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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161027
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】ガススプリング
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/02 20060101AFI20221013BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20221013BHJP
   F16F 9/34 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
F16F9/02
F16F9/32 U
F16F9/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022063392
(22)【出願日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】102021000008588
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】522138788
【氏名又は名称】スペシャル・スプリングス・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・ボルディン
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ・フィオレーゼ
(72)【発明者】
【氏名】マッティア・トデスコ
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA01
3J069DD21
(57)【要約】
【課題】行程超過と過圧の両方の場合に加圧ガスを速やかに排出し、かつ現在既知の安全システムのものよりも低い生産コストおよび設置コストを有する、ガススプリング用の安全プラグを製造すること。
【解決手段】カップ形本体(2)と、加圧ガスを収容するようになされている可変容量閉チャンバ(4)の範囲を定めるために、該カップ形本体(2)内に軸方向に摺動可能に挿入されかつカップ形本体(2)に流体密封方式で連結される可動ピストン(3)と、カップ形本体(2)の底壁(10)を貫通して延在しており、かつその遠位端が行程超過の場合に可動ピストン(3)により到達され/突き当てられることが可能であるようにカップ形本体(2)内に片持ち梁式に突出しているシャンク(12)を設けられている安全プラグ(8)と、を含み、シャンク(12)の遠位端は、閉チャンバ(4)と直接連通する実質的に管状の構造を有する、ガススプリング(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ形本体(2)と、加圧ガスを収容するように形成されている可変容量閉チャンバ(4)の範囲を定めるために、前記カップ形本体(2)内に軸方向に摺動可能に挿入され、かつ前記カップ形本体(2)に流体密封方式で連結される可動ピストン(3)と、前記カップ形本体(2)の底壁(10)を貫通して延在しており、かつその遠位端が行程超過の場合に前記可動ピストン(3)により到達され/突き当てられることが可能であるように、前記カップ形本体(2)内に片持ち梁式に突出しているシャンク(12)が設けられている安全プラグ(8)と、を含む、ガススプリング(1)において、
前記シャンク(12)の前記遠位端は、前記閉チャンバ(4)と直接連通する実質的に管状の構造を有することを特徴とする、
ガススプリング(1)。
【請求項2】
前記安全プラグ(8)の前記シャンク(12)は、それ自体の内側に、破壊可能な中隔(15)を用いて第1の長手方向区分(14a)と第2の長手方向区分(14b)とに分割されているガス排出ダクト(14)を有し、前記破壊可能な中隔(15)は前記長手方向区分(14a、14b)を互いに流体密封方式で隔離/分割し、前記ガス排出ダクト(14)の前記第2の長手方向区分(14b)は、前記閉チャンバ(4)と直接連通するために、前記シャンク(12)の前記遠位端で終端となっている、請求項1に記載のガススプリング。
【請求項3】
前記破壊可能な中隔(15)は、前記カップ形本体(2)内に片持ち梁式に突出している、前記シャンク(12)の部分に沿って配置されている、請求項2に記載のガススプリング。
【請求項4】
前記破壊可能な中隔(15)は実質的にプレート様であり、任意に円盤状である、請求項2または3に記載のガススプリング。
【請求項5】
前記破壊可能な中隔(15)は、前記中隔の2面間の圧力差が所定の限界値を超過した場合、自動的に壊れ/破砕し/外れるように形成されている、請求項2または3に記載のガススプリング。
【請求項6】
前記ガス排出ダクト(14)の前記第1の長手方向区分(14a)は、前記第2の長手方向区分(14b)のものよりも大きい空の区分を有する、請求項2または3に記載のガススプリング。
【請求項7】
前記ガス排出ダクト(14)の前記第1の長手方向区分(14a)および前記第2の長手方向区分(14b)の両方が、実質的に円形の横断面を有する、請求項6に記載のガススプリング。
【請求項8】
前記第2の長手方向区分(14b)の直径(d)は、前記第1の長手方向区分(14a)の直径(d)よりも小さい、請求項7に記載のガススプリング。
【請求項9】
前記ガス排出ダクト(14)の前記第2の長手方向区分(14b)の前記直径(d)は、前記第1の長手方向区分(14a)の前記直径(d)よりも少なくとも10%小さい、請求項8に記載のガススプリング。
【請求項10】
前記シャンク(12)は、その遠位端に、1つ以上の弱化切欠き、溝部、偏平部分、および/または切取り部を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のガススプリング。
【請求項11】
前記シャンク(12)は、その遠位端に、前記ガス排出ダクト(14)の前記第2の長手方向区分(14b)の口状部の両側に、実質的に直径方向の位置に配置されている一対の弱化偏平部分(21)を有する、請求項10に記載のガススプリング。
【請求項12】
前記弱化偏平部分(21)のうちの少なくとも1つが、前記破壊可能な中隔(15)に一致して到達するために、前記安全プラグ(8)のヘッド部(11)に向かって延在している、請求項11に記載のガススプリング。
【請求項13】
前記シャンク(12)は、その遠位端に、前記ガス排出ダクト(14)の前記第2の長手方向区分(14b)の前記口状部と交差する直径方向切取り部(22)を有する、請求項10に記載のガススプリング。
【請求項14】
前記排出ダクト(14)の前記第2の長手方向区分(14b)は、前記第1の長手方向区分(14a)よりも短い、請求項2または3に記載のガススプリング。
【請求項15】
前記排出ダクト(14)の前記第2の長手方向区分(14b)の長さは、前記排出ダクト(14)の全長の40%未満である、請求項14に記載のガススプリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2021年4月7日に出願されたイタリア特許出願第102021000008588号による優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明はガススプリングに関する。
【0003】
より詳細には、本発明は、シートメタル成形分野において使用されるようになされているガススプリングに関する。以下の開示が一般性を失うことなく明示的に参照する使用。
【背景技術】
【0004】
周知の通り、シートメタル成形用の金型において使用されるガススプリングが、一般に、形状が実質的に円筒形であるカップ形本体と、該カップ形本体の口状部において、該カップ形本体内に流体密封方式で挿入されているガイドブッシングと、同カップ形本体の長手方向軸に平行に同カップ形本体に対して移動することができるように、ガイドブッシングの中心に穴部内に貫通してかつ軸方向に摺動可能に挿入される、形状が実質的に円筒形であるピストンと、を含む。
【0005】
ピストンは、カップ形本体およびガイドブッシングと共に可変容量閉チャンバを形成する/その範囲を定めるために、ガイドブッシング内に流体密封方式でさらに挿入される。該可変容量閉チャンバは、その閉チャンバの容量を最大化する傾向がありしたがってカップ形本体の外にピストンを継続的に押す、高圧ガスで満たされている。
【0006】
したがって、ピストンは、高圧ガスの推力を克服することができる軸方向力をそれが受けるまで、完全に抜き出された配置で、ガイドブッシングに当接されたままである。
【0007】
冷間シートメタル成形プレス内に設置されているガススプリング内で、可変容量チャンバ内に収容されているガスは、通常は50から250バールの範囲の公称圧力を有し、それは、カップ形本体内でピストンが押されると著しく高まる。
【0008】
残念ながら、冷間成形サイクル中、ガススプリングのピストンが後退位置にブロックされたままであるか、または計画されたものよりも長い軸方向ストロークを完了させられることが起こる可能性があり、これはあらゆる安全性の問題を必然的に伴う。
【0009】
ガススプリングの機能不良に関連するリスクを最小限にするために、近年、ガススプリングの大手メーカーは自社のデバイスに安全システムを挿入した。該安全システムは、ある危機的状況が起きた場合、ガススプリングの爆発および/またはピストンの爆発性の噴出のリスクを最小限にするために、カップ形本体からガスを速やかに、しかし制御された方法で、放出することができる。
【0010】
より詳細には、近年、ガススプリングの大手メーカーは自社のデバイスに安全システムを挿入した。該安全システムは、ピストンが「行程超過した」場合、すなわちガススプリングの寸法によって許容されている最大ストロークを越えてピストンがカップ形本体内へ進入した場合、そこにある加圧ガスをガススプリング内へ自動的に排出することができる。
【0011】
特許文献1および特許文献2に記載されているガススプリングは、例えば、カップ形本体の底壁に作製されている貫通孔内へ螺入されるキノコ形の安全プラグを設けられている。
【0012】
安全プラグのねじ付シャンクは、カップ形本体内へ片持ち梁式に突出するように寸法決めされており、プラグの長手方向軸と同軸に延在しておりかつねじ付シャンクの遠位端で密閉されているブラインド排出ダクトを有する。さらに、シャンクの遠位端は、衝突の場合に壊れるように構築されている。ピストンが許容最大ストロークを越えてカップ形本体内へ再進入した場合、ピストンの下端部は安全プラグに衝突し/激突し、ねじ付シャンクの先端部が壊れ、その結果として、プラグの排出ダクトの開口部が壊れる。
【0013】
残念ながら、前述されている安全プラグはあまり信頼できない。ガススプリングが危機的状況にないとしても、該安全プラグはガススプリングの外にガスを偶発的に排出する可能性があるためである。
【0014】
実際、通常の使用中、ガススプリング内部のガスの圧力が低下し、一時的に殆ど周囲圧力になることがしばしば起こる。この場合、ガススプリングのピストンにかかる重量は、安全プラグのシャンクの遠位端の変形を引き起こすのに十分なエネルギーでピストンを該遠位端に押し付けるようなものである可能性がある。この変形は、引き続き、シャンクの先端部の予想外の破壊、および中心排出ダクトを通したタイミングの悪いガスの放出をもたらす可能性があり、したがってガススプリングを使い物にならなくする可能性がある。
【0015】
特許文献3において、この欠点は、カップ形本体の内部にねじ付シャンクから片持ち梁式に突出するように、安全プラグの排出ダクトの内部に螺入されるストライカの鋭い先端部により破壊される破壊可能な中隔によって中心排出ダクトが閉鎖されている安全プラグの使用により、克服されている。ストライカと安全プラグのねじ付シャンクとの間にあるねじ付連結器は、可変容量閉チャンバの通常減圧の場合にピストンが破壊可能な中隔を偶発的に破壊することを回避するために、適切に寸法決めされている。
【0016】
行程超過の場合のガススプリングの動作停止に加えて、特許文献3に記載されている安全デバイスは、該デバイス内部のガスの圧力が所定の最大閾値を超過した場合にガススプリングの動作を停止することをさらに可能にする。
【0017】
実際、破壊可能な中隔は、さらに、中隔の2面間の圧力差が所定の限界値(例えば700バール)を超過した場合に自動的に破壊するように寸法決めされている。
【0018】
残念ながら、非常に信頼できるにも関わらず、特許文献3に記載されている安全デバイスは、2つの別々の部品で構成されており、それは比較的コストがかかり、カップ形本体の底部に設置するのが困難であり、ガススプリングの全生産コストに著しく影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許第0 959 263号明細書
【特許文献2】欧州特許第1 241 373号明細書
【特許文献3】国際公開第2009/063003号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、行程超過と過圧の両方の場合に加圧ガスを速やかに排出し、かつ現在既知の安全システムのものよりも低い生産コストおよび設置コストを有する、ガススプリング用の安全プラグを製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
これらの目的に基づき、本発明に従って、請求項1、および好ましくは、必ずではないが、請求項1に従属する請求項のいずれか一項に定義されているガススプリングが提供される。
【0022】
ここで、本発明を、その非制限的実施形態を示す添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】断面が示される部品および明確にするために除去された部品がある、本発明の教示に基づき実現されたガススプリングの斜視図である。
図2】行程超過の状況にありかつ断面が示される部品および明確にするために除去された部品がある、図1に示されているガススプリングの下部の正面断面図である。
図3】明確にするために除去された部品がある、図1および図2に示されているガススプリングの安全プラグの断面図である。
図4図1図2および図3に示されている安全プラグの第1の変形形態の斜視図である。
図5図1図2および図3に示されている安全プラグの第1の変形形態の断面図である。
図6図1図2および図3に示されている安全プラグの第2の変形形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照すると、番号1が、全体として、冷間シートメタル成形等のためのプレスまたは金型等において有利に使用され得るガススプリングを示す。
【0025】
ガススプリング1は、金属で作製されていることが好ましくかつ一体構造を有することが好ましく、形状が実質的に円筒形であることが好ましいカップ形本体2と、金属で作製されていることが好ましく、かつカップ形本体2の長手方向軸Aに平行に、カップ形本体2に対して前後に自由に移動することができるように、カップ形本体2内へ軸方向に摺動可能に挿入される、形状が実質的に円筒形であることが好ましい可動ピストン3と、を第1に含む。該可動ピストン3は、さらに、カップ形本体2の内部に、窒素または他の加圧ガスを収容するようになされている可変容量閉チャンバ4を形成する/その範囲を定めるために、カップ形本体2に流体密封方式で連結されている。
【0026】
さらに詳細には、可動ピストン3はカップ形構造を有することが好ましく、金属で作製されていることが好ましくかつ好ましくは実質的に同カップ形本体2の口状部において、カップ形本体2内へしっかりと固定されているガイドブッシング5内へ、軸方向に摺動可能にかつ貫通して嵌合されていることが好ましい。
【0027】
さらに、可動ピストン3は、好ましくは、ポリマー材料で作製されていることが好ましい少なくとも1つ以上の、有利にはいくつかの環状封止ガスケット6の介在により、ガイドブッシング5に流体密封方式で連結されている。
【0028】
ガイドブッシング5は、ポリマー材料で作製されていることが好ましく、好ましくは少なくとも1つ以上の、有利にはいくつかの環状封止ガスケット7の介在により、カップ形本体2に、またはむしろカップ形本体2の口状部に流体密封方式で連結されている。
【0029】
閉チャンバ4内に収容されている窒素または他のガスは、他方では、50から250バールの範囲の公称圧力を有することが好ましい。
【0030】
図1図2、および図3を参照すると、さらに、ガススプリング1は、カップ形本体2と分離したかつそれと異なる、実質的にキノコ形の安全プラグ8も含み、該安全プラグは金属で作製されていることが好ましく、可動ピストン3の下方にカップ形本体2の底壁10に作製されている貫通孔9内へ挿入され、貫通孔9を実質的に流体密封方式で封止する。貫通孔9は、さらに、カップ形本体2の軸Aに実質的に平行であることが好ましい。
【0031】
さらに詳細には、安全プラグ8には、形状が実質的に円盤状であることが好ましいヘッド11と、形状が実質的に円筒形でありかつ少なくとも部分的にねじ付であるシャンク12と、が設けられており、該シャンクは、貫通孔9内へ螺入されて、好ましくはヘッド11をカップ形本体2の外側にカップ形本体2の底壁10に当接させる。したがって、安全プラグ8のシャンク12はカップ形本体2の軸Aに実質的に平行であることが好ましい。
【0032】
ポリマー材料で作製されていることが好ましい少なくとも1つの環状封止ガスケット13が、さらに、安全プラグ8のヘッド11とカップ形本体2の底壁10との間に介在していることが好ましい。
【0033】
より詳細には、環状封止ガスケット13は、少なくとも部分的に、安全プラグ8のヘッド11に適切に作製されている環状溝部内へ埋め込まれている。
【0034】
図1図2および図3を参照すると、さらに、安全プラグ8のシャンク12は、ピストン3に向かって、カップ形本体2の空洞部の内部に片持ち梁式に突出するように寸法決めされており、その結果、その遠位端は、行程超過の場合すなわち可動ピストン3が許容最大ストロークを越えてカップ形本体2内へ再進入した場合、ピストン3により到達され/付き当てられる可能性がある。
【0035】
さらに、12の遠位端は、カップ形本体2内部の空洞部と、したがって閉チャンバ4と直接連通する実質的に管状の構造をさらに有する。
【0036】
より詳細には、安全プラグ8のシャンク12はそれ自体の内側に、好ましくは、実質的に真っ直ぐであることが好ましい長手方向ガス排出ダクト14を有しており、このダクトは、シャンク12の全長に亘って延在しており、また、好ましくは局所的に実質的に同軸のままであるか、またはいずれの場合でもシャンク12の長手方向軸Bに平行であり、好ましくは実質的にプレート様の横方向の破壊可能な中隔15によって2つの補完的で連続的な長手方向区分14aおよび14bに分割され、破壊可能な中隔15はこれら2つの区分14aおよび14bを互いに流体密封方式で分離/分割する。
【0037】
より詳細には、破壊可能な中隔15は実質的に円盤状であることが好ましく、シャンク12の長手方向軸Bに実質的に垂直であり、任意に同軸であることが好ましい。
【0038】
排出ダクト14の長手方向区分14aは外部環境と直接連通している。より詳細には、排出ダクト14の長手方向区分14aは、ヘッド11に向かって、ヘッド11の中心部に配置されている、六角レンチのための六角形の座部等に好ましくは到達するまで、シャンク12内に延在している。
【0039】
排出ダクト14の長手方向区分14aは、長手方向区分14bのものよりも大きい空の区分をさらに有することが好ましい。
【0040】
排出ダクト14の長手方向区分14bはシャンク12の遠位端で終端になっており、カップ形本体2の内部、したがって閉チャンバ4と直接連通している。
【0041】
排出ダクト14の長手方向区分14bの長さは、破壊可能な中隔15が閉チャンバ4に近接してまたはその内部に配置され得るように、長手方向区分14aの長さよりもさらに短いことが好ましい。
【0042】
換言すれば、長手方向区分14aは長手方向区分14bよりも長い。
【0043】
より詳細には、排出ダクト14の長手方向区分14bの長さは排出ダクト14の全長の40%未満であることが好ましい。
【0044】
さらにより詳細には、排出ダクト14の長手方向区分14bの長さは長手方向区分14aの長さの50%以下であることが好ましい。
【0045】
換言すれば、排出ダクト14の長手方向区分14bの長さは排出ダクト14の全長の3分の1(1/3)以下であることが好ましい。
【0046】
さらに、破壊可能な中隔15は、カップ形本体2の空洞部内部に片持ち梁式に突出している、シャンク12の部分に沿って配置されることが好ましい。
【0047】
換言すれば、排出ダクト14の長手方向区分14bの長さlは、カップ形本体2の空洞部内部に片持ち梁式に突出している、シャンク12の部分の長さよりも短いかまたはそれに等しいことが好ましい。
【0048】
示される例では、詳細には、破壊可能な中隔15は、1mm(ミリメートル)以下の厚さを有することが好ましく、カップ形本体2の空洞部の内面と実質的に揃えられている/同一平面上にあるように、安全プラグ8のシャンク12の内部に配置されていることが好ましい。
【0049】
したがって、排出ダクト14の長手方向区分14bは、カップ形本体2内部に片持ち梁式に突出しているシャンク12の全部により範囲を定められていることが好ましく、一方、長手方向区分14aは、カップ形本体2の底壁10に作製されている貫通孔9に安定して係合しているシャンク12の部分により範囲を定められていることが好ましい。
【0050】
明らかに、破壊可能な中隔15は、また、カップ形本体2の内面から所定の距離(例えば2mm)の所に、カップ形本体2の空洞部の内部に片持ち梁式に突出しているシャンク12の部分に沿って配置され得る。
【0051】
図1および図3を参照すると、排出ダクト14の第1の長手方向区分14aと第2の長手方向区分14bのいずれも、実質的に円形横断面を有することが好ましい。さらに、排出ダクト14の長手方向区分14bの公称直径dは長手方向区分14aの公称直径dよりも小さい。
【0052】
より詳細には、長手方向区分14bの公称直径dは長手方向区分14aの公称直径dよりも少なくとも10%小さいことが好ましい。
【0053】
さらにより詳細には、示された例では、長手方向区分14bの公称直径dは長手方向区分14aの公称直径dよりも少なくとも30%小さいことが好ましい。
【0054】
図示の例では、さらに、排出ダクト14の長手方向区分14bの長さlは1から15mm(ミリメートル)の範囲であることが好ましい。
【0055】
さらに、示された例では、必ずではないが、700バール以上であることが好ましい所定の限界値を中隔の2面間の圧力差が超過した場合、破壊可能な中隔15は、自動的に壊れ/破砕し/外れるように寸法決めされることが好ましい。
【0056】
図3を特に参照すると、安全プラグ8のシャンク12は、最終的に、外側に、好ましくは実質的に真っ直ぐな長手方向溝部16を有することが好ましい。該長手方向溝部は、好ましくはシャンク12の長手方向軸Bに局所的に実質的に平行なままで、シャンク12のねじ付部分のおおよそ全体を横断する。
【0057】
さらに、安全プラグ8のヘッド11の部分が制御変形構造を有することが好ましく、該制御変形構造は、カップ形本体2からの加圧ガスの放出を可能にするために、ガスの圧力が第2の所定の限界値を超過した場合、円盤状ヘッド11が外側に向かって局所的に変形する/曲がることを可能にする。該第2の限界値は破壊可能な中隔15に関連する第1の限界値よりもさらに大きいことが好ましい。
【0058】
明らかに、第2の限界値は、また、第1の限界値以下である可能性がある。
【0059】
示された例では、詳細には、第2の限界値は、必ずではないが、750バール以上であることが好ましい。
【0060】
より詳細には、示された例では、安全プラグ8は円盤状ヘッド11上に横方向弱化溝部または偏平部分17を有する。
【0061】
図1および図2を参照すると、カップ形本体2には、最終的に、ガス供給ダクト18が設けられることが好ましく、該ガス供給ダクト18は、その内部空洞部したがって閉チャンバ4を外部と直接連通して配置するために、カップ形本体2の底壁10および/または側壁に亘って貫通して延在している。
【0062】
ガススプリング1は、最終的に、供給ダクト18に沿って配置されておりかつガスがもっぱらカップ形本体の内部空洞部の方向に流動することを可能にするように配向されている逆止弁19、および/または供給ダクト18の口状部に配置されておりかつ供給ダクト18を実質的に流体密封方式で閉鎖する/封止するようになされていることが好ましい、好ましくは除去可能なタイプの閉鎖プラグ20、も含むことが好ましい。
【0063】
ガススプリング1の通常の動作が上記から容易に推察可能であり、したがってさらなる説明を必要としない。
【0064】
一方、安全プラグ8に関しては、図2を参照すると、行程超過の場合、ピストン3の下縁部がシャンク12の遠位端上に突き当たり/激突し、カップ形本体2の空洞部の内部に片持ち梁式に突出しているシャンク12の部分の変形を引き起こす。この変形は、破壊可能な中隔15の亀裂、部分的な脱離、または全壊を引き起こし、排出ダクト14の開放および該排出ダクト14を通る閉チャンバ4からの加圧ガスの放出を結果として生じる。
【0065】
追加としてまたは代替として、シャンク12の遠位端上でのピストン3の激突は、カップ形本体2の空洞部内部に片持ち梁式に突出しているシャンク12の部分上で、排出ダクト14の長手方向区分14aをカップ形本体2の空洞部と直接連通している状態にする小さい貫通亀裂および/または割れ目を作り出す可能性があり、排出ダクト14の開放および該排出ダクト14を通る閉チャンバ4からの加圧ガスの放出を結果として生じる。
【0066】
したがって、いずれの場合にも、ピストン3は破壊可能な中隔15と直接接触している状態にならない。
【0067】
一方、過圧の状況では、破壊可能な中隔15の2面間の圧力差は破壊可能な中隔15の亀裂または全壊を引き起こし、排出ダクト14の開放および閉チャンバ4からの加圧ガスの放出を結果として生じる。
【0068】
さらに、実験的テストによって、シャンク12の遠位端の管状構造は、ガススプリング1の可変容量閉チャンバ4が使用要求および/またはメンテナンス要求のために一時的に減圧された場合、下方に配置されている破壊可能な中隔15の構造的完全性を危うくする可能性があると考えられる変形を被ることなく、この遠位端に、ピストン3の重量を支持するのに十分な構造的剛性をもたらすことが示されている。
【0069】
安全プラグ8のシャンク12の遠位端の特定の構造に関係がある利点は注目に値する。
【0070】
特許文献3において説明されているシステムに関する同等の性能を有して、安全プラグ8は一体に作製され、カップ形本体2の底壁10に非常に固定し易い。
【0071】
さらに、行程超過の場合、安全プラグ8は、加圧ガスの排出に関する2つの可能性のある代替的解決法を提供し、これはより高い本質的安全性を必然的に伴う。
【0072】
本発明の範囲から逸脱することなく、前述されているガススプリング1に対する修正および変形が行われ得ることが、最終的に明確である。
【0073】
例えば、ピストン3の行程超過に起因する、シャンク12の遠位端の変形が破壊可能な中隔15の亀裂、部分的な脱離、または全壊を依然として引き起こし得るなら、破壊可能な中隔15は、カップ形本体2の底壁10の厚さ内に残るシャンク12の一部に沿って配置される可能性もある。
【0074】
さらに、図4および図5を参照すると、より高度な実施形態では、安全プラグ8のシャンク12は、その遠位端に、排出ダクト14の長手方向区分14bの口状部の傍らに作製されている1つ以上の外部/周囲弱化切欠き、溝部、または偏平部分を有することが好ましい。該弱化切欠き、溝部、または偏平部分は、さらに、フライス加工または他の材料除去機械加工によって作製されていることが好ましい。
【0075】
示された例では、詳細には、シャンク12の遠位端は、長手方向区分14bの口状部の両側に実質的に直径方向の位置に配置されている2つの弱化偏平部分21を有することが好ましい。
【0076】
好ましくは、少なくとも1つの弱化偏平部分21、さらに有利には、弱化偏平部分21の各々が、実質的に円形部分のように成形されることが好ましい。
【0077】
図5を参照すると、弱化偏平部分21は、破壊可能な中隔15に一致して到達するために、排出ダクト14の長手方向区分14bの実質的に全長lに亘って、安全プラグ8のヘッド11に向かって、シャンク12の外側にさらに延在していることが好ましい。
【0078】
図6を参照すると、さらなる実施形態において、安全プラグ8のシャンク12の遠位端は、排出ダクト14の長手方向区分14bの口状部と交差しかつフライス加工または他の材料除去機械プロセスによって作製されることが好ましい直径方向切取り部22を有する。
【符号の説明】
【0079】
1 ガススプリング
2 カップ形本体
3 可動ピストン
4 可変容量閉チャンバ
5 ガイドブッシング
6、7、13 環状封止ガスケット
8 安全プラグ
9 貫通孔
10 底壁
11 ヘッド、円盤状ヘッド
12 シャンク
14 長手方向ガス排出ダクト
14a 第1の長手方向区分
14b 第2の長手方向区分
15 横方向の破壊可能な中隔
16 長手方向溝部
17 横方向弱化溝部、偏平部分
18 ガス供給ダクト
19 逆止弁
20 閉鎖プラグ
21 弱化偏平部分
22 直径方向切取り部
A (カップ形本体2の)長手方向軸
B (シャンク12の)長手方向軸
(長手方向区分14bの)公称直径
(長手方向区分14aの)公称直径
l (長手方向区分14bの)長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】