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特開2022-161136樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161136
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/18 20060101AFI20221014BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B29C45/18
B29C45/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065722
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】北原 晃大朗
(72)【発明者】
【氏名】田 明蕾
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲徳▼▲義▼
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AC01
4F206AD03
4F206AD05
4F206AH33
4F206AH37
4F206AL09
4F206AL10
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JF01
4F206JF05
4F206JF11
4F206JL02
4F206JM01
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】汎用性を向上させることが可能な樹脂成形装置を提供する。
【解決手段】第1の方向に移動しながら複数のタブレット状樹脂を収容する樹脂収容部と、前記第1の方向に交差する第2の方向に移動し、収容した複数の前記タブレット状樹脂を回転動作により落下可能とする樹脂落下機構と、前記樹脂収容部に収容された複数の前記タブレット状樹脂を押し出して前記樹脂落下機構に収容させる押出機構と、前記樹脂落下機構から落下した前記タブレット状樹脂を収容する穴部が設けられた搬送機構と、前記搬送機構により搬送された前記タブレット状樹脂が供給されるポットが設けられた成形型が配置され、前記成形型に供給された前記タブレット状樹脂を用いて樹脂成形対象物を樹脂成形する樹脂成形部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に移動しながら複数のタブレット状樹脂を収容する樹脂収容部と、
前記第1の方向に交差する第2の方向に移動し、収容した複数の前記タブレット状樹脂を回転動作により落下可能とする樹脂落下機構と、
前記樹脂収容部に収容された複数の前記タブレット状樹脂を押し出して前記樹脂落下機構に収容させる押出機構と、
前記樹脂落下機構から落下した前記タブレット状樹脂を収容する穴部が設けられた搬送機構と、
前記搬送機構により搬送された前記タブレット状樹脂が供給されるポットが設けられた成形型が配置され、前記成形型に供給された前記タブレット状樹脂を用いて樹脂成形対象物を樹脂成形する樹脂成形部と、
を備える、樹脂成形装置。
【請求項2】
前記樹脂落下機構は、前記第2の方向に沿った移動と前記回転動作を並行して実行することが可能である、
請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記押出機構は、複数の前記タブレット状樹脂を同時に押し出し可能な複数の円柱部を備える、
請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
前記搬送機構は、前記樹脂成形対象物と共に前記タブレット状樹脂を前記成形型に搬送する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記成形型には、複数の前記ポットが一列に配置されたポット列が複数設けられ、
前記搬送機構には、複数の前記ポット列に対応するように配置された複数の前記穴部からなる複数の穴部列が設けられ、
前記樹脂落下機構は、前記搬送機構の複数の前記穴部列の上方に移動可能なように、前記第2の方向の任意の位置に移動可能である、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記樹脂落下機構が前記タブレット状樹脂を落下させる樹脂落下位置と、前記成形型と、の間に配置され、樹脂成形前の前記樹脂成形対象物を加熱する加熱部をさらに備え、
前記搬送機構は、前記樹脂落下位置、前記加熱部、及び前記成形型に亘るように直線状に移動可能である、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タブレット樹脂を用いて樹脂封止を行う樹脂成形装置が開示されている。この樹脂成形装置では、秤量機構で重量が計測されたタブレット樹脂を、タブレットクランパを用いて支持部に形成された複数の溝に供給する。その後、溝に配置されたタブレット樹脂をプッシャにより押し出して保持部へと供給し、反転機構で保持部を回転させることでタブレット樹脂をリードフレーム整列板へと落下させる。このリードフレーム整列板により、タブレット樹脂とリードフレームを成形型へと搬送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-116437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、保持部に収容された一列のタブレット樹脂を単に下方へと落下させることしかできないため、様々な形状に設計された成形型に対応することが困難であり、汎用性が低い点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、汎用性を向上させることが可能な樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するため、本発明に係る樹脂成形装置は、第1の方向に移動しながら複数のタブレット状樹脂を収容する樹脂収容部と、前記第1の方向に交差する第2の方向に移動し、収容した複数の前記タブレット状樹脂を回転動作により落下可能とする樹脂落下機構と、前記樹脂収容部に収容された複数の前記タブレット状樹脂を押し出して前記樹脂落下機構に収容させる押出機構と、前記樹脂落下機構から落下した前記タブレット状樹脂を収容する穴部が設けられた搬送機構と、前記搬送機構により搬送された前記タブレット状樹脂が供給されるポットが設けられた成形型が配置され、前記成形型に供給された前記タブレット状樹脂を用いて樹脂成形対象物を樹脂成形する樹脂成形部と、を備えるものである。
【0007】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成形装置を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、樹脂成形装置の汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る樹脂成形装置の全体的な構成を示した平面模式図。
図2】樹脂供給部、ローダ、プレヒート部及び成形型の構成を示した平面図(一部断面図)。
図3】樹脂供給部及びローダの構成を示した斜視図。
図4】樹脂供給部の動作の様子を示した側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図中に示した矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F及び矢印Bで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、左方向、右方向、前方向及び後方向と定義して説明を行う。
【0011】
<樹脂成形装置1の全体構成>
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る樹脂成形装置1の構成について説明する。樹脂成形装置1は、半導体チップなどの電子素子(以下、単に「チップ」と称する)を樹脂封止し、樹脂成形品を製造するものである。特に本実施形態では、トランスファーモールド法を利用して樹脂成形を行う樹脂成形装置1を例示している。
【0012】
樹脂成形装置1は、構成要素として、供給モジュール10及び樹脂成形モジュール20を具備する。各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0013】
<供給モジュール10>
供給モジュール10は、チップを装着した基板の一種であるリードフレーム(以下、単に「基板2」と称する)、及びタブレット状樹脂Tを樹脂成形モジュール20へと供給するものである。なお、本実施形態では基板2としてリードフレームを例示しているが、リードフレーム以外にも、その他種々の基板(ガラスエポキシ製基板、セラミック製基板、樹脂製基板、金属製基板等)を用いることが可能である。供給モジュール10は、主として基板供給部100、受け渡し部200、樹脂供給部300、ローダ400、プレヒート部500及び制御部600を具備する。
【0014】
基板供給部100は、インマガジンユニット(不図示)に収容された樹脂封止されていない基板2を、受け渡し部200に供給するものである。
【0015】
受け渡し部200は、基板供給部100から基板2を受け取り、受け取った基板2を適宜整列させてローダ400に受け渡すものである。受け渡し部200は、基板供給部100の右方に配置される。
【0016】
樹脂供給部300は、タブレット状樹脂T(図2参照)をローダ400に供給するものである。樹脂供給部300は、受け渡し部200の後方に配置される。
【0017】
ローダ400は、基板供給部100及び樹脂供給部300から受け取った基板2及びタブレット状樹脂Tを、樹脂成形モジュール20に搬送するものである。ローダ400は、本発明にかかる搬送機構の実施の一形態である。ローダ400は、供給モジュール10(受け渡し部200及びプレヒート部500)と、後述する樹脂成形モジュール20(成形型700)とに亘って左右に移動することができる。
【0018】
プレヒート部500は、樹脂成形モジュール20へと供給される基板2を予め加熱するものである。プレヒート部500は、本発明にかかる加熱部の実施の一形態である。プレヒート部500は、受け渡し部200の右方に配置される。
【0019】
制御部600は、樹脂成形装置1の各モジュールの動作を制御するものである。制御部600によって、供給モジュール10及び樹脂成形モジュール20の動作が制御される。また、制御部600を用いて、各モジュールの動作を任意に変更(調整)することができる。
【0020】
なお本実施形態においては、制御部600を供給モジュール10に設けた例を示しているが、制御部600をその他のモジュールに設けることも可能である。また、制御部600を複数設けることも可能である。例えば、制御部600をモジュールごとや装置ごとに設け、各モジュール等の動作を互いに連動させながら個別に制御することも可能である。
【0021】
<樹脂成形モジュール20>
樹脂成形モジュール20は、基板2に装着されたチップを樹脂封止するものである。樹脂成形モジュール20は、本発明にかかる樹脂成形部の実施の一形態である。樹脂成形モジュール20は、主として成形型700(下型及び上型)及び型締め機構(不図示)を具備する。
【0022】
成形型700は、溶融した樹脂材料を用いて、基板2に装着されたチップを樹脂封止するものである。成形型700は、上下一対の型、すなわち、下型及び上型(不図示)を具備する。成形型700には、ヒータ等の加熱部(不図示)が設けられる。成形型700は、プレヒート部500の右方に配置される。
【0023】
型締め機構(不図示)は、下型を上下に移動させることによって、成形型700を型締め又は型開きするものである。
【0024】
<樹脂成形装置1の動作の概要>
次に、上述の如く構成された樹脂成形装置1の動作(樹脂成形装置1を用いた樹脂成形品の製造方法)の概要について説明する。
【0025】
供給モジュール10において、基板供給部100は、インマガジンユニット(不図示)に収容された基板2を受け渡し部200に供給する。受け渡し部200は、受け取った基板2を適宜整列させる。ローダ400は、受け渡し部200に載置された基板2を上方から保持し、プレヒート部500に供給する。プレヒート部500は、ローダ400から受け取った基板2を加熱する。ローダ400はプレヒート部500に基板2を供給した後、再び受け渡し部200の上方へと移動する。
【0026】
樹脂供給部300は、タブレット状樹脂Tを受け渡し部200の上方に位置したローダ400に供給する。ローダ400は、樹脂供給部300からタブレット状樹脂Tを受け取った後、プレヒート部500の上方に移動し、加熱が完了した基板2を保持する。その後ローダ400は、タブレット状樹脂Tと基板2を樹脂成形モジュール20の成形型700に搬送する。
【0027】
樹脂成形モジュール20において、型締め機構は、成形型700を型締めする。そして、成形型700の加熱部(不図示)によってタブレット状樹脂Tを加熱して溶融させ、生成された流動性樹脂を用いて基板2を樹脂封止する。
【0028】
樹脂封止が完了した後、型締め機構は成形型700を型開きし、樹脂封止された基板2を離型させる。その後、樹脂封止された基板2は成形型700から搬出される。この際、樹脂成形された基板2の不要部分(カル、ランナ等の不要樹脂)は適宜除去される。このようにして、樹脂封止された基板2(樹脂成形品)が製造される。
【0029】
<樹脂供給部300の詳細な構成>
次に、樹脂供給部300の構成について、より詳細に説明する。図2及び図3に示すように、樹脂供給部300は、主として樹脂送出部310、樹脂収容部320、チャック330、押出機構340及び樹脂落下機構350を具備する。
【0030】
<樹脂送出部310>
図2及び図3に示す樹脂送出部310は、タブレット状樹脂Tを後述する樹脂収容部320へと送り出すものである。樹脂送出部310は、内側に収容された複数のタブレット状樹脂Tを整列させながら、前方へと送り出すことができる。
【0031】
<樹脂収容部320>
図2から図4に示す樹脂収容部320は、樹脂送出部310から送り出されたタブレット状樹脂Tを収容して搬送するものである。樹脂収容部320は、左右に長い直方体状に形成される。樹脂収容部320は、収容穴321を具備する。
【0032】
収容穴321は、タブレット状樹脂Tを収容可能な部分である。収容穴321は、樹脂収容部320を前後に貫通するように形成される。収容穴321は、樹脂収容部320の長手方向(左右方向)に沿って複数形成される。なお、本実施形態では収容穴321を4つ設けた例を示しているが、本発明はこれに限るものではなく、収容穴321の個数は任意に変更することが可能である。
【0033】
樹脂収容部320は、適宜の移動機構(例えば、樹脂収容部320を左右方向に移動可能となるように案内するレール、樹脂収容部320をレールに沿って任意の位置まで移動させるサーボモータ等)により、左右方向に移動することができる。樹脂収容部320は、樹脂送出部310の前方から、後述する押出機構340の前方に亘って左右方向に移動することができる。
【0034】
<チャック330>
図3に示すチャック330は、樹脂送出部310から樹脂収容部320へとタブレット状樹脂Tを受け渡すものである。チャック330は、樹脂送出部310から送り出されるタブレット状樹脂Tを挟んで保持し、樹脂収容部320の収容穴321に収容することがきる。
【0035】
<押出機構340>
図2から図4に示す押出機構340は、樹脂収容部320に収容されたタブレット状樹脂Tを押し出して、後述する樹脂落下機構350へと受け渡すものである。押出機構340は、樹脂送出部310の左方に配置される。押出機構340は、主として円柱部341及び連結部342を具備する。
【0036】
円柱部341は、タブレット状樹脂Tを押し出す部分である。円柱部341は、長手方向を前後方向に向けた円柱状に形成される。円柱部341は、左右方向に沿って複数設けられる。本実施形態では、円柱部341は、樹脂収容部320の収容穴321に対応した個数だけ(すなわち、4つ)設けられる。左右方向に複数並んだ円柱部341の間隔は、樹脂収容部320の複数の収容穴321の間隔と同じになるように形成される。
【0037】
連結部342は、複数の円柱部341を連結する部分である。連結部342は、長手方向を左右方向に向けた矩形板状に形成される。連結部342の前側面に、複数の円柱部341の後端が固定される。
【0038】
押出機構340は、適宜の移動機構(例えば、連結部342を前後方向に移動可能となるように案内するレール、連結部342をレールに沿って移動させるエアシリンダ等)により、前後方向に移動することができる。
【0039】
<樹脂落下機構350>
樹脂落下機構350は、樹脂収容部320から受け取ったタブレット状樹脂Tを、所定の位置で落下させてローダ400へと供給するものである。樹脂落下機構350は、押出機構340の前方に配置される。樹脂落下機構350は、主として移動部351、昇降部352及び回転部353を具備する。なお、図2及び図4では、便宜上、樹脂落下機構350の図示を部分的に省略している。
【0040】
図3及び図4に示す移動部351は、後述する昇降部352及び回転部353を支持すると共に、水平方向に移動する部分である。移動部351は、左右に長い直方体状に形成される。
【0041】
移動部351は、適宜の移動機構(例えば、移動部351を前後方向に移動可能となるように案内するレール351a、移動部351をレール351aに沿って移動させるサーボモータ等)により、前後方向に任意の位置まで移動することができる。移動部351は、押出機構340の近傍(すぐ前方)から、受け渡し部200(図1参照)の上方に移動したローダ400の上方に亘って前後方向に移動することができる。移動部351は、可動範囲内の任意の位置に移動することができる。
【0042】
昇降部352は、後述する回転部353を支持すると共に、移動部351に対して上下方向に移動(昇降)する部分である。昇降部352は、適宜の板状部材等を組み合わせて、左右に長い長手状に形成される。昇降部352は、移動部351の下方に配置される。昇降部352は、適宜の部材を介して移動部351に支持される。
【0043】
昇降部352は、適宜の移動機構(例えば、昇降部352を上下方向に移動可能となるように案内するレール、昇降部352をレールに沿って移動させるエアシリンダ等)により、移動部351に対して上下方向に移動することができる。
【0044】
図2から図4に示す回転部353は、昇降部352に対して回転可能に設けられ、樹脂収容部320から受け渡されたタブレット状樹脂Tを収容して搬送するものである。回転部353は、左右に長い直方体状に形成される。回転部353は、回転軸353a及び収容穴353bを具備する。
【0045】
回転軸353aは、回転部353を昇降部352に対して回転可能となるように連結する部分である。回転軸353aは、回転部353の左右両端部に設けられる。回転軸353aは、長手方向を左右方向に向けて配置される。回転部353は、図示せぬ駆動源(エアシリンダ等)の動力によって、回転軸353aを中心として回転動作することができる。具体的には、回転部353は、側面視において回転部353が後方を向く位置(昇降部352から後方に突出する位置)から、回転部353が下方を向く位置(昇降部352から下方に突出する位置)まで、約90度回転することができる(図4参照)。
【0046】
収容穴353bは、タブレット状樹脂Tを収容可能な部分である。収容穴353bは、後方を向いた状態の回転部353を前後に貫通するように形成される。収容穴353bは、回転部353の長手方向(左右方向)に沿って複数形成される。本実施形態では、収容穴353bは、樹脂収容部320の収容穴321に対応した個数だけ(すなわち、4つ)設けられる。左右方向に複数並んだ収容穴353bの間隔は、樹脂収容部320の複数の収容穴321の間隔と同じになるように形成される。収容穴353bには、収容されたタブレット状樹脂Tの落下を防止するためのシャッタ353cが設けられる。シャッタ353cは、任意のタイミングで開閉することができる。
【0047】
<タブレット状樹脂Tの供給態様>
以下では、上述のように構成された樹脂供給部300を用いてローダ400へと樹脂を供給する様子について説明する。
【0048】
なお、図1及び図2に示すように、成形型700(より詳細には、下型)には、樹脂成形に用いられるタブレット状樹脂Tを収容するポット710が形成されている。本実施形態においては、成形型700には、複数のポット710が左右方向に沿って一列に配置されたポット列710Lが、複数(本実施形態では、前後方向に3列)形成されている。
【0049】
また、成形型700のポット710にタブレット状樹脂Tを搬送するローダ400には、タブレット状樹脂Tを収容して搬送するための収容穴410が形成されている。収容穴410は、本発明にかかる穴部の実施の一形態である。収容穴410は、成形型700のポット710に対応するように複数配置されている。すなわちローダ400には、成形型700と同様に、複数の収容穴410が左右方向に沿って一列に配置された収容穴列410Lが、複数(本実施形態では、前後方向に3列)形成されている。収容穴列410Lは、本発明にかかる穴部列の実施の一形態である。収容穴410には、収容されたタブレット状樹脂Tの落下を防止するためのシャッタ411が設けられる(図4参照)。シャッタ411は、任意のタイミングで開閉することができる。
【0050】
本実施形態に係る樹脂供給部300は、上述のように形成されたローダ400の複数列の収容穴410に、タブレット状樹脂Tを供給することができる。以下、具体的に説明する。
【0051】
樹脂供給部300からローダ400へとタブレット状樹脂Tを供給する場合、まず、図2に示すように、樹脂収容部320が樹脂送出部310の前方に位置するように右方へと移動する。樹脂収容部320は、最も左側に位置する収容穴321が樹脂送出部310の前端(タブレット状樹脂Tが整列される部分)の正面に位置するように停止する。
【0052】
次に、樹脂送出部310において整列されたタブレット状樹脂Tが、チャック330によって樹脂収容部320の各収容穴321へと受け渡される。この際、チャック330は、樹脂送出部310から正面の収容穴321へとタブレット状樹脂Tを受け渡す。タブレット状樹脂Tが1つの収容穴321へ受け渡される度に、樹脂収容部320は収容穴321の間隔分だけ左方へと移動する。チャック330は、樹脂送出部310の正面に位置する収容穴321にタブレット状樹脂Tを順次受け渡す。これによって、全ての収容穴321にタブレット状樹脂Tが収容される。
【0053】
全ての収容穴321にタブレット状樹脂Tが収容されると、樹脂収容部320は左方へと移動し、押出機構340の正面で停止する。この際、図3に示すように、樹脂落下機構350は、回転部353を後方に向けた状態で、樹脂収容部320の前方(待機位置)で停止(待機)している。
【0054】
次に、図4に示すように、押出機構340が前方へと移動し、各円柱部341が樹脂収容部320の各収容穴321に収容されたタブレット状樹脂Tを同時に前方に押し出す。これによってタブレット状樹脂Tは、収容穴321の前方に配置された回転部353の収容穴353bへとそれぞれ受け渡される。タブレット状樹脂Tが回転部353の収容穴353bに収容されると、シャッタ353cが閉じられ、タブレット状樹脂Tの落下が防止される。
【0055】
次に、樹脂落下機構350によって、タブレット状樹脂Tが受け渡し部200(図2参照)の上方で待機しているローダ400へと搬送される。具体的には、図4に示すように、タブレット状樹脂Tを収容した回転部353は、昇降部352によって所定の高さまで持ち上げられる。その後、移動部351が前方に移動すると共に、回転部353が下方を向くように回転する。移動部351の移動と回転部353の回転は並行して行われる。すなわち、回転部353は、前方へと移動しながら下方を向くように回転する。移動部351は、ローダ400の収容穴列410Lのうち、一の収容穴列410Lの上方で停止する。図4では、移動部351が最も前方の収容穴列410Lの上方で停止した例を示している。
【0056】
次に、回転部353は、昇降部352によって所定の高さまで下げられる。その後、シャッタ353cが開放されることにより、回転部353の回転動作によって下を向いた収容穴353bから下方へとタブレット状樹脂Tが落下する。回転部353から落下したタブレット状樹脂Tは、ローダ400の収容穴410に収容される。
【0057】
樹脂落下機構350は、上述のようにタブレット状樹脂Tをローダ400へと搬送した後、再度押出機構340の前方(待機位置)に戻る。なお、樹脂落下機構350がタブレット状樹脂Tをローダ400へと搬送している間に、樹脂収容部320は並行して樹脂送出部310からタブレット状樹脂Tを受け取っている。
【0058】
このようにして樹脂供給部300は、複数のタブレット状樹脂Tを、ローダ400に形成された一列の収容穴410(収容穴列410L)にまとめて搬送することができる。これを複数回繰り返すことで、ローダ400の全ての収容穴410(収容穴列410L)にタブレット状樹脂Tが供給される。
【0059】
その後ローダ400は、前述のように右方へと直線状に移動しながら、プレヒート部500から加熱後の基板2を受け取り、この基板2と共にタブレット状樹脂Tを成形型700へと搬送する(図1参照)。具体的には、ローダ400は成形型700(より詳細には、下型)の上方へと移動し、基板2を下型の上面に載置する。また、ローダ400はシャッタ411を開放することでタブレット状樹脂Tを下方へと落下させ、成形型700のポット710内へと供給する。
【0060】
このように本実施形態では、左右方向に移動する樹脂収容部320と、前後方向に移動する樹脂落下機構350を用いることで、様々な形状に設計された成形型700(ローダ400)に対応することができる。すなわち、樹脂落下機構350を前後に任意の位置まで移動させることができるため、ローダ400に形成された収容穴列410Lの位置や数が変更されても、それに対応してタブレット状樹脂Tを供給することができる。
【0061】
また、樹脂収容部320を左右に任意に移動させることができるため、例えば樹脂送出部310から樹脂収容部320へとタブレット状樹脂Tを受け渡す際に、収容穴321の全てにタブレット状樹脂Tを収容するのではなく、任意の収容穴321にのみタブレット状樹脂Tを収容させることもできる。これによって、ローダ400に形成された各収容穴列410Lの収容穴410の数が変更されても、それに対応してタブレット状樹脂Tを供給することができる。
【0062】
また、本実施形態では、樹脂収容部320の移動方向(左右方向)と樹脂落下機構350の移動方向(前後方向)とが平面視において交差するように設定されているため、装置全体の省スペース化を図ることができる。すなわち、本実施形態のように、樹脂収容部320と樹脂落下機構350は平面視において略L字状の範囲に設置することができるため(図2参照)、前後及び左右の幅がそれぞれ増大するのを抑えることができる。また、樹脂収容部320の前方かつ樹脂落下機構350の右方のスペースを活用する(本実施形態では、プレヒート部500を設置する)ことができるため、装置全体の省スペース化を図ることができる。なお、本実施形態では、樹脂収容部320の移動方向と樹脂落下機構350の移動方向とが平面視において実質的に直交する例を示している。ここで、実質的に直交するとは、垂直、若しくは垂直から若干の誤差で交差する状態であり、例えば85°以上95°以下で交差している状態である。
【0063】
以上の如く、本実施形態に係る樹脂成形装置1は、第1の方向(左右方向)に移動しながら複数のタブレット状樹脂Tを収容する樹脂収容部320と、前記第1の方向に交差する第2の方向(前後方向)に移動し、収容した複数の前記タブレット状樹脂Tを回転動作により落下可能とする樹脂落下機構350と、前記樹脂収容部320に収容された複数の前記タブレット状樹脂Tを押し出して前記樹脂落下機構350に収容させる押出機構340と、前記樹脂落下機構350から落下した前記タブレット状樹脂Tを収容する収容穴410(穴部)が設けられたローダ400(搬送機構)と、前記ローダ400により搬送された前記タブレット状樹脂Tが供給されるポット710が設けられた成形型700が配置され、前記成形型700に供給された前記タブレット状樹脂Tを用いて基板2(樹脂成形対象物)を樹脂成形する樹脂成形モジュール20(樹脂成形部)と、を備えるものである。
【0064】
このように構成することにより、樹脂成形装置1の汎用性を向上させることができる。すなわち、互いに異なる方向に移動可能な樹脂収容部320及び樹脂落下機構350を用いることで、様々な形状に設計された成形型700(ローダ400)に対応することが可能となる。
【0065】
また、前記樹脂落下機構350は、前記第2の方向に沿った移動と前記回転動作を並行して実行することが可能なものである。
【0066】
このように構成することにより、複数の動作を並行して実行することで、樹脂成形の工程の時間短縮を図ることができる。
【0067】
また、前記押出機構340は、複数の前記タブレット状樹脂Tを同時に押し出し可能な複数の円柱部341を備えるものである。
【0068】
このように構成することにより、複数のタブレット状樹脂Tを一括して樹脂落下機構350に収容させることができるため、樹脂成形の工程の時間短縮を図ることができる。
【0069】
また、前記ローダ400は、前記基板2と共に前記タブレット状樹脂Tを前記成形型700に搬送するものである。
【0070】
このように構成することにより、基板2とタブレット状樹脂Tを一括して搬送することができるため、樹脂成形の工程の時間短縮を図ることができる。
【0071】
前記成形型700には、複数の前記ポット710が一列に配置されたポット列710Lが複数設けられ、前記ローダ400には、複数の前記ポット列710Lに対応するように配置された複数の前記収容穴410からなる複数の収容穴列410L(穴部列)が設けられ、前記樹脂落下機構350は、前記ローダ400の複数の前記収容穴列410Lの上方に移動可能なように、前記第2の方向の任意の位置に移動可能なものである。
【0072】
このように構成することにより、樹脂落下機構350を用いて複数設けられた収容穴列410Lにもタブレット状樹脂Tを供給することができる。また、収容穴列410Lの位置や数が変更されても、それに対応してタブレット状樹脂Tを供給することができる。
【0073】
また、樹脂成形装置1は、前記樹脂落下機構350が前記タブレット状樹脂Tを落下させる樹脂落下位置(受け渡し部200の上方)と、前記成形型700と、の間に配置され、樹脂成形前の前記基板2を加熱するプレヒート部500(加熱部)をさらに備え、前記ローダ400は、前記樹脂落下位置、前記プレヒート部500、及び前記成形型700に亘るように直線状に移動可能なものである。
【0074】
このように構成することにより、ローダ400の移動方向を直線状にすることができ、構造(特に、ローダ400の移動に関する構成)の簡素化を図ることができる。
【0075】
また、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成形装置1を用いて樹脂成形品を製造するものである。
【0076】
このように構成することにより、樹脂成形装置1の汎用性を向上させることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0078】
例えば、上記実施形態の樹脂成形装置1に用いた構成要素(供給モジュール10等)は一例であり、適宜着脱や交換することが可能である。例えば、樹脂成形モジュール20の個数を変更することや、樹脂封止された基板2を搬出するための搬出モジュールをさらに設けること等が可能である。また、本実施形態の樹脂成形装置1に用いた構成要素(供給モジュール10等)の構成や動作は一例であり、適宜変更することが可能である。
【0079】
また本実施形態では、樹脂収容部320が左右方向(第1の方向)に移動し、樹脂落下機構350が前後方向(第2の方向)に移動する例(互いに直交する方向に移動する例)を示したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、両者が互いに交差する方向(非平行)に移動するものであれば、その具体的な方向は限定するものではない。
【0080】
また本実施形態では、樹脂落下機構350は、前方への移動と回転部353の回転を並行して行うものとしたが(図4参照)、本発明はこれに限るものではなく、例えば移動と回転を順番に行うことも可能である。また、樹脂落下機構350の動作は一例であり、任意に変更することが可能である。例えば、本実施形態では回転部353を上下に移動(昇降)させる例を示したが、必ずしも回転部353を昇降させる必要はない。
【0081】
また本実施形態では、押出機構340は、複数のタブレット状樹脂Tを同時に押し出すものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば1つずつ順に押し出す構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 樹脂成形装置
10 供給モジュール
20 樹脂成形モジュール
300 樹脂供給部
320 樹脂収容部
340 押出機構
341 円柱部
350 樹脂落下機構
400 ローダ
410 収容穴
410L 収容穴列
500 プレヒート部
700 成形型
710 ポット
710L ポット列
図1
図2
図3
図4