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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161087
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】背負鞄用背負ベルト
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/02 20060101AFI20221014BHJP
   A45F 3/04 20060101ALI20221014BHJP
   A45F 3/12 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A45F3/02 410
A45F3/04 400G
A45F3/12 400
A45F3/04 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065634
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】598108331
【氏名又は名称】株式会社由利
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】由利 昇三郎
【テーマコード(参考)】
2E181
3B045
【Fターム(参考)】
2E181BD01
2E181BD04
3B045AA35
3B045GA01
3B045GA03
3B045GB03
(57)【要約】
【課題】使用者の肩のみならず、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を良くして、背負い心地をより改善した背負鞄用背負ベルトを提供する。
【解決手段】本体ベルト2の芯材5が、中軟質弾性樹脂体5a、高軟質弾性樹脂体5bおよび低軟質弾性樹脂体5cから構成され、中軟質弾性樹脂体5aの裏面の上端から下端にかけての内側に高軟質弾性樹脂体5bを接着すると共に、この高軟質弾性樹脂体5bと隣り合うようにして中軟質弾性樹脂体5aの裏面の上端から下端にかけての外側に低軟質弾性樹脂体5cを接着したものとしている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ベルトの芯材が、中軟質弾性樹脂体、高軟質弾性樹脂体および低軟質弾性樹脂体から構成され、中軟質弾性樹脂体の裏面の上端から下端にかけての内側に高軟質弾性樹脂体を接着すると共に、この高軟質弾性樹脂体と隣り合うようにして中軟質弾性樹脂体の裏面の上端から下端にかけての外側に低軟質弾性樹脂体を接着したことを特徴とする背負鞄用背負ベルト。
【請求項2】
前記中軟質弾性樹脂体の硬度をJIS-C硬度で18~22度に、前記高軟質弾性樹脂体の硬度をJIS-C硬度で10~13度に、前記低軟質弾性樹脂体の硬度をJIS-C硬度で36~40度に、それぞれ設定したことを特徴とする請求項1に記載の背負鞄用背負ベルト。
【請求項3】
前記芯材の全体を布地からなるカバー材で被覆したものとし、このカバー材の裏面をメッシュ生地にしたことを特徴とする請求項1または2に記載の背負鞄用背負ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デイパックやランドセル等の背負鞄に用いられる背負ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の背負鞄用背負ベルトとしては、図8、9に示したように、内側縁部において首の側部と対向する個所に切欠部11を設けた硬質で帯状の表皮12の裏面に、この表皮12と同形の裏布13を重ね合わせると共に、この表皮12と裏布13の間に弾性を有した柔軟なクッション材14を挟み込んで、このクッション材14の一部を切欠部11において露出するように配設したものが存在する(特許文献1)。
【0003】
このようにした背負鞄用背負ベルトは、使用者の首の側部がベルトの内側縁部に接触することがあっても、使用者の首に、硬い表皮12が接触せずに、柔軟なクッション材14が接触することになるので、首が擦られて痛くなるといった問題が解決されるという効果があるとしている。
【0004】
さらに、この種の背負鞄用背負ベルトとしては、図10に示したように、肩紐21の上部接合部21a付近から所定の範囲にかけて、肩紐21の内側略半分の幅の表裏両面に、その他の部分の表生地より伸縮性の大きい素材で形成された伸縮性生地22が設けられたものが存在する(特許文献2)。
【0005】
このようにした背負鞄用背負ベルトは、伸縮性生地22が最も荷重のかかる肩紐21の上部接合部21a付近の内側に設けられているため、リュックサックを背負ったときに荷物の重みに応じて伸縮性生地22側のみが引っ張られ、肩紐21の内側と外側にかかる荷重のバランスが均等になるところまで伸長し、その結果、肩紐21の外側の弛みが解消して内側と外側に均等に荷重がかかり、肩紐21全体が均等に肩に接することになるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平4-120620号公報
【特許文献2】特許第6445744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載された背負鞄用背負ベルトでは、使用者の首の側部が擦られて痛くなるという問題が解決されているだけであって、使用者の肩や、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を良くするという点については解決されていない。
【0008】
また、前記背負鞄用背負ベルトでは、表皮12と裏布13の間に弾性を有した柔軟なクッション材14が挟み込まれた状態では、このクッション材14が切欠部11において張力が働いた状態となっており、使用者の首の側部や肩にその張力が働いた状態で接触することになるので、使用者の肩への接触感を却って悪くしているともいえる。
【0009】
さらに、前記特許文献2に記載された背負鞄用背負ベルトでは、肩紐21全体が均等に肩に接することになり、使用者の肩への接触感を良くするという点については解決されているといえるが、伸縮性生地22が肩紐21の上部接合部21a付近にしか設けられていないので、使用者の肩や、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を良くするという点については解決されていない。
【0010】
また、前記背負鞄用背負ベルトでは、肩紐21の内側略半分の幅の表裏両面に伸縮性生地22が設けられているだけで、肩紐21の芯材は弾性を有した硬い芯材であるので、この芯材が間接的に肩に接触していることになり、使用者の肩への接触感を良くするという点については、完全には解決されていない。
【0011】
そこで、本発明は、従来の課題を解決するものであり、使用者の身体に接触する背負ベルトの内側をすべて柔軟素材すると共に、使用者の身体と背負ベルトの内側との接触性を弱くすることにより、使用者の肩のみならず、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を良くして、背負い心地をより改善した背負鞄用背負ベルトを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の背負鞄用背負ベルトは、本体ベルト2の芯材5が、中軟質弾性樹脂体5a、高軟質弾性樹脂体5bおよび低軟質弾性樹脂体5cから構成され、中軟質弾性樹脂体5aの裏面の上端から下端にかけての内側に高軟質弾性樹脂体5bを接着すると共に、この高軟質弾性樹脂体5bと隣り合うようにして中軟質弾性樹脂体5aの裏面の上端から下端にかけての外側に低軟質弾性樹脂体5cを接着したものとしている。
【0013】
さらに、本発明の背負鞄用背負ベルトにおいて、前記中軟質弾性樹脂体5aの硬度をJIS-C硬度で18~22度に、前記高軟質弾性樹脂体5bの硬度をJIS-C硬度で10~13度に、前記低軟質弾性樹脂体5cの硬度をJIS-C硬度で36~40度に、それぞれ設定したものとしている。
【0014】
また、本発明の背負鞄用背負ベルトにおいて、前記芯材5の全体を布地からなるカバー材6で被覆したものとし、このカバー材6の裏面6aをメッシュ生地にしている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の背負鞄用背負ベルトは、使用者の身体に接触する背負ベルトの内側をすべて柔軟素材すると共に、使用者の身体と背負ベルトの内側との接触性を弱くすることにより、使用者の肩のみならず、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を非常に良くし、背負鞄の背負い心地をより改善することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の背負鞄用背負ベルトを備えたデイパックの背面図である。
図2】本発明の背負鞄用背負ベルトの表面図である。
図3】本発明の背負鞄用背負ベルトの裏面図である。
図4図2中のAーA線による本発明の背負鞄用背負ベルトの拡大断面図である。
図5】本発明の背負鞄用背負ベルトの芯材の表面図である。
図6】本発明の背負鞄用背負ベルトの芯材の裏面図である。
図7図5中のBーB線による本発明の背負鞄用背負ベルトの芯材の拡大断面図である。
図8】従来の背負鞄用背負ベルトの一例を示す表面図である。
図9図8に示す従来の背負鞄用背負ベルトの分解図である。
図10】従来の背負鞄用背負ベルトの他の例を備えたデイパックの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の背負鞄用背負ベルトを実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本発明の背負鞄用背負ベルトは、図1に示したように、デイパックなどの背負鞄1に左右一対として取り付けられている。すなわち、この背負いベルトは、本体ベルト2と補助ベルト3からなり、一方の本体ベルト2の上端が背負鞄1の背面1aの上部左側に、他方の本体ベルト2の上端が背負鞄1の背面1aの上部右側に、それぞれ縫着するなどして固定されており、一方の本体ベルト2の下端が背負鞄1の背面1aの下部左側に縫着するなどして固定された補助ベルト3に、他方の本体ベルト2の下端が背負鞄1の背面1aの下部右側に縫着するなどして固定された補助ベルト3に、それぞれバックル4を介在させるなどして、全体の長さを調節できるようにして取り付けられている。
【0019】
なお、前記背負いベルトは、本体ベルト2のみからなるものとしてもよい。この場合、本体ベルト2は、一方の本体ベルト2の上端が背負鞄1の背面1aの上部左側に、他方の本体ベルト2の上端が背負鞄1の背面1aの上部右側に、それぞれ縫着するなどして固定され、一方の本体ベルト2の下端が背負鞄1の背面1aの下部左側に、他方の本体ベルト2の下端が背負鞄1の背面1aの下部右側に、それぞれバックル4を介在させるなどして、長さを調節できるようにして取り付けたものとすることができる。
【0020】
前記本体ベルト2は、上端から下端にかけて徐々に細くすると共に、上端から下端にかけて外側に湾曲した帯形状の軟質弾性樹脂体からなる芯材5の全体を、布地からなるカバー材6で被覆したものとしている。本発明において、軟質弾性樹脂体とはJIS-C硬度が5~50度のものをいう。なお、JIS-C硬度とは、JISK7312に規定する硬度計(GS-701NタイプC)で測定された硬度を意味する。
【0021】
前記芯材5は、中軟質弾性樹脂体5a、高軟質弾性樹脂体5bおよび低軟質弾性樹脂体5cから構成され、中軟質弾性樹脂体5aの裏面(使用者側の面)の上端から下端にかけての内側(好ましくは内側略半分)に高軟質弾性樹脂体5bを接着すると共に、この高軟質弾性樹脂体5bと隣り合うようにして中軟質弾性樹脂体5aの裏面の上端から下端にかけての外側(好ましくは外側略半分)に低軟質弾性樹脂体5cを接着したものとしている。本発明において、中軟質弾性樹脂体とはJIS-C硬度が16~30度のものをいい、高軟質弾性樹脂体とはJIS-C硬度が5~15度のものをいい、低軟質弾性樹脂体とはJIS-C硬度が31~50度のものをいう。
【0022】
前記中軟質弾性樹脂体5aの厚さは、前記高軟質弾性樹脂体5bおよび低軟質弾性樹脂体5cの厚さの1/2以下に設定するのが好ましい。さらに、前記中軟質弾性樹脂体5aの硬度は、JIS-C硬度で18~22度に設定するのが好ましく、前記高軟質弾性樹脂体5bの硬度は、JIS-C硬度で10~13度に設定するのが好ましく、前記低軟質弾性樹脂体5cの硬度は、JIS-C硬度で36~40度に設定するのが好ましい。前記中軟質弾性樹脂体5a、高軟質弾性樹脂体5bおよび低軟質弾性樹脂体5cをこれらの厚さや硬度に設定すると、本体ベルト2が使用者の肩から胸、胸から脇腹にかけて接触した場合に、肩、胸および脇腹の幅方向や長手方向に曲がり易くなり、これらの部分に沿い易くなる。
【0023】
前記中軟質弾性樹脂体5aは、図示したものでは、長さを45~65cmとし、厚さTaを3~4mmとし、上端での幅Waを5~7cmとし、下端での幅Waを3~5cmとしており、前記高軟質弾性樹脂体5bは、図示したものでは、それぞれ長さを前記中軟質弾性樹脂体5aの上下端において少し短くなるように40~60cmとし、厚さTbを6~8mmとし、上端での幅Wbを2.5~3.5cmとし、下端での幅Wbを1.5~2.5cmとしており、前記低軟質弾性樹脂体5cは、図示したものでは、それぞれ長さを前記中軟質弾性樹脂体5aの上下端において少し短くなるように40~60cmとし、厚さTcを6~8mmとし、上端での幅Wcを2.5~3.5cmとし、下端での幅Wcを1.5~2.5cmとしているが、これらの寸法に限定されるものではない。
【0024】
前記カバー材6は、天然繊維(例えば、綿、麻)、合成繊維(例えば、ポリエステル、ナイロン)、半合成繊維(例えば、アセテート)、再生繊維(例えば、レーヨン)などの布地からなり、細長の袋状に形成したものの上端開口から前記芯材5を差し込んで、その上端を背負鞄1の背面1aの上部に縫着することにより上端開口を塞ぐなどして、前記芯材5の全体を被覆したものとしている。このカバー材6は、裏面6a(使用者に接する面)をメッシュ生地として、通気性を良くしたり、表面6b(使用者に接しない面)を防水性の生地として、雨などに濡れてもその雨などが浸み込まないようにしたりするのが好ましい。
【0025】
また、前記補助ベルト3は、全体が天然繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維などの布地からなるただの細長の帯状に形成したものとしており、背負いベルトの全体の長さを調節するものであり、本体ベルト2自体が長い場合などは不要である。
【0026】
さらに、前記バックル4は、合成樹脂や金属などから構成されており、図示したものは前記本体ベルト2の下端と補助ベルト3の上端の間に取り付けられており、この補助ベルト3を折り返して、背負いベルトの全体の長さを調節できるようにしている。
【0027】
本発明の背負鞄用背負ベルトは、以上に述べたように構成されているので、この背負ベルトを取り付けた背負鞄を背負うと、本体ベルト2が使用者の肩から胸、胸から脇腹にかけての部分に接触する。
【0028】
すると、前記本体ベルト2の芯材5が、中軟質弾性樹脂体5aの裏面の内側に高軟質弾性樹脂体5bを接着すると共に、この高軟質弾性樹脂体5bと隣り合うようにして、中弾性樹脂体5aの裏面の外側に低軟質弾性樹脂体5cを接着したものとしているので、肩、胸および脇腹へは主に高軟質弾性樹脂体5bが接触することになり接触感が良くなり、また図7に仮想線で示したように、高軟質弾性樹脂体5bが肩、胸および脇腹から離れる方向に曲がり易くなり、これらの部分との接触性を弱くすることができる。
【0029】
したがって、本発明の背負鞄用背負ベルトは、使用者の身体に接触する本体ベルト2の芯材5の内側をすべて高軟質弾性樹脂体5bとすると共に、使用者の身体と高軟質弾性樹脂体5bとの接触性を弱くすることにより、使用者の肩のみならず、肩から胸、胸から脇腹にかけての部分への接触感を非常に良いものとし、背負鞄の背負い心地をより改善することができるものとなる。
【符号の説明】
【0030】
2 本体ベルト
5 芯材
5a 中軟質弾性樹脂体
5b 高軟質弾性樹脂体
5c 低軟質弾性樹脂体
6 カバー材
6a 裏面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10