IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マニュファクテュール ドゥ オルロジュリー オーデマ ピゲ ソシエテ アノニムの特許一覧

特開2022-161014時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス
<>
  • 特開-時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス 図1
  • 特開-時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス 図2
  • 特開-時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス 図3
  • 特開-時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス 図4
  • 特開-時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス 図5
  • 特開-時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス 図6
  • 特開-時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス 図7
  • 特開-時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス 図8
  • 特開-時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161014
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス
(51)【国際特許分類】
   G04B 27/06 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
G04B27/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022055187
(22)【出願日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】00357/21
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(71)【出願人】
【識別番号】521486103
【氏名又は名称】マニュファクテュール ドゥ オルロジュリー オーデマ ピゲ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルク ルモニエール
(72)【発明者】
【氏名】アルチュール パリ
(57)【要約】
【課題】ムーブメントの第1の機構の少なくとも第1の機能とムーブメントの第2の機構の第2の機能とを備える時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス。
【解決手段】本発明のデバイス(1)は、並進および回転移動可能な制御ステム(2)と、少なくとも第1および第2の機能を作動させるための手段とを備え、該手段は、第1の機能が選択されたときに第1の駆動位置に枢動し、第2の機能が選択されたときに第2の駆動位置に枢動する作動レバー(16)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムーブメントの第1の機構の少なくとも第1の機能とムーブメントの第2の機構の第2の機能とを備える時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス(1)であって、前記デバイスは、前記機能の少なくとも一方または他方をそれぞれ選択および作動させるための並進および回転移動可能な制御ステム(2)を備え、前記制御ステム(2)は、少なくとも第1、第2および第3の異なる連続する軸方向位置を占めることができるように構成され、前記デバイス(1)は、少なくとも前記第1および第2の機能を作動させるための手段を備え、前記手段は、前記制御ステム(2)に運動学的に連結されるように構成され、それにより、前記第1および第2の機能の一方が、前記制御ステム(2)の第1の位置から第2の位置への軸方向並進運動のみによって選択された後に作動され得、前記第1および第2の機能のうちの他方が、前記制御ステム(2)の第3の位置から第2の位置への軸方向並進運動によってのみ選択された後に作動され得る、選択および作動デバイス(1)において、
少なくとも前記第1の機能および前記第2の機能を作動させるための前記手段が、少なくとも第1のホイールおよびピニオン(18)ならびに第2のホイールおよびピニオン(20)を支持する作動レバー(16)を備え、前記作動レバー(16)は、前記制御ステム(2)が第1の位置および第3の位置の一方にあるときに中立位置を占めることができるように、かつ前記中立位置の両側で、少なくとも第1の方向への前記制御ステム(2)の回転に応答して少なくとも前記第1の機能を作動させることができるように前記第1のホイールおよびピニオン(18)が前記制御ステム(2)に運動学的に連結された第1の駆動位置と、前記第1の方向と同一または異なる少なくとも第2の方向への前記制御ステム(2)の回転に応答して少なくとも前記第2の機能を作動させることができるように前記第2のホイールおよびピニオン(20)が前記制御ステム(2)に運動学的に連結された第2の駆動位置との間で枢動することができるように構成され、前記作動レバー(16)は、前記第1の機能が選択されたときに第1の駆動位置に枢動し、前記第2の機能が選択されたときに第2の駆動位置に枢動するように構成される
ことを特徴とする、選択および作動デバイス(1)。
【請求項2】
前記作動レバー(16)が、前記第1の方向とは反対の第3の方向への前記制御ステム(2)の回転に応答して、前記レバーが第1の駆動位置にあるときに、前記ムーブメントの第3の機構の第3の機能を作動させることができるように構成され、前記第3の機能の選択は、前記第1の機能の選択と同時に行われることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記作動レバー(16)は、前記作動レバー(16)が第1の駆動位置にあるときに前記第3の機構と噛み合うことができるように構成された第3のホイールおよびピニオン(22)を備え、前記第1のホイールおよびピニオン(18)は、前記制御ステム(2)が前記第3の機能を作動させるために前記第3の方向に軸方向に回転されるときに前記第3のホイールおよびピニオン(22)と噛み合って駆動するように摺動可能に取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記作動レバー(16)が、前記第2の方向とは反対の第4の方向への前記制御ステム(2)の回転に応答して、前記レバーが第2の駆動位置にあるときに前記ムーブメントの第4の機構の第4の機能を作動させることができるように構成され、前記第4の機能の選択は、前記第2の機能の選択と同時に行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記作動レバー(16)は、前記作動レバー(16)が第2の駆動位置にあるときに前記第4の機構と噛み合うことができるように構成された第4のホイールおよびピニオン(24)を備え、前記第2のホイールおよびピニオン(20)は、前記制御ステム(2)が前記第4の機能を作動させるために前記第4の方向に軸方向に回転されるときに前記第4のホイールおよびピニオン(24)と噛み合って駆動するように摺動可能に取り付けられることを特徴とする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記制御ステム(2)と協働してそれ自体を移動させ、前記制御ステムの様々な位置への前記軸方向並進運動中に第1の駆動位置と第2の駆動位置との間の前記作動レバー(16)の前記ムーブメントを制御するように構成された前記作動レバー(16)用の制御手段を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記作動レバー(16)用の前記制御手段が、前記制御ステム(2)の溝に嵌合し、その端部に前記作動レバー(16)と協働するように構成されたピン(40)を有する引出し片(10)によって構築されることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記作動レバー(16)は、前記制御ステム(2)が第1の位置および第3の位置の一方にあるときに、第1の駆動位置および第2の駆動位置の一方に一方向に、第1の駆動位置および第2の駆動位置の他方に他方向に、あるいは、前記制御ステム(2)が第1の位置または第3の位置から第2の位置に移動するたびに、その中立位置に位置決めされた前記作動レバー(16)を枢動させることができるように、前記引出し片(10)の前記ピン(40)と協働するように構成されたプロファイルを有するカム(42)を支持することを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記カムプロファイル(42)が、平行六面体の形状であり、その4つの側面は、前記制御ステム(2)のその様々な位置への前記連続的な軸方向並進運動中に前記引出し片(10)の前記ピン(40)がそれに沿って移動する一対の傾斜平行面を形成することを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記引出し片(10)は、前記制御ステム(2)が第2または第3の位置にあるときに第1の中間ホイール(8)と噛み合うように前記制御ステム(2)上に摺動可能に取り付けられたキャッスルホイール(6)の動きを制御するように構成され、前記第1の中間ホイール(8)は、前記制御ステム(2)が第2の位置にあるときに前記制御ステム(2)を前記第1のホイールおよびピニオン(18)または前記第2のホイールおよびピニオン(20)に運動学的に連結するように構成されることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記引出し片(10)が、前記第1の中間ホイール(8)に運動学的に連結された歯車列を支持する連結レバー(30)と協働するように構成され、かつ前記ムーブメントの少なくとも第5の機構の第5の機能が選択されると、前記制御ステム(2)が第3の位置に移動されるときに枢動可能であるように構成され、それによって前記歯車列を前記第5の機構と運動学的に連結されて位置決めし、前記制御ステム(2)が第3の位置から第2の位置に移動されるときにその位置に戻ることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1のホイールおよびピニオン(18)は、前記作動レバー(16)が第1の駆動位置にあるときに前記第1の機構と噛み合うことができ、前記制御ステム(2)が前記第1の機能を作動させるために前記第1の方向に軸方向に回転されるときに前記第1の中間ホイール(8)によって駆動されるように構成され、前記第2のホイールおよびピニオン(20)は、前記作動レバー(16)が第2の駆動位置にあるときに前記第2の機構と噛み合うことができ、前記制御ステム(2)が前記第2の機能を作動させるために前記第2の方向に軸方向に回転されるときに前記第1の中間ホイール(8)によって駆動されるように構成されることを特徴とする、請求項10または11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1および第2の機能が補正機能であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第3および第4の機能が補正機能であることを特徴とする、請求項4から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記制御ステム(2)が第3の位置にあるときに選択される前記第5の機能は、手動設定機能であることを特徴とする、請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
前記作動レバー(16)が、前記制御ステム(2)の方向によって画定される中立軸(D)に対して垂直かつ正割な軸(C)を中心に枢動可能に取り付けられ、前記第1のホイールおよびピニオン(18)ならびに前記第2のホイールおよびピニオン(20)は、前記中立軸(D)の両側に配置されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記制御ステム(2)がワインディングステムであり、前記第1の位置がワインディング位置であることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
第1の位置から第2の位置への前記制御ステム(2)の前記軸方向並進運動が、前記制御ステム(2)に対する軸方向引張作用に応答し、第3の位置から第2の位置への前記制御ステム(2)の前記軸方向並進運動は、前記制御ステム(2)に対する軸方向押圧作用に応答することを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の複数の機能のための選択および作動デバイスを備える時計ムーブメント。
【請求項20】
請求項19に記載の時計ムーブメントを備えるタイムピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムーブメントの第1の機構の少なくとも第1の機能とムーブメントの第2の機構の第2の機能とを備える時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイスに関し、前記デバイスは、前記機能の少なくとも一方または他方をそれぞれ選択および作動させるための並進および回転移動可能な制御ステムを備え、前記制御ステムは、少なくとも第1、第2および第3の異なる連続する軸方向位置を占めることができるように構成され、前記デバイスは、少なくとも第1および第2の機能を作動させるための手段を備え、その手段は、制御ステムの第1の位置から第2の位置への軸方向並進運動のみによって選択された後に、第1および第2の機能の一方を作動させることができるように、および制御ステムの第3の位置から第2の位置への軸方向並進運動のみによって選択された後に、第1および第2の機能の他方を作動させることができるように、制御ステムに運動学的に連結されるように構成される。
【0002】
本発明はまた、そのようなデバイスを備える時計ムーブメント、ならびにそのようなムーブメントを備えるタイムピースに関する。
【背景技術】
【0003】
時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイスは、単一の制御ステム上の複数の機能の選択および作動をまとめることを可能にするために時計に使用される機構である。制御ステムは、例えば、ワインディング位置に対応する第1の静止位置と、例えば日付補正または別の機能を選択して作動させるための位置に対応する第2の中間引出し位置と、手動設定位置に対応する第3の極限引出し位置とを占めるように構成されたワインディングステムであってもよい。
【0004】
したがって、このタイプのステムは、3つの機能、すなわちワインディング、補正、および手動設定の選択および作動に限定される。
【0005】
グランドコンプリケーション時計は、時計ケースの周りに分散された複数の制御ステムまたは補正器を含まなければならず、時計の使用が複雑になる。これはまた、時計の審美性に影響を及ぼし、窮屈さの問題のリスクを増加させる。さらに、特定の補正器はスタイラスによって作動させなければならず、これはユーザの利便性を損なう。
【0006】
機能セレクタを設けることも可能であるが、これらの機構は実装が複雑である。
【0007】
補正器の数を減らすために、中国特許第568604号明細書は、制御ステムを第1の位置から第2の位置に引き出すことによって補正位置が選択されると、表示機関の補正を可能にし、制御ステムを押圧することによって補正位置が選択されると、別の表示機関の補正を可能にし、したがってそれを第3の位置から第2の位置に戻す補正デバイスを提案している。この目的のために、補正デバイスは、特に、凹部内に案内され、補正ホイールが枢動可能に取り付けられるシャフトを備えるロッドを備える。ロッドは、制御ステムが第3の位置に引っ張られるか、または第1の位置に押し込まれるときにロッドのシャフトが凹部の一方の端部から他方の端部まで通過するときにロッドのシャフトがとることができる2つの極限位置に対応する高位置と低位置との間を移動し、それにより、補正ホイールは、一方では補正される表示機関の一方または他方と、他方では前記制御ステムが第2の位置に引っ張られるか、または押し込まれるときに制御ステムと運動学的に連結する。その結果、補正ホイールのムーブメントは、ロッドの高位置および低位置によって制限され、したがって低減される。その結果、この設計は、特に、補正されるべき表示機関が補正ホイールの周りの同じゾーンに集中することを必要とするという欠点を有し、そのため、補正されるべき表示機関に関連する機構をムーブメントに配置するための選択肢が制限される。
【0008】
本発明の目的は、使用が容易で使いやすい時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイスを提案することにより、これらの欠点を改善することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、ワインディングステムの既知の設計に基づくことができ、ワインディングステム機構の基本的な3位置機構を変更することなく、かつ、設計者が、ムーブメント内のこれらの追加の機能に関連する機構の配置に関して大きな自由度を可能にしながら、追加の機能の選択および作動を追加することを可能にする、時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイスを提案することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国特許第568604号明細書
【発明の概要】
【0011】
この目的のために、本発明は、ムーブメントの第1の機構の少なくとも第1の機能とムーブメントの第2の機構の第2の機能とを備える時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイスに関し、前記デバイスは、前記機能の少なくとも一方または他方をそれぞれ選択および作動させるための並進および回転移動可能な制御ステムを備え、前記制御ステムは、少なくとも第1、第2および第3の異なる連続する軸方向位置を占めることができるように構成され、前記デバイスは、少なくとも第1および第2の機能を作動させるための手段を備え、その手段は、制御ステムの第1の位置から第2の位置への軸方向並進運動のみによって選択された後に、第1および第2の機能の一方を作動させることができるように、および制御ステムの第3の位置から第2の位置への軸方向並進運動のみによって選択された後に、第1および第2の機能の他方を作動させることができるように、制御ステムに運動学的に連結されるように構成される。
【0012】
本発明によれば、少なくとも第1の機能および第2の機能を作動させるための手段は、少なくとも第1のホイールおよびピニオンならびに第2のホイールおよびピニオンを支持する作動レバーを備え、前記作動レバーは、制御ステムが第1および第3の位置の一方にあるときに中立位置を占めることができるように、かつ前記中立位置の両側で、少なくとも第1の方向への制御ステムの回転に応答して少なくとも第1の機能を作動させることができるように前記第1のホイールおよびピニオンが制御ステムに運動学的に連結された第1の駆動位置と、第1の方向と同一または異なる少なくとも第2の方向への制御ステムの回転に応答して少なくとも第2の機能を作動させることができるように前記第2のホイールおよびピニオンが制御ステムに運動学的に連結された第2の駆動位置との間で枢動することができるように構成され、前記作動レバーは、第1の機能が選択されたときに第1の駆動位置に枢動し、第2の機能が選択されたときに第2の駆動位置に枢動するように構成される。
【0013】
好適には、作動レバーは、制御ステムの方向によって画定される中立軸に対して垂直かつ正割な軸を中心に枢動可能に取り付けられ、第1のホイールおよびピニオンならびに第2のホイールおよびピニオンは、前記中立軸の両側に配置される。
【0014】
したがって、2つのホイールおよびピニオンを支持し、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間で中立軸の両側で枢動するレバーのおかげで、本発明によるデバイスは、中立位置の両側での第1および第2の駆動位置のより良好な分布から利益を得ることを可能にする。したがって、プレートを配置するとき、第1および第2のムーブメントの機構を、中立軸の両側に配置されたホイールおよびピニオンを支持する作動レバーの第1および第2の駆動位置の機能として分散させることが可能であり、それぞれの機構を作動させることができる一方で、配置の自由度が大きいという利点がある。
【0015】
好適には、作動レバーは、第1の方向とは反対の第3の方向への制御ステムの回転に応答して、前記レバーが第1の駆動位置にあるときに、ムーブメントの第3の機構の第3の機能を作動させることができるように構成されてもよく、第3の機能の選択は、第1の機能の選択と同時に行われる。
【0016】
好適には、作動レバーは、作動レバーが第1の駆動位置にあるときに第3の機構と噛み合うことができるように構成された第3のホイールおよびピニオンを備えることができ、第1のホイールおよびピニオンは、制御ステムが第3の機能を作動させるために第3の方向に軸方向に回転されるときに第3のホイールおよびピニオンと噛み合って駆動するように摺動可能に取り付けられる。
【0017】
したがって、制御ステムが第1の機能を選択するために第2の中間位置に移動されると、双方向作動が得られ、制御ステムを一方向に回転させることによって前記第1の機能を作動させることが可能であり、制御ステムを他方向に回転させることによって第3の機能を作動させることが可能である。
【0018】
同様に、作動レバーは、第2の方向とは反対の第4の方向への制御ステムの回転に応答して、前記レバーが第2の駆動位置にあるときにムーブメントの第4の機構の第4の機能を作動させることができるように構成されてもよく、第4の機能の選択は、第2の機能の選択と同時に行われる。
【0019】
次いで、作動レバーは、作動レバーが第2の駆動位置にあるときに第4の機構と噛み合うことができるように構成された第4のホイールおよびピニオンを備えることができ、第2のホイールおよびピニオンは、制御ステムが第4の機能を作動させるために第4の方向に軸方向に回転されるときに第4のホイールおよびピニオンと噛み合って駆動するように摺動可能に取り付けられる。
【0020】
したがって、制御ステムが第2の機能を選択するために第2の中間位置に移動されると、双方向作動が得られ、制御ステムを一方向に回転させることによって前記第2の機能を作動させることが可能であり、制御ステムを他方向に回転させることによって第4の機能を作動させることが可能である。
【0021】
双方向作動を使用することにより、制御ステムが第2の位置に位置決めされると、制御ステムによって選択および作動され得る機能の数を2倍にすることが可能になる。
【0022】
したがって、本発明によるデバイスは、制御ステムの基本的な3位置機構を変更することなく、中間位置に位置決めされた制御ステムによって最大4つの異なる独立した機能を選択して作動させることを可能にする。
【0023】
したがって、第1の位置にある2つの機能および第3の位置にある2つの他の機能を作動させることができるように構成された制御ステムの場合、単一の3位置制御ステムによって最大8つの機能を選択して作動させることを可能にするデバイスを得ることが可能である。したがって、見栄えが悪く、取り扱いが複雑な追加の補正器を設ける必要はもはやない。
【0024】
本発明による選択および作動デバイスは、制御ステムと協働してそれ自体を移動させ、前記制御ステムの様々な位置への軸方向並進運動中に第1の駆動位置と第2の駆動位置との間の作動レバーのムーブメントを制御するように構成された作動レバー用の制御手段を備える。
【0025】
好適には、作動レバー用の前記制御手段は、制御ステムの溝に嵌合し、その端部に作動レバーと協働するように構成されたピンを有する引出し片によって構築されてもよい。
【0026】
したがって、制御ステムが3位置ワインディングステムである場合、引出し片は、ワインディングおよび設定機構において従来使用されているワインディング引出し片の設計に基づいている。
【0027】
好適には、作動レバーは、制御ステムが第1の位置および第3の位置の一方にあるときに、第1の駆動位置および第2の駆動位置の一方に一方向に、第1の駆動位置および第2の駆動位置の他方に他方向に、あるいは、制御ステムが第1の位置または第3の位置から第2の位置に移動するたびに、その中立位置に位置決めされた前記作動レバーを枢動させることができるように、引出し片のピンと協働するように構成されたプロファイルを有するカムを支持する。
【0028】
好ましい一実施形態によれば、カムプロファイルは平行六面体の形状であり、その4つの側面は、前記制御ステムの連続的な軸方向並進運動中に引出し片のピンがその様々な位置に移動する傾斜平行面の対を形成する。
【0029】
好ましくは、より具体的には、引出し片がワインディング引出し片である場合、引出し片は、制御ステムが第2または第3の位置にあるときに第1の中間ホイールと噛み合うように制御ステム上に摺動可能に取り付けられたキャッスルホイールの動きを制御するように構成され、前記第1の中間ホイールは、制御ステムが第2の位置にあるときに制御ステムを第1のホイールおよびピニオンまたは第2のホイールおよびピニオンに運動学的に連結するように構成される。
【0030】
好適には、引出し片は、第1の中間ホイールに運動学的に連結された歯車列を支持する連結レバーと協働するように構成され、かつムーブメントの少なくとも第5の機構の第5の機能が選択されると、制御ステムが第3の位置に移動されるときに枢動可能であるように構成され、それによって前記歯車列を前記第5の機構と運動学的に連結されて位置決めし、制御ステムが第3の位置から第2の位置に移動されるときにその位置に戻る。
【0031】
好適には、第1のホイールおよびピニオンは、作動レバーが第1の駆動位置にあるときに第1の機構と噛み合うことができ、制御ステムが第1の機能を作動させるために第1の方向に軸方向に回転されるときに第1の中間ホイールによって駆動されるように構成され、第2のホイールおよびピニオンは、作動レバーが第2の駆動位置にあるときに第2の機構と噛み合うことができ、制御ステムが第2の機能を作動させるために第2の方向に軸方向に回転されるときに第1の中間ホイールによって駆動されるように構成される。
【0032】
好ましい実施形態によれば、第1および第2の機能は、ムーブメントの機構のための補正機能であってもよい。
【0033】
同様に、第3および第4の機能は、ムーブメントの機構に対する補正機能であってもよい。
【0034】
好ましい一実施形態によれば、制御ステムが第3の位置にあるときに選択される第5の機能は、手動設定機能である。
【0035】
好ましい一実施形態によれば、制御ステムはワインディングステムであり、前記ワインディングステムの第1の位置はワインディング位置である。
【0036】
したがって、本発明による選択および作動デバイスは、その基本的な機構を変更することなく、3位置ワインディングステムに容易に取り付けることができる。
【0037】
好ましい一実施形態によれば、第1の位置から第2の位置への制御ステムの軸方向並進運動は、前記制御ステムに対する軸方向引張作用に応答し、第3の位置から第2の位置への制御ステムの軸方向並進運動は、前記制御ステムに対する軸方向押圧作用に応答する。
【0038】
したがって、第1または第2の機能は、制御ステムを第1の位置から第2の位置に引っ張ることによって、または制御ステムを第3の位置から第2の位置に押すことによって、それぞれ容易かつ簡単に選択され得、これらの機能は、同様に、単に制御ステムを回転させることによって容易に作動される。修正ツールは不要である。
【0039】
本発明はまた、上記で定義された選択および作動デバイスを備えるムーブメント、ならびにそのようなムーブメントを備えるタイムピースに関する。
【0040】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として提供され、添付の図面を参照して行われる本発明の実施形態の以下の詳細な説明を読むことから明らかとされよう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】制御ステムがワインディング位置に対応する第1の静止位置にあるときの、本発明による選択および作動デバイスのダイヤル側からの平面図である。
図2】制御ステムがワインディング位置に対応する第1の静止位置にあるときの、本発明による選択および作動デバイスの背面側からの平面図である。
図3】制御ステムが第1の静止位置にあるときの、作動レバーおよびその制御手段のダイヤル側からの平面図である。
図4】制御ステムが第1の静止位置にあるときの、作動レバーおよびその制御手段の背面側からの等角図である。
図5】制御ステムが第1および第3の機能を選択するための第2の位置にあるときの、図1の選択および作動デバイスの背面側からの図であり、前記第1の機能は、制御ステムの時計回り方向への回転によって作動される。
図6】制御ステムが第1および第3の機能を選択するための第2の位置にあるときの、図1の選択および作動デバイスのダイヤル側からの図であり、前記第3の機能は、制御ステムの反時計回り方向への回転によって作動される。
図7】制御ステムが手動設定機能を選択するための第3の位置にあるときの、図1の選択および作動デバイスの背面側からの図である。
図8】制御ステムが第2および第4の機能を選択するための第2の位置にあるときの、図1の選択および作動デバイスの背面側からの図であり、前記第2の機能は、制御ステムの反時計回り方向への回転によって作動される。
図9】制御ステムが第2および第4の機能を選択するための第2の位置にあるときの、図1の選択および作動デバイスのダイヤル側からの図であり、前記第4の機能は、制御ステムの時計回り方向への回転によって作動される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1から図4を参照すると、本発明は、前記機能の一方または他方をそれぞれ選択して作動させるために、軸方向並進および軸方向回転で移動可能な単一の制御ステム2による時計ムーブメントの複数の機能のための選択および作動デバイス1に関する。
【0043】
以下に説明する例では、制御ステム2はワインディングステムであり、機能は、ムーブメント、手動設定およびワインディングの第1、第2、第3、および第4の機構のそれぞれの第1、第2、第3、および第4の機能を含む。
【0044】
好適には、第1、第2、第3および第4の機能は補正機能であり、第1、第2、第3および第4の機構は、日付、日、週、月、年、時間帯、ムーンもしくはスカイ機構またはムーブメントによって管理される表示の任意の他のディスプレイ機構であり得る。選択および作動される機能はまた、ムーブメントの主筒または補助筒、例えば打撃またはクロノグラフ筒のワインディングなどのワインディング機能であってもよい。選択および作動される機能はまた、手動設定のための現在時間の設定または打撃時間もしくはアラームの設定などの設定機能であってもよい。
【0045】
標準的な方法では、制御ステム2は、3つの異なる連続した軸方向位置を占めることができるように構成され、すなわち、例えば、連続した軸方向の引張作用または押圧作用によって一方から他方に順に通過することによって得られる。
【0046】
説明の残りの部分では、制御ステム2の第1の位置は、ワインディングステムが押し込まれたときのワインディング位置に対応する静止位置であると定義され、ワインディングクラウンは時計ケースに最も近い。第1の軸方向引張作用に応答して、第1の位置からの制御ステム2の軸方向並進運動によって得られる第2の中間位置は、以下で詳細に説明するように、第1、第2、第3、および第4の機能を選択して作動させるための位置に対応する。前記ステムに対する第2の軸方向引張作用に応答して、第2の位置からの制御ステム2の新しい軸方向並進運動によって得られる第3の位置は、手動設定位置に対応する。第3の位置から第1の位置への復帰は、制御ステム2をその中間の第2の位置に戻すための制御ステム2に対する第1の押圧作用に応答して、次いで第1の位置に戻るための第2の押圧作用に応答して、ステム2の反対方向への軸方向並進運動によって行われる。
【0047】
標準的な方法では、制御ステム2がワインディング位置にあるときに噛み合うワインディングピニオン4およびキャッスルホイール6が、制御ステム2またはワインディングステムに設けられる。キャッスルホイール6は、特に後述するように制御ステム2が第3の手動設定位置にあるときだけでなく、制御ステム2が第2の位置にあるときにも、ムーブメントフレームに自由に回転可能に取り付けられた第1の中間ホイール8と噛み合うことができるようにステム2に摺動可能に取り付けられている。
【0048】
Aに枢動可能に取り付けられた引出し片10も設けられている。引出し片10は、ステム2が引っ張られたときに引出し片10がAで枢動するように、制御ステム2の溝に嵌合するように構成されたスタッド12(図2および図4を参照)を備える。
【0049】
ばねを備え、Bに枢動可能に取り付けられた戻しバー14も設けられている。前記戻しバー14は、制御ステム2が第2の位置に移動されるときに、それをスライドさせて第1の中間ホイール8と接触させるようにキャッスルホイール6と協働するように構成され、その後、戻しバー14は、それをその軸Bを中心に枢動させるために引出し片10によって押される。制御ステム2が第3の手動設定位置に移動されるときに、キャッスルホイール6と第1の中間ホイール8との間の噛み合いが維持される。
【0050】
これらのワインディングおよび設定機構は当業者に知られており、これ以上詳細な説明を必要としない。
【0051】
選択および作動デバイス1は、制御ステム2に運動学的に連結されるように構成された少なくとも第1および第2の機能を作動させるための手段を備え、それにより、第1および第2の機能の一方は、前記制御ステム2に対する軸方向の引っ張り作用に応答して、制御ステム2の第1の位置から第2の位置への軸方向並進運動のみによって選択されると作動することができ、第1および第2の機能の他方は、前記制御ステム2に対する軸方向の押圧作用に応答して、制御ステム2の第3の位置から第2の位置への軸方向並進運動のみによって選択されると作動することができる。
【0052】
本発明によれば、少なくとも第1の機能および第2の機能を作動させるための手段は、制御ステム2の方向によって画定される中立軸Dに対して垂直かつ正割な軸Cを中心に枢動可能にフレームに取り付けられた作動レバー16を備える。前記作動レバー16は、少なくとも第1のホイールおよびピニオン18ならびに第2のホイールおよびピニオン20を支持し、前記第1のホイールおよびピニオン18ならびに前記第2のホイールおよびピニオン20は、好適には前記中立軸Dの両側に配置される。作動レバー16は、制御ステム2が第1および第3の位置の一方にあるときに中立位置を占めることができ、かつ前記中立軸Dの両側で、前記第1のホイールおよびピニオン18が、制御ステム2の少なくとも第1の方向への回転に応答して少なくとも第1の機能を作動させることができるように制御ステム2に運動学的に連結されている第1の駆動位置と、前記第2のホイールおよびピニオン20が、制御ステム2の第1の方向と同一または異なる少なくとも第2の方向への回転に応答して少なくとも第2の機能を作動させることができるように制御ステム2に運動学的に連結されている第2の駆動位置との間で枢動することができるように構成され、前記作動レバー16は、第1の機能が選択されると第1の駆動位置に枢動し、第2の機能が選択されると第2の駆動位置に枢動するように構成される。
【0053】
さらに、記載された例では、作動レバー16はまた、ムーブメントの第3の機構の第3の機能を作動させることができるように構成され、第3の機能の選択は、制御ステム2に対する第1の位置から第2の位置への軸方向引張作用に応答して、第1の機能の選択と同時に行われ、ムーブメントの第4の機構の第4の機能を作動させることができるように構成され、第4の機能の選択は、制御ステム2に対する第3の位置から第2の位置への軸方向押圧作用に応答して、第2の機能の選択と同時に行われる。
【0054】
この目的のために、作動レバー16は、ここでは、作動レバー16の異なるアームによって支持された4つのホイールおよびピニオン、すなわち第1のホイールおよびピニオン18、第2のホイールおよびピニオン20、第3のホイールおよびピニオン22、ならびに第4のホイールおよびピニオン24を支持する。第1および第3のホイールおよびピニオン18,22は、中立軸Dに対して同じ側に位置決めされている。第2および第4のホイールおよびピニオン20,24は両方とも、中立軸Dの他方側に位置決めされている。ここで、好適には、作動レバー16は、その軸Cを中心に第1の中間ホイール8と同軸に枢動可能に取り付けられているが、作動レバー16の枢動軸Cが第1の中間ホイール8と同軸でない任意の他の適切な構成が考慮され得ることは明らかである。その4つのホイールおよびピニオンを有する作動レバー16は、制御ステム2が第1の位置および第3の位置の一方にあるときにその中立位置を占めることができるように、かつ第1の駆動位置と第2の駆動位置との間で枢動することができるように構成され、第1の駆動位置では、第1の中間ホイール8およびキャッスルホイール6を介して制御ステム2に運動学的に連結された第1のホイールおよびピニオン18が、制御ステム2の第1の方向、例えば時計回り方向への回転に応答して第1の機能を作動させることができるように構成され、第3のホイールおよびピニオン22は、制御ステム2の他の方向、例えば反時計回り方向への回転に応答して第3の機能を作動させることができるように制御ステム2に運動学的に連結されるように構成され、第2の駆動位置では、制御ステム2に運動学的に連結された第2のホイールおよびピニオン20が、制御ステム2の第2の方向、例えば反時計回り方向への回転に応答して第2の機能を作動させることができるように構成され、第4のホイールおよびピニオン24は、制御ステム2の他の方向、例えば時計回り方向への回転に応答して第4の機能を作動させることができるように制御ステム2に運動学的に連結されるように構成され、前記作動レバー16は、その4つのホイールおよびピニオンが、制御ステム2を第1の位置から第2の位置に引っ張ることのみによって、第1または第3の機能が選択されるときにその中立位置から第1の駆動位置に枢動し、制御ステム2を第3の位置から第2の位置に押すことのみによって、第2または第4の機能が選択されるときにその中立位置から第2の駆動位置に枢動するように構成される。
【0055】
第1の中間ホイール8は、制御ステム2を、異なる機能を作動させる異なるホイールおよびピニオンに、より具体的には、制御ステムが上記のように第2の位置にあるときに、キャッスルホイール6を介して第1のホイールおよびピニオン18または第2のホイールおよびピニオン20に運動学的に連結するように構成される。
【0056】
より具体的には、作動レバー16は、第1および第3のホイールおよびピニオン18,22を支持する第1のサイドアーム16aと、第2および第4のホイールおよびピニオン20,24を支持する第2のサイドアーム16bとを備え、第1および第2のサイドアームは、中央アーム16cによって接続され、制御ステム2の軸方向の回転中心Cの両側に配置される。作動レバー16は、そのサイドアーム16a,16bがその軸方向にしたがって制御ステム2の両側に、すなわち中立軸Dの両側に配置されるように、制御ステム2に対して位置決めされる。
【0057】
第1のホイールおよびピニオン18は、二段ピニオン18a,18bを備え、ピニオン18aが常に第1の中間ホイール8と噛み合うように作動レバー16のアーム16a上に位置決めされる。第1のホイールおよびピニオン18のピニオン18bは、作動レバー16が第1の駆動位置に位置決めされると、例えば第1の機構のホイール26と噛み合うように構成される。したがって、制御ステム2が時計回り方向に回転すると、第1のホイールおよびピニオン18のピニオン18bは、ピニオン18aを介して前記第1の中間ホイール8によって駆動され、前記ホイール26を駆動し、したがって第1の機構の第1の機能を作動させる。第1の中間ホイール8は、制御ステムが第2の位置に移動するときに移動したキャッスルホイール6によって駆動される。
【0058】
さらに、第1のホイールおよびピニオン18は、制御ステム2が反時計回り方向に回転するときにピニオン18bが第3のホイールおよびピニオン22と噛み合うように作動レバー16に摺動可能に取り付けられる。この第3のホイールおよびピニオン22は、作動レバー16が第1の駆動位置に位置決めされたときに、例えば第3の機構のホイール28と噛み合うように構成される。したがって、制御ステム2が反時計回り方向に回転すると、第3のホイールおよびピニオン22は、第1のホイールおよびピニオン18aを介して前記第1の中間ホイール8によって駆動され、前記ホイール28を駆動し、したがって第3の機構の第3の機能を作動させる。
【0059】
第2のホイールおよびピニオン20は、ピニオン20aおよびホイール20bを備え、作動レバー16が第2の駆動位置にあるときにピニオン20aが制御ステム2に運動学的に連結され得るように、作動レバー16のアーム16b上に位置決めされる。
【0060】
この目的のために、ここではフレーム上のCに枢動可能に取り付けられた手動設定レバーに対応する連結レバー30が、作動レバー16と同軸に設けられている。連結レバー30の構成は異なっていてもよく、その枢動軸は作動レバー16の枢動軸と同軸ではない可能性があることは明らかである。連結レバー30は、第1の中間ホイール8、より具体的には常に第1の中間ホイール8と噛み合ったホイール32、ならびにホイール32と噛み合うピニオン34aおよびホイール34bを備えるホイールおよびピニオン34に運動学的に連結された歯車列を支持する。連結レバー30は、端部停止部を形成するためにフレームに設けられたスタッド37に対して移動する開口部35を備える。
【0061】
作動レバー16が第2の駆動位置にあるとき、連結レバー30は、ホイールおよびピニオン34のホイール34bが第2のホイールおよびピニオン20のピニオン20aと噛み合うように位置決めされる。さらに、第2のホイールおよびピニオン20のホイール20bは、作動レバー16が第2の駆動位置に位置決めされたときに、例えば第2の機構のホイール36と噛み合うことができるように構成される。したがって、制御ステム2が反時計回り方向に回転すると、第2のホイールおよびピニオン20のピニオン20aは、連結レバー30のホイール32および34を介して第1の中間ホイール8によって駆動され、ホイール20bがホイール36を駆動して第2の機構の第2の機能を作動させる。
【0062】
さらに、第2のホイールおよびピニオン20は、制御ステム2が時計回り方向に回転するときにホイールおよびピニオン20のホイール20bが第4のホイールおよびピニオン24と噛み合うように、作動レバー16に摺動可能に取り付けられる。この第4のホイールおよびピニオン24は、作動レバー16が第2の駆動位置に位置決めされると、例えば第4の機構の歯車列(図示せず)と協働するように構成される。したがって、制御ステム2が時計回り方向に回転すると、第4のホイールおよびピニオン24は、第2のホイールおよびピニオン20を介して第1の中間ホイール8によって駆動され、第4の機構の第4の機能を作動させる。
【0063】
さらに、連結レバー30は、この目的のために構成された引出し片10と協働するように構成されており、手動設定機能が選択されたときに、制御ステム2が第2の位置から第3の位置に引張作用によって移動されるときにCで傾斜して、ホイールおよびピニオン34のピニオン34aを中間の手動設定ホイール38と噛み合うように位置決めする。したがって、従来の方法では、制御ステム2の回転は、第3の手動設定選択位置に位置決めされると、時計の針をセットすることを可能にする。
【0064】
連結レバー30はまた、制御ステム2に対する押圧作用によって制御ステムが第3の位置から第2の位置に戻されるときにその位置に戻るように構成される。
【0065】
作動レバー16ならびにそのホイールおよびピニオンをその2つの駆動位置の間で枢動させるために、制御ステム2と協働してそれ自体を移動させ、制御ステム2の様々な位置への軸方向並進運動中に第1の駆動位置と第2の駆動位置との間の作動レバー16の運動または枢動を制御するように構成された制御手段が設けられている。
【0066】
作動レバー16のためのこれらの制御手段は、制御ステム2の溝に嵌合し、その端部10aがスタッド12を越えて延在し、作動レバー16と協働するように構成されたピン40を有する引出し片10によって構築される。
【0067】
より具体的には、作動レバー16は、第1のサイドアーム16aとその中央アーム16cとの間に、カム42を支持し、カム42は、制御ステム2が第1の位置および第3の位置の一方にあるときに、第1の駆動位置および第2の駆動位置の一方に一方向に、および第1の駆動位置および第2の駆動位置の他方に他方向に、あるいは、制御ステム2が第1または第3の位置から第2の位置に移動するたびに、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間の中央であるその中立位置に位置決めされた軸Cを中心に前記作動レバー16を枢動させることができるように、引出し片10のピン40と協働するように構成されたプロファイルを有し、作動レバー16は、制御ステム2が第2の位置から第3の位置に引っ張られるとき、または第2の位置から第1の位置に押し戻されるときに、常に同じ中央中立位置を通過する。作動レバー16は、ピン40によって拘束されていないとき、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間の中央にあるその中立位置にあり、制御ステム2は、第1の位置および第3の位置のうちの一方にある。作動レバー16を第1および第2の駆動位置の一方からその中央中立位置に戻すように構成されたレバーばね(図示せず)が設けられている。前記レバーばねは、一端がフレームに固定され、他端が作動レバー16と一体の2つのピン44aおよび44b(図1および図4を参照)の間を通るように構成され、作動レバー16が第1および第2の駆動位置の一方にあるときにレバーばねの停止部を構築する。作動レバー16がその中立位置を占めると、ホイールおよびピニオン18および22に最も近いピン44aは、中立軸Dを通過する。
【0068】
カムプロファイル42は、平行六面体の形状であってもよく、その4つの側面は、制御ステム2のその様々な位置への連続的な軸方向並進運動中に引出し片10のピン40がそれに沿って移動する一対の傾斜平行面を形成する。
【0069】
カム42のプロファイルは、作動レバー16の所望の角度ストロークおよび制御ステム2に所望される引張/押圧力に応じて異なり得ることは明らかである。例えば、平坦な頂点を有する卵形カムを設けることができる。
【0070】
したがって、作動レバー16が第1の駆動位置と第2の駆動位置との間の中央であるその中立位置に位置決めされると、制御ステム2が第1の位置にあるとき、ピン40はカムプロファイル42と協働して、制御ステム2が第2の位置に引っ張られると、特に第1の機能を選択するために、作動レバー16を第1の駆動位置に(ダイヤル側を見て)反時計回り方向に枢動させ、次いで、制御ステム2が第3の位置に引っ張られると、前記作動レバー16をそのレバーばねによって中央中立位置に戻すことを可能にし、次いで、制御ステム2が第2の位置に押し戻されると、特に第2の機能を選択するために、作動レバー16を第2の駆動位置に(ダイヤル側を見て)時計回り方向に枢動させ、次いで、前記作動レバー16は、制御ステム2が第1の位置に再び押し込まれたときに、そのレバーばねによってその中央中立位置に戻ることを可能にする。
【0071】
本発明による選択および作動デバイスは、以下のように機能する。
図1および図2を参照すると、制御ステム2は、第1のワインディング位置にあり、作動レバー16は、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間のその中央中立位置にある。引出し片10および戻しバー14は、キャッスルホイール6が制御ステム2の回転によってワインディングのためにワインディングピニオン4と噛み合うように、ワイディング位置に位置決めされる。したがって、第1の中間ホイール8は、制御ステム2が回転されるときには非作動であり、その結果、第1、第2、第3および第4の機能のいずれも作動させることができない。
【0072】
図5および図6を参照すると、制御ステム2は、第1の位置から第2の位置に第1の時間だけ引っ張られているので、引出し片10はAで中間位置に枢動し、戻しバー14を制御して、第1の中間ホイール8と噛み合ってキャッスルホイール6を移動させる。引出し片10のこの枢動の間、そのピン40は、カム42の傾斜面と連動して、作動レバー16を時計回り方向に、背面側を見ることによって、第1の駆動位置へと傾ける。Cでの作動レバー16のこの枢動中、第1の中間ホイール8と噛み合う第1のホイールおよびピニオン18は、第1の機構のホイール26に近づき、第3のホイールおよびピニオン22は、第3の機構のホイール28と噛み合う。
【0073】
制御ステム2が時計方向に回転されると、第1のホイールおよびピニオン18は、第1の機構のホイール26と噛み合う。したがって、制御ステム2が第1の位置から第2の位置に引っ張られると、第1の機能は、図5に示すように、キャッスルホイール6、第1の中間のホイール8、第1のホイールおよびピニオン18、ならびにホイール26を介して、制御ステム2を時計回り方向に回転させることによって作動させることができる。
【0074】
制御ステム2が反時計回り方向に回転されると、第1の摺動ホイールおよびピニオン18は、第3のホイールおよびピニオン22と噛み合い、第3の機構のホイール28を駆動する。したがって、制御ステム2が第1の位置から第2の位置に引っ張られると、第3の機能は、図6に示すように、キャッスルホイール6、第1の中間ホイール8、第1のホイールおよびピニオン18、第3のホイールおよびピニオン22、ならびにホイール28を介して、制御ステム2を反時計回り方向に回転させることによって作動させることができる。
【0075】
カム42の傾斜面は、レバーばねの荷重下でピン40に押し付けられたままである。
【0076】
作動レバー16が第1の駆動位置にあるとき、第2のホイールおよびピニオン20は第1の中間ホイール8と協働せず、それにより、前記第2のホイールおよびピニオン20は、第4のホイールおよびピニオン24と共に非作動である。
【0077】
したがって、制御ステム2を第1の位置から第2の位置に引っ張ることによって第1および第3の機能のみを選択することができ、ステムの回転によって作動させることができ、第2および第4の機能はこの一連の位置では選択できない。
【0078】
図7を参照すると、制御ステム2は、第2の位置から第3の位置へと再び引っ張られており、それにより、引出し片10は、Aにおいてその極限位置へと枢動し、このとき、ピニオン34aが中間の手動設定ホイール38と噛み合い、開口部35の縁部の一方がスタッド37に当接するように、軸Cに従って枢動するように連結レバー30を制御する。引出し片10はまた、キャッスルホイール6が第1の中間ホイール8と噛み合ったままであるように、戻しバー14を定位置に維持するように構成される。
【0079】
したがって、制御ステム2が第2の位置から第3の位置に引っ張られると、図7に示すように、キャッスルホイール6、第1の中間ホイール8、連結レバー30の歯車列32,34、および中間の手動設定ホイール38を介して、制御ステム2の回転によって、手動設定機能を作動させることができる。
【0080】
引出し片10のこの枢動中、そのピン40はカム42の傾斜面の後ろに落下し、それによって作動レバー16はもはや拘束されず、図7に示すように、そのレバーばね(図示せず)によって、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間の中央であるその中立位置に戻る。作動レバー16は、やはりホイール26および28から離れており、第2のホイールおよびピニオン20は作動しておらず、その結果、第1、第2、第3および第4の機能のいずれも作動させることができない。
【0081】
図8および図9を参照すると、制御ステム2は、引出し片10がその中間位置に戻り、連結レバー30がその位置に戻ることを可能にするように、第3の位置から第2の位置に最初に押し戻されており、開口部35の反対側の縁部はスタッド37に当接して戻り、ホイールおよびピニオン34を中間の手動設定ホイール38から係合解除する。引出し片10は、キャッスルホイール6が第1の中間ホイール8と噛み合ったままであるように、戻しバー14を定位置に維持する。
【0082】
引出し片10のこの枢動の間、そのピン40は、カム42の他方の傾斜面と連動し、カム42の上部まで通過して、作動レバー16を第2の駆動位置へと、背面側を見て反時計回り方向に傾ける。この作動レバー16の軸Cに応じた枢動中、第2のホイールおよびピニオン20は、ホイールおよびピニオン34と噛み合い、第2の機構のホイール36に近づき、第4のホイールおよびピニオン24は、第4の機構と噛み合う。
【0083】
制御ステム2が反時計回り方向に回転されると、第2のホイールおよびピニオン20は、第2の機構のホイール36と噛み合う。したがって、制御ステム2が第3の位置から第2の位置に押し戻されると、第2の機能は、図8に示すように、キャッスルホイール6、第1の中間ホイール8、歯車列32,34、第2のホイールおよびピニオン20、ならびにホイール36を介して、反時計回り方向に制御ステム2を回転させることによって作動させることができる。
【0084】
制御ステム2が時計方向に回転されると、第2の摺動ホイールおよびピニオン20が第4のホイールおよびピニオン24と噛み合って第4の機構を駆動する。したがって、制御ステム2が第3の位置から第2の位置に押し戻されると、第4の機能は、図9に示すように、キャッスルホイール6、第1の中間ホイール8、歯車列32,34、第2のホイールおよびピニオン20ならびに第4のホイールおよびピニオン24を介して、制御ステム2を時計回り方向に回転させることによって作動させることができる。
【0085】
作動レバー16が第2の駆動位置にあるとき、第1のホイールおよびピニオン18はホイール26から離れており、第3のホイールおよびピニオン22はホイール28から離れている。
【0086】
したがって、制御ステム2を第3の位置から第2の位置に押し戻して、ステムの回転によって作動させることによって、第2および第4の機能のみを選択することができ、第1および第3の機能はこの一連の位置では選択できない。
【0087】
最後に、制御ステム2は、第2の位置から第1の位置に再び押し戻され、それにより、引出し片10は、その初期位置に戻るようにAにおいて枢動する。戻しバー14はまた、ワインディングピニオン4と協働するように戻るキャッスルホイール6を動かすことによって、そのばねの作用下でその初期位置に戻る。引出し片10のこの枢動の間、そのピン40はカム42の上部から落下し、作動レバー16はもはや拘束されず、そのレバーばね(図示せず)によって、第1の駆動位置と第2の駆動位置との間の中央であるその中立位置に戻る。すべての要素が図1の位置に戻る。作動レバー16は、やはりホイール26および28から離れており、第2のホイールおよびピニオン20は作動しておらず、その結果、第1、第2、第3および第4の機能のいずれも作動させることができない。
【0088】
ここに示される例では、第1および第2のホイールおよびピニオン18,20は、機能を一方向に作動させるように構成されており、その結果、制御ステムが第1の位置から第2の位置に引っ張られたときに2つの機能を選択して作動させることができ、制御ステムが第3の位置から第2の位置に押し戻されたときに2つの他の機能を選択して作動させることができ、すなわち上述のシーケンスに適合しながら4つの異なる機能がある。
【0089】
第1の位置におけるワインディング機能および第3の位置における手動設定機能により、制御ステムは、上述のシーケンスに適合しながら、単一の制御ステムによって6つの異なる機能を作動させることを可能にする。
【0090】
当然ながら、機能を双方向に作動させるように構成された第1および第2のホイールおよびピニオン18,20を有することが可能であり、その結果、制御ステムが第1の位置から第2の位置に引っ張られたときに一方の機能を選択して作動させることができ、制御ステムが第3の位置から第2の位置に押し戻されたときに別の機能を選択して作動させることができ、すなわち、ワインディングおよび手動設定により、上述したシーケンスに適合しながら、単一の制御ステム上に4つの機能が一緒にされる。
【0091】
もちろん、双方向/一方向の変形例も組み合わせることができる。
【0092】
第1および/または第3の位置に双方向作動機構を有することも可能である。したがって、上述のシーケンスに適合しながら、単一の制御ステム2によって最大8つの異なる独立した機能を選択して作動させることが可能である。時計のフランクに従来配置されていた補正器は不要になるため、通常の気密性の問題を解決する。
【0093】
本発明で使用される作動レバーは、中立軸の両側の2つの駆動位置の間に枢動可能に取り付けられ、中立軸の両側で少なくとも2つ、特に4つのホイールおよびピニオンを支持して、少なくとも2つ、特に4つの異なる機構を作動させるので、前記機構は、作動レバーのその中立位置に対する枢動中に中立軸の両側から、前記中立軸の両側で一方向または他方に到達可能であるため、ムーブメントの実質的にどこにでも配置され得る。したがって、本発明は、ムーブメントまたは口径内でのこれらの機構の配置の大きな自由度から利益を得ることを可能にする。これにより、例えば、多数の機能が同じ制御ステムによって作動される場合に、より小さい口径を得ることが可能になる。
【0094】
機能は、制御ステムをその様々な位置の間で引っ張るかまたは押すことによって容易かつ簡単に選択され得、上記のシーケンスによれば、これらの機能はまた、制御ステムを単に回転させることによって容易に達成される。
【0095】
制御ステムは、好適には3位置ワインディングステムであり、ステムの基本的な機構を変更することなく、本発明による選択および作動デバイスを実装することは容易である。
【0096】
任意の他の制御ステムが明らかに使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】