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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161081
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】箔転写装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/24 20060101AFI20221014BHJP
   B65C 9/40 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
B65C9/24
B65C9/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065625
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
【テーマコード(参考)】
3E095
【Fターム(参考)】
3E095AA20
3E095BA10
3E095CA10
3E095DA42
3E095DA59
3E095FA30
(57)【要約】
【課題】箔の無駄な消費を抑制すること。
【解決手段】制御部は、複数のシートSに箔転写する際、加熱ローラと加圧ローラを圧接させたまま複数のシートSに箔転写する連続転写処理と、シートSの先端が各ローラ間の転写位置に到達する前の所定タイミングで各ローラを圧接させ、箔転写するように設定された箔転写領域TAの後端が剥離部材を通過した後に各ローラを離間させる箔節約処理を選択的に実行する。制御部は、第1シートS1上の箔転写領域TAの後端から第1シートS1の後端までの距離をLm、転写位置から剥離部材までの距離をLp、連続転写処理でのシート間隔をLs、第1シートS1の次に搬送される第2シートS2の先端の所定タイミングにおける位置から転写位置までの距離をLtとして、Lp>Ls、かつ、Lp-Lm+Lt<Lsという判定条件を満たす場合、箔節約処理を実行し、判定条件を満たさない場合、連続転写処理を実行する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、前記シートに前記箔を転写する箔転写装置であって、
前記箔フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラと、
前記加熱ローラとの間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟んだ状態で回転することで前記箔フィルムと前記シートを搬送する加圧ローラと、
前記箔フィルムを前記シートから剥離させる剥離部材であって、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラよりも下流に位置する剥離部材と、
前記加熱ローラと前記加圧ローラを圧接または離間させる圧接離間機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
複数のシートに対して箔を転写する場合には、
前記加熱ローラと前記加圧ローラを圧接させたまま、複数のシートに対して箔を転写する連続転写処理と、
シートの先端が、前記加熱ローラと前記加圧ローラの間の転写位置に到達する前の所定タイミングで前記加熱ローラと前記加圧ローラを圧接させ、箔を転写するように設定された箔転写領域の後端が前記剥離部材を通過した後に前記加熱ローラと前記加圧ローラを離間させる箔節約処理と、を選択的に実行可能であり、
第1シート上の箔転写領域の後端から前記第1シートの後端までの距離である後端余白長さをLm、前記転写位置から前記剥離部材までの距離である剥離長さをLp、前記連続転写処理でのシート間隔をLs、前記第1シートの次に搬送される第2シートの先端の前記所定タイミングにおける位置から前記転写位置までの距離である転写準備長さをLtとして、
Lp>Ls、かつ、Lp-Lm+Lt<Ls
という判定条件を満たす場合には、前記箔節約処理を実行し、
前記判定条件を満たさない場合には、前記連続転写処理を実行することを特徴とする箔転写装置。
【請求項2】
シートの長さを検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部で検出したシートの長さから、シートの先端から当該シート上の箔転写領域の後端までの長さを引くことで、前記後端余白長さLmを算出することを特徴とする請求項1に記載の箔転写装置。
【請求項3】
前記箔節約処理を実行するか否かを設定する設定部と、
前記箔節約処理の実行が設定されていることを表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箔転写装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記箔節約処理の実行が設定されているときにおいて、前記連続転写処理を実行する場合には、前記箔節約処理を一時的に行わないことを前記表示部に表示することを特徴とする請求項3に記載の箔転写装置。
【請求項5】
前記表示部は、光を発する表示ランプを有し、
前記制御部は、前記表示ランプを点灯させることで、前記箔節約処理の実行が設定されていることを表示することを特徴とする請求項4に記載の箔転写装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記表示ランプの点灯状態を変更させることで、前記箔節約処理を一時的に行わないことを表示することを特徴とする請求項5に記載の箔転写装置。
【請求項7】
前記表示部は、画像を表示する画面を有し、
前記制御部は、前記画面に、前記箔節約処理の実行が設定されていることを示す文字の画像を表示することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の箔転写装置。
【請求項8】
前記表示部は、画像を表示する画面を有し、
前記制御部は、前記画面に、前記箔節約処理を一時的に行わないことを示す文字の画像を表示することを特徴とする請求項4に記載の箔転写装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記画面に、前記箔節約処理の実行が設定されていることを示す文字の画像を表示することを特徴とする請求項8に記載の箔転写装置。
【請求項10】
前記表示部は、光を発する表示ランプを有し、
前記制御部は、前記表示ランプを点灯させることで、前記箔節約処理の実行が設定されていることを表示することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の箔転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに箔を転写する箔転写装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箔転写装置として、加熱ローラと、加熱ローラとの間でシートおよび箔フィルムを挟む加圧ローラと、加熱ローラと加圧ローラの状態を圧接状態と離間状態とに切り替える制御部とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。具体的に、この技術では、複数のシートに対して箔転写を行う場合に、通常モードと、箔節約モードとを選択可能となっている。
【0003】
通常モードにおいて、制御部は、加熱ローラと加圧ローラを圧接状態にしたまま、複数のシートを所定のシート間隔で搬送する。箔節約モードにおいて、制御部は、箔を転写するように設定された箔転写領域に応じて、加熱ローラと加圧ローラの状態を圧接状態と離間状態とに切り替えることで、加熱ローラと加圧ローラの間で搬送される箔フィルムの無駄な搬送を抑制し、箔の無駄な消費を抑えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-121467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数のシートに対して箔転写を行う場合には、箔転写領域の位置・大きさによっては、箔節約モードよりも通常モードの方が、箔の無駄な消費が抑制される場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、箔の無駄な消費を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る箔転写装置は、箔を含む箔フィルムにシートを重ねて、前記シートに前記箔を転写する装置である。
前記箔転写装置は、前記箔フィルムおよび前記シートを加熱する加熱ローラと、前記加熱ローラとの間で前記箔フィルムおよび前記シートを挟んだ状態で回転することで前記箔フィルムと前記シートを搬送する加圧ローラと、前記箔フィルムを前記シートから剥離させる剥離部材であって、前記シートの搬送方向において前記加熱ローラよりも下流に位置する剥離部材と、前記加熱ローラと前記加圧ローラを圧接または離間させる圧接離間機構と、制御部と、を備える。
前記制御部は、複数のシートに対して箔を転写する場合には、前記加熱ローラと前記加圧ローラを圧接させたまま、複数のシートに対して箔を転写する連続転写処理と、シートの先端が、前記加熱ローラと前記加圧ローラの間の転写位置に到達する前の所定タイミングで前記加熱ローラと前記加圧ローラを圧接させ、箔を転写するように設定された箔転写領域の後端が前記剥離部材を通過した後に前記加熱ローラと前記加圧ローラを離間させる箔節約処理と、を選択的に実行可能である。
前記制御部は、第1シート上の箔転写領域の後端から前記第1シートの後端までの距離である後端余白長さをLm、前記転写位置から前記剥離部材までの距離である剥離長さをLp、前記連続転写処理でのシート間隔をLs、前記第1シートの次に搬送される第2シートの先端の前記所定タイミングにおける位置から前記転写位置までの距離である転写準備長さをLtとして、
Lp>Ls、かつ、Lp-Lm+Lt<Ls
という判定条件を満たす場合には、前記箔節約処理を実行し、前記判定条件を満たさない場合には、前記連続転写処理を実行する。
【0008】
この構成によれば、Lp>Ls、かつ、Lp-Lm+Lt<Lsという判定条件を満たす場合、つまり連続転写処理よりも箔節約処理の方が箔の搬送量が小さい場合には、制御部が箔節約処理を実行するので、箔の無駄な消費を抑制することができる。また、判定条件を満たさない場合、つまり箔節約処理よりも連続転写処理の方が箔の搬送量が小さい場合には、制御部が連続転写処理を実行するので、箔の無駄な消費を抑制することができる。
【0009】
また、前記箔転写装置は、シートの長さを検出する検出部を備え、前記制御部は、前記検出部で検出したシートの長さから、シートの先端から当該シート上の箔転写領域の後端までの長さを引くことで、前記後端余白長さLmを算出してもよい。
【0010】
この構成によれば、検出部によってシートの長さが検出されるので、ユーザがシートの長さを入力する必要がない。
【0011】
また、前記箔転写装置は、前記箔節約処理を実行するか否かを設定する設定部と、前記箔節約処理の実行が設定されていることを表示する表示部をさらに備えていてもよい。
【0012】
この構成によれば、箔節約処理の実行が設定されていることが表示部に表示されるので、箔節約処理の実行が設定されていることをユーザが知ることができる。
【0013】
また、前記制御部は、前記箔節約処理の実行が設定されているときにおいて、前記連続転写処理を実行する場合には、前記箔節約処理を一時的に行わないことを前記表示部に表示してもよい。
【0014】
この構成によれば、箔節約処理の実行が設定されているときにおいて、連続転写処理が実行される場合には、箔節約処理を一時的に行わないことが表示部に表示されるので、箔転写装置の動作音の違いによって箔節約処理が実行されていないとユーザが不信感を抱くことがない。
【0015】
また、前記表示部は、光を発する表示ランプを有し、前記制御部は、前記表示ランプを点灯させることで、前記箔節約処理の実行が設定されていることを表示してもよい。
【0016】
また、前記制御部は、前記表示ランプの点灯状態を変更させることで、前記箔節約処理を一時的に行わないことを表示してもよい。
【0017】
また、前記表示部は、画像を表示する画面を有し、前記制御部は、前記画面に、前記箔節約処理の実行が設定されていることを示す文字の画像を表示してもよい。
【0018】
また、前記表示部は、画像を表示する画面を有し、前記制御部は、前記画面に、前記箔節約処理を一時的に行わないことを示す文字の画像を表示してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、箔の無駄な消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る箔転写装置を示す図(a)と、箔フィルムの構成を示す断面図(b)である。
図2】箔転写装置のカバーを開けた状態を示す図である。
図3】制御部、各センサ、各モータ、操作パネルの接続を説明する図である。
図4】全面転写モードでの圧接範囲を示す図(a)と、先端転写モードでの箔転写領域と圧接範囲を示す図(b)である。
図5】中間転写モードでの箔転写領域と圧接範囲を示す図(a)と、後端転写モードでの箔転写領域と圧接範囲を示す図(b)である。
図6】箔の無駄な消費が抑制される理由について説明するための図(a),(b)である。
図7】箔転写装置の外表面に設けられる操作パネルを示す斜視図(a)と平面図(b)である。
図8】箔節約モード設定処理を示すフローチャートである。
図9】箔節約モードが選択された状態における制御部の動作を示すフローチャートである。
図10】表示部の状態を示す図(a)~(c)である。
図11】画面に表示する文字の画像の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、箔転写装置の全体構成を簡単に説明した後、本願発明の特徴部分の構成について説明する。
以下の説明において、方向は、図1に示す方向で説明する。すなわち、図1の右側を「前」とし、図1の左側を「後」とし、図1の紙面手前側を「左」とし、図1の紙面奥側を「右」とする。また、図1の上下を「上下」とする。
【0022】
図1(a)に示すように、箔転写装置1は、例えばレーザプリンタ等の画像形成装置でシートSにトナー像を形成した後、シートSのトナー像の上にアルミニウム等の箔を転写するための装置である。箔転写装置1は、筐体2と、シートトレイ3と、シート搬送部10と、フィルム供給部30と、転写部50とを備えている。
【0023】
筐体2は、樹脂などからなり、筐体本体21と、カバー22とを備えている。筐体本体21は、上部に開口21A(図2参照)を有している。開口21Aは、筐体本体21に後述するフィルムユニットFUを着脱するための開口である。カバー22は、開口21Aを開閉するための部材である。カバー22の後端部は、筐体本体21に回動可能に支持されている。カバー22は、開口21Aを閉じる閉位置(図1(a)の位置)と、開口21Aを開放する開位置(図2の位置)との間で回動可能となっている。
【0024】
シートトレイ3は、用紙、OHPフィルム等のシートSが載置されるトレイである。シートトレイ3は、筐体2の後部に設けられている。なお、シートSは、トナー像が形成された面を下向きにしてシートトレイ3上に載置される。シートトレイ3には、シートトレイ3に載置されたシートSを検知するシートトレイセンサSS0が設けられている。シートトレイセンサSS0は、シートトレイ3にシートSが載置されている場合にONとなり、シートSが載置されていない場合にOFFとなる。
【0025】
シート搬送部10は、シート供給機構11と、シート排出機構12とを備えている。シート供給機構11は、シートトレイ3上のシートSを一枚ずつ転写部50に向けて搬送する機構である。シート供給機構11は、ピックアップローラ11Aと、リタードローラ11Bと、レジストレーションローラ11Cと、を備えている。
【0026】
ピックアップローラ11Aは、シートトレイ3上のシートSを転写部50に向けて供給するためのローラである。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aによって搬送されるシートSを1枚に分離するためのローラである。
【0027】
リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aの上に配置されている。リタードローラ11Bは、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSの上に重なっているシートSをシートトレイ3に向けて戻す方向に回転可能となっている。
【0028】
レジストレーションローラ11Cは、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。レジストレーションローラ11Cは、シートSの搬送方向(以下、単に「搬送方向」ともいう。)における転写部50の上流に配置され、ピックアップローラ11Aで送り出されるシートSを転写部50に搬送する。
【0029】
シート排出機構12は、転写部50を通過したシートSを筐体2の外部に排出する機構である。シート排出機構12は、下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bを備えている。
【0030】
下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bは、それぞれ、2つのローラからなり、これらのローラの間でシートSを挟んだ状態で各ローラが回転することで、シートSを搬送可能となっている。下流側搬送ローラ12Aは、転写部50と排出ローラ12Bとの間に配置され、転写部50から送り出されるシートSを排出ローラ12Bに搬送する。排出ローラ12Bは、シートSの搬送方向において下流側搬送ローラ12Aの下流側に配置され、下流側搬送ローラ12Aで送り出されるシートSを筐体2の外に排出する。
【0031】
フィルム供給部30は、シート供給機構11から搬送されたシートSに重ねるように箔フィルムFを供給する部分である。フィルム供給部30は、フィルムユニットFUを備えている。
【0032】
フィルムユニットFUは、図2に示すように、後述する供給リール31の軸方向に直交する方向において、開口21Aを通過して筐体本体21に着脱可能となっている。フィルムユニットFUは、供給リール31と、巻取リール35と、第1案内軸41と、剥離部材の一例としての剥離軸42と、第2案内軸43とを備えている。フィルムユニットFUの供給リール31には、箔フィルムFが巻回されている。
【0033】
図1(b)に示すように、箔フィルムFは、複数の層からなるフィルムである。詳しくは、箔フィルムFは、支持層F1と、被支持層F2とを有する。支持層F1は、高分子材料からなるテープ状の透明な基材であり、被支持層F2を支持している。被支持層F2は、例えば、剥離層F21と、転写層F22と、接着層F23とを有する。剥離層F21は、支持層F1から転写層F22を剥離しやすくするための層であり、支持層F1と転写層F22との間に配置されている。剥離層F21は、支持層F1から剥離しやすい透明な材料、例えばワックス系樹脂を含んでいる。
【0034】
転写層F22は、トナー像に転写される層であり、箔を含んでいる。箔とは、金、銀、銅、アルミニウム等の薄い金属である。また、転写層F22は、金色、銀色、赤色などの着色材料と、熱可塑性樹脂とを含む。転写層F22は、剥離層F21と接着層F23との間に配置されている。
【0035】
接着層F23は、転写層F22をトナー像に接着しやすくするための層である。接着層F23は、後述する転写部50によって加熱されたトナー像に付着しやすい材料、例えば塩化ビニル系樹脂やアクリル系樹脂を含んでいる。
【0036】
供給リール31は、樹脂などからなり、箔フィルムFが巻回される供給軸部31Aを有している。供給軸部31Aには、箔フィルムFの一端が固定されている。
【0037】
巻取リール35は、樹脂などからなり、箔フィルムFを巻き取るための巻取軸部35Aを有している。巻取軸部35Aには、箔フィルムFの他端が固定されている。
【0038】
なお、図1等においては、便宜上、供給リール31および巻取リール35の両方に箔フィルムFが最大に巻回された状態を図示することとする。実際には、フィルムユニットFUが新品の状態においては、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となっており、巻取リール35には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となっている。また、フィルムユニットFUの寿命時(箔フィルムFを使い切ったとき)においては、巻取リール35に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最大となり、供給リール31には箔フィルムFが巻回されていない、もしくは、供給リール31に巻回されたロール状の箔フィルムFの径は最小となる。
【0039】
第1案内軸41、剥離軸42および第2案内軸43は、箔フィルムFの進行方向を変更するための軸である。第1案内軸41、剥離軸42および第2案内軸43は、SUS(ステンレス鋼)などからなっている。
【0040】
第1案内軸41は、シートSの搬送方向において、転写部50の上流に位置する。第1案内軸41は、供給リール31から引き出される箔フィルムFの進行方向を、シートSの搬送方向と略平行となるように変更する。
【0041】
このような第1案内軸41によって案内される箔フィルムFは、被支持層F2(図1(b)参照)を上に向けた状態で、転写部50に向けて搬送される。また、シートSは、被支持層F2が上に向いた状態の箔フィルムFの上に重ねられて、箔フィルムFとともに転写部50に向けて搬送される。
【0042】
剥離軸42は、シートSの搬送方向において、転写部50の下流に位置する。剥離軸42は、転写部50を通過した箔フィルムFの進行方向をシートSの搬送方向とは異なる方向に変更することで、箔フィルムFをシートSから剥離させる。
【0043】
第2案内軸43は、シートSから箔フィルムFを剥離させるときの箔フィルムFの角度(以下、「剥離角度」ともいう。)を規定している。ここで、剥離角度は、箔フィルムFのうち、第1案内軸41と剥離軸42の間で張架される部分と、剥離軸42と第2案内軸43の間で張架される部分とのなす角である。第2案内軸43は、剥離軸42で案内された箔フィルムFの進行方向を変更して巻取リール35に案内している。
【0044】
転写部50は、シートSと箔フィルムFを重ねた状態で加熱および加圧することで、シートSに形成されたトナー像の上に転写層F22を転写するための部分である。転写部50は、加圧ローラ51と、加熱ローラ61と、圧接離間機構70とを備えている。転写部50は、加圧ローラ51と加熱ローラ61のニップ部において、シートSと箔フィルムFを重ねて加熱および加圧する。
【0045】
加圧ローラ51は、円筒状の芯金の周囲をシリコンゴムからなるゴム層で被覆したローラである。加圧ローラ51は、箔フィルムFの上側に配置され、シートSの裏面(トナー像が形成された面と反対側の面)と接触可能となっている。
【0046】
加圧ローラ51は、両端部がカバー22に回転可能に支持されている。加圧ローラ51は、加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟み、回転駆動されることで加熱ローラ61を従動回転させる。このように加圧ローラ51と加熱ローラ61との間でシートSおよび箔フィルムFを挟んだ状態で、加圧ローラ51および加熱ローラ61が回転することで、シートSおよび箔フィルムFが搬送される。なお、加熱ローラ61が回転駆動されることで加圧ローラ51が従動回転される構成としてもよい。
【0047】
加熱ローラ61は、円筒状に形成された金属管の内部にヒータを配置したローラであり、箔フィルムFおよびシートSを加熱する。加熱ローラ61は、箔フィルムFの下側に配置され、箔フィルムFと接触している。
【0048】
圧接離間機構70は、加熱ローラ61および加圧ローラ51のうち一方のローラを、他方のローラに圧接した圧接位置と、他方のローラから離間した離間位置との間で移動させる機構である。本実施形態では、圧接離間機構70は、加熱ローラ61を、図1に実線で示す圧接位置と、図1に二点鎖線で示す離間位置との間で移動させることで、加熱ローラ61を箔フィルムFに対して圧接・離間させている。ここで、圧接位置は、加熱ローラ61が加圧ローラ51に圧接した位置である。また、離間位置は、加熱ローラ61が加圧ローラ51から離間した位置である。
【0049】
このように構成された箔転写装置1では、シートSの表面を下向きにしてシートトレイ3に載置されたシートSが、シート供給機構11により一枚ずつ転写部50に向けて搬送される。シートSは、転写部50のシート搬送方向における上流側で、供給リール31から供給された箔フィルムFと重ねられ、シートSのトナー像と箔フィルムFが接触した状態で転写部50に搬送される。
【0050】
転写部50においては、シートSと箔フィルムFが加圧ローラ51と加熱ローラ61の間のニップ部を通過する際に、加熱ローラ61と加圧ローラ51により加熱および加圧され、トナー像の上に転写層F22、つまり、箔が転写される。
【0051】
箔転写が行われた後、シートSと箔フィルムFは密着した状態で剥離軸42まで搬送される。シートSと箔フィルムFが剥離軸42を通過すると、箔フィルムFの搬送方向がシートSの搬送方向と異なる方向に変わるため、シートSから箔フィルムFが剥離される。
【0052】
シートSから剥離された箔フィルムFは、巻取リール35に巻き取られていく。一方、箔フィルムFが剥離されたシートSは、シート排出機構12によって、箔が転写された表面を下に向けた状態で、筐体2の外部に排出される。
【0053】
図3に示すように、箔転写装置1は、搬送モータ80と、クラッチ81,82と、接離モータ90と、カムCAと、離間センサSAと、制御部100と、操作パネルPAとをさらに備えている。
【0054】
搬送モータ80は、ピックアップローラ11A、リタードローラ11B、レジストレーションローラ11Cおよび加圧ローラ51を駆動するためのモータである。ピックアップローラ11Aは、クラッチ81を介して搬送モータ80から駆動が入力される。レジストレーションローラ11Cは、クラッチ82を介して搬送モータ80から駆動が入力される。なお、図示は省略するが、搬送モータ80の駆動力は、下流側搬送ローラ12Aおよび排出ローラ12Bにも伝達される。
【0055】
接離モータ90は、カムCAを駆動して、加熱ローラ61を圧接位置と離間位置との間で移動させるためのモータである。加熱ローラ61が離間位置にある場合に、カムCAが接離モータ90から駆動を受けて回転すると、加熱ローラ61を支持するフレームを押し上げて加熱ローラ61を離間位置から圧接位置に移動させる。また、加熱ローラ61が圧接位置にある場合に、カムCAが接離モータ90から駆動を受けて回転すると、カムCAによるフレームの押し上げが解除される。カムCAによるフレームの押し上げが解除されると、加熱ローラ61は、自重により、圧接位置から離間位置に移動する。
【0056】
離間センサSAは、加熱ローラ61の位置を検知するセンサである。具体的には、離間センサSAは、加熱ローラ61を支持するフレームを検知することで、加熱ローラ61が離間位置に位置するときONとなり、離間位置に位置しないときにOFFとなる。離間センサSAは、例えば、光センサであり、圧接離間機構70の近傍に設けられている。
【0057】
ピックアップローラ11Aとレジストレーションローラ11Cとの間には、検出部の一例としてのシートセンサSS1が設けられている。シートセンサSS1は、シートの搬送方向において加熱ローラ61よりも上流に配置され、シートSを検出するセンサである。シートセンサSS1は、シートSの長さ、具体的にはシートSの先端および後端の通過を検出可能である。シートセンサSS1は、例えば、シートSが接触することで回動するレバーと、レバーの位置を検知する光センサとからなるセンサを用いることができる。なお、本願にいうシートSの先端は、シートSの搬送方向における前方の端の意味である。
【0058】
制御部100は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。制御部100は、シートSの搬送方向におけるシートSの全範囲に箔フィルムFを圧接させて転写を実行する全面転写モードと、ユーザによって設定された箔転写領域TAに箔フィルムFを圧接させて転写を実行する箔セーブモードと、を実行可能である。なお、全面転写モードおよび箔セーブモードは、シートSの幅方向においてシートSの一部の範囲においてのみ箔フィルムFがシートSと圧接する場合を含む。
【0059】
箔セーブモードには、図4(b)に示す先端転写モードと、図5(a)に示す中央転写モードと、図5(b)に示す後端転写モードが含まれる。先端転写モードは、シートSの先端から所定範囲の部分を箔転写領域TAとして設定するモードである。中央転写モードは、シートSの先端および後端から離れた部分を箔転写領域TAとして設定するモードである。後端転写モードは、シートSの後端から所定範囲の部分を箔転写領域TAとして設定するモードである。
【0060】
全面転写モードおよび箔セーブモードは、ユーザによって選択可能となっている。制御部100は、全面転写モードが選択された状態で、複数のシートSに対して箔を転写する場合には、加熱ローラ61と加圧ローラ51を圧接させたまま、複数のシートSに対して箔を転写する連続転写処理を実行する。制御部100は、箔セーブモードが選択された状態で、複数のシートSに対して箔を転写する場合には、連続転写処理と、箔節約処理とを選択的に実行する。ここで、箔節約処理は、シートSまたは箔転写領域TAの先端が、加熱ローラ61と加圧ローラ51の間の転写位置TPに到達する前の所定タイミングで加熱ローラ61と加圧ローラ51を圧接させ、箔を転写するように設定された箔転写領域TAの後端が剥離軸42を通過した後に加熱ローラ61と加圧ローラ51を離間させる処理である。
【0061】
詳しくは、箔節約処理において、制御部100は、箔転写領域TAの先端がシートSの先端に近い場合、具体的には箔転写領域TAの先端とシートSの先端との距離(以下、「先端間距離」ともいう。)が所定値以下である場合(例えば、先端転写モード)には、シートSの先端が転写位置TPに到達する前の所定タイミングで加熱ローラ61と加圧ローラ51を圧接させる。また、箔節約処理において、制御部100は、箔転写領域TAの先端がシートSの先端から遠い場合、具体的には先端間距離が所定値より大きい場合(例えば、後端転写モード)には、箔転写領域TAの先端が転写位置TPに到達する前の所定タイミングで加熱ローラ61と加圧ローラ51を圧接させる。
【0062】
ユーザは、箔セーブモードで箔転写を実行する場合に、操作パネルPAを操作して、箔セーブモードでの条件(以下、「箔転写条件」ともいう。)を設定することが可能である。具体的には、箔転写条件として、シートSの先端から箔転写領域TAの先端までの長さである先端余白長さL1と、箔転写領域TAの長さである箔転写長さLFとを設定することができる。
【0063】
そして、制御部100は、入力された転写モードと、ユーザが設定した入力情報に基づいて、加熱ローラ61をシートSに圧接させる圧接範囲を、箔転写領域TAを含むように決定する。具体的には、制御部100は、第1タイミングから加熱ローラ61を圧接させ始めるまでの第1時間と、第2タイミングから加熱ローラ61を離間させ始めるまでの第2時間を決定する。
【0064】
詳しくは、制御部100は、加熱ローラ61が離間位置から圧接位置に到達した所定タイミングにおける、シートSの先端または箔転写領域TAの先端から転写位置TPまでの距離が、予め決められた転写準備長さLtとなるように、第1時間を決定する。ここで、転写準備長さLtとは、圧接位置に到達した加熱ローラ61の回転が安定するのに必要な区間である。例えば、停止した状態の加圧ローラ51に加熱ローラ61を圧接した後に、加圧ローラ51の回転を開始する場合には、転写準備長さLtとして、0よりも大きな規定値が設定される。また、例えば、回転している状態の加圧ローラ51に加熱ローラ61を圧接させる場合には、転写準備長さLtは、0であってもよい。第1タイミングは、シートセンサSS1がシートSの先端を検出したとき、レジストレーションローラ11Cの回転を再開したとき、などとすることができる。
【0065】
また、制御部100は、シートSの後端または箔転写領域TAの後端が剥離軸42に到達したタイミングで加熱ローラ61の離間が開始されるように、第2時間を決定する。ここで、全面転写モードにおけるシートSの後端、または、箔セーブモードにおける箔転写領域TAの後端が、剥離軸42に到達する前に、加熱ローラ61を離間させると、シートSから箔フィルムFをきれいに剥離させることができなくなるため、前述したように第2時間が決定される。第2タイミングは、転写モードに応じて、搬送モータ80をONにしたとき、シートセンサSS1がシートの後端を検出したとき、離間センサSAがOFFになったとき、などとすることができる。
【0066】
図4(a)に示すように、全面転写モードが選択される場合、先端余白長さL1と箔転写長さLFは設定されない。制御部100は、シートSの全部を含む範囲を圧接範囲として、全面転写モードを実行する。具体的に、1枚のシートSに対して全面転写モードを実行する場合には、転写準備長さLtと、シートSの長さLAと、転写位置TPから剥離軸42までの距離である剥離長さLpを足した長さが、全面転写モードでの圧接範囲となる。また、連続転写処理を実行する場合には、転写準備長さLtと、複数のシートSの長さLAの合計値と、シートS同士の間隔であるシート間隔Lsの合計値と、剥離長さLpを足した長さが、連続転写処理での圧接範囲となる。
【0067】
図4(b)に示すように、先端転写モードが選択される場合、ユーザは、先端余白長さL1を設定せず、箔転写長さLFのみを設定する。このとき、ユーザが設定した箔転写長さLFに相当する範囲が箔転写領域TAとなる。そして、先端転写モードでの圧接範囲は、Lt+LF+Lpとなる。
【0068】
図5(a)に示すように、中間転写モードが選択される場合、ユーザは、先端余白長さL1と、箔転写長さLFを設定する。このとき、ユーザが設定した箔転写長さLFに相当する範囲が箔転写領域TAとなる。そして、中間転写モードでの圧接範囲は、Lt+LF+Lpとなる。
【0069】
図5(b)に示すように、後端転写モードが選択される場合、ユーザは、先端余白長さL1のみを設定し、箔転写長さLFを設定しない。このとき、先端余白長さL1に対応する領域に対して、搬送方向の後側の範囲が箔転写領域TAとなる。そして、後端転写モードでの圧接範囲は、Lt+(LA-L1)+Lpとなる。
【0070】
制御部100は、箔セーブモードが選択された状態で、複数のシートSに対して箔を転写する場合には、以下の式で示す判定条件を満たすか否かを判定することで、箔節約処理と連続転写処理を選択的に実行可能となっている。
Lp>Ls、かつ、Lp-Lm+Lt<Ls
Lp:剥離長さ
Ls:シート間隔
Lm:後端余白長さ
Lt:転写準備長さ
【0071】
ここで、後端余白長さLmは、シートS上の箔転写領域TAの後端からシートSの後端までの距離である。制御部100は、シートセンサSS1で検出したシートSの長さLAから、シートSの先端から当該シートS上の箔転写領域TAの後端までの長さを引くことで、後端余白長さLmを算出する。詳しくは、制御部100は、転写モードと、シートSの長さLAと、ユーザによって設定される箔転写条件(LF,L1)に基づいて、後端余白長さLmを以下のように算出する。
(1)先端転写モード
Lm=LA-LF
(2)中間転写モード
Lm=LA-(LF+L1)
(3)後端転写モード
Lm=0
【0072】
制御部100は、判定条件を満たす場合には、箔節約処理を実行する。制御部100は、判定条件を満たさない場合には、連続転写処理を実行する。このように箔節約処理と連続転写処理を選択的に実行することで、箔の無駄な消費が抑制される。以下に、箔の無駄な消費が抑制される理由について、図6を参照して説明する。
【0073】
図6において、2点鎖線で示す範囲は、圧接範囲である。また、図6(a),(b)のそれぞれに示す左側の図は、第1シートS1と第1シートS1の次に搬送される第2シートS2に対して箔節約処理が実行された状態を示し、右側の図は、第1シートS1と第2シートS2に対して連続転写処理が実行された状態を示す。
【0074】
箔転写領域TAの先端がシートSの先端に近く、箔転写領域TAの後端がシートSの後端に近い場合、言い換えると箔節約処理での圧接範囲がシートSの全体を含む場合には、箔節約処理を実行しても、連続転写処理よりも箔を節約できない問題が起こりうる。なお、図6においては、理解がしやすいように、箔転写領域TAの先端がシートSの先端と一致する場合を示す。このようなケースは、先端転写モードまたは中間転写モードにおいて、ユーザによる箔転写条件の設定次第で起こりうる。
【0075】
圧接範囲の長さ(搬送方向の長さ)は、箔フィルムFの搬送量に相当する。そのため、箔節約処理での2つの圧接範囲の長さの合計値と、連続転写処理での圧接範囲の長さとを比較することで、どちらの処理で箔フィルムFを無駄に搬送しているかが分かる。箔節約処理での2つの圧接範囲と、連続転写処理での圧接範囲とを比較すると、第1シートS1と第2シートS2の間の部分で長さが異なることが起こりうるが、その他の部分については同じ長さとなる。そのため、第1シートS1と第2シートS2の間の圧接範囲(以下、「シート間圧接範囲」ともいう。)を比較することで、箔フィルムFの搬送量の違いを知ることができる。
【0076】
箔節約処理でのシート間圧接範囲の長さの合計値は、Lp-Lm+Ltである。これに対して、連続転写処理でのシート間圧接範囲の長さは、Lsである。図6(a)に示すように、Lmが比較的大きい場合には、Lp-Lm+Lt<Lsとなり、箔節約処理での箔フィルムFの搬送量が少なくなるので、箔節約処理を選択した方が、箔の無駄な消費が抑制されることが分かる。図6(b)に示すように、Lmが非常に小さい場合には、Lp-Lm+Lt>Lsとなり、連続転写処理での箔フィルムFの搬送量が少なくなるので、連続転写処理を選択した方が、箔の無駄な消費が抑制されることが分かる。
【0077】
図7に示すように、操作パネルPAは、カバー22の上面に設けられている。操作パネルPAは、箔節約処理を含む箔セーブモードの実行の可否や箔転写条件を設定するための設定部Bと、表示部200とを備えている。設定部Bは、箔節約ボタンB1と、選択ボタンB2,B3と、決定ボタンB4と、スタートボタンB5とを有する。表示部200は、第1表示ランプ211と、第2表示ランプ212と、第3表示ランプ213と、画面220とを有する。
【0078】
箔節約ボタンB1は、箔セーブモードの実行の可否を設定するためのボタンである。ここで、箔転写装置1は、デフォルトで全面転写モードの実行が設定されている。そして、箔節約ボタンB1がONになると、箔セーブモードの実行が設定される。また、箔節約ボタンB1がOFFになると、箔セーブモードの実行の設定が解除され、全面転写モードの実行が設定される。
【0079】
選択ボタンB2,B3は、画面220に表示された複数の選択肢を選択したり、数値を変更したりするためのボタンである。決定ボタンB4は、選択ボタンB2,B3で選択・変更した選択肢・数値を決定するためのボタンである。
【0080】
スタートボタンB5は、箔転写の実行を開始するためのボタンである。
【0081】
表示ランプ211~213は、光を発するランプである。第1表示ランプ211に対応した位置には、箔セーブモードの実行が設定されていることを示す「Foil Save」の文字が付加されている。制御部100は、箔節約ボタンB1がONであるときに、第1表示ランプ211を点灯させることで、箔セーブモードの実行が設定されていることを表示する。また、制御部100は、箔セーブモードの実行が設定されているときにおいて、連続転写処理を実行する場合には、第1表示ランプ211の点灯状態を変更させることで、箔節約処理を一時的に行わないことを表示する。本実施形態では、制御部100は、第1表示ランプ211を点滅させることで、箔節約処理を一時的に行わないことを表示する。
【0082】
第2表示ランプ212に対応した位置には、カバー22が筐体本体21にロックされていることを示す「Cover Lock」の文字が付加されている。ここで、箔転写装置1は、箔転写の実行中などにおいてカバー22がユーザによって開けられないようにするためのロック機構を有する。制御部100は、箔転写の実行中などのロック条件が満たされる場合に、ロック機構をロック状態にし、第2表示ランプ212を点灯させる。また、制御部100は、ロック条件が満たされていない場合には、ロック機構を解除状態にし、第2表示ランプ212を消灯させる。
【0083】
第3表示ランプ213に対応した位置には、何らかのエラーが生じたことを示す「Error」の文字が付加されている。制御部100は、エラーが生じた場合に、第3表示ランプ213を点灯させ、エラーが生じていない場合に、第3表示ランプ213を消灯させる。
【0084】
画面220は、例えば液晶パネルからなる。図10に示すように、制御部100は、箔節約ボタンB1がONであるときに、箔節約モードの実行が設定されていることを示す「Foil Save ON」の文字の画像を画面220に表示する。また、制御部100は、シートトレイセンサSS0がONであるときに、シートトレイ3にシートSがセットされていることを示す「ADF Ready」の文字の画像を表示する。また、制御部100は、箔転写モードの実行中において、箔転写条件を示す「Top:xxcm」の文字の画像を画面220に表示する。なお、制御部100は、その他の画像、例えば転写モードを選択するための画像なども表示可能となっている。
【0085】
ここで、「Top:xxcm」の文字の画像は、先端転写モードが選択されている場合に表示される画像であり、箔転写長さLFが何cmに設定されているかを示している。なお、後端転写モードが選択されている場合には、例えば、文字の画像を「Skip:xxcm」とし、先端余白長さL1が何cmに設定されているかを示すことができる。また、中間転写モードが選択されている場合には、例えば、文字の画像である「Mid START:xxcm」と「Length:xxcm」を上下に並べ、先端余白長さL1と箔転写長さLFがそれぞれ何cmに設定されているかを示すことができる。
【0086】
次に、制御部100の動作について詳細に説明する。制御部100は、図8に示す箔節約モード設定処理を常時実行している。
【0087】
箔節約モード設定処理において、制御部100は、まず、箔節約ボタンB1がOFFからONに切り替わったか否かを判定する(S21)。ステップS21においてONに切り替わったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、箔節約モードの選択肢を画面220に表示させる(S22)。具体的には、制御部100は、箔節約モードの選択肢として、先端転写モード、中央転写モード、後端転写モードを画面220に表示させる。ユーザは、画面220に表示された選択肢を、選択ボタンB2,B3および決定ボタンB4を操作して、選択する。
【0088】
ステップS22の後、制御部100は、転写モードが選択されたか否かを判定する(S23)。ステップS23において転写モードが選択されたと判定した場合には(Yes)、制御部100は、箔転写条件の数値を入力するための画像を画面220に表示させる(S24)。具体的に、例えば中央転写モードが選択されている場合には、制御部100は、先端余白長さL1と箔転写長さLFを入力させる画像を画面220に表示させる。
【0089】
ステップS24の後、制御部100は、箔転写条件の数値の入力が完了したか否かを判定する(S25)。ステップS25によって入力が完了したと判定した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS24において設定された箔転写条件を記憶部に記憶させる(S26)。ステップS26の後、制御部100は、第1表示ランプ211を点灯させるとともに、箔節約モードの実行が設定されていることを示す「Foil Save ON」の文字の画像(以下、「設定表示画像」ともいう。)を画面220に表示する(S27)。
【0090】
ステップS21においてNoと判定した場合には、制御部100は、箔節約ボタンB1がONからOFFに切り替わったか否かを判定する(S28)。ステップS28においてOFFに切り替わったと判定した場合には(Yes)、制御部100は、第1表示ランプ211を消灯するとともに、設定表示画像の表示を非表示にして(S29)、本処理を終了する。また、ステップS28においてNoと判定した場合には、制御部100は、そのまま本処理を終了する。
【0091】
制御部100は、シートSがシートトレイ3にセットされ、かつ、箔節約ボタンB1がONになっている状態において、スタートボタンB5がONになった場合には、図9に示す処理を実行する。なお、箔転写を実行していない初期状態において、加熱ローラ61は離間位置に位置し、加熱ローラ61内のヒータはOFFとなっている。
【0092】
図9に示す処理において、制御部100は、まず、加熱ローラ61内のヒータをONにする(S41)。ステップS41の後、制御部100は、クラッチ81を介してピックアップローラ11Aを駆動して、最初のシートSの供給を開始する(S42)。
【0093】
ステップS42の後、制御部100は、最初のシートSがシートセンサSS1を通過してから所定時間後に加熱ローラ61を加圧ローラ51に圧接させる(S43)。ステップS43の後、制御部100は、最初のシートSの後端がシートセンサSS1を通過した後に最初のシートSの長さLAを算出する(S44)。
【0094】
ステップS44の後、制御部100は、最初のシートSとのシート間隔がLsとなるタイミングで、クラッチ81を介してピックアップローラ11Aを駆動することで、次のシートSに対して供給動作を実行する(S45)。ステップS45の後、制御部100は、次のシートSの先端をシートセンサSS1で検出したか否かを判定する(S46)。
【0095】
ステップS46において先端を検出したと判定した場合には(Yes)、制御部100は、箔転写条件に基づいて、次のシートSの箔転写領域TAの先端が次のシートSの先端に近いか否か、つまり先端間距離が所定値以下であるか否かを判定する(S47)。ステップS47において先端同士が近いと判定した場合には(Yes)、制御部100は、シートSの長さLAと箔転写条件に基づいて、後端余白長さLmを算出する(S48)。
【0096】
ステップS48の後、制御部100は、判定条件を満たすか否かを判定する(S49)。ステップS49において判定条件を満たすと判定した場合(Yes)、または、ステップS47でNoと判定した場合には、制御部100は、箔節約処理を実行する(S50~S53)。
【0097】
ステップS50において、制御部100は、レジストレーションローラ11Cを含むシート供給機構11の駆動を適宜停止して、次のシートSの搬送を適宜遅延させる。なお、ステップS50の処理は、シート間隔Lsで2枚のシートSを搬送すると加熱ローラ61を離間して再び圧接することができない場合に行われる。制御部100は、箔転写条件に基づいて、加熱ローラ61の離間・再圧接ができるか否かを判定し、できないと判定した場合には、次のシートSの搬送を遅延させ、できると判定した場合には、遅延は0に設定され、結果的に、次のシートSの搬送を遅延させない。
【0098】
ステップS50の後、制御部100は、最初のシートSに対して設定された箔転写領域TAの後端が剥離軸42に到達したタイミングで加熱ローラ61を離間させる(S51)。ステップS51の後、制御部100は、ステップS50でシート供給機構11を停止している場合には、シート供給機構11の駆動を再開して、レジストレーションローラ11Cからの次のシートSの搬送を再開させる(S52)。
【0099】
ステップS52の後、制御部100は、次のシートSの箔転写領域TAの先端から転写位置TPまでの距離が転写準備長さLtとなる所定タイミングで、加熱ローラ61を圧接させる(S53)。ステップS53の後、制御部100は、次のシートSの後端がシートセンサSS1を通過した後に次のシートSの長さLAを算出して(S54)、ステップS45の処理に戻る。
【0100】
ステップS49において判定条件を満たさないと判定した場合には(No)、制御部100は、第1表示ランプ211を点滅させ(S55)、連続転写処理を実行する(S56)。ステップS56において、制御部100は、加熱ローラ61を圧接させたまま、最初のシートSへの箔転写を完了させた後、次のシートSへの箔転写を開始する。
【0101】
ステップS56の後、制御部100は、第1表示ランプ211を点灯させる(S57)。なお、第1表示ランプ211の点灯タイミングは、次のシートSへの箔転写中の任意のタイミングに設定すればよい。ステップS57の後、制御部100は、ステップS54の処理を実行して、ステップS45の処理に戻る。
【0102】
ステップS46においてNoと判定した場合には、制御部100は、箔転写領域TAの後端が剥離軸42に到達したタイミングで加熱ローラ61を離間させる(S58)。ステップS58の後、制御部100は、ヒータをOFFにして(S59)、本処理を終了する。なお、ステップS59の後、制御部100は、シートSを筐体2の外に排出した後に搬送モータ80の駆動を停止させる処理も行うが、便宜上、図示は省略する。
【0103】
次に、制御部100の動作の一例について説明する。具体的には、複数のシートSに対して先端転写モードを実行する場合の制御部100の動作について説明する。
【0104】
図7に示すように、ユーザが箔節約ボタンB1をONにし、ボタンB2~B4によって先端転写モードの選択および箔転写条件の入力を完了させると、制御部100は、図10(a)に示すように、第1表示ランプ211を点灯させるとともに、「Foil Save ON」の文字の画像を画面220に表示する。これにより、ユーザは、箔節約モードの実行が設定されたことを確認することができる。
【0105】
図1に示すように、ユーザがシートトレイ3に複数のシートSをセットすると、シートトレイセンサSS0がONになる。シートトレイセンサSS0がONになると、制御部100は、図10(a)に示すように、「ADF Ready」の文字の画像を画面220に表示する。
【0106】
ユーザが図7に示すスタートボタンB5をONにすると、制御部100は、図10(b)に示すように、先端転写モードでの箔転写条件を示す「Top:xxcm」の文字の画像を画面220に表示する。これにより、ユーザは、選択した転写モードと、箔転写条件を確認することができる。
【0107】
また、制御部100は、スタートボタンB5がONになると、箔転写を開始するとともに、カバー22をロックして、第2表示ランプ212を点灯させる。これにより、ユーザは、カバー22がロックされていることを知ることができる。
【0108】
制御部100は、転写部50で所定のシートSに箔転写を行っている際に、判定条件を判定して、箔節約処理を実行するか、連続転写処理を実行するかを選択する。図6(a)に示すように、判定条件を満たす場合には、制御部100は、加熱ローラ61を離間・再圧接する箔節約処理を実行する。この際、制御部100は、図10(b)に示すように、第1表示ランプ211を点灯させたままにする。
【0109】
図6(b)に示すように、判定条件を満たさない場合には、制御部100は、加熱ローラ61を圧接したまま、所定のシートSと後続のシートSに連続して箔転写を行う連続転写処理を実行する。この際、制御部100は、図10(c)に示すように、第1表示ランプ211を点滅させる。これにより、ユーザは、箔節約処理が一時的に行われていないことを知ることができる。
【0110】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
Lp>Ls、かつ、Lp-Lm+Lt<Lsという判定条件を満たす場合、つまり連続転写処理よりも箔節約処理の方が箔フィルムFの搬送量が小さい場合には、制御部100が箔節約処理を実行するので、箔の無駄な消費を抑制することができる。また、判定条件を満たさない場合、つまり箔節約処理よりも連続転写処理の方が箔フィルムFの搬送量が小さい場合には、制御部100が連続転写処理を実行するので、箔の無駄な消費を抑制することができる。
【0111】
シートセンサSS1によってシートSの長さLAが検出されるので、ユーザがシートSの長さを入力する必要がない。
【0112】
箔節約処理を含む箔節約モードの実行が設定されていることが第1表示ランプ211と画面220に表示されるので、箔節約モードの実行が設定されていることをユーザが知ることができる。
【0113】
箔節約モードの実行が設定されているときにおいて、連続転写処理が実行される場合には、箔節約処理を一時的に行わないことが第1表示ランプ211の点滅により表示されるので、箔転写装置1の動作音の違いによって箔節約モードが実行されていないとユーザが不信感を抱くことがない。
【0114】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0115】
前記実施形態では、第1表示ランプ211の点滅によって箔節約処理を一時的に行わないことを表示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11に示すように、制御部100は、箔節約処理を一時的に行わないことを示す文字の画像を画面220に表示してもよい。具体的に、図11の例では、文字の画像として、「Foil Save OFF」と「Notice!」の画像が表示されている。この形態によれば、箔節約処理を一時的に行わないことを文字によって表示するので、ユーザは、箔節約処理が一時的に行われないことをより確実に知ることができる。なお、図11の例では、箔節約処理が一時的に中断されて連続転写処理が実行されているときの表示を示しているが、シートをシートトレイにセットしたときの表示と、箔節約処理を実行しているときの表示は、図10(a),(b)と同じような表示とすればよい。
【0116】
前記実施形態では、第1表示ランプ211の点灯により箔節約処理の実行が設定されていることを表示し、第1表示ランプ211の点滅によって箔節約処理を一時的に行わないことを表示したが、本発明はこれに限定されず、表示する内容によって、表示ランプの点灯状態が違えばよい。例えば、表示ランプの点灯により箔節約処理の実行が設定されていることを表示する場合において、表示ランプの消灯により箔節約処理を一時的に行わないことを表示してもよい。また、表示ランプを第1間隔で点滅させることにより箔節約処理の実行が設定されていることを表示し、表示ランプを第1間隔とは異なる第2間隔で点滅させることにより箔節約処理を一時的に行わないことを表示してもよい。
【0117】
剥離部材は、剥離軸42に限定されず、回転可能なローラであってもよいし、板状のブレードであってもよい。
【0118】
前記実施形態では、操作パネルとして、複数の表示ランプ211~213、画面220および複数のボタンB1~B5を有するものを例示したが、操作パネルは、例えばタッチパネルであってもよい。この場合、タッチパネルに表示ランプ、画面およびボタンの画像を表示し、各画像が、前記実施形態のような表示ランプ、画面およびボタンとして機能するように構成されていてもよい。
【0119】
前記実施形態では、転写モード、先端余白長さ、箔転写長さをユーザが入力することによって制御部が圧接範囲を決定していたが、制御部がシートのトナー像を検知して圧接範囲を決定してもよい。
【0120】
前記実施形態では、加熱ローラ61を加圧ローラ51に対して圧接・離間させたが、本発明はこれに限定されず、加圧ローラを加熱ローラに対して圧接・離間させてもよい。
【0121】
前記実施形態では、箔転写装置として、シート上に形成されたトナー像の上に箔を転写するものを例示したが、本発明はこれに限定されず、箔転写装置は、シートに箔を転写するものであればどのようなものであってもよい。
【0122】
前記実施形態では、箔転写用フィルムカートリッジFCに供給リール31と巻取リール35を設けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、箔転写用フィルムカートリッジに供給リールを設け、筐体に巻取リールを設けてもよい。
【0123】
前記実施形態では、操作パネルからの信号に基づいて制御部が各モードを実行するように構成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像形成装置と箔転写装置が一体に構成される場合には、印刷転写指令に含まれる画像データに基づいて制御部がシート上のトナー領域の大きさや位置を判断し、トナー領域の大きさや位置に基づいて各モードを選択してもよい。
【0124】
前記実施形態では、検出部を、レバーと、レバーの位置を検知する光センサとで構成したが、本発明はこれに限定されず、検出部は、例えば、光センサのみで構成されていてもよい。
【0125】
前記実施形態では、箔フィルムFを4層で構成したが、本発明はこれに限定されず、箔フィルムは、転写層と支持層を有していれば、層の数はいくつであってもよい。
【0126】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 箔転写装置
42 剥離軸
51 加圧ローラ
61 加熱ローラ
70 圧接離間機構
100 制御部
F 箔フィルム
Lm 後端余白長さ
Lp 剥離長さ
Ls シート間隔
Lt 転写準備長さ
S シート
TA 箔転写領域
TP 転写位置
図1
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図11