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特開2022-161025保護カバー要素および電気差込コネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161025
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】保護カバー要素および電気差込コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/44 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
H01R13/44 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022062774
(22)【出願日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】10 2021 108 628.0
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511051753
【氏名又は名称】ヴァーゴ・フェアヴァルトゥングスゲゼルシャフト・エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ・マステル
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE14
5E087FF02
5E087GG06
5E087LL21
5E087MM02
5E087RR17
(57)【要約】
【課題】差込コネクタのハウジングの絶縁体材料から突き出ている1つまたは複数の接点ブレードを有する電気差込コネクタの場合に、簡単で汎用的に適用可能なように、必要とされる指接触防護を保証することである。
【解決手段】本発明は、電気差込コネクタのブレード接点のうち絶縁体材料から突き出ている接点ブレード上に差し込むための保護カバー要素および少なくとも1つのこのような保護カバー要素を備えた電気差込コネクタに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気差込コネクタ(31)のブレード接点(29)の接点ブレード(2)上に装着される保護カバー要素(1)であって、
前記接点ブレード(2)は、前記差込コネクタ(31)のコネクタハウジング(3)の絶縁体材料から突出する長さ(L)を有し、
前記保護カバー要素(1)は、挿入側(10)を有し、前記挿入側(10)により前記保護カバー要素(1)を、前記接点ブレード(2)の前部(20)から前記接点ブレード(2)の表面に沿って押し動かすことができ、
前記保護カバー要素(1)は、前部に、少なくとも1つの絶縁性の保護要素(12)を有し、前記保護カバー要素(1)が前記接点ブレード(2)上に装着されたとき、前記保護要素(12)は、前記接点ブレード(2)の前記前部(20)を少なくとも部分的に、前記ブレード接点(29)の相手側として形成されたフォーク接点(5)の差込方向においてカバーしており、
前記保護カバー要素(1)は、前記前部の前記保護要素(12)から前記挿入側(10)に向かって伸長する複数の長手方向片部(13、14、15、16)を有し、すべての前記長手方向片部(13、14、15、16)は、前記接点ブレード(2)が前記絶縁体材料から突出する前記長さ(L)の75%より短いことを特徴とする保護カバー要素。
【請求項2】
前記長手方向片部(13、14、15、16)が異なる長さを有することを特徴とする請求項1に記載の保護カバー要素。
【請求項3】
前記長手方向片部(13、14、15、16)の少なくとも1つに固定要素が配置されており、前記保護カバー要素は、相手側として割り当てられた前記接点ブレード(2)のロック要素に、前記固定要素によって、固定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の保護カバー要素。
【請求項4】
長手方向片部(13、14、15、16)として少なくとも1つの中間片部(15、16)を有し、前記中間片部(15、16)が、前記接点ブレード(2)の互いに対向する側縁(23、24)間の領域で、前記前部の前記保護要素(12)から前記挿入側(10)に向かって伸長していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の保護カバー要素。
【請求項5】
対をなす中間片部(15、16)を有し、前記中間片部は、前記接点ブレード(2)の互いに対向する接点側部(21、22)に設けられることを特徴とする請求項4に記載の保護カバー要素。
【請求項6】
前記対をなす中間片部(15、16)が、連結片部(17)によって相互に連結されていることを特徴とする請求項5に記載の保護カバー要素。
【請求項7】
前記連結片部(17)には、前記接点ブレード(2)に前記保護カバー要素(1)を固定するための固定要素が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の保護カバー要素。
【請求項8】
少なくとも1つの中間片部(15、16)が最も長い前記長手方向片部(13、14、15、16)を形成することを特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載の保護カバー要素。
【請求項9】
長手方向片部(13、14、15、16)として、上部の幅狭側部カバー(13)および/または下部の幅狭側部カバー(14)が存在しており、前記幅狭側部カバーが、前記前部の前記保護要素(12)から前記挿入側(10)に向かって伸長しており、かつ前記保護カバー要素が前記接点ブレード(2)上に装着されているとき、少なくとも前記接点ブレードの側縁(23、24)の領域をカバーしていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の保護カバー要素。
【請求項10】
前記保護カバー要素は、幅狭側部カバー(13、14)の間に連結部を有することなく、前記挿入側(10)で開口するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の保護カバー要素。
【請求項11】
前記前部の保護要素(12)として前部リブを有し、前記保護カバー要素(1)が前記接点ブレード(2)上に装着されているとき、前記前部リブが、実質的に前記接点ブレード(2)の前記前部(20)の全長(H)にわたって延びる長さを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の保護カバー要素。
【請求項12】
前記前部の前記保護要素(12)が、前記接点ブレード(2)の厚さ(D)より小さい厚さ(D)を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の保護カバー要素。
【請求項13】
電気差込コネクタ(31)のブレード接点(29)の接点ブレード(2)上に装着される保護カバー要素(1)であって、
前記接点ブレードは、前記電気差込コネクタ(31)のハウジング(3)の絶縁体材料から突出しており、
前記保護カバー要素は、挿入側(10)を有し、前記挿入側(10)により、前記保護カバー要素(1)を、前記接点ブレード(2)の前部(20)から前記接点ブレード(2)の表面に沿って押し動かすことができ、
前記保護カバー要素は、前部に、少なくとも1つの絶縁性の保護要素(12)を有し、前記保護カバー要素が前記接点ブレード(2)上に装着されているとき、前記保護要素(12)は、前記接点ブレード(2)の前記前部(20)を少なくとも部分的に、前記ブレード接点(29)の相手側として形成されたフォーク接点(5)の差込方向においてカバーしており、
前記保護カバー要素は、前記前部の前記保護要素(12)から前記挿入側(10)に向かって伸長する複数の長手方向片部(13、14、15、16)を有し、前記長手方向片部(13、14、15、16)として、前記前部の前記保護要素(12)から前記挿入側(10)に向かって伸長する上部の幅狭側部カバー(13)および/または下部の幅狭側部カバー(14)が存在しており、前記保護カバー要素が前記接点ブレード(2)上に装着されているとき、少なくとも、前記接点ブレードの側縁(23、24)の領域をカバーしており、
前記保護カバー要素は、幅狭側部カバー(13、14)の間に連結部を有することなく前記挿入側(10)で開口するように構成されていることを特徴とする保護カバー要素。
【請求項14】
絶縁体材料からなるコネクタハウジング(3)および少なくとも1つのブレード接点(29)を有する電気差込コネクタ(31)であって、前記ブレード接点(29)が、前記絶縁体材料から突出する接点ブレード(2)を有し、前記接点ブレード(2)が、前記電気差込コネクタ(31)の前記絶縁体材料から突出する長さ(L)を有する電気差込コネクタにおいて、請求項1から13のいずれか一項に記載の保護カバー要素(1)が、前記接点ブレード(2)上に装着され、噛み合い手段、摩擦手段、および/または一体化手段によって前記接点ブレード(2)に固定されることを特徴とする電気差込コネクタ。
【請求項15】
前記接点ブレード(2)が前部に凹部(25)を有し、前記前部の前記凹部(25)が、前記保護カバー要素(1)を固定するためのロック要素を形成することを特徴とする請求項14に記載の電気差込コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気差込コネクタのブレード接点のうちコネクタハウジングの絶縁体材料から突出する接点ブレード上に装着される保護カバー要素および少なくとも1つのこのような保護カバー要素を備えた電気差込コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気差込接続構成では、事故を防止するため、指接触防護が保証されなければならない。指接触防護の試験のために、規格化された試験指が規定の力で電気差込コネクタのハウジング部品の開口部の縁に押し付けられるかまたは中に押し込まれ、通電部品が試験指と接触しないことが試験される。
【0003】
DE102012105839A1からは、電気差込コネクタのそれぞれのブレード接点を前部で少なくとも部分的にカバーする弓形の添え当て要素を備えたコネクタハウジングを形成するという提案が読み取れる。これにより、差込接続機器が互いに差し込まれ合っていない状態でも、接触防護が保証されるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE102012105839A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎となる課題は、差込コネクタのハウジングの絶縁体材料から突出する1つまたは複数の接点ブレードを有する電気差込コネクタにおいて、簡単で汎用的に適用可能な様式で、必要とされる指接触防護を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、電気差込コネクタのブレード接点の接点ブレード上に装着される保護カバー要素であって、接点ブレードが、差込コネクタのコネクタハウジングの絶縁体材料から突出する長さを有し、保護カバー要素が挿入側を有し、この挿入側により保護カバー要素を、接点ブレードの前部から接点ブレードの表面に沿って押し動かすことができ、保護カバー要素が、前部に少なくとも1つの絶縁性の保護要素を有し、保護カバー要素が接点ブレード上に装着されているとき、この保護要素が、接点ブレードの前部を少なくとも部分的に、ブレード接点の相手側として形成されたフォーク接点の差込方向においてカバーしており、保護カバー要素が、前部の保護要素から挿入側に向かって伸長する複数の長手方向片部を有し、すべての長手方向片部は、接点ブレードが絶縁体材料から突出する長さの75%より短い、保護カバー要素によって解決される。したがって本発明による保護カバー要素は、相手側のコネクタが、電気差込コネクタ上に差し込まれ得る差込方向において比較的短く形成されており、したがって実質的には接点ブレードの前部の領域だけをカバーしている。これにより、この保護カバー要素は、材料を節減して提供され得、それでもなお指接触防護に関する所望の要求を満たしている。保護カバー要素は、例えばすべての長手方向片部が、接点ブレードが絶縁体材料から突出する長さの65%より短いように形成されてもよい。よって保護カバー要素は、接点ブレードが絶縁体材料から突出する箇所から比較的遠くに離隔されている。
【0007】
ここで接点ブレードの前部とは、相手側として形成されたフォーク接点が差込方向において接点ブレード上に差し込まれる側を意味する。保護カバー要素は、噛み合い手段、摩擦手段、および/または一体化手段によって接点ブレードに固定可能な独立した部品として形成され得る。本発明による保護カバー要素により、突出する接点ブレードを有する任意の電気差込コネクタは、保護カバー要素を後付けすることができて、それにより必要とされる指接触防護を満たすことができる。したがって本発明による保護カバー要素は後付け装備にも適している。
【0008】
保護カバー要素は、簡単に押されることにより、迅速かつ簡単に接点ブレードに取り付けられ得、接点ブレードに噛み合い接続および/または摩擦接続に基づいて保持される。その代わりにまたはそれに加えて、接点ブレードと保護カバー要素の間の一体接続により、例えば接着により、固定が行われ得る。
【0009】
保護カバー要素が、前部の保護要素から挿入側に向かって伸長する複数の長手方向片部を有することが有利である。これにより保護カバー要素を機械的に堅牢に形成でき、それにより、とりわけ接点ブレード上に被せる際に生じる力を損傷なく吸収できる。長手方向片部は、例えば、相手側として形成された1つまたは複数のフォーク接点を有する差込コネクタの差込方向に正確に伸長してもよく、または差込方向に対してある程度の角度をつけて伸長してもよい。長手方向片部の間に隙間を形成することができ、この隙間は、保護カバー要素が接点ブレード上に装着されているとき、接点ブレードの対向する接点側部において、接点ブレードの対向配置された接点領域を露出させる。これにより、フォーク接点が、保護カバー要素が接点ブレード上に装着されているとき、鏡面対称的に配置された接点フォークを、隙間によって露出している接点ブレードの接点領域に電気的に接続できる。接点ブレードを鉛直に配置した場合に接点ブレードをその前部から観察すると、これにより接点領域は接点ブレードの左右の側にあり、これに関して有利なのは、接点領域がそれぞれ同じ高さに配置されていることである。これにより、保護カバー要素が接点ブレード上に装着されているにもかかわらず、上記した接点ブレードの観察方向に見ると鉛直線に対して鏡面対称的に配置される対をなしたフォーク接点が、ブレード接点に電気的に接続され得る。このような対称的なフォーク接点は、接点ブレードの確実な電気的接触を可能にすると同時に、差込接続の差込みまたは分離の際の容易な取り扱いを可能にする。
【0010】
本発明の有利な一形態によれば、長手方向片部(換言すれば、長手方向リブ)は異なる長さを有する。これにより長手方向片部は、それぞれその異なる機能に応じて、例えば接点ブレードの純粋なカバー機能および/または接点ブレードに保護カバー要素を固定するための固定機能のために、最適化され得る。
【0011】
本発明の有利な一形態によれば、長手方向片部の少なくとも1つに固定要素が配置されており、この固定要素により、保護カバー要素は、相手側として割り当てられた接点ブレードのロック要素に固定可能である。こうすることで保護カバー要素が、簡単かつ迅速に、後からでも、差込コネクタに取り付けられ得る。保護カバー要素は、例えば接点ブレードのロック要素と噛み合い式に連結でき、例えばロック要素と係合され得る。
【0012】
本発明の有利な一形態によれば、保護カバー要素は、長手方向片部として少なくとも1つの中間片部(換言すれば、中間リブ)を有し、この中間片部は、接点ブレードの対向する側縁の間の領域で、前部の保護要素から挿入側に向かって伸長している。これにより、保護カバー要素の機械的安定性がさらに高まる。これに加え、このような中間片部の1つまたは複数により接触防止をさらに改善でき、これは大きな接点ブレードで特に当てはまる。
【0013】
本発明の有利な一形態によれば、保護カバー要素が中間片部を、対をなして、接点ブレードの互いに対向する接点側部に有する。この中間片部の対は、保護カバー要素が接点ブレード上に装着されているとき、接点ブレードの互いに対向する接点側部において接点ブレードの対向配置された接点領域(接点窓)が露出されるように配置することができ、これにより、保護カバー要素が接点ブレード上に装着されているときに、鏡面対称的に配置された接点フォークを有するフォーク接点を、接点領域に電気的に接続できる。
【0014】
このような中間片部により、カバーされる接点ブレードのそれぞれの接点側部が、接点窓という意味において追加の接点領域に分割される。例えば、長手方向片部により、接点ブレードの接点側部ごとに、フォーク接点に存在する接点フォーク対の数の接点窓をつくり出すことが有利である。フォーク接点が、接点側部あたり2つの接点フォークを有して形成されている場合、保護カバー要素の上下の幅狭側部カバー(換言すれば、細長または狭小側部カバー)の間の中央に1つの中間片部を配置することが有利である。
【0015】
本発明の有利な一形態によれば、対をなして対向している中間片部は、連結片部(換言すれば、連結リブ)によって相互に連結されている。これにより保護カバー要素が中間片部の領域で機械的に安定化される。加えてこれにより、接点ブレードに保護カバー要素を固定するための、堅牢な固定可能性が提供される。
【0016】
したがって連結片部には、接点ブレードに保護カバー要素を固定するための固定要素が配置されていてもよい。これに加え、少なくとも1つの中間片部が最長の長手方向片部を形成してもよい。
【0017】
本発明の有利な一形態によれば、保護カバー要素の長手方向片部として、上部の幅狭側部カバーおよび/または下部の幅狭側部カバーが存在しており、これらの幅狭側部カバーは、前部の保護要素から挿入側に向かって伸長しており、保護カバー要素が接点ブレード上に装着されているとき、少なくとも接点ブレードのそれぞれの側縁の領域をカバーしている。これにより、保護カバー要素による接点ブレードのカバーの度合いがさらに大きくなり、したがって、とりわけ上部および/または下部の幅狭側部カバーが絶縁体から形成されている場合、さらに向上した接触防護が達成され得る。それに加え、保護カバー要素の安定性がさらに高まる。
【0018】
本発明の有利な一形態によれば、上部および/または下部の幅狭側部カバーが、挿入口より大きな幅を有する。とりわけ、上部および/または下部の幅狭側部カバーを接点ブレードの厚さより幅広にすることができる。上部および/または下部の幅狭側部カバーは、例えばU字形の断面形状を有することができ、これにより接点ブレードのそれぞれの側縁をU字形に包むことができる。これにより、さらに向上した接触防護が達成され得る。それに加え、保護カバー要素の安定性がさらに高まる。
【0019】
本発明の有利な一形態によれば、保護カバー要素が、幅狭側部カバーの間に連結部を有することなく、挿入側で開口するように形成されている。これによっても保護カバー要素は非常に材料を節減して製造され得る。
【0020】
保護カバー要素の、このような挿入側で開口する様式は、請求項13に挙げたような追加の発明を備えている。この発明が、上記および以下で説明される形態と組み合わせ得ることが有利である。
【0021】
本発明の有利な一形態によれば、保護カバー要素が、前部の保護要素として前部片(換言すれば、前部リブ)を有し、この前部片は、保護カバー要素が接点ブレード上に装着されているとき、実質的に接点ブレードの前部の全長にわたって延びているような長さを有する。これは、1つの保護カバー要素により、接点ブレードが前部でその長さ方向の全範囲にわたって接触防護され得るという利点を有する。これに加え、この比較的長く形成された前部片は、保護カバー要素の機械的安定性にも寄与する。
【0022】
本発明の有利な一形態によれば、前部の保護要素は、接点ブレードの厚さより小さい厚さを有する。これは、フォーク接点として形成された接点ブレードの相手側を、簡単に上に差し込むために有利である。すなわち前部の保護要素は接点ブレードより薄く(換言すれば、幅が狭く)、これにより、接点ブレード上に差し込まれるフォーク接点の接点フォークは、最初に前部の保護要素上で進路をそらされる必要なく、直接的にブレード接点と電気的および機械的に接触し得る。これによりフォーク接点は、接点ブレード上に配置された保護カバー要素により、差込接続の差込みおよび取り外しの際の感触または操作に違和感が生じることなく、いつも通りに接点ブレード上に差し込まれ得る。
【0023】
本発明の有利な一形態によれば、保護カバー要素が前部で傾斜して形成されている。これは、ブレード接点の相手側、つまりフォーク接点の差込みをさらに容易にする。フォーク接点の接点フォークは、保護カバー要素の傾斜した領域によって追加的に案内される。保護カバー要素は、縦軸および/または横軸に対して傾斜して形成され得る。これに関し、保護カバー要素が、前部を鉛直に方向づけた接点ブレードに対応して方向づけられている場合、縦軸とは鉛直線のことである。この場合に横軸とは、挿入方向に垂直に伸長する水平線のことである。
【0024】
冒頭に挙げた課題はさらに、絶縁体材料からなるコネクタハウジングおよび少なくとも1つのブレード接点を有する電気差込コネクタであって、このブレード接点は、絶縁体材料から突出する接点ブレードを有し、この接点ブレードは、差込コネクタの絶縁体材料から突出する長さを有しており、上記で解説した種類の保護カバー要素が、接点ブレード上に装着され、噛み合い手段、摩擦手段、および/または一体化手段によって接点ブレードに固定されている電気差込コネクタによって解決される。この保護カバー要素は、とりわけ上記で解説した有利な形態に基づいて形成され得る。よって上記で説明した利点が同様に達成される。コネクタハウジングは全体的または部分的に絶縁体材料からなり得、これに関してはブレード接点が、少なくとも、その接点ブレードがコネクタハウジングの材料から突出する箇所では、絶縁体材料によって取り囲まれている。
【0025】
有利な一形態では、差込コネクタが、1つまたは複数の収容室が形成されたハウジングを有してもよく、この収容室内にそれぞれ、接点ブレードのうち絶縁体ハウジングから突出する部分が延びている。例えば、それぞれ1つの収容室を1つの接点ブレードに割り当てることができ、または1つの収容室に複数の接点ブレードを割り当てることができる。このような収容室により、指接触防護がまたさらに改善される。例えば、保護カバー要素を備えた接点ブレードが全体的に、このような収容室によって取り囲まれた空間内に配置され得る。その際、それぞれの収容室は、差込方向に、つまり差込コネクタの差込面に向けて開口しており、したがって相手コネクタはそこに差し込まれ得る。
【0026】
接点ブレードは前部の凹部を有することができ、この前部の凹部が、保護カバー要素を固定するためのロック要素を形成する。前部の凹部は、例えば、接点ブレードの前部の実質的に中央に配置され得る。前部の凹部は、例えば、保護カバー要素の対向する中間片部を相互に連結している連結片部のための収容部であり得る。連結片部は前部の凹部内で、単純に、定位置で挟持されることでロックされ得る。その代わりにまたはそれに加えて接点ブレードには前部の凹部の領域に、保護カバー要素をロックする1つまたは複数の突起が形成され得る。
【0027】
本発明の意味において、不定の概念「1つ(ein)」は数詞と理解するべきではない。つまり例えば1つの部品と言う場合、それは「少なくとも1つの部品」の意味で解釈されるべきである。角度表示が度でなされる場合には、この角度表示は360度(360°)の円の尺度に対してである。
【0028】
以下に例示的実施形態に基づき、図面を使用して本発明をより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】電気的差込コネクタの前面図である。
図2図1に基づく差込コネクタの第1の断面図である。
図3図1に基づく差込コネクタの第2の断面図である。
図4】保護カバー要素の透視図である。
図5図1に基づく差込コネクタの部分的に切断された透視図である。
図6】保護カバー要素を備えた接点ブレードの透視図である。
図7】保護カバー要素なしの接点ブレードの透視図である。
図8】保護カバー要素を被せた単一のブレード接点および相手側として形成されたフォーク接点を示す図である。
図9】保護カバー要素および接点ブレードの透視図である。
図10】保護カバー要素を備えた接点ブレードの前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、電気差込コネクタ31の前面図、つまり差込面から見た図を示している。図2は、図1で示した電気差込コネクタ31の切断面A-Aでの鉛直断面を示している。図3は、図1で示した電気差込コネクタ31の切断面B-Bでの水平断面を示している。
【0031】
図1図3が明らかにしているように、差込コネクタ31はハウジング3を有し、ハウジング3には前部に収容室30が形成されている。ハウジング3内には複数のブレード接点29が配置されている。例えば図2では、ハウジング3から突き出ている接点ブレード2を含む完全なブレード接点29が認識でき、接点ブレード2は割り当てられた収容室30内に延びている。接点ブレード2上に保護カバー要素1が装着されている(換言すれば、差し込まれている)。保護カバー要素1は、各幅狭側部カバー(換言すれば、細長または狭小側部カバー)13、14の領域内で、および幅狭側部カバー13、14の間に、係合手段として形成された連結片部17を有し、連結片部17は、2つの中間片部15、16を相互に連結しており、正しく差し込まれている保護カバー要素1の場合には、接点ブレード2の係合手段25と協働して、保護カバー要素1を接点ブレード2上でロックする(換言すれば、固定する)。
【0032】
ハウジング3がさらに、接点ブレード2を越えて前方に突き出ているハウジング領域を有することが認識でき、このハウジング領域が収容室30となる。このハウジング領域は、接触防止としての機能と、1つまたは複数のフォーク接点を内包し得る相手側として形成された差込コネクタを力学的に受け止め、案内し、かつロックするための機能とを有する。ブレード接点29は、後方区間26によりハウジング3内でロックされている。ブレード接点29は、これに加えて係合突起28によりハウジング3内で保持されている。ブレード接点29は、例えば3つの接続ピン27を備えており、これらの接続ピン27は、ハウジング3の下面でハウジング3から突出している。こうすることで、差込コネクタ31を例えば電気プリント基板上でハンダ接合によって固定することができる。
【0033】
図1図3で既に認識できる保護カバー要素1を、図4を参照しながらより詳しく解説する。保護カバー要素1は、例えば全体的に絶縁体材料から、例えばプラスチックから形成され得る。保護カバー要素1は挿入側10を有し、この挿入側10を通って接点ブレード2を挿入させることができ、または挿入側10により保護カバー要素1を接点ブレード2上に差し込むことができる。挿入側10から、複数の長手方向片部13、14、15、16が前方へ、前部の保護要素12へと延びている。保護要素12は前部片として形成されており、かつ長手方向片部13、14、15、16を相互に連結しており、これにより、保護カバー要素1の堅牢な枠構造が生じている。保護カバー要素1が接点ブレード2上に差し込まれている状態では、前面の保護要素12が接点ブレード2の前部20をカバーしている。
【0034】
長手方向片部として、上部の幅狭側部カバー13と、下部の幅狭側部カバー14と、その間の真ん中で挿入方向に伸長している2つの中間片部15、16とが存在している。上部の幅狭側部カバー13および下部の幅狭側部カバー14は、断面形状がU字形であり、つまり溝18を有し、かつ接点ブレード2上に差し込まれている保護カバー要素の場合には接点ブレード2の側縁23、24をU字形に取り囲んでいる。中間片部15、16は、接点ブレード2の接点側部21、22の一部を覆っており、これに関し中間片部15は接点側部21に、および中間片部16は対向する接点側部22に配置されている。個々の長手方向片部13、14、15、16の間には隙間19が形成されており、この隙間19が、接点ブレード2の接点側部21、22の接触のための接点窓を露出させる。中間片部15、16は、連結片部17によって相互に連結されている。
【0035】
図5は、規格化された試験指4を使用した、保護カバー要素1を備えた差込コネクタ31の指接触防護の試験を示している。保護カバー要素1が、試験指4と接点ブレード2の直接的な電気的接触を防止することが認識できる。
【0036】
図6は、保護カバー要素1が上に差し込まれたブレード接点29をさらなる図で示している。前部の保護要素12が接点ブレード2より薄いことが認識でき、したがって前方から見ても接点ブレード2の前部20の一部が見える(図10を参照)。
【0037】
図7は、保護カバー要素なしのブレード接点29を示している。接点ブレード2が前部の凹部25を有することが認識でき、この凹部25が、保護カバー要素1を固定するためのロック要素となっている。前部の凹部25は、接点ブレード2の前部20から差込方向に延びている。凹部25内には、連結片部17をしっかり挟持するための突起が成形され得る。
【0038】
図8は、保護カバー要素1を備えた既に説明した実施形態でのブレード接点29を示している。これに加えてフォーク接点5が接点ブレード2上に差し込まれている。フォーク接点5が、対をなして形成された接点フォーク6を有し、この接点フォーク6が接点ブレードの左右に、つまり接点側部21、22に、それぞれ同じ高さで当接して接触していることが認識できる。接点フォーク6は、保護カバー要素1のうち長手方向片部によって形成された接点窓19内に容易に嵌まり、したがってフォーク接点5は通常のように接点ブレード2と接続され得る。とりわけ、フォーク接点5を上に差し込むために最初に保護カバー要素1を外さなくてよい。
【0039】
図9は、図の左の領域で電気差込コネクタのブレード接点の単一の接点ブレード2を概略的に示しており、この電気差込コネクタのうち図9ではハウジング3の一部だけを抜粋して図示しており、ハウジング3は、図示した領域では絶縁体材料からなる。ブレード接点は、差込コネクタのハウジング3内に配置されている部分と、ハウジング3から突き出ている、つまり収容室30内に突き出ている部分とを有し、この突き出ている部分が接点ブレード2を形成する。絶縁体材料内のスリットを通って、接点ブレード2がハウジング3から突き出ている。接点ブレード2は、実質的に直方体状に形成されており、これに関してはとりわけ端および縁が丸められるかまたは面取りされてもよい。接点ブレード2は、2つの対向する接点側部21、22を有し、これらの接点側部21、22のうち図9では視線方向に基づいて1つの接点側部21だけが認識できる。接点側部21、22は、実質的に互いに平行に伸長している。接点側部21、22は、接点ブレード2の面積的に最大の面である。接点側部21、22はそれぞれ上および下で側縁23、24によって画定され、または狭縁部によっても画定される。前方へは、つまりハウジング3から離れていく側では、接点ブレード2が前部20で終端している。前部20は、傾斜面を経て接点側部21、22または側縁23、24に移行する。
【0040】
接点ブレード2は、相手側としての接点フォークを有するフォーク接点が上に差し込まれるように適応されている。この場合、接点フォークがそれぞれの接点側部21、22に当接する。フォーク接点は、Lで表した矢印の方向、それも前部20からハウジング3への方向に相応する差込方向で、接点ブレード2上に差し込まれる。
【0041】
この接点ブレード2は下記の幾何寸法を有する。
:前部20とハウジング3の絶縁体材料との間隔、つまり接点ブレード2が絶縁体材料から突き出ている長さ。
:幅または図9に基づく表示では高さとも言うことができ、つまり側縁23、24の間隔。
:厚さ、つまり接点側部21、22の間隔。
【0042】
保護カバー要素1の長手方向片部13、14、15、16は、最大長さLを有する。
保護カバー要素1のさらなる幾何寸法として図9および図10に下記が示されている。
:この事例では同じ幅である幅狭側部カバー13、14の幅。
B:前部片12の幅。
:前部片12の厚さ。
:保護カバー要素1の高さ、つまり鉛直方向、すなわち縦軸方向での長さ。
【0043】
これに関しては例えば下記の寸法比が有利である。
B/L>0.2
/L<0.65
(L-B)/L<0.5
【符号の説明】
【0044】
1 保護カバー要素
2 接点ブレード
3 ハウジング
4 試験指
5 フォーク接点
6 接点フォーク
10 挿入側
12 保護要素
13 上部幅狭側部カバー
14 下部幅狭側部カバー
15 中間片部
16 中間片部
17 連結片部
19 接点窓
20 接点ブレードの前部
21 接点側部
22 接点側部
23 側縁
24 側縁
25 前部の凹部
27 接続ピン
28 係合突起
29 ブレード接点
30 収容室
31 差込コネクタ
B 前部片の幅
幅狭側部カバーの幅
前部片の厚さ
接点側部の間の厚さ
保護カバー要素の高さ
側縁間の幅
前部とハウジングの絶縁体材料との間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】