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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161130
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】薬液投与装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20221014BHJP
   A61M 39/22 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61M5/14 584
A61M39/22 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065714
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000230250
【氏名又は名称】日本メジフィジックス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594118958
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサル技研
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】為重 喜行
(72)【発明者】
【氏名】白井 求
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066CC03
4C066CC09
4C066DD07
4C066EE06
4C066EE12
4C066EE14
4C066GG06
4C066JJ04
4C066JJ07
4C066JJ10
4C066LL07
4C066QQ15
4C066QQ27
(57)【要約】
【課題】高価な電動モータ等を使用することなく、簡易的な設計によりバイアルから薬液を吸引して投与すること。
【解決手段】薬液投与装置1は、第2の薬液を収容する第2のバイアル50が設置される第2の容器設置部5と、薬液が収容されていないディスポシリンジ70が設置されるディスポシリンジ設置部7と、第2の容器設置部5とディスポシリンジ設置部7との間の位置に設置され、ディスポシリンジ70による吸引にて第2のバイアル50に収容されている第2の薬液を貯留する薬液バッファ9と、第2のバイアル50と薬液バッファ9とを連通させる流路と、薬液バッファ9に貯留された第2の薬液を被検者に投与する流路とを切り換える三方活栓80a,80bと、を有する。ディスポシリンジ70の内容積と薬液バッファ9の内容積との合算が、ディスポシリンジ70により吸引される第2のバイアル50内の第2の薬液の容積よりも大きい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を収容するバイアルが設置されるバイアル設置部と、
薬液が収容されていないシリンジが設置されるシリンジ設置部と、
前記バイアル設置部と前記シリンジ設置部との間の位置に設置され、前記シリンジによる吸引にて前記バイアルに収容されている薬液を貯留する薬液バッファと、
前記バイアルと前記薬液バッファとを連通させる流路と、前記薬液バッファに貯留された薬液を被検者に投与する流路とを切り換える流路切換部材と、
を有し、
前記シリンジの内容積と前記薬液バッファの内容積との合算が、前記シリンジにより吸引される前記バイアル内の薬液の容積よりも大きい、薬液投与装置。
【請求項2】
前記薬液バッファの内容積が、前記シリンジにより吸引される前記バイアル内の薬液の容積よりも大きい、請求項1に記載の薬液投与装置。
【請求項3】
前記薬液バッファを保持する薬液バッファホルダを有し、
前記薬液バッファホルダに保持される前記薬液バッファは、チューブ材を螺旋コイル状に複数回巻き付けて構成される、請求項1または2に記載の薬液投与装置。
【請求項4】
前記薬液バッファホルダは、装置パネルの正面パネルにおいて上下方向の設置軸線が平行配置の前記バイアル設置部と前記シリンジ設置部との間の位置に設置され、
前記薬液バッファは、前記チューブ材の巻き付け形状を、前記正面パネルに平行な上下方向が長径で、前記正面パネルに垂直な前後方向が短径の長円形状とされる、請求項3に記載の薬液投与装置。
【請求項5】
前記シリンジは、注射筒と、プランジャと、前記プランジャを駆動するシリンジ駆動部と、前記シリンジ駆動部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、操作者から受け付けた前記薬液の投与量に基づき、前記シリンジ駆動部の吸引ストローク動作および前記シリンジ駆動部の排出ストローク動作を制御する、請求項1乃至4いずれか一項に記載の薬液投与装置。
【請求項6】
輸液バッグを設置する輸液バッグ設置部を更に備え、
前記シリンジは、前記輸液バッグから輸液を吸引し、前記シリンジに吸引された前記輸液を、前記薬液バッファを通じて排出する輸液シリンジである、請求項1乃至5いずれか一項に記載の薬液投与装置。
【請求項7】
前記バイアル設置部は、
前記バイアルの開口が下向きになる上下反転状態で前記バイアルを設置するバイアル容器ホルダ、
前記バイアルの開口が上向きになる平置き状態で前記バイアルを設置するバイアル容器テーブル、
前記バイアルを収容するコンテナを前記バイアルの開口が下向きになる上下反転状態で設置するコンテナ容器ホルダ、及び、
前記バイアルを収容するコンテナを前記バイアルの開口が上向きになる平置き状態で設置するコンテナ容器テーブル、
からなるバイアル設置部群から選択される少なくとも1以上を含む、請求項1乃至6いずれか一項に記載の薬液投与装置。
【請求項8】
前記バイアル設置部は、前記バイアル容器ホルダ、前記バイアル容器テーブル、前記コンテナ容器ホルダ及び前記コンテナ容器テーブルからなるバイアル設置部群から選択される複数のバイアル設置部を含む、請求項7に記載の薬液投与装置。
【請求項9】
前記バイアル設置部に、薬液が収容されたバイアルが設置される薬液バイアル設置部と、薬液が収容された薬液シリンジが設置される薬液シリンジ設置部と、を有し、
前記薬液シリンジ設置部に前記薬液シリンジが設置されるとき、前記薬液シリンジに収容された前記薬液は、前記薬液バッファを通液しないように用いられる、請求項1乃至8いずれか一項に記載の薬液投与装置。
【請求項10】
前記薬液シリンジ設置部は、前記薬液バイアル設置部と上下方向に重なり合う直列位置に配置され、
前記薬液バイアル設置部に前記バイアルが設置されるとき、前記薬液シリンジ設置部に前記薬液シリンジが設置されず、前記薬液シリンジ設置部に前記薬液シリンジが設置されるとき、前記薬液バイアル設置部に前記バイアルが設置されない、請求項9に記載の薬液投与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の投与装置は、薬液が収容されたバイアルが設置されるバイアル設置部と、バイアルに収容された薬液を吸入・吐出するロールポンプと、バイアルとロールポンプとの連通流路と薬液投与流路とを切り換える流路切換部材と、を備えている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015-523883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来装置にあっては、薬液を吸入して吐出(投与)するため、吐出される液圧を監視しながら回転数制御を行う電動モータを駆動アクチュエータとするロールポンプを用いている。このため、高価な電動モータを使用する必要があるし、薬液の投与量や投与速度を精度良く管理するのに複雑な設計を要する、という課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、高価な電動モータ等を使用することなく、簡易的な設計によりバイアルから薬液を吸引して投与することができる薬液の投与技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の薬液投与装置は、薬液を収容するバイアルが設置されるバイアル設置部と、薬液が収容されていないシリンジが設置されるシリンジ設置部と、バイアル設置部とシリンジ設置部との間の位置に設置され、シリンジによる吸引にてバイアルに収容されている薬液を貯留する薬液バッファと、バイアルと薬液バッファとを連通させる流路と、薬液バッファに貯留された薬液を被検者に投与する流路とを切り換える流路切換部材と、を有する。シリンジの内容積と薬液バッファの内容積との合算が、シリンジにより吸引されるバイアル内の薬液の容積よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シリンジとバイアルとの間に薬液バッファを設け、シリンジの内容積と薬液バッファの内容積との合算を、シリンジにより吸引されるバイアル内の薬液の容積よりも大きくし、バイアル内の薬液をシリンジにより吸引できる設定にした。このため、高価な電動モータ等を使用することなく、簡易的な設計によりバイアルから薬液を吸引して投与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る薬液投与装置を適用した薬液投与ユニットを示す全体斜視図である。
図2】実施形態に係る薬液投与装置において流路セットに各種容器が装着された状態の一例を示す斜視図である。
図3】実施形態に係る薬液投与装置において流路セットに各種容器が装着された状態の一例を示す正面図である。
図4】実施形態に係る薬液投与装置において流路セットに各種容器が装着された状態の一例を示す平面図である。
図5】実施形態に係る薬液投与装置において流路セットに各種容器が装着された状態の一例を示す右側面図である。
図6】実施形態に係る薬液投与装置において管路系部材および各種容器を並べて展開した状態の一例を示す正面展開図である。
図7】実施形態に係る薬液投与装置においてシリンジストローク制御および三方活栓切換制御を行う薬液投与制御系構成の一例を示す制御ブロック図である。
図8】実施形態に係る薬液投与方法において生食吸引ステップを示すステップ説明図である。
図9】実施形態に係る薬液投与方法において流路確保ステップを示すステップ説明図である。
図10】実施形態に係る薬液投与方法において投与準備ステップを示すステップ説明図である。
図11】実施形態に係る薬液投与方法において薬液貯留ステップを示すステップ説明図である。
図12】実施形態に係る薬液投与方法において先行投与ステップを示すステップ説明図である。
図13】実施形態に係る薬液投与方法において薬液移送ステップを示すステップ説明図である。
図14】実施形態に係る薬液投与方法において後続投与ステップを示すステップ説明図である。
図15】実施形態に係る薬液投与方法において別の薬液移送ステップを示すステップ説明図である。
図16】実施形態に係る薬液投与方法において薬液充填ステップを示すステップ説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
(実施形態)
まず、図1を参照し、病院などにおいて検査する際の実施形態の一例として薬液投与装置を適用した薬液投与ユニットAの構成を説明する。
【0011】
薬液投与ユニットAは、図1に示すように、薬液投与装置1と、無停電電源装置2と、キャスター付き支持脚3と、を備えている。なお、無停電電源装置2とキャスター付き支持脚3については、実施形態の一例として示すもので、例えば、薬液投与装置1が既存の検査テーブルや検査台等に載置されるような実施形態としても良い。
【0012】
薬液投与装置1は、2種類の薬液を被検者に対して投与することができる装置である。薬液投与装置1は、無停電電源装置2の上面パネル21をテーブル面として載置されている。薬液投与装置1の外周を覆う装置パネル10は、正面パネル11と、上面パネル12と、左側面パネル13と、右側面パネル14と、図外の背面パネルと、を有する。正面パネル11には、透明樹脂材による開閉扉15が設けられ、閉じた状態で容器設定部や流路セットなどの正面パネル11に配置された部材を覆う。開閉扉15には、開閉操作のための取手16を有する。上面パネル12には、操作入力部17と緊急停止ボタンスイッチ18が設けられている。なお、詳しい薬液投与装置1の構成については後述する。
【0013】
無停電電源装置2は、図外の絶縁トランスを含む装置構成とされ、薬液投与装置1を作動させる電源装置である。無停電電源装置2は、方形状面により囲まれたボックス形状であり、下面パネル22にキャスター付き支持脚3が取り付けられる。無停電電源装置2の外周を覆う装置パネル20は、薬液投与装置1を載置する上面パネル21と、キャスター付き支持脚3を取り付ける下面パネル22と、ハンドル23を取り付ける左側面パネル24と、ハンドル25を取り付ける右側面パネル26と、を有する。ハンドル23とハンドル25は、薬液投与ユニットAの設置場所を移動させるときに適宜把持される。
【0014】
ここで、「無停電電源装置2」とは、予期せぬ停電や入力電源異常が発生した際、薬液投与装置1に対して一定時間電力を供給し続ける装置のことをいい、「UPSユニット」とも呼ばれる。なお、「UPS」とは「Uninterruptible Power Supply」の略称である。
【0015】
キャスター付き支持脚3は、薬液投与装置1および無停電電源装置2を所定の高さ位置に支持するとともに、薬液投与ユニットAを移動するときのキャスターを備える脚部材である。キャスター付き支持脚3は、無停電電源装置2の下面パネル22の中央部の位置に固定された上下方向脚部30と、上下方向脚部30の下端面に固定された左右方向脚部31と、左右方向脚部31の両端面位置にそれぞれ固定された前後方向脚部32,33と、を有する。そして、2本の前後方向脚部32,33の両端部下面の4箇所には、2個のブレーキ付きキャスター34とキャスター35が取り付けられている。さらに、上下方向脚部30の途中位置には、検査で用いる補助機器などを載置する載置台36が取り付けられている。
【0016】
次に、図2図6を参照し、異なる2種類の薬液を被検者に対して自動的に投与する薬液投与装置1の詳細構成を説明する。
【0017】
薬液投与装置1は、第1の容器設置部4と、第2の容器設置部5(バイアル設置部)と、輸液バッグ設置部6と、ディスポシリンジ設置部7(シリンジ設置部)と、流路セット8と、薬液バッファ9と、を備える。薬液投与装置1は、第1の薬液と第2の薬液の両方の薬液、或いは、一方の薬液を被検者に投与可能な装置であって、検査に合わせて第1の薬液や第2の薬液の種類を選択できるし、また、検査に合わせた投与スケジュールをコントロールできる機能を有する。
【0018】
第1の薬液および第2の薬液としては、いずれか一方または両方がバイアルに収容される薬液であればよく、第1の薬液および第2の薬液がシリンジに収容される薬液であってもよい。また、第1の薬液は放射性薬液、第2の薬液は非放射性薬液であってよい。なお、第1の薬液および第2の薬液として、種類の異なる放射性薬液を用いることもできる。
【0019】
第1の薬液が放射性薬液である場合、放射性薬液としては、例えば、フッ素18、タリウム201、テクネチウム99m、ヨード123などを含み、心筋血流シンチグラフィーや脳シンチグラフィーなどで用いられる放射性薬剤の溶液とすることができる。第2の薬液が非放射性薬液である場合、第2の薬液としては、例えば、レガデノソン、アデノシン、ジピリダモール、ATP、ドブタミン、アセタゾラミド、利尿剤などの負荷剤の薬液とすることができる。実施形態では、第2の薬液をバイアルに収納される負荷剤薬液とし、第1の薬液をシリンジまたはバイアルに収納される放射性薬液としている。しかし、第2の薬液を、バイアルではなくシリンジに収納される負荷剤薬液としても良い。
【0020】
シリンジは、ガラスまたはプラスチックから形成され、薬液が収容される注射筒と、注射筒の先端から薬液を押し出すプランジャと、を備える。プランジャは、薬液を押し出すプランジャとする例を示した。しかし、プランジャは、プラスチックまたは放射線を遮蔽する素材が組み込まれたものでも良い。例えば、プランジャは、プラスチック製のものとタングステンなどを先端部分に備えたプランジャでも良い。シリンジの注射筒に収容される薬液が放射性薬剤であるときは、注射筒の外周に放射線を遮蔽する放射シールドを備える放射シールド付きシリンジ、または、設置部に放射線シールドを備える放射線シールド付きシリンジ設置部を用いる。バイアルは、ガラスまたはプラスチックから形成され、薬液が収容される本体と、本体を密閉するゴム栓と、を備える。バイアルの本体に収容される薬液が放射性薬剤であるときは、放射線を遮蔽する放射線シールド容器の内部にバイアルを収容した放射線シールド容器内蔵バイアル(以下、「コンテナ」という。)を用いる。なお、放射線シールドは、鉛またはタングステンなどの金属から形成することができる。
【0021】
第1の容器設置部4は、第1の薬液(例えば放射性薬液)を収容する容器が設置される容器設置部である。第1の容器設置部4は、第1のシリンジ40(RIシリンジ)が設置される第1のシリンジ設置部41と、第1の薬液が収容された第1のバイアル42(RIバイアル)が設置される第1のバイアル設置部43と、を有する。
【0022】
ここで、第1のシリンジ設置部41に設置される第1のシリンジ40は、放射線シールド付きシリンジであり、かつ、第1の薬液の吸引および排出が可能である。また、第1のシリンジ設置部41には、第1のコンテナ容器ホルダ43aにSPECT用コンテナ42a(第1のコンテナの一例)が設置されず、かつ、第1のコンテナ容器テーブル43bにPET用コンテナ42b(第2のコンテナの一例)が設置されないとき、第1の薬液が収容された第1のシリンジ40が設置される。一方、第1のコンテナ容器ホルダ43aにSPECT用コンテナ42aが設置されるとき、又は、第1のコンテナ容器テーブル43bにPET用コンテナ42bが設置されるとき、SPECT用コンテナ42a又はPET用コンテナ42bに収容されている放射性薬剤をディスポシリンジ70による吸引にて薬液バッファ9内に貯留する。実施形態の場合、例えば、第1のバイアル42から1.0ml程度の放射性薬液を薬液バッファ9に貯留する。なお、第1の薬液が収容されていない空の第1のシリンジ40と、第1のバイアル42(SPECT用コンテナ42a又はPET用コンテナ42b)とを、三方活栓80dを介在させても介在させなくても良く、三方活栓80cと直接繋ぐ構成としても良い。また、三方活栓80bと三方活栓80dとを繋ぐ構成(第1のシリンジ設置部41、第1のシリンジ40および三方活栓80cを介在しない構成)としても良く、三方活栓80dと第1のバイアルの2つとを繋ぐ構成としてもよい。さらに、PET用コンテナ42bとして、安静分コンテナと負荷分コンテナとの二つのコンテナを設置するようにしても良い。この場合、安静分コンテナからの輸液チューブを三方活栓80cに直接繋ぎ、負荷分コンテナからの輸液チューブを三方活栓80dに直接繋ぐ構成としても良い。また、安静分コンテナからの輸液チューブと、負荷分コンテナからの輸液チューブと、三方活栓80cからの輸液チューブとの三つのチューブの連結位置に三方活栓を取り付け、放射性薬液の安静分を投与した後、自動又は手動で取り付けた三方活栓を切り替えても良い。
【0023】
第1のシリンジ40は、第1の薬液を収容する注射筒40aと、注射筒40aへの第1の薬液の吸引および注射筒40aから第1の薬液を排出する薬液プランジャ40bと、薬液プランジャ40bを駆動する薬液シリンジ駆動部40cと、を有する。そして、薬液シリンジ駆動部40cは、薬液プランジャ40bのストローク制御を行うシリンジストローク制御部104に接続されている。シリンジストローク制御部104は、装置パネル10に内蔵された薬液投与コントローラ100に有し、操作者から受け付けた第1の薬液の投与量および第2の薬液(例えば負荷剤薬液)の投与量に基づき、薬液シリンジ駆動部40cの吸引・排出のストローク速度およびストローク量を制御する(図7を参照)。
【0024】
第1のバイアル設置部43としては、図外の第1のバイアル42を収容するSPECT用コンテナ42aを設置する第1のコンテナ容器ホルダ43aと、図外の第1のバイアル42を収容するPET用コンテナ42bを設置する第1のコンテナ容器テーブル43bと、を有する。第1のコンテナ容器ホルダ43aは、装置パネル10の正面パネル11のうち左端領域の中央部位置に配置され、SPECT用コンテナ42aを容器開口が下向きになる上下反転状態で設置する。第1のコンテナ容器テーブル43bは、装置パネル10の左側面パネル13の外側前方位置に配置され、PET用コンテナ42bを容器開口が上向きになる平置き状態で設置する。
【0025】
PET用コンテナ42bに収容された第1の薬液を投与するときは、上向きの容器開口を塞ぐゴム栓に注射針44およびベント針45を刺し、輸液チューブ83gを介して第4の三方活栓80dに導く。このとき、左側面パネル13に設けられた第2チューブ支持部46に輸液チューブ83gが支持される。
【0026】
第2の容器設置部5は、第1の薬液とは異なる第2の薬液を収容する容器が設置される容器設置部である。第2の容器設置部5は、第2の薬液が収容された第2のバイアル50(バイアル、負荷剤バイアル)が設置される第2のバイアル設置部51と、第2のバイアル50に代え、図外の第2の薬液が収容された第2のシリンジ(薬液シリンジ)を設置することが可能な第2のシリンジ設置部52と、を有する。即ち、第2のバイアル設置部51に、第2のバイアル50が設置されるとき、第2のシリンジ設置部52には第2のシリンジが設置されず、第2のシリンジ設置部52に、第2のシリンジが設置されるとき、第2のバイアル設置部51には第2のバイアル50が設置されない。
【0027】
第2のバイアル設置部51は、装置パネル10の正面パネル11のうち中央部領域の上部位置に配置され、第2のバイアル50(第2のバイアル)を容器開口が下向きになる上下反転状態で設置するバイアル容器ホルダの構成としている。第2のシリンジ設置部52は、装置パネル10の正面パネル11のうち中央部領域の下部位置に、第2のバイアル設置部51とは上下方向に直列配置とされたシリンジホルダの構成としている。そして、第2のバイアル設置部51に第2のバイアル50が設置されるとき、第2の薬液を、ディスポシリンジ70による吸引にて薬液バッファ9に貯留する。一方、第2のシリンジ設置部52にディスポシリンジ70と同様に押し出す機能を有する第2のシリンジが設置されるとき、第2のシリンジに収容された第2の薬液は、薬液バッファ9を通液しないように用いられる。ここで、「薬液バッファ9を通液しない」とは、薬液バッファ9に第2の薬液が流れ込まないことをいう。つまり、第2のシリンジ設置部52に第2のシリンジが設置されるときは、ディスポシリンジ70の吸引により第2の薬液を薬液バッファ9へ流れ込ませることや貯留させることを行わない。なお、第2のシリンジ設置部52に第2のシリンジが設置されるとき、第2のシリンジの第2の薬液を、ディスポシリンジ70による吸引にて薬液バッファ9に貯留しても良い。この場合、第2のシリンジが設置される第2のシリンジ設置部52から第2の薬液を押し出す機能を取り除くことができる。
【0028】
ここで、第2のバイアル設置部51としては、第2のバイアル50を容器開口が下向きになる上下反転状態で設置する図示のバイアル容器ホルダ以外に、第2のバイアル50を容器開口が上向きになる平置き状態で設置するバイアル容器テーブルとしても良い。さらに、コンテナを容器開口が下向きになる上下反転状態で設置するコンテナ容器ホルダ、コンテナを容器開口が上向きになる平置き状態で設置するコンテナ容器テーブルとしても良い。要するに、第2のバイアル設置部51としては、バイアル容器ホルダ、バイアル容器テーブル、コンテナ容器ホルダ、コンテナ容器テーブル、からなるバイアル設置部群から選択される少なくとも1以上を含む設置部であれば良い。また、第2のバイアル設置部51として、第2のバイアル50を設置するバイアル容器ホルダによる1つのバイアル設置部を示しているが、例えば、第1のバイアル設置部43と同様に、コンテナ容器ホルダやコンテナ容器テーブルを含むバイアル設置部群から選択された複数のバイアル設置部群を有する構成としても勿論良い。
【0029】
輸液バッグ設置部6は、生理食塩水を収容する容器である輸液バッグ60が設置される容器設置部であり、輸液バッグ60を吊り下げるフック形状によるフック部材61を有する。フック部材61は、装置パネル10の右側面パネル14のうち正面パネル11に近い領域の上部位置に取り付けられている。よって、輸液バッグ60は、装置パネル10の右側面パネル14の正面パネル11に近い位置にフック部材61に吊り下げた状態で設置される。なお、輸液バッグ設置部6としては、装置パネル10に内蔵させて輸液バッグ60を設置する構成としても良いし、装置パネル10の外部に配置した輸液バッグ設置スタンドなどに輸液バッグ60を設置する構成としても良い。さらに、生理食塩水を収容する輸液バッグ60に代え、注射用水を収容するバックとしても良いし、その他の等張水を収容するバックとしても良い。なお、生理食塩水、注射用水、等張水などを総称して「輸液」という。
【0030】
ディスポシリンジ設置部7は、設置時に空シリンジであり、薬液投与時に生理食塩水の吸引および排出が可能であるディスポシリンジ70を設置するディスポシリンジホルダ71を有する。ディスポシリンジ70は、薬液が収容されている薬液シリンジに対し、薬液が収容されていないシリンジということができる。ディスポシリンジホルダ71は、装置パネル10の正面パネル11のうち右端部領域の下部位置に配置される。
【0031】
ディスポシリンジ70は、生理食塩水を収容する注射筒70aと、注射筒70aへの生理食塩水の吸引および注射筒70aから生理食塩水を排出するディスポプランジャ70bと、ディスポプランジャ70bを駆動するディスポシリンジ駆動部70cと、を有する。そして、ディスポシリンジ駆動部70cは、ディスポプランジャ70bのストローク制御を行うシリンジストローク制御部104(制御部)に接続されている。シリンジストローク制御部104は、装置パネル10に内蔵された薬液投与コントローラ100に有し、操作者から受け付けた第1の薬液の投与量および第2の薬液の投与量に基づき、ディスポシリンジ駆動部70cの吸引・排出のストローク速度およびストローク量を制御する(図7を参照)。
【0032】
流路セット8は、図6に示すように、薬液や生理食塩水の流路を切り換える4個の三方活栓80a,80b,80c,80d(流路切換部材)と、三方活栓80a~80dを保持する4個の活栓ホルダ81a,81b,81c,81dと、を有して構成される。
【0033】
三方活栓80a,80b,80c,80dには、図6に示すように、輸液チューブ83a,83b,83c,83d、薬液バッファ9、コネクタ84a~84k、エアベントフィルター85などを含む管路系部材が連結される。エアベントフィルター85には、コネクタ84m、輸液チューブ83e、コネクタ84n、輸液チューブ83f、翼付投与針86を含む投与針系が連結される。このとき、被検者が変わる毎にコネクタ84mから投与針系を外すと、使用済みの投与針系を廃棄することができる。そして、予め用意している新たな投与針系をコネクタ84mにより連結すると、被検者毎の新たな投与針系に交換することができる。
【0034】
活栓ホルダ81a,81b,81c,81dは、正面パネル11の下部領域に固定された1枚のホルダプレート82に対して移動可能状態で設けられる。ここで、移動可能状態とは、4個の活栓ホルダ81a~81dにより4個の三方活栓80a~80dを保持する位置と、4個の活栓ホルダ81a~81dを4個の三方活栓80a~80dから離して保持を解除する位置と、を移動可能な状態をいう。4個の活栓ホルダ81a~81dの移動態様としては、保持位置から保持解除位置までのスライド移動・回転移動・傾倒移動などがある。
【0035】
よって、所定の交換タイミングにおいて、4個の活栓ホルダ81a~81dを4個の三方活栓80a~80dから離して保持を解除し、管路系部材を取り外すことにより、管路系部材をまとめて廃棄することができる。そして、予め用意している新たな管路系部材を取り付けて4個の活栓ホルダ81a~81dにより4個の三方活栓80a~80dを保持すると、管路系部材をまとめて交換することができる。ここで、所定の交換タイミングとは、例えば、薬液の種類を交換したタイミング、管路系部材を交換しないで1日を経過したタイミング、管路系部材を交換しないで薬液を投与した被検者の人数が設定人数に到達したタイミング、などをいう。
【0036】
翼付投与針86は、薬液投与時に被検者に対して穿刺され、薬液非投与時に廃液ボトル87に刺すことによりセットされる。廃液ボトル87へのセット時には、左側面パネル13に設けられた第2チューブ支持部88に輸液チューブ83fが支持される。
【0037】
輸液チューブ83a~83f、および、三方活栓80a~80dは、いずれも好ましくは、プラスチック製の部材であり、エチレンオキサイドなどで滅菌処理が施されるものがより好ましい。輸液チューブ83a~83fは、チューブと、チューブの両端に設けられた雄型または雌型のコネクタと、を備える。また、三方活栓80a~80dは、三方向の流路と、これらの流路を切り換えるハンドルと、を備えている。輸液チューブ83a~83f、および、三方活栓80a~80dは、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体などから形成される。輸液チューブ83a~83fとしては、医療機器の輸液チューブとして広く販売されているものと同様なものを使用することができる。また、三方活栓80a~80dは、医療機器の三方活栓として広く販売されているものと同様なものを使用することができる。
【0038】
なお、4個の三方活栓80a,80b,80c,80dは、第1の活栓切換え駆動部89aと第2の活栓切換え駆動部89bと第3の活栓切換え駆動部89cと第4の活栓切換え駆動部89dによりそれぞれ独立に回転駆動され、活栓流路位置が切り換わる。各切換え駆動部89a~89dは、後述する三方活栓切換え制御部105に接続され、4個の三方活栓80a,80b,80c,80dのそれぞれについて活栓流路位置の切換え制御が行われる(図7を参照)。
【0039】
薬液バッファ9は、ディスポシリンジ70と第2のバイアル50とを連通する薬液投与管路の位置に設けられる。薬液バッファ9は、薬液バッファホルダ90に保持され、第2のバイアル50に収容されている第2の薬液を、ディスポシリンジ70による吸引にて一時的に貯留する。即ち、ディスポシリンジ70による吸引にて第2のバイアル50に収容されている第2の薬液を、薬液投与管路の薬液バッファ9へ移し替えて貯留しておき、第2の薬液の投与に備える。なお、ディスポシリンジ70と第2のバイアル50とを連通する薬液投与管路とは、コネクタ84c及びコネクタ84dを有し、三方活栓80aと三方活栓80bとを繋ぐ管路のことをいう。三方活栓80aと三方活栓80bを、図11に示す活栓流路位置にすると、第2のバイアル50と薬液バッファ9とを連通させる流路が形成される。また、三方活栓80aと三方活栓80bを、図12に示す活栓流路位置にすると、薬液バッファ9に貯留された第2の薬液を被検者に投与する流路が形成される。なお、第2のシリンジ設置部52に第2のシリンジが設置されるとき、薬液バッファ9は、ディスポシリンジ70と第2のシリンジとを連通する薬液投与管路の位置に設けられる。
【0040】
ここで、ディスポシリンジ70の内容積と薬液バッファ9の内容積との合算は、ディスポシリンジ70により吸引される第2のバイアル50内の第2の薬液の容積よりも大きく設定している。好ましくは、薬液バッファ9の内容積は、ディスポシリンジ70により吸引される第2のバイアル50内の第2の薬液の容積よりも大きい容積に設定している。例えば、実施形態では、吸引される負荷剤薬液の容積が4.0ml程度であるのに対して、薬液バッファ9の内容積を10.0ml程度に設定している。
【0041】
薬液バッファホルダ90は、装置パネル10の正面パネル11において上下方向の設置軸線L1,L2が平行配置の第2の容器設置部5とディスポシリンジ設置部7とに挟まれた位置に設置される(図3を参照)。薬液バッファホルダ90に保持される薬液バッファ9は、チューブ材を螺旋コイル状に複数回巻き付けて構成される。より詳しくは、チューブ材の巻き付け形状を、上下方向が長径で前後方向が短径の長円形状とされる。なお、薬液バッファ9は、薬液を貯められる容器などであっても良い。
【0042】
なお、チューブ材としては、輸液チューブ83a~83fと同じチューブ材を用いても良いし、輸液チューブ83a~83fより内径が少し大きい別のチューブ材を用いても良い。即ち、チューブ材としては、内径が輸液チューブ83a~83fと同程度以上であって、管路系との接続部での流動抵抗の変化が許容値以下になる内径を有するものであれば良い。また、チューブ材の複数回巻き付けにより左右方向に隣接する同じ長円形状のチューブ同士を束ね、流路セット8を交換する際、薬液バッファホルダ90に対する薬液バッファ9の入れ替え作業容易性を確保している。なお、チューブ同士を束ねる構成は、隣接するチューブ同士を接着剤により接着固定することで束ねても良いし、隣接するチューブ同士を結束バンドなどで結束することで束ねても良い。
【0043】
次に、図7を参照し、薬液投与装置1においてシリンジストローク制御および三方活栓切換制御を行う薬液投与制御系構成を説明する。
【0044】
薬液投与制御系は、操作入力部17と、緊急停止ボタンスイッチ18と、薬液投与コントローラ100と、薬液シリンジ駆動回路201と、薬液シリンジ駆動部40cと、ディスポシリンジ駆動回路202と、ディスポシリンジ駆動部70cと、を備える。さらに、第1の活栓駆動回路203と、第1の活栓切換え駆動部89aと、第2の活栓駆動回路204と、第2の活栓切換え駆動部89bと、第3の活栓駆動回路205と、第3の活栓切換え駆動部89cと、第4の活栓駆動回路206と、第4の活栓切換え駆動部89dと、を備える。
【0045】
操作入力部17は、液晶ディスプレイからなり、電源をオンにすると薬液投与における必要情報が表示されるタッチパネル式の表示画面17aを有している。操作者がタッチ操作によって入力する情報としては、例えば、第1の薬液と第2の薬液との投与間隔や、被検者に対して投与される第1の薬液および第2の薬液の投与量や、被検者に関する情報(IDなどの識別情報、氏名、性別、年齢、体重など)などがある。
【0046】
緊急停止ボタンスイッチ18は、薬液投与の途中段階にて投与を継続できない事態が生じたとき、操作者によりボタンを押すスイッチ操作により薬液投与制御動作を緊急停止させるスイッチである。
【0047】
薬液投与コントローラ100は、第1の薬液および第2の薬液を投与する手順(プロトコル)の処理流れを記述した薬液投与プログラムを実行するコンピュータとして構成される。薬液投与コントローラ100は、入力部101と、記憶部102と、演算処理部103と、シリンジストローク制御部104と、三方活栓切換え制御部105と、を備えている。
【0048】
入力部101は、操作入力部17からの操作入力情報と、緊急停止ボタンスイッチ18からのスイッチ信号を入力する入力インターフェースである。なお、入力部101としては、操作入力部17などを使った入力を受け付けるものに限定されず、電子カルテ等からネットワークを介した通信によって入力するものであってもよい。
【0049】
記憶部102は、被検者に対する第1の薬液と第2の薬液との投与間隔などの投与プロトコルを記憶する。なお、投与プロトコルは、第1の薬液と第2の薬液の組み合わせの種類、被検者に関する生体情報、などに応じて多数用意しておく。
【0050】
演算処理部103は、入力部101からの入力情報と、記憶部102からの記憶情報に基づいて、各被検者に応じた適切な投与プロトコルを決める。そして、決定した投与プロトコルにしたがって、シリンジストローク制御および三方活栓切換え制御を実行する時間軸での処理動作を演算する。
【0051】
シリンジストローク制御部104は、第1のシリンジ40の薬液プランジャ40bおよびディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bのストローク制御(ストローク速度およびストローク位置の制御)を行う。即ち、シリンジストローク制御部104では、演算処理部103からの処理動作演算結果に基づいて、薬液シリンジ駆動回路201およびディスポシリンジ駆動回路202に駆動制御指令を出力する。シリンジストローク制御部104は、薬液シリンジ駆動部40cに設けられたストローク位置センサ301からの実位置をフィードバック情報とし、第1のシリンジ40のストローク速度およびストローク位置を目標速度および目標位置に収束させる制御を行う。また、シリンジストローク制御部104は、ディスポシリンジ駆動部70cに設けられたストローク位置センサ302からの実位置をフィードバック情報とし、ディスポシリンジ70のストローク速度およびストローク位置を目標速度および目標位置に収束させる制御を行う。ここで、薬液シリンジ駆動部40cおよびディスポシリンジ駆動部70cとしては、薬液プランジャ40bおよびディスポプランジャ70bを、直線運動させることが可能なモータアクチュエータやソレノイドアクチュエータなどが用いられる。
【0052】
三方活栓切換え制御部105は、4個の三方活栓80a,80b,80c,80dのそれぞれについて活栓流路位置の切換え制御を行う。即ち、三方活栓切換え制御部105では、演算処理部103からの処理動作演算結果に基づいて、第1の活栓駆動回路203と第2の活栓駆動回路204と第3の活栓駆動回路205と第4の活栓駆動回路206に駆動制御指令を出力する。三方活栓切換え制御部105は、活栓切換え駆動部89a~89dに設けられた切換え位置センサ303,304,305,306からの実位置をフィードバック情報とし、三方活栓80a~80dの活栓流路位置を目標位置に一致させる切換え制御を行う。ここで、活栓切換え駆動部89a~89dとしては、三方活栓80a~80dの流路位置を切り換え駆動することが可能なモータアクチュエータなどが用いられる。
【0053】
次に、図8図14を参照し、薬液投与装置1による薬剤投与方法の一例について説明する。ここで、薬剤投与方法の一例としては、バイアル製剤によるレガデノソンなどの負荷剤薬液の投与に続き、SPECT用コンテナ42aに収容された心筋血流製剤などの放射性薬液を投与する方法を例示する。なお、SPECT用コンテナ42aからの放射性薬液は、全量投与ではなく、SPECT用コンテナ42a内の放射性薬液の一部(必要量)を投与する。
【0054】
まず、薬剤投与方法のうち薬液投与準備処理手順を、図8図11により説明する。薬液投与準備処理手順には、生食吸引ステップと、流路確保ステップと、投与準備ステップと、薬液貯留ステップとを有する。以下、各ステップについて説明する。
【0055】
[生食吸引ステップ]
生食吸引ステップは、ディスポシリンジ70に生理食塩水を吸引する手順である。生食吸引ステップでは、図8に示すように、翼付投与針86を廃液ボトル87に刺し込んだままの状態で、三方活栓80aを、輸液バッグ60とディスポシリンジ70が連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bを最大ストローク域の目標位置まで引き上げる吸引ストローク制御を行う。この吸引ストローク制御によって、図8の矢印Bに示すように、輸液バッグ60の生理食塩水をディスポシリンジ70に移し替える。なお、翼付投与針86を廃液ボトル87に刺し込まずに、生食吸引ステップを行っても良い。
【0056】
[流路確保ステップ]
流路確保ステップは、生食吸引ステップにて吸引した生理食塩水により、薬液が翼付投与針86まで流れる流路を確保する手順である。流路確保ステップでは、図9に示すように、三方活栓80aを、輸液バッグ60とディスポシリンジ70の連通を遮断し、かつ、ディスポシリンジ70と翼付投与針86が連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bを最大ストローク域の位置から最小ストローク域の目標位置まで押し下げる排出ストローク制御を行う。この排出ストローク制御によって、図9の矢印Cに示すように、ディスポシリンジ70に移し替えられた生理食塩水を、翼付投与針86側の薬液投与管路に充填し、翼付投与針86を介して廃液ボトル87へ流す。
【0057】
[投与準備ステップ]
投与準備ステップは、ディスポシリンジ70による負荷剤薬液の吸引、および、吸引後の負荷剤薬液投与ができる状態にする準備手順である。投与準備ステップでは、図10に示すように、三方活栓80aを、輸液バッグ60とディスポシリンジ70が連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bを押し下げ位置から、少なくとも次の薬液貯留ステップにて負荷剤薬液を吸引する吸引ストローク分を残して決めた目標位置まで引き上げる吸引ストローク制御を行う。この吸引ストローク制御によって、図10の矢印Dに示すように、輸液バッグ60の生理食塩水をディスポシリンジ70に所定量だけ移し替える。
【0058】
[薬液貯留ステップ]
薬液貯留ステップは、ディスポプランジャ70bの吸引ストローク動作により、第2のバイアル50から負荷剤薬液を吸引して薬液バッファ9に一時貯留する手順である。薬液貯留ステップでは、図11に示すように、翼付投与針86を廃液ボトル87に刺し込んだままの状態で、三方活栓80aと三方活栓80bを、ディスポシリンジ70と第2のバイアル50が連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bをストローク途中位置から、最大ストローク域の目標位置まで引き上げる吸引ストローク制御を行う。この吸引ストローク制御によって、図11の矢印Eに示すように、第2のバイアル50に収容されている負荷剤薬液が薬液バッファ9側に目標量だけ吸い込まれ、薬液バッファ9に貯留される。なお、翼付投与針86を廃液ボトル87に刺し込まずに、薬液貯留ステップを行っても良い。
【0059】
薬剤投与方法のうち薬液投与実行処理手順を、図12図14により説明する。薬液投与実行処理手順には、針刺しステップと、先行投与ステップと、薬液移送ステップと、後続投与ステップと、針抜きステップと、を有する。以下、各ステップについて説明する。なお、薬液投与を実行する際の投与プロトコルは、例えば、負荷剤薬液の投与時間(10秒程度)、生食フラッシュ時間(10-20秒程度)、放射性薬液の投与時間(30-40秒程度)、生食フラッシュ時間(40-50秒程度)としている。そして、各時間は、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bを押し下げる排出ストロークにおいて、単位時間当たりのストローク量によるストローク速度制御によって目標時間にコントロールしている。
【0060】
[針刺しステップ]
針刺しステップは、被検者に対して翼付投与針86を穿刺する手順である。針刺しステップでは、薬液投与準備処理手順において廃液ボトル87に刺し込んだままの翼付投与針86を廃液ボトル87から抜き、被検者に対して翼付投与針86を穿刺する。なお、針刺しステップは、流路確保ステップの後であって、投与準備ステップの前に行っても良い。
【0061】
[先行投与ステップ]
先行投与ステップは、ディスポプランジャ70bの排出ストローク動作により、薬液バッファ9に一時貯留されている負荷剤薬液を、生理食塩水の排出により被検者に投与する手順である。先行投与ステップでは、図12に示すように、三方活栓80aを、輸液バッグ60とディスポシリンジ70の連通を遮断し、かつ、三方活栓80bをディスポシリンジ70と翼付投与針86が連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bを最大ストローク域の位置から、最大ストロークと最小ストロークの中間ストローク域の目標位置まで押し下げる排出ストローク制御を行う。この排出ストローク制御によって、図12の矢印Fに示すように、ディスポシリンジ70の生理食塩水の排出により薬液バッファ9に貯留されている負荷剤薬液が押し出され、翼付投与針86から被検者に対して負荷剤薬液が投与される。さらに、ディスポシリンジ70の生理食塩水の排出量を負荷剤薬液の投与量より多く設定していることで、負荷剤薬液の投与に続いて、薬液投与管路に残存した負荷剤薬液が生理食塩水とともに被検者に投与される。このように、負荷剤薬液の投与後に行われる生理食塩水の投与のことを「生食フラッシュ」という。
【0062】
[薬液移送ステップ]
薬液移送ステップは、SPECT用コンテナ42aに収容されている放射性薬液を薬液バッファ9へ移し替える手順である。薬液移送ステップでは、図13に示すように、三方活栓80dを、SPECT用コンテナ42aとディスポシリンジ70が連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70の薬液プランジャ70bを目標位置まで引き上げる吸引ストローク制御を行う。この吸引ストローク制御によって、図13の矢印Gに示すように、SPECT用コンテナ42aに収容されている放射性薬液が薬液バッファ9内に吸い込まれ、ディスポシリンジ70での投与に備えられる。なお、PET用コンテナ42bに収容されている放射性薬液を用いる場合も同様に、薬液移送ステップが必要である。しかし、放射性薬液が収容されている第1のシリンジ40を用いると、第1のシリンジ40の排出ストロークにより放射性薬液を薬液投与管路に移送し、ディスポシリンジ70での投与に備えることができる。
【0063】
[後続投与ステップ]
後続投与ステップは、ディスポプランジャ70bの排出ストローク動作により、放射性薬液を生理食塩水の排出により被検者に投与する手順である。後続投与ステップでは、図14に示すように、三方活栓80dを、薬液投与管路に連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bを中間ストローク域の位置から、最小ストローク域の目標位置まで定速にて押し下げる排出ストローク制御を行う。この排出ストローク制御によって、図14の矢印Hに示すように、ディスポシリンジ70の生理食塩水の排出により薬液投与管路に充填されている放射性薬液が押し出され、翼付投与針86から被検者に対して定速静注により投与される。ここでの生食フラッシュは、放射性薬液の投与後に行われる生理食塩水の投与のことをいう。
【0064】
[針抜きステップ]
針抜きステップは、被検者に対して刺していた翼付投与針86を抜き、廃液ボトル87に刺し込む手順である。針抜きステップでは、後続投与ステップにより被検者に対して放射性薬液の投与を終了すると、翼付投与針86を被検者から抜き、翼付投与針86を廃液ボトル87に刺し込む。
【0065】
薬剤投与方法のうち薬液洗浄処理手順を、図8および図9により説明する。薬液洗浄処理手順には、生食吸引ステップと、洗浄ステップとを有する。以下、各ステップについて説明する。
【0066】
[生食吸引ステップ]
生食吸引ステップは、薬液投与実行処理手順が終了した後、ディスポシリンジ70に生理食塩水を吸引する手順である。生食吸引ステップでは、図8と同様に、翼付投与針86を廃液ボトル87に刺し込んだままの状態で、三方活栓80aを、輸液バッグ60とディスポシリンジ70が連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bを最大ストローク域の目標位置まで引き上げる吸引ストローク制御を行う。この吸引ストローク制御によって、図8の矢印Bに示すように、輸液バッグ60の生理食塩水をディスポシリンジ70に移し替える。なお、翼付投与針86を廃液ボトル87に刺し込まずに、生食吸引ステップを行っても良い。
【0067】
[洗浄ステップ]
洗浄ステップは、生食吸引ステップにて吸引した生理食塩水により、翼付投与針86を含む薬液投与管路に残存している可能性がある放射性薬液を洗い流して洗浄する手順である。洗浄ステップでは、図9と同様に、三方活栓80aを、輸液バッグ60とディスポシリンジ70の連通を遮断し、かつ、ディスポシリンジ70と翼付投与針86が連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bを最大ストローク域の位置から最小ストローク域の目標位置まで押し下げる排出ストローク制御を行う。この排出ストローク制御によって、図9の矢印Cに示すように、ディスポシリンジ70に移し替えられた生理食塩水を、翼付投与針86側の薬液投与管路へと流し、翼付投与針86を介して廃液ボトル87へ流す。なお、洗浄ステップは、第1のシリンジ40を生理食塩水で共洗いして、この共洗いも被検者に投与するというステップとしても良い。
【0068】
次に、実施形態に係る薬液投与技術における特徴作用を説明する。
【0069】
実施形態では、ディスポシリンジ70と第2のバイアル50とを連通する薬液投与管路の位置に、第2のバイアル50に収容されている第2の薬液を、ディスポシリンジ70による吸引にて貯留する薬液バッファ9を設ける。そして、ディスポシリンジ70の内容積と薬液バッファ9の内容積との合算が、ディスポシリンジ70により吸引される第2のバイアル50内の第2の薬液の容積よりも大きい設定としている。
【0070】
即ち、第2のバイアル50に収容されている第2の薬液を投与する場合、第2の薬液を直接投与することができず、薬液を移送するための薬液移送手段が必要である。しかし、薬液移送手段としてロールポンプを用いた場合、高価な電動モータを使用する必要があるし、薬液の投与速度や投与量を精度良く管理するのに複雑な設計を要する。
【0071】
これに対して、本発明者は、薬液移送手段としてシリンジを用いることで、ロールポンプを用いた場合の課題を解消できる点に着目した。加えて、薬液投与管路に薬液貯留部材を設けると、手順の削減によりバイアルに収容された薬液の投与に備えることができる点に着目した。ここで、「手順の削減」とは、薬液貯留部材が無い構成にすると、バイアル収容薬液を空シリンジへ移し替える手順と、移し替えられた薬液を薬液投与管路に充填する充填手順と、を要して薬液投与に備えることになる。これに対し、薬液貯留部材を設けると、移し替え手順と充填手順という二つの手順を、ディスポシリンジ70の吸引による薬液貯留手順という一つの手順に削減して薬液投与に備えることができることをいう。
【0072】
その際、薬液貯留部材として薬液バッファ9を採用し、ディスポシリンジ70の内容積(吸引ストローク分の内容積)と薬液バッファ9の内容積との合算を、ディスポシリンジ70により吸引される第2のバイアル50内の薬液の容積よりも大きくしている。これにより、第2のバイアル50内の第2の薬液を、ディスポシリンジ70により吸引できる設定とされる。このとき、ディスポシリンジ70の内に薬液が入るか否かを問わない。このため、高価な電動モータ等を使用することなく、簡易的な設計により第2のバイアル50から第2の薬液を吸引して投与することができる。
【0073】
実施形態では、薬液バッファ9の内容積を、ディスポシリンジ70により吸引される第2のバイアル50内の薬液の容積よりも大きく設定している。
【0074】
即ち、ディスポシリンジ70により第2のバイアル50内の第2の薬液を目標とする薬液量だけ吸引した場合、ディスポシリンジ70の内部に第2の薬液が流れ込む前に、薬液バッファ9の内部に所定量の第2の薬液が貯留される。このため、ディスポシリンジ70による吸引にて第2のバイアル50に収容されている第2の薬液を薬液バッファ9に貯留する際、ディスポシリンジ70の内部に第2の薬液が吸引されるのを防止できる。
【0075】
実施形態では、薬液バッファホルダ90に保持される薬液バッファ9を、チューブ材を螺旋コイル状に複数回巻き付けて構成している。
【0076】
即ち、チューブ材を螺旋コイル状に複数回巻き付けることで、チューブ材の全長が長くなり、薬液バッファ9に求められる内容積が確保される。そして、チューブ材を選択することにより、薬液バッファ9の流路抵抗と、輸液チューブ83a~83gなどにより構成される薬液投与管路の流路抵抗との差が小さく抑えられる。このため、薬液バッファ9の内容積を確保できるとともに、薬液バッファ9を含む薬液投与管路系を液体が流れるときの流路抵抗の変化を抑制できる。
【0077】
実施形態の薬液バッファホルダ90は、装置パネル10の正面パネル11において上下方向の設置軸線L1,L2が平行配置の第2の容器設置部5とディスポシリンジ設置部7との間の位置に設置される。そして、薬液バッファ9のチューブ材の巻き付け形状を、正面パネル11に平行な上下方向が長径で、正面パネル11に垂直な前後方向が短径の長円形状としている。
【0078】
例えば、薬液バッファのチューブ材の巻き付け形状を円形状にすると、円形チューブの直径によって薬液バッファが正面パネルから前方に突出してしまい、薬液バッファをコンパクトに配置することができない。これに対し、薬液バッファ9のチューブ材の巻き付け形状を長円形状とすることで、正面パネル11からの薬液バッファ9の前方突出量が抑えられ、第2の容器設置部5とディスポシリンジ設置部7との間の位置に薬液バッファホルダ90に保持される薬液バッファ9をコンパクトに配置できる。
【0079】
実施形態のディスポシリンジ70は、注射筒70aと、ディスポプランジャ70bと、ディスポプランジャ70bを駆動するディスポシリンジ駆動部70cと、ディスポシリンジ駆動部70cを制御するシリンジストローク制御部104と、を有する。そして、シリンジストローク制御部104において、操作者から受け付けた薬液の投与量に基づき、ディスポシリンジ駆動部70cの吸引ストローク動作およびディスポシリンジ駆動部70cの排出ストローク動作を制御するようにしている。
【0080】
即ち、シリンジのストローク動作制御の場合、プランジャストローク量が吸引液量・排出液量に対応し、単位時間当たりのプランジャストローク量が吸引速度・排出速度に対応することで、高精度で安定した再現性による投与量制御と投与速度制御が行える。このため、ディスポシリンジ70の吸引ストローク動作によって第2の薬液を薬液バッファ9に貯留できるとともに、ディスポシリンジ70の排出ストローク動作によって薬液バッファ9に貯留されている第2の薬液を投与できる。
【0081】
実施形態では、輸液バッグ60を設置する輸液バッグ設置部6を更に備え、第2の薬液を吸引するシリンジを、輸液バッグ60から生理食塩水を吸引し、シリンジに吸引された生理食塩水を、薬液バッファ9を通じて排出するディスポシリンジ70としている。
【0082】
即ち、ディスポシリンジ70は、生理食塩水を吸引・排出するために設置されるシリンジであり、第2の薬液を吸引するにはディスポシリンジ70とは別に新たな空シリンジを追加し、追加した空シリンジに第2の薬液を移し替える必要がある。これに対し、第2の薬液の貯留機能を薬液バッファ9に分担させると、生理食塩水を吸引・排出する機能を損なうことなく、ディスポシリンジ70を第2の薬液の吸引に用いることができる点に着目した。このため、新たな空シリンジを追加することのない簡潔な構成としながら、既存のディスポシリンジ70を利用して第2の薬液の吸引を行うことができる。
【0083】
実施形態の第2の容器設置部5は、第2のバイアル50の開口が下向きになる上下反転状態で第2のバイアル50を設置するバイアル容器ホルダ、バイアルの開口が上向きになる平置き状態でバイアルを設置するバイアル容器テーブル、バイアルを収容するコンテナをバイアルの開口が下向きになる上下反転状態で設置するコンテナ容器ホルダ、及び、バイアルを収容するコンテナをバイアルの開口が上向きになる平置き状態で設置するコンテナ容器テーブル、からなるバイアル設置部群から選択される少なくとも1以上を含むものとしている。
【0084】
即ち、バイアル容器として、上下反転状態で設置されるバイアルまたはコンテナが選択されると、バイアル容器ホルダまたはコンテナ容器ホルダで対応できる。バイアル容器として、平置き状態で設置されるバイアルまたはコンテナが選択されると、バイアル容器テーブルまたはコンテナ容器テーブルで対応できる。このため、バイアル容器として、バイアルまたはコンテナが選択されても、また、上下反転状態または平置き状態で設置される容器が選択されても対応可能であり、バイアル容器の選択自由度を確保できる。
【0085】
実施形態の第2の容器設置部5は、バイアル容器ホルダ、バイアル容器テーブル、コンテナ容器ホルダ及びコンテナ容器テーブルからなるバイアル設置部群から選択される複数のバイアル設置部を含むものとしている。
【0086】
例えば、第1の容器設置部4に示されるように、第2の容器設置部5において、バイアル容器として選択される可能性がある容器の種類に対応する複数のバイアル設置部を設けておく。この場合、バイアル容器として選択された容器が複数のバイアル設置部に適合する容器選択である限り、選択された容器に対応して設置することができる。
【0087】
実施形態では、第2の容器設置部5に、第2の薬液が収容された第2のバイアル50が設置される第2のバイアル設置部51と、第2の薬液が収容された第2のシリンジが設置される第2のシリンジ設置部52と、を有する。そして、第2のシリンジ設置部52に第2のシリンジが設置されるとき、第2のシリンジに収容された第2の薬液は、薬液バッファ9を通液しないように用いることができる。但し、薬液バッファ9を通液しないように用いる場合、第1のシリンジ40と同様に、第2のシリンジを駆動するシリンジ駆動部を設ける必要がある。
【0088】
即ち、第2のバイアル設置部51に第2のバイアル50が設置されるときは、第2のバイアル50に収容されている第2の薬液をディスポシリンジ70の吸引により薬液バッファ9に貯留される。一方、第2のシリンジ設置部52に第2のシリンジが設置されるときは、第2のシリンジに収容された第2の薬液が、薬液バッファ9を通液しないようにされる。このため、第2のシリンジ設置部52に第2のシリンジが設置されるとき、第2のシリンジによる排出ストローク動作により、薬液投与管路に第2の薬液を直接排出することができる。なお、第2のシリンジ設置部52に第2のシリンジが設置されるとき、第2のシリンジの第2の薬液を、ディスポシリンジ70による吸引にて薬液バッファ9に貯留しても良い。この場合、第2のシリンジが設置される第2のシリンジ設置部52にシリンジ駆動部を設ける必要が無い。
【0089】
実施形態では、第2のシリンジ設置部52は、第2のバイアル設置部51と上下方向に重なり合う直列位置に配置される。そして、第2のバイアル設置部51に第2のバイアル50が設置されるとき、第2のシリンジ設置部52に第2のシリンジが設置されず、第2のシリンジ設置部52に第2のシリンジが設置されるとき、第2のバイアル設置部51に第2のバイアル50が設置されない。
【0090】
即ち、第2の容器設置部5に対しては、第2のバイアル50の設置要求以外に、第2のシリンジを設置したいという要求もある。これに対し、第2の容器設置部5には、第2のバイアル50を設置する第2のバイアル設置部51以外に、第2のシリンジを設置する第2のシリンジ設置部52を有する。そして、第2のバイアル設置部51と第2のシリンジ設置部52には、第2のバイアル50と第2のシリンジのうち、いずれか一方のみが配置される。加えて、第2のバイアル設置部51と第2のシリンジ設置部52は、上下方向に重なり合う直列位置の配置であることにより、第2のバイアル設置部51と第2のシリンジ設置部52を並列位置の配置とするよりも、2つの設置部の設置スペースを小さく抑えることができる。このため、第2のバイアル設置部51と第2のシリンジ設置部52の設置スペース小さく抑えながら、第2の薬液について、第2のバイアル50ではなく第2のシリンジの要求があるとき、第2のシリンジの設置要求に応えることができる。
【0091】
次に、実施形態における薬液投与方法および薬液投与プログラムの特徴について説明する。
【0092】
[1]ディスポプランジャのストローク動作により生理食塩水、第1の薬液または第2の薬液の吸引及び排出が可能な生食シリンジと、第1の薬液と第2の薬液の少なくとも一方の薬液が収容されているバイアルと、前記生食シリンジと前記バイアルを連通する薬液投与管路の位置に設けられた薬液バッファと、を備えている。
【0093】
前記第1の薬液と前記第2の薬液を被検者に投与する薬液投与方法において、薬液貯留ステップと、投与ステップ(先行投与ステップ)と、投与ステップ(後続投与ステップ)と、を含む。
【0094】
薬液貯留ステップは、前記ディスポプランジャの吸引ストローク動作により、前記第1の薬液または前記第2の薬液を吸引して前記薬液バッファに一時貯留する。
【0095】
投与ステップ(先行投与ステップ)は、前記ディスポプランジャの排出ストローク動作により、前記薬液バッファに一時貯留されている一方の薬液を、前記生理食塩水の排出により前記被検者に投与する。
【0096】
投与ステップ(後続投与ステップ)は、前記ディスポプランジャの排出ストローク動作により、前記薬液バッファに貯留されていない他方の薬液を前記生理食塩水の排出により前記被検者に投与する。
【0097】
[1]に記載の薬液投与方法にあっては、第1の薬液と第2の薬液を被検者に投与する際、何れの薬液もディスポプランジャの排出ストローク動作により投与することにより、薬液の投与時間と投与量がばらつくことなく安定し、要求される高い管理精度による薬液投与が実現される薬液投与方法を提供できる。
【0098】
ここで、第2の薬液に続いて第1の薬液を被検者に投与しても良いし、逆に、第1の薬液に続いて第1の薬液を被検者に投与しても良い。また、第1の薬液と第2の薬液は、画像診断剤、負荷剤、抗がん剤、CT造影剤、MRI造影剤、等による種々の薬液が含まれる。
【0099】
[2]上記[1]に記載の薬液投与方法において、前記薬液貯留ステップを、被検者に対して前記投与針を穿刺する前に実行する。
【0100】
そして、前記被検者に対して前記投与針を穿刺した後、薬液バッファに一時貯留されている一方の薬液を前記被検者に投与する投与ステップを実行する。
【0101】
[2]に記載の薬液投与方法にあっては、被検者に対して投与針を穿刺する前に一方の薬液を投与開始する準備が整えられていることにより、第1の薬液と第2の薬液を被検者に投与する際、被検者に対する薬液投与負担を軽減できる。
【0102】
[3]上記[1]または上記[2]に記載の薬液投与方法において、前記第1の薬液として放射性薬液を用い、前記第2の薬液として負荷剤薬液を用いる。
【0103】
[3]に記載の薬液投与方法にあっては、負荷剤薬液に続いて放射性薬液を被検者に投与する際、薬液量や薬液投与速度を投与プロトコルに合わせ、負荷剤薬液と放射性薬液の連続投与を高い管理精度により実現できる。
【0104】
ここで、実施形態に合わせて、第1の薬液を放射性薬液とし、第2の薬液を負荷剤薬液としている。しかし、この薬液選択は例示に過ぎず、放射性薬液や負荷剤薬液以外の薬液を選択しても勿論良い。
【0105】
[4]ディスポプランジャのストローク動作により生理食塩水、第1の薬液または第2の薬液の吸引及び排出が可能な生食シリンジと、第1の薬液と第2の薬液の少なくとも一方の薬液が収容されているバイアルと、前記生食シリンジと前記バイアルを連通する薬液投与管路の位置に設けられた薬液バッファと、を備えている。
【0106】
前記第1の薬液と前記第2の薬液を被検者に投与する薬液投与プログラムにおいて、薬液貯留ステップと、投与ステップ(先行投与ステップ)と、投与ステップ(後続投与ステップ)と、を含む手順をコンピュータに実行させる。
【0107】
薬液貯留ステップは、前記ディスポプランジャの吸引ストローク動作により、前記第1の薬液または前記第2の薬液を吸引して前記薬液バッファに一時貯留する。
【0108】
投与ステップ(先行投与ステップ)は、前記ディスポプランジャの排出ストローク動作により、前記薬液バッファに一時貯留されている一方の薬液を、前記生理食塩水の排出により前記被検者に投与する。
【0109】
投与ステップ(後続投与ステップ)は、前記ディスポプランジャの排出ストローク動作により、前記薬液バッファに貯留されていない他方の薬液を前記生理食塩水の排出により前記被検者に投与する。
【0110】
[4]に記載の薬液投与プログラムにあっては、第1の薬液と第2の薬液を被検者に投与する際、何れの薬液もディスポプランジャの排出ストローク動作により投与することにより、薬液の投与時間と投与量がばらつくことなく安定し、要求される高い管理精度による薬液投与が実現される薬液投与プログラムを提供できる。
【0111】
以上説明したように、実施形態に係る薬液投与装置1にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0112】
(1)薬液(第2の薬液)を収容するバイアル(第2のバイアル50)が設置されるバイアル設置部(第2の容器設置部5)と、薬液が収容されていないシリンジ(ディスポシリンジ70)が設置されるシリンジ設置部(ディスポシリンジ設置部7)と、バイアル設置部とシリンジ設置部との間の位置に設置され、シリンジによる吸引にてバイアルに収容されている薬液を貯留する薬液バッファ9と、バイアルと薬液バッファ9とを連通させる流路と、薬液バッファ9に貯留された薬液を被検者に投与する流路とを切り換える流路切換部材(三方活栓80a,80b)と、を有する。シリンジの内容積と薬液バッファ9の内容積との合算が、シリンジにより吸引されるバイアル内の薬液の容積よりも大きい。このため、高価な電動モータ等を使用することなく、簡易的な設計によりバイアル(第2のバイアル50)から薬液を吸引して投与することができる。
【0113】
(2)薬液バッファ9の内容積が、シリンジ(ディスポシリンジ70)により吸引されるバイアル(第2のバイアル50)内の薬液(第2の薬液)の容積よりも大きい。このため、シリンジ(ディスポシリンジ70)による吸引にてバイアル(第2のバイアル50)に収容されている薬液(第2の薬液)を薬液バッファ9に貯留する際、シリンジ(ディスポシリンジ70)の内部に薬液(第2の薬液)が吸引されるのを防止できる。
【0114】
(3)薬液バッファ9を保持する薬液バッファホルダ90を有し、薬液バッファホルダ90に保持される薬液バッファ9は、チューブ材を螺旋コイル状に複数回巻き付けて構成される。このため、薬液バッファ9の内容積を確保できるとともに、薬液バッファ9を含む薬液投与管路系を液体が流れるときの流路抵抗の変化を抑制できる。
【0115】
(4)薬液バッファホルダ90は、装置パネル10の正面パネル11において上下方向の設置軸線L1,L2が平行配置のバイアル設置部(第2の容器設置部5)とシリンジ設置部(ディスポシリンジ設置部7)との間の位置に設置される。薬液バッファ9は、チューブ材の巻き付け形状を、正面パネル11に平行な上下方向が長径で、正面パネル11に垂直な前後方向が短径の長円形状とされる。このため、正面パネル11からの薬液バッファ9の前方突出量が抑えられ、バイアル設置部(第2の容器設置部5)とシリンジ設置(ディスポシリンジ設置部7)との間の位置に薬液バッファホルダ90に保持される薬液バッファ9をコンパクトに配置できる。
【0116】
(5)シリンジ(ディスポシリンジ70)は、注射筒70aと、プランジャ(ディスポプランジャ70b)と、プランジャを駆動するシリンジ駆動部(ディスポシリンジ駆動部70c)と、シリンジ駆動部を制御する制御部(シリンジストローク制御部104)と、を有する。制御部は、操作者から受け付けた薬液の投与量に基づき、シリンジ駆動部の吸引ストローク動作およびシリンジ駆動部の排出ストローク動作を制御する。このため、シリンジ(ディスポシリンジ70)の吸引ストローク動作によって薬液(第2の薬液)を薬液バッファ9に貯留できるとともに、シリンジ(ディスポシリンジ70)の排出ストローク動作によって薬液バッファ9に貯留されている薬液(第2の薬液)を投与できる。
【0117】
(6)輸液バッグ60を設置する輸液バッグ設置部6を更に備え、シリンジは、輸液バッグから輸液(生理食塩水)を吸引し、シリンジに吸引された輸液を、薬液バッファ9を通じて排出する輸液シリンジ(ディスポシリンジ70)である。このため、新たな空シリンジを追加することのない簡潔な構成としながら、既存の輸液シリンジ(ディスポシリンジ70)を利用して薬液(第2の薬液)の吸引を行うことができる。
【0118】
(7)バイアル設置部(第2の容器設置部5)は、バイアル(第2のバイアル50)の開口が下向きになる上下反転状態でバイアルを設置するバイアル容器ホルダ、バイアルの開口が上向きになる平置き状態でバイアルを設置するバイアル容器テーブル、バイアルを収容するコンテナをバイアルの開口が下向きになる上下反転状態で設置するコンテナ容器ホルダ、及び、バイアルを収容するコンテナをバイアルの開口が上向きになる平置き状態で設置するコンテナ容器テーブル、からなるバイアル設置部群から選択される少なくとも1以上を含む。このため、バイアル容器として、バイアルまたはコンテナが選択されても、また、上下反転状態または平置き状態で設置される容器が選択されても対応可能であり、バイアル容器の選択自由度を確保できる。
【0119】
(8)バイアル設置部(第2の容器設置部5)は、バイアル容器ホルダ、バイアル容器テーブル、コンテナ容器ホルダ及びコンテナ容器テーブルからなるバイアル設置部群から選択される複数のバイアル設置部を含む。このため、バイアル容器として選択された容器が複数のバイアル設置部に適合する容器選択である限り、選択された容器に対応して設置することができる。
【0120】
(9)バイアル設置部(第2の容器設置部5)に、薬液(第2の薬液)が収容されたバイアル(第2のバイアル50)が設置される薬液バイアル設置部(第2のバイアル設置部51)と、薬液(第2の薬液)が収容された薬液シリンジ(第2のシリンジ)が設置される薬液シリンジ設置部(第2のシリンジ設置部52)と、を有する。薬液シリンジ設置部に薬液シリンジ(第2のシリンジ)が設置されるとき、薬液シリンジ(第2のシリンジ)に収容された薬液は、薬液バッファ9を通液しないように用いられる。このため、薬液バイアル設置部(第2のシリンジ設置部52)に薬液シリンジ(第2のシリンジ)が設置されるとき、シリンジ(第2のシリンジ)による排出ストローク動作により、薬液投与管路に薬液(第2の薬液)を直接排出することができる。
【0121】
(10)薬液シリンジ設置部(第2のシリンジ設置部52)は、薬液バイアル設置部(第2のバイアル設置部51)と上下方向に重なり合う直列位置に配置される。薬液バイアル設置部にバイアル(第2のバイアル50)が設置されるとき、薬液シリンジ設置部に薬液シリンジ(第2のシリンジ)が設置されず、薬液シリンジ設置部にシリンジが設置されるとき、薬液バイアル設置部にバイアルが設置されない。このため、薬液バイアル設置部(第2のバイアル設置部51)と薬液シリンジ設置部(第2のシリンジ設置部52)の設置スペースを小さく抑えながら、薬液(第2の薬液)について、バイアル(第2のバイアル50)ではなく薬液シリンジ(第2のシリンジ)の要求があるとき、シリンジ(第2のシリンジ)の設置要求に応えることができる。
【0122】
以上、本発明の薬液投与装置を実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0123】
本実施形態の薬液投与装置では、第1の薬液と第2の薬液を連続的に自動投与する装置への適用例を示した。しかし、薬液投与装置としては、バイアルに収容された1つの薬液を投与する薬液投与装置への適用であっても勿論良い。
【0124】
本実施形態の薬液投与装置では、第1の薬液が放射性薬液であり、第2の薬液が負荷剤薬液である例を挙げて説明した。しかし、第2の薬液が放射性薬剤であってもよいし、第1の薬液および第2の薬液の両方が放射性薬剤であってもよい。ここで、放射性薬剤としては、心筋血流シンチグラフィーに用いられる放射性薬剤に限定されず、フッ素18、タリウム201、テクネチウム99m、ガリウム67、ガリウム68、または、ヨウ素123を備える診断用の放射性薬剤、銅64、ストロンチウム89、イットリウム90、ヨウ素131、ルテシウム177、アスタチン211、ラジウム223またはアクチニウム225を備える治療用の放射性薬剤など、核医学で使用される各種の放射性薬剤を用いることができる。なお、第1の薬液も第2の薬液も、放射性薬剤に限定されず、非放射性薬液であっても良い。
【0125】
本実施形態において、薬液バイアルと薬液シリンジの投与量を液量や放射能量等で調整する機能1(全量投与と一部投与)として追加しても良い。薬液バイアルと薬液シリンジの投与量を液量で調整する機能について説明する。投与量は、基本的には液量でコントロールするが、操作者の指示は、投与量で受け付けるのであって、それが液量である場合もあるし、液量以外の単位で受け付けることもある。液量で指示を受け付けた場合は、指示された液量に対応して、シリンジのプランジャストローク量を制御すればよいが、液量以外の指示を付ける場合は、指示された投与量に対応して液量を計算する。具体的には、薬液投与装置は、薬剤の基本情報を薬剤ごとに記憶しているので、濃度や容量に関する情報を把握している。このため、受け付けた投与量から、投与装置が、指示された投与量に対応する薬液量が計算できる。
【0126】
薬液バイアルと薬液シリンジの投与量を放射能量で調整する機能について説明する。RI薬液(放射性薬液)については、放射能量が減衰するので、「検定時刻」といわれる一定の時刻での放射能量及び濃度が薬剤の基本情報としてメーカーから提供されている。そこで、この検定時刻と投与時刻と核種の半減期から、投与時刻における薬液濃度を算出し、指示された投与量(放射能量)に対応する液量を算出する。なお、容器設置部に放射能センサを取り付け投与時刻における放射能を検出する態様にすることも可能である。
【0127】
上記機能1(全量投与と一部投与)を追加することにより、より正確にシリンジのプランジャストローク量が制御できるので、シリンジに収容された第1の薬液や第2の薬液が放射性薬剤である場合に、シリンジに収容された薬液のうち必要量をより精度よく投与することができる。特に、小児や体重の軽い被検者に投与する場合、適切な投与量に設定して提供することができる。ここで、機能1の計算は、ケーブルやネットワークを介して薬液投与装置に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)で実行させても良い。
【0128】
本実施形態において、投与した液量や放射能量といったデータを二次元バーコード(例えばQRコード(登録商標))で印字する機能2として追加しても良い。この場合、QRコード(登録商標)をリーダーでPCに読み込ませることで正確に投与量を管理することができる。ここで、機能2の変形例として、投与した液量や放射能量は、薬液投与装置にケーブルやネットワーク接続されたPCやHIS(病院情報システム:「Hospital Information System」の略称。)にそのまま出力させてもよい。この場合、薬液投与装置に外部機器と接続できるコネクタを設けておく。
【0129】
本実施形態において、薬液投与コントローラ100は、プリンタなどの情報を出力する出力部を備えていてもよい。この出力部は、入力部101に入力された被検者を特定する情報(ID、氏名、性別、年齢など)とともに、第1の薬液および第2の薬液に関する情報(薬液の種類、投与時刻、投与量など)を出力してもよい。前述のように、第1の容器設置部、または、第2の容器設置部に放射線センサを備える場合は、薬液が放射性薬液であったときに、実際に投与した投与量を出力することができる。また、放射性薬液を投与する場合、被ばく線量の管理や台帳管理に用いても良い。
【0130】
本実施形態では、第1の容器設置部4に、SPECT用コンテナ42aとPET用コンテナ42bを設置する例を示した。しかし、第1の容器設置部に、SPECT用コンテナとPET用コンテナのうち、どちらか一方のみを設置しても良い。
【0131】
本実施形態では、SPECT用コンテナ42aと第1のシリンジ40との間の流路において、SPECT用コンテナ42aの直下にある三方活栓80dは必須ではなく、SPECT用コンテナ42aと第1のシリンジ40とを直接繋ぐ構成としても良い。
【0132】
本実施形態では、1枚のホルダプレート82を、正面パネル11の下部領域に固定する例を示した。しかし、1枚のホルダプレート82を、正面パネル11の下部領域に対して着脱可能に設けられる1枚のカセットプレートとしても良い。この場合、1枚のカセットプレートの取り付け取り外しによる容易な作業により、流路セット8によるセット単位で廃棄や交換を行うことができる。
【0133】
本実施形態では、薬液移送ステップは、SPECT用コンテナ42aに収容されている放射性薬液を薬液バッファ9へ移し替える手順である例を示したが、これに限られない。例えば、SPECT用コンテナ42a又はPET用コンテナ42bに収容されている放射性薬液を、空の第1のシリンジ40に引き抜くことも可能である。この場合、第1のシリンジ40に吸い込まれた放射性薬液を薬液投与管路に充填する薬液充填ステップを追加する。以下、図15図16図14により手順を説明する。
【0134】
[薬液移送ステップ]
薬液移送ステップは、SPECT用コンテナ42aに収容されている放射性薬液を空の第1のシリンジ40へ移し替える手順である。薬液移送ステップでは、図15に示すように、三方活栓80cと三方活栓80dを、SPECT用コンテナ42aと第1のシリンジ40が連通する活栓流路位置とする。そして、第1のシリンジ40の薬液プランジャ40bを最小ストローク位置から目標位置まで引き上げる吸引ストローク制御を行う。この吸引ストローク制御によって、図15の矢印Iに示すように、SPECT用コンテナ42aに収容されている放射性薬液が空の第1のシリンジ40に吸い込まれ、第1のシリンジ40に移し替えられる。なお、PET用コンテナ42bに収容されている放射性薬液を用いる場合も同様に、薬液移送ステップが必要である。しかし、空の第1のシリンジ40に代え、放射性薬液が収容されている第1のシリンジ40を用いると、SPECT用コンテナ42aまたはPET用コンテナ42bに収容されている放射性薬液を空の第1のシリンジ40へ移し替える薬液移送ステップを省略できる。
【0135】
[薬液充填ステップ]
薬液充填ステップは、負荷剤薬液を投与した後、第1のシリンジ40によって放射性薬液を薬液投与管路に充填する手順である。薬液充填ステップでは、図16に示すように、三方活栓80dを、SPECT用コンテナ42aとの連通を遮断し、かつ、薬液投与管路に連通する活栓流路位置とする。そして、引き上げていた第1のシリンジ40の薬液プランジャ40bを、目標位置(最小ストローク位置)まで押し下げる排出ストローク制御を行う。この排出ストローク制御によって、図16の矢印Jに示すように、第1のシリンジ40に移し替えられた放射性薬液が押し出され、薬液投与管路に放射性薬液が充填される。
【0136】
[後続投与ステップ]
後続投与ステップは、薬液移送ステップと薬液充填ステップの後に、ディスポプランジャ70bの排出ストローク動作により、放射性薬液を生理食塩水の排出により被検者に投与する手順である。後続投与ステップでは、図14に示すように、三方活栓80cを、第1のシリンジ40との連通を遮断し、かつ、薬液投与管路に連通する活栓流路位置とする。そして、ディスポシリンジ70のディスポプランジャ70bを中間ストローク域の位置から、最小ストローク域の目標位置まで定速にて押し下げる排出ストローク制御を行う。この排出ストローク制御によって、図14の矢印Hに示すように、ディスポシリンジ70の生理食塩水の排出により薬液投与管路に充填されている放射性薬液が押し出され、翼付投与針86から被検者に対して定速静注により投与される。この後、本実施形態の針抜きステップを行う。
【0137】
ここで、薬液移送ステップと薬液充填ステップを行った場合、後続投与ステップと針抜きステップとの間に「再投与ステップ」を追加しても良い。再投与ステップは、後続投与ステップによる放射性薬液の投与後、再度、ディスポシリンジ70に生理食塩水を満たす。続いて、薬液バッファ9内の生理食塩水を第1のシリンジ40に引き込む。そして、第1のシリンジ40に残存する放射性薬液を、再度、被検者に投与する手順とする。後続投与ステップと同様に、排出ストローク制御によって、図14の矢印Hに示すように、ディスポシリンジ70の生理食塩水の排出により薬液投与管路に充填されている放射性薬液が押し出され、翼付投与針86から被検者に対して定速静注により投与される。
【0138】
本実施形態の薬液投与装置、薬液投与方法および薬液投与プログラムは、薬液投与コントローラ100により自動的に制御(実行)される例を示したが、操作者が手動で行っても良い。
【符号の説明】
【0139】
1 薬液投与装置
10 装置パネル
11 正面パネル
5 第2の容器設置部(バイアル設置部、負荷剤バイアル設置部)
50 第2のバイアル(バイアル、負荷剤バイアル)
51 第2のバイアル設置部(薬液バイアル設置部)
52 第2のシリンジ設置部(薬液シリンジ設置部)
6 輸液バッグ設置部
60 輸液バッグ
7 ディスポシリンジ設置部(シリンジ設置部)
70 ディスポシリンジ(シリンジ、輸液シリンジ)
70a 注射筒
70b ディスポプランジャ(プランジャ)
70c ディスポシリンジ駆動部(シリンジ駆動部)
8 流路セット
80a,80b 三方活栓(流路切換部材)
9 薬液バッファ
90 薬液バッファホルダ
100 薬液投与コントローラ
104 シリンジストローク制御部(制御部)
L1 第2の容器設置部5の設置軸線
L2 ディスポシリンジ設置部7の設置軸線
図1
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