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特開2022-161035独立した案内装置を備えたタービン装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161035
(43)【公開日】2022-10-20
(54)【発明の名称】独立した案内装置を備えたタービン装置
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20221013BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20221013BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20221013BHJP
   F01D 9/04 20060101ALI20221013BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20221013BHJP
   F01D 1/08 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
F02B39/00 D
F02B39/00 S
F02B37/00 301Z
F02B39/00 T
F02B39/00 Z
F01D25/24 E
F01D25/24 G
F01D9/04
F01D9/02 101
F01D1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022064125
(22)【出願日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】10 2021 108 686.8
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ラム
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・ダヤ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ウィーバー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・ウムラウフ
(72)【発明者】
【氏名】アーメット・コクセン
【テーマコード(参考)】
3G005
3G202
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005FA51
3G005GB08
3G005GB24
3G005GB25
3G005GB26
3G005GB87
3G005GB88
3G202GA01
3G202GA07
3G202GA11
(57)【要約】
【課題】固定的に配置されている案内翼を備えた改善されたタービン装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、過給装置用のタービン装置に関する。タービン装置は、タービンハウジングと、タービンホイールと、案内装置とを含む。タービンハウジングは、タービン渦巻室とタービン出口とを画定する。タービンホイールは、タービンハウジングにおいてタービン渦巻室とタービン出口との間に配置されている。案内装置は、支持環と複数の案内翼とを含む。案内翼は、支持環に所定の向きで固定的に配置されている。案内装置がタービン渦巻室とタービンホイールとの間の流入路に配置されることによって、作動時に流体がタービン渦巻室から流入路を通って案内翼を伝ってタービンホイールへ導かれる。
【選択図】図13A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン渦巻室(120)とタービン出口(150)とを画定するタービンハウジング(110)と、
前記タービンハウジング(110)に前記タービン渦巻室(120)と前記タービン出口(150)との間に配置されたタービンホイール(140)と、
支持環(210)と、前記支持環(210)に所定の向きで固定的に配置されている複数の案内翼(220)とを備えた案内装置(200)と、
を含む過給装置(10)用のタービン装置(100)であって、
前記案内装置(200)が前記タービン渦巻室(120)と前記タービンホイール(140)との間の流入路(130)に配置されることによって、作動時に流体が前記タービン渦巻室(120)から前記流入路(130)を通って前記案内翼(220)を伝って前記タービンホイール(140)へ導かれる、タービン装置(100)。
【請求項2】
前記案内装置(200)が任意的に独立した部品として形成されており、
前記案内装置(200)が前記タービンハウジング(110)に挿入されている、請求項1に記載のタービン装置(100)。
【請求項3】
前記案内装置(200)が単一構造的に形成されており、
特に、前記案内装置(200)が、鋳造部品または板金部品から、または溶接組立品によって形成されている、請求項1または2に記載のタービン装置(100)。
【請求項4】
前記支持環(210)が前記タービンハウジング(110)において芯出しされており、
任意的に、前記支持環(210)が、前記タービンハウジング(110)のリング状の空所(112)、特に溝に軸方向(22)に挿入されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項5】
前記支持環(210)が第1のリング要素(212)と第2のリング要素(216)とを含み、前記第1のリング要素(212)および前記第2のリング要素(216)が軸方向に互いから離間しており、両者の間に前記案内翼(220)が配置されており、
特に、請求項4に従属する場合、前記案内翼(220)のみが前記流入路(130)に位置するように、前記第2のリング要素(216)が前記リング状の空所(112)に挿入されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項6】
前記支持環(210)が、前記タービンハウジング(110)の径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面(114)に当接して芯出しされており、
任意的に、前記支持環(210)が少なくとも第1のリング要素(212)を含み、軸方向(22)において前記案内翼(220)がタービンハウジング側に配置されており、
前記支持環(210)が、前記第1のリング要素(212)の外周(214)を介して前記芯出し面(114)の内周に当接して芯出しされている、請求項1から5のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項7】
前記支持環(210)が、前記第1のリング要素(212)の外周(214)の雄ねじ(214a)と前記芯出し面(114)の内周の雌ねじ(114a)とを介して前記タービンハウジング(110)にねじ留めされている、請求項6に記載のタービン装置(100)。
【請求項8】
少なくとも請求項5に従属する場合、前記タービン渦巻室(120)が、隔壁(126)によって流体技術的に互いから分離された第1のボリュート(122)および第2のボリュート(124)を含み、
前記支持環(210)が第3のリング要素(218)をさらに含み、前記第3のリング要素(218)が、前記隔壁(126)の延長線上において前記流入路(130)内へ、特に前記流入路(130)を通って延びるように軸方向において前記第1のリング要素(212)と前記第2のリング要素(216)との間に配置および形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項9】
前記支持環(210)が、差込接続部(316)、特に周方向(26)に間隔を空けた複数のボルトを介して過給装置(10)の軸受ハウジング(310)において芯出しされるように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項10】
前記タービンホイール(140)の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置された遮熱体(240)をさらに含み、
任意的に、前記支持環(210)が前記遮熱体(240)に当接して芯出しされている、請求項1から9のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項11】
さらに含まれるばね要素(230)が、前記案内装置(200)を前記タービンハウジング(110)に対して軸方向(22)に付勢するように前記案内装置(200)の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置および構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項12】
前記遮熱体(240)が、軸方向において前記ばね要素(230)と前記案内装置(200)との間に配置されており、
前記ばね要素(230)が、前記遮熱体(240)の径方向外側の領域を介して前記案内装置(200)を前記タービンハウジング(110)に対して軸方向(22)に付勢するように構成されている、少なくとも請求項10および11に記載のタービン装置(100)。
【請求項13】
前記タービン渦巻室(120)が第1のボリュート(122)と第2のボリュート(124)とを含み、前記第1のボリュート(122)および前記第2のボリュート(124)が、流体技術的に分離されて第1のタービンハウジング舌状部(127)と第2のタービンハウジング舌状部(129)との間で前記案内装置(200)に通じており、
任意的に、前記複数の案内翼(220)のうちの2つが、舌状案内翼(221)として形成されて前記タービンハウジング舌状部(127、129)に隣接して配置されている、請求項1から7または9から12のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項14】
前記舌状案内翼(221)のそれぞれが前記タービンハウジング舌状部(127、129)のそれぞれの延長線上に配置されることによって前記案内装置(200)における前記ボリュートの流体技術的な分離が継続するように、前記案内装置(200)が前記タービンハウジング(110)内に配置および形成されている、請求項13に記載のタービン装置(100)。
【請求項15】
前記案内装置(200)の周方向(26)の回転を基本的に防止するように構成された回転防止部(318)をさらに含み、
任意的に、前記回転防止部(318)が、凹部(318a)と、前記凹部(318a)に径方向に係合するピン(318b)とによって形成されている、請求項1から6または8から14のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項16】
前記支持環(210)および/または前記案内翼(220)が、公知のデザイン、特に公知のVTGデザインの部品である、請求項1から15のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。
【請求項17】
前記案内翼(220)が、前記タービンホイール(140)の直前まで、特に前記流入路(130)の径方向内側の端部(132)まで突出しており、
任意的に、所望の運転点に対して最適化された周方向(26)に対する角度(α)を有する流入方向(223)に流体を前記タービンホイール(140)へ導くように、前記案内翼(220)が前記支持環(210)に前記所定の向きで固定されている、請求項1から16のいずれか一項に記載のタービン装置(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定案内翼を有する案内装置を備えた過給装置用のタービン装置に関する。さらに、本発明は、そのようなタービン装置を備えた過給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
要求された目標および法的な要求事項を達成するために、ますます多くの新世代の車両に過給装置が搭載されている。過給装置の開発では、個々の構成部品だけでなくシステム全体としてもその信頼性および効率性に関して最適化することが重要である。
【0003】
公知の過給装置はたいてい、駆動部と共通の回転軸を介して接続された圧縮機ホイールを備えた圧縮機を少なくとも備えている。圧縮機は、内燃機関または燃料電池のために吸引された外気を圧縮する。それによって、機関が燃焼に、または燃料電池が反応に使用することができる空気または酸素の量が増加する。これがひいては、内燃機関または燃料電池の性能向上につながる。過給装置には様々な駆動部を搭載することができる。先行技術では、圧縮機が電動機によって駆動されるE過給器や、圧縮機がタービンによって駆動されるターボ過給機が公知である。これら両方のシステムの組合せも先行技術に記載されている。
【0004】
様々な運転点に適応してタービンの効率を高めるために、可変案内翼がしばしばタービンに使用される。可変案内翼は、タービンホイールへ導かれる気流の流入角度および流通断面積を可変に調整できるように、その位置が調節可能である。このようなシステムは、可変タービン構造またはVTGとも呼ばれる。その他、タービンの個々のまたは少数の特定の運転点を最適化するために固定案内翼を備えたシステムも公知である。この場合、VTG案内翼とは異なり、固定案内翼はその位置を調節することができず、タービンハウジングに対して固定された向きで配置されるので、流通断面積および流入角度は、一度確定されるとそれ以降可変に調整することができず、個々のまたは少数の特定の運転点について最適化されて確定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、固定的に配置されている案内翼を備えた改善されたタービン装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項1に記載の過給装置用のタービン装置に関する。
【0007】
この過給装置用のタービン装置は、タービンハウジングと、タービンホイールと、案内装置とを含む。タービンハウジングは、タービン渦巻室とタービン出口とを画定する。タービンホイールは、タービンハウジングにおいてタービン渦巻室とタービン出口との間に配置されている。案内装置は、支持環と複数の案内翼とを含む。案内翼は、支持環に所定の向きで固定的に配置されている。案内装置がタービン渦巻室とタービンホイールとの間の流入路に配置されることによって、作動時に流体がタービン渦巻室から流入路を通って案内翼を伝ってタービンホイールへ導かれる。この場合、所定の向きは、周方向の向きからより径方向またはより接線方向の向きにそれた向きであってよい。これによって、タービン渦巻室から流れて来る流体をタービンホイールへより径方向またはより接線方向に導くことができる。言い換えれば、固定案内翼が気流をタービン渦巻室からタービンホイールへ所定の向きに応じて導くように、案内装置が配置されている。案内翼がタービンハウジングと一体的に接続されているのではなく独立した案内装置に含まれていることによって、取り付けおよびコストの面で利点が生じる。したがって、例えば、基礎となるタービンハウジングに対して、異なる案内装置、例えば異なる構成の案内装置、特に異なる向きの案内翼を備えた案内装置を用途に応じて使用することができる。逆に、案内装置のある特定の実施形態を異なるタービンハウジングに組み込むまたは挿入することも可能である。このように、本発明によれば、案内装置の交換可能性および再利用可能性を改善することが可能になる。
【0008】
タービン装置の構成において、案内装置が独立した部品として形成されていてもよい。特に、案内装置がタービンハウジングから独立した部品として形成されていてもよい。代替的または追加的に、案内装置が過給装置の軸受ハウジングから独立した部品として形成されていてもよい。これによって、タービン装置のモジュール性を改善することができる。
【0009】
前述の構成と組合せ可能なタービン装置の構成において、案内装置がタービンハウジングに挿入されていてもよい。特に、案内装置が交換可能および/または取り出し可能および/または取り外し可能にタービンハウジングに挿入されていてもよい。これによって、様々な用途または運転条件に柔軟に適応可能なタービン装置を提供することが可能になる。
【0010】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、案内装置が単一構造的に形成されていてもよい。単一構造的に形成とは、案内装置の要素が材料接続的な結合によって互いに接続されていることであってもよい。この単一構造性は、例えば、成形方法、特に鋳造方法によって、接合方法、特に、例えば溶接方法またははんだ付け方法のような溶解接合技術的な方法によって、または選択的なレーザ溶融またはレーザ材料蒸着のような付加的方法によって得ることができる。追加的に、最終的なデザインを実現するために、変形方法および/または除去方法を用いることができる。単一構造的に形成することによって、一方では、案内装置の安定性および強度特性を改善することができる。他方では、これによって取り付けを容易化することができる。
【0011】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、支持環がタービンハウジングにおいて、特にタービンハウジングによって芯出しされていてもよい。追加的に、支持環がタービンハウジングの空所に軸方向に挿入されていてもよい。特に、この空所はリング状の空所であってもよい。ある構成では、空所が溝、特にリング状の溝であってもよい。代替的または追加的に、空所、特にリング状の空所がタービンハウジングに軸方向に窪んでいてもよい。リング状の空所が流入路の領域に配置されていてもよい。代替的または追加的に、空所、特にリング状の空所が、タービン渦巻室とタービンホイールとの間に配置された、基本的に軸方向において過給装置の軸受ハウジングの方へ向けられたタービンハウジングの壁に軸方向に窪んでいてもよい。
【0012】
前述の構成と組合せ可能なタービン装置の構成において、支持環が第1のリング要素と第2のリング要素とを含んでいてもよい。第1のリング要素および第2のリング要素が軸方向に互いから離間していてもよい。第1のリング要素と第2のリング要素との間に案内翼が配置されていてもよい。代替的または追加的に、案内翼のみが流入路に位置するように、第2のリング要素が空所、特にリング状の空所に挿入されていてもよい。代替的または追加的に、流入路が軸方向において第1のリング要素と第2のリング要素との間に少なくとも部分的に形成されていてもよい。代替的または追加的に、第1のリング要素が案内翼の軸受ハウジング側に(軸方向に)隣接して配置されていてもよい。代替的または追加的に、第2のリング要素が案内翼のタービンハウジング側に(軸方向に)隣接して配置されていてもよい。
【0013】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、支持環がタービンハウジングの芯出し面、特に円筒状の芯出し面に当接して芯出しされていてもよい。特に、支持環が径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面に当接して芯出しされていてもよい。追加的に、支持環が少なくとも第1のリング要素を含んでいてもよい。追加的に、軸方向において案内翼が第1のリング要素のタービンハウジング側に配置されていてもよい。代替的または追加的に、支持環が第1のリング要素の外周を介して芯出し面の内周に当接して芯出しされていてもよい。代替的または追加的に、タービンハウジングが、案内翼の軸方向の熱膨張のための空間を設けるために構成された1つまたは複数の軸方向の補償用空所を含んでいてもよい。特に、1つまたは複数の軸方向の補償用空所がリング状の空所であってもよい。ある構成では、1つまたは複数の軸方向の補償用空所が溝、特にリング状の溝であってもよい。代替的または追加的に、1つまたは複数の軸方向の補償用空所、特にリング状の軸方向の補償用空所がタービンハウジングに軸方向に窪んでいてもよい。1つまたは複数の軸方向の補償用空所が流入路の領域に配置されていてもよい。代替的または追加的に、1つまたは複数の軸方向の補償用空所、特にリング状の軸方向の補償用空所が、タービン渦巻室とタービンホイールとの間に配置された、基本的に軸方向において過給装置の軸受ハウジングの方へ向けられたタービンハウジングの壁に軸方向に窪んでいてもよい。リング状の軸方向の補償用空所または溝状の軸方向の補償用空所の代わりに、案内翼の数に対応して軸方向において各案内翼の隣にそれぞれが配置されることによって各案内翼が隣接する軸方向の補償用空所内へ熱膨張することが可能になるように配置および形成された複数の軸方向の補償用空所がタービンハウジングに設けられていてもよい。
【0014】
前述の構成と組合せ可能なタービン装置の構成において、支持環が、第1のリング要素の外周の雄ねじと芯出し面の内周の雌ねじとを介してタービンハウジングにねじ留めされていてもよい。この有利な構成によって、タービンハウジングにおける案内装置の芯出しだけでなく軸方向の固着または付勢も提供することができる。例えばばね要素のような追加的な固定要素を設けることも可能であるが必要ではない。
【0015】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、支持環が、差込接続部を介して過給装置の軸受ハウジングにおいて芯出しされるように構成されていてもよい。特に、支持環が、周方向に間隔を空けた複数のボルトを介して過給装置の軸受ハウジングにおいて芯出しされるように構成されていてもよい。追加的に、支持環が周方向に間隔を空けた複数の軸方向の孔を備えていてもよい。軸方向の孔が、ボルトを介して軸受ハウジングと連結または接続されるように配置および構成されていてもよい。
【0016】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、タービン装置が遮熱体をさらに含んでいてもよい。遮熱体が、タービンホイールの軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されていてもよい。追加的に、遮熱体がリング状に構成されていてもよい。代替的または追加的に、支持環が遮熱体に当接して芯出しされていてもよい。代替的または追加的に、支持環が少なくとも第1のリング要素を含んでいてもよい。軸方向において案内翼が第1リング要素のタービンハウジング側に配置されていてもよい。第1のリング要素の内周が遮熱体の外周に配置されていてもよい。これによって、案内装置の芯出しを容易かつ効果的に行うことができる。
【0017】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、タービン装置がばね要素をさらに含んでいてもよい。ばね要素が、支持環の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されていてもよい。追加的に、ばね要素が、案内装置をタービンハウジングに対して軸方向に付勢するように構成されていてもよい。タービン装置が遮熱体を含む構成において、ばね要素が遮熱体の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されていてもよい。つまり、遮熱体が軸方向において支持環とばね要素との間に配置されていてもよい。追加的に、ばね要素が遮熱体を介して案内装置または支持環をタービンハウジングに対して付勢してもよい。
【0018】
前述の構成と組合せ可能なタービン装置の構成において、ばね要素が皿ばねとして形成されていてもよい。追加的に、支持環がばね要素に当接して芯出しされていてもよい。代替的または追加的に、支持環が少なくとも第1のリング要素、特に第1のリング要素のみを含んでいてもよい。軸方向において案内翼が第1のリング要素のタービンハウジング側に配置されていてもよい。第1のリング要素の内周がばね要素の外周に当接して芯出しされていてもよい。これによって、1つの要素のみを用いた容易な芯出しおよび軸方向の付勢が可能になる。
【0019】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、案内翼がタービンホイールの直前まで突出していてもよい。特に、案内翼が流入路の径方向内側の端部まで突出していてもよい。
【0020】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、案内装置が、3から30、特に3から15、好ましくは4から12、特に好ましくは5から10の数の案内翼を含んでいてもよい。いくつかの構成では、案内装置が、6から15、好ましくは6から9の数の案内翼、特に好ましくは6から8の数の案内翼を含んでいてもよい。
【0021】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、周方向に対する角度αを有する流入方向に流体をタービンホイールへ導くように、案内翼が支持環に所定の向きで固定されていてもよい。角度αが、100°から175°の範囲内であってもよい。特に、角度αが、100°から170°、または110°から160°、好ましくは120°から150°、特に好ましくは130°から140°の範囲内であってもよい。いくつかの構成では、角度αが145°から175°、好ましくは150°から170°、特に好ましくは155°から165°の範囲内であれば特に有利となり得る。さらに、タービンホイールへの流入角度が150°から170°の間となるような所定の向きで案内翼が配置および形成されていれば特に有利となり得る。代替的または追加的に、所望の運転点に対して理想的なタービンホイールへの排気の衝突角度となるように案内翼が配置および形成されていてもよい。
【0022】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、支持環が第1のリング要素と第2のリング要素とを含んでいてもよい。第1のリング要素および第2のリング要素は軸方向に互いから離間していてもよい。第1のリング要素と第2のリング要素との間に案内翼が配置されていてもよい。代替的または追加的に、流入路が軸方向において第1のリング要素と第2のリング要素との間に少なくとも部分的に形成されていてもよい。代替的または追加的に、第1のリング要素が案内翼の軸受ハウジング側に(軸方向に)隣接して配置されていてもよい。代替的または追加的に、第2のリング要素が案内翼のタービンハウジング側に(軸方向に)隣接して配置されていてもよい。代替的または追加的に、案内翼がリング要素を起点として径方向内側に向かって延びていてもよい。案内翼が、特に流入路の径方向内側の端部まで延びていてもよい。
【0023】
前述の構成と組合せ可能であり、タービン装置が遮熱体を含むタービン装置の構成において、遮熱体が径方向外側の端部領域に流路部分を備えていてもよい。追加的に、第2のリング要素の径方向内側の流入路の軸受ハウジング側の側面が少なくとも部分的に流路部分によって形成されていてもよい。代替的または追加的に、いくつかの構成において、第2のリング要素の径方向内側の流入路の軸受ハウジング側の側面が全体的に流路部分によって形成されていてもよい。
【0024】
前述の構成と組合せ可能であり、タービン装置がばね要素を含むタービン装置の構成において、遮熱体が軸方向においてばね要素と案内装置との間に配置されていてもよい。追加的に、ばね要素が流路部分を介して案内装置をタービンハウジングに対して軸方向に付勢するように構成されていてもよい。
【0025】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、流路部分が、径方向外側の脚部と径方向内側の脚部とを備えたU字状の断面形状を有していてもよい。追加的に、第1のリング要素の内周がU字状の断面形状の径方向外側の脚部の外周に配置されていてもよい。
【0026】
前述の構成と組合せ可能であり、タービン装置がばね要素を含むタービン装置の構成において、遮熱体が軸方向においてばね要素と案内装置との間に配置されていてもよい。追加的に、ばね要素は、その径方向外側の端部領域がU字状の断面形状内に軸受ハウジング側から突出していることによって、流路部分を介して案内装置をタービンハウジングに対して軸方向に付勢してもよい。
【0027】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、案内装置が単一構造的に形成されていてもよい。特に、案内装置が板金部品として単一構造的に形成されていてもよい。
【0028】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、案内装置が板金部品として形成されていてもよい。特に、案内装置が板金部品から成形されていてもよい。
【0029】
前述の構成のいずれかと組合せ可能であり、タービンハウジングが空所を含むタービン装置の構成において、支持環が第1のリング要素と第2のリング要素とを含んでいてもよい。第1のリング要素および第2のリング要素が軸方向に互いから離間していてもよい。第1のリング要素と第2のリング要素との間に案内翼が配置されていてもよい。代替的または追加的に、案内翼のみが流入路に位置するように、第2のリング要素が空所、特にリング状の空所に挿入されていてもよい。追加的に、第1のリング要素および第2のリング要素が、流入路の大部分を形成するように案内翼の径方向内側および径方向外側に延びていてもよい。代替的または追加的に、いくつかの構成において、第1のリング要素および第2のリング要素が、基本的に流入路の全体を形成するように案内翼の径方向内側および径方向外側に延びていてもよい。
【0030】
前述の構成と組合せ可能なタービン装置の構成において、第1のリング要素が、流入路の第1の流路面の少なくとも大部分を形成するように形成されていてもよい。代替的または追加的に、第2のリング要素が、第1の流路面に軸沿いに対向する流入路の第2の流路面の少なくとも大部分を形成するように形成されていてもよい。
【0031】
前述の2つの構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、第1のリング要素および第2のリング要素が、径方向内側に向かって先細りした流入路を形成するように形成されていてもよい。
【0032】
前述の3つの構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、第1のリング要素および第2のリング要素が、軸方向および径方向の成分を有するように延びる流入路を形成するように形成されていてもよい。
【0033】
前述の構成のいずれかと組合せ可能であり、タービンハウジングが空所を含むタービン装置の構成において、支持環が第1のリング要素と第2のリング要素とを含んでいてもよい。第1のリング要素および第2のリング要素が軸方向に互いから離間していてもよい。第1のリング要素と第2のリング要素との間に案内翼が配置されていてもよい。代替的または追加的に、案内翼のみが流入路に位置するように、第2のリング要素が空所、特にリング状の空所に挿入されていてもよい。代替的または追加的に、タービン渦巻室が第1のボリュートと第2のボリュートとを含んでいてもよい。第1のボリュートおよび第2のボリュートが隔壁によって流体技術的に互いから分離されていてもよい。追加的に、支持環が第3のリング要素をさらに含んでいてもよい。追加的に、隔壁の延長線上において流入路内へ、特に流入路を通って延びるように、第3のリング要素が第1のリング要素と第2のリング要素との間に配置および形成されていてもよい。
【0034】
前述の構成と組合せ可能なタービン装置の構成において、第3のリング要素が隔壁から流入路の径方向内側の端部まで延びていることによって、流入路が軸方向に隣接する2つの流入路部分に分けられていてもよい。
【0035】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、支持環がタービンハウジングにおいてねじ留めされていてもよい。追加的に、支持環がタービンハウジングの芯出し面、特に円筒状の芯出し面に当接して芯出しされていてもよい。特に、支持環が径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面に当接して芯出しされていてもよい。追加的に、支持環が少なくとも第1のリング要素を含んでいてもよい。任意的に、支持環が第1のリング要素のみを含んでいてもよい。代替的または追加的に、軸方向において案内翼が第1のリング要素のタービンハウジング側に配置されていてもよい。代替的または追加的に、支持環が第1のリング要素の外周を介して芯出し面の内周に当接して芯出しされていてもよい。代替的または追加的に、支持環が、第1のリング要素の外周の雄ねじと芯出し面の内周の雌ねじとを介してタービンハウジングにねじ留めされていてもよい。代替的または追加的に、支持環が、第1のリング要素の外周のタービンハウジング側の角に環状の面取り部を備えていてもよい。外周を介した芯出しによって、案内装置の正確で安定した位置決めを達成することができる。さらに、取り付け工程を容易化することができる。同様に、ねじ留めによって取り付け工程を容易化することができる。さらに、軸方向の付勢のために追加的なばね要素を設けることが可能ではあるが必要ではないので、コストを削減することができる。面取り部によって、流入路において気流が渦巻くことを防止または少なくとも抑制することができる。
【0036】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、案内装置が単一構造的に形成されていてもよい。特に、案内装置が鋳造部品から成形されていてもよい。代替的に、案内装置が溶接組立品によって形成されていてもよい。これによって、より高い強度や、例えば外力、特に軸方向の力および変形に対するより高い頑健性といった利点が得られる。さらに、単一構造的に形成することによって取り付け工程を容易化することができる。
【0037】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、支持環が、公知のデザイン、特に公知のVTGデザインの部品であってもよい。代替的または追加的に、案内翼が、公知のデザイン、特に公知のVTGデザインの部品であってもよい。追加的に、最適な(公知の)VTGタービンの支持環が、タービンのサイズ、翼幅、および/またはボルト円に関して選定されてもよい。これによって、開発の手間、特に開発時間および開発費用を削減することができる。例えば、既存のデザインを使用すること、または大量生産された低価格の部品を使用することによってコスト削減を達成することができる。さらに、実証済みで定評のある公知のデザインを使用することができ、それによってタービン装置の信頼性を高めることができる。
【0038】
前述の構成と組合せ可能なタービン装置の構成において、支持環と案内翼とが元は別々の部品として形成されていてもよい。追加的に、支持環および案内翼が接合技術によって、特に材料接続的に互いと接続されていてもよい。例えば、支持環および案内翼が元は別々の部品として形成され、溶接されていてもよい。案内翼を元は別々の部品として設けることによって、案内翼をより良好に切削(後)加工することが可能になる。その結果、製造の負担が軽減される。代替的または追加的に、案内翼が所定の向きで支持環に接続、特に溶接またははんだ付けされていてもよい。代替的または追加的に、案内翼がVTG案内翼であってもよい。追加的に、案内翼がそれぞれ突起を備えていてもよい。追加的に、案内翼がそれぞれの突起を介して、支持環の対応する孔に所定の向きで挿入され、不動に固着、特に溶接されていてもよい。代替的に、案内翼がそれぞれの突起を介して支持環の対応する孔に所定の向きで圧入され、不動に固着、特に溶接されていてもよい。
【0039】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、タービン装置がデュアルボリュートタービンにおいて使用されるように構成されていてもよい。タービン渦巻室が、第1のボリュートと第2のボリュートとを含んでいてもよい。第1のボリュートおよび第2のボリュートが流体技術的に分離されて第1のタービンハウジング舌状部と第2のタービンハウジング舌状部の間で案内装置に通じていてもよい。追加的に、複数の案内翼のうちの2つが舌状案内翼として形成されていてもよい。舌状案内翼がタービンハウジング舌状部に隣接して配置されていてもよい。舌状案内翼のそれぞれがタービンハウジング舌状部のそれぞれの延長線上に配置されることによって案内装置におけるボリュートの流体技術的な分離が継続するように、案内装置がタービンハウジングにおいて配置および形成されていてもよい。それぞれのタービンハウジング舌状部の径方向内側の端部が基本的にそれぞれの舌状翼の径方向外側の端部と面一に配置されていてもよい。
【0040】
前述の構成のいずれかと組合せ可能なタービン装置の構成において、タービン装置が回転防止部をさらに含んでいてもよい。回転防止部が、案内装置の周方向の回転を基本的に防止するように構成されていてもよい。回転防止部が、凹部と、凹部内に径方向に係合するピンとによって形成されていてもよい。いくつかの構成では、凹部がタービンハウジングの径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面に窪んでいてもよい。ピンが、支持環の外周から径方向外側に向かって凹部に係合するように、支持環上に配置および形成されていてもよい。
【0041】
本発明はさらに、過給装置に関する。この過給装置は、圧縮装置と、軸受ハウジングと、回転軸と、前述の構成のいずれかに記載のタービン装置とを含む。圧縮装置は、圧縮機ハウジングと、圧縮機ハウジングに回転可能に配置された圧縮機ホイールとを含む。回転軸は回転可能に軸受ハウジングに配置されている。タービンホイールは回転軸を介して圧縮機ホイールと回転可能に連結されている。
【0042】
タービン装置がばね要素を含む過給装置の構成において、軸受ハウジングがタービン側の端部領域に軸方向の突出部を備えていてもよい。ばね要素が軸方向の突出部に載置されるように、軸方向の突出部が構成されていてもよい。代替的または追加的に、タービン装置が遮熱体を含む構成において、軸受ハウジングがタービン側の端部領域に遮熱体を載置するように構成された軸方向の突出部を備えていてもよい。タービン装置がばね要素と遮熱体とを含む構成において、軸方向の突出部がばね要素および遮熱体のための別々の載置面を設けるために段差を有していてもよい。
【0043】
前述の構成と組合せ可能な過給装置の構成において、支持環が差込接続部を介して軸受ハウジングにおいて芯出しされていてもよい。特に、支持環が周方向に間隔を空けた複数のボルトを介して軸受ハウジングにおいて芯出しされていてもよい。
【0044】
前述の構成のいずれかと組合せ可能であり、支持環がタービンハウジングにおいてねじ留めされている過給装置の構成において、遮熱体がタービンハウジングと軸受ハウジングとの間に挟持されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】タービン装置を備えた例示的な過給装置および概略的に描かれた案内装置の一部を示す側方断面図。
図2A】所定の向きで配置された案内翼を備えたタービンハウジングの断面図。
図2B】所定の向きで配置された案内翼を備えたタービンハウジングの断面図。
図3】両側で芯出しされた第1の例示的な実施形態の案内装置を備えたタービン装置の図。
図4図4A図4Cは、図3の案内装置の様々な詳細図。
図5A】両側で芯出しされた第2の例示的な実施形態の案内装置を備えたタービン装置の図。
図5B図5Aの案内装置の詳細図。
図6A】両側で芯出しされ、先細りした流入路を形成する第3の例示的な実施形態の案内装置を備えたタービン装置の図。
図6B図6Aの案内装置の詳細図。
図7A】両側で芯出しされ、半軸流型の流入路を形成する第4の例示的な実施形態の案内装置を備えたタービン装置の図。
図7B図7Aの案内装置の詳細図。
図8A】両側で芯出しされ、双流型(ツインボリュート型)のタービン渦巻室用の流入路を形成する第5の例示的な実施形態の案内装置を備えたタービン装置の図。
図8B図8Aの案内装置の詳細図。
図9】片側で芯出しされた第6の例示的な実施形態の案内装置を備えたタービン装置の図。
図10A図9の案内装置の様々な詳細図。
図10B図9の案内装置の様々な詳細図。
図11A】ねじ留めされた第7の例示的な実施形態の案内装置を備えたタービン装置の図。
図11B図11Aの案内装置の詳細図。
図12A】双流型(デュアルボリュート型)のタービン渦巻室用の第8の例示的な実施形態の案内装置を備えたタービン装置のタービン装置の軸方向に沿った側方断面図。
図12B図12Aのタービン装置の径方向平面に沿った断面図。
図13A】回転防止部を有する第9の例示的な実施形態の案内装置を備えたタービン装置の図。
図13B図13Aのタービン装置の案内装置の挿入時の図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本出願に関連して、軸方向という表現は、タービン装置100またはタービンホイール140、および/または案内装置200または支持環220の回転軸を参照する。図面を参照すると(例えば、図1図3図4C、または図5A参照)、タービン装置/案内装置の軸方向が符号22で表されている。この場合、径方向24はタービン装置/案内装置の軸方向22を参照している。同様に、この場合、周囲または周方向26はタービン装置/案内装置の軸/軸方向22を参照している。
【0047】
図1には、案内装置200を備えたタービン装置100を含む例示的な過給装置10が示されている。図1には、過給装置10の軸線に沿った(または過給装置10の回転軸300の軸線に沿った)対称線までの過給装置10の部分のみが描かれている。過給装置10は、タービン装置100の他に、圧縮装置320と、軸受ハウジング310と、軸受ハウジング310内に回転可能に配置された回転軸300とを含む。圧縮装置320は、圧縮機ハウジング322と、圧縮機ハウジング322内に回転可能に配置された圧縮機ホイール324とを含む。タービン装置100は、案内装置200の他に、タービン渦巻室120およびタービン出口150を画定するタービンハウジング110を含む。さらに、タービン装置100は、タービンハウジング110においてタービン渦巻室120とタービン出口150との間に配置されたタービンホイール140を含む。タービン渦巻室120とタービンホイール140との間には流入路130が形成されている。いくつかの実施形態では、流入路130が少なくとも部分的に案内装置200によって形成されていてもよい(さらに先の説明参照)。流入路130は、第1の流路面314およびこれに対向する第2の流路面136によって形成されている(符号は図1には示されていないが、例えば、図9参照)。第1の流路面134は流入路130の軸受側に配置されている。第2の流路面136は流入路130のタービン側に配置されている。流入路130は、タービン渦巻室120から基本的に径方向内側に向かってタービンホイール140まで延びている(半軸流型タービンの場合、流入路130は径方向内側および軸受ハウジング310から軸方向に離れるように延びている)。より詳細には、流入路130は、径方向外側の端部(符号なし)から径方向内側の端部312まで延びている。流入路130の径方向外側の端部は、流体がタービン渦巻室120から流入路130へ進入する領域として理解される。径方向外側の端部と径方向内側の端部312との間の区間を、流入路130の全長とも呼ぶこともできる。流体を、流入路130を通ってタービン渦巻室120からタービンホイール140へ導くことができ、さらにタービン出口150を通ってタービンハウジング110から流出させることができる。タービンホイール140は、回転軸330を介して圧縮機ホイール324と回転可能に連結されている。つまり、タービンホイール140は回転軸330の第1の端部に配置、特に固定されている。圧縮機ホイール324は、回転軸330の第2の端部に配置、特に固定されている。第1の端部をタービン側の端部またはタービンハウジング側の端部とも呼ぶことができる。第2の端部を圧縮機側の端部または圧縮機ハウジング側の端部とも呼ぶことができる。第1の端部は第2の端部に対向して位置している。
【0048】
基本的に、本出願に関連して、「タービンハウジング側」、「圧縮機ハウジング側」、および「軸受ハウジング側」は、他の部品に対する軸方向の側、軸方向の位置、または軸方向を表す概念として理解される。特に、例えば図1では、タービンハウジング側はある位置からさらに右側にある他の位置を意味する。例えば図1では、軸受ハウジング側はある位置からさらに左側にある他の位置を意味する。この場合、「タービンハウジング側」、「圧縮機ハウジング側」、および「軸受ハウジング側」は、「タービン側」、「圧縮機側」、および「軸受側」のそれぞれの概念の同義語として用いることができる。この説明は比喩的な意味で他の図面にも適用される。
【0049】
図1においてさらに認識されるように、軸受ハウジング310はフランジ(タービン側フランジ)とタービン側の端部領域312とを含む。フランジは軸受ハウジング310の径方向外側の領域に形成されており、タービンハウジング110またはタービンハウジング110のフランジを軸受ハウジング310に固着するのに使用される。タービン側の端部領域312は、径方向内側の領域に配置されている。代替的に、タービン側の端部領域312をタービン側のハウジング領域と呼ぶこともできる。タービン側の端部領域312は円筒状に形成されており、回転軸を包囲している。図1において認識されるように、タービン側の端部領域312は軸方向の突出部314を備えている。軸方向の突出部は、タービン側の端部領域312の端面からタービンホイール140まで軸方向22に延びている。図示の例では、軸方向の突出部314は、タービン装置100のばね要素230を支持するように構成されている。このために軸方向の突出部314は階段状に形成されており、ばね要素230が径方向内側の領域に支持されている。言い換えれば、ばね要素230を軸方向の突出部314に載置することができる。ばね要素230の径方向内側の領域を内周232とも呼ぶことができる(図1には描かれていないが、例えば図3参照)。他の実施形態では、軸方向の突出部314に遮熱体240も載置または支持することができる。より詳細には、遮熱体240の径方向内側の領域、特に遮熱体240の内周242を支持または載置することができる(図1には描かれていないが、例えば図3参照)。いくつかの実施形態では、軸方向の突出部314を、ばね要素230および遮熱体240を支持または載置するように構成することもできる。このために、例えば図3に示されているように軸方向の突出部314を2段の階段状に形成することができる。言い換えれば、軸方向の突出部はこのために階段の踊り場を含むことができる。これによって、ばね要素230および遮熱体240のための2つの異なる支持領域または境界を設けることができる(図3、5A、6A、7A、8A、および9も参照)。代替的な実施形態では、ばね要素230および遮熱体240を1段の上に載置または支持することもできる(図示せず)。軸方向の突出部314は、回転軸300周りに(または回転軸330の軸線周りに)同軸上に延びるリング状の突出部とも呼ぶことができる。このように、軸方向の突出部314を、ばね要素230および遮熱体240の芯出しに使用する、および/またはこれらのカウンター軸受としても使用することができる。軸受ハウジング310またはそのタービン側の端部領域312は、ばね要素230をタービンハウジング110へ向かって軸方向に付勢するように形成されていると理解される。例えば、ばね要素230は軸方向に向けられた端部領域312の面に当接して配置することができ、そこから軸方向の突出部314がタービンハウジング110の方向に隆起している。
【0050】
既に述べたように、タービン装置100は、タービンハウジング110においてタービン渦巻室120とタービンホイール140との間に配置された案内装置200を含む(図1参照)。案内装置200は、タービンハウジング110および軸受ハウジング310から独立した部品として形成されてタービンハウジング110内に挿入されている。より詳細には、案内装置200は、タービン渦巻室120とタービンホイール140との間の流入路130に配置されている。つまり、案内装置200は交換可能または取り外し可能にタービンハウジング110に挿入されている。必要な場合には、案内装置200を再び取り出して、例えば別の案内装置200と交換することができる。これによって、様々な用途または運転条件に柔軟に適応可能なタービン装置100を提供することが可能になる。
【0051】
案内装置200は、支持環210と複数の案内翼220(例えば、図1および10A参照)とを含む。案内翼220は、支持環210に所定の向きで固定的に配置されている。案内装置200は、過給装置10またはタービン装置100の作動時に流体をタービン渦巻室120から流入路130を通って案内翼220を伝ってタービンホイール140へ導くことができるように、タービンハウジング110内に配置されている。換言すれば、案内装置200は、流体をタービン渦巻室120から案内装置200を通って、または案内装置200に当接して案内翼200に沿ってタービンホイール140へ導くことができるように、タービンハウジング110内に配置されている。案内装置200が各構成に応じて流入路130を全体的または少なくとも部分的に形成していることによって、これが可能になる。所定の向きは、周方向26の向きからより径方向またはより接線方向の向きへそれた向きとして理解される(図2A参照)。これによって、タービン渦巻室120から流れて来る流体をより径方向または接線方向にタービンホイール140へ導くことができる。言い換えれば、案内装置200は、案内翼220が所定の向きに対応した気流をタービン渦巻室120からタービンホイール140へ導くことができるように配置されている。案内翼220がタービンハウジング110と一体的に接続されているのではなく、独立した案内装置200の一部であることによって、取り付けおよびコストの面で利点が生じる。したがって、例えば、基礎となるタービンハウジングに対して、異なる案内装置200、例えば異なる構成の案内装置200、特に異なる向きの案内翼220を備えた案内装置200を用途に応じて使用することができる。逆に、案内装置200のある特定の実施形態を異なるタービンハウジング110に組み込むまたは挿入することも可能である。このように、本発明によれば、案内装置200またはタービンハウジング110の交換可能性および再利用可能性を改善することができる。
【0052】
案内翼220の固定的な配置は、案内翼220の位置が調節可能ではないことと理解される。特に、案内翼220がVTG案内翼のように回転可能ではなく、不動である、または固定されていると理解される。換言すれば、案内翼220を固定案内翼220とも呼ぶことができる。つまり、案内翼220は支持環210に対して固定された向きで配置されている。言い換えれば、案内翼220は周方向26に対して固定された向きで配置されている(特に図2A参照)。この場合、所定の向きを分かりやすく説明し、より具体的に示すために、案内翼220が周方向26に対して配置されている角度である角度αを用いることができる(図2B参照)。つまり、案内翼220は周方向26に対する角度αで支持環210に固定されている。言い換えれば、角度αは、周方向26に沿った第1の流れ方向から案内翼220に沿った第2の流れ方向(修正方向とも呼ぶ)への気流の方向転換を表している。より詳細には、第2の流れ方向はタービンホイール140に向けられた各案内翼220の側面に沿って延びている。第2の流れ方向を流入方向223とも呼ぶことができる。したがって、角度αは周方向26(または周方向26に沿った接線)と流入方向223との間に形成される。流入方向223は、案内翼220の形状(例えば、曲がって延びているか、真っすぐに延びているか)に応じて、例えば、基本的に幅が一定で真っすぐに延びている案内翼220の場合、例えば案内翼220の前縁222と後縁224とを結ぶ線に対応し得る。つまり、このような場合、所定の向きは角度αを有する流入方向223に対応する。案内翼220が曲がって延びている、および/または前縁222と後縁224との間の幅が変化する構成では、所定の向きは角度αを有する流入方向223に対応しない。この場合、流体を要望どおりに角度αで流入方向223に沿ってタービンホイール140へ導けるように所定の向き(すなわち、支持環210上の案内翼220の配置)を選定しなければならない。言い換えれば、固定案内翼220は、タービンハウジング110内部の排気流を第1の流れ方向26から第1の流れ方向26に対して角度αを有する第2の流れ方向223に方向転換するために形成されている。つまり、案内翼220は、所望の運転点に対して理想的なタービンホイール140に対する流体の衝突角度を成すように配置および形成されている。
【0053】
図2Bの例では、案内翼220が、α=約155°の流入方向223となるような所定の向きで配置されている。ただし、これは単に例示的な構成とみなすべきである。角度αは100°から175°の範囲内であってよい。特に、角度αは、100°から170°、または110°から160°、好ましくは120°から150°、特に好ましくは130°から140°の範囲内であってよい。いくつかの構成では、角度αが145°から175°、好ましくは150°から170°、特に好ましくは155°から165°の範囲内であれば特に有利となり得る。さらに、タービンホイール140への流入角度が150°から170°の間となるように案内翼220が所定の向きで配置および形成されていれば特に有利となり得る。基本的に、タービン装置100にとって最適な角度αは、例えば、タービンホイール140およびタービン渦巻室120の構造、ならびに過給装置10が設けられる対象である機関の機関運転条件によって異なり得る。各案内翼220が角度αで方向付けられていてもよく、案内翼220のうちの1つまたは複数が異なる角度αで方向付けられていてもよく、その場合、一部の案内翼220は排気をより大きく方向転換させ、他の案内翼220はより小さく方向転換させることになる。その場合、案内翼220の周方向26の分散すなわち間隔も異なっていてもよい。この手段(角度αおよび/または間隔が全ての案内翼220について一定ではない)によってタービンの励振に影響を及ぼすことができ、それによって疲労損傷(特にHCF損傷)に関して寿命を延ばすことができる。
【0054】
図2Aにおいて認識されるように、案内翼220はタービンホイール140の直前まで突出している。つまり、径方向24において各案内翼220の後縁224がタービンホイール140の直前に配置されている。これに関して、図3は、案内翼220が流入路130の径方向内側の端部132まで突出していることを示している。換言すれば、各案内翼220の後縁224が流入路130の径方向内側の端部132に配置されている。いくつかの構成では、少数の、またはより多くの案内翼220が流入路130の径方向内側の端部132に完全に達するまで突出していなくてもよい。案内翼220がタービンホイールの直前まで延びていることによって、気流が所望の流入角度223で良好に導かれるようになる。気流を確実にタービンホイール140の方へ向かわせることを可能にするために、案内翼220は、流入路130の径方向内側の端部132の前方へ流入路130の全長の少なくとも50%まで、好ましくは流入路130の径方向内側の端部132の前方へ流入路130の全長の少なくとも30%まで、特に好ましくは流入路130の径方向内側の端部132の前方へ流入路130の全長の少なくとも10%まで突出しなければならない。例えば、流入路130において案内翼220が径方向内側に向かって突出する長さは異なっていてもよく、同じであってもよい。いくつかの構成では、案内翼220またはこれらの後縁224が同じ径方向内側の位置に配置されていてもよい(または軸線22に対して同心の円上に配置されていてもよい)。この場合、案内翼220の長さ(前縁222と後縁224との間)は同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば案内翼220の幅または湾曲等の案内翼220のその他の寸法についても同様である。
【0055】
図2Aからさらに見て取れるように、案内装置200は8つの案内翼220を含んでいる。しかし、基本的に案内装置200は他の数の案内翼220を含んでいてもよい。案内翼220の数は、例えば案内翼220のサイズによって、案内翼220同士の離間距離(分散)、および製造方法によって異なり得る。案内翼220のサイズ、数、間隔、および通路高さは、特定の用途(対応する様々な最適運転点を有する用途)によって異なり得る。それに応じて、案内装置200は、3から30、特に3から15、好ましくは4から12、または特に好ましくは5から10の数の案内翼220を含むことができる。いくつかの構成では、案内装置200は、6から15、好ましくは6から9の数の案内翼220、特に好ましくは6から8の数の案内翼220を含むことができる。固定案内翼の向きおよび構成に関するさらなる詳細は、例えばDE112015000631T5から公知である。
【0056】
タービンホイール140は高温環境で働き、1922°F(1050℃)までのガス温度にさらされることがある。そのうえ、タービンホイール140は非常に高速で回転する。タービンホイールの回転数はサイズによって異なり、より小さいタービンホイールはより大きいホイールと比べてより高速で回転することができる。内燃機関に関連して使用される過給装置10用の小型のタービンホイールは、回転数が350,000rpmに達することがある。タービンホイール140が高速で回転すると、タービンホイール140に強い遠心力または遠心応力が生じる。したがって、タービンホイール140が構造上の限界によって定められる速度より高速で回転することを防止することが重要である。排気によってタービンホイール140に付与されるエネルギーは、排気が導かれる角度に応じて異なる。半径流タービンホイールでは、排気がタービンホイールに衝突する角度に応じてタービンホイール140に送られる排気が異なる。半径流タービンホイールでは、排気がタービンホイールに径方向または接線方向に衝突する場合に最大のエネルギーが生じる。ただし、多くの場合、タービンホイールに排気の全力が導かれれば、タービンホイールが所望の速度より高速で回転し、それによって増幅圧力が過度に高くなる恐れがある。所望の運転点に対して理想的なタービンホイール140に対する排気の衝突角度を成すように、流入路130内の固定案内翼220を(対応する所定の向きによって、および任意的に、対応するように湾曲して形成することによって)調整することができる。いくつかの実施形態では、排気圧力を解放する必要がある場合に過給装置10が排気逃し弁(図示せず)を含んでいてもよい。例えば、タービン渦巻室120をタービン出口150に直接接続してタービンホイール140を包囲しているバイパス通路に、排気逃し弁を配置することができる。タービン装置100は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン用の過給装置10において、可動翼(例えば、VTG翼)を備えた過給装置10のコストおよび複雑性が望ましくない用途において使用することができる。いくつかの実施形態では、可動翼を備えたターボ過給機によって使用される翼角度の範囲に含まれる角度で固定案内翼220が調整されてもよい。タービン装置100は、発電機のような、エンジン回転数が固定された用途向けの過給装置10においても使用することもできる。この用途では、エンジンが一定の回転数で、比較的一定の負荷で運転される。案内装置200の案内翼220は、エンジン回転数および負荷に対して最適な角度αを有する流入方向223となるような所定の向きで配置および形成することができる。
【0057】
案内装置200は案内翼220を備えた支持環210を含む。支持環210は、構成に応じて異なる数のリング要素212、216、218を含むことができる。少なくとも、支持環210は案内翼220が固着された第1のリング要素212を必ず含んでいる(例えば、図10Aおよび図11A図12Aおよび図13A参照)。換言すれば、案内翼220は第1のリング要素212のタービンハウジング側に配置されている。換言すれば、案内翼220はタービンハウジング110内の第1のリング要素212に配置されている。いくつかの構成では、支持環210が第1のリング要素212に加えて第2のリング要素216を含んでいてもよい(例えば、図1図4A、および図5A参照)。いくつかのさらなる構成では、支持環210が第1のリング要素212および第2のリング要素216に加えて第3のリング要素218を含んでいてもよい(例えば、図8A参照)。第1のリング要素212は流入路130の軸受ハウジング側に配置されており、流入路130の第1の流路面134の少なくとも一部を形成していてもよい(例えば、図5A参照)。第2のリング要素216は流入路130のタービン側に配置されており、流入路130の第2の流路面136の少なくとも一部を形成していてもよい(例えば、図5A参照)。換言すれば、第1のリング要素212は案内翼220の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されており、第2のリング要素216が設けられている場合は、これが案内翼220のタービンハウジング側に軸方向に隣接して配置されている。第1のリング要素212および第2のリング要素216は軸方向に互いから離間している。軸方向において第1のリング要素212と第2のリング要素216との間には案内翼220が配置されている。換言すれば、案内翼220は軸方向において第1のリング要素212と第2のリング要素216との間に固着または固定されている。特に、案内翼は両方のリング要素212、216と単一構造的に接続されている。流入路130は軸方向に第1のリング要素212と第2のリング要素216との間に少なくとも部分的に形成されている。換言すれば、流入路130は軸方向において第1のリング要素212と第2のリング要素216との間に延びている。支持環210が第1のリング要素212のみを含む構成では、流入路130は第1のリング要素212とタービンハウジング110との間に形成される。つまり、案内翼220は流入路130に配置されている。したがって、案内翼220によって流入路130を流れる流体、特に排気の流れ方向に影響を及ぼすことができる。第3のリング要素218が設けられている場合、これは軸方向において第1のリング要素212と第2のリング要素216との間に配置される(例えば、図8A参照)。支持環210が第1のリング要素212のみを含む代替の実施形態(図示せず)では、第1のリング要素212が流入路130のタービン側に配置されていてもよく、案内翼220が第1のリング要素212の軸受ハウジング側に固着されていてもよい。そうすれば、この不図示の例では、例えば遮熱体240のようなさらなる要素または軸受ハウジング310の一部が、第1の流路面134の少なくとも一部を形成していてもよい。
【0058】
支持環210という概念は、基本的には、案内翼220を互いに対しておよび支持環210自体に対して固定された向きに保持するリング状の要素であり、複数の部分(例えば、第1、第2、第3のリング要素212、216、218)を含むことができる要素として理解される。第1のリング要素212のみを備えた構成では、支持環210が例えば第1のリング要素212に相当する(例えば、図10Aまたは図11B参照)。リング要素という概念は、基本的にリング状の物体、特に閉リングまたは1つまたは複数の空所を有するリングとして理解することができる。リング要素は、案内翼220を固定された位置に所定の向きに保持するのに適したリング状の物体として理解される。特に、リング要素は、例えば図4Cの第1のリング要素212のように、周方向26に延びる外周214および内周213を画定するものとして理解される。
【0059】
特に図1(他の全ての図面も参照)において認められるように、案内装置200は単一構造的に形成されている。この関連において、単一構造的に形成されているとは、案内装置200の各要素が材料接続的な結合によって互いと接続されていることである。この単一構造性は、例えば、成形方法、特に鋳造方法によって、接合方法、特に例えば溶接方法またははんだ付け方法のような溶解接合方法によって、または選択的レーザ溶融、レーザ材料蒸着、またはMIM(金属射出成形)のような付加的方法によって得ることができる。追加的に、最終的なデザインを実現するために、変形方法および/または除去方法を用いることができる。単一構造的に形成することによって、一方では案内装置200の安定性および強度特性を改善することができる。他方では、これによって取り付けを容易化することができる。いくつかの構成では、案内装置200を1つの部品から一体的に形成することもでき、これには少なくとも上述の成形方法および付加的方法が含まれる(例えば、図1図3図5A参照)。これに対して、支持環210および案内翼220を元は別々に設けて、続いて支持環210と案内翼220とを材料接続的に接続、または溶解接合技術によって接続するとすれば、1つの部品から一体的に作成することにはならない(例えば、図9図10A、10B参照)。代替的な実施形態では(ここには図示せず)、ねじやボルト等を介した接合技術による接続も考えられる。これによって、強度および安定性に関して不利が生じるものの、組立前に個々の部分を別々に機械加工することができるといった利点がある。
【0060】
案内装置200の構成に応じて、タービンハウジング110内の案内装置200の芯出しおよび付勢の様々な方法を採用することができる。以下では、これらの方法について図3図4Aから4C、図5Aおよび5B、6Aおよび6B、7Aおよび7B、8Aおよび8B、9、10A、10B、11Aおよび11B、12Aおよび12B、13Aおよび13Bにしたがって、具体的な例示的な実施形態を用いて説明するが、これらの方法は前述の全般的な特徴と組み合わせることができる。ただし、この例示的な説明は制限的なものではなく、むしろ組合せ可能なものとして解釈すべきである。したがって、例えば芯出しが片側または両側で行われてもよい。少なくとも第1のリング要素212を含む全ての構成において、案内装置200の芯出しが第1のリング要素212を介して行われてもよい。これは、タービンハウジング110の芯出し面114を介した芯出し、タービンハウジング110の芯出し面114でのねじ留めを介した芯出し、軸受ハウジング310との差込接続部316を介した芯出し、遮熱体240を介した芯出し、および/またはばね要素230を介した芯出しのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。第2のリング要素216をさらに含む構成では、案内装置200の芯出しが両側で行われてもよい。つまり、案内装置200の芯出しが(代替的または追加的に)第2のリング要素216を介しても行われてもよい。このために、第2のリング要素216が挿入される空所112がタービンハウジング110に設けられていてもよい。軸方向の付勢が、案内装置200を直接または遮熱体240を介して軸方向22に軸受ハウジング側からタービン側へ付勢するばね要素230を介して行われてもよい。前述のように、タービン装置100および軸受ハウジング310が組み立てられると、軸受ハウジング310がばね要素230用の軸方向のカウンター軸受として機能する。代替的または追加的に、軸方向の付勢が、第1のリング要素212をタービンハウジング110の芯出し面114にねじ留めすることによって行われてもよい。基本的に、案内装置200は、例えば軸方向の付勢によって、タービンハウジング110内に回転しないように配置される。いくつかの実施形態では、例示的に図13Aおよび13Bを用いて説明される追加的な回転防止部318が設けられていてもよい。以下では、芯出し、軸方向の付勢、および回転防止部の詳細を、個々の実施形態1から9を用いて説明する。タービン装置のある特定の要素の詳細がある特定の実施形態または図面に関連して説明されているとしても、これらの詳細の少数または複数の部分は他の実施形態または不図示の構成に転用可能である。
【0061】
これに関して、図3および4Aから4Cは第1の例示的な実施形態における案内装置200を備えたタービン装置100を示している。この例示的な第1の実施形態の案内装置200は単一構造的に板金部品として形成されている。言い換えれば、案内装置200は板金部品から成形されている。この場合、例えば、元は平らな矩形状の板金部品の中央に細長くU字状の切り込みを入れ、次にこの板金部品をリング状に変形させてU字状の切り込みの材料領域を径方向内側へ曲げればよい。このように、第1のリング要素212、第2のリング要素216、および両者の間に位置する案内翼220を備えた支持環210を得ることができる(図4Aから4C参照)。板金部品から形成することによって、材料および重量を節約することができ、コスト面で利点が生じる。
【0062】
特に図3から分かるように、第1のリング要素212および第2のリング要素216は軸方向に互いから離間している。第1のリング要素212と第2のリング要素216との間には案内翼220が配置されている。第1のリング要素212は案内翼220の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されており、第2のリング要素216は案内翼220のタービンハウジング側に軸方向に隣接して配置されている。案内翼220は、リング要素212、216を起点として径方向内側に向かって流入路130の径方向内側の端部132まで延びている。案内装置200は9つの案内翼220を含んでいるが、他の構成では、より多くの、またはより少ない案内翼220を含んでいてもよい。板金部品として構成された案内翼220の数は、一方では、案内翼220が流入路130の径方向内側の端部132を越えて突出しないように、タービン装置100の形状に応じて選定するべきである。他方では、この数は、気流を確実にタービンホイール140の方へ向けることが可能となる程度に案内翼220が径方向内側に十分に突出するように選定するべきである。
【0063】
第1の例示的な実施形態では、案内装置200が両側で芯出しされる(図3参照)。より詳細には、案内装置200が軸方向に対向する2つの側において芯出しされる。換言すれば、案内装置200はタービン側および軸受ハウジング側で芯出しされる。より詳細には、支持環210がタービン側および軸受ハウジング側で芯出しされる、またはその第1のリング要素212が軸受ハウジング側で、その第2のリング要素216がタービン側で芯出しされる。この場合、支持環210または第2のリング要素216は軸方向22においてタービンハウジング110の空所112に挿入される。空所112はリング状の空所112である。より詳細には、空所112は第2のリング要素216を受け入れ可能に構成されたリング状の溝である。溝状の空所によって、第2のリング要素216をその径方向外側の周囲およびその径方向内側の周囲において溝内で芯出しすることができる。しかし、代替的な実施形態では、空所112は、第2のリング要素216の径方向内側の周囲のみ、または第2のリング要素216の径方向外側の周囲のみにおいて、第2のリング要素216を芯出しするように構成されていてもよい。空所112は、第2のリング要素216が流入路130の第2の流路面136と面一に終端するように、タービンハウジング110に軸方向に窪んでいる。これによって、流入路130内へ張り出したリング要素と比べて、気流が渦巻くことを抑制することができる。つまり、空所112は流入路130の領域に配置されており、タービン渦巻室120とタービンホイール140との間に配置された、基本的に軸方向22において過給装置10の軸受ハウジング310の方へ向けられたタービンハウジング110の壁に軸方向22に窪んでいる(図3参照)。第2のリング要素216が空所112に面一に挿入されていることによって、案内翼220のみが流入路130に位置していることになる。案内翼220のみが流入路130に位置しているとは、換言すれば、第1のおよび第2のリング要素212、216が流入路130に位置していないということである。この場合、案内翼220の軸方向の高さは、第1のリング要素212が流入路130の外側に配置されるように、または流入路130と面一に終端するように選定される。つまり、軸方向において第1のリング要素212と第2のリング要素216との間に流入路130が少なくとも部分的に形成される。換言すれば、流入路130は少なくとも部分的にリング要素212、216の軸方向22において互いに対向する面によって形成される。この場合、第2のリング要素216のタービン側から軸受側に向けられた面は、第2の流路面136の一部を形成していてもよい。この場合、第1のリング要素212の軸受側からタービン側に向けられた面は、第1の流路面134の一部を形成していてもよい。図3では分かりやすくするために第1および第2の流路面134、136に符号が付されていないが、これらの面がこの図3のどこに位置しているかは他の図面(例えば、図5A)を用いれば明らかである。支持環210を空所112に挿入することによって、重量の削減および低コストでの製造が可能になる他、取り付け工程を容易化することができ、安定した正確な位置決めを達成することができる。
【0064】
図3のタービン装置100は遮熱体240とばね要素230とをさらに含んでいる。この場合、案内装置200の軸受ハウジング側の芯出しは、遮熱体240を介して行われる。基本的に、遮熱体240はタービンホイール140の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置され、リング状に構成されている。この場合、第1のリング要素212の内周213は遮熱体240の外周244に配置されている。図3の例では、遮熱体240は、径方向外側の端部領域に流路部分243を含んでいる。流路部分243は径方向外側の脚部と径方向内側の脚部とを備えたU字状の断面形状を有している。径方向外側の脚部と径方向内側の脚部は基本的に軸方向22に延びている。代替的な実施形態では、脚部の一方または両方が軸方向22に対して傾いて延びていてもよい。流路部分243は、そのU字状の断面形状が軸受ハウジング310の方へ開口するように配置されている。第1のリング要素212の内周213はU字状の断面形状の径方向外側の脚部の外周244に配置されている。このように、案内装置200または支持環210を芯出しすることができる。他の実施形態では、案内装置200が、U字状の断面形状を有していない遮熱体240によって芯出しされてもよい。芯出しについては、第1のリング要素212の内周213が遮熱体240の外周244に当接して芯出しされた状態で配置されていれば単に有利である。しかし、基本的に軸方向22に延びる流路部分243の径方向外側の脚部によれば、より良好な芯出しを達成することができる。さらに、流路部分243は流入路130の境界として機能することができるので有利である。図3の構成では、流入路130の軸受ハウジング側の側面が第2のリング要素216の径方向内側で流路部分243によって形成されている。より詳細には、流入路130の第1の流路面134(他の図面、例えば5Aの134参照)が少なくとも部分的に流路部分243によって形成される。これは、U字状の断面形状を有していない流路部分243によっても達成することができる。図3を参照して認識されるように、径方向において第1のリング要素212とタービンホイール140または流入路130の径方向内側の端部132との間の流入路130の第1の流路面134は、流路部分243によってその全体が形成されている。換言すれば、第2のリング要素216の径方向内側の流入路130の軸受ハウジング側の側面は、流路部分243によってその全体が形成されている。代替的な実施形態では、軸受ハウジング側の芯出しが第1のリング要素の外周214とタービンハウジング110の芯出し面114との間で行われてもよい。これによって、タービンハウジングにおける案内装置の芯出しを容易かつ効率的に行うことができる。
【0065】
代替的な構成では、この第1の実施形態のタービン装置200が片側だけ芯出しされていてもよい。例えば、支持環210が第1のリング要素212を介して軸受ハウジング側で芯出しされていてもよい。この場合、第2のリング要素216が第2のリング要素216の径方向内側の周囲または第2のリング要素216の径方向外側の周囲において芯出しされるように、空所112の寸法が定められていてもよい。代替的に、支持環210が第2のリング要素216を介してタービンハウジング側だけで芯出しされていてもよい。
【0066】
ばね要素230は遮熱体240の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されている。つまり、遮熱体240は、軸方向において案内装置200(または案内翼220)とばね要素230との間に配置されている。ばね要素230は、遮熱体240を介して案内装置200または支持環210をタービンハウジング110に対して付勢している。より詳細には、ばね要素230から案内翼220への遮熱体240を介した力の流れは、直接タービンハウジング110へ、および/または第2のリング要素216を介してタービンハウジング110へ延びている。ばね要素230は皿ばねとして形成されている。ばね要素230は、径方向外側の端部領域が流路部分243のU字状の断面形状内に軸受ハウジング側から突出している。これによって、流路部分243を介して案内装置200をタービンハウジング110に対して軸方向22に付勢することができる。
【0067】
代替的な実施形態では、支持環210が遮熱体240ではなくばね要素230に当接して芯出しされていてもよい(図示せず)。この場合、第1のリング要素212の内周213がばね要素230の外周234に配置されていてもよい。これによって、1つの要素のみを用いた簡単な芯出しおよび軸方向の付勢が可能になる。
【0068】
図5A、6A、7A、および8Aは、タービン装置100のさらなる例示的な実施形態を示している。図5B図6B図7B、および図8Bは、案内装置200のそれぞれの実施形態に属する具体的な構成の詳細図を示している。これらの4つの実施形態の共通点は、同様に第1および第2のリング要素212、216を含んでおり、両側で芯出しされており、ばね要素230を介して付勢されていることである。図3の実施形態とは対照的に、これらの実施形態の案内装置は板金部品ではなく鋳造部品として単一構造的に形成されている。代替的な構成では、他の単一構造的な形成、例えば、溶解接合技術的な接続(特に溶接組立品)または付加的方法によるものであってもよい。好ましくは、図5B、6B、7B、および8Bの案内装置200は鋳造部品から成形されている。この結果、より高い強度や、例えば外力、特に軸方向の力および変形に対するより高い頑健性といった利点が生じる。さらに、単一構造的に形成することによって取り付け工程を容易化することができる。鋳造部品として形成することによって、タービン渦巻室120および/またはタービンホイール140、140aの様々なデザインに良好に適応可能になる。
【0069】
図5A、6A、7A、および8Aの実施形態では、図3の実施形態と同様に、タービン側の芯出しは第2のリング要素216がタービンハウジング110の空所112に軸方向22に挿入されることによって行われる。この場合、空所112はリング状の空所として形成されている。空所112はタービンハウジング110に軸方向22に窪んでおり、タービン渦巻室120の方へ開口している。より詳細には、空所112は、タービン渦巻室120とタービンホイール140との間に配置された、基本的に軸方向22において過給装置10の軸受ハウジング310の方へ向けられたタービンハウジング110の壁に軸方向22に窪んでいる。空所112は流入路130の領域に配置されている。この場合、空所112は、径方向外側の領域に移行領域、特に面一な移行領域をタービン渦巻室120から流入路130まで形成するように形成されている。代替的な構成(図1と同様)では、空所112が溝、特にリング状の溝として形成されていてもよい。後者の場合、第2のリング要素216は、空所112の構成に応じて、第2のリング要素216の径方向内側の周囲および/または第2のリング要素216の径方向外側の周囲を介して芯出しされる。
【0070】
第2のリング要素216は、案内翼220のみが流入路130に位置するように空所112に挿入されている。つまり、流入路130は軸方向において第1のリング要素212と第2のリング要素216との間に少なくとも部分的に形成されている。第1のリング要素212および第2のリング要素216は、基本的に流入路130の全体を形成するように案内翼220の径方向内側および径方向外側に延びている(図5A、6A、7A、および8A参照)。これらの図面において認識されるように、径方向において第2のリング要素216と流入路130の径方向内側の端部132との間の第2の流路面136の小さい部分は、第2のリング要素216によって形成されていない。この小さい部分は芯出しに必要である。代替的に、第2の流路面136に接続するタービンハウジング110の壁部分、例えば流入路の径方向内側の端部132とタービン出口150の内壁との間の部分が芯出し面として設けられている限り、第2のリング要素216が第2の流路面136を径方向内側の端部132まで形成するように空所112が形成されていてもよい。しかし、代替的な実施形態では、第2のリング要素216が径方向内側の周囲ではなく径方向外側の周囲において芯出しされるように、この小さい部分が径方向外側の領域に配置されていてもよい。このような構成では、径方向内側の端部132とタービン出口150の内壁との間の壁部分の少なくとも一部を形成するように第2のリング要素216が形成されていてもよい。「基本的には流入路130の全体を形成する」とは、流入路130の全長の少なくとも75%がリング要素212、216によって形成されることと理解することができる。代替的な構成では、第1のリング要素212および第2のリング要素216は、流入路130の大部分のみを形成するように配置および形成されていてもよい(特に、案内翼220の径方向内側および径方向外側に延びていてもよい)。流入路130の大部分は、例えば流入路130の全長の少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%とみなすことができる。既に述べたように、全長は、流入路130におけるタービン渦巻室120の入口から流入路130の径方向内側の端部132までの流入路130の領域とみなすことができる。いくつかの実施形態では、第1のリング要素212が基本的に第1の流路面134の全体または第1の流路面134の少なくとも大部分を形成し、および/または第2のリング要素216が基本的に第2の流路面136の全体または第2の流路面136の少なくとも大部分を形成することも可能である。「基本的に第1の流路面134の全体または第2の流路面136の全体を形成する」とは、第1の流路面134または第2の流路面の全長の少なくとも75%がそれぞれのリング要素212、216によって形成されることと理解することができる。第1の流路面134または第2の流路面の大部分は、第1の流路面134または第2の流路面の全長の、例えば少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%とみなすことができる。
【0071】
図5A、6A、7A、および8Aの実施形態では、軸受ハウジング側の芯出しは軸受ハウジング310との差込接続部316を用いて行われる。このために、支持環210は、周方向26に間隔を空けた1つまたは複数のボルト、特に2つ以上のボルトを介して過給装置10の軸受ハウジング310において芯出しされるように構成されている。より詳細には、第1のリング要素212は、周方向26に間隔を空けた1つまたは複数のボルトを介して過給装置10の軸受ハウジング310において芯出しされるように構成されている。このために、第1のリング要素212は複数、特に2つ以上の、周方向26に間隔を空けた軸方向の孔215を備えている。この場合、軸方向の孔215は、ボルトを介して軸受ハウジング310と接続されるように配置および構成されている。つまり、軸方向の孔は、軸方向において軸受ハウジング310の方へ向けられた第1のリング要素212の端面に窪んでいる。代替的な構成では、ボルトが支持環210または軸受ハウジング310と一体的に接続されていてもよい。さらなる代替的な実施形態では、他の差込接続部、特に他の差込要素がボルトとして使用されてもよい。
【0072】
図5A、6A、7A、および8Aの実施形態では、軸方向の付勢はばね要素230を介して行われる。図5A、6A、7A、および8Aの実施形態のタービン装置100は全て、タービンホイール140の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されており、リング状に構成された遮熱体240を含んでいる。遮熱体240は、その径方向外側の領域が第1のリング要素212の径方向内側の領域に配置されている。この場合、遮熱体240の径方向外側の領域は、第1のリング要素212の径方向内側の領域の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して軸方向に接触した状態で配置されている。さらに、タービン装置100は、遮熱体240の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されたばね要素230を含む。つまり、遮熱体240は軸方向において案内装置200(または第1のリング要素212、特に第1のリング要素212の径方向内側の領域)とばね要素230との間に配置されている。ばね要素230は、遮熱体240を介して案内装置200または支持環210をタービンハウジング110に対して付勢する。ばね要素230は皿ばねとして形成されている。ばね要素230は、その径方向外側の端部領域によって、遮熱体240の径方向外側の領域を第1のリング要素212の径方向内側の領域に対して付勢する。これによって、遮熱体240を介して案内装置200をタービンハウジング110に対して軸方向22に付勢することができる。
【0073】
代替的な実施形態では、支持環210が、差込接続部316ではなく遮熱体240またはばね要素230を介して芯出しされていてもよい(図示せず)。この場合、第1のリング要素212の内周213が、遮熱体240の外周244またはばね要素230の外周234に配置されていてもよい。代替的に、軸受ハウジング側の芯出しが、第1のリング要素212の外周214が配置されているタービンハウジング110の芯出し面114における芯出しを介して行われてもよい。その場合、同様に、軸方向の付勢がタービンハウジング110における支持環210のねじ留めを介して行われてもよい。
【0074】
図5A、6A、7A、および8Aの4つの実施形態は、特にタービン渦巻室120および流入路130の構成が互いに異なっている。
【0075】
したがって、タービン装置100の第2の例示的な実施形態は、基本的に軸方向22に一定の幅を有する流入路130を備えている(図5Aおよび5B参照)。つまり、案内装置200は、基本的に軸方向22の幅が一定である流入路130またはこの流入路130の少なくとも大部分を形成するように構成されている。言い換えれば、第1のリング要素212および第2のリング要素216は、第1の流路面134と第2の流路面136との間に基本的に一定の間隔を形成するように形成されている。
【0076】
タービン装置100の第3の例示的な実施形態は、軸方向22の幅が径方向内側に向かって減少する流入路130を備えている(図6Aおよび6B参照)。つまり、案内装置200は、径方向内側に向かって減少する軸方向22の幅を有する流入路130またはこの流入路130の少なくとも大部分を形成するように構成されている。言い換えれば、第1のリング要素212および第2のリング要素216は、径方向内側に向かって先細りする流入路130または径方向内側に向かって先細りする流入路130の大部分を形成するように形成されている。これに関連して、先細りとは、両方の流路面134、136の軸方向の間隔が径方向24内側に向かって短くなること理解される。
【0077】
タービン装置100の第4の例示的な実施形態は、径方向24および軸方向22に延びる部分を有する流入路130を備えている(図7Aおよび7B参照)。この第4の例のタービン装置100は、混流タービン装置100(半軸流または準半径流タービンまたはタービン装置とも呼ばれる)であり、混流タービンホイール140aを備えている。つまり、タービンホイール140aは、軸方向および径方向の成分を有する方向の流れを受けるように構成されている。案内装置200は、流入路130または流入路130の少なくとも大部分を形成するように構成されている。言い換えれば、第1のリング要素212および第2のリング要素216は、ある径方向24からより軸方向22へ湾曲して延びる第1および第2の流路面134、136を形成するように形成されている。換言すれば、第1のリング要素212および第2のリング要素216は、軸方向および径方向の成分を有するように延びる流入路130を形成するように形成されている。
【0078】
タービン装置100の第5の例示的な実施形態は、第1のボリュート122と第2のボリュート124とを備えたタービン渦巻室120を備えている(図8Aおよび8B参照)。第1のボリュート122および第2のボリュート124は隔壁126によって流体技術的に互いから分離されている(各ボリュート122、144、すなわちツインスクロールタービンまたはタービン装置または双流タービンまたは双流タービン装置を通して約360°の流入)。つまり、第5の実施形態のタービン装置100は、双流タービンにおいて使用されるように構成されている。この構成では、支持環210は、軸方向において第1のリング要素212と第2のリング要素216との間に配置された第3のリング要素218をさらに含んでいる。第3のリング要素218は、隔壁126の延長線上に流入路130を通って延びるように形成および配置されている。図8Aに描かれているように、第3のリング要素218は隔壁126から流入路130の径方向内側の端部132まで延びている。これによって、流入路130が軸方向に隣接した2つの流入路部分130a、130bに分けられている。第3のリング要素218は案内翼220を介して第1および第2のリング要素212、216と接続されているので、案内翼220がそれぞれ第1の流入路部分130aにおける第1の翼部分220aと第2の流入路部分130bにおける第2の翼部分220bとに分割されている。代替的な構成では、第3のリング要素218が部分的にのみ流入路130を通って延びていてもよい。例えば、第3のリング要素218はその(前述の)大部分が流入路130を通って延びていてもよい。
【0079】
図9は、タービン装置100の第6の例示的な実施形態を示している。特に図10Aおよび10Bの詳細図から見て取れるように、第6の例示的な実施形態の案内装置200は第1のリング要素212のみを備えた支持環210を含んでいる。この場合、第1のリング要素212は案内翼220の軸受ハウジング側に隣接して配置されている。第1のリング要素212は基本的に流入路130の第1の流路面134の全体を形成している。代替的に、第1のリング要素212は第1の流路面134の大部分のみを形成している。流入路130の第2の流路面136はタービンハウジングによって形成されている。この場合、支持環210は公知のVTGデザインの一部である。同様に、案内翼220は公知のVTGデザインの一部である。つまり、案内翼220はVTG案内翼であるが、回転可能ではなく材料接続的に支持環210と接続されている。この場合、支持環210および案内翼220の選定は、サイズ、翼幅、および/またはボルト円に関して最適な公知のVTGタービンの選定に基づいて行われる。これによって、開発の手間、特に開発時間および開発コストを削減することができる。例えば、既存のデザインを使用する、または大量生産された低価格の部品を使用することによって、コスト削減を達成することができる。さらに、実証済みで定評のある公知のデザインを使用することができ、それによって装置の信頼性を高めることができる。支持環210および案内翼220は、元は別々の部品として形成されており、材料接続的に互いに接続されている。例えば、支持環210および案内翼220を、元は別々の部品として形成し、溶接またははんだ付けすることができる。案内翼220を元は別々に設けることによって、案内翼220をより良好に切削後加工することができる。この結果、製造の負担が軽減される。この場合、案内翼220は所定の向きで支持環210と接続される。特に図10Bに例示的に示されているように、各案内翼220が突起226を備えており、それぞれの突起226を介して支持環210の対応する孔に所定の向きで挿入され、不動に固着、特に溶接されている。この場合、案内翼220がそれぞれの突起226を介して支持環210の対応する孔に所定の向きで圧入され、不動に固着、特に溶接されることが有利である。代替的な実施形態では、案内翼220が突起を含まずに、直接支持環210または支持環の対応する窪みに所定の向きに設置され、不動に固着され、特に溶接されていてもよい。突起226が設けられていれば、固着、特に溶接は、支持環210または第1のリング要素212の片側または両側、つまりタービンハウジング側および軸受ハウジング側で行われる。
【0080】
第6の実施例では、芯出しは片側、特に圧縮機側のみで行われる。より詳細には、圧縮機側の芯出しは第1のリング要素212の外周214が配置されているタービンハウジング110の芯出し面114を介して行われる。芯出し面114は、円筒状の芯出し面、特に、径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面である。つまり、支持環210または第1のリング要素212は、径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面114に当接して芯出しされる。言い換えれば、支持環210は第1のリング要素212の外周214を介して芯出し面114に当接して芯出しされる。代替的な構成では、この芯出しがタービンハウジング110の空所(図示せず)を介して行われてもよい。この空所は、案内翼220が少なくとも部分的に空所に挿入されるように形成および配置されている。前縁222および/または後縁224を介して、案内翼220を空所の径方向内側または径方向外側に向けられた面に配置することができ、それによって芯出しすることができる。空所は上述の空所112と同様に形成することができる。代替的に、軸受ハウジング側の芯出しがばね要素230または遮熱体240を介して行われてもよい。この場合、第1のリング要素212の内周213が遮熱体240の外周244またはばね要素230の外周234に配置されていてもよい。さらに代替的に、芯出しが上述のように軸受ハウジング310との差込接続部316を介して行われてもよい。
【0081】
第6の実施形態では、軸方向の付勢はばね要素230を介して図5A、6A、7A、および8Aの例示的な実施形態と同様に行われる。つまり、第6の例のタービン装置100は遮熱体240とばね要素230とを含んでいる。遮熱体240はタービンホイール140の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されており、リング状に構成されている。遮熱体240はその径方向の外側の領域が第1のリング要素212の径方向内側の領域に配置されている。この場合、遮熱体240の径方向外側の領域は、第1のリング要素212の径方向内側の領域の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して軸方向に接触した状態で配置されている。ばね要素230は遮熱体240の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されている。つまり、遮熱体240は軸方向において案内装置200(または第1のリング要素212、特に第1のリング要素212の径方向内側の領域)とばね要素230との間に配置されている。ばね要素230は、遮熱体240を介して案内装置200または支持環210をタービンハウジング110に対して付勢する。ばね要素230は皿ばねとして形成されている。ばね要素230は、その径方向外側の端部領域によって遮熱体240の径方向外側の領域を第1のリング要素212の径方向内側の領域に対して付勢している。これによって、遮熱体240を介して案内装置200をタービンハウジング110に対して軸方向22に付勢することができる。代替的な実施形態では、軸方向の付勢がタービンハウジング110における支持環210のねじ留めを介して行われてもよい。
【0082】
さらに、(任意の実施形態の)タービンハウジング110が1つまたは複数の不図示の軸方向の補償用空所を含んでいてもよい。1つまたは複数の軸方向の補償用空所は、案内翼220および/または第2のリング要素216の軸方向22の熱膨張のための空間を設けるために構成されている。この場合、1つまたは複数の軸方向の補償用空所は、リング状の空所、特にリング状の溝であってよい(例えば空所112と同様)。1つまたは複数の軸方向の補償用空所は、軸方向22にタービンハウジング110に窪まされ、流入路130の領域に配置されている。より詳細には、1つまたは複数の軸方向の補償用空所は、タービン渦巻室120とタービンホイール140との間に配置された、基本的に軸方向22において軸受ハウジング310の方へ向けられたタービンハウジング110の壁に軸方向22に窪んでいる。リング状の軸方向の補償用空所または溝状の軸方向の補償用空所の代わりに、案内翼220の数に対応してそれぞれが軸方向22において各案内翼220に隣接して配置されることによって、各案内翼220が隣接する軸方向の補償用空所内に熱膨張可能となるように配置および形成された複数の軸方向の補償用空所がタービンハウジング110に設けられてもよい。
【0083】
図11Aはタービン装置100の第7の例示的な実施形態を示している。特に図11Bの詳細図から見て取れるように、この第7の例示的な実施形態の案内装置200は第1のリング要素212のみを備えた支持環210を含んでいる。この場合、第1のリング要素212は案内翼220の軸受ハウジング側に隣接して配置されている。第1のリング要素212は基本的に流入路130の第1の流路面134の全体を形成している。代替的に、第1のリング要素212は第1の流路面134の大部分のみを形成している。流入路130の第2の流路面136はタービンハウジング110によって形成されている。第6の例示的な構成とは異なり、この第7の例示的な構成の案内装置200は一体的に1つの部品から作成されている。さらに、軸方向の付勢は、タービンハウジング110内のねじ留めを介して行われる。この構成では、ばね要素230は必要ではないが、代替的な変形例では設けられていてもよい。それによって、例えば、案内装置200が意図せず緩む、特に脱落することを防止することができる。第7の実施例では、第6の実施例の芯出しと同様に、芯出しは片側、特に圧縮機側でのみ芯出し面114を介して行われる。しかし、第6の実施例に関連して説明したように、代替的に芯出しが他の方法で行われてもよい。
【0084】
図11Aおよび11Bの実施例では、案内装置200の軸方向の付勢はタービンハウジング110内の案内装置200のねじ留めを介して行われる。この場合、支持環210は、第1のリング要素212の外周214の雄ねじ214aおよび芯出し面114の内周の雌ねじ114aを介してタービンハウジング110にねじ留めされている。この有利な構成によって、タービンハウジング110における案内装置200の芯出しだけでなく軸方向の固着または付勢も達成することができる。例えばばね要素のような追加の固定要素を設けることは可能であるが必要ではない。この場合、支持環210は、第1のリング要素212によって形成される第1の流路面134の部分がタービン渦巻室120の側でタービンハウジング110と面一に終端するように、タービンハウジングにおいてねじ留めされている。特に図11Bにおいて認識されるように、支持環210は第1のリング要素212の外周214のタービンハウジング側の角に環状の面取り部214bを備えている。外周214を介した芯出しによって、案内装置200の正確で安定した位置決めを達成することができる。さらに、取り付け工程を容易化することができる。ねじ留めによって、同様に取り付け工程を容易化することができる。さらに、追加的なばね要素230による軸方向の付勢が可能ではあるが必要ではないので、コストを削減することができる。面取り部214bによって、流入路130において気流が渦巻くことを防止または少なくとも抑制することができる。
【0085】
他の実施例の図面に面取り部214bが示されていないとしても、他の実施例の案内装置200が同様に1つまたは複数の面取り部214bを備えていてもよい(気流が渦巻くことを抑制するために他の角にも設けることが可能)。面取り部の代わりに、代替的な構成では、気流が渦巻くことを抑制するために対応する角が丸められていてもよい。
【0086】
図11Aのタービン装置は、遮熱体240をさらに含んでいる。ただし、この例では、遮熱体240は軸受ハウジング310の軸方向の突出部314に載置されておらず、タービンハウジング110と軸受ハウジング310との間に挟持されている。遮熱体240はリング状または皿状に形成されており、その径方向外側の領域がタービン側の軸受フランジとタービンハウジング110のフランジとの間に挟まれている。
【0087】
代替的な(図示されていない)構成では、図11Aおよび11Bによる構成の案内装置200(第1のリング要素212のみを備えた鋳造部品として単一構造的にまたは一体的に形成されている案内装置)は、図9、10A、および10Bの案内装置200のようにばね要素230および遮熱体240を含んでいてもよい。案内装置200は、第1のリング要素212のみを有する支持環210を含んでいる。この場合、第1のリング要素212は案内翼220の軸受ハウジング側に隣接して配置されている。第1のリング要素212は基本的に流入路130の第1の流路面134の全体(代替的に、前述のように第1の流路面134の大部分のみ)を形成している。流入路130の第2の流路面136は、タービンハウジング110によって形成されている。この場合、案内装置200はタービンハウジング110内にねじ留めされておらず、雄ねじ214aを備えていない。タービンハウジング110または芯出し面114も雌ねじ114aを含んでいなくてよい。その場合、案内装置200はばね要素230を介してタービンハウジング110に対して軸方向に付勢される(図5A、6A、7A,8A、および9の例示的な実施形態の説明も参照)。遮熱体240はタービンホイール140の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されており、リング状に形成されている。遮熱体240はその径方向外側の領域が第1のリング要素212の径方向内側の領域に配置されている。この場合、遮熱体240の径方向外側の領域は第1のリング要素212の径方向内側の領域の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して軸方向に接触した状態で配置されている。ばね要素230は遮熱体240の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されている。つまり、遮熱体240は、軸方向において案内装置200(または第1のリング要素212、特に第1のリング要素212の径方向内側の領域)とばね要素230との間に配置されている。ばね要素230は、遮熱体240を介して案内装置200または支持環210をタービンハウジング110に対して付勢している。ばね要素230は皿ばねとして形成されている。ばね要素230はその径方向外側の端部領域で遮熱体240の径方向外側の領域を第1のリング要素212の径方向内側の領域に対して付勢する。これによって、遮熱体240を介して案内装置200をタービンハウジング110に対して軸方向22に付勢することができる。代替的な実施形態では、軸方向の付勢が、タービンハウジング110内の支持環210のねじ留めを介して行われてもよい。追加的な代替的な例では、芯出しが片側、特に圧縮機側で行われ、差込接続部316(図5A、6A、7A、および8Aの実施形態に関して上述したように、好ましくは2つの軸方向の孔25および対応する2つのボルト)を介して、または第1のリング要素212の外周214をタービンハウジング110の芯出し面114に接触するように配置することによって行われてもよい。軸受ハウジング310との差込接続部316を選ぶ場合、支持環210は周方向26に間隔を空けた1つまたは複数のボルト、特に2つ以上のボルトを介して過給装置10の軸受ハウジング310内で芯出しされるように構成される。より詳細には、第1のリング要素212は、周方向26に間隔を空けた1つまたは複数のボルトを介して過給装置10の軸受ハウジング310内で芯出しされるように構成されている。このために、第1のリング要素212は、周方向26に間隔を空けた1つまたは複数の、特に2つ以上の軸方向の孔215を備えている。この場合、軸方向の孔215は、ボルトを介して軸受ハウジング310と接続されるように配置および構成されている。つまり、軸方向の孔215は、軸方向において第1のリング要素212の軸受ハウジング310の方へ向けられた端面に窪んでいる。代替的な構成では、ボルトが支持環210または軸受ハウジング310と一体的に接続されていてもよい。この場合、差込接続部316が、案内装置200をタービンホイール140に対して固定するように構成されていてもよい。さらなる代替的な実施形態では、他の差込接続部、特に他の差込要素がボルトとして使用されてもよい。代替的に軸受ハウジング側の芯出しが、ばね要素230または遮熱体240を介して行われてもよい。この場合、第1のリング要素212の内周213が遮熱体240の外周244またはばね要素230の外周234に配置されていてもよい。
【0088】
第8の例示的な実施形態はデュアルボリュートタービン(図12Aおよび12B参照)において使用されるタービン装置100を示している。タービン渦巻室120は第1のボリュート122と第2のボリュート124とを含んでいる。第1のボリュート122および第2のボリュート124はタービンハウジング110に形成された隔壁126によって流体技術的に分離されている。隔壁126は、タービン渦巻室120の径方向内側の端部で終端している第1のタービンハウジング舌状部127と第2のタービンハウジング舌状部129とに通じている(図12B参照)。換言すれば、タービンハウジング舌状部127、129は案内装置200の径方向外側の周囲まで、または流入路の径方向外側の端部まで延びている。タービンハウジング舌状部127、129は周方向26に、好ましくは180°、互いから離間して配置されている。代替的な構成では、タービンハウジング舌状部127、129が周方向26に、例えば175°、または185°、または170°、または190°互いから離間して配置されている。さらなる間隔、例えば160°から200°も可能である。この場合、特に、タービンハウジング舌状部127、129のそれぞれの径方向内側の端部部分が対応して周方向26に互いから離間している。これによって、作動時に流体を流体技術的に分離された状態でボリュート122、124から案内装置200へ導くことができる。換言すれば、第1のボリュート122および第2のボリュート124が流体技術的に分離されて第1のタービンハウジング舌状部127と第2のタービンハウジング舌状部129との間で案内装置200に通じている。つまり、タービン装置100はデュアルボリュートタービン装置として形成されている。ボリュート122、124が軸方向に互いから分かれてそれぞれがその周囲全体を介して案内装置200に通じている、図8Aを参照して説明したツインボリュートタービン装置100とは異なり、デュアルボリュートタービン装置100のボリュート122、124は周方向に互いから分かれてそれぞれがその周囲の一部のみ(タービンハウジング舌状部127、129が180°変位している例示的な場合は、それぞれが基本的にその周囲の半分)を介して案内装置200に通じている。デュアルボリュートタービン装置の案内装置200(または支持環210)は、径方向外側の周囲を介して、両ボリュート122、124の周方向26に流体的に分けられた出口を通って流体が流入可能となるように形成されている。
【0089】
特に図12Aの断面図から見て取れるように、この第8の例示的な実施形態の案内装置200は第1のリング要素212のみを備えた支持環210を含んでいる。この場合、第1のリング要素212は案内翼220の軸受ハウジング側に隣接して配置されている。第1のリング要素212は基本的に流入路130の第1の流路面134の全体(代替的に、上述のように第1の流路面134の大部分のみ)を形成している。流入路130の第2の流路面136はタービンハウジング110によって形成されている。第7の例示的な実施形態で説明したように、この第8の例示的な実施形態の案内装置200は1つの部品から一体的に製造されている。代替的に、案内装置200が上述のように単一構造的に製造されていてもよい。
【0090】
案内翼220のうちの2つは、舌状案内翼221として形成されている。舌状案内翼221はタービンハウジング舌状部127、129に隣接して配置されている。換言すれば、舌状案内翼221は、タービンハウジング舌状部127、129に隣接するように支持環210上に配置されている。これによって、案内装置200におけるボリュート122、124の流体技術的な分離を(少なくとも舌状案内翼221の後縁まで)継続することができる。つまり、舌状案内翼221の間の周方向26のそれぞれの側に1つの流入路部分を形成することができる。各流入路部分を通してそれぞれ1つの渦巻状の流れ(すなわち、第1のボリュート122または第2のボリュートからの1つの流体の流れ)を導くことができる。換言すれば、これによって、ボリュート122、124からの別々の流体の流れを、それぞれの流入路部分における別々の流体の流れとして案内装置200によってタービンホイール140まで継続させることができる。この場合、舌状案内翼221は他の案内翼220と同一に形成されていてもよく、図12Bに示すように変形されていてもよい。図12Bに示されているように、舌状案内翼221は同一に形成されていてもよく、異なって形成されていてもよい。図12Bの例では、舌状案内翼221、特にこれらの径方向内側の端部部分(または後縁)と径方向外側の端部部分が周方向に180°ずれるように配置されている。他の構成では、舌状案内翼221またはこれらの径方向外側の端部部分および/もしくは径方向内側の端部部分が、上述のタービンハウジング舌状部127、129のずれと同様に他の周方向26の間隔を有していてもよい(例えば、175°または185°)。特に、第1のタービンハウジング舌状部127に隣接する舌状案内翼221の径方向内側の端部部分が、第2のタービンハウジング舌状部129に隣接する舌状案内翼221の径方向内側の端部部分から周方向26に175°の間隔を空けて配置されていてもよい。その場合、周方向26にさらに進んで、第2のタービンハウジング舌状部129に隣接する舌状案内翼221の径方向内側の端部部分が、第1のタービンハウジング舌状部127に隣接する舌状案内翼221の径方向内側の端部部分から周方向26に185°の間隔を空けて配置されることになる。周方向26において舌状案内翼221の径方向内側の端部部分の間に異なる円周角部分(例えば、一方の周方向に175°、その反対の周方向に185°)を形成することによって、有利な効果をもたらすことができる。これによって、流体の流れが異なる円周角部分に沿ってそれぞれの流入路部分からタービンホイール140へ導かれるので、不利な振動数の過度な高まりを回避することができる。タービンハウジング舌状部127、129が対応して周方向26にずれて配置されている場合、類似した効果を、同一に形成された2つの舌状案内翼221によってももたらすことができる。
【0091】
案内装置200は、舌状案内翼221がタービンハウジング舌状部127、129に隣接して配置されるようにタービンハウジングに挿入されている。特に、案内装置200は、それぞれの舌状案内翼221がそれぞれのタービンハウジング舌状部127、129の延長線上に配置されることによって、案内装置200におけるボリュート122、124の流体技術的な分離が(少なくとも舌状案内翼221の後縁まで)継続するように、タービン渦巻室120において配置および形成されている。タービンハウジング舌状部127、129のそれぞれの径方向内側の端部は、基本的に舌状翼221のそれぞれの径方向外側の端部(または端部部分)と面一に配置されている。これによって、ボリュート122、124から案内装置200へ気流をより良好に導くことができる。
【0092】
基本的に、デュアルボリュートタービン装置100のボリュート122、124が周方向に互いから分かれて案内装置200へ流入する円周角部分は、案内装置200の対応する構成、特に舌状案内翼221の対応する構成によって維持することができる。代替的に、案内装置200からタービンホイール140への別々の流体の流れの出口における円周角部分が、各ボリュート122、124から案内装置200への流体の流れの円周角部分と異なるように、舌状案内翼221が異なって形成されていてもよい。それによって流体の流れを異なる円周角部分に沿ってそれぞれの流入路部分からタービンホイール140へ導くことができる場合に、これが特に有利である。
【0093】
第8の実施例では、芯出しは片側、特に軸受ハウジング側のみで行われる。より詳細には、軸受ハウジング側の芯出しは、第1のリング要素212の外周214が配置されたタービンハウジング110の芯出し面114を介して行われる(図12A参照)。芯出し面114は、円筒状の芯出し面、特に径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面である。つまり、支持環210または第1のリング要素212は径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面114に当接して芯出しされる。言い換えれば、支持環210は第1のリング要素212の外周214を介して芯出し面114の内周に当接して芯出しされる。代替的な構成では、芯出しがタービンハウジング110の空所(図示せず)を介して行われてもよい。この空所は、案内翼220が少なくとも部分的にこの空所に挿入されるように構成および配置されていてもよい。前縁222および/または後縁224を介して、案内翼220を空所の径方向内側または径方向外側を向く面に配置し、それによって芯出しすることができる。空所は上述の空所112と同様に形成することができる。芯出し面114を介した芯出しの代わりに、またはこれに加えて、軸受ハウジング側の芯出しがばね要素230または遮熱体240を介して行われてもよい。この場合、第1のリング要素212の内周213が遮熱体240の外周244またはばね要素230の外周234に配置されていてもよい。さらに代替的に、上述のように、芯出しが軸受ハウジング310との差込接続部316を介して行われてもよい。
【0094】
第8の実施例では、軸方向の付勢は図5A、6A、7A、および8Aの例示的な実施形態と同様にばね要素230を介して行われる。つまり、第8の例のタービン装置100は遮熱体240とばね要素230とを含んでいる。遮熱体240は、タービンホイール140の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されており、リング状に構成されている。遮熱体240は、その径方向外側の領域が第1のリング要素212の径方向内側の領域に配置されている。この場合、遮熱体240の径方向外側の領域は、第1のリング要素212の径方向内側の領域の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して軸方向に接触した状態で配置されている。ばね要素230は、遮熱体240の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されている。つまり、遮熱体240は軸方向において案内装置200(または第1のリング要素212、特に第1のリング要素212の径方向内側の領域)とばね要素230との間に配置されている。ばね要素230は、遮熱体240を介して案内装置200または支持環210をタービンハウジング110に対して付勢する。ばね要素230は、皿ばねとして形成されている。ばね要素230は、その径方向外側の端部領域によって遮熱体240の径方向外側の領域を第1のリング要素212の径方向内側の領域に対して付勢する。これによって、遮熱体240を介して案内装置200をタービンハウジング110に対して軸方向22に付勢することができる。代替的な実施形態では、軸方向の付勢がタービンハウジング110に支持環210をねじ留めすることによって行われてもよい。
【0095】
デュアルボリュートタービン装置100の代替的な構成では、図5A、6A、および7Aの例示的な実施形態と同様に、第2のリング要素216が設けられていてもよい。
【0096】
第9の例示的な実施形態は、回転防止部318(図13Aおよび13B参照)を備えたタービン装置100を示している。回転防止部318は、案内装置200の周方向26の回転を基本的に防止、または少なくとも制限するように構成されている。特に図13Aの断面図から見て取れるように、この第9の例示的な実施形態の案内装置200は第1のリング要素212のみを備えた支持環210を含んでいる。この場合、第1のリング要素212は案内翼220の軸受ハウジング側に隣接して配置されている。第1のリング要素212は基本的に流入路130の第1の流路面134の全体(代替的に、上述のように第1の流路面134の大部分のみ)を形成している。流入路130の第2の流路面136はタービンハウジング110によって形成されている。第7の例示的な実施形態と同様に、この第9の例示的な実施形態の案内装置200は1つの部品から一体的に製造されている。代替的に、案内装置200が上述のように単一構造的に製造されていてもよい。
【0097】
第9の実施例では、芯出しは片側、特に軸受ハウジング側のみで行われる。より詳細には、軸受ハウジング側の芯出しは、第1のリング要素212の外周214が配置されたタービンハウジング110の芯出し面114を介して行われる(図13A参照)。芯出し面114は、円筒状の芯出し面、特に径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面である。つまり、支持環210または第1のリング要素212は径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面114に当接して芯出しされる。言い換えれば、支持環210は第1のリング要素212の外周214を介して芯出し面114の内周に当接して芯出しされる。代替的な構成では、芯出しがタービンハウジング110の空所(図示せず)を介して行われてもよい。この空所は、案内翼220が少なくとも部分的に空所に挿入されるように構成および配置されていてもよい。前縁222および/または後縁224を介して案内翼220を空所の径方向内側または径方向外側に向けられた面に配置し、それによって芯出しすることができる。空所は上述の空所112と同様に形成することができる。芯出し面114を介した芯出しの代わりに、またはこれに加えて、軸受ハウジング側の芯出しがばね要素230または遮熱体240を介して行われてもよい。この場合、第1のリング要素212の内周213が遮熱体240の外周244またはばね要素230の外周234に配置されてもよい。さらに代替的に、上述のように芯出しが軸受ハウジング310との差込接続部316を介して行われてもよい。
【0098】
第9の実施例では、軸方向の付勢は、図5A、6A、7A、8A、および12Aの例示的な実施形態と同様にばね要素230を介して行われる。つまり、第9の例のタービン装置100は遮熱体240とばね要素230とを含んでいる。遮熱体240は、タービンホイール140の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されており、リング状に構成されている。遮熱体240は、その径方向外側の領域が第1のリング要素212の径方向内側の領域に配置されている。この場合、遮熱体240の径方向外側の領域は、第1のリング要素212の径方向内側の領域の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して軸方向に接触した状態で配置されている。ばね要素230は、遮熱体240の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置されている。つまり、遮熱体240は軸方向において案内装置200(または第1のリング要素212、特に第1のリング要素212の径方向内側の領域)とばね要素230との間に配置されている。ばね要素230は、案内装置200または支持環210を、遮熱体240を介してタービンハウジング110に対して付勢する。ばね要素230は、皿ばねとして形成されている。ばね要素230は、その径方向外側の端部領域によって遮熱体240の径方向外側の領域を第1のリング要素212の径方向内側の領域に対して付勢する。これによって、案内装置200を、遮熱体240を介して軸方向22にタービンハウジング110に対して付勢することができる。
【0099】
回転防止部318は、凹部318aと凹部318aに径方向に係合するピン318bとによって形成されている。図13Aおよび13Bの例示的な構成では、凹部318aはタービンハウジング110の径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面114に窪んでいる。ピン318bは、支持環210の外周214から径方向外側に向かって凹部318aに係合するように支持環210上に配置および形成されている。つまり、ピン318bは、支持環210の外周214(または第1のリング要素212)から径方向外側に向かって延びている。図13Bから見て取れるように、凹部318aは軸方向において軸受ハウジング310に向けられた面の方へ開口するように構成されているので、取り付けの際にピン318b(それとともに支持環210)を軸方向に凹部318aに押し込むことができる。この場合、軸方向22に押し込むことが可能となるように、また、凹部318a内でピン318bが周方向26に相対的に変位することが防止または少なくとも最小限に抑えられるように、凹部318aおよびピン318bの寸法が決められている。代替的な構成では、凹部318aが支持環210(または第1のリング要素212)に、ピン318bがタービンハウジングに配置されていてもよい。さらに、案内装置200のタービンハウジング110に対する回転を防止するために、各ピン318bが各凹部318aに係合するように周方向26に対応して間隔を空けて支持環210または芯出し面114に配置された複数の凹部318aおよびピン318bが設けられていてもよい。
【0100】
当然ながら、回転防止部318は、ここに記載された他の実施例とも組み合わせることができる。特に、回転防止部318はデュアルボリュートタービン装置100との組合せが有利である。
【0101】
遮熱体240が全ての例示的な実施形態に示されているとしても、これは必ずしも必要ではない(芯出しは代替的な手段でも行うことができる)。案内装置200がばね要素230を介して軸方向に付勢されるのであれば、ばね要素230が案内装置200を軸方向にタービンハウジングに対して直接付勢するように構成されていてもよい。
【0102】
以上、本発明を説明した。この発明は、添付の請求項の範囲に定義されているが、代替的に以下の実施形態に対応するようにも定義可能であることを理解されたい。
【実施形態1】
【0103】
タービン渦巻室(120)とタービン出口(150)とを画定するタービンハウジング(110)と、
前記タービンハウジング(110)に前記タービン渦巻室(120)と前記タービン出口(150)との間に配置されたタービンホイール(140)と、
支持環(210)と、前記支持環(210)に所定の向きで固定的に配置されている複数の案内翼(220)とを備えた案内装置(200)とを含む過給装置(10)用のタービン装置(100)であって、
前記案内装置(200)が前記タービン渦巻室(120)と前記タービンホイール(140)との間の流入路(130)に配置されることによって、作動時に流体が前記タービン渦巻室(120)から前記流入路(130)を通って前記案内翼(220)を伝って前記タービンホイール(140)へ導かれる、タービン装置(100)。
【実施形態2】
【0104】
前記案内装置(200)が独立した部品として形成されている、実施形態1に記載のタービン装置(100)。
【実施形態3】
【0105】
前記案内装置(200)が前記タービンハウジング(110)に挿入されている、実施形態1または2に記載のタービン装置(100)。
【実施形態4】
【0106】
前記案内装置(200)が単一構造的に形成されている、実施形態1から3のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態5】
【0107】
前記支持環(210)が前記タービンハウジング(110)において芯出しされている、実施形態1から4のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態6】
【0108】
前記支持環(210)が、前記タービンハウジング(110)のリング状の空所(112)、特に溝に軸方向(22)に挿入されている、実施形態5に記載のタービン装置(100)。
【実施形態7】
【0109】
前記支持環(210)が第1のリング要素(212)と第2のリング要素(216)とを含み、前記第1のリング要素(212)および前記第2のリング要素(216)が軸方向に互いから離間しており、両者の間に前記案内翼(220)が配置されており、
特に、前記案内翼(220)のみが前記流入路(130)に位置するように、前記第2のリング要素(216)が前記リング状の空所(112)に挿入されている、実施形態6に記載のタービン装置(100)。
【実施形態8】
【0110】
前記流入路(130)が、軸方向において前記第1のリング要素(212)と前記第2のリング要素(216)との間に少なくとも部分的に形成されている、実施形態7に記載のタービン装置(100)。
【実施形態9】
【0111】
前記支持環(210)が、前記タービンハウジング(110)の径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面(114)に当接して芯出しされている、実施形態1から8のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態10】
【0112】
前記支持環(210)が少なくとも第1のリング要素(212)を含み、軸方向(22)において前記案内翼(220)がタービンハウジング側に配置されており、
前記支持環(210)が、前記第1のリング要素(212)の外周(214)を介して前記芯出し面(114)の内周に当接して芯出しされており、
任意的に、前記タービンハウジング(110)が、前記案内翼(220)の軸方向(22)の熱膨張のための空間を設けるために構成された1つまたは複数の軸方向の補償用空所を含む、実施形態9に記載のタービン装置(100)。
【実施形態11】
【0113】
前記支持環(210)が、前記第1のリング要素(212)の外周(214)の雄ねじ(214a)と前記芯出し面(114)の内周の雌ねじ(114a)とを介して前記タービンハウジング(110)にねじ留めされている、実施形態10に記載のタービン装置(100)。
【実施形態12】
【0114】
前記支持環(210)が、差込接続部(316)、特に周方向(26)に間隔を空けた1つまたは複数のボルトを介して過給装置(10)の軸受ハウジング(310)において芯出しされるように構成されている、実施形態1から11のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態13】
【0115】
前記支持環(210)が、ボルトを介して軸受ハウジング(310)と接続されるように配置および構成された、周方向(26)に間隔を空けた1つまたは複数の軸方向の孔(215)を備えている、実施形態12に記載のタービン装置(100)。
【実施形態14】
【0116】
前記タービンホイール(140)の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置された遮熱体(240)をさらに含む、実施形態1から13のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態15】
【0117】
前記遮熱体(240)がリング状に形成されており、
任意的に、前記支持環(210)が前記遮熱体(240)に当接して芯出しされている、実施形態14に記載のタービン装置(100)。
【実施形態16】
【0118】
前記支持環(210)が少なくとも第1のリング要素(212)を含み、軸方向(22)において前記案内翼(220)がタービンハウジング側に配置されており、
前記第1のリング要素(212)の内周(213)が前記遮熱体(240)の外周(244)に配置されている、実施形態15に記載のタービン装置(100)。
【実施形態17】
【0119】
さらに含まれるばね要素(230)が、前記案内装置(200)を前記タービンハウジング(110)に対して軸方向(22)に付勢するように前記支持環(210)の軸受ハウジング側に軸方向に隣接して配置および構成されている、実施形態1から16のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態18】
【0120】
前記ばね要素(230)が皿ばねとして形成されており、
任意的に、前記支持環(210)が前記ばね要素(230)に当接して芯出しされている、実施形態17に記載のタービン装置(100)。
【実施形態19】
【0121】
前記支持環(210)が少なくとも第1のリング要素(212)を含み、軸方向(22)において前記案内翼(220)がタービンハウジング側に配置されており、
前記第1のリング要素(212)の内周(213)が前記ばね要素(230)の外周(234)に配置されている、実施形態18に記載のタービン装置(100)。
【実施形態20】
【0122】
前記案内翼(220)が、前記タービンホイール(140)の直前まで、特に前記流入路(130)の径方向内側の端部(132)まで突出している、実施形態1から19のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態21】
【0123】
前記案内装置(200)が、3から30、特に3から15、好ましくは4から12、好ましくは5から10、特に好ましくは6から9の数の案内翼(220)を含む、実施形態1から20のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態22】
【0124】
周方向(26)に対して角度(α)を有する流入方向(223)に流体を前記タービンホイール(140)へ導くように、前記案内翼(220)が前記支持環(210)に前記所定の向きで固定されており、
前記角度(α)が、100°から170°、任意的に110°から160°、好ましくは120°から150°、特に好ましくは130°から140°の範囲内である、実施形態1から21のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態23】
【0125】
前記支持環(210)が第1のリング要素(212)と第2のリング要素(216)とを含み、前記第1のリング要素(212)および前記第2のリング要素(216)が軸方向に互いから離間しており、両者の間に前記案内翼(220)が配置されている、実施形態1から22のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態24】
【0126】
前記案内翼(220)が、前記リング要素(212、216)を起点として径方向内側に向かって、特に前記流入路(130)の前記径方向内側の端部(132)まで延びている、実施形態23に記載のタービン装置(100)。
【実施形態25】
【0127】
少なくとも実施形態15に従属する場合、前記遮熱体(240)が、径方向外側の端部領域に流路部分(243)を備えており、
前記第2のリング要素(216)の径方向内側の前記流入路(130)の軸受ハウジング側の側面が、前記流路部分(243)によって少なくとも部分的に、特に全体的に形成されている、実施形態23または24に記載のタービン装置(100)。
【実施形態26】
【0128】
少なくとも実施形態17に従属する場合、前記遮熱体(240)が、軸方向において前記ばね要素(230)と前記案内装置(200)との間に配置されており、
前記ばね要素(230)が、前記流路部分(243)を介して前記案内装置(200)を前記タービンハウジング(110)に対して軸方向(22)に付勢するように構成されている、実施形態25に記載のタービン装置(100)。
【実施形態27】
【0129】
前記流路部分(243)が、径方向外側の脚部と径方向内側の脚部とを備えたU字状の断面形状を有しており、
前記第1のリング要素(212)の内周(213)が前記U字状の断面形状の前記径方向外側の脚部の外周(244)に配置されている、実施形態25または26に記載のタービン装置(100)。
【実施形態28】
【0130】
少なくとも実施形態17に従属する場合、前記遮熱体(240)が、軸方向において前記ばね要素(230)と前記案内装置(200)との間に配置されており、
前記ばね要素(230)は、その径方向外側の端部領域が前記U字状の断面形状内に軸受ハウジング側から突出していることによって、前記流路部分(243)を介して前記案内装置(200)を前記タービンハウジング(110)に対して軸方向(22)に付勢する、実施形態27に記載のタービン装置(100)。
【実施形態29】
【0131】
前記案内装置(200)が単一構造的に、特に板金部品として単一構造的に形成されている、実施形態1から28のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態30】
【0132】
前記案内装置(200)が板金部品として形成されており、
特に、前記案内装置(200)が板金部品から成形されている、実施形態1から29のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態31】
【0133】
少なくとも実施形態7に従属する場合、前記流入路(130)の大部分、特に基本的に前記流入路(130)の全体を形成するように、前記第1のリング要素(212)および前記第2のリング要素(216)が前記案内翼(220)の径方向内側および径方向外側に延びている、実施形態1から22のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態32】
【0134】
前記第1のリング要素(212)が、前記流入路(130)の第1の流路面(134)の少なくとも大部分を形成するように形成されており、
前記第2のリング要素(216)が、前記第1の流路面(134)に軸方向に対向する前記流入路(130)の第2の流路面(136)の少なくとも大部分を形成するように形成されている、実施形態31に記載のタービン装置(100)。
【実施形態33】
【0135】
前記第1のリング要素(212)および前記第2のリング要素(216)が、径方向内側に向かって先細りした流入路(130)を形成するように形成されている、実施形態31または32に記載のタービン装置(100)。
【実施形態34】
【0136】
前記第1のリング要素(212)および前記第2のリング要素(216)が、軸方向および径方向の成分を有するように延びる流入路(130)を形成するように形成されている、実施形態31から33のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態35】
【0137】
少なくとも実施形態7に従属する場合、前記タービン渦巻室(120)が、隔壁(126)によって流体技術的に互いから分離された第1のボリュート(122)および第2のボリュート(124)を含み、
前記支持環(210)が第3のリング要素(218)をさらに含み、前記第3のリング要素(218)が、前記隔壁(126)の延長線上において前記流入路(130)内へ、特に前記流入路(130)を通って延びるように軸方向において前記第1のリング要素(212)と前記第2のリング要素(216)との間に配置および形成されている、実施形態1から22または31から34のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態36】
【0138】
前記流入路(130)が軸方向に隣接した2つの流入路部分(130a、130b)に分けられるように、前記第3のリング要素(218)が前記隔壁(126)から前記流入路(130)の径方向内側の端部(132)まで延びている、実施形態35に記載のタービン装置(100)。
【実施形態37】
【0139】
前記支持環(210)が前記タービンハウジング(110)においてねじ留めされている、実施形態1から36のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態38】
【0140】
少なくとも実施形態11に従属する場合、特に、前記支持環(210)が前記第1のリング要素(212)のみを含む、実施形態37に記載のタービン装置(100)。
【実施形態39】
【0141】
前記支持環(210)が、前記第1のリング要素(212)の外周(214)のタービンハウジング側の角に環状の面取り部(214b)を備えている、実施形態37または38に記載のタービン装置(100)。
【実施形態40】
【0142】
前記案内装置(200)が単一構造的に形成されており、
特に、前記案内装置(200)が鋳造部品から成形されている、実施形態31から39のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態41】
【0143】
前記案内装置(200)が溶接組立品によって形成されている、実施形態31から39のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態42】
【0144】
前記支持環(210)および/または前記案内翼(220)が、公知のデザイン、特に公知のVTGデザインの部品である、実施形態1から41のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態43】
【0145】
最適なVTGタービンの前記支持環(210)が、前記タービンのサイズ、翼幅、および/またはボルト円に関して選定される、実施形態42に記載のタービン装置(100)。
【実施形態44】
【0146】
前記支持環(210)および前記案内翼(220)が、元は別々の部品として形成され、接合技術によって、特に材料接続的に互いと接続されており、
任意的に、前記支持環(210)および前記案内翼(220)が、元は別々の部品として形成され、溶接されている、実施形態42または43に記載のタービン装置(100)。
【実施形態45】
【0147】
前記案内翼(220)が所定の向きで前記支持環(210)に接続されている、特に溶接またははんだ付けされている、実施形態42から44のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態46】
【0148】
前記案内翼(220)がVTG案内翼であり、それぞれ突起(226)を備えており、
前記案内翼(220)が、それぞれの前記突起(226)を介して前記支持環(210)の対応する孔に所定の向きで挿入され、不動に固着、特に溶接されている、実施形態42から44のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態47】
【0149】
前記タービン渦巻室(120)が第1のボリュート(122)と第2のボリュート(124)とを含み、前記第1のボリュート(122)および前記第2のボリュート(124)が、流体技術的に分離されて第1のタービンハウジング舌状部(127)と第2のタービンハウジング舌状部(129)との間で前記案内装置(200)に通じている、実施形態1から34または37から46のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態48】
【0150】
前記複数の案内翼(220)のうちの2つが、舌状案内翼(221)として形成されて前記タービンハウジング舌状部(127、129)に隣接して配置されており、
任意的に、前記第1のタービンハウジング舌状部(127)に隣接する前記舌状案内翼(221)の径方向内側の端部部分が、前記第2のタービンハウジング舌状部(129)に隣接する前記舌状案内翼(221)の径方向内側の端部部分から周方向(26)に180°未満、特に175°の間隔を空けて配置されている、実施形態47に記載のタービン装置(100)。
【実施形態49】
【0151】
前記舌状案内翼(221)のそれぞれが前記タービンハウジング舌状部(127、129)のそれぞれの延長線上に配置されることによって、前記案内装置(200)における前記ボリュートの流体技術的な分離が継続するように、前記案内装置(200)が前記タービンハウジング(110)内に配置および形成されている、実施形態48に記載のタービン装置(100)。
【実施形態50】
【0152】
前記タービンハウジング舌状部(127、129)のそれぞれの径方向内側の端部が、基本的に前記舌状翼(221)のそれぞれの径方向外側の端部と面一に配置されている、実施形態49に記載のタービン装置(100)。
【実施形態51】
【0153】
前記案内装置(200)の周方向(26)の回転を基本的に防止するように構成された回転防止部(318)をさらに含む、実施形態1から10または12から50のいずれかに記載のタービン装置(100)。
【実施形態52】
【0154】
前記回転防止部(318)が、凹部(318a)と、前記凹部(318a)に径方向に係合するピン(318b)とによって形成されている、実施形態51に記載のタービン装置(100)。
【実施形態53】
【0155】
前記凹部(318a)が、前記タービンハウジング(110)の径方向内側に向けられた円筒状の芯出し面(114)に窪んでおり、
前記ピン(318b)が、前記支持環(210)の外周(214)から径方向外側に向かって前記凹部(318a)に係合するように、前記支持環(210)に配置および形成されている、実施形態52に記載のタービン装置(100)。
【実施形態54】
【0156】
圧縮機ハウジング(322)と、前記圧縮機ハウジング(322)に回転可能に配置された圧縮機ホイール(324)とを備えた圧縮装置(320)と、
軸受ハウジング(310)と、
前記軸受ハウジング(310)に回転可能に配置された回転軸(330)と、
実施形態1から53のいずれかに記載のタービン装置(100)と、
を含む過給装置(10)であって、
前記タービンホイール(140)が、前記回転軸(330)を介して前記圧縮機ホイール(324)と回転可能に連結されている、過給装置(10)。
【実施形態55】
【0157】
実施形態17に従属する場合、前記軸受ハウジング(310)が、タービン側の端部領域(312)に軸方向の突出部(314)を備えており、前記軸方向の突出部(314)に前記ばね要素(230)および/または前記遮熱体(240)が載置されている、実施形態54に記載の過給装置(10)。
【実施形態56】
【0158】
前記支持環(210)が、差込接続部(316)、特に周方向(26)に間隔を空けた複数のボルトを介して前記軸受ハウジング(310)において芯出しされている、実施形態54または55に記載の過給装置(10)。
【実施形態57】
【0159】
少なくとも実施形態37に従属する場合、前記タービンハウジング(110)と前記軸受ハウジング(310)との間に挟持された遮熱体(240)をさらに含む、実施形態54から56のいずれかに記載の過給装置(10)。
【符号の説明】
【0160】
10 過給装置
22 軸方向
24 径方向
26 周方向
100 タービン装置
110 タービンハウジング
112 空所
114 芯出し面
114a 雌ねじ
120 タービン渦巻室
122 第1のボリュート
124 第2のボリュート
126 隔壁
127 第1のタービンハウジング舌状部
129 第2のタービンハウジング舌状部
130 流入路
130a 第1の流入部分
130b 第2の流入部分
132 径方向内側の端部
134 第1の流路面
136 第2の流路面
140 タービンホイール
140a 半軸流タービンホイール
150 タービン出口
200 案内装置
210 支持環
212 第1のリング要素
213 第1のリング要素の内周
214 第1のリング要素の外周
214a 雄ねじ
214b 面取り部
215 孔
216 第2のリング要素
218 第3のリング要素
220 案内翼
220a 第1の翼部分
220b 第2の翼部分
221 舌状翼
222 前縁
223 流入方向
224 後縁
226 突起
230 ばね要素
232 ばね要素の内周
234 ばね要素の外周
240 遮熱体
242 遮熱体の内周
243 流路部分
244 遮熱体の外周
310 軸受ハウジング
312 タービン側の端部領域
314 軸方向の突出部
316 差込接続部
318 回転防止部
318a 凹部
318b ピン
320 圧縮装置
322 圧縮機ハウジング
324 圧縮機ホイール
330 回転軸

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
【外国語明細書】