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特開2022-161067足場用トラス梁の施工方法及び中抜き部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161067
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】足場用トラス梁の施工方法及び中抜き部材
(51)【国際特許分類】
   E04G 1/14 20060101AFI20221014BHJP
   E04G 5/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
E04G1/14 301A
E04G5/02 B
E04G1/14 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065595
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】390030041
【氏名又は名称】株式会社ダイサン
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】吉丸 勝善
(57)【要約】
【課題】足場に出入口用等の開口部を形成した場合の梁として機能するトラスを、安全かつ容易な作業で強固に構築できる足場用トラス梁の施工方法及び中抜き部材を提供する。
【解決手段】水平方向に配置された複数本の支柱2を高さ方向に連結し上方に順に足場を組み立てる工程、高さ方向の中間に所定のスパンの中抜き領域Dを設定し、中抜き領域では上下の長さを変更可能な中抜き部材20を支柱に用い、その下端部を下側の支柱2と解除可能に連結し、中抜き部材の長さを伸張状態に固定する工程、中抜き部材の上端部に上側の支柱2を解除可能に連結し、中抜き領域Dの直上にトラス梁1を構築する工程、中抜き部材20の長さを伸長状態から縮小方向に変更し上下の支柱2から取り外す工程を含む、中抜き領域を解体する工程、解体後、中抜き領域Dの下方に形成された足場を下方に向かって順に解体することにより、トラス梁1の下方に開口部Bを形成する工程を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に配置された複数本の垂直状の支柱を含む足場用部材を用い、前記支柱を高さ方向に連結することにより、上方に向かって順に足場を組み立てる工程と、
高さ方向の中間に所定のスパンの中抜き領域を設定し、中抜き領域では、前記支柱として、上下の長さを変更可能な中抜き部材を用い、中抜き部材の下端部を下側の支柱と解除可能に連結し、かつ中抜き部材の長さを伸張状態に固定する工程と、
長さが伸張状態に固定された前記中抜き部材の上端部に上側の支柱を解除可能に連結するとともに、中抜き領域の直上にトラス梁を構築する工程と、
前記トラス梁が構築された状態で、中抜き部材の長さを伸長状態から縮小方向に変更して中抜き部材を上下の支柱から取り外す工程を含む、中抜き領域を解体する工程と、
中抜き領域の解体後、中抜き領域の下方に形成された足場を下方に向かって順に解体することにより、前記トラス梁の下方に開口部を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする足場用トラス梁の施工方法。
【請求項2】
前記中抜き部材は、上端部を前記上側の支柱に連結される第1パイプと、下端部を前記下側の支柱に連結される第2パイプとを備え、前記第1パイプと第2パイプの一方を他方にスライド可能に嵌め込むとともに、伸長方向にスライドさせた状態で両パイプをピン結合することにより、中抜き部材の長さが伸張状態に固定され、ピン結合を解除して縮小方向にスライドさせることにより、中抜き部材の長さが縮小方向に変更される請求項1に記載の足場用トラス梁の施工方法。
【請求項3】
請求項1に記載の足場用トラス梁の施工方法における前記中抜き領域の支柱に用いられる中抜き部材であって、
長さを伸張状態に固定し、かつ固定を解除して長さを縮小方向に変更可能となされている中抜き部材。
【請求項4】
上端部を上側の支柱に連結される第1パイプと、下端部を前記下側の支柱に連結される第2パイプとを備え、
前記第1パイプと第2パイプの一方を他方にスライド可能に嵌め込むとともに、伸長方向にスライドさせた状態で両パイプをピン結合することにより、長さが伸張状態に固定され、ピン結合を解除して縮小方向にスライドさせることにより、長さが縮小方向に変更される請求項3に記載の中抜き部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物外周の躯体工事や外装工事等を行う際に構築される足場に、出入口用等の開口部を形成した場合の梁として機能する足場用トラス梁の施工方法、及びこの施工方法に用いられる中抜き部材に関する。
【背景技術】
【0002】
足場の下部に資材搬入用出入口等の開口部を形成する場合、開口部の上部に、H鋼等からなる梁枠を架け渡すことが従来より行われている。また、特に開口部の幅が広い場合には、ビームやH鋼等を用いて構台を構築することも行われている。
【0003】
しかし、これらの作業は大がかりになり、場合によってはクレーン等の重機が必要となり、作業場所、費用、作業時間等の面で問題がある。
【0004】
そこで、足場にトラスを組み立て、これを開口部の梁として利用することが考えられる。
【0005】
このように、開口部の上部にトラスを組み立てる方法として、トラス形成部位の直下の足場から脚立等を使用してトラスを組み立てた後、直下の足場を解体することが考えられる。また、特許文献1には、鋼管支柱の下端部にジャッキベースを装着し、当該ジャッキベースが装着される建枠を所定の間隔毎に水平方向に建て並べることによって連層足場の最下層部を設置する最下層部設置工程と、最下層部を構成する建枠の上に他の建枠を組み上げるとともに、組み上げられる建枠に対し所定の間隔毎に建造物の躯体部に固定される枠体締結具を装着することによって連層足場の上層部を設置する上層部設置工程と、ジャッキベースの全部またはその一部に対して収縮操作を行ない、最下層部を構成する建枠の全部またはその一部を解体する最下層部解体工程とを有することを特徴とする連層足場の設置方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4136960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、トラス形成部位の直下の足場から脚立等を使用してトラスを組み立てた後、直下の足場を解体する方法では、無理な体勢でトラスの組み立てが行われる恐れがあり、作業が容易でないという問題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の方法では、トラスを設置する高さが3層にもなると6m近くになることから、ジャッキベースの全部またはその一部に対して収縮作業を行い、最下層部を構成する建枠の全部またはその一部を解体する作業がやはり容易でなかった。
【0009】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、足場に出入口用等の開口部を形成した場合の梁として機能するトラスを、安全かつ容易な作業で強固に構築することができる足場用トラス梁の施工方法を提供し、さらにはこの施工方法に用いられる中抜き部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)水平方向に配置された複数本の垂直状の支柱を含む足場用部材を用い、前記支柱を高さ方向に連結することにより、上方に向かって順に足場を組み立てる工程と、
高さ方向の中間に所定のスパンの中抜き領域を設定し、中抜き領域では、前記支柱として、上下の長さを変更可能な中抜き部材を用い、中抜き部材の下端部を下側の支柱と解除可能に連結し、かつ中抜き部材の長さを伸張状態に固定する工程と、
長さが伸張状態に固定された前記中抜き部材の上端部に上側の支柱を解除可能に連結するとともに、中抜き領域の直上にトラス梁を構築する工程と、
前記トラス梁が構築された状態で、中抜き部材の長さを伸長状態から縮小方向に変更して中抜き部材を上下の支柱から取り外す工程を含む、中抜き領域を解体する工程と、
中抜き領域の解体後、中抜き領域の下方に形成された足場を下方に向かって順に解体することにより、前記トラス梁の下方に開口部を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする足場用トラス梁の施工方法。
(2)前記中抜き部材は、上端部を前記上側の支柱に連結される第1パイプと、下端部を前記下側の支柱に連結される第2パイプとを備え、前記第1パイプと第2パイプの一方を他方にスライド可能に嵌め込むとともに、伸長方向にスライドさせた状態で両パイプをピン結合することにより、中抜き部材の長さが伸張状態に固定され、ピン結合を解除して縮小方向にスライドさせることにより、中抜き部材の長さが縮小方向に変更される前項1に記載の足場用トラス梁の施工方法。
(3)前項1に記載の足場用トラス梁の施工方法における前記中抜き領域の支柱に用いられる中抜き部材であって、
長さを伸張状態に固定し、かつ固定を解除して長さを縮小方向に変更可能となされている中抜き部材。
(4)上端部を上側の支柱に連結される第1パイプと、下端部を前記下側の支柱に連結される第2パイプとを備え、
前記第1パイプと第2パイプの一方を他方にスライド可能に嵌め込むとともに、伸長方向にスライドさせた状態で両パイプをピン結合することにより、長さが伸張状態に固定され、ピン結合を解除して縮小方向にスライドさせることにより、長さが縮小方向に変更される前項3に記載の中抜き部材。
【発明の効果】
【0011】
前項(1)に記載の発明によれば、水平方向に配置された複数本の垂直状の支柱を含む足場用部材を用い、支柱を高さ方向に連結することにより、上方に向かって順に足場を組み立てる工程と、高さ方向の中間に所定のスパンの中抜き領域を設定し、中抜き領域では、支柱として、上下の長さを変更可能な中抜き部材を用い、中抜き部材の下端部を下側の支柱と解除可能に連結し、かつ中抜き部材の長さを伸張状態に固定する工程と、長さが伸張状態に固定された中抜き部材の上端部に上側の支柱を解除可能に連結するとともに、中抜き領域の直上にトラス梁を構築する工程を備えているから、通常の足場の組み立て工程と同様にして、中抜き領域の直上にトラス梁を構築できる。このため、トラス梁の形成部位の直下の足場から脚立等を使用して無理な体勢でトラス梁を組み立てる必要も無く、トラス梁の構築作業を安全にかつ容易に行うことができるから、強固なトラス梁を構築することができる。
【0012】
しかも、トラス梁の構築後は、中抜き部材の長さを伸長状態から縮小方向に変更して中抜き部材を上下の支柱から取り外すことで、中抜き領域を容易に解体でき、中抜き領域の解体後は、中抜き領域の下方に形成された足場を下方に向かって順に解体することにより、この解体作業も安全かつ容易に行うことができ、トラス梁で補強された出入口等の開口部を容易に形成することができる。
【0013】
また、中抜き領域を高さ方向の任意の位置に設定することができるから、長いジャッキベースに対して収縮操作を行って抜き取る作業を行わなくても、高さが高い開口部を容易に形成することができる。
【0014】
前項(2)に記載の発明によれば、中抜き部材は、上端部を上側の支柱に連結される第1パイプと下端部を下側の支柱に連結される第2パイプとを備え、第1パイプと第2パイプの一方を他方にスライド可能に嵌め込むとともに、伸長方向にスライドさせた状態で両パイプをピン結合することにより、中抜き部材の長さが伸張状態に固定され、ピン結合を解除して縮小方向にスライドさせることにより、中抜き部材の長さが縮小方向に変更されるから、中抜き層の足場の組み立てと解体を容易に行うことができる。
【0015】
前項(3)に記載の発明によれば、中抜き領域の足場の組み立てと解体を容易に行うことができ、トラス梁の施工に資することができる中抜き部材となる。
【0016】
前項(4)に記載の発明によれば、第1パイプと第2パイプのピン結合により長さを伸張状態に固定でき、ピン結合の解除により長さを縮小方向に変更できる中抜き部材を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の一実施形態に係る施工方法により足場用トラス梁を施工した状態を示す正面図である。
図2図1のE部分の拡大図で、中抜き部材を下側の支柱に嵌合する前の状態を示す正面図である。
図3】(A)は長さを伸張状態に固定した中抜き部材の側面図、(B)は同じく正面図、(C)は平面図である。
図4】中抜き部材を、第1パイプと第2パイプを分離した状態で示す斜視図である。
図5】長さを収縮した中抜き部材の斜視図である。
図6】中抜き領域を組み立てた状態の足場の正面図である。
図7】中抜き領域の上層の足場の一部を組み立てた状態の正面図である。
図8図7のF部分の拡大図で、中抜き部材に上側の支柱を嵌合した状態を示す正面図と、G部分の拡大断面図である。
図9】中抜き領域の直上にトラス梁を構築した状態の正面図である。
図10】中抜き領域の解体途中の状態の正面図である。
図11図10のH部分の拡大図で、中抜き部材の取り外し操作を説明するための正面図である。
図12】中抜き領域を解体した状態の正面図である。
図13】この発明の一実施形態に係る施工方法により、出入口用等の開口部にトラス梁を形成した状態の連層足場の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
この実施形態では、図13に示すように、連層足場Aに出入口用等の開口部Bを形成した場合の梁として機能する足場用トラス梁1の施工方法について説明する。なお、図13では、トラス梁1から上の足場は省略してある。
【0020】
図1は連層足場Aの施工途中の状態を示す正面図である。この連層足場Aは、地面から上方に向かって順に組み立てられるものである。
【0021】
この実施形態では、複数本の垂直状の支柱2を、例えば建物外周に沿って所定間隔で左右方向(水平方向)に配置すると共に、図示は省略したが前後に2本の支柱2を一対として配置し、各支柱2の上端に次の支柱2を連結していく。
【0022】
また、左右及び前後の所定の支柱2、2間には下弦材(布材)3、上弦材(布材)4、腕木材(図示せず)等が連結され、さらに必要に応じて、左右の支柱2、2の一方の上端部と他方の下端部が斜材5により連結される。下弦材3、上弦材4、腕木材、斜材5等と支柱2との連結は公知の方法により行われ、例えば図2図8図11に示すように、支柱2の外面に設けられたコマ2aに、下弦材3、上弦材4、腕木材、斜材5等の端部に形成された楔片6を嵌入して連結する方法等が採用される。また、下弦材3のレベルに踏板7が配置される。
【0023】
なお、図1において、ハッチングを付した領域は後から解体される仮設足場Cであることを示している。この点については後述する。左右方向の隣接支柱2、2の間隔を1スパンとすると、この実施形態では4スパンの範囲で仮設足場Cが形成されている。
【0024】
図1に示すように、仮設足場Cを下層から順に組み立てた後、仮設足場Cの上層に、二点鎖線の太枠で示す4スパンの中抜き領域Dの足場を組み立てる。中抜き領域Dについては、4スパンの範囲に含まれる5本の支柱2の内、中間の3本(前後を含めて6本)については、支柱2として中抜き部材20を用い、これらの中抜き部材20を、図2図1のE部分を拡大して示すように、既に組み立て済みの仮設足場Cの最上位の支柱2に連結する。
【0025】
中抜き部材20は、図3(A)~(C)及び図4に詳細に示すように、上側の第1パイプ21と下側の第2パイプ22とを備えている。第1パイプ21の外径は第2パイプ22の内径よりもわずかに小さく設定されており、第1パイプ21の下端を第2パイプ22の上端から中空部に嵌め込んで長さ方向にスライドさせ、第2パイプ22の下端から第1パイプ21の上端までの長さ、換言すれば中抜き部材20の長さを伸縮できるようになっている。
【0026】
第1パイプ21の外周面にはネジ211が形成され、このネジ211に第1パイプ21の一端からねじ込まれたジャッキナット23が、第1パイプ21の上部に配置されている。また、ジャッキナット23を挟む上下の位置において、第1パイプの周面にカシメ部212、212が形成され、上下カシメ部212、212の範囲でジャッキナット23を上下に移動調整できるようになっている。ジャッキナット23は、中抜き部材20の上端部(第1パイプ21の上端部)に外嵌めされる直上層の支柱2を支持する役割を果たす。
【0027】
第1パイプ21の下端部には、図4に示すように、第1パイプ21を径方向に貫通する貫通穴213が形成されている。一方、第2パイプ22の上端部にも、第2パイプ22を径方向に貫通する貫通穴221が形成されている。これらの貫通穴213、221は、第1パイプ21と第2パイプ22の両貫通穴213、221を合致させた状態で、貫通穴213、221に、真っ直ぐなまたはL形等(図ではL形を示している)のサポートピン24を挿通することにより、第1パイプ21と第2パイプ22をピン結合して上下スライド不能に固定する役割を果たす。このピン結合によって、中抜き部材2の長さは伸張状態に固定される。また、図5に示すように、サポートピン23を貫通穴213、221から抜いてピン結合を解除すると、第1パイプ21を第2パイプ22の中空部内に収納状態にスライドさせることにより、中抜き部材2の長さを縮小できるようになっている。なお、サポートピン24の形状は限定されない。
【0028】
さらに、第1パイプ21の上端部にも、第1パイプ21を径方向に貫通する貫通穴214が形成されている。この上側の貫通穴214は、第1パイプ21を第2パイプ22の中空部内に収納状態にスライドさせることにより中抜き部材2の長さを縮小したときに、第2パイプ22の貫通穴221と位置合わせされる。そして、位置合わせされた各パイプの貫通穴214、221にサポートピン24を差し込んで、サポートピン24と第1パイプ21と第2パイプ22を一体化させ、サポートピン24の紛失を防ぐようになっている。また、サポートピン24の一端は紐部材25を介して第1パイプ21の外周を取り巻くリング状ワイヤー26に接続され、サポートピン24の紛失を一層防ぐことができるように構成されている。
【0029】
上記のような構成の中抜き部材20を支柱2として用い、中抜き部材20の第1パイプ21と第2パイプ22を両パイプの貫通穴213、221にサポートピン24を差し込んでピン結合することにより、中抜き部材20を伸長状態に固定した後、図2で示したように、第2パイプ22の下端を組み立て済みの下側の支柱2の上端部に外嵌めして連結する。図6は、各中抜き部材20をそれぞれ下側の支柱2に連結した様子を示す。なお、第1パイプ21と第2パイプ22をピン結合する前に、第2パイプ22を下側の支柱2の上端部に先に連結し、その後、第2パイプ22と第1パイプ21をピン結合しても良い。
【0030】
こうして、各中抜き部材20を下側の支柱2に連結した後、図7に示すように、これらの中抜き部材20を含む左右横列及び前後の各支柱2に上側の支柱を連結する。中抜き部材20と上側の支柱2とは、図8に拡大図で示すように、上側のパイプ状支柱2の下端部を中抜き部材20のジャッキナット23に当接支持されるまで第1パイプ21に外嵌めすることにより行う。必要に応じて、ジャッキナット23を回転して上下に移動させ、高さ方向の位置を調整しても良い。
【0031】
なお、中抜き部材20の上下の長さは中抜き部材20以外の横列の支柱2と同じ長さであっても良いし、短くても良い。中抜き部材20の長さが短い場合、中抜き部材20と嵌合される上側の支柱2として長さの少し長いものを用いる。
【0032】
この実施形態では、前述したように、3本の中抜き部材20の両外側の2本の支柱2、2で挟まれた4スパンの領域が、中抜き領域Dとなっている。この中抜き領域Dは、足場の組み立て後に、開口部Bを形成するために最初に解体される領域である。
【0033】
次に、図9に示すように、中抜き領域Dの上層の各支柱2、2間に、下弦材3、上弦材4、腕木材等を連結するとともに、斜材5を連結してトラス梁1を構築する。中抜き領域Dの直上に構築されたトラス梁1は、開口部Bを支持するトラス梁となるが、中抜き領域Dに対応する開口部Bは4スパン分のみならず、5スパン、6スパンの大開口部を設けることも可能である。
【0034】
その後、支柱2を高さ方向にさらに連結し上方に向けて足場を組み立てていく。トラス梁またはそれ以上の層の足場には、必要に応じて壁つなぎを設ける。全ての足場の組み立て終了後、あるいは所定の強度が確保できるまで組み立てた後、中抜き領域Dを次のようにして解体する。
【0035】
即ち、中抜き部材20の第1パイプ21に取り付けられているジャッキナット23を緩めて上側支柱2の支持を解放した後、サポートピン24を両パイプ21、22の貫通穴213、221から抜いて、第1パイプ21と第2パイプ22のピン結合を解除する。
【0036】
次いで、図10に中抜き部材20の取り外し途中の状態を、図11にその拡大図を示すように、第1パイプ21を第2パイプ22に収容される方向に下方にスライドして第1パイプ21の上端を上側の支柱2から外すとともに、中抜き部材20の長さを縮小して、第1パイプ21の上側の貫通穴214と下側の貫通穴221を位置合わせし、サポートピン24を両貫通穴214と221に差し込んでおく。この状態では、中抜き部材20の長さは縮小状態に固定される。その後、第2パイプ22を持ち上げて中抜き部材20ごと下側の支柱2から外す。
【0037】
こうして左右3本(前後を含めて6本)の中抜き部材20を上下の支柱2から取り外すことにより、中抜き領域Dを解体する。図12に中抜き領域Dを解体した状態を示す。次いで、組み立て工程と逆の手順で中抜き領域Dの直下の仮足場Cを上から順に下方に向かって最下層の足場まで解体する。
【0038】
解体工程が終了すると、図13に示すように、中抜き領域Dの直上に形成したトラス梁1の下方に、地面からトラス梁1までを高さとする出入口用等の開口部Bが自動的に形成されることになる。
【0039】
中抜き領域Dは、形成したい開口部Bの幅(スパン)、高さに合わせて予めその位置を設定しておく。具体的には、開口部Bの形成予定部位の上部を中抜き領域Dとして設定し、中抜き領域Dでは、支柱2として中抜き部材20を用いて足場を組み、中抜き領域Dの直上にトラス梁1を構築すれば良い。
【0040】
このように、この実施形態では、水平方向に配置された複数本の垂直状の支柱2や、下弦材3、上弦材4、腕木材、斜材5、踏板7等の足場用部材を用い、支柱2を高さ方向に連結することにより、上方に向かって順に足場を組み立てる工程と、高さ方向の中間に所定のスパン例えば4スパンの中抜き領域Dを設定し、中抜き領域Dでは、支柱2として、上下の長さを変更可能な中抜き部材20を用い、中抜き部材20の下端部を下側の支柱2と解除可能に連結し、かつ中抜き部材20の長さを伸張状態に固定する工程と、中抜き部材20の上端部に上側の支柱2を解除可能に連結するとともに、中抜き領域Dの直上にトラス梁1を構築する工程を備えているから、通常の足場の組み立て工程と同様にして、中抜き領域Dの直上にトラス梁1を構築できる。このため、トラス梁1の形成部位の直下の足場から脚立等を使用して無理な体勢でトラス梁1を組み立てる必要も無く、トラス梁1の構築作業を安全にかつ容易に行うことができるから、強固なトラス梁1を構築することができる。
【0041】
しかも、トラス梁1の構築後は、中抜き部材20の長さを伸長状態から縮小方向に変更して中抜き部材20を上下の支柱2から取り外すことで、中抜き領域Dを容易に解体でき、中抜き領域Dの解体後は、中抜き領域Dの下方に形成された仮足場Cを上から下方に向かって順に解体することにより、仮足場Cの解体作業も容易に行うことができ、トラス梁1で補強された出入口等の開口部Bを容易に形成することができる。
【0042】
また、中抜き領域Dを高さ方向の任意の位置に設定することができるから、長いジャッキベースに対して収縮操作を行って抜き取る作業を行わなくても、高さが高い開口部Bを容易に形成することができる。
【0043】
また、この実施形態では、中抜き部材20は、上端部を上側の支柱2に嵌合される第1パイプ21と下端部を下側の支柱2に嵌合される第2パイプ22とを備え、第1パイプ21と第2パイプ22の一方を他方にスライド可能に嵌め込むとともに、伸長方向にスライドさせた状態で両パイプ21、22をサポートピン24を用いてピン結合することにより、中抜き部材20の長さが伸張状態に固定され、ピン結合を解除して縮小方向にスライドさせることにより、中抜き部材20の長さが縮小方向に変更されるから、中抜き層Dの足場の組み立てと解体を容易に行うことができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、中抜き部材20として、上側の第1パイプ21を下側の第2パイプ22内に収容する方向にスライドさせることにより、長さを伸縮可能とし、ピン結合により両パイプを連結して伸張状態に固定したが、上側の第1パイプ21内に下側の第2パイプ22を収容する方向にスライドさせても良い。また、第1パイプ21と第2パイプ22の一方を他方にねじ嵌めし、一方のパイプを回転させて長さを伸縮させても良いし、他の伸縮構造であってもよい。
【0045】
また、前述したように、中抜き領域Dの幅や設置高さは本実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0046】
1 トラス梁
2 支柱
3 上弦材
4 下弦材
5 斜材
7 踏み板
20 中抜き部材
21 第1パイプ
22 第2パイプ
23 ジャッキナット
24 サポートピン
211 ネジ
212 カシメ部
213、214、221 貫通穴
A 足場
B 開口部
C 仮設足場
D 中抜き領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13