(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161071
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】紫外線照射空気殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065603
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012858
【氏名又は名称】パワードライヤー有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】本橋 孝雄
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH14
4C180HH17
4C180HH19
4C180KK01
4C180KK10
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】構造が簡単であるという発明の課題を満足させると同時に、ダクトに入り込んだ空気を所要時間(例えば好ましくは30秒以上の長い時間)ダクトの内部に留まるようにすることにより、空気の殺菌を確実に行うことができること。
【解決手段】室内の内部空間に配備され、ダクトの一端開口部から他端開口部へと流れる空気を紫外線照射手段によって殺菌する紫外線照射空気殺菌装置に於いて、ダクトの内部には、該ダクトの内壁面と略直交状態に接続するように、かつ、一端開口部から他端開口部に向かって所要間隔を有して併設されると共に、該ダクトの内部を流れる空気を蛇行状に案内する一群の仕切板と、空気を殺菌することができるように一群の仕切板の間の全部又は一部に配設された多数の紫外線照射手段とが設けられている紫外線照射空気殺菌装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の内部空間に配備され、ダクトの一端開口部から他端開口部へと流れる空気を紫外線照射手段によって殺菌する紫外線照射空気殺菌装置に於いて、
前記ダクトの内部には、該ダクトの内壁面と略直交状態に接続するように、かつ、前記一端開口部から他端開口部に向かって所要間隔を有して併設されると共に、該ダクトの内部を流れる空気を蛇行状に案内する一群の仕切板と、前記空気を殺菌することができるように前記一群の仕切板の間の全部又は一部に配設された多数の紫外線照射手段とが設けられている紫外線照射空気殺菌装置。
【請求項2】
請求項1の紫外線照射空気殺菌装置に於いて、前記一群の仕切板は、前記ダクトの一側壁部の内壁面に一端部が接続されていると共に、他端部が前記ダクトの他壁部の全部或いは一部が内壁面から離れることより、前記他端部と前記他壁部の内壁面との間に空気の通り道を形成する第1群の仕切板と、逆に前記ダクトの他壁部の内壁面に前記他端部が接続されていると共に、前記一端部の全部或いは一部が前記ダクトの一側壁部の内壁面から離れることより、前記一端部と前記一側壁部の内壁面との間に空気の通り道を形成する第2群の仕切板とから成ることを特徴とする紫外線照射空気殺菌装置。
【請求項3】
請求項1の紫外線照射空気殺菌装置に於いて、前記一群の仕切板は、前記ダクトの内壁面に隙間なく接続すると共に一端部に空気の通り道を形成する第1透孔を有する第1群の仕切板と、同様に前記ダクトの内壁面に隙間なく接続すると共に、前記一端部とは反対側の他端部に空気の通り道を形成する第2透孔を有する2群の仕切板とから成ることを特徴とする紫外線照射空気殺菌装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3の紫外線照射空気殺菌装置に於いて、第1群の仕切板と第2群の仕切板は、前記一端開口部から他端開口部に向けて交互に配設され、少なくとも前記第1群の仕切板と前記第2群の仕切板の間には、合計4個を含む蛍光灯型の紫外線照射手段又は紫外線LEDのいずれか一方が配設されていることを特徴とする紫外線照射空気殺菌装置。
【請求項5】
請求項1の紫外線照射空気殺菌装置に於いて、前記ダクトの開口部から見える仕切板に、前記空気の通り道を狭め、よって、該ダクト内の空気の流速を制御することができる可動式の制御部材を設けたことを特徴とする紫外線照射空気殺菌装置。
【請求項6】
請求項1の紫外線照射空気殺菌装置に於いて、前記一群の仕切板の壁面又は前記ダクトの内壁面のいずれかに、鏡面仕上げ部分又は紫外線反射体のいずれか一方が設けられていることを特徴とする紫外線照射空気殺菌装置。
【請求項7】
請求項1の紫外線照射空気殺菌装置に於いて、殺菌された空気が流れる方のダクトの開口部側に殺菌状態検知手段を設け、この殺菌状態検知手段の検出情報は、情報処理装置に送信され、かつ、該情報処理装置で処理された殺菌状態は、該情報処理装置に接続する表示部に可視的に表示されることを特徴とする紫外線照射空気殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外線照射空気殺菌装置に関し、特に、建物の内部空間に配備される紫外線照射空気殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は紫外線照射空気殺菌装置に関するもので、発明の課題は、「コンパクトで、殺菌する空気の流速が、低速から高速まで、広い流速の範囲で効率良く殺菌できる紫外線照射空気殺菌装置の提供こと」であり、複数個の発明の内、その請求項4には、
図7と共に、ダクト4の内部の入口付近と出口付近に空気の蛇行流路を形成するように、長さが大小の平板状の遮光板7、7、7を、所定間隔を有して配設する技術が記載されている。
【0003】
すなわち、特許文献1の空気殺菌装置には、「2分割されたダクト7の内部の上部ダクト4aと下部ダクト4bのそれぞれの空間であって、前記ダクト4の入口側の吸入用ファン5aが設置される位置の直ぐ後流側の空間部分及び前記ダクトの出口側の吸出用ファン5bが設置される位置の直ぐ上流側の空間部分に、複数枚の長短2種類の平板状の遮光板7が、前記ダクトの軸方向と直交する方向に指向し、かつ、軸方向に隣り合う遮光板7、7間に所定の間隔を置いて、空気の蛇行流路が形成されるような態様にしてそれぞれ設けられている(符号は特許文献1に記載のもの)。」
この特許文献1に記載の発明は、ダクトの内部を蛇行状に流れる空気を殺菌するという限りでは本発明の課題と一致する。しかしながら、特許文献1の発明は、次に列挙するような問題点がある。
(a)殺菌する空気の流速が、低速から高速まで、広い流速の範囲で効率良く殺菌できることを目的とするため、ダクトの両端開口部にそれぞれファンを取付けなければならない。
(b)ダクト4の内部の入口付近と出口付近に空気の蛇行流路を形成するように設けられた長さが大小の遮光板7は、肌がやけどしにいように、すなわち、主にダクトの内部に設けた紫外線ランプ6からの紫外線がダクトの出入り口から漏れないようにするためである。すなちわ、複数枚の長短2種類の平板状の遮光板7は、ダクトに入り込んだ空気を所要時間、例えば30秒以上の長い時間ダクトの内部に留まるようにするものではない。
(c)ダクトの内部には、軸方向に隣会う平面視X状に配設された殺菌用導風板が多数存在するが、該殺菌用導風板の構造は複雑であり、組合せが面倒であると共に、製造コストが高くなる。
(d)1本の紫外線ランプをダクトの中心部に、その軸方向にだけ配設しいる構造なので、空気の流速が低速か高速か如何にかかわらず、紫外線ランプから照射された直進的性質を有する紫外線(UV-C)が、各殺菌用導風板の間の空間部分の隅まで十分に当たらない。それ故、空気の殺菌を確実に行うことができるかどうか疑問である。
【0004】
特許文献2に記載の発明は、空気中の細菌やウイルスを、紫外線(UV-C)を照射して殺し、清浄化された空気を器外に排出する空気清浄器の吹き出し部側に設置されるものであり、器に内装した紫外線(UV-C)を遮断し、器外に漏洩するのを防止することができる、コンパクトで、構造が簡単で、安価な、紫外線カットフィルターを提供することである。
【0005】
この特許文献2に記載の発明は、比較的構造が簡単で、安価なものを提供するという限りでは本発明の課題と一致する。
しかしながら、その解決手段は、「箱体の両端開口部にメッシュ4がそれぞれ取り付けられたフィルターボックスの内部に、ソーダガラスなどで作られた、球状又は多面体状の複数個の玉が複数層、積層して充填する構造体であり」、主として、有害な紫外線(UV-C)を遮断して器外に漏洩することのないようにするという発明の課題を達成するものであるから、本発明とは、技術的原理(発明の課題及び構造)が著しく相違する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6063424号公報の
図7、
図9、請求項4
【特許文献2】特許第6778343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主たる目的は、特許文献1の問題点に鑑み、特許文献2と同様に、比較的構造が簡単であるという発明の課題を満足させると同時に、ダクトに入り込んだ室内の空気を所要時間(例えば好ましくは30秒以上の長い時間)ダクトの内部に留まるようにしながら、紫外線(UV-C)を長い時間滞留中の空気に照射し、よって、空気の殺菌を確実に行うことができる紫外線照射空気殺菌装置を提案することである。第2の目的は、ダクト内を蛇行状に流れる空気の流速を制御することにより、第1の目的を確実に達成することである。その他、紫外線が十分に乱反射すること、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザ等の感染症を予防するために、情報処理装置等を加味することにより、殺菌状態を視認することができること、構成部材の紫外線照射部材及び一群の仕切板を両端開口のダクトに容易に組み込むことができること、紫外線が箱体から漏れない等の各目的は従属項に特定される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の紫外線照射空気殺菌装置は、室内の内部空間に配備され、ダクトの一端開口部から他端開口部へと流れる空気を紫外線照射手段によって殺菌する紫外線照射空気殺菌装置に於いて、前記ダクトの内部には、該ダクトの内壁面と略直交状態に接続するように、かつ、前記一端開口部から他端開口部に向かって所要間隔を有して併設されると共に、該ダクトの内部を流れる空気を蛇行状に案内する一群の仕切板と、前記空気を殺菌することができるように前記一群の仕切板の間の全部又は一部に配設された多数の紫外線照射手段が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
上記構成に於いて、前記一群の仕切板は、前記ダクトの一側壁部の内壁面に一端部が接続されていると共に、他端部が前記ダクトの他壁部の全部或いは一部が内壁面から離れることより、前記他端部と前記他壁部の内壁面との間に空気の通り道を形成する第1群の仕切板と、逆に前記ダクトの他壁部の内壁面に前記他端部が接続されていると共に、前記一端部の全部或いは一部が前記ダクトの一側壁部の内壁面から離れることより、前記一端部と前記一側壁部の内壁面との間に空気の通り道を形成する第2群の仕切板とから成ることを特徴とする。また、前記一群の仕切板は、前記ダクトの内壁面に隙間なく接続すると共に一端部に空気の通り道を形成する第1透孔(例えば一本の水平長孔、複数の透孔など)を有する第1群の仕切板と、同様に前記ダクトの内壁面に隙間なく接続すると共に、前記一端部とは反対側の他端部に空気の通り道を形成する第2透孔(例えば一本の水平長孔、複数の透孔など)を有する2群の仕切板とから成ることを特徴とする。また、前記第1群の仕切板と第2群の仕切板は、前記一端開口部から他端開口部に向けて交互に配設され、少なくとも前記第1群の仕切板と前記第2群の仕切板の間には、合計4個を含む蛍光灯型の紫外線照射手段又は紫外線LEDのいずれか一方が配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、前記ダクトの開口部から見える仕切板に、前記空気の通り道を狭め、よって、該ダクト内の空気の流速を制御することができる可動式の制御部材を設けたことを特徴とする。さらに、前記一群の仕切板の壁面又は前記ダクトの内壁面のいずれかに、鏡面仕上げ部分又は紫外線反射体のいずれか一方が設けられていることを特徴とする。加えて、殺菌された空気が流れる方のダクトの開口部側に殺菌状態検知手段を設け、この殺菌状態検知手段の検出情報は、情報処理装置に送信され、かつ、該情報処理装置で処理された殺菌状態は、該情報処理装置に接続する表示部に可視的に表示されることを特徴とする。
【0011】
ここで請求項1に記載の一群の仕切板の「一群」とは、仕切板が5枚以上~30枚以内をいう。また多数の紫外線照射手段の「多数」とは、4個(4本)以上~29個(29本)以内をいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明を構成するダクトの内部には、その内壁面と略直交状態に接続するように、かつ、一端開口部から開口部に向かって所要間隔を有して併設されると共に、該ダクトの内部を流れる空気を蛇行状に案内する一群の仕切板と、前記空気を殺菌することができるように前記一群の仕切板の間の全部又は一部に配設された多数の紫外線照射手段とが設けられているので、比較的構造が簡単であるという発明の課題を満足させると同時に、ダクトに入り込んだ空気を、ダクトの内部に留まるようにしながら、紫外線(UV-C)を長い時間滞留中の空気に照射し、よって、空気の殺菌を確実に行うことができる。付言すると、室内の内部空間に本装置を配備した場合には、自然流の空気の流路が長くなり、しかも、蛇行状の流路を通過中の空気は、所要時間、多数の紫外線照射手段から次々と照射される紫外線(UV-C)に晒されるので、従来のこの種の空気殺菌装置よりも、紫外線の殺菌効果の増大化を図ることができる。
【0013】
また本発明の紫外線照射空気殺菌装置は、実施形態如何によっては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザ等の感染症を予防するために、情報処理装置等を加味することにより、殺菌状態を、例えば数値、青色、黄色、赤色等の色彩等により視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1乃至
図6は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
図7乃至
図9は本発明の第2実施形態を示す各説明図。
図10乃至
図12は本発明の第3実施形態を示す各説明図。
図13乃至
図15は本発明の第4実施形態を示す説明図。
図16は本発明の第5実施形態を示す説明図。
図17は本発明の第6実施形態を示す説明図。
【
図1】第1実施形態の紫外線照射空気殺菌装置の外観を示す斜視図。
【
図2】多数の紫外線照射手段備えた箱体内に多数の仕切板を併設した概念図。
【
図3】箱体の一部をカットした分解斜視図(多数の仕切板は省略)。
【
図4】箱体の一部をカットした概略断面説明図(多数の仕切板は省略)。
【
図5】箱体の内部に一群の仕切板を配置した場合の概略説明図。
【
図7】本発明の第2実施形態で、
図5と同様の概略説明図。
【
図10】本発明の第3実施形態で、例えば第1実施形態に上下方向にスライド可能な制御板を入口側の最初の仕切板の壁面に取付けた一例を示す説明図。
【
図11】
図10に於いて、要部の概略断面説明図(空気の通り道が全開状態の姿勢)。
【
図12】
図10に於いて、要部の概略断面説明図(空気の通り道が一部絞られた状態の姿勢)。
【
図14】第4実施形態に於いて、要部(空気の通り道が全開状態の姿勢)の説明図。
【
図15】第4実施形態に於いて、要部(空気の通り道が一部絞られた状態の姿勢)の説明図。
【
図16】本発明の第5実施形態で、各実施形態に於いて、紫外線反射体が設けられている旨(便宜上、第1実施形態に加味)の概略説明図。
【
図17】本発明の第6実施形態で、情報処理装置を加味(便宜上、第1実施形態に加味)した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至
図6は本発明の第1実施形態を示す各説明図である。ここで、各図を多少詳しく説明すると、
図1は紫外線照射空気殺菌装置X(以下、「空気殺菌装置」ともいう)の一部をカットした全体の斜視図で、紫外線照射手段は省略している。また
図2は直管状の箱体1(以下、「ダクト」ともいう)、例えば横長のダクト1の内部に多数、例えば合計15枚の仕切板11を該箱体1の入口4側から出口6側へと所定間隔を有して併設すると共に、前記入口側の最初の仕切板の壁面の後方から出口側の最後の仕切板の壁面の前方の間に多数、例えば合計14個の蛍光灯型の紫外線照射手段2又は紫外線LED2のいずれか一方を配設したことを示す概念図である。実施形態では、合計15枚の仕切板11が、請求項1に記載の「一群」に該当する。なお、仕切板11の枚数を15枚に限定するものではない。また紫外線照射手段2は蛍光灯型の紫外線ランプを用いているが、これに限定するものではない。
【0016】
また
図3は直管状の箱体1の一部をカットした分解斜視図で、便宜上多数の仕切板11は省略してある。また
図4は直管状の箱体1の一部をカットした概略断面説明図で、
図3と同様に多数の仕切板11は省略してある。また
図5は
図1で示す直管状の箱体1の内部に一群の仕切板11を上下方向に位置をずらした状態で配置した場合の概略説明図であり、便宜上前記管状の箱体1を仮想線で示すと共に、紫外線照射手段2は省略してある。なお、箱体1は曲管状であっても良い。その場合には、一群の仕切板の形状や厚みは、曲管状箱体1の内周壁に隙間なく接合する円形或いは楕円形状のものとし、円形周壁の縁部分の一部に弧状の切欠部或いは弧状長孔を形成するのが好ましい。また箱体1の材質如何は問わない。
【0017】
さらに、
図6は直管状の箱体1、実施形態では、比較的長い両端開口4、6のダクト1の入口4側から室内の空気Aが大気圧等によって該ダクトに入り込み、多数の矩形又は方形状の一群の仕切板11によって形成された空気の通り道(隙間a、b)を蛇行状に所要時間、好ましくは30秒以上~60秒以内流れ、その照射滞留時間中に空気の殺菌を十分に行う旨の概略説明図である。
【0018】
さて、第1実施形態の空気殺菌装置Xは、建物の室内の内部空間に配備され、箱体の一例であるダクトの一端開口部4から他端開口部6へと大気圧等によって自然に流れる空気を多数の紫外線照射手段2によって殺菌するもので、例えば玄関扉を備えた建物の内部空間を構成する室内用換気扇、空気吹き出し手段、空気誘導手段等を備えた壁面に沿って水平状態、又は垂直状態、或いは又斜めの状態に取付けられる。ここで建物の内部空間は建物の出入り口に開閉扉が存在する場合は、共用部分の各住戸の玄関扉の外壁面に至る共用空間のみならず、各住戸の玄関扉の内壁面以降の専有部分の空間も含まれる。また建物には、住居のみならず、工場、作業所、仕事場、学校、病院、会議室、集会所、運動場、水族館などが含まれる。
【0019】
この空気殺菌装置Xの基本的構成は、一端開口部4及び他端開口部6を有する直管型又は曲管型のダクト1と、該ダクトの内壁面と略直交するように、かつ、前記一端開口部4から他端開口部6に向かって所要間隔を有して併設されると共に、該ダクト内部を流れる空気を蛇行状に案内する一群の仕切板11と、前記空気を殺菌することができるように前記一群の仕切板の間の全部又は一部に配設されたた多数の紫外線照射手段2とから成り、例えば発明の二次的な課題を達成する場合には、後述の第2実施形態で説図するように、可動式の制御部材を加味しても良い。
【0020】
そこで、まず第1実施形態の基本的構成について説明する。例えば直管型のダクト1は、
図3の分解斜視図を参照にすると、両端開口の箱体本体1aと、その下面に長手方向に所定間隔を有して多数の蛍光灯型の紫外線照射手段2が併設された長板状の上壁1bと、この上壁1bと略同一形状・同一の大きさであり、該上壁と対向する長板状の下壁1cとから成る。
【0021】
実施形態では、前記長板状の下壁1cの上面(箱体本体と結合すると内面)に、長手方向に所定間隔を有して多数の蛍光灯型の紫外線照射手段2が設けられている。
【0022】
紫外線照射手段2は、長板状の上壁1bの下面又は長板状の下壁1cの上面のいずれか一方に設けても良いが、好ましい実施形態では、長板状の上壁1bの下面及び長板状の下壁1cの上面に互いに水平方向に位置がずれるように合計4本以上設けるのが望ましい。
【0023】
しかして、
図3を基準にすると、前記箱体本体1aは、図面左側に見える前壁3に、空気A用の矩形或いは方形状の入口4が形成され、その反対側である図面右側の後壁5に、同様に空気A用の矩形或いは方形状の出口6が形成されている。付言すると、前記入口4は直管型のダクト1の一端開口部に相当し、一方、前記出口6はダクト1の他端開口部に相当する。
【0024】
また、箱体本体1aの入口4から見た右側壁7には、その上縁から下端部寄りの部位のまで筋状の垂直切欠部7aと、その下縁から上端部寄りの部位まで筋状の垂直切欠部7bとが、前記入口4側から出口6側まで交互に所定間隔を有して多数形成されている。
一方、前記右側壁7と対向する左側壁8にも、長手方向に多少位置をずらして、その上縁から下端部寄りの部位のまで筋状の垂直切欠部8aと、その下縁から上端部寄りの部位まで筋状の垂直切欠部8bとを多数形成している。なお、ここでは右側壁7の垂直切欠部7a、7bと左側壁8の垂直切欠部8a、8bをまとめて「垂直切欠部」という。
【0025】
ここで
図2を参照にすると、一群の仕切板11は、前記ダクト1の一側壁部(上壁)1bの内壁面に一端部が接続されていると共に、他端部が前記ダクトの他壁部(下壁)1cの全部或いは一部(端部の一部に切欠がある場合)が内壁面から離れることより、前記他端部と前記他壁部の内壁面との間に空気の通り道aを形成する第1群の仕切板11aと、逆に前記ダクトの他壁部(下壁)1cの内壁面に前記他端部が接続されていると共に、前記一端部の全部或いは一部(端部の一部に切欠がある場合)が前記ダクトの一側壁部(上壁)1bの内壁面から離れることより、前記一端部と前記一側壁部の内壁面との間に空気の通り道bを形成する第2群の仕切板11bとから成る。
【0026】
そして、前記下方に位置する空気の通り道aと前記上方に位置する空気の通り道bは、各上下の位置を水平方向に順番に繰り返している。なお、ここで、第1群の仕切板11aと第2群の仕切板11bをまとめて「一群の仕切板11」という。
【0027】
したがって、前記上下の空気の通り道(a、b)を含め、箱体1の入口4から入り込んだ室内の空気Aは、望ましくは第1群の仕切板11aと第2群の仕切板11bの間に位置する多数の紫外線照射手段2にそれぞれ照射されながら、例えば
図6で示すように、所要時間をかけて蛇行状に出口6側へと大気圧等によって流れて行く。なお、ここで「所要時間」の一例として「30秒以上」と記載したが、例えば新型コロナウイルスの不活化効果は、紫外線の波長と空気の紫外線の照射滞留時間との関係で決定することができるので、新型コロナウイルスの不活化の条件は、空気殺菌装置Xの基本的構成を考慮し、箱体の形状・大きさ・長さ、仕切板の枚数・厚さ・材質、仕切板の表面と裏面に対するめっきによる金属被膜(例えば鍍金膜、鍍銀膜など)、空気の滞留時間、処理風量を確保するための紫外線照射手段の種類・数・特性・配置態様等に関しては、当業者が試行錯誤により知見し得る事項であり、例えば箱体は長箱状とし、また仕切板は5枚以上~30枚以内とし、紫外線照射手段2が紫外線ランプである場合には、4本以上~29本以内として実験をすべきである。
【0028】
なお、本発明は、仕切板の多数の概念を4本以上~29本以内に限定するものではなく、例えば
図1で示した紫外線照射空気殺菌装置Xを複数個連結することも可能であるから、そのような実施形態の場合には、全体として仕切板及び紫外線照射手段2が増える。
【0029】
ところで、例えば
図1を参照にすると、ダクト1内に入り込んだ空気Aは、通り道aと通り道bを順番に通過することから、上下方向に蛇行状にながれるが、仮に、
図1を左右何れか一方に90度回転した場合には、前記通り道aと通り道bは、左右に位置することになるから、このような場合にはダクト1内に入り込んだ空気Aは、左右に蛇行状に流れることになる。したがって、本発明は、空気Aが左右に蛇行状に流れる実施形態を排除するものではない。
【0030】
また
図5は、箱体1の内部に一群の仕切板11を配置した場合の概略説明図であるが、実施形態では、複数の固着具、接着剤等の固定手段を利用し、箱体本体1aに長板状の上壁1bと下壁1cとを固定し、両端開口のダクト1に製作した場合には、左右の側壁7、8の各垂直切欠部7a、7b、8a、8bにそれぞれ第1群の仕切板11aと第2群の仕切板11bを差し込み、これにより、例えば
図2の状態にする。したがって、構成部材の紫外線照射2及び一群の仕切板11を前記多数の垂直切欠部7a、7b、8a、8b介して両端開口のダクト1に容易に組み込むことができるという効果を得ることができる。
【実施例0031】
この欄では、本発明の第2実施形態、3実施形態などを説明する。なお、これらの実施形態を説明するにあたって、第1実施形態と同一の部分については、同一又は同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
まず、
図7乃至
図9は本発明の第2実施形態を示す各説明図である。
図7は、
図5と同様の概略説明図であるから、箱体1は仮想線で示すと共に、紫外線照射手段2は省略する。
図8は矩形状の仕切板11Aの一端部に水平長孔状の透孔(通り道a1と通り道b1)を形成したことを示す。
図9は
図2と同様の概念図であるが、矩形状の仕切板11Aを逆様すると、前記一端部に水平長孔状の透孔(通り道a1と通り道b1)は逆様になる。ここでは便宜上、仕切板11Aに下方に位置する水平長孔状を「第1透孔a1」とし、一方、仕切板11Aに上方に位置する水平長孔状を「第2透孔b1」とする。
したがって、
図9は
図2と同様の概念図であるが、空気Aが仕切板11Aに形成した下方の第1透孔a1と上方の第2透孔b1を繰り返して通過することになる。
【0033】
それ故に、第2実施形態の紫外線照射空気殺菌装置X1は、その一群の仕切板11Aは、ダクト1の内壁周面に隙間なく接続すると共に一端部に空気Aの通り道を形成する第1透孔(例えば一本又は複数本の水平長孔、複数の透孔など)a1を有する第1群の仕切板11aと、同様に前記ダクト1の内壁周面に隙間なく接続すると共に、前記一端部とは反対側の他端部に空気の通り道を形成する第2透孔(例えば一本又は複数本の水平長孔、複数の透孔など)b1を有する2群の仕切板11bとから成ることを特徴とする。このように構成しても、第1実施形態と同一の作用・効果がある。
【0034】
次に
図10乃至
図12は本発明の第3実施形態を示す各説明図で、
図10は、例えば第1実施形態に対して、垂直案内部(例えば摩擦抵抗があるスリット、切欠部など)14を介して上下方向にスライド可能な矩形状の制御板15を入口4側の最初の仕切板の壁面11aに取付けた一例を示す説明図である。
【0035】
また
図11は、
図10に於いて、要部の概略断面説明図で、空気Aの通り道aが全開状態の姿勢を示す。一方、
図12は、
図10に於いて、同様に要部の概略断面説明図、空気Aの通り道aが、前記矩形状の制御板15によって一部絞られた状態の姿勢を示す。なお、制御板15で空気Aの通り道aを狭くした場合には、該制御板15が自然落下しないように、ネジ、テープ等の固定手段を利用し、制御板15を仕切板に適宜に固定する。
したがって、この第3実施形態は、第1実施形態の構成に於いて、ダクト1の一端開口(入口)4から見える仕切板11aに、前記空気Aの最初の通り道aを狭め、よって、該ダクト内1の空気Aの流速を制御することができる可動式の制御部材15を設けたことを特徴とする。なお、前記制御板15の取付け場所に関しては、出口6側の最後の仕切板の壁面に取付けても良い。
【0036】
次に
図13乃至
図15は本発明の第4実施形態を示す説明図である。特に
図14は要部であり、空気の通り道が全開状態の姿勢の説明図である。一方、
図15は、
図14に於いて、空気の通り道が一部絞られた状態の姿勢を示す。この第4実施形態は、前記第2実施形態に対して、前記第3実施形態の上下方向にスライド可能な矩形状の制御板15を、回転可能な円板状の摘み部を有する制御部材(例えば制御板)15Aに置換したものである。この場合、少なくとも入口4側の最初の仕切板の第1透孔a1は、水平長孔ではなく、周端部の一部に弧状切欠部15aを有する円板状の制御板15Aの形状に対応させて「上向き弧状」に形成するのが望ましい。このように構成しても、第3実施形態と同様に、該ダクト内1の空気Aの流速を制御することができる。
【0037】
次に
図16は本発明の第5実施形態を示す説明図である。第5実施形態は、一群の仕切板11の壁面又はダクト1の内壁面のいずれかに、鏡面仕上げ部分又は紫外線反射体16のいずれか一方が設けられていることを特徴とする。この第5実施形態では、紫外線ランプ2が取り付けられた内壁面の反対側に相当する内壁面に帯状の紫外線反射体16を貼着している。なお、ダクト1の内壁面の全体を鏡面仕上げ部分にしても良い。
【0038】
最後に
図17は本発明の第6実施形態を示す説明図である。今や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザ等の感染症を予防するために、手洗いや消毒は欠かすことができない。
【0039】
現在、世界中の人々は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンが全世界の人々が満足するような状態になるに至るまでの間は、毎日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染するリスクと共に日常生活をおくらなければならない。
【0040】
ところで、新型コロナウイルス感染症対策の一つとして、日本国の厚生労働省(新型コロナウイルス感染症対策テックチーム等)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止策の1つとして「新型コロナウイルス接触確認アプリ(以下、本明細書では、「殺菌状態検知手段(検知アプリ)」という。)」の仕様書を2020年5月26日に公表し、殺菌状態検知手段(検知アプリ)を2020年6月19日にリリースした。
したがって、殺菌状態検知手の一例として、室内設置の端末が殺菌状態検知手段をインストールした場合には、情報処理装置、通信網及び測定情報管理サーバ等のシステムにより、前記殺菌状態検知手段を有する紫外線照射空気殺菌装置から、新型コロナウイルスが室内に持ち込まれたか否かを監視することができる。
【0041】
そこで、第6実施形態は、例えば殺菌された空気が流れる方のダクト1の開口部6側に短筒状部17を連設し、この短筒状部17にアーム18を介して殺菌状態検知手段19を格納する端末を取り外し可能に設け、この殺菌状態検知手段の検出情報(例えば新型コロナウイルスが存在する情報)は、情報処理装置30に有線又は無線で送信され、かつ、該情報処理装置30で処理された殺菌状態に関するデータは、該情報処理装置に接続する該情報処理装置の表示部36又は測定情報管理サーバ38の表示部39のいずれか一方に可視的に表示されることを特徴とする紫外線照射空気殺菌装置X2である。
【0042】
なお、殺菌状態検知手段(検知アプリ)は、ダクト1の内部を流れる空気が、少なくとも30秒以上乃至60秒以下の滞留時間帯の中で、新型コロナウイルスを構成する特定のウイルス組成物(small living things)を検出する機能を有するものとする。
【0043】
ここで
図17を参照にすると、空気殺菌装置X2は、ダクト1の内部又は外部のいずれかに情報処理装置30が直接又は間接的に設けられ、前記情報処理装置30は殺菌状態検知手段19が検知した空気の殺菌状態が記憶部に記録した情報の範囲内であるか否か、或いは特定情報と一致するか否か等を判断し、該判断結果を出力する。
【0044】
具体的には、情報処理装置30は、殺菌状態検知手段19と接続し、該殺菌状態検知手段が検知した情報を取得する入力部31、この入力部が取得した前記殺菌状態情報と、予め比較するための登録情報(閾値、特定のウイルス組成物に関する特定情報)等を記憶する記憶部32、記憶部の登録情報と入力部が取得した検知情報とを比較し、例えば閾値を超えたか否か、或いは閾値よりも下がったか否か、或いは又閾値を基準とする所定の範囲内であるか否か、特定のウイルス組成物に関する特定情報と一致するか否か等を判断する評価部(判定手段)33、評価部が判断した結果を、ダクト側の表示部36又は/及びサーバ側の表示部39等に出力する出力部34を有している。
【0045】
なお、符号35は情報処理装置30の制御部である。また出力部34は情報送信手段を備え、該情報受信手段と接続する通信網37の先には、測定情報を管理する測定情報管理サーバ38が有線又は無線で接続されている。
【0046】
この第6実施形態では、本発明の各実施形態に情報処理装置を加味することにより、殺菌状態を数値、色彩等により、前記表示部36、39で視認することができるという効果がある。もちろん、殺菌状態を音声等の報知手段で知らせても良い。