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特開2022-161110情報処理装置、超音波診断装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161110
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、超音波診断装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065667
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶺 喜隆
(72)【発明者】
【氏名】中内 章一
(72)【発明者】
【氏名】松永 智史
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB09
4C601EE09
4C601EE11
4C601FF03
4C601FF11
4C601KK31
4C601LL33
(57)【要約】
【課題】ロボットアームを用いた穿刺支援において、正確な穿刺を容易に実現すること。
【解決手段】実施形態の情報処理装置は、設定部と、穿刺制御部とを備える。設定部は、第1のロボットアームに保持された超音波プローブによって収集された超音波画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、第2のロボットアームに保持された穿刺針の制御情報を設定する。穿刺制御部は、前記制御情報に基づいて、前記穿刺針を保持する前記第2のロボットアームの動きを制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のロボットアームに保持された超音波プローブによって収集された超音波画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、第2のロボットアームに保持された穿刺針の制御情報を設定する設定部と、
前記制御情報に基づいて、前記穿刺針を保持する前記第2のロボットアームの動きを制御する穿刺制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記超音波プローブに対する操作者による用手的操作を受け付け、前記第1のロボットアームを制御することで、前記超音波プローブに対する用手的操作を支援する走査制御部をさらに有し、
前記設定部は、前記用手的操作によって操作された前記第1のロボットアームに保持された超音波プローブによって収集された超音波画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、前記制御情報を設定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記走査制御部は、前記超音波プローブに対して前記操作者からかかる力を補助するように制御する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記走査制御部は、前記用手的操作によって移動された前記超音波プローブの位置を調整する、請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記穿刺制御部は、前記穿刺針に対する操作者による用手的操作を受け付け、前記第2のロボットアームを制御することで、前記穿刺針に対する用手的操作を支援する、請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームが動作する空間座標において前記穿刺情報に対応する位置を特定し、特定した位置に基づいて前記穿刺針の制御情報を設定する、請求項1~5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記超音波画像と参照画像との位置合わせを実行する位置合わせ部をさらに備え、
前記設定部は、前記超音波画像との位置合わせが実行された参照画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、第2のロボットアームに保持された穿刺針の制御情報を設定する、請求項1~6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記超音波画像と参照画像との位置合わせを実行する位置合わせ部をさらに備え、
前記走査制御部は、前記超音波画像との位置合わせが実行された参照画像に対して入力された操作情報に基づいて、第1のロボットアームに保持された超音波プローブの動きを制御する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第2のロボットアームは、前記穿刺針の刺入を誘導する穿刺アダプターを保持する、請求項1~8のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記穿刺制御部は、前記穿刺針の穿刺時の状態を再現する疑似穿刺装置を介して入力された操作に応じて、前記第2のロボットアームによる穿刺を制御する、請求項1~9のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記穿刺制御部は、前記穿刺針の刺入及び抜去において、圧力及び速度を制御する、請求項1~10のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記穿刺制御部は、前記穿刺針の刺入速度を一定に制御し、当該穿刺針の刺入圧力の変化に応じて、当該穿刺針の刺入速度を制御する、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記穿刺制御部は、前記穿刺針の刺入圧力を一定に制御し、当該穿刺針の刺入速度の変化に応じて、当該穿刺針の刺入圧力を制御する、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記穿刺針の刺入及び抜去における圧力及び速度の情報を表示させるように制御する表示制御部をさらに備える、請求項11~13のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記穿刺制御部は、複数本の穿刺針を刺入する穿刺プロトコルに応じて前記第2のロボットアームの動きを制御する、請求項1~14のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記超音波プローブと、
前記超音波プローブによって送受信された超音波に基づいて前記超音波画像を生成する画像生成部と、
請求項1~15のいずれか1つに記載の情報処理装置と、
を備える、超音波診断装置。
【請求項17】
第1のロボットアームに保持された超音波プローブによって収集された超音波画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、第2のロボットアームに保持された穿刺針の制御情報を設定する設定機能と、
前記制御情報に基づいて、前記穿刺針を保持する前記第2のロボットアームの動きを制御する穿刺制御機能と、
を、情報処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、情報処理装置、超音波診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体の体内の様子を容易に観察するために、体表から体内へ超音波を送信し、その反射波に基づいて超音波画像を表示する超音波診断装置が広く用いられる。例えば、超音波診断装置は、超音波画像を略リアルタイムでモニタに表示できることから、生体組織検査やラジオ波焼灼治療(RFA:Radio Frequency Ablation)、不可逆電気穿孔法(IRE:Irreversible Electroporation)を用いた治療等、穿刺が行われる場合に利用される。
【0003】
このような穿刺針による穿刺では、事前に撮像したCT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の画像に基づいて穿刺計画が立てられ、治療時に超音波画像をガイドにしながら、穿刺針が挿入される。ここで、超音波画像をガイドに穿刺を行う場合、穿刺針が超音波画像内に描出されるように、穿刺針の角度を固定するニードルアダプターが用いられる場合がある。ニードルアダプターを用いることで、穿刺針が超音波画像と同じ面に存在することとなるため、穿刺中の針視認が困難な場合に有用である。
【0004】
また、超音波画像による穿刺のガイドでは、超音波で患部の描出が難しい場合があるため、穿刺計画の作成に用いたCTやMRI等の画像とリアルタイムの超音波画像とを位置合わせして、両者のプレーンの角度や位置を一致させて表示させるFusion機能が用いられる場合がある。
【0005】
また、近年、治療を目的とした穿刺では、複数の針を同時に挿入して行う方法が広まってきている。例えば、患部が大きく、一度の治療ではまかなえない場合や、治療方法によっては原理的に複数本必要な場合などに、複数の穿刺針が用いられる。複数の穿刺針を用いた穿刺の一例としては、例えば、ナノナイフ(Nanoknife(登録商標))とも呼ばれる不可逆電気穿孔法が挙げられる。ナノナイフでは電極ごとに針が異なることから、最低でも2本の同時穿刺が必要であり、6本の同時穿刺が行われる場合もある。ナノナイフでは、穿刺後、30分から1時間ほどパルス波を照射することで電極間にあるターゲットに対して治療を行う。このような複数穿刺は、施術の複雑さから事前の計画を行うことなく実施することは困難であり、CT、MRI、超音波画像を使って事前に穿刺計画が行われる。穿刺は、この穿刺計画に沿いながら、リアルタイム超音波画像をガイドに行われる。
【0006】
また、ロボットアームを利用して超音波走査を行うロボット超音波診断の研究が進められており、超音波ガイド下での穿刺治療にロボットアームを利用する研究も進められている。このようなロボットアームを穿刺治療に利用する場合、事前にCTやMRI等の3次元画像上で治療計画を行い、計画された穿刺位置や穿刺経路で、穿刺をロボットアームが誘導することが想定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-13788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ロボットアームを用いた穿刺支援において、正確な穿刺を容易に実現することである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本明細書等に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の情報処理装置は、設定部と、穿刺制御部とを備える。設定部は、第1のロボットアームに保持された超音波プローブによって収集された超音波画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、第2のロボットアームに保持された穿刺針の制御情報を設定する。穿刺制御部は、前記制御情報に基づいて、前記穿刺針を保持する前記第2のロボットアームの動きを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る穿刺支援システムの一例を模式的に示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る処理の手順を説明するためのフローチャートである。
図4図4は、第1の実施形態に係る超音波プローブを保持するアームの一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る設定機能による処理の一例を説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る制御機能による処理の一例を説明するための図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る疑似穿刺装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願に係る情報処理装置、超音波診断装置及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、本願に係る情報処理装置、超音波診断装置及びプログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、本願に係る情報処理装置を含む穿刺支援システムについて説明する。穿刺支援システムは、超音波診断装置とロボットアーム装置とを含み、ロボットアーム装置が保持した穿刺針を情報処理装置の制御によって調整する。図1は、第1の実施形態に係る穿刺支援システム1000の一例を模式的に示す図である。例えば、図1に示すように、穿刺支援システム1000は、超音波診断装置(US装置)100と、ロボットアーム装置200とを含み、被検体に対する穿刺を支援する。
【0013】
超音波診断装置100は、超音波プローブ12を有し、超音波プローブ12によって送受信される超音波に基づいて超音波画像を生成する。例えば、超音波診断装置100は、超音波プローブ12によってスキャンされた被検体の穿刺対象の部位の超音波画像を生成する。
【0014】
ロボットアーム装置200は、例えば、ロボットアーム制御装置21と、アーム22aと、アーム22bと、アーム22cとを有する。アーム22aは、穿刺針31を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて、位置を変化させたり、穿刺針31を刺入方向(穿刺針31の長手方向)に移動させたりする。アーム22bは、穿刺針32を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて、位置を変化させたり、穿刺針31を刺入方向(穿刺針31の長手方向)に移動させたりする。アーム22cは、超音波プローブ12を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御に基づいて、位置を変化させることで、被検体に対する超音波スキャンを実行させる。
【0015】
ロボットアーム制御装置21は、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの位置を移動させることで、被検体に対する穿刺針31、穿刺針32及び超音波プローブ12の位置を調整する。ここで、ロボットアーム制御装置21は、情報処理装置から受信する制御信号に基づいて、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの位置を制御することができる。すなわち、ロボットアーム制御装置21は、情報処理装置から受信した制御信号に含まれるアームの移動量に基づいて、アーム22a、アーム22b及びアーム22cを移動させる。なお、アーム22a、アーム22b及びアーム22cと被検体との位置関係は、アーム22cによって保持される超音波プローブ12によって収集された超音波画像に基づいて把握することが可能である。
【0016】
なお、図1においては、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの3本のアームを有するロボットアーム装置200を示しているが、実施形態はこれに限定されるものではなく、穿刺針を保持するアームと超音波プローブ12を保持するアームとを有するものであればアームの本数は任意である。例えば、穿刺針を保持するアームを1本又は3本以上有する場合でもよく、超音波プローブ12を保持するアームを2本以上有する場合でもよい。
【0017】
情報処理装置は、ロボットアーム装置200に対して制御信号を送信することで、ロボットアーム装置200のアーム22a、アーム22b及びアーム22cの位置を調整して、被検体に対する穿刺を支援する。ここで、本願に係る情報処理装置は、ロボットアームを用いた穿刺支援において、正確な穿刺を容易に実現することができる。
【0018】
上述したように、穿刺を行う場合には、事前に撮像したCT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の3次元の画像に基づいて穿刺計画が立てられ、この穿刺計画に沿って穿刺が実行される。しかしながら、CTやMRI撮像時と穿刺時とでは体位や呼吸時相が異なるため、実際の穿刺時には、穿刺位置や穿刺経路が、治療直前の被検体の体位を画像で確認して決定されることがほとんどである。したがって、ロボットアームを用いた穿刺支援においても、治療直前の被検体の体位で穿刺部位を簡便に決定し、正確に穿刺できることが求められる。
【0019】
さらに、現在行われている用手的方法の穿刺では非常にスキルが必要とされる複数本の穿刺針による治療が正確に実現できれば、超音波ガイド下の穿刺治療の適用範囲を大幅に拡大し、治療品質も向上させることができる。例えば、肝癌では、腫瘍が大きい場合に同時の複数穿刺が求められ、膵癌ではナノナイフ治療や凍結療法があり、前立腺がんでは系統的生検があり、複数本の穿刺針による穿刺が求められている。
【0020】
そこで、本願に係る情報処理装置は、ロボットアームを用いた穿刺支援において、穿刺直前の被検体の体位で収集した超音波画像を用いてロボットアームを制御することで、正確な穿刺を容易に実現することを可能にする。
【0021】
以下、本願の第1の実施形態に係る装置構成の詳細について説明する。なお、第1の実施形態では、本願に係る情報処理装置が超音波診断装置に含まれる場合を例に挙げて説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、以下で説明する超音波診断装置で実行される各種処理を上記した穿刺支援システム1000におけるいずれの装置において実行される場合でもよい。また、上記した穿刺支援システム1000に対してさらに情報処置装置が接続され、接続された情報処理装置が以下で説明する超音波診断装置で実行される各種処理を実行する場合でもよい。
【0022】
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ12と、モニタ13と、入力インターフェース14と、装置本体15とを有し、超音波プローブ12と、モニタ13と、入力インターフェース14とが装置本体15と通信可能に接続される。そして、本実施形態に係る超音波診断装置100は、さらに、ロボットアーム制御装置21と通信可能に接続される。なお、ロボットアーム制御装置21が、装置本体15に内蔵される場合でもよい。
【0023】
ロボットアーム制御装置21は、通信インターフェースと、処理回路とを有する。
【0024】
通信インターフェースは、処理回路に接続されており、超音波診断装置100との間で種々の情報を送受信する。例えば、通信インターフェースは、超音波診断装置100から制御信号を受信し、受信した制御信号を処理回路に対して出力する。また、通信インターフェースは、アーム22a~アーム22cによって検出された圧力などの情報を超音波診断装置100に送信する。
【0025】
処理回路は、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの駆動機構に対して制御信号を送信することで、アーム22a、アーム22b及びアーム22cの駆動を制御する。具体的には、処理回路は、超音波診断装置100から受け付けたアームの移動情報(移動方向及び移動量)に基づく制御信号を駆動機構に送信することで、各アームを移動させる。なお、処理回路は、各処理に対応するプログラムを図示しないメモリから読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。
【0026】
アーム22aは、穿刺針31を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、穿刺針31を移動させる。具体的には、アーム22aは、穿刺針31を保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22aは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持する穿刺針31を所望の位置に移動させる。ここで、アーム22aは、被検体に対して3次元の任意の位置に穿刺針31を配置することが可能となるように構成される。
【0027】
アーム22bは、穿刺針32を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、穿刺針32を移動させる。具体的には、アーム22bは、穿刺針32を保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22bは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持する穿刺針32を所望の位置に移動させる。ここで、アーム22bは、被検体に対して3次元の任意の位置に穿刺針32を配置することが可能となるように構成される。
【0028】
ここで、アーム22a及びアーム22bは、穿刺針31及び穿刺針32を針の長手方向に移動させることもできる。すなわち、アーム22a及びアーム22bは、ロボットアーム制御装置21の制御のもと、自動で穿刺針の挿入及び抜去を行うように構成されている。例えば、アーム22aは、アームの先端側にゴム製ローラーなどを有し、モータやアクチュエータ等の駆動機構と接続され、複数のローラーの間に穿刺針31を挟むように保持し、複数のローラーの回転によって穿刺針31を針の長手方向に移動させる。
【0029】
また、アーム22aは、さらに、圧力センサを有し、穿刺針31にかかる圧力を検出する。そして、アーム22aは、検出した圧力の情報をロボットアーム制御装置21に送信する。なお、アーム22aは、穿刺針31を手動で移動可能に保持することもできる。
【0030】
なお、アーム22bにおいても、上記したアーム22aの例と同様に、アームの先端側にゴム製ローラーなどを有することで、自動で穿刺針の挿入及び抜去を行うことができる。また、アーム22bは、アーム22aと同様に圧力センサを有し、穿刺針32にかかる圧力を検出するとともに、検出した圧力の情報をロボットアーム制御装置21に送信する。また、アーム22bは、穿刺針32を手動で移動可能に保持することもできる。
【0031】
アーム22cは、超音波プローブ12を保持し、ロボットアーム制御装置21による制御のもと、超音波プローブ12を移動させる。具体的には、アーム22cは、超音波プローブ12を保持する保持部と、アームを駆動させるための駆動機構を有する。アーム22cは、モータやアクチュエータ等の駆動機構を備えた複数の可動部が、ロボットアーム制御装置21から受け付けた制御に応じて動くことによって、先端側に保持する超音波プローブ12を所望の位置に移動させる。ここで、アーム22cは、被検体に対して3次元の任意の位置に超音波プローブ12を配置することが可能となるように構成される。
【0032】
穿刺針31及び穿刺針32は、例えば、ラジオ波を発生する電磁針であり、穿刺針31及び穿刺針32が発生するラジオ波の出力を制御する治療装置と接続される。この治療装置は、穿刺針31及び穿刺針32の温度や、ラジオ波の出力、焼灼領域のインピーダンスをモニタ可能であり、術者は、治療装置を操作して、穿刺針31及び穿刺針32を用いたRFAを進める。
【0033】
また、穿刺針31及び穿刺針32は、例えば、治療対象の組織に電流を流す電極針であり、穿刺針31及び穿刺針32が発生する電流の出力を制御する治療装置と接続される。ここで、この治療装置は、穿刺針31と穿刺針32と間で電流を流すことで穿刺針31及び穿刺針32の間にある治療対象の組織に電流を流して治療を行う。
【0034】
超音波プローブ12は、装置本体15に含まれる送受信回路151に接続される。超音波プローブ12は、例えば、プローブ本体に複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、送受信回路151から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ12は、被検体からの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ12は、プローブ本体において、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ12は、装置本体15と着脱自在に接続される。例えば、超音波プローブ12は、セクタ型、リニア型又はコンベックス型などの超音波プローブである。
【0035】
超音波プローブ12から被検体に超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体の体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ12が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0036】
なお、本実施形態は、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである超音波プローブ12により、被検体を2次元でスキャンする場合であっても、1次元超音波プローブの複数の圧電振動子を機械的に揺動する超音波プローブ12や複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである超音波プローブ12により、被検体を3次元でスキャンする場合であっても、適用可能である。
【0037】
モニタ13は、超音波診断装置100の操作者が入力インターフェース14を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)や、装置本体15において生成された超音波画像等を表示する。また、モニタ13は、装置本体15の処理状況や処理結果を操作者に通知するために、各種のメッセージや表示情報を表示する。また、モニタ13は、スピーカーを有し、音声を出力することもできる。
【0038】
入力インターフェース14は、所定の位置(例えば、穿刺のターゲット等)の設定等を行うために操作され、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチモニタ、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース14は、後述する処理回路155に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路155へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース14は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路155へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0039】
装置本体15は、送受信回路151と、Bモード処理回路152と、ドプラ処理回路153と、メモリ154と、処理回路155と、通信インターフェース156とを有する。図2に示す超音波診断装置1においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ154へ記憶されている。送受信回路151、Bモード処理回路152、ドプラ処理回路153、及び、処理回路155は、メモリ154からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0040】
送受信回路151は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波プローブ12に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ12から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ12に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0041】
なお、送受信回路151は、後述する処理回路155の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0042】
また、送受信回路151は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延回路、加算器等を有し、超音波プローブ12が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0043】
Bモード処理回路152は、送受信回路151から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0044】
ドプラ処理回路153は、送受信回路151から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。例えば、移動体は、血管内を流動する血液や、リンパ管内を流動するリンパ液等の流体である。
【0045】
なお、Bモード処理回路152及びドプラ処理回路153は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理回路152は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路153は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。3次元のBモードデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに位置する反射源の反射強度に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。また、3次元のドプラデータは、3次元走査範囲の各走査線上で設定された複数の点(サンプル点)それぞれに、血流情報(速度、分散、パワー)の値に応じた輝度値が割り当てられたデータとなる。
【0046】
また、Bモード処理回路152及びドプラ処理回路153は、複数の2次元の反射波データを合成して3次元の反射波データを生成し、生成した反射波データから3次元のデータを生成することもできる。例えば、Bモード処理回路152は、複数の2次元の反射波データを合成して3次元の反射波データを生成し、生成した3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路153は、複数の2次元の反射波データを合成して3次元の反射波データを生成し、生成した3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0047】
メモリ154は、処理回路155が生成した表示用の画像データを記憶する。また、メモリ154は、Bモード処理回路152やドプラ処理回路153が生成したデータを記憶することも可能である。また、メモリ154は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。
【0048】
通信インターフェース156は、処理回路155に接続されており、超音波診断装置100と各装置との間で行われる通信を制御する。具体的には、通信インターフェース156は、各装置から各種の情報を受信し、受信した情報を処理回路155に出力する。例えば、通信インターフェース156は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。例えば、通信インターフェース156は、処理回路155から受け付けた制御信号をロボットアーム制御装置21に対して送信する。
【0049】
処理回路155は、超音波診断装置100の処理全体を制御する。具体的には、処理回路155は、図2に示す制御機能155a、画像生成機能155b、走査制御機能155c、設定機能155d、穿刺制御機能155e、位置合わせ機能156fに対応するプログラムをメモリ154から読み出して実行することで、種々の処理を行う。例えば、処理回路155は、各プログラムをメモリ154から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路155は、図2の処理回路155内に示された各機能を有することとなる。
【0050】
ここで、制御機能155aは、表示制御部の一例である。画像生成機能155bは、画像生成部の一例である。走査制御機能155cは、走査制御部の一例である。また、設定機能155dは、設定部の一例である。また、穿刺制御機能155eは、穿刺制御部の一例である。また、位置合わせ機能156fは、位置合わせ部の一例である。なお、本実施形態においては、単一の処理回路155にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0051】
制御機能155aは、入力インターフェース14を介して操作者から入力された各種設定要求や、メモリ154から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路151、Bモード処理回路152、ドプラ処理回路153の処理を制御する。また、制御機能155aは、超音波画像や、種々の情報をモニタ13に表示させるように制御する。
【0052】
また、制御機能155aは、通信インターフェース156を介して、事前に計画された穿刺計画の情報を取得する。例えば、制御機能155aは、CT装置や、MRI装置、超音波診断装置によって収集された3次元の医用画像データの基づいて立てられた穿刺計画を取得する。すなわち、制御機能155aは、穿刺計画に基づいて設定される被検体に対する穿刺位置の情報を取得する。
【0053】
画像生成機能155bは、Bモード処理回路152及びドプラ処理回路153が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成機能155bは、Bモード処理回路152が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。Bモード画像データは、超音波走査された領域内の組織形状が描出されたデータとなる。また、画像生成機能155bは、ドプラ処理回路153が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。ドプラ画像データは、超音波走査された領域内を流動する流体に関する流体情報を示すデータとなる。
【0054】
ここで、画像生成機能155bは、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成機能155bは、超音波プローブ12による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成機能155bは、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成機能155bは、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0055】
更に、画像生成機能155bは、Bモード処理回路152が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像データを生成する。また、画像生成機能155bは、ドプラ処理回路153が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のドプラ画像データを生成する。更に、画像生成機能155bは、ボリュームデータをモニタ13にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なうことができる。
【0056】
走査制御機能155cは、超音波プローブ12を保持するアーム22cの動きを制御する。具体的には、走査制御機能155cは、ロボットアーム制御装置21に対して制御信号を送信することで、アーム22cの動きを制御する。ここで、走査制御機能155cは、超音波プローブ12に対する操作者による用手的操作を受け付け、アーム22cを制御することで、超音波プローブ12に対する用手的操作を支援することができる。具体的には、走査制御機能155cは、超音波プローブ12に対して操作者からかかる力を補助するように制御する。
【0057】
設定機能155dは、アーム22cに保持された超音波プローブ12によって収集された超音波画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、アーム22a(又は/及びアーム22b)に保持された穿刺針31(又は/及び穿刺針32)の制御情報を設定する。具体的には、設定機能155dは、穿刺針の刺入の直前に収集された超音波画像に対して入力された穿刺に関する情報(穿刺のターゲットの情報など)に基づいて、穿刺針を保持するアームを動作させるための制御情報を設定する。
【0058】
穿刺制御機能155eは、穿刺針31(又は/及び穿刺針32)を保持するアーム22a(又は/及びアーム22b)の動きを制御する。具体的には、走査制御機能155cは、ロボットアーム制御装置21に対して制御信号を送信することで、アーム22a(又は/及びアーム22b)の動きを制御する。具体的には、穿刺制御機能155eは、設定機能155dによって設定された制御情報に基づいて、穿刺針を保持するアームの動きを制御する。より具体的には、穿刺制御機能155eは、制御情報に基づいてアーム22a(又は/及びアーム22b)を制御することで穿刺針31(又は/及び穿刺針32)の位置や角度を調整し、穿刺針31(又は/及び穿刺針32)を被検体の体表上の刺入位置まで移動させ、穿刺のターゲットに対して穿刺針31(又は/及び穿刺針32)を刺入させる。
【0059】
位置合わせ機能155fは、超音波画像と参照画像との位置合わせを実行する。具体的には、位置合わせ機能155fは、穿刺の直前で収集された超音波画像と、穿刺計画の作成に用いたCTやMRI等の画像とを位置合わせして、両者のプレーンの角度や位置を一致させる。例えば、位置合わせ機能155fは、超音波画像で指定された穿刺のターゲットと、参照画像上で設定された穿刺のターゲットとに基づいて、超音波画像と参照画像との位置合わせを実行する。これにより、ロボットアーム装置200における座標空間と参照画像における座標空間とが対応付けられる。
【0060】
以上、第1の実施形態に係る装置構成について説明した。次に、第1の実施形態に係る情報処理装置(超音波診断装置100)の詳細について説明する。ここで、まず、図3を用いて、本願の情報処理装置を用いた処理の手順を説明する。図3は、第1の実施形態に係る処理の手順を説明するためのフローチャートである。ここで、図3におけるステップS101~S102は、穿刺計画を立てる際に実施される手順であり、ステップS103~S106は、実際に穿刺による治療が実施される際に実施される手順である。なお、ステップS103は、処理回路155が、制御機能155a、画像生成機能155b及び走査制御機能155cに対応するプログラムをメモリ154から読み出して実行することで実現される。また、ステップS104及びステップS105は、処理回路155が、設定機能155dに対応するプログラムをメモリ154から読み出して実行することで実現される。また、ステップS106は、処理回路155が、穿刺制御機能155eに対応するプログラムをメモリ154から読み出して実行することで実現される。
【0061】
図3に示すように、本願の情報処理装置を用いた手技では、例えば、術者は、まず、CT装置や、MRI装置、超音波診断装置100などを用いて、3次元画像データ(ボリュームデータ)を収集する(ステップS101)。そして、術者は、収集された3次元画像データを用いて、穿刺位置を計画する(ステップS102)。
【0062】
例えば、術者は、CT装置や、MRI装置、超音波診断装置100などを用いて収集した3次元画像データを観察して、治療対象となるターゲットの位置を特定する。そして、術者は、ターゲットの形状及びサイズと、周囲の臓器及び骨などの位置とを考慮して、挿入する穿刺針の位置及び本数を決定する。例えば、術者は、血管や、種々の臓器、骨などを避けつつ、ターゲットに対して適切な治療が行うことができるように、各穿刺針の体表上での挿入位置及び角度を決定する。すなわち、穿刺計画では、ボリュームデータの座標において、穿刺針を挿入する体表上の位置と、穿刺針の挿入角度が決定される。
【0063】
上述したように穿刺計画が立てられた後、穿刺が実施される。具体的には、処理回路155が、まず、穿刺の直前に、アーム22cを制御して超音波画像を収集させる(ステップS103)。そして、処理回路155は、収集した超音波画像に対する穿刺情報を受け付けて(ステップS104)、超音波画像に対する穿刺情報に基づいて、穿刺針を保持するアーム22a(又は/及びアーム22b)を制御する制御情報を設定する。
【0064】
その後、処理回路155は、制御情報に基づいて、穿刺針を保持するアーム22a(又は/及びアーム22b)を制御し(ステップS106)、穿刺を実行する。このように、本願の情報処理装置(超音波診断装置100)は、穿刺の直前に収集した超音波画像に基づいてアームを制御することで、アームを用いた穿刺支援において、正確な穿刺を容易に実現する。以下、超音波診断装置100による処理の詳細について順に説明する。
【0065】
(超音波画像の収集)
上述したように、走査制御機能155cは、超音波プローブ12を保持するアーム22cの動きを制御して、超音波画像を収集する。具体的には、走査制御機能155cは、ロボットアーム装置200の操作空間における座標情報を含む制御情報をロボットアーム制御装置21に送信することで、アーム22cの動きを制御する。
【0066】
ここで、走査制御機能155cは、超音波プローブ12に対する操作者による用手的操作を受け付け、アーム22cを制御することで、超音波プローブに対する用手的操作を支援する。具体的には、走査制御機能155cは、アーム22cによって保持された状態の超音波プローブ12が操作者の手によって移動される操作を受け付けた際に、アーム22cにおける駆動機構を駆動させることで、操作者による超音波プローブ12の移動を支援する。
【0067】
すなわち、走査制御機能155cは、超音波プローブ12に対して操作者からかかる力を補助するように制御する。例えば、走査制御機能155cは、超音波プローブやケーブルの重さ等の負荷をリアルタイムに自動的に計算し、かかる負荷を保持することにより、操作者によるプローブ走査の負荷を軽減する。また、走査制御機能155cは、アーム22cに備えられたセンサによって、用手的に移動される方向を検出し、検出した方向にアーム22cを移動させるように制御することで、操作者によるプローブ走査の負荷を軽減する。
【0068】
これにより、操作者は、従来の超音波プローブを用手的に走査する以上に簡便に、超音波プローブ12を移動させることができ、穿刺のターゲットを含む超音波画像を収集することができる適切な位置に超音波プローブ12を配置することができる。その結果、走査制御機能155cは、ロボットアーム装置200における座標空間において、穿刺を行う際に適切な超音波画像を収集するためのアーム22cの位置(座標)を把握することができる。
【0069】
ここで、走査制御機能155cは、用手的操作によって移動された超音波プローブの位置をさらに調整することができる。上述したように、アーム22cによって保持された超音波プローブ12は、操作者の用手的な走査によって被検体の体表に配置される。しかしながら、被検体の体動などによって、適切な超音波画像を収集するための超音波プローブ12の位置がわずかにずれる場合がある。
【0070】
そこで、走査制御機能155cは、アーム22cを制御することで、超音波プローブ12の位置や角度を微調整する。図4は、第1の実施形態に係る超音波プローブ12を保持するアーム22cの一例を示す図である。例えば、図4に示すように、アーム22cは、先端側に超音波プローブ12を保持する。そして、走査制御機能155cは、アーム22cの駆動機構が駆動させることで、超音波プローブ12をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる。さらに、走査制御機能155cは、アーム22cの保持部の駆動機構を駆動させることで、超音波プローブ12を矢印D1~D3の方向に回転させ、超音波プローブ12の向きを変化させる。走査制御機能155cは、これらの動きを細かいレベルで実行することで、超音波プローブ12の位置や角度を微調整する。
【0071】
これにより、超音波プローブ12のわずかな位置の移動、及び、移動後の位置の固定を容易に行うことができ、より適切な超音波画像を容易に収集することを可能にする。
【0072】
(制御情報の設定)
上述したように、設定機能155dは、穿刺時にリアルタイムで収集された超音波画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、アーム22a(又は/及びアーム22b)を制御するための制御情報を設定する。すなわち、設定機能155dは、アーム22c及びアーム22a(及びアーム22b)が動作する空間座標において穿刺情報に対応する位置を特定し、特定した位置に基づいて穿刺針の制御情報を設定する。
【0073】
具体的には、設定機能155dは、穿刺情報が入力された超音波画像を収集した際の、ロボットアーム装置200の座標空間におけるアーム22cの位置(座標)に基づいて、当該座標空間における超音波画像の位置(座標)を特定することで、超音波画像に対して入力された穿刺情報の位置(座標)を特定する。
【0074】
図5は、第1の実施形態に係る設定機能155dによる処理の一例を説明するための図である。ここで、図5においては、穿刺のターゲットや穿刺経路などが適切に示された超音波画像が表示された状態での処理を示す。例えば、医師が、図5の上段に示すように超音波画像上でターゲットT1を指定し、さらに、穿刺経路を指定すると、設定機能155dは、指定されたターゲットT1に対して指定された穿刺経路で穿刺を実行するための制御情報を設定する。
【0075】
すなわち、設定機能155dは、超音波画像を収集した際のアーム22cの位置(座標)に基づいて、図5の下段の図に示すように、ロボットアーム装置200の座標空間S1における超音波画像の位置(座標)を特定する。そして、設定機能155dは、超音波画像上で指定されたターゲットT1及び穿刺経路の座標空間S1における位置(座標)を特定する。
【0076】
その後、設定機能155dは、穿刺針を保持するアーム22a(又は/及び)アーム22bの座標空間S1における現在位置(座標)と、特定したターゲットT1及び穿刺経路の座標空間S1における位置(座標)とに基づいて、アーム22a(又は/及び)アーム22bを移動させるための制御情報を設定する。すなわち、設定機能155dは、現在位置から穿刺を実行するための位置までアーム22a(又は/及び)アーム22bを移動させるための制御情報を設定する。
【0077】
超音波ガイドの穿刺においては、適切な腫瘍の画像を得るため、あるいは適切な穿刺経路を確保するために、体位を変えたり、呼吸時相を変えたり、プローブの当て方や、押し方、あおり方など、様々な工夫が行われる。また、超音波ガイドの穿刺においては、人工胸水や人工腹水などで肺のガスによるアーティファクトを低減することも行われる。このような様々な状況下においても、上記した制御情報の設定を行うことで、ロボットアーム装置200における座標空間での針先位置や穿刺経路の位置座標の変化に対応することでき、簡便に位置修正を行うことができる。
【0078】
また、超音波ガイドの穿刺においては、CTやMRIなどの参照画像を超音波画像と位置合わせして、参照しながら行われる場合がある。このような手技は、通常は、超音波プローブに位置センサを取り付け、リアルタイムの超音波画像の位置情報から参照画像との連動が行われる。しかしながら、本願では、超音波プローブ12に専用の位置センサを取り付けることなく、ロボットアーム装置200の座標空間におけるアーム22cの位置情報を利用する。具体的には、位置合わせ機能155fが、超音波画像や、CT画像、MRI画像などの参照画像を読み込み、リアルタイムの超音波画像と位置合わせを実行する。これにより、リアルタイムの超音波画像の位置情報と同期して、参照画像上の位置情報をロボットアーム装置200の座標空間における座標で定義することができる。
【0079】
このように、リアルタイムの超音波画像と参照画像とが位置合わせされると、参照画像上の位置をロボットアーム装置200の座標空間の位置に変換することができることから、穿刺時のターゲットの位置や穿刺経路を参照画像上で指定することができる。すなわち、設定機能155dは、超音波画像との位置合わせが実行された参照画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、アームa(又は/及びアーム22b)に保持された穿刺針の制御情報を設定する。
【0080】
また、リアルタイムの超音波画像と参照画像とが位置合わせされると、制御機能155aは、リアルタイムの超音波画像とそれに対応する参照画像をモニタ13に表示させることができる。例えば、制御機能155aは、リアルタイムの超音波画像とそれに対応する参照画像とを並列で表示させる。
【0081】
また、制御機能155aは、参照画像上に超音波プローブ12の位置や、リアルタイムの超音波画像の位置を表示させることができる。これにより、操作者は、参照画像上に表示された超音波プローブ12の位置や、リアルタイムの超音波画像の位置を用いて、超音波プローブ12を保持するアーム22cを移動させることができる。
【0082】
例えば、制御機能155aは、超音波プローブ12の位置や、超音波画像の位置を示すマーカーを参照画像上に表示させる。また、例えば、制御機能155aは、超音波プローブ12を移動させる距離や角度を入力するためのGUIを表示させる。操作者は、入力インターフェース14を介して、マーカーを移動させたり、数値を入力したりすることで、アーム22cの制御情報を設定する。
【0083】
走査制御機能155cは、超音波画像との位置合わせが実行された参照画像に対して入力された操作情報に基づいて、アーム22cに保持された超音波プローブ12の動きを制御する。すなわち、走査制御機能155cは、操作者に設定された制御情報に基づいて、指定された位置の超音波画像が収集されるように、アーム22を移動させる。
【0084】
(ロボットアームによる穿刺の制御)
上述したように、穿刺制御機能155eは、設定機能155dによって設定された制御情報に基づいて、穿刺針を保持するアーム22a(又は/及びアーム22b)の動きを制御する。具体的には、穿刺制御機能155eは、制御情報に基づいて、アーム22a(又は/及びアーム22b)を穿刺針の刺入位置に移動させる。すなわち、穿刺制御機能155eは、制御情報に含まれる被検体の体表における刺入位置の座標、ターゲットにおける針先の位置の座標、及び、穿刺経路の座標に基づいて、穿刺針の針先が刺入位置に配置され、穿刺経路の角度で穿刺針が刺入するようにアームの角度を変化させる。
【0085】
ここで、穿刺制御機能155eは、穿刺針に対する操作者による用手的操作を受け付け、アーム22a(又は/及びアーム22b)を制御することで、穿刺針に対する用手的操作を支援することができる。すなわち、操作者は、アーム22a(又は/及びアーム22b)を手で移動させることができる。
【0086】
そして、穿刺制御機能155eは、アームを制御することで、穿刺針を長手方向に移動させる。ここで、穿刺制御機能155eは、穿刺針の刺入及び抜去において、圧力及び速度を制御することができる。
【0087】
例えば、穿刺制御機能155eは、穿刺針の刺入速度を一定に制御し、当該穿刺針の刺入圧力の変化に応じて、当該穿刺針の刺入速度を制御する。一例を挙げると、穿刺制御機能155eは、刺入速度一定で穿刺針を刺入させながら穿刺針にかかる圧力をモニタし、圧力が閾値を超えた場合に、刺入速度を上昇させるように制御する。
【0088】
また、例えば、穿刺制御機能155eは、穿刺針の刺入圧力を一定に制御し、穿刺針の刺入速度の変化に応じて、当該穿刺針の刺入圧力を制御する。一例を挙げると、穿刺制御機能155eは、刺入圧力一定で穿刺針を刺入させながら穿刺針の刺入速度をモニタし、刺入速度が閾値を下回った場合に、穿刺針にかかる圧力の許容値を上昇させる。
【0089】
また、例えば、穿刺制御機能155eは、被検体の体表からターゲットまでの位置に応じて、刺入速度一定と刺入圧力一定とを切り替えることもできる。一例を挙げると、穿刺制御機能155eは、体表から所定の距離を移動した位置までの間を刺入速度一定で制御し、体表から所定の距離を移動してからターゲットまでの間を刺入圧力一定で制御する。
【0090】
上述したように、穿刺制御機能155eは、刺入速度や刺入圧力、速度や圧力を変更するための閾値、刺入速度一定と刺入圧力一定との切り替えなどの条件を適宜組み合わせて制御することができる。ここで、上記した条件は、被検体における穿刺針の刺入位置や、ターゲットの臓器などに応じて、任意に設定することができる。すなわち、穿刺制御機能155eは、穿刺針の刺入位置や、ターゲットの臓器に関する情報を取得し、取得した情報に対応する条件を読み出して、穿刺針の刺入を行う。
【0091】
上述したように、穿刺制御機能155eは、穿刺針の刺入速度及び刺入圧力を制御しながら、実際の刺入速度及び刺入圧力をモニタすることができる。この場合、制御機能155aは、穿刺制御機能155eによって制御されている穿刺針の刺入速度及び刺入圧力と、実際にモニタされている刺入速度及び刺入圧力とをモニタ13に表示させることができる。
【0092】
図6は、第1の実施形態に係る制御機能155aによる処理の一例を説明するための図である。例えば、制御機能155aは、図6に示すように、超音波ガイドでの穿刺中に、穿刺針を含む超音波画像とともに、実際院モニタされている穿刺針の「速度:xxx」と「圧力:yyy」を表示させる。なお、制御機能155aは、実際にモニタされている刺入速度及び刺入圧力に加えて、設定されている刺入速度及び刺入圧力を表示させることもできる。
【0093】
(複数本の穿刺針を用いた手技の制御)
ロボットアームによる穿刺の制御は、1本の穿刺針を用いる手技に限らず、複数本の穿刺針を用いる手技についても制御することができる。例えば、ナノナイフ、Celon針による焼灼治療、系統的前立腺生検(予め決められた複数箇所に対して穿刺を実施する手技)など、複数箇所の穿刺を要する手技がある。
【0094】
このような手技については、例えば、穿刺針の刺入速度、刺入圧力及び位置などに関する穿刺制御の条件や、穿刺プロトコルが予めメモリ154に登録され、走査制御機能155c及び穿刺制御機能155eが、穿刺制御の条件や穿刺プロトコルに応じた制御を実行する。すなわち、走査制御機能155c及び穿刺制御機能155eが、操作者によって指定された穿刺制御の条件や穿刺プロトコルをメモリ154から読み出し、読み出した穿刺制御の条件や穿刺プロトコルに沿って制御を実行する。なお、穿刺制御の条件や、穿刺プロトコルは、適宜編集することが可能である。
【0095】
(手動による穿刺)
上述した例では、穿刺制御機能155eがアーム22a(又は/及びアーム22b)を制御することで、穿刺針の刺入が自動で実施される場合について説明した。しかしながら、アーム22a及びアーム22bは、手動で穿刺針を刺入することが可能となるように、穿刺針を保持することができる。すなわち、穿刺制御機能155eによって、穿刺針の針先が刺入位置に配置され、穿刺経路の角度で穿刺針が刺入するようにアームの角度を変化させた後、操作者(医師)が穿刺針を動かして被検体内に刺入することができる。
【0096】
その他、アーム22a(又は/及びアーム22b)が穿刺針の代わりに穿刺針の刺入を誘導する穿刺アダプターを保持することで、手動での穿刺を実施することができる。かかる場合には、設定機能155dが、穿刺アダプターにおける穿刺針の装着位置が体表の刺入位置に配置され、穿刺アダプターによる穿刺針の保持角度と穿刺経路の角度とが一致するように、アーム22a(又は/及びアーム22b)を移動させるための制御情報を設定する。
【0097】
穿刺制御機能155eは、設定機能155dによって設定された制御情報に基づいてアーム22a(又は/及びアーム22b)を移動させる。これにより、穿刺アダプターが所望の位置で安定した状態で保持されることとなる。操作者(医師)は、アーム22a(又は/及びアーム22b)に保持された穿刺アダプターに穿刺針を装着して、自ら刺入させることができる。
【0098】
上述したように、第1の実施形態によれば、設定機能155dは、アーム22cに保持された超音波プローブ12によって収集された超音波画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、アーム22a(又は/及びアーム22b)に保持された穿刺針の制御情報を設定する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、穿刺直前のリアルタイムの超音波画像を用いて、穿刺針の制御情報を設定することができ、ロボットアームを用いた穿刺支援において、正確な穿刺を容易に実現することを可能にする。
【0099】
また、第1の実施形態によれば、走査制御機能155cは、超音波プローブ12に対する操作者による用手的操作を受け付け、アーム22cを制御することで、超音波プローブ12に対する用手的操作を支援する。設定機能155dは、用手的操作によって操作されたアーム22cに保持された超音波プローブ12によって収集された超音波画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、制御情報を設定する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、アームに保持された超音波プローブによる超音波画像の収集を容易に行うことを可能にする。
【0100】
また、第1の実施形態によれば、走査制御機能155cは、超音波プローブ12に対して操作者からかかる力を補助するように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、操作者による用手的操作にかかる負荷を低減することを可能にする。
【0101】
また、第1の実施形態によれば、走査制御機能155cは、用手的操作によって移動された超音波プローブ12の位置を調整する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ12の位置を細かく調整することができるともに、調整後の位置に超音波プローブ12を安定した状態で維持することを可能にする。
【0102】
また、第1の実施形態によれば、穿刺制御機能155eは、穿刺針に対する操作者による用手的操作を受け付け、アーム22a(又は/及びアーム22b)を制御することで、穿刺針に対する用手的操作を支援する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、アーム22a(又は/及びアーム22b)の移動を容易に行うことを可能にする。
【0103】
また、第1の実施形態によれば、設定機能155dは、アーム22c及びアーム22a(又は/及びアーム22b)が動作する空間座標において穿刺情報に対応する位置を特定し、特定した位置に基づいて穿刺針の制御情報を設定する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波画像において指定された位置に正確に穿刺を行うことを可能にする。
【0104】
また、第1の実施形態によれば、位置合わせ機能155fは、超音波画像と参照画像との位置合わせを実行する。設定機能155dは、超音波画像との位置合わせが実行された参照画像に対して入力された穿刺情報に基づいて、アーム22a(又は/及びアーム22b)に保持された穿刺針の制御情報を設定する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、穿刺直前の被検体の体位を考慮して、参照画像を用いた穿刺情報の設定を可能にする。
【0105】
また、第1の実施形態によれば、位置合わせ機能155fは、超音波画像と参照画像との位置合わせを実行する。走査制御機能155cは、超音波画像との位置合わせが実行された参照画像に対して入力された操作情報に基づいて、アーム22cに保持された超音波プローブ12の動きを制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、参照画像に含まれる情報を参照して、超音波画像の位置を決定することを可能にする。
【0106】
また、第1の実施形態によれば、アーム22a(又は/及びアーム22b)は、穿刺針の刺入を誘導する穿刺アダプターを保持する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、手動による穿刺針の刺入をより安定した状態で実行することを可能にする。
【0107】
また、第1の実施形態によれば、穿刺制御機能155eは、穿刺針の刺入及び抜去において、圧力及び速度を制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、種々の手技に対応したロボットアームによる穿刺を実現することを可能にする。
【0108】
また、第1の実施形態によれば、穿刺制御機能155eは、穿刺針の刺入速度を一定に制御し、当該穿刺針の刺入圧力の変化に応じて、当該穿刺針の刺入速度を制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、生体内の硬さの変化、刺入しやすさの変化を検出して、それに応じた穿刺を実施することを可能にする。
【0109】
また、第1の実施形態によれば、穿刺制御機能155eは、穿刺針の刺入圧力を一定に制御し、当該穿刺針の刺入速度の変化に応じて、当該穿刺針の刺入圧力を制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、生体内の硬さの変化、刺入しやすさの変化を検出して、それに応じた穿刺を実施することを可能にする。
【0110】
また、第1の実施形態によれば、制御機能155aは、穿刺針の刺入及び抜去における圧力及び速度の情報を表示させるように制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、生体内の硬さの変化、刺入しやすさの変化の検出結果を、観察者に提示することを可能にする。
【0111】
また、第1の実施形態によれば、穿刺制御機能155eは、複数本の穿刺針を刺入する穿刺プロトコルに応じて第2のロボットアームの動きを制御する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、従来、用手的に実施される際にスキルが要求される難しい手技を、安定して実施することを可能にする。その結果、有効な手技を実施する頻度が上昇させることができる。
【0112】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、穿刺針の刺入を自動又は手動で実施する場合について説明した。第2の実施形態では、疑似穿刺装置を用いて穿刺針を刺入させる場合について説明する。図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置100の構成の一例を示すブロック図である。ここで、第2の実施形態に係る超音波診断装置100は、第1の実施形態と比較して、疑似穿刺装置41が新たに接続される点と、穿刺制御機能155eによる処理内容が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0113】
疑似穿刺装置41は、図7に示すように、通信インターフェースを介して装置本体15と接続される。疑似穿刺装置41は、触覚デバイスによって実現され、穿刺針の刺入圧力や生体の応力を疑似的に再現する。具体的には、疑似穿刺装置41は、アーム22a(又はアーム22b)によって検出された穿刺針にかかる圧力を取得し、取得した圧力に基づいて触覚デバイスを操作することで、穿刺針の刺入圧力や生体の応力を再現する。そして、疑似穿刺装置41は、操作者(医師)から穿刺針に刺入にかかる操作を受け付け、受け付けた操作を穿刺制御機能155eに通知する。穿刺制御機能155eは、疑似穿刺装置41から通知された操作に応じてアーム22a(又はアーム22b)を制御する。
【0114】
図8は、第2の実施形態に係る疑似穿刺装置41の一例を示す模式図である。例えば、疑似穿刺装置41は、図8に示すように、穿刺針を模擬した穿刺針ツールを有する。操作者(医師)は、疑似穿刺装置41における穿刺針ツールを把持して操作することで、アーム22a(又はアーム22b)を制御する。すなわち、操作者(医師)は、図8の右側の図に示すように、穿刺針ツールを下に押し下げることで穿刺針が被検体内に刺入されるように、アーム22a(又はアーム22b)を制御する。また、操作者(医師)は、図8の左側の図に示すように、穿刺針ツールを上に押し挙げることで穿刺針が被検体内から抜去されるように、アーム22a(又はアーム22b)を制御する。
【0115】
このとき、疑似穿刺装置41は、触覚デバイスによって、穿刺針の刺入圧力や生体の応力を再現していることから、操作者(医師)は、穿刺針からの圧力や穿刺針の移動速度を穿刺針ツールで触覚を介して感じ、通常の穿刺のような感覚で、穿刺を実施することができる。
【0116】
第2の実施形態に係る穿刺制御機能155eは、穿刺針の穿刺時の状態を再現する疑似穿刺装置を介して入力された操作に応じて、アーム22a(又はアーム22b)による穿刺を制御する。具体的には、穿刺制御機能155eは、疑似穿刺装置41における穿刺針ツールの移動に応じて、アーム22a(又はアーム22b)を制御し、穿刺針の刺入及び抜去を行う。
【0117】
ここで、穿刺制御機能155eは、操作者(医師)による穿刺針ツールの操作を、アーム22a(又はアーム22b)に対して正確に反映させることができる。すなわち、穿刺制御機能155eは、操作者(医師)による穿刺針ツールの移動量と同一の移動量で実際の穿刺針が移動するようにアーム22a(又はアーム22b)を制御することができる。
【0118】
さらに、穿刺制御機能155eは、操作者(医師)による穿刺針ツールの操作に対して種々の補正を行い、補正後の移動量でアーム22a(又はアーム22b)を制御することもできる。例えば、穿刺制御機能155eは、操作者(医師)の手振れを補正した後の動作を再現することができる。また、例えば、穿刺制御機能155eは、操作者(医師)が実際に穿刺針ツールを移動させた移動量に対して、補正された移動量での動作を再現することができる。一例を挙げると、穿刺制御機能155eは、操作者(医師)が実際に穿刺針ツールを移動させた移動量の1/5(或いは、2倍)の移動量で、実際の穿刺針が移動するように、アーム22a(又はアーム22b)を制御することができる。なお、移動量の補正は、1/5、2倍に限らず、種々設定することができる。
【0119】
上述したように、第2の実施形態によれば、穿刺制御機能155eは、穿刺針の穿刺時の状態を再現する疑似穿刺装置41を介して入力された操作に応じて、アーム22a(又はアーム22b)による穿刺を制御する。したがって、第2の実施形態に係る超音波診断装置100は、ロボットアームによる穿刺をより感覚的に実現することを可能にする。
【0120】
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、本願に係る情報処理装置が超音波診断装置100に組み込まれる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、本願に係る情報処理装置が、ロボットアーム装置200に組み込まれる場合でもよい。かかる場合には、上記した各機能がロボットアーム装置200の処理回路によって実行される。
【0121】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0122】
なお、上記の実施形態の説明で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0123】
また、上述した実施形態で説明した制御方法は、あらかじめ用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0124】
以上、説明したとおり、実施形態によれば、ロボットアームを用いた穿刺支援において、正確な穿刺を容易に実現することを可能にする。
【0125】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0126】
100 超音波診断装置
155 処理回路
155a 制御機能
155c 走査制御機能
155d 設定機能
155e 穿刺制御機能
155f 位置合わせ機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8