分解への使用方法。
【請求項10】
前記触媒の添加量は、緩衝液の容積に対して計上すると、0.01-0.1 g/mlであり、前記基質の添加終濃度は5-15 mg/Lであることを特徴とする請求項9に記載の酵素複合材料がハロアルカン汚染物質の分解への使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合材料の製造技術の分野に関し、具体的には、酵素@ZIF-8-NH2複合材料及びその製造方法と使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素というものは、極めて重要な生体高分子の一つであり、効率的な触媒性能及び高触媒特異性を持つ生体触媒の一つであるが、そのタンパク質は不活化になりやすく、安定性が低く、価格が高いながらリサイクルが難しいため、酵素の工業への応用は極めて制限されている。
【0003】
酵素の固定化とは、酵素を一つの特別な区域に固定したが、依然として特別な触媒反応が起こることが可能であり、遊離酵素と比べて、固定化酵素は、酵素の高効率や、特異性等のメリットを維持しながら、また高い安定性、容易に分離・リサイクル可能、連続操作・制御可能等一連のメリットを呈する。多くの固定化材料の中で、金属有機構造体(Metal Organic Framework、略称MOF)は高表面積や、粒径のサイズが調整可能等のメリットを有し、固定化酵素の良好な担体である。その中で、ゼオライトイミダゾレート骨格-8 (ZIF-8)は温和な合成条件、高い化学的・熱的安定性及び優れた生体適合性を有する。水に溶ける条件の下で、リガンド溶液と、酵素液と、金属塩溶液を混合することで酵素をZIF-8内にその場で被覆する。
【0004】
上記の通り、ZIF-8により、酵素を保護できるため、不活化になりやすい酵素の環境への適応能力を大いに向上させ、酵素の漏出を減少し、酵素の安定性を高める。ZIF-8を使う場合、異なる有機リガンドを選択して、リガンドにおける官能基を導入し、固定化酵素の構造をより安定させ、ZIFs材料の比表面積を上げ、基質との接触面積を拡大する。色々な書類及び文献を調べたところ、今までMOF固定化微生物酵素を記載する関連報道を見つけなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、酵素@ZIF-8-NH2複合材料及びその製造方法とハロアルカン汚染物質の分解への使用方法を提供することを目的とし、担体に新しい有機リガンド及びアミノを導入し、酵素@ZIF-8-NH2複合材料を製造し、化学架橋や、物理被覆方法を採用し、固定化酵素と組み合わせることで、酵素活性及び安定性を向上させ、従来の微生物によりハロアルカンのような汚染物質を分解するには、長い時間がかる一方、効率が低いなどのデメリットと比べて、本発明で提供する酵素@ZIF-8-NH2複合材料により、比較的に短い時間内にハロアルカンのような分解しにくい汚染物質を効率的に、迅速に分解できるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を実現するために、本発明の使用する技術的な解決方案は以下の通りである。本発明は酵素複合材料、特に酵素@ZIF-8-NH2複合材料を提供し、前記複合材料は以下の方法により製造される。ジアゾールリガンドを水と混合し、酵素液を加え、架橋剤を添加し、25℃の下で5~25min架橋反応させた後、硝酸亜鉛六水和物水溶液を加え、室温で30~150min磁力を利用して攪拌子を回転させ、4℃の下で12h静置し、反応混合液の遠心を行い、沈降乾燥させることで、酵素複合材料、即ち酵素@ZIF-8-NH2複合材料が得られる。前記ジアゾールリガンドは、2-メチルイミダゾール又は2-アミノベンズイミダゾールの一種又は二種である。前記架橋剤はグルタルアルデヒドである。
【0007】
さらに、前記ジアゾールリガンドは、2-アミノベンズイミダゾールと2-メチルイミダゾールの物質量の比1:4-19(好ましくは1:19)に基づいて混合したものであり、或いは2-アミノベンズイミダゾールである。
【0008】
前記ジアゾールリガンドの総物質量と、硝酸亜鉛六水和物水溶液における硝酸亜鉛六水和物の物質量の比は1:0.05-0.25であり、好ましくは1:0.05である。前記酵素液における酵素質量の添加量は、ジアゾールリガンドの総物質量に対して計上すると、100-500mg/molであり、好ましくは250 mg/molである。前記グルタルアルデヒドの添加容積の終濃度は0.5-2.0%であり、好ましくは1%である。前記水は超純水であり、前記超純水とは、比抵抗値が18 MΩ×cm(25℃)に達した水を指す。前記水の容積添加量は、ジアゾールリガンドの総物質量に対して計上すると、300-800 mL/molであり、好ましくは500 mL/molである。前記硝酸亜鉛六水和物水溶液の添加濃度は0.2975 mg/mLである。
【0009】
さらに、前記架橋反応とは、25℃の下で20min反応させることであり、前記磁力を利用して攪拌子を回転させる時間は90minである。
【0010】
さらに、前記反応混合液の遠心及び沈降乾燥とは、反応混合液が4℃、6000-8000rpmの下で、20-30min遠心を行い、収集してから沈降させ、続いて超純水を使って2-3min洗浄した後、遠心分離させて、2-3回繰り返し、0.05MPaの下で、8h真空乾燥を行った後、酵素@ZIF-8-NH2複合材料が得られる。
【0011】
さらに、前記酵素はステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)(中国の保存番号CCTCCNO:M 20191025)からなる。前記酵素液は以下のプロセスにより製造される。まずステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)(中国の保存番号CCTCCNO:M 20191025、すでに特許CN111254091Aで公開された)をLB固体培地に接種し、30℃のインキュベーターで培養することで、斜面培地が得られる。5g/L酵母エキスと、10g/L NaNO3と、10g/Lペプトンと、18g/L寒天と、pH の調整自体が不要で、溶剤が脱イオン水である条件で、LB固体培地を作る。斜面培地をLB液体培地に接種し、30 ℃の下で、160rpm振とう機にて24h培養し、培養液を4℃、8000rpmの下で20min遠心し、収集してから沈降させた後、0.05MでPHが7.0であるリン酸緩衝液を使って3min洗浄してから遠心分離させて、3回繰り返して、超音波細胞破砕機により、洗浄後の菌液を400Wで(3秒超音波処理してから2秒間欠、99回繰り返して作動する)の下で、細胞を破砕した後、4℃、8000rpmの下で、30min遠心を行い、上澄み液を取って酵素液である。5g/L酵母エキスと、10g/L NaNO3と、10g/Lペプトンと、pH の調整自体が不要で、溶剤が脱イオン水である条件で、LB液体培地を作る。
【0012】
本発明は、また前記酵素複合材料がハロアルカン汚染物質の分解への使用方法を提供し、前記応用は、酵素複合材料、特に酵素@ZIF-8-NH2複合材料を触媒とし、ハロアルカンを基質とし、PH7.0で、0.05Mのリン酸緩衝液を反応媒体とし、25℃水浴で、150rpmの下で反応させて、ハロアルカンを分解する。前記触媒の添加量は、緩衝液の容積に対して計上すると、0.01-0.1 g/mLであり、好ましくは0.02g/mLであり、前記基質の添加終濃度は5-15 mg/L、好ましくは11.87 mg/Lである。
【0013】
さらに、前記ハロアルカンは、クロロホルムとジクロロメタン等を含む。
【発明の効果】
【0014】
既存技術と比べて、本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0015】
本発明の酵素@ZIF-8-NH2複合材料の製造方法が簡単であり、価格が低くて効率が高い。混合したリガンドを利用してアミノ基を導入し、また架橋剤を利用して、酵素とリガンドを化学架橋反応させることで両者をより密接に結合させ、水相においてワンポット合成方法で酵素を被覆し、その生物の触媒活性を確保し、酵素を高温や、有機溶剤、トリプシン等環境の影響から保護し、酵素の再循環能力及び貯蔵安定性を向上させ、従来の微生物により、クロロホルム(最高濃度は8.9 mg/L)を分解するには通常48h-72hかかったと比べて、本発明により製造された酵素@ZIF-8-NH2複合材料は、最高濃度が11.87 mg/Lであるクロロホルムを分解できるだけではなく、分解時間は1.5hのみかかり、効率的で、迅速的な特徴を持つ。
【0016】
本発明で提供する酵素@ZIF-8-NH2複合材料は、高触媒活性及び高安定性を有し、クロロホルム等のハロアルカンを効率的に分解できるため、産業汚染工業汚染対策の分野で、いい生体触媒になることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態2における、リガンドの割合が異なった場合、合成した酵素@ZIF-8-NH2複合材料の相対的な酵素活性の比較表である。
図2】実施形態3における、架橋剤の濃度が異なった場合、合成した酵素@ZIF-8-NH2複合材料の相対的な酵素活性の比較表である。
図3】実施形態4における、架橋時間が異なった場合、合成した酵素@ZIF-8-NH2複合材料の相対的な酵素活性の比較表である。
図4】実施形態5における、磁力を利用して攪拌子を回転させる時間が異なった場合、合成した酵素@ZIF-8-NH2複合材料の相対的な酵素活性の比較表である。
図5】実施形態6における、金属イオンとリガンドの割合が異なった場合、合成した酵素@ZIF-8-NH2複合材料の相対的な酵素活性の比較表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
これから、本発明の各実施形態に関わる技術方案について詳しく説明する。もちろん、説明する実施形態は本発明の実施形態の一部に過ぎなく、全ての実施例ではない。本発明の原理から逸脱しない前提において、実施した改善又は修正は、いずれも本発明の保護範囲とみなすべきである。下記実施形態で使用する材料や、試薬などは、特別な説明がない限り、いずれもビジネスルートから入手することができる。
【0019】
(実施形態1)酵素液
ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)(中国の保存番号CCTCCNO:M 20191025、すでに特許CN111254091Aで公開された)をLB固体培地に接種し、30℃のインキュベーターで培養することで、斜面培地が得られる。5g/L酵母エキスと、10g/L NaNO3と、10g/Lペプトンと、18g/L寒天と、pH の調整自体が不要で、溶剤が脱イオン水である条件で、LB固体培地を作る。
【0020】
斜面培地をLB液体培地に接種し、30 ℃の下で、160rpm振とう機にて24h培養し、培養液を4℃、8000rpmの下で20min遠心し、収集してから沈降させた後、0.05MでPHが7.0であるリン酸緩衝液を使って3min洗浄してから遠心分離させて、3回繰り返して、超音波細胞破砕機により、洗浄後の菌液を400Wで(3秒超音波処理してから2秒間欠、99回繰り返して作動する)の下で、細胞を破砕した後、4℃、8000rpmの下で、30min遠心を行い、上澄み液を取って酵素液である。Bradford 法を用いてタンパク質濃度を定量する(上海儀電分析儀器有限公司の752N-紫外可視分光光度計を使用する)、タンパク質の含有量は0.510mg/mLを測定した。5g/L酵母エキスと、10g/L NaNO3と、10g/Lペプトンと、pH の調整自体が不要で、溶剤が脱イオン水である条件で、LB液体培地を作る。
【0021】
酵素活性の測定方法は以下の通りである。50mL、PHが7で、0.05Mリン酸緩衝液を500 mLの振とう容器に加え、磁気攪拌子を加え、4 mLの上記酵素液(酵素含有量は2mg)を加えた後、ゴム栓をカバーし、注射器を用いて0.4マイクロリットルのクロロホルム(添加終濃度11.87 mg/L)を加え、パラフィルムを用いて封をし、マグネチックスターラーに置いて、150rpm、25℃水浴で10min反応させて、反応前と10min反応後の反応液をそれぞれ1mL取って、イオンクロマトグラフィーにより反応液における塩化物イオンの含有量を測定する。1ユニットは、毎分1マイクロモルのクロロホルムを変化されることができる酵素量(1マイクロモル毎分)と定義されている。計算によると、該遊離酵素の酵素活性は0.0376U/mLである。
【0022】
イオンクロマトグラフィーの検出条件は以下の通りである。DIONEX ICS2000イオンクロマトグラフ(アメリカのDionex社の製品)、及びIonPacAS18カラム(4X250mm)を採用し、検出器は電気伝導度検出器であり、検出の形は抑制電気伝導率検出であり、移動相は40mM水酸化カリウムであり、移動相の流速は1mL/minであり、グラジエント溶離を採用し、初めの15minは20mMであり、40mMに上がった後10min保持し、また20mMに下がって10min保持し、総作業時間は25minであり、カラム加熱器の温度は30℃であり、検出器における抑制装置の電流は40mAである。
【0023】
(実施形態2)
酵素@ZIF-8-NH2複合材料について
【0024】
まず、1.64g(添加終濃度は0.020mol)の2‐メチルイミダゾールを10mLの超純水に溶かしてから、0gの2-アミノベンズイミダゾールを加え、溶解した後、実施形態1で製造された酵素10mL(酵素含有量5mg)を加えた後、0.8mLのグルタルアルデヒドを加えて容積の終濃度が1%になり、25℃の下で20min架橋させた後、297.5mg/mLの硝酸亜鉛六水和物水溶液1mL(硝酸亜鉛六水和物0.001mol)を加え、室温(25-30℃)で90min磁力を利用して攪拌子を回転させて、4℃の下で12h静置反応させる。反応後、4℃、8000rpmの下で30遠心を行い、収集して沈降させて、超純水を用いて3minを洗浄し遠心分離させ、3回繰り返して、0.05Mpaの下で8h真空乾燥を行った後、1.976gの酵素@ZIF-8-NH2複合材料が得られ、酵素@ZIF-8- NH2材料1と記入する。
【0025】
同じ条件の下で、表1に基づいて各原材料を加え、それぞれ1.938gの酵素@ZIF-8- NH2複合材料2と、1.917gの酵素@ZIF-8- NH2複合材料3及び1.932gの酵素@ZIF-8- NH2複合材料4と、1.862gの酵素@ZIF-8- NH2複合材料5が得られる。
【0026】
各物質の添加量
【0027】
【表1】
【0028】
酵素活性の検出及びクロロホルムの分解
【0029】
酵素活性の検出方法は以下の通りである。50mLのリン酸緩衝液(0.05M 、PH7.0)を振とう容器(500 mL)に加え、磁気攪拌子(6X20mm)を加え、プロセス1で製造された酵素@ZIF-8-NH2複合材料1.4gを取って振とう容器に加え、1mLを取って反応前の溶液とし、ゴム栓をカバーし、注射器を用いて0.4マイクロリットルのクロロホルム(添加終濃度11.87 mg/L)を加え、パラフィルムを用いて封をし、マグネチックスターラーに置いて、150rpm、25℃水浴で90min反応させる。90min反応後の反応液を1mL取って、実施形態1の方法により、反応前の溶液及び90min反応後の溶液における塩化物イオンの濃度を測定し、基質の分解率に対して計算し、表1をご参照ください。
【0030】
相対的な酵素活性とは、10min反応した際反応液における塩化物イオンの濃度から反応前の溶液における塩化物イオンを引いたことである。単位時間当たり収量が最大である酵素@ZIF-8- NH2複合材料の相対的な酵素活性を100%とし、その他の酵素@ZIF-8- NH2複合材料は、収量が最大である酵素@ZIF-8- NH2複合材料の塩化物イオン含有量の比の値は、その他の酵素@ZIF-8- NH2複合材料の相対的な酵素活性とする。
【0031】
上記で製造された酵製剤の酵素活性の測定結果は図1に示すように、酵素@ZIF-8- NH2複合材料1の相対的な酵素活性は54.85%であり、酵素@ZIF-8- NH2複合材料2の相対的な酵素活性は100%であり、酵素@ZIF-8- NH2複合材料3の相対的な酵素活性は46.44%であり、酵素@ZIF-8- NH2複合材料4の相対的な酵素活性は70.25%であり、酵素@ZIF-8- NH2複合材料5の相対的な酵素活性は27.43%である。
【0032】
クロロホルムの濃度は基質濃度と同じであり、11.87mg/Lである。2‐メチルイミダゾールと2-アミノベンズイミダゾールの最高モル比は19:1であり、クロロホルムの分解率は100%に達することができる。
【0033】
(実施形態3)
1、酵素@ZIF-8-NH2複合材料について
【0034】
15.58g(0.19mol)の2‐メチルイミダゾールを100mLの超純水に溶かしてから、1.33g(0.01mol)の2-アミノベンズイミダゾールを加え、溶解した後、実施形態1で製造された酵素100mL(酵素含有量50mg)を加えた後、酵素混合溶液200mLが得られる。それぞれ5分の酵素混合溶液を取って、各分は20mLであり、それからグルタルアルデヒドを加えて容積濃度がそれぞれ0%、0.5%、1%、1.5%、2%になり、25℃の下で20min架橋させた後、297.5mg/mLの硝酸亜鉛六水和物水溶液1mL(硝酸亜鉛六水和物0.001mol)を加え、室温(25-30℃)で90min磁力を利用して攪拌子を回転させて、4℃の下で12h静置反応させる。反応後、4℃、8000rpmの下で30遠心を行い、収集して沈降させて、超純水を用いて3minを洗浄し遠心分離させ、3回繰り返して、0.05Mpaの下で8h真空乾燥を行った後、それぞれ1.649g、1.863g、1.895g、1.669g、1.753gの酵素@ZIF-8-NH2複合材料が得られる。
【0035】
実施形態2で記載される方法により、酵素@ZIF-8-NH2複合材料の酵素活性を測定し、図2をご参照ください。容積濃度がそれぞれ0%、0.5%、1%、1.5%、2%になる場合、対応な酵素@ZIF-8-NH2複合材料の酵素活性はそれぞれ28.52%、69.11%、100%、48.77%、46.27%になり、対応な分解率はそれぞれ49.77%、80.04%、100.00%、80.19%、50.18%になる。
【0036】
実施形態2に記載される方法により、酵素@ZIF-8-NH2複合材料が11.87mg/L基質のクロロホルムに対する分解状況を検出した場合、架橋剤濃度が1%になる際、相対的な酵素活性は一番高い。
【0037】
(実施形態4)
15.58g(0.19mol)の2‐メチルイミダゾールを100mLの超純水に溶かしてから、1.33g(0.01mol)の2-アミノベンズイミダゾールを加え、溶解した後、実施形態1で製造された酵素100mL(酵素含有量50mg)を加えた後、酵素混合溶液200mLが得られる。それぞれ5分の酵素混合溶液を取って、各分は20mLであり、それからグルタルアルデヒドを加えて容積濃度が1%になり、25℃の下でそれぞれ5min、10min、15min、20min、25min架橋させた後、297.5mg/mLの硝酸亜鉛六水和物水溶液1mL(硝酸亜鉛六水和物0.001mol)を加え、室温(25-30℃)で90min磁力を利用して攪拌子を回転させて、4℃の下で12h静置反応させる。反応後、4℃、8000rpmの下で30遠心を行い、収集して沈降させて、超純水を用いて3minを洗浄し遠心分離させ、3回繰り返して、0.05Mpaの下で8h真空乾燥を行った後、それぞれ1.893g、1.845g、1.824g、1.839g、1.848gの酵素@ZIF-8-NH2複合材料が得られる。
【0038】
実施形態2に記載される方法により、酵素@ZIF-8-NH2複合材料の酵素活性を測定し、図3をご参照ください。架橋時間が5min、10min、15min、20min、20minになる場合、対応な酵素@ZIF-8-NH2複合材料の相対的な酵素活性はそれぞれ28.17%、53.53%、89.9%、100%、38.06%になり、対応な分解率はそれぞれ31.47%、54.14%、52.83%、100.00%、70.07%になる。
【0039】
実施形態2に記載される方法により、酵素@ZIF-8-NH2複合材料が11.87mg/L基質のクロロホルムに対する分解状況を検出した場合、架橋時間が20minになる際、相対的な酵素活性は一番高い。
【0040】
(実施形態5)
15.58g(0.19mol)の2‐メチルイミダゾールを100mLの超純水に溶かしてから、1.33g(0.01mol)の2-アミノベンズイミダゾールを加え、溶解した後、実施形態1で製造された酵素100mL(酵素含有量50mg)を加えた後、酵素混合溶液200mLが得られる。それぞれ5分の酵素混合溶液を取って、各分は20mLであり、それからグルタルアルデヒドを加えて容積濃度が1%になり、25℃の下で20min架橋させた後、297.5mg/mLの硝酸亜鉛六水和物水溶液1mL(硝酸亜鉛六水和物0.001mol)を加え、室温(25-30℃)でそれぞれ30min、60min 、90min 、120min 、150min磁力を利用して攪拌子を回転させて、4℃の下で12h静置反応させて、反応後、4℃、8000rpmの下で30遠心を行い、収集して沈降させて、超純水を用いて3minを洗浄し遠心分離させ、3回繰り返して、0.05Mpaの下で8h真空乾燥を行った後、それぞれ1.992g、1.845g、1.963g、1.894g、1.857gの酵素@ZIF-8-NH2複合材料が得られる。
【0041】
実施形態2に記載される方法により、酵素@ZIF-8-NH2複合材料の酵素活性を測定し、図4をご参照ください。撹拌時間が30min、60min 、90min 、120min 、150minになる場合、対応な酵素@ZIF-8-NH2複合材料の相対的な酵素活性はそれぞれ42.21%、73.80%、97.20%、44.23%、63.41%になり、対応な分解率はそれぞれ42.21%、82.62%、100%、51.78%、63.41%になる。
【0042】
実施形態2に記載される方法により、酵素@ZIF-8-NH2複合材料が11.87mg/L基質のクロロホルムに対する分解状況を検出した場合、撹拌時間が90minになる際、相対的な酵素活性は一番高い。
【0043】
(実施形態6)
15.58g(0.19mol)の2‐メチルイミダゾールを100mLの超純水に溶かしてから、1.33g(0.01mol)の2-アミノベンズイミダゾールを加え、溶解した後、実施形態1で製造された酵素100mL(酵素含有量50mg)を加えた後、酵素混合溶液200mLが得られる。それぞれ5分の酵素混合溶液を取って、各分は20mLであり、それからグルタルアルデヒドを加えて容積濃度が1%になり、25℃の下で20min架橋させた後、それぞれ297.5mg/mL(0.001mol)、371.9mg/mL(0.00125mol)、495.8mg/mL(0.00167mol)、743.7mg/mL(0.0025mol)、1487.5mg/mL(0.005mol)の硝酸亜鉛六水和物水溶液1mLを加え、室温(25-30℃)でそれぞれ90min磁力を利用して攪拌子を回転させて、4℃の下で12h静置反応させる。反応後、4℃、8000rpmの下で30遠心を行い、収集して沈降させて、超純水を用いて3minを洗浄し遠心分離させ、3回繰り返して、0.05Mpaの下で8h真空乾燥を行った後、それぞれ1.954g、1.935g、1.864g、1.821g、1.997gの酵素@ZIF-8-NH2複合材料が得られる。
【0044】
実施形態2に記載される方法により、酵素@ZIF-8-NH2複合材料の酵素活性を測定し、図5をご参照ください。硝酸亜鉛六水和物の濃度により、それぞれ対応な酵素@ZIF-8-NH2複合材料の相対的な酵素活性はそれぞれ100%、92.3%、82.78%、97.07%、93.87%になり、対応な分解率はそれぞれ100.00%、94.21%、80.00%、58.68%、44.79%になる。
【0045】
実施形態2に記載される方法により、酵素@ZIF-8-NH2複合材料が11.87mg/L基質のクロロホルムに対する分解状況を検出した場合、亜鉛とジアゾールリガンドのモル比が1:20になる際(即ち、亜鉛イオンの物質量は0.001M、リガンドの物質量は0.020M、2‐メチルイミダゾールと2-アミノベンズイミダゾールの物質量の総和は0.020M)、相対的な酵素活性は一番高い。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アゾールリガンドを水と混合し、酵素液を加え、架橋剤を添加し、25℃の下で5~25min架橋反応させた後、硝酸亜鉛六水和物水溶液を加え、室温で30~150min磁力を利用して攪拌子を回転させ、4℃の下で12h静置し、反応混合液の遠心を行い、沈降乾燥させることで、酵素複合材料が得られ、前記ジアゾールリガンドは、2-メチルイミダゾール又は2-アミノベンズイミダゾールの一種又は二種であり、前記架橋剤はグルタルアルデヒドであることを特徴とする酵素複合材料の製造方法
【請求項2】
前記ジアゾールリガンドは、2-アミノベンズイミダゾールと2-メチルイミダゾールの物質量の比1:4-19に基づいて混合したものであり、或いは2-アミノベンズイミダゾールであることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料の製造方法
【請求項3】
前記ジアゾールリガンドの総物質量と、硝酸亜鉛六水和物水溶液における硝酸亜鉛六水和物の物質量の比は1:0.05-0.25であり、前記酵素液における酵素質量の添加量は、ジアゾールリガンドの総物質量に対して計上すると、100-500mg/molであり、前記グルタルアルデヒドの添加容積の終濃度は0.5-2.0%であることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料の製造方法
【請求項4】
前記水の容積添加量は、ジアゾールリガンドの総物質量に対して計上すると、300-800 mL/molであることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料の製造方法
【請求項5】
前記架橋反応とは、25℃の下で20min反応させることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料の製造方法
【請求項6】
前記反応混合液の遠心及び沈降乾燥とは、反応混合液が4℃、6000-8000rpmの下で、20-30min遠心を行い、収集してから沈降させ、続いて超純水を使って2-3min洗浄した後、遠心分離させて、2-3回繰り返し、0.05MPaの下で、8h真空乾燥を行った後、酵素複合材料が得られることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料の製造方法
【請求項7】
前記酵素液は以下のプロセスにより製造されることを特徴とする請求項1に記載の酵素複合材料の製造方法
まずステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)(中国の保存番号CCTCCNO:M 20191025)をLB固体培地に接種し、30℃のインキュベーターで培養することで、斜面培地が得られ、5g/L酵母エキスと、10g/L NaNO3と、10g/Lペプトンと、18g/L寒天と、pH の調整自体が不要で、溶剤が脱イオン水である条件で、LB固体培地を作り、斜面培地をLB液体培地に接種し、30 ℃の下で、160rpm振とう機にて24h培養し、培養液を4℃、8000rpmの下で20min遠心し、収集してから沈降させた後、0.05MでPHが7.0であるリン酸緩衝液を使って3min洗浄してから遠心分離させて、3回繰り返して、超音波細胞破砕機により、洗浄後の菌液を400Wで、3秒超音波処理してから2秒間欠、99回繰り返した条件で、細胞を破砕した後、4℃、8000rpmの下で、30min遠心を行い、上澄み液を取って酵素液であり、5g/L酵母エキスと、10g/L NaNO3と、10g/Lペプトンと、pH の調整自体が不要で、溶剤が脱イオン水である条件で、LB液体培地を作る。
【請求項8】
ハロアルカン汚染物質の分解への使用方法であって、前記請求項1に記載の酵素複合材料の製造方法により製造される酵素複合材料を前記ハロアルカン汚染物質の分解に用いることを特徴とするハロアルカン汚染物質の使用方法。
【請求項9】
前記使用方法は、酵素複合材料を触媒とし、ハロアルカンを基質とし、PH7.0で、0.05Mのリン酸緩衝液を反応媒体とし、25℃水浴で、150rpmの下で反応させて、ハロアルカンを分解することを特徴とする請求項8に記載の酵素複合材料がハロアルカン汚染物質の分解への使用方法。
【請求項10】
前記触媒の添加量は、緩衝液の容積に対して計上すると、0.01-0.1 g/mlであり、前記基質の添加終濃度は5-15 mg/Lであることを特徴とする請求項9に記載の酵素複合材料がハロアルカン汚染物質の分解への使用方法。