(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161029
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】有機電界発光素子及び有機電界発光素子用有機金属化合物
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20221013BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221013BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
C07F15/00 F
H05B33/14 B
C09K11/06 660
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063617
(22)【出願日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0045146
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒュンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム スンブム
(72)【発明者】
【氏名】アン ウンソ
(72)【発明者】
【氏名】イ ウンヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェスン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ミナ
【テーマコード(参考)】
3K107
4H050
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD64
3K107DD67
3K107DD69
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB92
(57)【要約】 (修正有)
【課題】優れた発光効率及び長寿命特性を有する有機金属化合物及び有機電界有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る有機電界有機電界発光素子は、第1電極と、第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、正孔輸送領域の上に配置される発光層と、発光層の上に配置される電子輸送領域と、電子輸送領域の上に配置される第2電極と、を含み、発光層は、例えば下記化学式1~4で表される有機金属化合物を含むことで長寿命及び高効率を示す。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機金属化合物。
【化1】
・・・(化学式1)
(前記化学式1において、
Mはイリジウム(Ir)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、またはロジウム(Rh)であり、
環A~環Dのうち少なくとも2つの環はそれぞれ下記化学式2で表され、残りはそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上60以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数1以上60以下のヘテロ環であり、
【化2】
・・・(化学式2)
前記化学式2において、
R
1及びR
2はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成する。)
【請求項2】
前記Mはイリジウム(Ir)または白金(Pt)である、請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項3】
前記環A~環Dのうち2つの環は、それぞれ前記化学式2で表され、残りの2つの環はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である、請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項4】
前記化学式1は、下記化学式2-1で表される、請求項1に記載の有機金属化合物。
【化3】
・・・(化学式2-1)
(前記化学式2-1において、
R
3及びR
4はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成する。)
【請求項5】
前記化学式2-1は、下記化学式3で表される、請求項4に記載の有機金属化合物。
【化4】
・・・(化学式3)
(前記化学式3において、
X
1~X
3、及びY
1~Y
3はそれぞれ独立してNまたはCR
aであり、
R
aは水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。)
【請求項6】
前記化学式2-1は、下記化学式4で表される、請求項4に記載の有機金属化合物。
【化5】
・・・(化学式4)
(前記化学式4において、
R
5及びR
6はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成し、
e及びfはそれぞれ独立して0以上3以下の整数である。)
【請求項7】
前記e及びfはそれぞれ独立して1以上3以下の整数であり、
前記R5及びR6はそれぞれ独立してシアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成する、請求項6に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記化学式1で表される有機金属化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちから選択される少なくとも一つである、請求項1に記載有機金属化合物。
[第1化合物群]
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【請求項9】
第1電極と、
前記第1電極の上に配置される正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域の上に配置される発光層と、
前記発光層の上に配置される電子輸送領域と、
前記電子輸送領域の上に配置される第2電極と、を含み、
前記発光層は、請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載の有機金属化合物を含む、有機電界発光素子。
【請求項10】
前記発光層は、りん光発光する、請求項9に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記発光層は、ホスト及びドーパントを含み、
前記ドーパントは、請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載の有機金属化合物を含む、請求項9に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子及び有機電界発光素子用有機金属化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、映像表示装置として、有機電界発光表示装置(Organic Electroluminescence Display)の開発が盛んに行われている。有機電界発光表示装置は液晶表示装置などとは異なって、第1電極及び第2電極から注入された正孔及び電子を発光層において再結合させることで、発光層において有機化合物を含む発光材料を発光させて表示を実現するいわゆる自発光型表示装置である。
【0003】
有機電界発光素子を表示装置に応用するに当たっては、有機電界発光素子の低駆動電圧化、高発光効率化及び長寿命化が要求されており、これを安定的に実現し得る有機電界発光素子用材料の開発が持続的に要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7655323号明細書
【特許文献2】米国特許第9461254号明細書
【特許文献3】米国特許第7655322号明細書
【特許文献4】韓国特許第10-2019-0042459号公報
【特許文献5】米国特許第7279704号明細書
【特許文献6】韓国特許第10-2014-0029473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、優れた発光効率及び長寿命特性を有する有機金属化合物を提供することである。
【0006】
また、本発明の別の目的は、上記有機金属化合物を発光層に含むことにより高効率及び長寿命特性を有する有機電界発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、下記化学式1で表される有機金属化合物が提供される。
【化1】
・・・(化学式1)
化学式1において、Mはイリジウム(Ir)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、またはロジウム(Rh)であり、環A~環Dのうち少なくとも2つはそれぞれ下記化学式2で表され、残りはそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上60以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数1以上60以下のヘテロ環である。
【化2】
・・・(化学式2)
化学式2において、R
1及びR
2はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成する。
【0008】
前記Mはイリジウム(Ir)または白金(Pt)であってもよい。
【0009】
前記環A~環Dのうち2つの環はそれぞれ前記化学式2で表され、残りの2つの環はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であってもよい。
【0010】
前記化学式1は、下記化学式2-1で表されてもよい。
【化3】
・・・(化学式2-1)
化学式2-1において、R
3~R
4はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成し、M、環B、環D、R
1、及びR
2は化学式1及び化学式2で定義した通りである。
【0011】
前記化学式2-1は、下記化学式3で表されてもよい。
【化4】
・・・(化学式3)
化学式3において、X
1~X
3、及びY
1~Y
3はそれぞれ独立してNまたはCR
aであり、R
aは水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、M、環B、環D、及びR
1~R
4は化学式1及び化学式2-1で定義した通りである。
【0012】
前記X1~X3のうち少なくとも2つはそれぞれ独立してCRaであり、前記Y1乃至Y3のうち少なくとも2つはそれぞれ独立してCRaであってもよい。
【0013】
化学式2-1は、下記化学式4で表されてもよい。
【化5】
・・・(化学式4)
化学式4において、R
5~R
6はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であるか、または隣接する基と互いに結合して環を形成し、e及びfはそれぞれ独立して0以上3以下の整数であり、M及びR
1~R
4は化学式2-1で定義した通りである。
【0014】
化学式4のe及びfはそれぞれ独立して1以上3以下の整数であり、化学式4のR5及びR6はそれぞれ独立してシアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であってもよく、または隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0015】
化学式1~化学式4において、R1~R4はそれぞれ独立して水素原子または重水素原子であってもよい。
【0016】
化学式1で表される有機金属化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちから選択される少なくとも一つであってもよい。
[第1化合物群]
【化6】
【化7】
【化8】
【0017】
一実施形態によれば、第1電極と、前記第1電極の上に設けられる正孔輸送領域と、前記正孔輸送領域の上に設けられる発光層と、前記発光層の上に設けられる電子輸送領域と、前記電子輸送領域の上に設けられる第2電極と、を含み、前記発光層は一実施形態に係る有機金属化合物を含む有機電界発光素子が提供される。
【0018】
前記発光層は、りん光発光してもよい。
【0019】
前記発光層はホスト及びドーパントを含み、前記ドーパントは前記一実施形態に係る有機金属化合物を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態による有機電界発光素子は、発光効率が優れている。
【0021】
本発明の一実施形態による有機金属化合物は、有機電界発光素子の発光層の材料として使用される、これを使用することで有機電界発光素子の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による表示装置を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による表示装置を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による表示装置を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるため、特定の実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようと意図するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むと理解すべきである。
【0024】
各図面を説明しながら、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用している。添付した図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して示している。第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するために使用されるが、構成要素は該用語に限らない。該用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない限り第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と称されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0025】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを意味するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0026】
本出願において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」または「上部に」あるとする場合、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」または「下部に」にあるとする場合、これは他の部分の「直下」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。また、本出願において、「上に」配置されるとは、上部だけでなく下部に配置される場合も含む。
【0027】
本明細書において、「置換若しくは無置換の」とは、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、シリル基、オキシ基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、ボリル基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、炭化水素環基、アリール基、及びヘテロ環基からなる群より選択される一つ以上の置換基に置換される若しくは無置換であることを意味する。また、前記例示した置換基それぞれは、上記置換基に置換されていてもよく、無置換であってもよい。例えば、ビフェニリル基はアリール基と解釈されてもよく、フェニル基に置換されたフェニル基と解釈されてもよい。
【0028】
本明細書において、「隣接する基と互いに結合して環を形成」するとは、隣接する基と互いに結合して置換若しくは無置換の炭化水素環、または置換若しくは無置換のヘテロ環を形成することを意味する。炭化水素環は、脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含む。ヘテロ環は、脂肪族ヘテロ環及び芳香族ヘテロ環を含む。炭化水素環及びヘテロ環は、単環または多環である。また、互いに結合して形成される環は、他の環と結合されてスピロ構造を形成してもよい。
【0029】
本明細書において、「隣接する基」とは当該置換基が置換された原子と直接結合された原子に置換された置換基、当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基、または当該置換基と立体構造的に最も隣接した置換基を意味する。例えば、1,2-ジメチルベンゼンにおける2つのメチル基は互いに「隣接する基」と解釈され、1,1-ジエチルシクロペンタンにおける2つのエチル基は互いに「隣接する基」と解釈される。また、4,5-ジメチルフェナントレンにおける2つのメチル基は互いに「隣接する基」と解釈される。
【0030】
本明細書において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
【0031】
本明細書において、アルキル基は直鎖、分枝鎖、または環状である。アルキル基の炭素数は、1以上50以下、1以上30以下、1以上20以下、1以上10以下、または1以上6以下である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、2-エチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、n-ヘプチル基、1-メチルペプチル基、2,2-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、2-ブチルヘプチル基、n-オクチル基、t-オクチル基、2-エチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルオクチル基、3,7-ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、2-エチルデシル基、2-ブチルデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、2-エチルドデシル基、2-ブチルドデシル基、2-ヘキシルドデシル基、2-オクチルデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルヘキサデシル基、2-ヘキシルヘキサデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、2-エチルイコシル基、2-ブチルイコシル基、2-ヘキシルイコシル基、2-オクチルイコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、及びn-トリアコンチル基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0032】
本明細書において、炭化水素環基は、脂肪族炭化水素環基及び芳香族炭化水素環基を含む。芳香族炭化水素環基はアリール基である。脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環は、単環または多環である。
【0033】
本明細書において、脂肪族炭化水素環基は環形成炭素数5以上20以下の飽和炭化水素環から誘導される任意の作用基または置換基を意味する。
【0034】
本明細書において、アリール基は芳香族炭化水素環から誘導される任意の作用基または置換基を意味する。アリール基は、単環式アリール基または多環式アリール基である。アリール基の環形成炭素数は、6以上30以下、6以上20以下、または6以上15以下である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クォーターフェニリル基、キインクフェニリル基、セクシフェニリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0035】
本明細書において、フルオレニル基は置換されてもよく、2つの置換基が互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。フルオレニル基が置換される場合の例示は以下のようである。但し、これに限らない。
【化9】
【0036】
本明細書において、ヘテロ環基はヘテロ原子としてB、O、N、P、Si、及びSのうち一つ以上を含む環から誘導される任意の作用基または置換基を意味する。ヘテロ環基は、脂肪族ヘテロ環基及び芳香族ヘテロ環基を含む。芳香族ヘテロ環基はヘテロアリール基であってもよい。脂肪族ヘテロ環及び芳香族ヘテロ環は、単環または多環である。
【0037】
本明細書において、ヘテロ環基がヘテロ原子を2つ以上含む場合、2つ以上のヘテロ原子は互いに同じであってもよく、異なってもよい。ヘテロ環基は単環式ヘテロ環基または多環式ヘテロ環基であってもよく、ヘテロアリール基を含む概念である。ヘテロ環基の環形成炭素数は、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。
【0038】
本明細書において、脂肪族ヘテロ環基の環形成炭素数は、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。脂肪族ヘテロ環基の例としては、オキシラン、チイラン、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、チアン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサンから誘導される基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0039】
本明細書において、ヘテロアリール基は、単環式ヘテロ環基または多環式ヘテロ環基である。ヘテロアリール基の環形成炭素数は、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ビピリジン、ピリミジン、トリアジン、トリアゾール、アクリジル、ピリダジン、ピリジニル、キノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェノキサン、フタラジン、ピリドピリミジン、ピリドピラジン、ピラジノピラジン、イソキノリン、インドール、カルバゾール、N-アリールカルバゾール、N-ヘテロアリールカルバゾール、N-アルキルカルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾカルバゾール、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チエノチオフェン、ベンゾフラン、フェナントロリン、チアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェノチアジン、ジベンゾシロール、及びジベンゾフランから誘導される基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0040】
本明細書において、アリーレン基は2価基であることを除いては、上述したアリール基に関する説明が適用される。ヘテロアリーレン基は2価基であることを除いては、上述したヘテロアリール基に関する説明が適用される。
【0041】
本明細書において、シリル基はアルキルシリル基及びアリールシリル基を含む。シリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0042】
本明細書において、チオ基はアルキルチオ基及びアリールチオ基を含む。チオ基は、前記定義されたアルキル基またはアリール基に硫黄原子が結合されている基を意味する。チオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0043】
本明細書において、アルケニル基は直鎖または分枝鎖であってもよい。炭素数は特に限らないが、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。アルケニル基の例としては、ビニル基、1-ブテニル基、1-ペンテニル基、1,3-ブタジエニルアリール基、スチレニル基、スチリルビニル基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0044】
本明細書において、アミノ基の炭素数は特に限らないが、1以上30以下である。アミノ基は、アルキルアミノ基及びアリールアミノ基を含む。アミノ基の例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、9-メチル-アントラセニルアミノ基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0045】
本明細書において、アルキルチオ基、アルキルスルホキシ基、アルキルアリール基、アルキルアミノ基、アルキルボリル基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基のうち、アルキル基は上述したアルキル基の例示のとおりである。
【0046】
本明細書において、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホキシ基、アリールアミノ基、アリールボリル基、アリールシリル基のうち、アリール基は上述したアリールのとおりである。
【0047】
本明細書において、直接結合(direct linkage)は単結合を意味する。
【0048】
【0049】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0050】
図1は、一実施形態に係る表示装置DDの一例を示す平面図である。
図2は、表示装置DDの断面図である。
図2は、
図1のI-I’線に対応する部分を示す断面図である。
【0051】
表示装置DDは、表示パネルDPと、表示パネルDPの上に配置される光学層PPとを含む。表示パネルDPは有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3を含む。表示装置DDは複数個の有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3を含む。光学層PPは表示パネルDPの上に設けられ、外部光による表示パネルDPにおける反射光を制御する。光学層PPは、例えば偏光層を含むか、またはカラーフィルタ層を含んでもよい。一方、図示とは異なって、一実施形態に係る表示装置DDにおいて、光学層PPは省略されてもよい。
【0052】
光学層PPの上にはベース基板BLが配置される。ベース基板BLは、光学層PPが配置されるベース面を提供する部材である。ベース基板BLは、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板などである。しかし、これに限らず、ベース基板BLは無機層、有機層、または複合材料層であってもよい。また、図示とは異なって、一実施形態に係る表示装置DDにおいて、ベース基板BLは省略されてもよい。
【0053】
一実施形態による表示装置DDは、充填層(図示せず)を更に含んでもよい。充填層(図示せず)は、表示パネルDPの表示素子層DP-EDとベース基板BLとの間に配置されてもよい。充填層(図示せず)は有機物層であってもよい。充填層(図示せず)は、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、及びエポキシ系樹脂のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0054】
表示パネルDPは、ベース層BS、ベース層BSの上に設けられる回路層DP-CL、及び表示素子層DP-EDを含む。表示素子層DP-EDは、画素定義膜PDL、互いに隣接する画素定義膜PDLの間に設けられる有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3、及び有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3の上に設けられる封止層TFEを含む。
【0055】
ベース層BSは、表示素子層DP-EDが配置されるベース面を提供する部材である。ベース層BSは、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板などである。しかし、これらに限らず、ベース層BSは無機層、有機層、または複合材料層であってもよい。
【0056】
一実施形態において、回路層DP-CLはベース層BSの上に配置され、回路層DP-CLは複数のトランジスタ(図示せず)を含む。トランジスタ(図示せず)は、それぞれ制御電極、入力電極、及び出力電極を含む。例えば、回路層DP-EDは、表示素子層DP-EDの有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3を駆動するためのスイッチングトランジスタ及び駆動トランジスタを含んでもよい。
【0057】
有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3それぞれは、後述する
図3~
図6に示す一実施形態に係る有機電界発光素子EDの構造を有する。有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3それぞれは、第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML-R、EML-G、EML-B、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2を含む。
【0058】
図2では、画素定義膜PDLに定義された開口部OH内に有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3の発光層EML-R、EML-G、EML-Bが配置され、正孔輸送領域HTR、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2は有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3全体で共通層として設けられる例を示している。しかし、実施形態はこれに限らず、
図2に示す構造とは異なって、正孔輸送領域HTR及び電子輸送領域ETRは画素定義膜PDLに定義された開口部OHの内部にパターニングされてもよい。例えば、一実施形態において、有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3の正孔輸送領域HTR、発光層EML-R、EML-G、EML-B、及び電子輸送領域ETRなどはインクジェットプリント法でパターニングされてもよい。
【0059】
封止層TFEは、有機電界発光素ED-1、ED-2、ED-3をカバーする。封止層TFEは、表示素子層DP-EDを密封する。封止層TFEは薄膜封止層である。封止層TFEは一層または複数の層が積層されている構造を有してもよい。封止層TFEは少なくとも一つの絶縁層を含む。一実施形態による封止層TFEは、少なくとも一つの無機膜(以下、封止無機膜)を含む。また、一実施形態による封止層TFEは、少なくとも一つの有機膜(以下、封止有機膜)、及び少なくとも一つの封止無機膜を含む。
【0060】
封止無機膜は水分/酸素から表示素子層DP-EDを保護し、封止有機膜はほこり粒子のような異物から表示素子層DP-EDを保護する。封止無機膜は、シリコンナイトライド、シリコンオキシナイトライド、シリコンオキシド、チタンオキシド、またはアルミニウムオキシドなどを含んでもよいが、特にこれらに限らない。封止有機膜は、アクリル系化合物、エポキシ系化合物などを含んでもよい。封止有機膜は、光重合可能な有機物質を含むが、特にこれに限らない。
【0061】
封止層TFEは、第2電極EL2の上に配置され、開口部OHを埋めるように設けられる。
【0062】
図1及び
図2を参照すると、表示装置DDは、非発光領域NPXA、及び発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bを含む。発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bそれぞれは、有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3それぞれから生成された光が放出される領域である。発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bは平面上で互いに離隔されている。
【0063】
発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bそれぞれは、画素定義膜PDLで区分される領域である。非発光領域NPXAは、隣り合う発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの間の領域であって、画素定義膜PDLと対応する領域である。一方、本明細書において、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bそれぞれは、画素(Pixel)に対応する。画素定義膜PDLは、有機電界発光素子ED-1、EDー2、ED-3を区分する。有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3の発光層EML-R、EML-G、EML-Bは、画素定義膜PDLに定義される開口部OHに配置されて区分される。
【0064】
発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bは、有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3から生成される光のカラーに応じて複数個のグループに区分される。
図1及び
図2に示した一実施形態に係る表示装置DDでは、赤色光、緑色光、及び青色光を発光する3つの発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bを例示的に示している。例えば、表示装置DDは、互いに区分される赤色発光領域PXA-R、緑色発光領域PXA-G、及び青色発光領域PXA-Bを含んでもよい。
【0065】
表示装置DDにおいて、複数の有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3は互いに異なる波長領域の光を放出する。例えば、一実施形態において、表示装置DDは、赤色光を放出する第1有機電界発光素子ED-1、緑色光を放出する第2有機電界発光素子ED-2、及び青色光を放出する第3有機電界発光素子ED-3を含んでもよい。つまり、表示装置DDの赤色発光領域PXA-R、緑色発光領域PXA-G、及び青色発光領域PXA-Bは、それぞれ第1有機電界発光素子ED-1、第2有機電界発光素子ED-2、及び第3有機電界発光素子ED-3に対応する。
【0066】
しかし、実施形態はこれに限らず、第1~第3有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3は、同じ波長領域の光を放出してもよく、または、少なくとも一つが異なる波長領域の光を放出してもよい。また、第1~第3有機電界発光素子ED-1、ED-2、ED-3は、いずれも青色光を放出してもよい。
【0067】
一実施形態による表示装置DDにおける発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bは、ストライプ状に配列されている。
図1を参照すると、複数個の赤色発光領域PXA-R、複数個の緑色発光領域PXA-G、及び複数個の青色発光領域PXA-Bは、それぞれ第2方向軸DR2に沿って整列されている。また、第1方向軸DR1に沿って赤色発光領域PXA-R、緑色発光領域PXA-G、及び青色発光領域PXA-Bの順に交互に配列されている。
【0068】
図1及び
図2では、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの面積がいずれも類似しているように示したが、実施形態はこれにかぎらず、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの面積は放出する光の波長領域によって互いに異なっていてもよい。ここで、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの面積は、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とにより定義される平面上から見た際の発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの面積を意味する。
【0069】
また、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの配列形態は
図1に示した配列に限らず、赤色発光領域PXA-R、緑色発光領域PXA-G、及び青色発光領域PXA-Bが配列される順番は、表示装置DDに要求される表示品質の特性に応じて多様に組み合わせられる。例えば、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの配列形態は、ペンタイル(pentile)配列形態であってもよく、ダイヤモンド配列形態であってもよい。
【0070】
また、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bの面積は互いに異なってもよい。例えば、一実施形態において、緑色発光領域PXA-Gの面積は青色発光領域PXA-Bの面積より小さくてもよいが、実施形態はこれに限らない。
【0071】
以下、
図3~
図6は、一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。本発明の一実施形態による有機電界発光素子EDは、順次に積層される第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2を含む。
【0072】
図4は
図3とは異なり、正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLを含み、電子輸送領域ETRが電子注入層EIL及び電子輸送層ETLを含む一実施形態に係る有機電界発光素子EDの断面図である。また、
図5は
図3とは異なり、正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子阻止層EBLを含み、電子輸送領域ETRが電子注入層EIL、電子輸送層ETL、及び正孔阻止層HBLを含む一実施形態に係る有機電界発光素子EDの断面図を示す。
図6は
図4とは異なり、第2電極EL2の上に配置されるキャッピング層CPLを含む一実施形態に係る有機電界発光素子EDの断面図を示す。
【0073】
第1電極EL1は導電性を有する。第1電極EL1は、金属合金または導電性化合物からなる。第1電極EL1はアノード(anode)またはカソード(cathode)である。しかし、実施形態はこれに限らない。また、第1電極EL1は画素電極である。第1電極EL1は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第1電極EL1が透過型電極であれば、第1電極EL1は、透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)などを含む。第1電極EL1が半透過型電極または反射型電極であれば、第1電極EL1は、Ag、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、W、またはこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの合金)を含む。または、第1電極EL1は、前記物質からなる反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる透明導電膜を含む複数の層構造を有してもよい。例えば、第1電極EL1はITO/Ag/ITOの3槽構造を有してもよいが、これに限らない。第1電極EL1の厚さは約70nm~約1000nmである。例えば、第1電極EL1の厚さは、約100nm~約300nmであってもよい。
【0074】
正孔輸送領域HTRは、第1電極EL1の上に配置される。正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層(図示せず)、及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つを含む。正孔輸送領域HTRの厚さは、例えば、約5nm~約1500nmあってもよい。
【0075】
正孔輸送領域HTRは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有する。
【0076】
例えば、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HILまたは正孔輸送層HTLの単一層の構造を有してもよく、正孔注入物質及び正孔輸送物質からなる単一層の構造を有してもよい。また、正孔輸送領域HTRは、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有してもよく、第1電極EL1から順番に積層される正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔バッファ層(図示せず)、正孔注入層HIL/正孔バッファ層(図示せず)、正孔輸送層HTL/正孔バッファ層(図示せず)、または正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/電子阻止層EBLの構造を有してもよいが、実施形態はこれらに限らない。
【0077】
正孔輸送領域HTRは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)などのような多様な方法を利用して形成される。
【0078】
正孔輸送領域HTRは下記化学式H-1で表される化合物を含む。
【化10】
・・・(化学式H-1)
【0079】
化学式H-1において、L1及びL2はそれぞれ独立して単結合、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。a及びbはそれぞれ独立して0以上10以下の整数であり、aが0の場合L1は単結合であり、bが0の場合L2は単結合である。一方、aまたはbが2以上の整数であれば、複数のL1及びL2はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。
【0080】
化学式H-1において、Ar1~Ar2はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。また、化学式H-1において、Ar3は置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基である。
【0081】
化学式H-1で表される化合物は、モノアミン化合物であってもよい。または、化学式H-1で表される化合物は、Ar1~Ar3のうち少なくとも一つがアミノ基を置換基として含むジアミン化合物であってもよい。または、化学式H-1で表される化合物は、Ar1~Ar2のうち少なくとも一つに置換若しくは無置換のカルバゾリル基を含むカルバゾール系化合物、またはAr1~Ar2のうち少なくとも一つに置換若しくは無置換フルオレニル基を含むフルオレン系化合物であってもよい。
【0082】
化学式H-1で表される化合物は、下記化合物群Hの化合物のうちいずれか一つで表されてもよい。しかし、下記化合物群Hに並べられた化合物は例示的なものであって、化学式H-1で表される化合物は下記化合物群Hに示されたものに限らない。
[化合物群H]
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0083】
正孔輸送領域HTRは、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、DNTPD(N1,N1’-([1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジイル)ビス(N1-フェニル-N4,N4-ジ-m-トリルベンゼン-1,4-ジアミン))、m-MTDATA(4,4’,4”-[トリス(3-メチルフェニル)フェニルアミノ)トリフェニルアミノ]、TDATA(4,4’,4”-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、1-TNATA(4,4’,4”-トリス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]-トリフェニルアミン)、2-TNATA(4,4’,4”-トリス[N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ]-トリフェニルアミン)、PEDOT/PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルフォナート))、PANI/DBSA(ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)、PANI/CSA(ポリアニリン/カンファースルホン酸)、PANI/PSS(ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルフォナート))、NPB(N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン)、トリフェニルアミンを含むポリエテールケトン(TPAPEK)、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウム[テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート]、HATCN(ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル)などを含んでもよい。
【0084】
正孔輸送領域HTRは、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N、N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン)、TCTA(4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)などのようなトリフェニルアミン系誘導体、NPB(N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン)、TAPC(4,4’-シクロへキシリデンビス[N,N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、HMTPD(4,4’-ビス[N,N’-(3-トリル)アミノ]-3,3’-ジメチルビフェニル)、mCP(1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン)などを含んでもよい。
【0085】
正孔輸送領域HTRは、CzSi(9-(4-tert-ブチルフェニル)-3,6-ビス(トリフェニルシリル)-9H-カルバゾール)、CCP(9-フェニル-9H-3,9’-ビカルバゾール)、またはmDCP(1,3-ビス(1,8-ジメチル-9H-カルバゾール-9-イル)ベンゼン)などを更に含んでもよい。
【0086】
正孔輸送領域HTRは、上述した正孔輸送領域の化合物を正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つに含む。
【0087】
正孔輸送領域HTRの厚さは、約10nm~約1000nm、例えば約10nm~約500nmであってもよい。正孔注入層HILの厚さは、例えば約3nm~約100nmであり、正孔輸送層HTLの厚さは、約3nm~約100nmである。例えば、電子阻止層EBLの厚さは、約1nm~約100nmであってもよい。正孔輸送領域HTR、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子阻止層EBLの厚さが上述したような範囲を満たす場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに十分な正孔輸送特性が得られる。
【0088】
正孔輸送領域HTRは、上述した物質以外に、導電性を向上するために電荷生成物質を更に含んでもよい。電荷発生物質は、正孔輸送領域HTR内に均一にまたは不均一に分散されている。電荷発生物質は、例えば、p-ドーパント(dopant)である。p-ドーパントはキノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物のうち一つであってもよいが、これらに限らない。例えば、p-ドーパントの例としては、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)及びF4-TCNQ(2,3,5,6-テトラフルオロ-7,7’,8,8-テトラシアノキノジメタン)などのようなキノン誘導体、タングステン酸化物、及びモリブデン酸化物のような金属酸化物などが挙げられるが、これらに限らない。
【0089】
上述したように、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTL以外に、正孔バッファ層(図示せず)及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つを更に含んでもよい。正孔バッファ層(図示せず)は、発光層EMLから放出される光の波長による共振距離を補償して光放出効率を増加させる。正孔バッファ層(図示せず)に含まれる物質としては、正孔輸送領域HTRに含まれ得る物質を使用する。電子阻止層EBLは、電子輸送領域ETRから正孔輸送領域HTRへの電子の注入を防止する役割をする層である。
【0090】
発光層EMLは正孔輸送領域HTRの上に配置される。発光層EMLは、例えば、約10nm~約100nm、または約10nm~約30nmの厚さを有する。発光層EMLは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有する。
【0091】
一実施形態に係る有機電界発光素子EDにおいて、発光層EMLは後述する一実施形態に係る有機金属化合物を含む。
【0092】
一実施形態に係る有機金属化合物は、下記化学式1で表される。
【化16】
・・・(化学式1)
【0093】
化学式1において、Mはイリジウム(Ir)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、またはロジウム(Rh)である。化学式1における結合を示す実線は、Mと環A~環D、及び環A~環D同士が結合していることのみを示しており、結合は単結合及び二重結合を含む。
【0094】
化学式1において、環A~環Dのうち少なくとも2つの環は、それぞれ下記化学式2で表され、残りはそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上60以下の炭化水素環基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数1以上60以下のヘテロ環基である。
【化17】
・・・(化学式2)
【0095】
化学式2において、R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0096】
【0097】
一実施形態において、Mはイリジウム(Ir)または白金(Pt)であってもよい。
【0098】
化学式1で表される一実施形態に係る有機金属化合物は、化学式2で表されるリガンド(配位子)を含むことにより、改善されたMLCT(Metal to Ligand Charge Transfer)割合を示す。一実施形態の有機金属化合物は、高いMLCT割合を示すことで、発光層の材料として使用される場合、有機電界発光素子の効率の向上に寄与する。一方、本明細書で説明されたMLCT割合は3MLCT(triplet Metal to Ligand Charge Transfer)割合を意味し、中心金属原子(M)からリガンド(配位子)に100%電荷移動される場合を基準にする際の相対的な割合を示す。
【0099】
一実施形態において、化学式1の環A~環Dのうち2つの環はそれぞれ上記化学式2で表され、残りの2つの環はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0100】
一実施形態において、化学式1は下記化学式2-1で表されてもよい。
【化18】
・・・・(化学式2-1)
【0101】
化学式2-1において、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0102】
化学式2-1において、M、環B、環D、R1、及びR2は化学式1及び化学式2で定義した通りである。
【0103】
一実施形態において、化学式2-1は下記化学式3で表されてもよい。
【化19】
・・・(化学式3)
【0104】
化学式3において、X1~X3、及びY1~Y3はそれぞれ独立してNまたはCRaであり、Raは水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0105】
化学式3において、M、環B、環D、及びR1~R4は化学式2-1で定義した通りである。
【0106】
一実施形態において、化学式3のX1~X3のうち少なくとも2つはそれぞれ独立してCRaであってもよく、化学式3のY1~Y3のうち少なくとも2つはそれぞれ独立してCRaであってもよい。
【0107】
一実施形態において、化学式2-1は下記化学式4で表されてもよい。
【化20】
・・・(化学式4)
【0108】
化学式4において、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0109】
化学式4において、e及びfはそれぞれ独立して0以上3以下の整数である。eが0の場合、R5は水素原子であり、fが0の場合、R6は水素原子である。一方、eが2以上であれば複数のR5は互いに同じであっても異なってもよく、fが2以上であれば複数のR6は互いに同じであっても異なってもよい。
【0110】
化学式4において、M及びR1~R4は化学式2-1で定義した通りである。
【0111】
一実施形態において、化学式4のe及びfはそれぞれ独立して1以上3以下の整数であり、R5及びR6はそれぞれ独立してシアノ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0112】
一実施形態において、化学式4のR1~R4はそれぞれ独立して水素原子または重水素原子であってもよい。
【0113】
一実施形態の有機金属化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちいずれか一つで表されてもよい。発光層EMLは、下記第1化合物群に示した化合物のうち少なくとも一つを含む。
[第1化合物群]
【化21】
【化22】
【化23】
【0114】
一実施形態の有機電界発光素子EDにおいて、発光層EMLは、上記一実施形態に係る有機金属化合物を含むことにより、改善された発光効率特性を示す。一実施形態に係る有機金属化合物は、オキサゾリジンカルベンからなる環状リガンドを含むことにより、向上された3MLCT割合を示す。
【0115】
図3~
図6に示した一実施形態に係る有機電界発光素子EDにおいては、発光層EMLはホスト材料及びドーパント材料を含むが、発光層EMLは化学式1で表される有機金属化合物をドーパント材料として含む。
【0116】
一実施形態において、発光層EMLはりん光発光する。例えば、化学式1で表される一実施形態に係る有機金属化合物はりん光ドーパントであってもよい。
【0117】
発光層EMLは、上述した一実施形態に係る有機金属化合物以外にホスト材料を更に含んでもよい。一実施形態の有機電界発光素子EDにおいて、発光層EMLはホスト材料として当技術分野で知られている一般的な材料を含む。一実施形態の有機電界発光素子EDにおいて、発光層EMLは、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、フルオランテン誘導体、クリセン誘導体、ジヒドロベンズアントラセン誘導体、またはトリフェニレン誘導体を含む。詳しくは、発光層EMLは、アントラセン誘導体またはピレン誘導体を含んでもよい。
【0118】
一実施形態において、発光層EMLは下記化学式E-1で表される化合物を含んでもよい。下記化学式E-1で表される化合物は蛍光ホスト材料として使用される。
【化24】
・・・(化学式E-1)
【0119】
化学式E-1において、R31~R40はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のチオ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上10以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と結合して環を形成してもよい。R31~R40は、隣接する基と互いに結合して飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環、飽和ヘテロ環、または不飽和ヘテロ環を形成してもよい。
【0120】
化学式E-1において、c及びdはそれぞれ独立して0以上5以下の整数である。cが0の場合、R39は水素原子であり、dが0の場合、R40は水素原子である。
【0121】
化学式E-1は、下記化合物E1~化合物E19のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【0122】
一実施形態において、発光層EMLは下記化学式E-2aまたは化学式E-2bで表される化合物を含んでもよい。下記化学式E-2aまたは化学式E-2bで表される化合物は、りん光ホスト材料として使用される。
【化32】
・・・・(化学式E-2a)
【0123】
化学式E-2aにおいて、aは0以上10以下の整数であリ、Laは単結合、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。aが0の場合、Laは単結合である。一方、aが2以上の整数であれば、複数個のLaはそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。
【0124】
化学式E-2aにおいて、A1~A5はそれぞれ独立してNまたはCRiである。Ra~Riはそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のチオ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。Ra~Riは、隣接する基と互いに結合して炭化水素環またはN、O、Sなどを環形成原子として含むヘテロ環を形成してもよい。
【0125】
化学式E-2aにおいて、A1~A5のうちから選択される2つまたは3つはNで、残りはCRiであってもよい。
【0126】
化学式E-2bは、次のように表される。
【化33】
・・・・(化学式E-2b)
【0127】
化学式E-2bにおいて、Cbz1及びCbz2はそれぞれ独立して無置換のカルバゾリル基、または環形成炭素数6以上30以下のアリール基に置換されたカルバゾリル基である。Lbは単結合、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下アリーレン基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。bは0以上10以下の整数であり、bが0であればLbは単結合であり、bが2以上の整数であれば、複数個のLbはそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。
【0128】
化学式E-2aまたは化合物E-2bで表される化合物は、下記化合物群E-2の化合物のうちいずれか一つで表されてもよい。しかし、下記化合物群E-2に記載された化合物は例示的なものであって、化学式E-2aまたは化学式E-2bで表される化合物は、下記化合物群E-2に示されたものに限らない。
[化合物群E-2]
【化34】
【化35】
【化36】
【0129】
発光層EMLは、ホスト物材料として該当技術分野で知られている一般的な材料を更に含んでもよい。例えば、発光層EMLはホスト材料として、BCPDS(ビス(4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)ジフェニルシラン)、POPCPA((4-(1-(4-(ジフェニルアミノ)フェニル)シクロヘキシル)フェニル)ジフェニル-ホスフィンオキシド)、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)、CBP(4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル)、mCP(1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)ベンゼン)、PPF(2,8-ビス(ジフェニルホスホリル)ジベンゾ[b,d]フラン)、TCTA(4,4’,4”-トリス(カルバゾール-9-イル)-トリフェニルアミン)、及びTPBi(1,3,5-トリス(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ベンゼン)のうち少なくとも一つを含んでもよい。但し、これに限らず、例えば、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム)、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、TBADN(3-tert-ブチル-9,10-ジ(ナフト-2-イル)アントラセン)、DSA(ジスチリルアリーレン)、CDBP(4,4’-ビス(9-カルバゾリル)-2,2’-ジメチル-ビフェニル)、MADN(2-メチル-9、10-ビス(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、CP1(ヘキサフェニルシクロトリホスファゼン)、UGH2(1,4-ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン)、DPSiO3(ヘキサフェニルシクロトリシロキサン)、DPSiO4(オクタフェニルシクロテトラシロキサン)などをホスト材料として使用してもよい。
【0130】
発光層EMLは下記化学式M-aまたは化学式M-bで表される化合物を含んでもよい。下記化学式M-aまたは化学式M-bで表される化合物は、りん光ドーパント材料として使用される。
【化37】
・・・(化学式M-a)
【0131】
化学式M-aにおいて、Y1~Y4、及びZ1~Z4はそれぞれ独立してCR1またはNであり、R1~R4はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のチオ基、置換若しくは無置換のオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。化学式M-aにおいて、mは0または1で、nは2または3である。化学式M-aにおいて、mが0であればnは3で、mが1であればnは2である。
【0132】
化学式M-aで表される化合物は、下記化合物群M-a1~M-a25の化合物のうちいずれか一つで表されてもよい。しかし、下記化合物M-a1~M-a25は例示的なものであって、化学式M-aで表される化合物は下記化合物M-a1~M-a25で表されるものに限らない。
【化38】
【化39】
【化40】
【0133】
化合物M-a1及び化合物M-a2は赤色ドーパント材料として使用され、化合物M-a3及び化合物M-a4は緑色ドーパント材料として使用される。
【0134】
化学式M-bは、次のように表される。
【化41】
・・・(化学式M-b)
【0135】
【0136】
化学式M-bで表される化合物は青色りん光ドーパントまたは緑色りん光ドーパントとして使用される。
【0137】
化学式M-bで表される化合物は、下記化合物のうちいずれか一つで表されてもよい。しかし、下記化合物は例示的なものであって、化学式M-bで表される化合物は下記化合物で表されるものに限らない。
【化42】
【0138】
化合物M-b-1~M-b-12において、R、R38、及びR39はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0139】
発光層EMLは、下記化学式F-a~化学式F-cのうちいずれか一つで表される化合物を含んでもよい。下記化学式F-a~化学式F-cで表される化合物は蛍光ドーパント材料として使用される。
【化43】
・・・(化学式F-a)
【0140】
【0141】
化学式F-bは、次のように表される。
【化44】
・・・(化学式F-b)
【0142】
化学式F-bにおいて、Ra及びRbは、それぞれ独立して水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上20以下のアルケニル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。Ar1~Ar4はそれぞれ独立に、環形成炭素数6~30の置換若しくは無置換のアリール基、または環形成炭素数2~30の置換若しくは無置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0143】
化学式F-bにおいて、U及びVは、それぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数5以上30以下の炭化水素環、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロ環である。
【0144】
化学式F-bにおいて、U及びVで表される環の個数はそれぞれ独立して0または1である。例えば、化学式F-bにおいて、UまたはVの個数が1であればUまたはVで記載された部分に一つの環が縮合環を構成し、UまたはVの個数が0であればUまたはVが記載された環は存在しないことを意味する。詳しくは、Uの個数が0でVの個数が1であれば、またはUの個数が1でVの個数が0であれば、化学式F-bのフルオレンコアを有する縮合環は4環の環式化合物である。また、U及びVの個数がいずれも0であれば、化学式F-bの縮合環は3環の環式化合物である。また、U及びVの個数がいずれも1であれば、化学式F-bのフルオレンコアを有する縮合環は5環の環式化合物である。
【0145】
化学式F-cは、次のように表される。
【化45】
・・・(化学式F-c)
【0146】
化学式F-cにおいて、A1及びA2は、それぞれ独立してO、S、Se、またはNRmであり、Rmは水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。R1~R11はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のボリル基、置換または置換のオキシ基、置換若しくは無置換のチオ基、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0147】
化学式F-cにおいて、A1及びA2はそれぞれ独立して隣り合う環の置換基と結合して縮合環を形成する。例えば、A1及びA2がそれぞれ独立してNRmであれば、A1はR4またはR5と結合して環を形成する。また、A2はR7またはR8と結合して環を形成する。
【0148】
一実施形態において、発光層EMLは、公知のドーパント材料として、スチリル誘導体(例えば、1,4-ビス[2-(3-N-エチルカルバゾリル)ビニル]ベンゼン(BCzVB)、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベン(DPAVB)、N-(4-((E)-2-(6-((E)-4-(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン-2-イル)ビニル)フェニル)-N-フェニルベンゼンアミン(N-BDAVBi))、ぺリレン及びその誘導体(例えば、2,5,8,11-テトラ-t-ブチルぺリレン(TBP))、ピレン及びその誘導体(例えば、1,1’-ジピレン、1,4-ジピレニルベンゼン、1,4-ビス(N、N-ジフェニルアミノ)ピレン)などを含んでもよい。
【0149】
発光層EMLは公知のりん光ドーパント材料を含んでもよい。例えば、りん光ドーパントとしては、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、金(Au)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、またはツリウム(Tm)を含む金属錯体が使用されてもよい。詳しくは、FIrpic(イリジウム(III)ビス(4,6-ジフルオロフェニルピリジナト-N,C2’)ピコリナート)、FIr6(ビス(2,4-ジフルオロフェニルピリジナト)-テトラキス(1-ピラゾリル)ボラートイリジウム(III))、またはPtOEP(白金-オクタエチルポルフィリン)がりん光ドーパントとして使用されてもよい。しかし、実施形態はこれらに限らない。
【0150】
図3~
図6に示した一実施形態の発光素子EDにおいて、電子輸送領域ETRは発光層EMLの上に配置される。電子輸送領域ETRは、正孔阻止層HBL、電子輸送層ETL、及び電子注入層のEILうち少なくとも一つを含むが、実施形態はこれに限らない。
【0151】
電子輸送領域ETRは、単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、または複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有する。
【0152】
例えば、電子輸送領域ETRは電子注入層EILまたは電子輸送層ETLの単一層構造を有してもよく、電子注入物質と電子輸送物質からなる単一層構造を有してもよい。また、電子輸送領域ETRは、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有してもよく、発光層EMLから順番に積層される電子輸送層ETL/電子注入層EIL、正孔阻止層HBL/電子輸送層ETL/電子注入層EILの構造を有してもよいが、これらに限らない。電子輸送領域ETRの厚さは、例えば、約100nm~約150nmであってもよい。
【0153】
電子輸送領域ETRは、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)などのような多様な方法を利用して形成される。
【0154】
電子輸送領域ETRは下記化学式ET-1で表される化合物を含んでもよい。
【化46】
・・・(化学式ET-1)
【0155】
化学式ET-1において、X1~X3のうち少なくとも一つはNで残りはCRaである。Raは水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、Ar1~Ar3は、それぞれ独立して水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0156】
化学式ET-1において、a~cはそれぞれ独立して0以上10以下の整数である。化学式ET-1において、L1及びL3はそれぞれ独立して単結合、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。a~cが0の場合、L1~L3は単結合である。一方、a~cが2以上の整数であれば、複数のL1~L3はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。
【0157】
電子輸送領域ETRはアントラセン系化合物を含んでもよい。但し、これに限らず、電子輸送領域ETRは、例えば、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン、2,4,6-トリス(3’-ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-(N-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル)-9,10-ジナフチルアントラセン、TPBi(1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)ベンゼン)、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、TAZ(3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-テルト-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール)、NTAZ(4-(ナフタレン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール)、tBu-PBD(2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-テルトーブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラト-N1,O8)-(1,1’-ビフェニル-4-オラト)アルミニウム)、Bebq2(ベリリウムビス(ベンゾキノリン-10-オラト))、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、BmPyPhB(1,3-ビス[3,5-ジ(ピリジン-3-イル)フェニル]ベンゼン)、及びこれらの混合物を含んでもよい。
【0158】
電子輸送領域ETRは下記化合物ET1~ET36のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【0159】
また、電子輸送領域ETRは、LiF、NaCl、CsF、RbCl、Rbl、Cul、Klのようなハロゲン化金属、Ybのようなランタノイド族金属、または上述のハロゲン化金属とランタノイド族金属の共蒸着材料を含む。例えば、電子輸送領域ETRは共蒸着材料としてKl:Yb、Rbl:Ybなどを含んでもよい。一方、電子輸送領域ETRには、Li2O、BaOのような金属酸化物、またはLiq(8-ヒドロキシ-リチウムキノラート)などが使用されてもよいが、実施形態はこれに限らない。電子輸送領域ETRはまた、電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩(organo metal salt)が混合された物質からなってもよい。有機金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が約4eV以上の物質が好ましい。詳しくは、例えば、有機金属塩は、酢酸金属塩(metal acetate)、安息香酸金属塩(metal benzoate)、アセト酢酸金属塩(metal acetoacetate)、金属アセチルアセトネート(metal acetylacetonate)、またはステアリン酸金属塩(stearate)を含む。
【0160】
電子輸送領域ETRは、上述した材料以外に、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、及びBphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)のうち少なくとも一つを更に含んでもよいが、これらに限らない。
【0161】
電子輸送領域ETRは、上述した電子輸送領域の化合物を電子注入層EIL、電子輸送層ETL、及び正孔阻止層HBLのうち少なくとも一つに含む。
【0162】
電子輸送領域ETRが電子輸送層ETLを含む場合、電子輸送層ETLの厚さは、約10nm~約100nm、例えば約15nm~約50nmであってもよい。電子輸送層ETLの厚さが上述したような範囲を満たす場合、実質的な駆動電圧の上昇なく十分な電子輸送特性が得られる。電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含む場合、電子注入層EILの厚さは約0.1nm~約10nm、約0.3nm~約9nmである。電子注入層EILの厚さが上述したような範囲を満たす場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに十分な電子注入特性が得られる。
【0163】
第2電極EL2は、電子輸送領域ETRの上に配置される。第2電極EL2は共通電極である。第2電極EL2はカソード(cathode)またはアノード(anode)であってもよいが、実施形態はこれに限らない。例えば、第1電極EL1がアノードであれば第2電極はカソードで、第1電極EL1がカソードであれば第2電極はアノードであってもよい。
【0164】
第2電極EL2は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第2電極EL2が透過型電極であれば、第2電極EL2は透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)などからなる。
【0165】
第2電極EL2が半透過型電極または反射型電極であれば、第2電極EL2はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、Yb、W、またはこれらを含む化合物や混合物(例えば、AgMg、AgYb、またはMgAg)を含む。または、第2電極EL2は、上記物質からなる反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる透明導電膜を含む複数の層構造を有してもよい。例えば、第2電極EL2は、上述した金属材料、上述した金属材料のうちから選択される2種以上の金属材料の組み合わせ、または上述した金属材料の酸化物などを含んでもよい。
【0166】
図示していないが、第2電極EL2は補助電極と接続されてもよい。第2電極EL2が補助電極と接続されれば、第2電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0167】
一実施形態に係る発光素子EDの第2電極EL2の上には、キャッピング層CPLが更に配置されてもよい。キャッピング層CPLは、多層または単層であってもよい。
【0168】
一実施形態において、キャッピング層CPLは有機層または無機層である。例えば、キャッピング層CPLが無機物を含む場合、無機物はLiFなどのアルカリ金属化合物、MgF2などのアルカリ土類化合物、SiON、SiNx、SiOyなどを含んでもよい。
【0169】
例えば、キャッピング層CPLが有機物を含む場合、有機物は、α-NPD、NPB、TPD、m-MTDATA、Alq
3、CuPc、TPD15(N4,N4,N4’,N4’-テトラ(ビフェニル-4-イル)ビフェニル-4,4’-ジアミン)、TCTA(4,4’,4”-トリス(カルバゾール ソル-9-イル)トリフェニルアミン)などを含むか、エポキシ樹脂、またはメタクリレートなどのようなアクリレートを含んでもよい。但し、実施形態はこれらに限らず、これ以外にも下記のような化合物P1~P5を含んでもよい。
【化51】
【化52】
【0170】
キャッピング層CPLの屈折率は1.6以上である。詳しくは、550nm以上660nm以下の波長範囲の光に対して、キャッピング層CPLの屈折率は1.6以上である。
【0171】
図7及び
図8は、それぞれ一実施形態に係る表示装置の一例の断面図である。以下、
図7及び
図8を参照して説明する一実施形態に係る表示装置に関する説明において、上述した
図1~至
図6で説明した内容と重複する内容は再度説明せず、差を中心に説明する。
【0172】
図7を参照すると、一実施形態による表示装置DDは、表示素子層DP-EDを含む表示パネルDPと、表示パネルDPの上に配置される光制御層CCLと、カラーフィルタ層CFLとを含む。
【0173】
図7に示した一実施形態において、表示パネルDPは、ベース層BSと、ベース層BSの上に配置される回路層DP-CLと、表示素子層DP-EDとを含み、表示素子層DP-EDは有機電界発光素子EDを含む。
【0174】
発光素子EDは、第1電極EL1、第1電極EL1の上に配置される正孔輸送領域HTR、正孔輸送領域HTRの上に配置される発光層EML、発光層EMLの上に配置される電子輸送領域ETR、及び電子輸送領域ETRの上に配置される第2電極EL2を含む。
図7に示した発光素子EDの構造は、上述した
図3~
図6の発光素子の構造が適用される。
【0175】
図7を参照すると、発光層EMLは画素定義膜PDLによって定義される開口部OH内に配置される。例えば、画素定義膜PDLによって区分されて、各発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-Bに対応して設けられる発光層EMLは同じ波長領域の光を放出する。一実施形態に係る表示装置DDにおいて、発光層EMLは青色光を放出する。一方、図示とは異なって、一実施形態に係る発光層EMLは、発光領域PXA-R、PXA-G、PXA-B全体で共通に設けられてもよい。
【0176】
光制御層CCLは表示パネルDPの上に配置される。光制御層CCLは、光変換体を含む。光変換体は量子ドット(Quantum dot)または蛍光体などである。光変換体は、入射された光を波長変換して放出する。つまり、光制御層CCLは、量子ドットを含む層であるか、または蛍光体を含む層である。
【0177】
量子ドットのコアはII-VI族化合物、III-VI族化合物、I-III-VI族、III-V族化合物、III-II-V族化合物、IV-VI族化合物、IV族元素、IV族化合物、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0178】
II-VI族化合物は、CdSe、CdTe、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgS、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HeZnSe、HeZnTe、MgZnSe、MgZnS、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物、及びHgZnTeS、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される四元化合物からなる群より選択される。
【0179】
III-VI族化合物は、In2S3、In2Se3などのような二元化合物、InGaS3、InGaSe3などのような三元化合物、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0180】
I-III-VI族化合物は、AgInS、AgInS2、CuInS、CuInS2、AgGaS2、CuGaS2、CuGaO2、AgGaO2、AgAlO2、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物、またはAgInGaS2、CuInGaS2などの四元化合物から選択される。
【0181】
III-V族化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物と、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InGaP、InAlP、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物と、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、及びこれらの混合物からなる群より選択される四元化合物とからなる群より選択される。III-V族化合物はII族金属を更に含んでもよい。例えば、III-II-V族化合物としてInZnPなどが選択されてもよい。
【0182】
IV-VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物と、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される三元化合物と、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、及びこれらの混合物からなる群より選択される四元化合物とからなる群より選択される。IV族元素は、Si、Ge、及びこれらの混合物からなる群より選択される。IV族化合物は、SiC、SiGe、及びこれらの混合物からなる群より選択される二元化合物である。
【0183】
二元化合物、三元化合物、または四元化合物は、均一な濃度で粒子内に存在するか、濃度分布が部分的に異なる状態に分けられて同一粒子内に存在する。また、一つの量子ドットが他の量子ドットを囲むコア/シェル構造を有してもよい。コア/シェル構造において、シェルに存在する元素の濃度がコアに行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有する。
【0184】
いくつかの実施形態において、量子ドットは上述したナノ結晶を含むコア、及び該コアを囲むシェルを含むコア-シェル構造を有する。量子ドットのシェルは、コアの化学的変性を防止して半導体特性を維持するための保護層の役割、及び/または量子ドットに電気泳動特性を与えるためのチャージング層(charging layer)としての役割をする。シェルは単層または多重層である。量子ドットのシェルの例としては、金属または非金属の酸化物、半導体化合物、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0185】
例えば、シェルとして用いられる金属または非金属の酸化物は、SiO2、Al2O3、TiO2、ZnO、MnO、Mn2O3、Mn3O4、CuO、FeO、Fe2O3、Fe3O4、CoO、Co3O4、NiOなどの二元化合物、またはMgAl2O4、CoFe2O4、NiFe2O4、CoMn2O4などの三元化合物が挙げられるが、これらに限らない。
【0186】
また、シェルとして用いられる半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSeS、ZnTeS、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlP、AlSbなどが挙げられるが、これらに限らない。
【0187】
量子ドットは約45nm以下、好ましくは約40nm以下、より好ましくは約30nm以下の発光波長スペクトルの半値幅(full width of half maximum、FWHM)を有し、この範囲で色純度や色再現性を向上させることができる。また、このような量子ドットを介して発光される光は全方向に放出されるため、光視野角が向上される。
【0188】
また、量子ドットの形態は当分野で一般的に使用する形態のものであって特に限らないが、より詳しくは、球状、ピラミッド状、多腕(multi-arm)状、立方体(cubic)のナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノ繊維、ナノ板状粒子などの形態のものを使用してもよい。
【0189】
量子ドットは、粒子のサイズに応じて放出する光の色相を調節することができる。そのため、量子ドットは青色、赤色、緑色など多様な発光色相を有する。
【0190】
光制御層CCLは、複数個の光制御部CCP1、CCP2、CCP3を含む。光制御部CCP1、CCP2、CCP3は互いに離隔されている。
【0191】
図7を参照すると、互いに離隔されている光制御部CCP1、CCP2、CCP3の間に分割パターンBMPが配置されるが、実施形態はこれに限らない。
図7において、分割パターンBMPは、光制御部CCP1、CCP2、CCP3と重畳しないように示されているが、光制御部CCP1、CCP2、CCP3のエッジは分割パターンBMPと少なくとも一部が重畳してもよい。
【0192】
光制御層CCLは、発光素子EDから入射する第1色光を第2色光に変換する第1量子ドットQD1を含む第1光制御部CCP1と、第1色光を第3色光に変換する第2量子ドットQD2を含む第2光制御部CCP2と、第1色光を透過させる第3光制御部CCP3とを含む。
【0193】
一実施形態において、第1光制御部CCP1は第2色光である赤色光を提供し、第2光制御部CCP2は第3色光である緑色光を提供する。第3光制御部CCP3は、発光素子EDから入射する第1色光である青色光をそのまま透過させて提供する。例えば、第1量子ドットQD1は赤色量子ドットであり、第2量子ドットQD2は緑色量子ドットであってもよい。量子ドットQD1、QD2については上述した内容と同じ内容が適用される。
【0194】
また、光制御層CCLは散乱体SPを更に含む。第1光制御部CCP1は第1量子ドットQD1と散乱体SPを含み、第2光制御部CCP2は第2量子ドットQD2と散乱体SPを含み、第3光制御部CCP3は量子ドットを含まずに散乱体SPを含む。
【0195】
散乱体SPは無機粒子である。例えば、散乱体SPは、TiO2、ZnO、Al2O3、SiO2、及び中空シリカのうち少なくとも一つを含んでもよい。散乱体SPは、TiO2、ZnO、Al2O3、SiO2、及び中空シリカのうち少なくともいずれか一つを含むか、TiO2、ZnO、Al2O3、SiO2、及び中空シリカのうちから選択される2種以上の物質が混合されたものであってもよい。
【0196】
第1光制御部CCP1、第2光制御部CCP2、及び第3光制御部CCP3それぞれは、量子ドットQD1、QD2及び散乱体SPを分散させるベース樹脂BR1、BR2、BR3を含む。一実施形態において、第1光制御部CCP1は第1ベース樹脂BR1内に分散されている第1量子ドットQD1と散乱体SPを含み、第2光制御部CCP2は第2ベース樹脂BR2内に分散されている第2量子ドットQD2と散乱体SPを含み、第3光制御部CCP1は第3ベース樹脂BR3内に分散されている散乱体SPを含む。ベース樹脂BR1、BR2、BR3は、量子ドットQD1、QD2及び散乱体SPが分散される媒質であって、一般にバインダと称される多様な樹脂組成物からなる。例えば、ベース樹脂BR1、BR2、BR3は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂などである。ベース樹脂BR1、BR2、BR3は、透明樹脂である。一実施形態において、第1ベース樹脂BR1、第2ベース樹脂BR2、及び第3ベース樹脂BR3それぞれは、互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0197】
光制御層CCLはバリア層BFL1を含む。バリア層BFL1は、水分及び/または酸素(以下、「水分/酸素」と称する)の浸透を防ぐ役割をする。バリア層BFL1は、光制御部CCP1、CCP2、CCP3の上に配置されて、光制御部CCP1、CCP2、CCP3が水分/酸素に露出されることを防止する。一方、バリア層BFL1は、光制御部CCP1、CCP2、CCP3をカバーする。また、光制御部CCP1、CCP2、CCP3とカラーフィルタ層CFLとの間にもバリア層BLF2が設けられてもよい。
【0198】
バリア層BFL1、BFL2は少なくとも一つの無機層を含む。つまり、バリア層BFL1、BFL2は無機物質を含んで形成される。例えば、バリア層BFL1、BFL2は、シリコン窒化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム窒化物、チタン窒化物、ハフニウム窒化物、タンタル窒化物、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、錫酸化物、セリウム酸化物、及びシリコン酸窒化物や、光透過率が確保された金属薄膜などを含んで形成される。バリア層BFL1、BFL2は有機膜を更に含んでもよい。バリア層BFL1、BFL2は単一層または複数の層からなる。
【0199】
一実施形態の表示装置DDにおいて、カラーフィルタ層CFLは、光制御層CCLの上に配置される。例えば、カラーフィルタ層CFLは、光制御層CCLの上に直接配置されてもよい。この場合、バリア層BFL2は省略されてもよい。
【0200】
カラーフィルタ層CFLは、遮光部BMとフィルタCF-1、CF-2、CF-3を含む。カラーフィルタ層CFLは、第2色光を透過させる第1フィルタCF1、第3色光を透過させる第2フィルタCF2、及び第1色光を透過させる第3フィルタCF3を含む。例えば、第1フィルタCF1は赤色フィルタ、第2フィルタCF2は緑色フィルタで、第3フィルタCF3は青色フィルタであってもよい。フィルタCF1、CF2、CF3それぞれは、高分子感光樹脂と、顔料または染料とを含む。第1フィルタCF1は赤色の顔料または染料を含み、第2フィルタCF2は緑色の顔料または染料を含み、第3フィルタCF3は青色の顔料または染料を含む。一方、実施形態はこれに限らず、第3フィルタCF3は顔料または染料を含まなくてもよい。この場合、第3フィルタCF3は高分子感光樹脂を含み、顔料または染料を含まない。第3フィルタCF3は透明であってもよい。第3フィルタCF3は透明な感光樹脂からなってもよい。
【0201】
また、一実施形態において、第1フィルタCF1と第2フィルタCF2は、黄色(yellow)フィルタであってもよい。この場合、第1フィルタCF1と第2フィルタCF2は互いに区分されずに一体で設けられてもよい。
【0202】
遮光部BMは、ブラックマトリクスである。遮光部BMは、黒色顔料または黒色染料を含む有機遮光物質または無機遮光物質を含んで形成される。遮光部BMは、光漏れ現象を防止し、隣接するフィルタCF1、CF2、CF3の間の境界を区分する。また、一実施形態において、遮光部BMは青色フィルタで形成されてもよい。
【0203】
第1~第3フィルタCF1、CF2、CF3それぞれは、赤色発光領域PXA-R、緑色発光領域PXA-G、及び青色発光領域PXA-Bそれぞれに対応して配置される。
【0204】
カラーフィルタ層CFLの上にはベース基板BLが配置される。ベース基板BLは、カラーフィルタ層CFL及び光制御層CCLなどが配置されるベース面を提供する部材である。ベース基板BLは、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板などである。しかし、実施形態はこれらに限らず、ベース基板BLは、無機層、有機層、または複合材料層であってもよい。また、図示とは異なって、一実施形態において、ベース基板BLは省略されてもよい。
【0205】
図8は、一実施形態による表示装置の一部を示す断面図である。
図8では
図7の表示パネルDPに対応する一部分の断面図を示す。
図8に示すように、一実施形態に係る表示装置DD-TDにおいて、発光素子ED-BTは、複数個の発光構造OL-B1、OL-B2、OL-B3を含んでもよい。発光素子ED-BTは、互いに向かい合う第1電極EL1と第2電極EL2と、第1電極EL1と第2電極EL2との間に厚さ方向に順次に積層されて設けられる複数の発光構造OL-B1、OL-B2、OL-B3とを含む。発光構造OL-B1、OL-B2、OL-B3それぞれは、発光層EML(
図7)と、発光層EML(
図7)を間に挟んで配置される正孔輸送領域HTRと、電子輸送領域ETRとを含む。
【0206】
つまり、一実施形態の表示装置DD-TDに含まれる発光素子ED-BTは、複数の発光層を含むタンデム(Tandem)構造の発光素子であってもよい。
【0207】
図8に示した一実施形態において、発光構造OL-B1、OL-B2、OL-B3それぞれから放出される光はいずれも青色光である。しかし、実施形態はこれに限らず、発光構造OL-B1、OL-B2、OL-B3それぞれから放出される光の波長領域は互いに異なっていてもよい。例えば、互いに異なる波長領域の光を放出する複数個の発光構造OL-B1、OL-B2、OL-B3を含む発光素子ED-BTは、白色光を放出してもよい。
【0208】
隣り合う発光構造OL-B1、OL-B2、OL-B3の間には、電荷生成層CGLが配置される。電荷生成層CGLは、p型電荷生成層及び/またはn型電荷生成層を含む。
【実施例0209】
以下、具体的な実施例及び比較例を介して本発明をより詳細に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲はこれに限らない。
【0210】
(合成例)
本発明の一実施形態による有機金属化合物は、例えば、下記のように合成される。但し、本発明の一実施形態による有機金属化合物の合成方法はこれに限らない。
【0211】
【0212】
(1)中間体化合物[1-a]の合成
1-(3-(tert-ブチル)-5-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)フェニル)-2-メトキシエタン-1-アミン(8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[1-a]を得た。(収率:76%)
【0213】
(2)中間体化合物[1-b]の合成
中間体化合物[1-a](1.0eq)とSn(7.0eq)を無水エタノール(0.1M)に溶解させた後、80℃に加熱した。37%HCl溶液(11eq)を添加した後、12時間還流した。反応混合物は冷却してからろ過して、残りのSnを除去し、0℃でNaOHで中和した。ジクロロメタンと水を利用して3回抽出し、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して、中間体化合物[1-b](収率95%)を得た。
【0214】
(3)中間体化合物[1-c]の合成
中間体化合物[1-b](8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄しろ過して中間体化合物[1-c]を得た。(収率:71%)
【0215】
(4)中間体化合物[1-d]の合成
中間体化合物[1-c](1.0eq)、HBr(0.4eq)及び酢酸(0.2eq)を120℃で16時間撹拌した。反応混合物を常温に冷やした後、0℃でNaOHで中和し、酢酸エチルと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、中間体化合物[1-d](収率90%)を得た。
【0216】
(5)中間体化合物[1-e]の合成
中間体化合物[1-d](1.0eq)とSOCl2(38eq)を80℃で2時間撹拌した。HBr(0.4eq)及び酢酸(0.2eq)を入れて120℃で16時間撹拌した。過量のSOCl2は減圧して除去し、この際、生成された固体化合物をn-へプタンで再結晶して中間体化合物[1-e](収率:94%)を得た。
【0217】
(6)中間体化合物[1-f]の合成
n-Bu4NBr(1.0eq)をジクロロメタン(0.025M)に溶解させた後、撹拌しながら、NaOH水溶液(2.5eq)と中間体化合物[1-e](1.0eq)を添加した。反応混合物は室温で12時間撹拌した。反応が完了した後、水を利用して反応をクエンチングし、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して中間体化合物[1-f](収率45%)を得た。
【0218】
(7)中間体化合物[1-g]の合成
中間体化合物[1-f](1.0eq)をジクロロメタンに溶解させた後、室温で撹拌しながらAgOTf(1.2eq)とt-BuCOOCH2Cl(1.2eq)を添加した。反応混合物は24時間撹拌しながら還流した。生成された固体化合物をジクロロメタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[1-g](収率65%)を得た。
【0219】
(8)化合物1の合成
中間体化合物[1-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(3.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物1(収率27%)を得た。
【0220】
【0221】
(1)中間体化合物[2-a]の合成
2-メトキシ-1-(3-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)フェニル)エタン-1-アミン(8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[2-a]を得た。(収率:73%)
【0222】
(2)中間体化合物[2-b]の合成
中間体化合物[2-a](1.0eq)とTin(7.0eq)を無水エタノール(0.1M)に溶解させた後、80℃に加熱した。37%HCl溶液(11eq)を添加した後、12時間還流した。反応混合物は冷却してからろ過して、残りのSnを除去し、0℃でNaOHで中和した。ジクロロメタンと水を利用して3回抽出し、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して中間体化合物[2-b](収率92%)を得た。
【0223】
(3)中間体化合物[2-c]の合成
中間体化合物[2-b](8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[2-c]を得た。(収率:71%)
【0224】
(4)中間体化合物[2-d]の合成
中間体化合物[2-c](1.0eq)、HBr(0.4eq)及び酢酸(0.2eq)を120℃で16時間撹拌した。反応混合物を常温に冷やした後、0℃でNaOHで中和し、酢酸エチルと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、中間体化合物[2-d](収率90%)を得た。
【0225】
(5)中間体化合物[2-e]の合成
中間体化合物[2-d](1.0eq)とSOCl2(38eq)を80℃で2時間撹拌した。HBr(0.4eq)及び酢酸(0.2eq)を入れて120℃で16時間撹拌した。過量のSOCl2は減圧して除去した。生成された固体化合物はn-へプタンで再結晶して中間体化合物[2-e](収率:94%)を得た。
【0226】
(6)中間体化合物[2-f]の合成
n-Bu4NBr(1.0eq)をジクロロメタン(0.025M)に溶解させた後、撹拌しながら、NaOH水溶液(2.5eq)と中間体化合物[2-e](1.0eq)を添加した。反応混合物は室温で12時間撹拌した。反応が完了した後、水を利用して反応をクエンチングし、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出し有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して中間体化合物[2-f](収率45%)を得た。
【0227】
(7)中間体化合物[2-g]の合成
中間体化合物[2-f](1.0eq)をジクロロメタンに溶解させた後、室温で撹拌しながらAgOTf(1.2eq)とt-BuCOOCH2Cl(1.2eq)を添加した。反応混合物は24時間撹拌しながら還流した。生成された固体化合物をジクロロメタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[2-g](収率61%)を得た。
【0228】
(8)化合物2の合成
中間体化合物[2-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(3.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物2(収率23%)を得た。
【0229】
【0230】
(1)中間体化合物[3-a]の合成
2-メトキシ-1-(3-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)-5-メチルフェニル)エタン-1-アミン(8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[3-a]を得た。(収率:65%)
【0231】
(2)中間体化合物[3-b]の合成
中間体化合物[3-a](1.0eq)とTin(7.0eq)を無水エタノール(0.1M)に溶解させた後、80℃に加熱した。37%HCl溶液(11eq)を添加した後、12時間還流した。反応混合物は冷却してからろ過して、残りのSnを除去し、0℃でNaOHで中和した。ジクロロメタンと水を利用して3回抽出し、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して中間体化合物[3-b](収率89%)を得た。
【0232】
(3)中間体化合物[3-c]の合成
中間体化合物[3-b](8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[3-c]を得た。(収率:75%)
【0233】
(4)中間体化合物[3-d]の合成
中間体化合物[3-c](1.0eq)、HBr(0.4eq)及び酢酸(0.2eq)を120℃で16時間撹拌した。反応混合物を常温に冷やした後、0℃でNaOHで中和し、酢酸エチルと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、中間体化合物[3-d](収率86%)を得た。
【0234】
(5)中間体化合物[3-e]の合成
中間体化合物[3-d](1.0eq)とSOCl2(38eq)を80℃で2時間撹拌した。HBr(0.4eq)及び酢酸(0.2eq)を入れて120℃で16時間撹拌した。過量のSOCl2は減圧して除去した。生成された固体化合物はn-へプタンで再結晶して中間体化合物[3-e](収率:91%)を得た。
【0235】
(6)中間体化合物[3-f]の合成
n-Bu4NBr(1.0eq)をジクロロメタン(0.025M)に溶解させた後、撹拌しながら、NaOH水溶液(2.5eq)と中間体化合物[3-e](1.0eq)を添加した。反応混合物は室温で12時間撹拌した。反応が完了した後、水を利用して反応をクエンチングし、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出し有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して中間体化合物[3-f](収率51%)を得た。
【0236】
(7)中間体化合物[3-g]の合成
中間体化合物[3-f](1.0eq)をジクロロメタンに溶解させた後、室温で撹拌しながらAgOTf(1.2eq)とt-BuCOOCH2Cl(1.2eq)を添加した。反応混合物は24時間撹拌しながら還流した。生成された固体化合物をジクロロメタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[3-g](収率60%)を得た。
【0237】
(8)化合物3の合成
中間体化合物[3-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(3.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物3(収率20%)を得た。
【0238】
【0239】
(1)中間体化合物[4-a]の合成
2-メトキシ-1-(5-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)エタン-1-アミン(5.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[4-a]を得た。(収率:70%)
【0240】
(2)中間体化合物[4-b]の合成
中間体化合物[4-a](1.0eq)とSn(7.0eq)を無水エタノール(0.1M)に溶解させた後、80℃に加熱した。37%HCl溶液(11eq)を添加した後、12時間還流した。反応混合物は冷却してからろ過して、残りのSnを除去し、0℃でNaOHで中和した。ジクロロメタンと水を利用して3回抽出し、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して中間体化合物[4-b](収率85%)を得た。
【0241】
(3)中間体化合物[4-c]の合成
中間体化合物[4-b](8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[4-c]を得た。(収率:73%)
【0242】
(5)中間体化合物[4-d]の合成
中間体化合物[4-c](1.0eq)、HBr(0.4eq)及び酢酸(0.2eq)を120℃で16時間撹拌した。反応混合物を常温に冷やした後、0℃でNaOHで中和し、酢酸エチルと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、中間体化合物[4-d](収率94%)を得た。
【0243】
(5)中間体化合物[4-e]の合成
中間体化合物[4-d](1.0eq)とSOCl2(38eq)を80℃で2時間撹拌した。過量のSOCl2は減圧して除去した。生成された固体化合物はn-へプタンで再結晶して中間体化合物[4-e](収率:80%)を得た。
【0244】
(6)中間体化合物[4-f]の合成
n-Bu4NBr(1.0eq)をジクロロメタン(0.025M)に溶解させた後、撹拌しながら、NaOH水溶液(2.5eq)と中間体化合物[4-e](1.0eq)を添加した。反応混合物は室温で12時間撹拌した。反応が完了した後、水を利用して反応をクエンチングし、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出し有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して中間体化合物[4-f](収率45%)を得た。
【0245】
(7)中間体化合物[4-g]の合成
中間体化合物[4-f](1.0eq)をジクロロメタンに溶解させた後、室温で撹拌しながらAgOTf(2.4eq)とt-BuCOOCH2Cl(2.5eq)を添加した。反応混合物は24時間撹拌しながら還流した。生成された固体化合物をジクロロメタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[4-g](収率61%)を得た。
【0246】
(8)化合物4の合成
中間体化合物[4-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(6.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物4(収率24%)を得た。
【0247】
【0248】
(1)中間体化合物[5-a]の合成
1-(4’-(tert-ブチル)-5-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-2メトキシエタン-1-アミン(5.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[5-a]を得た。(収率:74%)
【0249】
(2)中間体化合物[5-b]の合成
中間体化合物[5-a](1.0eq)とSn(7.0eq)を無水エタノール(0.1M)に溶解させた後、80℃に加熱した。37%HCl溶液(11eq)を添加した後、12時間還流した。反応混合物は冷却してからろ過して、残りのSnを除去し、0℃でNaOHで中和した。ジクロロメタンと水を利用して3回抽出し、有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して中間体化合物[5-b](収率79%)を得た。
【0250】
(3)中間体化合物[5-c]の合成
中間体化合物[5-b](8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[5-c]を得た。(収率:78%)
【0251】
(4)中間体化合物[5-d]の合成
中間体化合物[5-c](1.0eq)、HBr(0.4eq)及び酢酸(0.2eq)を120℃で16時間撹拌した。反応混合物を常温に冷やした後、0℃でNaOHで中和し、酢酸エチルと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて、中間体化合物[5-d](収率85%)を得た。
【0252】
(5)中間体化合物[5-e]の合成
中間体化合物[5-d](1.0eq)とSOCl2(38eq)を80℃で2時間撹拌した。過量のSOCl2は減圧して除去した。生成された固体化合物はn-へプタンで再結晶して中間体化合物[5-e](収率:81%)を得た。
【0253】
(6)中間体化合物[5-f]の合成
n-Bu4NBr(1.0eq)をジクロロメタン(0.025M)に溶解させた後、撹拌しながら、NaOH水溶液(2.5eq)と中間体化合物[5-e](1.0eq)を添加した。反応混合物は室温で12時間撹拌した。反応が完了した後、水を利用して反応をクエンチングし、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出し有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮して中間体化合物[5-f](収率56%)を得た。
【0254】
(7)中間体化合物[5-g]の合成
中間体化合物[5-f](1.0eq)をジクロロメタンに溶解させた後、室温で撹拌しながらAgOTf(2.4eq)とt-BuCOOCH2Cl(2.5eq)を添加した。反応混合物は24時間撹拌しながら還流した。生成された固体化合物をジクロロメタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[5-g](収率63%)を得た。
【0255】
(8)化合物5の合成
中間体化合物[5-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(6.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物5(収率20%)を得た。
【0256】
【0257】
(1)中間体化合物[6-a]の合成
1-(3’-(tert-ブチル)-5-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-2-メトキシエタン-1-アミン(5.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[6-a]を得た。(収率:74%)
【0258】
(2)中間体化合物[6-g]の合成
中間体化合物[6-g]は上述した合成法と同じ方法で合成した。(収率:70~77%)
【0259】
(3)化合物6の合成
中間体化合物[6-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(6.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物6(収率25%)を得た。
【0260】
【0261】
(1)中間体化合物[7-a]の合成
1-(3’-(tert-ブチル)-5-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-2-メトキシエタン-1-アミン(8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[7-a]を得た。(収率:70%)
【0262】
(2)中間体化合物[7-g]の合成
中間体化合物[7-g]は上述した合成法と同じ方法で合成した。(収率:71%)
【0263】
(3)化合物7の合成
中間体化合物[7-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(6.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物7(収率21%)を得た。
【0264】
【0265】
(1)中間体化合物[8-a]の合成
3’-(1-アミノ-2-メトキシエチル)-5’-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボノトリル(8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[8-a]を得た。(収率:65%)
【0266】
(2)中間体化合物[8-g]の合成
中間体化合物[8-g]は上述した合成法と同じ方法で合成した。(収率:76%)
【0267】
(3)化合物8の合成
中間体化合物[8-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(6.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物8(収率20%)を得た。
【0268】
【0269】
(1)中間体化合物[9-a]の合成
3’-(1-アミノ-2-メトキシエチル)-5’-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)-[1,1’-ビフェニル]-3,5-ジカルボノトリル(8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[9-a]を得た。(収率:43%)
【0270】
(2)中間体化合物[9-g]の合成
中間体化合物[9-g]は上述した合成法と同じ方法で合成した。(収率:70%)
【0271】
(3)化合物9の合成
中間体化合物[9-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(6.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物9(収率14%)を得た。
【0272】
【0273】
(1)中間体化合物[10-a]の合成
1-(4’-((3r,5r,7r)-アダマンタン-1-イル)-5-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)-[1,1’-ビフェニル]-3-イル)-2-メトキシエタン-1-アミン(8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[10-a]を得た。(収率:72%)
【0274】
(2)中間体化合物[10-g]の合成
中間体化合物[10-g]は上述した合成法と同じ方法で合成した。(収率:71%)
【0275】
(3)化合物10の合成
中間体化合物[10-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(6.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物10(収率22%)を得た。
【0276】
【0277】
(1)中間体化合物[22-a]の合成
2-メトキシ-1-(5-(2-メトキシ-1-ニトロエチル)-6’-フェニル-[1,1’:2’,1”-テルフェニル]-3-イル)エタン-1-アミン(8.5eq)をトルエン(0.5M)に室温で撹拌しながら、シュウ酸ジエチル(1.0eq)を添加した。反応混合物は4時間還流した。反応が完了した後、n-へプタンで洗浄し、ろ過して中間体化合物[22-a]を得た。(収率:75%)
【0278】
(2)中間体化合物[22-g]の合成
中間体化合物[22-g]は上述した合成法と同じ方法で合成した。(収率:75%)
【0279】
(3)化合物22の合成
中間体化合物[22-g](1.0eq)、ジクロロ(1,5-シクロオクタジエン)白金(II)(1.2eq)及び酢酸ナトリウム(6.0eq)を無水1,4-ジオキサンに溶解させた後、窒素条件下、120℃で4日間撹拌した。常温で冷やした後、ジクロロメタンと水を利用して3回抽出して有機層を得た。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濃縮し、カラムクロマトグラフィを利用して(MC:50vol%ヘキサン)化合物22(収率23%)を得た。
【0280】
(有機金属化合物の特性評価)
実施例化合物1~10及び22と比較例化合物C1及びC2の有機金属化合物の発光特性を評価し、下記表1に示した。
【0281】
実施例化合物と比較例化合物は以下のようである。
[実施例化合物]
【化64】
[比較例化合物]
【化65】
【0282】
【0283】
表1において、それぞれの化合物に対する3MC stateエネルギーレベル値はB3LYP functionalを使用して評価し、3MLCT(%)値は同じGaussianプログラムのDFT(density functional theory)計算方法でB3LYP、6-31G(d,p)レベルで構造最適化で測定した。
【0284】
一実施形態に係る有機金属化合物は、3MLCT値が高く、3MC状態のエネルギーレベル値が高いため、励起状態での安定性が向上される。
【0285】
(有機電界発光素子の作製)
一実施形態に係る有機金属化合物を発光層に含む有機電界発光素子を以下の方法で作製した。上述した実施例化合物及び比較例化合物を発光層のドーパント材料として使用し、有機電界発光素子を作製した。
【0286】
詳しくは、基板及びアノードとしてコーニング(corning)社の15Ω/cm2(120nm)ITOが形成されたガラス基板を50mm×50mm×0.7mmのサイズに切って、イソプロピルアルコールと純水を利用して各5分間超音波洗浄した後、30分間紫外線を照射し、オゾンに露出させて洗浄して、真空蒸着装置に該ガラス基板を設置した。
【0287】
ガラス基板に形成されたITOアノードの上部に2-TNATAを真空蒸着し、厚さ60nmの正孔注入層を形成し、正孔注入層の上部にNPBを真空蒸着して、厚さ30nmの正孔輸送層を形成した。
【0288】
正孔輸送層の上部にホストであるBCPDS及びPOPCPA(BCPDSとPOPCPAの重量比は1:1)と、ドーパントである実施例化合物または比較例化合物をホストとドーパントの重量比が90:10になるように共蒸着して、厚さ30nmの発光層を形成した。
【化66】
【化67】
【0289】
発光層の上部にTSP01を蒸着して厚さ5nmの正孔阻止層を形成し、正孔阻止層の上部にAlq3を蒸着して厚さ30nmの電子輸送層を形成し、電子輸送層の上部にLiFを蒸着して厚さ1nmの電子注入層を形成し、電子注入層の上部にAlを真空蒸着して厚さ300nmのカソードを形成して、有機電界発光素子を作製した。
【0290】
実施例1~11、及び比較例1~2による測定値を下記表2に示す。
【表2】
【0291】
一実施形態の有機電界発光素子は、一実施形態に係る有機金属化合物を含むことで、低い駆動電圧、改善された発光効率及び寿命を同時に実現することができる。また、一実施形態の有機電界発光素子は、一実施形態に係る有機金属化合物を発光層材料として使用することで、青色光波長領域で発光素子の低い駆動電圧、改善された発光効率及び寿命を同時に実現することができる。
【0292】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施され得ることを理解できるはずである。よって、上述した実施形態は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。