(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161144
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20221014BHJP
G05B 19/4155 20060101ALI20221014BHJP
G05B 19/19 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/4155 V
G05B19/19 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065732
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健人
【テーマコード(参考)】
3C269
3C707
【Fターム(参考)】
3C269AB33
3C269BB05
3C269BB09
3C269CC09
3C269EF02
3C269EF10
3C269JJ09
3C269JJ20
3C269MN09
3C269MN14
3C269MN16
3C269MN17
3C269MN44
3C269MN46
3C707BS10
3C707DS01
3C707KS07
3C707KS17
3C707KT01
3C707KT06
3C707LS15
3C707LV07
3C707LV14
3C707LW12
3C707MT01
(57)【要約】
【課題】ピッキング対象であるワークに対するロボットのハンドの形状を把握することができ、ハンドの交換やその目標位置の算出に要する手間や時間を低減することが可能なロボットシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のロボットシステムの構成は、ロボットハンドによってワークをピッキングするロボットシステムであって、ロボット本体と、ロボット本体に交換可能に取り付けられるハンドと、ハンドおよびワークを撮影するカメラと、画像からハンドの形状を学習する学習装置と、カメラが撮影した画像を処理する画像処理装置とを備え、画像処理装置は、カメラが撮影した画像と学習データを比較してハンドの形状を判定するハンド形状判定部と、カメラが撮影した画像からワークの形状を判定するワーク形状判定部と、ピッキングポイントを算出する教示位置計算部とを有していることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットハンドによってワークをピッキングするロボットシステムであって、
ロボット本体と、
前記ロボット本体に交換可能に取り付けられるハンドと、
前記ハンドおよび前記ワークを撮影するカメラと、
前記画像から前記ハンドの形状を学習する学習装置と、
前記カメラが撮影した画像を処理する画像処理装置とを備え、
前記画像処理装置は、
前記カメラが撮影した画像と学習データを比較して前記ハンドの形状を判定するハンド形状判定部と、
前記カメラが撮影した画像から前記ワークの形状を判定するワーク形状判定部と、
ピッキングポイントを算出する教示位置計算部とを有していることを特徴とするロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンドによってワークをピッキングするロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等の生産現場では産業用機械が用いられている。特にワークをピッキングする際には産業用機械としてロボットハンドが用いられる。例えば特許文献1では、ロボット(ロボットハンド)およびその動作を制御する制御装置を備えたロボットシステムが開示されている。
【0003】
特許文献1のロボットシステムでは、ロボットは、載置面に載置された対象物を撮像する撮像装置、距離を測定するレーザセンサ、およびそれらや対象物を保持可能なハンドが取り付けられたアームを備えている。そして、制御装置は、レーザセンサから得られる距離情報に基づいて、ハンドが対象物及び載置面のいずれとも接触せず、且つ、ハンドの動作によって対象物を保持可能なアームの目標位置を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のロボットシステムでは、対象物(ワーク)を基準として対象物を保持可能なアームの目標位置を算出している。したがって、ハンドの形状については全く考慮されていない。特許文献1においては、ハンドの形状については既知である(データが入力されている)ものと推察される。すると、ハンドの目標位置を算出したものの、ピッキング対象であるワークを把持するためのハンドの形状が適切ではなかった場合、ハンドまたはワークを交換し、ハンドの目標位置を再度算出しなくてならなくなる。
【0006】
一般には、ハンドを交換した場合、ハンドや指の長さや把持開口幅などのスペックや可動範囲をロボットシステムに入力する必要がある。このため、ハンドを交換した場合には、そのデータ入力や目標位置の算出に手間や時間を要する。したがって、特許文献1の技術には更なる改良の余地がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ピッキング対象であるワークに対するロボットのハンドの形状をデータ入力することなく把握することができ、ハンドの交換やその目標位置の算出に要する手間や時間を低減することが可能なロボットシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のロボットシステムの代表的な構成は、ロボットハンドによってワークをピッキングするロボットシステムであって、ロボット本体と、ロボット本体に交換可能に取り付けられるハンドと、ハンドおよびワークを撮影するカメラと、画像からハンドの形状を学習する学習装置と、カメラが撮影した画像を処理する画像処理装置とを備え、画像処理装置は、カメラが撮影した画像と学習データを比較してハンドの形状を判定するハンド形状判定部と、カメラが撮影した画像からワークの形状を判定するワーク形状判定部と、ピッキングポイントを算出する教示位置計算部とを有していることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、学習装置に格納されたハンドの形状の学習データと、カメラによって撮影された画像とを比較することによってハンドの形状を判定する。そして、判定したハンドの形状と、カメラによって撮影された画像から判定したワークの形状とを参照してピッキングポイントを算出する。これにより、ワークの形状とハンドの形状との不適合を飛躍的に減らすことができる。したがって、ハンドの交換やその目標位置の算出に要する手間や時間を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ピッキング対象であるワークに対するロボットのハンドの形状を把握することができ、ハンドの交換やその目標位置の算出に要する手間や時間を低減することが可能なロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態にかかるロボットシステムの概略図である。
【
図2】本実施形態のロボットシステムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態のロボットシステムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態にかかるロボットシステム100の概略図である。
図1に示す本実施形態のロボットシステム100は、ロボットハンド110およびカメラ120を含んで構成される。
【0014】
ロボットハンド110は、アーム114を備えるロボット本体112を有する。ロボット本体112のアーム114には、ワーク102をピッキングするためのハンド116が交換可能に取り付けられている。カメラ120は、ハンド116およびワーク102を撮影する。またロボットシステム100では、ロボット制御装置130、画像処理装置150および学習装置140がロボット本体112およびカメラ120に接続されている。
【0015】
図2は、本実施形態のロボットシステム100の構成を示す機能ブロック図である。
図3は、本実施形態のロボットシステム100の動作を説明するフローチャートである。
図2に示すように、本実施形態のロボットシステム100では、ロボット制御装置130および学習装置140はそれぞれ画像処理装置150に接続されている。
【0016】
ロボット制御装置130は、ロボットハンド110およびカメラ120の動作全体を制御する。ロボット制御装置130は、カメラ120に画像の撮影を指示する画像撮影指示部132と、アーム114およびそれに取り付けられているハンド116をワーク102まで移動するための経路を作成する移動経路作成部134を有する。
【0017】
本実施形態のロボットシステム100では、まず様々な例えばグリッパ形状や吸着型形状のハンド116の形状を学習装置140に学習させ、ハンドの形状の学習データを作成する(S202)。S202は事前作業である。逐次の実行時には、ロボット制御装置130の画像撮影指示部132は、カメラ120にハンド撮影指示を出し、カメラ120はハンド116を撮影する(S204)。
【0018】
ハンド116の形状を撮影したら、画像処理装置150の画像処理部152は撮影画像に対して二値化処理やノイズ除去等の処理を施す。ハンド形状判定部154は、画像処理部152において処理された画像を参照し、学習装置140に記憶されているハンド116の形状の学習データと比較することで、ハンド116の形状を判定する(S206)。ハンド長さ測定部156は、画像処理部152において処理された画像を参照し、ハンド116とカメラ120の距離、カメラ120の画角、画像中のハンド116の指の長さなどから、ハンド116全体の長さや指の長さ、把持開口幅などを測定する(S208)。
【0019】
次にロボット制御装置130の画像撮影指示部132は、カメラ120にワーク撮影指示を出し、カメラ120はワーク102を撮影する(S210)。ワーク102の形状を撮影したら、画像処理装置150の画像処理部152はその画像に対して輪郭抽出などの処理を施す。ワーク形状判定部162は、画像処理部152において処理された画像を参照してワーク102の形状を判定する(S212)。
【0020】
ワーク領域設定部172は、ハンド形状判定部154が判定したハンドの形状、およびワーク形状判定部162が判定したワーク102の形状に基づいて、ハンド116によって保持するワーク102の領域(ワーク領域)を設定する(S214)。このとき、ハンド116の形状がグリッパ型であったら、ワーク領域設定部172は、ハンド116によってワーク102を挟む領域(ワークの外側の領域)をワーク領域として設定する(S216)。一方、ハンド116の形状が吸着型であったら、ワーク領域設定部172は、ハンド116がワーク102に吸着する領域(ワークに重なる領域)をワーク領域として設定する(S218)。
【0021】
上述したようにワーク領域を設定したら、基準位置設定部174は、ハンド116によるワーク102の基準位置(ピッキングポイント)を設定する(S220)。基準位置とは、すなわちピッキングを行う際のハンド116の座標値である。そして教示位置計算部176は、基準位置を参照してロボットハンド110の教示位置を計算し、移動経路作成部134に送信する(S222)。移動経路作成部134は、かかる教示位置を参照し、アーム114およびそれに取り付けられているハンド116をワーク102まで移動するための経路を作成する。
【0022】
上記説明したように本実施形態のロボットシステム100では、学習装置140に格納されたハンド116の形状の学習データと、カメラ120によって撮影されたハンド116の画像とを比較することによってハンド116の形状を判定する。そして、カメラ120によって撮影された画像から判定したワーク102の形状とハンド116の形状とを参照してピッキングポイントを算出する。これにより、ハンド116の形状をデータ入力することなく把握することができ、ハンド116の形状とワーク102との形状の不適合を飛躍的に減らすことができる。このため、ハンド116の交換やその目標位置の算出に要する手間や時間を低減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、ロボットハンドによってワークをピッキングするロボットシステムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
100…ロボットシステム、102…ワーク、110…ロボットハンド、112…ロボット本体、114…アーム、116…ハンド、120…カメラ、130…ロボット制御装置、132…画像撮影指示部、134…移動経路作成部、140…学習装置、150…画像処理装置、152…画像処理部、154…ハンド形状判定部、156…測定部、162…ワーク形状判定部、172…ワーク領域設定部、174…基準位置設定部、176…教示位置計算部