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特開2022-161132パワーウィンドウシステム、メインパワーウィンドウ装置、サブパワーウィンドウ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161132
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】パワーウィンドウシステム、メインパワーウィンドウ装置、サブパワーウィンドウ装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/603 20150101AFI20221014BHJP
【FI】
E05F15/603
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065717
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】日本電産モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】永田 達樹
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 創
(72)【発明者】
【氏名】木越 勝敬
(72)【発明者】
【氏名】藤田 篤
(72)【発明者】
【氏名】原 正彦
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA01
2E052CA06
2E052EB01
2E052EC05
2E052GD09
2E052KA01
(57)【要約】
【課題】WL(ウィンドウロック)の機能を維持しながら、メインPW(パワーウィンドウ装置)とサブPWとの間の配線を削減する。
【解決手段】運転席に対応するメインPW1は、他席の窓を開閉する他席操作スイッチ11と、他席でのスイッチ操作を無効にするWLスイッチ12と、端子Ta、Tbの電位を制御するWL制御回路15とを有する。運転席以外の席に対応するサブPW4は、自席操作スイッチ40と、スイッチング素子Q1を含むモータ駆動回路41とを有する。WLスイッチ12がオンの状態で、サブPW4の自席操作スイッチ40が操作されると、WL制御回路15により端子Ta、Tbが低電位となっているので、スイッチング素子Q1がオフでリレーRY1、RY2が動作せず、モータ42に電流が流れない。このため、窓閉指令信号用の配線W1と窓開指令信号用の配線W2とを利用してWL機能を実現でき、WL指令信号用の配線が不要となる。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転席に対応して設けられるメインパワーウィンドウ装置と、運転席以外の席に対応して設けられるサブパワーウィンドウ装置とから構成され、
前記サブパワーウィンドウ装置は、対応する席の窓を開閉するための自席操作スイッチと、前記窓を開閉するモータを駆動するモータ駆動回路とを有し、
前記メインパワーウィンドウ装置は、運転席の窓を開閉するための運転席操作スイッチと、運転席以外の席の窓を開閉するための他席操作スイッチと、運転席以外の席での前記自席操作スイッチの操作を無効にするためのウィンドウロックスイッチとを有し、
前記他席操作スイッチは、窓を閉じる際に操作される第1操作スイッチと、窓を開く際に操作される第2操作スイッチとを含み、
前記自席操作スイッチは、窓を閉じる際に操作される第3操作スイッチと、窓を開く際に操作される第4操作スイッチとを含む、パワーウィンドウシステムにおいて、
前記メインパワーウィンドウ装置は、
前記第1操作スイッチの操作に基づいて、窓閉指令信号を出力する第1端子と、
前記第2操作スイッチの操作に基づいて、窓開指令信号を出力する第2端子と、
前記ウィンドウロックスイッチの操作に基づいて、前記第1端子および前記第2端子の電位を制御するウィンドウロック制御回路と、をさらに備え、
前記サブパワーウィンドウ装置は、
第1配線によって前記第1端子と接続される第3端子と、
第2配線によって前記第2端子と接続される第4端子と、
前記モータ駆動回路に設けられ、前記第3端子および前記第4端子の電位に応じてオンまたはオフとなる第1スイッチング素子と、をさらに備え、
前記ウィンドウロック制御回路は、
前記ウィンドウロックスイッチが、前記自席操作スイッチの操作を無効にしない状態にある場合は、
前記第1ないし第4操作スイッチのいずれが操作されても、前記第1スイッチング素子がオンとなって前記モータ駆動回路から前記モータへ電流が流れるように、前記第1端子および前記第2端子の電位を制御し、
前記ウィンドウロックスイッチが、前記自席操作スイッチの操作を無効にする状態にある場合は、
前記第1操作スイッチまたは前記第2操作スイッチが操作されると、前記第1スイッチング素子がオンとなって前記モータ駆動回路から前記モータへ電流が流れるように、前記第1端子および前記第2端子の電位を制御する一方、
前記第3操作スイッチまたは前記第4操作スイッチが操作されても、前記第1スイッチング素子がオフとなって前記モータ駆動回路から前記モータへ電流が流れないように、前記第1端子および前記第2端子の電位を制御する、ことを特徴とするパワーウィンドウシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーウィンドウシステムにおいて、
前記ウィンドウロック制御回路は、前記第1端子とグランドとの間に設けられた第2スイッチング素子と、前記第2端子とグランドとの間に設けられた第3スイッチング素子とを有し、
前記ウィンドウロックスイッチが、前記自席操作スイッチの操作を無効にしない状態にある場合は、前記第2スイッチング素子および前記第3スイッチング素子は、ともにオフとなっており、
前記ウィンドウロックスイッチが、前記自席操作スイッチの操作を無効にする状態にある場合は、
前記第2スイッチング素子は、前記第1操作スイッチが操作されるとオフで、前記第1操作スイッチが操作されないとオンとなり、
前記第3スイッチング素子は、前記第2操作スイッチが操作されるとオフで、前記第2操作スイッチが操作されないとオンとなる、ことを特徴とするパワーウィンドウシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のパワーウィンドウシステムにおいて、
前記ウィンドウロック制御回路は、前記第2スイッチング素子および前記第3スイッチング素子をオンまたはオフにする第4スイッチング素子をさらに備え、
前記第4スイッチング素子は、前記ウィンドウロックスイッチの状態にかかわらず、前記第1操作スイッチと前記第2操作スイッチのいずれかが操作された場合にオンとなり、
前記第4スイッチング素子のオンによって、前記第2スイッチング素子および前記第3スイッチング素子がオフとなり、前記第1スイッチング素子がオンとなる、ことを特徴とするパワーウィンドウシステム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパワーウィンドウシステムにおいて、
前記モータ駆動回路は、
前記モータを正転させるための、第1コイルおよび第1接点を有する第1リレーと、
前記モータを逆転させるための、第2コイルおよび第2接点を有する第2リレーと、をさらに備え、
前記第1リレーは、前記第1操作スイッチまたは前記第3操作スイッチが操作され、かつ前記第1スイッチング素子がオンとなっている状態で、操作がされた前記第1操作スイッチまたは前記第3操作スイッチと前記第1スイッチング素子とを通して前記第1コイルに流れる電流により駆動され、
前記第2リレーは、前記第2操作スイッチまたは前記第4操作スイッチが操作され、かつ前記第1スイッチング素子がオンとなっている状態で、操作がされた前記第2操作スイッチまたは前記第4操作スイッチと前記第1スイッチング素子とを通して前記第2コイルに流れる電流により駆動され、
前記第1リレーが駆動されると、前記第1接点を介して電源から前記モータへ正方向の電流が流れ、前記モータが正転して窓が閉じ、
前記第2リレーが駆動されると、前記第2接点を介して電源から前記モータへ逆方向の電流が流れ、前記モータが逆転して窓が開く、ことを特徴とするパワーウィンドウシステム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のパワーウィンドウシステムにおいて、
前記第1操作スイッチおよび前記第3操作スイッチは、操作が継続されている間だけ窓の閉動作が行われ、操作が解除されると窓の閉動作が停止するマニュアル閉スイッチであり、
前記第2操作スイッチおよび前記第4操作スイッチは、操作が継続されている間だけ窓の開動作が行われ、操作が解除されると窓の開動作が停止するマニュアル開スイッチである、ことを特徴とするパワーウィンドウシステム。
【請求項6】
車両の運転席に対応して設けられ、運転席以外の席に対応して設けられたサブパワーウィンドウ装置と接続されるメインパワーウィンドウ装置であって、
運転席の窓を開閉するための運転席操作スイッチと、
運転席以外の席の窓を閉じる際に操作される第1操作スイッチ、および運転席以外の席の窓を開く際に操作される第2操作スイッチを含む他席操作スイッチと、
前記サブパワーウィンドウ装置に設けられている、窓を閉じる際に操作される第3操作スイッチおよび窓を開く際に操作される第4操作スイッチの操作を無効にするためのウィンドウロックスイッチと、
前記第1操作スイッチの操作に基づいて、窓閉指令信号を出力する第1端子と、
前記第2操作スイッチの操作に基づいて、窓開指令信号を出力する第2端子と、
前記ウィンドウロックスイッチの操作に基づいて、前記第1端子および前記第2端子の電位を制御するウィンドウロック制御回路と、を備え、
前記ウィンドウロック制御回路は、
前記ウィンドウロックスイッチが、前記第3操作スイッチおよび前記第4操作スイッチの操作を無効にしない状態にある場合は、
前記第1ないし第4操作スイッチのいずれが操作されても、前記サブパワーウィンドウ装置に設けられたモータ駆動回路に備わる第1スイッチング素子がオンとなって、前記モータ駆動回路から運転席以外の席の窓を開閉するモータへ電流が流れるように、前記第1端子および前記第2端子の電位を制御し、
前記ウィンドウロックスイッチが、前記第3操作スイッチおよび前記第4操作スイッチの操作を無効にする状態にある場合は、
前記第1操作スイッチまたは前記第2操作スイッチが操作されると、前記第1スイッチング素子がオンとなって前記モータ駆動回路から前記モータへ電流が流れるように、前記第1端子および前記第2端子の電位を制御する一方、
前記第3操作スイッチまたは前記第4操作スイッチが操作されても、前記第1スイッチング素子がオフとなって前記モータ駆動回路から前記モータへ電流が流れないように、前記第1端子および前記第2端子の電位を制御する、ことを特徴とするメインパワーウィンドウ装置。
【請求項7】
車両の運転席以外の席に対応して設けられ、運転席に対応して設けられたメインパワーウィンドウ装置と接続されるサブパワーウィンドウ装置であって、
前記メインパワーウィンドウ装置に設けられた第1操作スイッチの操作に基づいて窓閉指令信号が入力される第3端子と、
前記メインパワーウィンドウ装置に設けられた第2操作スイッチの操作に基づいて窓開指令信号が入力される第4端子と、
対応する運転席以外の席の窓を閉じる際に操作される第3操作スイッチと、
対応する運転席以外の席の窓を開く際に操作される第4操作スイッチと、
前記第1ないし第4操作スイッチの操作に基づいて、対応する席の窓を開閉するモータを駆動するモータ駆動回路と、を備え、
前記モータ駆動回路は、前記第3端子および前記第4端子の電位に応じてオンまたはオフとなる第1スイッチング素子を有し、
前記メインパワーウィンドウ装置において、前記第3操作スイッチおよび前記第4操作スイッチの操作を無効にしない設定がされている場合は、
前記第1ないし第4操作スイッチのいずれが操作されても、前記第1スイッチング素子がオンとなって前記モータ駆動回路から前記モータへ電流が流れるように、前記メインパワーウィンドウ装置によって前記第3端子および前記第4端子の電位が制御され、
前記メインパワーウィンドウ装置において、前記第3操作スイッチおよび前記第4操作スイッチの操作を無効にする設定がされている場合は、
前記第1操作スイッチまたは前記第2操作スイッチが操作されると、前記第1スイッチング素子がオンとなって前記モータ駆動回路から前記モータへ電流が流れるように、前記メインパワーウィンドウ装置によって前記第3端子および前記第4端子の電位が制御される一方、
前記第3操作スイッチまたは前記第4操作スイッチが操作されても、前記第1スイッチング素子がオフとなって前記モータ駆動回路から前記モータへ電流が流れないように、前記メインパワーウィンドウ装置によって前記第3端子および前記第4端子の電位が制御される、ことを特徴とするサブパワーウィンドウ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の各席の窓をモータにより開閉するパワーウィンドウシステムに関し、特に、運転席以外の席におけるスイッチの操作を無効とするウィンドウロック機能を備えたパワーウィンドウシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動四輪車などの車両には、スイッチの操作に基づいて回転するモータの駆動力により窓を開閉するパワーウィンドウ装置が、運転席、助手席、後左席、後右席の各席に対応して設けられている。また、それぞれのパワーウィンドウ装置により駆動されるモータも、各席に対応して設けられている。
【0003】
運転席のパワーウィンドウ装置は、メインパワーウィンドウ装置(以下「メインPW」と表記)を構成しており、運転席の窓を開閉するための運転席操作スイッチのほか、運転席以外の席の窓を開閉するための他席操作スイッチも備えている。一方、助手席、後左席、後右席の各パワーウィンドウ装置は、サブパワーウィンドウ装置(以下「サブPW」と表記)を構成しており、それぞれの席の窓を開閉するための自席操作スイッチを備えている。メインPWとサブPWとによって、パワーウィンドウシステムが構成される。
【0004】
上記のようなパワーウィンドウシステムにおいて、運転席以外の席、特に後部座席において、子どもや幼児が操作スイッチを勝手に操作すると、窓が閉じて手や首などが挟まれるおそれがある。そこで、これを回避するために、運転席以外の席におけるスイッチの操作を無効とするためのウィンドウロックスイッチが、運転席のメインPWに設けられる。後掲の特許文献1および特許文献2には、このようなウィンドウロックスイッチを備えたパワーウィンドウ装置が記載されている。
【0005】
図17は、ウィンドウロック機能を有するパワーウィンドウシステム(以下「PWシステム」と表記)の一例を示している。PWシステム200は、運転席に設けられたメインPW1と、助手席に設けられたサブPW2と、後左席に設けられたサブPW3と、後右席に設けられたサブPW4とから構成されている。なお、図17においては、メインPW1とサブPW2~PW4のそれぞれにより駆動されるモータと、その駆動回路の図示を省略してある。
【0006】
メインPW1には、運転席の窓を開閉するための運転席操作スイッチ10、運転席以外の他席の窓を開閉するための他席操作スイッチ11、および他席でのスイッチ操作を無効とするためのウィンドウロックスイッチ(以下「WLスイッチ」と表記)12が備わっている。サブPW2~PW4には、それぞれ助手席、後左席、後右席の窓を開閉するための自席操作スイッチ20、30、40が備わっている。
【0007】
メインPW1とサブPW2~PW4とは、配線(ワイヤハーネス)W1、W2、W3により接続されている。配線W1は、メインPW1の他席操作スイッチ11により窓を閉じる(UP)操作が行われた場合に、対応する他席のサブPWに窓閉指令信号を伝送するための配線である。配線W2は、メインPW1の他席操作スイッチ11により窓を開く(DOWN)操作が行われた場合に、対応する他席のサブPWに窓開指令信号を伝送するための配線である。配線W3は、メインPW1のWLスイッチ12によりウィンドウロック(WL)操作が行われた場合に、対応する他席のサブPWにウィンドウロック指令信号を伝送するための配線である。
【0008】
図18は、配線W3によるメインPW1とサブPW2~PW4間の接続の詳細を示している(配線W1、W2は図示省略)。この例では、配線W3は8本の配線W3a~W3hからなる。t1~t5はコネクタを表している。コネクタt1、t2は、インストルメントパネル領域ZIに設けられており、コネクタt3、t4は、フロア領域ZFに設けられており、コネクタt5は、両領域ZI、ZFの境界部分に設けられている。
【0009】
メインPW1とコネクタt1との間は、配線W3aにより接続されており、コネクタt1とコネクタt5との間は、配線W3eにより接続されている。サブPW2とコネクタt2との間は、配線W3bにより接続されており、コネクタt2とコネクタt5との間は、配線W3fにより接続されている。サブPW3とコネクタt3との間は、配線W3cにより接続されており、コネクタt3とコネクタt5との間は、配線W3gにより接続されている。サブPW4とコネクタt4との間は、配線W3dにより接続されており、コネクタt4とコネクタt5との間は、配線W3hにより接続されている。
【0010】
メインPW1から出力されるウィンドウロック(WL)指令信号は、配線W3aからコネクタt1、配線W3e、コネクタt5、配線W3f、コネクタt2、配線W3bを介して、サブPW2へ送られる。また、このWL指令信号は、コネクタt5、配線W3g、コネクタt3、配線W3cを介して、サブPW3へ送られ、さらに、コネクタt5、配線W3h、コネクタt4、配線W3dを介して、サブPW4へ送られる。WL指令信号を受け取ったサブPW2~PW4では、自席操作スイッチ20、30、40(図17)が操作されても、当該操作は無効となり窓の開閉動作は行われない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】中国実用新案登録第204827010号公報
【特許文献2】特開2001-20602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のパワーウィンドウシステムは、図17に示したように、メインPW1とサブPW2~PW4との間が、窓閉指令信号用の配線W1と、窓開指令信号用の配線W2と、ウィンドウロック指令信号用の配線W3とによって接続された3線式の構成となっていた。このため、図18の例では、配線W3として8本の配線W3a~W3hが必要となり、また、これに伴って5個のコネクタt1~t5も必要となることから、コストが高くなるとともに、配線作業にも手間がかかっていた。
【0013】
本発明は、ウィンドウロックの機能を維持しながら、メインパワーウィンドウ装置とサブパワーウィンドウ装置との間の配線を削減することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のパワーウィンドウシステムは、車両の運転席に対応して設けられるメインパワーウィンドウ装置と、運転席以外の席に対応して設けられるサブパワーウィンドウ装置とから構成される。サブパワーウィンドウ装置は、対応する席の窓を開閉するための自席操作スイッチと、窓を開閉するモータを駆動するモータ駆動回路とを有している。メインパワーウィンドウ装置は、運転席の窓を開閉するための運転席操作スイッチと、運転席以外の席の窓を開閉するための他席操作スイッチと、運転席以外の席での自席操作スイッチの操作を無効にするためのウィンドウロックスイッチとを有している。他席操作スイッチは、窓を閉じる際に操作される第1操作スイッチと、窓を開く際に操作される第2操作スイッチとを含む。自席操作スイッチは、窓を閉じる際に操作される第3操作スイッチと、窓を開く際に操作される第4操作スイッチとを含む。また、メインパワーウィンドウ装置は、第1操作スイッチの操作に基づいて窓閉指令信号を出力する第1端子と、第2操作スイッチの操作に基づいて窓開指令信号を出力する第2端子と、ウィンドウロックスイッチの操作に基づいて第1端子および第2端子の電位を制御するウィンドウロック制御回路とを備えている。また、サブパワーウィンドウ装置は、第1配線によって第1端子と接続される第3端子と、第2配線によって第2端子と接続される第4端子と、モータ駆動回路に設けられ第3端子および第4端子の電位に応じてオンまたはオフとなる第1スイッチング素子とを備えている。また、ウィンドウロック制御回路は、ウィンドウロックスイッチが自席操作スイッチの操作を無効にしない状態にある場合は、第1ないし第4操作スイッチのいずれが操作されても、第1スイッチング素子がオンとなってモータ駆動回路からモータへ電流が流れるように、第1端子および第2端子の電位を制御する。また、ウィンドウロック制御回路は、ウィンドウロックスイッチが自席操作スイッチの操作を無効にする状態にある場合は、第1操作スイッチまたは第2操作スイッチが操作されると、第1スイッチング素子がオンとなってモータ駆動回路からモータへ電流が流れるように、第1端子および第2端子の電位を制御する一方、第3操作スイッチまたは第4操作スイッチが操作されても、第1スイッチング素子がオフとなってモータ駆動回路からモータへ電流が流れないように、第1端子および第2端子の電位を制御する。
【0015】
このようにすると、メインパワーウィンドウ装置のウィンドウロックスイッチにより、運転席以外の席のスイッチに対してウィンドウロック機能を作用させる場合は、ウィンドウロック制御回路が、第1端子と第1配線と第3端子、および第2端子と第2配線と第4端子を介して、サブパワーウィンドウ装置の第1スイッチング素子をオフに制御することで、運転席以外の席で第3操作スイッチまたは第4操作スイッチが操作されても、モータには電流が流れなくなる。このため、ウィンドウロック指令信号を伝送する専用の配線を設けなくても、窓閉指令信号を伝送する第1配線と、窓開指令信号を伝送する第2配線とを利用して、ウィンドウロック機能を実現することができる。その結果、ウィンドウロックに必要な機能を維持しつつ、メインパワーウィンドウ装置とサブパワーウィンドウ装置との間の配線を削減することができる。
【0016】
本発明のパワーウィンドウシステムにおいて、ウィンドウロック制御回路は、第1端子とグランドとの間に設けられた第2スイッチング素子と、第2端子とグランドとの間に設けられた第3スイッチング素子とを有していてもよい。ウィンドウロックスイッチが自席操作スイッチの操作を無効にしない状態にある場合は、第2スイッチング素子および第3スイッチング素子はともにオフとなっている。また、ウィンドウロックスイッチが自席操作スイッチの操作を無効にする状態にある場合は、第2スイッチング素子は、第1操作スイッチが操作されるとオフで、第1操作スイッチが操作されないとオンとなり、第3スイッチング素子は、第2操作スイッチが操作されるとオフで、第2操作スイッチが操作されないとオンとなる。
【0017】
本発明のパワーウィンドウシステムにおいて、ウィンドウロック制御回路は、第2スイッチング素子および第3スイッチング素子をオンまたはオフにする第4スイッチング素子をさらに備えていてもよい。第4スイッチング素子は、ウィンドウロックスイッチの状態にかかわらず、第1操作スイッチと第2操作スイッチのいずれかが操作された場合にオンとなる。第4スイッチング素子のオンによって、第2スイッチング素子および第3スイッチング素子がオフとなり、第1スイッチング素子がオンとなる。
【0018】
本発明のパワーウィンドウシステムにおいて、モータ駆動回路は、モータを正転させるための、第1コイルおよび第1接点を有する第1リレーと、モータを逆転させるための、第2コイルおよび第2接点を有する第2リレーとを備えていてもよい。第1リレーは、第1操作スイッチまたは第3操作スイッチが操作され、かつ第1スイッチング素子がオンとなっている状態で、操作がされた第1操作スイッチまたは第3操作スイッチと第1スイッチング素子とを通して第1コイルに流れる電流により駆動される。第2リレーは、第2操作スイッチまたは第4操作スイッチが操作され、かつ第1スイッチング素子がオンとなっている状態で、操作がされた第2操作スイッチまたは第4操作スイッチと第1スイッチング素子とを通して第2コイルに流れる電流により駆動される。第1リレーが駆動されると、第1接点を介して電源からモータへ正方向の電流が流れ、モータが正転して窓が閉じる。第2リレーが駆動されると、第2接点を介して電源からモータへ逆方向の電流が流れ、モータが逆転して窓が開く。
【0019】
本発明のパワーウィンドウシステムにおいて、第1操作スイッチおよび第3操作スイッチは、操作が継続されている間だけ窓の閉動作が行われ、操作が解除されると窓の閉動作が停止するマニュアル閉スイッチであってもよい。また、第2操作スイッチおよび第4操作スイッチは、操作が継続されている間だけ窓の開動作が行われ、操作が解除されると窓の開動作が停止するマニュアル開スイッチであってもよい。
【0020】
本発明のメインパワーウィンドウ装置は、車両の運転席に対応して設けられ、運転席以外の席に対応して設けられたサブパワーウィンドウ装置と接続されるパワーウィンドウ装置であって、運転席の窓を開閉するための運転席操作スイッチと、運転席以外の席の窓を閉じる際に操作される第1操作スイッチおよび運転席以外の席の窓を開く際に操作される第2操作スイッチを含む他席操作スイッチと、サブパワーウィンドウ装置に設けられている、窓を閉じる際に操作される第3操作スイッチおよび窓を開く際に操作される第4操作スイッチの操作を無効にするためのウィンドウロックスイッチと、第1操作スイッチの操作に基づいて窓閉指令信号を出力する第1端子と、第2操作スイッチの操作に基づいて窓開指令信号を出力する第2端子と、ウィンドウロックスイッチの操作に基づいて第1端子および第2端子の電位を制御するウィンドウロック制御回路とを備えている。ウィンドウロック制御回路は、 ウィンドウロックスイッチが第3操作スイッチおよび第4操作スイッチの操作を無効にしない状態にある場合は、第1ないし第4操作スイッチのいずれが操作されても、サブパワーウィンドウ装置に設けられたモータ駆動回路に備わる第1スイッチング素子がオンとなって、モータ駆動回路から運転席以外の席の窓を開閉するモータへ電流が流れるように、第1端子および第2端子の電位を制御する。また、ウィンドウロック制御回路は、ウィンドウロックスイッチが第3操作スイッチおよび第4操作スイッチの操作を無効にする状態にある場合は、第1操作スイッチまたは第2操作スイッチが操作されると、第1スイッチング素子がオンとなってモータ駆動回路からモータへ電流が流れるように、第1端子および第2端子の電位を制御する一方、第3操作スイッチまたは第4操作スイッチが操作されても、第1スイッチング素子がオフとなってモータ駆動回路からモータへ電流が流れないように、第1端子および第2端子の電位を制御する。
【0021】
本発明のサブパワーウィンドウ装置は、車両の運転席以外の席に対応して設けられ、運転席に対応して設けられたメインパワーウィンドウ装置と接続されるパワーウィンドウ装置であって、メインパワーウィンドウ装置に設けられた第1操作スイッチの操作に基づいて窓閉指令信号が入力される第3端子と、メインパワーウィンドウ装置に設けられた第2操作スイッチの操作に基づいて窓開指令信号が入力される第4端子と、対応する運転席以外の席の窓を閉じる際に操作される第3操作スイッチと、対応する運転席以外の席の窓を開く際に操作される第4操作スイッチと、第1ないし第4操作スイッチの操作に基づいて対応する席の窓を開閉するモータを駆動するモータ駆動回路とを備えている。モータ駆動回路は、第3端子および第4端子の電位に応じてオンまたはオフとなる第1スイッチング素子を有する。メインパワーウィンドウ装置において第3操作スイッチおよび第4操作スイッチの操作を無効にしない設定がされている場合は、第1ないし第4操作スイッチのいずれが操作されても、第1スイッチング素子がオンとなってモータ駆動回路からモータへ電流が流れるように、メインパワーウィンドウ装置によって第3端子および第4端子の電位が制御される。メインパワーウィンドウ装置において第3操作スイッチおよび第4操作スイッチの操作を無効にする設定がされている場合は、第1操作スイッチまたは第2操作スイッチが操作されると、第1スイッチング素子がオンとなってモータ駆動回路からモータへ電流が流れるように、メインパワーウィンドウ装置によって第3端子および第4端子の電位が制御される一方、第3操作スイッチまたは第4操作スイッチが操作されても、第1スイッチング素子がオフとなってモータ駆動回路からモータへ電流が流れないように、メインパワーウィンドウ装置によって第3端子および第4端子の電位が制御される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ウィンドウロックの機能を維持しながら、メインパワーウィンドウ装置とサブパワーウィンドウ装置との間の配線を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るパワーウィンドウシステムの構成図である。
図2】メインパワーウィンドウ装置とサブパワーウィンドウ装置の具体例を示す回路図である。
図3】WL(ウィンドウロック)機能なしでスイッチ操作なしの場合の回路状態図である。
図4】WL機能なしでメイン側で窓閉操作ありの場合の回路状態図である。
図5図4の場合におけるモータ電流の経路を示す図である。
図6】WL機能なしでサブ側で窓閉操作ありの場合の回路状態図である。
図7】WL機能なしでメイン側で窓開操作ありの場合の回路状態図である。
図8図7の場合におけるモータ電流の経路を示す図である。
図9】WL機能なしでサブ側で窓開操作ありの場合の回路状態図である。
図10】WL機能ありでスイッチ操作なしの場合の回路状態図である。
図11】WL機能ありでメイン側で窓閉操作ありの場合の回路状態図である。
図12図11の場合におけるモータ電流の経路を示す図である。
図13】WL機能ありでサブ側で窓閉操作ありの場合の回路状態図である。
図14】WL機能ありでメイン側で窓開操作ありの場合の回路状態図である。
図15図14の場合におけるモータ電流の経路を示す図である。
図16】WL機能ありでサブ側で窓開操作ありの場合の回路状態図である。
図17】従来のパワーウィンドウシステムの構成図である。
図18図17における配線W3の詳細な接続状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。以下では、本発明を自動四輪車のパワーウィンドウシステムに適用した例を挙げる。
【0025】
図1は、本発明によるパワーウィンドウシステム(以下「PWシステム」と表記)の一例を示している。本例のPWシステム100は、自動四輪車に搭載されており、運転席に対応して設けられたメインPW1と、助手席に対応して設けられたサブPW2と、後左席に対応して設けられたサブPW3と、後右席に対応して設けられたサブPW4とから構成されている。
【0026】
メインPW1には、運転席の窓の開閉を手元で操作するための運転席操作スイッチ10と、運転席以外の他席(助手席、後左席、後右席)の窓の開閉を遠隔で操作するための他席操作スイッチ11と、他席でのスイッチ操作を無効とするためのウィンドウロックスイッチ(以下「WLスイッチ」と表記)12と、このWLスイッチ12の操作に基づくウィンドウロックの動作を制御するウィンドウロック制御回路(以下「WL制御回路」と表記)15と、運転席の窓を開閉するモータ16を駆動するモータ駆動回路14と、このモータ駆動回路14を制御するCPU13とが設けられている。
【0027】
サブPW2には、助手席の窓の開閉を手元で操作するための自席操作スイッチ20と、助手席の窓を開閉するモータ22を駆動するモータ駆動回路21とが設けられている。サブPW3には、後左席の窓の開閉を手元で操作するための自席操作スイッチ30と、後左席の窓を開閉するモータ32を駆動するモータ駆動回路31とが設けられている。サブPW4には、後右席の窓の開閉を手元で操作するための自席操作スイッチ40と、後右席の窓を開閉するモータ42を駆動するモータ駆動回路41とが設けられている。メインPW1と各サブPW2~PW4とは、後述する2本の配線(ワイヤハーネス)によって接続されている。
【0028】
図2は、メインPWとサブPWの具体的な回路構成の一例を示している。ここでは、サブPWとして後右席のサブPW4のみを図示しているが、他のサブPW2とサブPW3も、サブPW4と同様の回路構成を備えている(図3以下も同じ)。
【0029】
最初に、メインPW1の回路構成について説明する。なお、図2のメインPW1では、図1で示した構成要素のうち、本発明と直接関係しない運転席操作スイッチ10、CPU13、モータ駆動回路14、およびモータ16の図示を省略している。
【0030】
図2において、メインPW1の他席操作スイッチ11は、2つのスイッチS1、S2を含んでいる。スイッチS1は、他席(ここでは後右席)の窓を上昇(UP)させて閉じる際に操作されるスイッチであって、操作が継続されている間だけ窓の閉動作が行われ、操作が解除されると窓の閉動作が停止するマニュアル閉スイッチからなる。スイッチS2は、他席の窓を下降(DOWN)させて開く際に操作されるスイッチであって、操作が継続されている間だけ窓の開動作が行われ、操作が解除されると窓の開動作が停止するマニュアル開スイッチからなる。スイッチS1、S2は、それぞれ本発明における「第1操作スイッチ」と「第2操作スイッチ」に相当する。
【0031】
WL(ウィンドウロック)スイッチ12は、サブPW4の自席スイッチ40の操作を無効にする際に操作されるスイッチであって、一端は後述するCPU18に接続され、他端は電源B3に接続されている。このWLスイッチ12は、スイッチS1、S2とは異なり、一度操作すればその後に操作を解除してもWL機能が働くが、以下の説明では便宜上、WLスイッチ12が操作されている間だけWL機能が働くものとする。
【0032】
WL制御回路15は、スイッチング素子Q2~Q4と、抵抗R1~R4と、ダイオードD1、D2と、CPU18とを有している。スイッチング素子Q2、Q3は、本例ではFETからなり、スイッチング素子Q4は、本例ではトランジスタからなる。スイッチング素子Q2は、本発明における「第2スイッチング素子」に相当し、スイッチング素子Q3は、本発明における「第3スイッチング素子」に相当し、スイッチング素子Q4は、本発明における「第4スイッチング素子」に相当する。
【0033】
スイッチング素子Q2は、端子TaとグランドGとの間に設けられている。端子Taは、抵抗R3とスイッチS1と端子Tcとを介して、電源B1に接続されている。スイッチング素子Q3は、端子TbとグランドGとの間に設けられている。端子Tbは、抵抗R4とスイッチS2と端子Tcとを介して、電源B1に接続されている。
【0034】
端子Taは、スイッチS1がオンしたときに、電源B1から供給される電圧を窓閉指令信号として出力する端子であって、本発明における「第1端子」に相当する。端子Tbは、スイッチS2がオンしたときに、電源B1から供給される電圧を窓開指令信号として出力する端子であって、本発明における「第2端子」に相当する。端子Tcは、電源B1に接続される電源端子である。
【0035】
スイッチング素子Q4は、スイッチング素子Q2、Q3の各ゲートとグランドGとの間に設けられている。スイッチング素子Q4のベースは、抵抗R1、ダイオードD1、スイッチS1、および端子Tcを介して、電源B1に接続されているとともに、抵抗R2、ダイオードD2、スイッチS2、および端子Tcを介して、電源B1に接続されている。
【0036】
CPU18は、スイッチング素子Q2、Q3の各ゲートとWLスイッチ12との間に設けられている。WLスイッチ12がオフの状態では、CPU18の出力信号は「L」(Low)であり、WLスイッチ12がオンすると、電源B3からWLスイッチ12を介してCPU18に所定の電圧が入力され、CPU18の出力信号は「H」(High)に切り替わる。
【0037】
続いて、サブPW4の回路構成について説明する。サブPW4の自席スイッチ40は、2つのスイッチS3、S4を含んでいる。スイッチS3は、自席(ここでは後右席)の窓を上昇(UP)させて閉じる際に操作されるスイッチであって、メインPW1のスイッチS1と同様のマニュアル閉スイッチからなる。スイッチS4は、自席の窓を下降(DOWN)させて開く際に操作されるスイッチであって、メインPW1のスイッチS2と同様のマニュアル開スイッチからなる。スイッチS3、S4は、それぞれ本発明における「第3操作スイッチ」と「第4操作スイッチ」に相当する。
【0038】
モータ駆動回路41は、スイッチング素子Q1と、抵抗R5~R9と、ダイオードD3~D6と、リレーRY1と、リレーRY2とを有している。スイッチング素子Q1は、本例ではトランジスタからなり、本発明における「第1スイッチング素子」に相当する。リレーRY1は、本発明における「第1リレー」に相当し、コイルL1と接点K1とを備えている。リレーRY2は、本発明における「第2リレー」に相当し、コイルL2と接点K2とを備えている。コイルL1と接点K1は、それぞれ本発明における「第1コイル」と「第1接点」に相当し、コイルL2と接点K2は、それぞれ本発明における「第2コイル」と「第2接点」に相当する。
【0039】
スイッチング素子Q1のコレクタは、リレーRY1のコイルL1、スイッチS3、および端子Tfを介して電源B2に接続されているとともに、リレーRY2のコイルL2、スイッチS4、および端子Tfを介して電源B2に接続されている。スイッチング素子Q1のエミッタは、グランドGに接地されている。スイッチング素子Q1のベースは、抵抗R9を介してグランドGに接続されているとともに、抵抗R8、抵抗R7、および端子Tfを介して電源B2に接続されている。また、スイッチング素子Q1のベースは、抵抗R8およびダイオードD5を介して端子Tdに接続されているとともに、抵抗R8およびダイオードD6を介して端子Teに接続されている。
【0040】
リレーRY1のコイルL1とスイッチS3との接続点は、並列接続された抵抗R5およびダイオードD3を介して端子Tdに接続されている。リレーRY2のコイルL2とスイッチS4との接続点は、並列接続された抵抗R6およびダイオードD4を介して端子Teに接続されている。
【0041】
リレーRY1の接点K1は、グランドGに接続された常閉接点と、端子Tfに接続された常開接点と、端子T1に接続された共通接点とを有している。コイルL1に通電されないときは、常閉接点と共通接点とが導通しており、コイルL1に通電されると、常開接点と共通接点とが導通するように接点K1が切り替わる。
【0042】
リレーRY2の接点K2は、グランドGに接続された常閉接点と、端子Tfに接続された常開接点と、端子T2に接続された共通接点とを有している。コイルL2に通電されないときは、常閉接点と共通接点とが導通しており、コイルL2に通電されると、常開接点と共通接点とが導通するように接点K2が切り替わる。
【0043】
端子Tdは、配線W1によりメインPW1の端子Taと接続されており、端子Teは、配線W2によりメインPW1の端子Tbと接続されている。したがって、端子Taと端子Tdは同電位であり、端子TdにはメインPW1から前述の窓閉指令信号が入力される。また、端子Tbと端子Teも同電位であり、端子TeにはメインPW1から前述の窓開指令信号が入力される。配線W1は、本発明における「第1配線」に相当し、配線W2は、本発明における「第2配線」に相当する。また、端子Tdは、本発明における「第3端子」に相当し、端子Teは、本発明における「第4端子」に相当する。
【0044】
端子Tdには、メインPW1のスイッチS1が操作された場合に、前述した窓閉指令信号が端子Taから配線W1を介して入力される。端子Teには、メインPW1のスイッチS2が操作された場合に、前述した窓開指令信号が端子Tbから配線W2を介して入力される。また、端子T1には、モータ42の一端が接続され、端子T2には、モータ42の他端が接続される。
【0045】
図2からわかるように、本実施形態のPWシステムは、メインPW1とサブPW4とが2本の配線W1、W2で接続された2線式の構成となっており、メインPW1からサブPW4へウィンドウロック指令信号を伝送するための配線W3(破線)が存在しない。
【0046】
次に、図2のPWシステムの動作について、図3図16を参照しながら詳細に説明する。図3図9は、WLスイッチ12がオフで、ウィンドウロック機能がない場合の動作を示しており、図10図16は、WLスイッチ12がオンで、ウィンドウロック機能がある場合の動作を示している。図4以下において、回路図の下の表は、WLスイッチ12と各スイッチS1~S4の操作状態に応じた窓の開閉動作を示している。
【0047】
<ウィンドウロック機能がない場合>
【0048】
(1)スイッチ操作なし
図3は、ウィンドウロック機能なしの状態下で、スイッチS1~S4のいずれもが操作されていない場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオフで、スイッチS1~S4も全てオフとなっている。
【0049】
メインPW1では、スイッチS1、S2がオフのため、スイッチング素子Q4のベースに電源B1の電圧が印加されず、スイッチング素子Q4はオフとなっている。また、WLスイッチ12がオフのため、CPU18の出力は「L」となっている。したがって、スイッチング素子Q2、Q3のゲートの電位は「L」であるから、スイッチング素子Q2、Q3もオフとなっている。スイッチS1、S2のオフにより、端子Ta、Tbは、ともに電源B1から切り離されているため、端子Ta、Tbに電圧は出力されない。
【0050】
一方、サブPW4では、抵抗R7~R9および端子Tfを介して、電源B2からスイッチング素子Q1のベースに電圧が印加されるので、スイッチング素子Q1がオンとなっている。しかるに、スイッチS3はオフであるため、電源B2→端子Tf→スイッチS3→コイルL1→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成されない。また、メインPW1のスイッチS1がオフであるため、電源B1→端子Tc→スイッチS1→抵抗R3→端子Ta→配線W1→端子Td→抵抗R5とダイオードD3の並列回路→コイルL1→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路も形成されない。したがって、コイルL1に通電がされないので、リレーRY1は動作せず、接点K1は切り替わらない。
【0051】
また、サブPW4では、スイッチS4もオフであるため、電源B2→端子Tf→スイッチS4→コイルL2→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成されない。また、メインPW1のスイッチS2がオフであるため、電源B1→端子Tc→スイッチS2→抵抗R4→端子Tb→配線W2→端子Te→抵抗R6とダイオードD4の並列回路→コイルL2→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路も形成されない。したがって、コイルL2に通電がされないので、リレーRY2も動作せず、接点K2は切り替わらない。その結果、モータ42は、電源B2から切り離されて電流が流れないので、停止している。
【0052】
(2)メイン側で窓閉(UP)操作
図4は、ウィンドウロック機能なしの状態下で、メインPW1の窓閉用のスイッチS1が操作された場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオフで、スイッチS2~S4もオフとなっている。
【0053】
メインPW1では、スイッチS1のオンにより、スイッチング素子Q4のベースに電源B1から電圧が印加されるので、スイッチング素子Q4がオンとなる。しかし、スイッチング素子Q2、Q3のゲートの電位は「L」で変わらないので、スイッチング素子Q2、Q3はオフの状態を維持する。また、サブPW4では、図3と同様に、スイッチング素子Q1がオン状態にある。
【0054】
そして、スイッチS1のオンにより、図4に太線矢印で示したように、電源B1→端子Tc→スイッチS1→抵抗R3→端子Ta→配線W1→端子Td→抵抗R5とダイオードD3の並列回路→コイルL1→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成されるので、コイルL1に通電がされてリレーRY1が動作し、接点K1が図5のように切り替わる。
【0055】
このため、図5に太線矢印で示したように、電源B2→端子Tf→接点K1→端子T1→モータ42→端子T2→接点K2→グランドGの電流経路が形成され、モータ42に正方向(図で下向き)の電流が流れる。この結果、モータ42が正転して、スイッチS1が操作されている間、後右席の窓が閉じる。
【0056】
(3)サブ側で窓閉(UP)操作
図6は、ウィンドウロック機能なしの状態下で、サブPW4の窓閉用のスイッチS3が操作された場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオフで、スイッチS1、S2、S4もオフとなっている。
【0057】
メインPW1の状態は、図3の場合と同じである。一方、サブPW4では、スイッチング素子Q1がオン状態にあるので、スイッチS3のオンにより、電源B2→端子Tf→スイッチS3→コイルL1→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成される。このため、コイルL1に通電がされてリレーRY1が動作し、接点K1が前述の図5のように切り替わる。その結果、メインPW1のスイッチS1が操作された場合と同様に、図5で電源B2→端子Tf→接点K1→端子T1→モータ42→端子T2→接点K2→グランドGの電流経路が形成され、モータ42に正方向の電流が流れる。これによりモータ42が正転して、スイッチS3が操作されている間、後右席の窓が閉じる。
【0058】
(4)メイン側で窓開(DOWN)操作
図7は、ウィンドウロック機能なしの状態下で、メインPW1の窓開用のスイッチS2が操作された場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオフで、スイッチS1、S3、S4もオフとなっている。
【0059】
メインPW1では、スイッチS2のオンにより、スイッチング素子Q4のベースに電源B1から電圧が印加されるので、スイッチング素子Q4がオンとなる。しかし、スイッチング素子Q2、Q3のゲートの電位は「L」で変わらないので、スイッチング素子Q2、Q3はオフ状態を維持する。また、サブPW4では、スイッチング素子Q1がオン状態にある。
【0060】
そして、スイッチS2のオンにより、図7に太線矢印で示したように、電源B1→端子Tc→スイッチS2→抵抗R4→端子Tb→配線W2→端子Te→抵抗R6とダイオードD4の並列回路→コイルL2→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成されるので、コイルL2に通電がされてリレーRY2が動作し、接点K2が図8のように切り替わる。
【0061】
このため、図8に太線矢印で示したように、電源B2→端子Tf→接点K2→端子T2→モータ42→端子T1→接点K1→グランドGの電流経路が形成され、モータ42に逆方向(図で上向き)の電流が流れる。この結果、モータ42が逆転して、スイッチS2が操作されている間、後右席の窓が開く。
【0062】
(5)サブ側で窓開(DOWN)操作
図9は、ウィンドウロック機能なしの状態下で、サブPW4の窓開用のスイッチS4が操作された場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオフで、スイッチS1~S3もオフとなっている。
【0063】
メインPW1の状態は、図3の場合と同じである。一方、サブPW4では、スイッチング素子Q1がオン状態にあるので、スイッチS4のオンにより、電源B2→端子Tf→スイッチS4→コイルL2→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成される。このため、コイルL2に通電がされてリレーRY2が動作し、接点K2が前述の図8のように切り替わる。その結果、メインPW1のスイッチS2が操作された場合と同様に、図8で電源B2→端子Tf→接点K2→端子T2→モータ42→端子T1→接点K1→グランドGの電流経路が形成され、モータ42に逆方向の電流が流れる。これによりモータ42が逆転して、スイッチS4が操作されている間、後右席の窓が開く。
【0064】
<ウィンドウロック機能がある場合>
【0065】
(1)スイッチ操作なし
図10は、ウィンドウロック機能ありの状態下で、スイッチS1~S4のいずれもが操作されていない場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオンで、スイッチS1~S4は全てオフとなっている。
【0066】
メインPW1では、スイッチS1、S2がオフのため、スイッチング素子Q4のベースに電源B1の電圧が印加されず、スイッチング素子Q4はオフとなっている。一方、WLスイッチ12がオンのため、CPU18の出力は「H」となっている。したがって、スイッチング素子Q2、Q3のゲートの電位も「H」であるから、スイッチング素子Q2、Q3はオンとなっている。
【0067】
その結果、端子Taは、スイッチング素子Q2によりグランドGに接続されて低電位となり、端子Tbも、スイッチング素子Q3によりグランドGに接続されて低電位となる。このため、サブPW4のスイッチング素子Q1は、抵抗R8、ダイオードD5、D6、端子Td、Te、および配線W1、W2を介して端子Ta、Tbに接続されているベースの電位が低下するので、オフ状態となる。
【0068】
図10の状態では、スイッチS1~S4が全てオフであり、スイッチング素子Q1もオフであるため、リレーRY1のコイルL1、およびリレーRY2のコイルL2の電流経路が形成されず、リレーRY1、RY2が動作しない。したがって、接点K1、K2が切り替わらないので、電源B2からモータ42への電流経路も形成されず、モータ42は停止している。
【0069】
(2)メイン側で窓閉(UP)操作
図11は、ウィンドウロック機能ありの状態下で、メインPW1の窓閉用のスイッチS1が操作された場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオンで、スイッチS2~S4はオフとなっている。
【0070】
メインPW1では、スイッチS1のオンにより、スイッチング素子Q4のベースに電源B1から電圧が印加されるので、スイッチング素子Q4がオンとなる。このため、スイッチング素子Q2、Q3のゲートの電位が「L」となって、スイッチング素子Q2、Q3はオフ状態となる。その結果、サブPW4では、スイッチング素子Q1のベースに電源B2から電圧が印加され、スイッチング素子Q1がオン状態となる。
【0071】
そして、スイッチS1のオンにより、図11に太線矢印で示したように、電源B1→端子Tc→スイッチS1→抵抗R3→端子Ta→配線W1→端子Td→抵抗R5とダイオードD3の並列回路→コイルL1→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成されるので、コイルL1に通電がされてリレーRY1が動作し、接点K1が図12のように切り替わる。
【0072】
このため、図12に太線矢印で示したように、電源B2→端子Tf→接点K1→端子T1→モータ42→端子T2→接点K2→グランドGの電流経路が形成され、モータ42に正方向の電流が流れる。この電流経路は、前述の図5の電流経路と同じである。この結果、モータ42が正転して、スイッチS1が操作されている間、後右席の窓が閉じる。したがって、WLスイッチ12がオンであっても、メイン側で窓閉操作が行われた場合は、ウィンドウロック機能が働かない。
【0073】
(3)サブ側で窓閉(UP)操作
図13は、ウィンドウロック機能ありの状態下で、サブPW4の窓閉用のスイッチS3が操作された場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオンで、スイッチS1、S2、S4はオフとなっている。
【0074】
メインPW1の状態は、図10と同じであり、スイッチング素子Q2、Q3はオン、スイッチング素子Q4はオフとなっている。このため、図10の場合と同様に、サブPW4のスイッチング素子Q1はオフ状態となる。その結果、サブPW4では、スイッチS3がオンしても、電源B2→端子Tf→スイッチS3→コイルL1→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成されず、コイルL1に通電がされない。また、コイルL2の電流経路も形成されないので、コイルL2にも通電がされない。
【0075】
したがって、リレーRY1、RY2はいずれも動作せず、接点K1、K2が切り替わらないので、電源B2からモータ42への電流経路が形成されず、モータ42は回転しない。このため、サブPW4のスイッチS3を操作しても、窓の閉動作は行われない。すなわち、WLスイッチ12がオンの状態で、サブ側で窓閉操作が行われた場合は、ウィンドウロック機能が働いて、後右席におけるスイッチ操作が無効とされる。
【0076】
(4)メイン側で窓開(DOWN)操作
図14は、ウィンドウロック機能ありの状態下で、メインPW1の窓開用のスイッチS2が操作された場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオンで、スイッチS1、S3、S4はオフとなっている。
【0077】
メインPW1では、スイッチS2のオンにより、スイッチング素子Q4のベースに電源B1から電圧が印加されるので、スイッチング素子Q4がオンとなる。このため、スイッチング素子Q2、Q3のゲートの電位が「L」となって、スイッチング素子Q2、Q3はオフ状態となる。その結果、サブPW4では、スイッチング素子Q1のベースに電源B2から電圧が印加され、スイッチング素子Q1がオン状態となる。
【0078】
そして、スイッチS2のオンにより、図14に太線矢印で示したように、電源B1→端子Tc→スイッチS2→抵抗R4→端子Tb→配線W2→端子Te→抵抗R6とダイオードD4の並列回路→コイルL2→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成される。この電流経路は、前述の図7の電流経路と同じである。これにより、コイルL2に通電がされてリレーRY2が動作し、接点K2が図15のように切り替わる。
【0079】
このため、図15に太線矢印で示したように、電源B2→端子Tf→接点K2→端子T2→モータ42→端子T1→接点K1→グランドGの電流経路が形成され、モータ42に逆方向の電流が流れる。この電流経路は、前述の図8の電流経路と同じである。この結果、モータ42が逆転して、スイッチS2が操作されている間、後右席の窓が開く。したがって、WLスイッチ12がオンであっても、メイン側で窓開操作が行われた場合は、ウィンドウロック機能が働かない。
【0080】
(5)サブ側で窓開(DOWN)操作
図16は、ウィンドウロック機能ありの状態下で、サブPW4の窓開用のスイッチS4が操作された場合の回路状態を示している。この場合は、WLスイッチ12はオンで、スイッチS1~S3はオフとなっている。
【0081】
メインPW1の状態は、図10と同じであり、スイッチング素子Q2、Q3はオン、スイッチング素子Q4はオフとなっている。このため、図10の場合と同様に、サブPW4のスイッチング素子Q1はオフ状態となる。その結果、サブPW4では、スイッチS4がオンしても、電源B2→端子Tf→スイッチS4→コイルL2→スイッチング素子Q1→グランドGの電流経路が形成されず、コイルL2に通電がされない。また、コイルL1の電流経路も形成されないので、コイルL1にも通電がされない。
【0082】
したがって、リレーRY1、RY2はいずれも動作せず、接点K1、K2が切り替わらないので、電源B2からモータ42への電流経路が形成されず、モータ42は回転しない。このため、サブPW4のスイッチS4を操作しても、窓の開動作は行われない。すなわち、WLスイッチ12がオンの状態で、サブ側で窓開操作が行われた場合も、ウィンドウロック機能が働いて、後右席におけるスイッチ操作が無効とされる。
【0083】
上述した実施形態によると、WLスイッチ12がオフ(WL機能なし)の状態では、メインPW1のスイッチング素子Q2、Q3がオフで、サブPW4のスイッチング素子Q1がオンとなっている。このため、メインPW1のスイッチS1とサブPW4のスイッチS3のいずれが操作されても、リレーRY1のコイルL1に電流が流れてリレーRY1が動作し、モータ42が正転して後右席の窓が閉じられる(図4図6)。また、メインPW1のスイッチS2とサブPW4のスイッチS4のいずれが操作されても、リレーRY2のコイルL2に電流が流れてリレーRY2が動作し、モータ42が逆転して後右席の窓が開かれる(図7図9)。
【0084】
一方、WLスイッチ12がオン(WL機能あり)の状態では、メインPW1のスイッチS1またはスイッチS2が操作されれば、メインPW1のスイッチング素子Q2、Q3がオフで、サブPW4のスイッチング素子Q1がオンとなる。このため、スイッチS1が操作された場合は、コイルL1に電流が流れてリレーRY1が動作し、モータ42が正転して後右席の窓が閉じられる(図11図12)。また、スイッチS2が操作された場合は、コイルL2に電流が流れてリレーRY2が動作し、モータ42が逆転して後右席の窓が開かれる(図14図15)。
【0085】
しかるに、WLスイッチ12がオン(WL機能あり)の状態で、メインPW1のスイッチS1またはスイッチS2が操作されなければ、メインPW1のスイッチング素子Q2、Q3がオンで、サブPW4のスイッチング素子Q1がオフとなる。このため、サブPW4のスイッチS3が操作されても、コイルL1に電流が流れず、リレーRY1が動作しないので、モータ42が正転しない(図13)。また、サブPW4のスイッチS4が操作されても、コイルL2に電流が流れず、リレーRY2が動作しないので、モータ42が逆転しない(図16)。
【0086】
このように、本実施形態では、メインPW1のWLスイッチ12により、運転席以外の席のスイッチに対してウィンドウロック機能を作用させる場合は、WL制御回路15が、端子Taと配線W1と端子Td、および端子Tbと配線W2と端子Teを介して、サブPW4のスイッチング素子Q1をオフに制御することで、サブPW4のスイッチS3、S4が操作されても、モータに電流が流れないようにしている。このため、ウィンドウロック指令信号を伝送する専用の配線(図17のW3)を設けなくても、窓閉指令信号を伝送する配線W1と、窓開指令信号を伝送する配線W2とを利用して、ウィンドウロック機能を実現することができる。このため、ウィンドウロックに必要な機能を維持しつつ、メインPW1とサブPW4との間の配線を削減することができる。
【0087】
たとえば、図17のように、メインPW1と全てのサブPW2~PW4とがウィンドウロック用の配線W3で接続されている場合、図18で説明したように8本の配線W3a~W3hと5個のコネクタt1~t5が必要となるが、本発明の場合はこれらが不要となるので、コストを大幅に低減できるとともに、配線作業の手間も省くことができる。また、車両によっては、メインPW1と後部座席のサブPW3、PW4との間だけに配線W3が施されることもあるが、その場合でも、本発明によれば6本の配線と4個のコネクタが不要となる。
【0088】
さらに、WLスイッチ12をオンにして、サブPW4の自席操作スイッチ40(スイッチS3、S4)に対してウィンドウロック機能を作用させた場合でも、メインPW1の他席操作スイッチ11(スイッチS1、S2)に対してはウィンドウロック機能が働かない。したがって、ウィンドウロック時であっても、必要に応じて運転席でスイッチS1、S2を操作することにより、他席の窓を開閉することができ、利便性が確保される。
【0089】
本発明では、上述した実施形態以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0090】
たとえば、図2においては、WLスイッチ12とスイッチング素子Q2、Q3との間にCPU18が設けられている例を挙げたが、CPU18を省略して、WLスイッチ12を直接スイッチング素子Q2、Q3のゲートに接続する回路構成を採用してもよい。
【0091】
また、図2においては、スイッチング素子Q1、Q4としてトランジスタを用い、スイッチング素子Q2、Q3としてFETを用いた例を挙げたが、スイッチング素子Q1、Q4としてFETを用いてもよく、スイッチング素子Q2、Q3としてトランジスタを用いてもよい。
【0092】
また、図1においては、運転席の窓を開閉するモータ16がメインPW1の外部に設けられているが、このモータ16はメインPW1に設けられていてもよい。同様に、図1においては、運転席以外の席の窓を開閉するモータ22、32、42が、サブPW2~PW4の外部に設けられているが、これらのモータ22、32、42は、サブPW2~PW4に設けられていてもよい
【0093】
さらに、図1においては、4つのパワーウィンドウ装置PW1~PW4を備えたパワーウィンドウシステム100を例に挙げたが、パワーウィンドウ装置の数は、車両に応じて2つや6つなどであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 メインPW(メインパワーウィンドウ装置)
2、3、4 サブPW(サブパワーウィンドウ装置)
10 運転席操作スイッチ
11 他席操作スイッチ
12 WLスイッチ(ウィンドウロックスイッチ)
14、21、31、41 モータ駆動回路
15 WL制御回路(ウィンドウロック制御回路)
16、22、32、42 モータ
20、30、40 自席操作スイッチ
100 パワーウィンドウシステム
B1、B2 電源
Q1 スイッチング素子(第1スイッチング素子)
Q2 スイッチング素子(第2スイッチング素子)
Q3 スイッチング素子(第3スイッチング素子)
Q4 スイッチング素子(第4スイッチング素子)
RY1 リレー(第1リレー)
RY2 リレー(第2リレー)
L1 リレーRY1のコイル(第1コイル)
L2 リレーRY2のコイル(第2コイル)
K1 リレーRY1の接点(第1接点)
K2 リレーRY2の接点(第2接点)
S1 スイッチ(第1操作スイッチ)
S2 スイッチ(第2操作スイッチ)
S3 スイッチ(第3操作スイッチ)
S4 スイッチ(第4操作スイッチ)
Ta 端子(第1端子)
Tb 端子(第2端子)
Td 端子(第3端子)
Te 端子(第4端子)
W1 配線(第1配線)
W2 配線(第2配線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18