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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161211
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】減圧吸収ボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
B65D1/02 250
B65D1/02 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065836
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】杉崎 巧
(72)【発明者】
【氏名】島 浩之
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA17
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA16
3E033DA03
3E033DB01
3E033DC03
3E033DD11
3E033EA04
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】減圧吸収ボトル内の減圧時に、底部を優先的に変形させ、胴部の変形を抑える。
【解決手段】底壁部19が、接地部18と、接地部にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部21と、立ち上がり周壁部の上端部からボトル径方向の内側に向けて延びる環状の可動壁部22と、を備え、可動壁部は、立ち上がり周壁部との接続部分25を中心に上下方向に回動自在に配設され、可動壁部に、上方に向けて窪みかつボトル周方向に延びる環状凹部26が設けられ、環状凹部は、下方から見て、ボトル径方向の内側に向けて凸となるV字状若しくはU字状を呈する内角部27、およびボトル径方向の外側に向けて凸となるV字状若しくはU字状を呈する外角部28が、ボトル周方向に交互に連ねられて構成され、可動壁部に、上方に向けて窪みかつ内角部におけるボトル径方向の内端部27aからボトル径方向に延びる第1放射凹部32が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料で形成された有底筒状の減圧吸収ボトルであって、
底部の底壁部が、
外周縁部に位置する接地部と、
前記接地部にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部と、
前記立ち上がり周壁部の上端部からボトル径方向の内側に向けて延びる環状の可動壁部と、を備え、
前記可動壁部は、前記立ち上がり周壁部との接続部分を中心に上下方向に回動自在に配設され、
前記可動壁部に、上方に向けて窪み、かつボトル周方向に延びる環状凹部が設けられ、
前記環状凹部は、下方から見て、ボトル径方向の内側に向けて凸となるV字状若しくはU字状を呈する内角部、およびボトル径方向の外側に向けて凸となるV字状若しくはU字状を呈する外角部が、ボトル周方向に交互に連ねられて構成され、
前記可動壁部に、上方に向けて窪み、かつ前記内角部におけるボトル径方向の内端部からボトル径方向に延びる第1放射凹部が設けられている、減圧吸収ボトル。
【請求項2】
前記第1放射凹部は、下方から見て、前記内角部におけるボトル径方向の内端部をボトル径方向に跨いでいる、請求項1に記載の減圧吸収ボトル。
【請求項3】
前記可動壁部は、下方に向けて突の曲面状に形成され、
前記内角部は、前記可動壁部のうち最も下方に位置する最下部をボトル径方向に跨いでいる、請求項1または2に記載の減圧吸収ボトル。
【請求項4】
前記内角部におけるボトル径方向の内端部は、前記可動壁部においてボトル径方向の中央位置よりボトル径方向の外側に位置する部分に設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の減圧吸収ボトル。
【請求項5】
前記可動壁部において、前記内角部におけるボトル径方向の内端部を、ボトル周方向に挟む両側に位置する部分に、上方に向けて窪み、かつボトル径方向に延びる第2放射凹部が各別に設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の減圧吸収ボトル。
【請求項6】
前記第2放射凹部は、下方から見て、前記外角部におけるボトル径方向の外端部と、ボトル軸と、を通る直線上に位置している、請求項5に記載の減圧吸収ボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧吸収ボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、合成樹脂材料で有底筒状に形成された減圧吸収ボトルとして、例えば下記特許文献1に示されるように、底部の底壁部が、外周縁部に位置する接地部と、接地部にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部と、立ち上がり周壁部の上端部からボトル径方向の内側に向けて延びる環状の可動壁部と、を備え、可動壁部が、立ち上がり周壁部との接続部分を中心に上方に向けて回動することにより、ボトル内の減圧を吸収する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-23278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、減圧吸収ボトル内の減圧時に、底部を優先的に変形させて、胴部の変形を抑えることに改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、減圧吸収ボトル内の減圧時に、底部を優先的に変形させて、胴部の変形を抑えることができる減圧吸収ボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の減圧吸収ボトルは、合成樹脂材料で形成された有底筒状の減圧吸収ボトルであって、底部の底壁部が、外周縁部に位置する接地部と、前記接地部にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部と、前記立ち上がり周壁部の上端部からボトル径方向の内側に向けて延びる環状の可動壁部と、を備え、前記可動壁部は、前記立ち上がり周壁部との接続部分を中心に上下方向に回動自在に配設され、前記可動壁部に、上方に向けて窪み、かつボトル周方向に延びる環状凹部が設けられ、前記環状凹部は、下方から見て、ボトル径方向の内側に向けて凸となるV字状若しくはU字状を呈する内角部、およびボトル径方向の外側に向けて凸となるV字状若しくはU字状を呈する外角部が、ボトル周方向に交互に連ねられて構成され、前記可動壁部に、上方に向けて窪み、かつ前記内角部におけるボトル径方向の内端部からボトル径方向に延びる第1放射凹部が設けられている。
【0007】
本発明では、可動壁部に、上方に向けて窪み、かつボトル周方向に延びる環状凹部が設けられ、環状凹部が、内角部および外角部がボトル周方向に交互に連ねられて構成されているので、減圧吸収ボトル内の減圧時(以下、減圧時という)に、可動壁部が、立ち上がり周壁部との接続部分を中心に上方に向けて回動するだけでなく、可動壁部のうち、複数の内角部のボトル径方向の内端部が位置する各部分が起点となることで、可動壁部を上方に向けて変形させやすくすることができる。
可動壁部に、上方に向けて窪み、かつ内角部におけるボトル径方向の内端部からボトル径方向に延びる第1放射凹部が設けられているので、減圧時に、可動壁部のうち、内角部におけるボトル径方向の内端部だけでなく、この内端部に対してボトル径方向に連なる部分も上方に向けて変形させやすくすることができる。
以上より、減圧時に、底部を優先的に変形させて、胴部の変形を抑えることができる。
【0008】
前記第1放射凹部は、下方から見て、前記内角部におけるボトル径方向の内端部をボトル径方向に跨いでもよい。
【0009】
この場合、第1放射凹部が、下方から見て、内角部におけるボトル径方向の内端部をボトル径方向に跨いでいるので、減圧時に、可動壁部のうち、内角部におけるボトル径方向の内端部に対してボトル径方向に連なる部分を広範囲にわたって上方に向けて変形させやすくすることができる。
【0010】
前記可動壁部は、下方に向けて突の曲面状に形成され、前記内角部は、前記可動壁部のうち最も下方に位置する最下部をボトル径方向に跨いでもよい。
【0011】
この場合、可動壁部が、下方に向けて突の曲面状に形成されているので、可動壁部の受圧面積を確保することが可能になるとともに、減圧時における可動壁部の上方に向けた変形代を大きく確保することができる。
可動壁部のうち、最も下方に位置し、減圧時に上方に向けて変形しにくい最下部を、減圧時に変形の起点となる部分を有する内角部が、ボトル径方向に跨いでいるので、減圧時に、可動壁部を上方に向けて円滑に変形させやすくなり、胴部の変形を確実に抑えることができる。
【0012】
前記内角部におけるボトル径方向の内端部は、前記可動壁部においてボトル径方向の中央位置よりボトル径方向の外側に位置する部分に設けられてもよい。
【0013】
この場合、内角部におけるボトル径方向の内端部が、可動壁部においてボトル径方向の中央位置よりボトル径方向の外側に位置する部分に設けられているので、可動壁部のうち、環状凹部で囲まれた部分を広く確保することが可能になり、減圧時に、確実に可動壁部を上方に向けて円滑に変形させやすくすることができる。
【0014】
前記可動壁部において、前記内角部におけるボトル径方向の内端部を、ボトル周方向に挟む両側に位置する部分に、上方に向けて窪み、かつボトル径方向に延びる第2放射凹部が各別に設けられてもよい。
【0015】
この場合、可動壁部において、内角部におけるボトル径方向の内端部を、ボトル周方向に挟む両側に位置する部分に、上方に向けて窪み、かつボトル径方向に延びる第2放射凹部が各別に設けられているので、減圧時に、可動壁部のうち、内角部と、内角部におけるボトル径方向の内端部を、ボトル周方向に挟む2つの第2放射凹部と、で囲まれた複数のパネル面部分が、個別に、内角部のボトル径方向の内端部が位置する部分を起点として、上方に向けて変形することとなり、減圧時に、可動壁部を上方に向けて円滑に変形させやすくすることができる。
内角部におけるボトル径方向の内端部が、可動壁部においてボトル径方向の中央位置よりボトル径方向の外側に位置する部分に設けられている場合には、前述のパネル面部分を広く確保することが可能になり、減圧時に、確実に可動壁部を上方に向けて円滑に変形させやすくすることができる。
【0016】
前記第2放射凹部は、下方から見て、前記外角部におけるボトル径方向の外端部と、ボトル軸と、を通る直線上に位置してもよい。
【0017】
この場合、第2放射凹部が、下方から見て、外角部におけるボトル径方向の外端部と、ボトル軸と、を通る直線上に位置しているので、前述のパネル面部分を広く確保することが可能になり、減圧時に、確実に可動壁部を上方に向けて円滑に変形させやすくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、減圧吸収ボトル内の減圧時に、底部を優先的に変形させて、胴部の変形を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る一実施形態として示した減圧吸収ボトルの側面図である。
図2図1に示す減圧吸収ボトルの底面図である。
図3図2のIII-III線矢視断面図である。
図4図2のIV-IV線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る減圧吸収ボトルを説明する。
本実施形態に係る減圧吸収ボトル1は、図1に示されるように、口部11、肩部12、胴部13および底部14を備え、これら11~14が、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設された概略構成となっている。
【0021】
以下、前記共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸Oに沿って口部11側を上側、底部14側を下側といい、ボトル軸Oに沿う方向を上下方向といい、また、上下方向から見てボトル軸Oに交差する方向をボトル径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向をボトル周方向という。
なお、減圧吸収ボトル1は、射出成形により有底筒状に形成されたプリフォームが、ブロー成形されて形成され、合成樹脂材料で一体に形成されている。口部11には、図示しないキャップが装着される。口部11、肩部12、胴部13および底部14はそれぞれ、ボトル軸Oに直交する横断面視形状が円形状となっている。
【0022】
胴部13には、全周にわたって連続して延びる周溝15が上下方向に間隔をあけて複数形成されている。
底部14は、上端開口部が胴部13の下端開口部に接続された筒状のヒール部17と、ヒール部17の下端開口部を閉塞し、かつ外周縁部が接地部18とされた底壁部19と、を備えるカップ状に形成されている。
【0023】
底壁部19は、図2図4に示すように、接地部18にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部21と、立ち上がり周壁部21の上端部からボトル径方向の内側に向けて延びる環状の可動壁部22と、可動壁部22のボトル径方向の内端部に連なる中央壁部23と、を備えている。
【0024】
立ち上がり周壁部21は、上下方向に沿ってほぼ真っ直ぐ延びている。立ち上がり周壁部21は、ボトル軸Oと平行に延びてもよいし、金型に対する離型性を考慮して、下方から上方に向かうに従い、ボトル径方向の内側に向けて延びるように、上下方向に対して5°以下、好ましくは3°以下傾斜させてもよい。図示の例では、立ち上がり周壁部21のこの傾斜角度は、例えば約2.5°となっている。
【0025】
中央壁部23は、可動壁部22におけるボトル径方向の内端部から上方に向けて延びている。中央壁部23は、ボトル軸Oと同軸に配設されるとともに、上方から下方に向かうに従い拡径した筒状に形成されている。中央壁部23の上端部には、ボトル軸Oと同軸に配設された円板状の頂壁24が接続されており、中央壁部23および頂壁24の全体で有頂筒状をなしている。中央壁部23は、横断面視で円形状を呈する。なお、中央壁部23は、横断面視で例えば角形状等を呈してもよい。
【0026】
可動壁部22は、環状に形成されるとともにボトル軸Oと同軸に配設されている。可動壁部22のうち、ボトル径方向の外端部が、立ち上がり周壁部21の上端部に接続され、ボトル径方向の内端部が、中央壁部23のボトル径方向の外端部に接続されている。可動壁部22のボトル径方向の外端部と、立ち上がり周壁部21の上端部と、は、上方に向けて窪む曲面部25を介して互いに接続されている。可動壁部22は、中央壁部23を上下方向に移動させるように、曲面部(立ち上がり周壁部21との接続部分)25を中心に回動自在となっている。
【0027】
可動壁部22は、下方に向けて突の曲面状に形成されている。可動壁部22のうち最も下方に位置する最下部22aは、可動壁部22においてボトル径方向の中央位置22bよりボトル径方向の外側に位置する部分に配置されている。可動壁部22は、最下部22aからボトル径方向に離れるに従い上方に向けて延びている。
なお、最下部22aは、可動壁部22におけるボトル径方向の中央位置22bに配置されてもよいし、可動壁部22においてボトル径方向の中央位置22bよりボトル径方向の内側に位置する部分に配置されてもよい。
【0028】
最下部22aは、曲面部25より下方に位置している。上下方向に沿う縦断面視において、可動壁部22のうち、最下部22aが位置する部分における曲率半径は、曲面部25の曲率半径より大きくなっている。前記縦断面視において、可動壁部22のうち、最下部22aよりボトル径方向の内側に位置する部分の曲率半径が、最下部22aよりボトル径方向の外側に位置する部分の曲率半径より大きくなっている。
【0029】
以上のように構成された減圧吸収ボトル1には、高温(例えば約40℃~95℃)の内容物が充填され、この際、可動壁部22が下方に向けて変位および変形する。この状態で密封することで、その後の冷却に伴う減圧吸収ボトル1内の減圧時に、可動壁部22が、上方に向けて変形しつつ、曲面部25回りに上方に向けて回動し、この減圧が吸収される。
【0030】
そして、本実施形態では、可動壁部22に、上方に向けて窪み、かつボトル周方向に延びる環状凹部26が設けられている。環状凹部26は、下方から見て、ボトル径方向の内側に向けて凸となるV字状若しくはU字状を呈する内角部27、およびボトル径方向の外側に向けて凸となるV字状若しくはU字状を呈する外角部28が、ボトル周方向に交互に連ねられて構成されている。
【0031】
下方から見て、内角部27および外角部28がなす各角度は、互いに同等になっている。なお、下方から見て、内角部27および外角部28がなす各角度を、互いに異ならせてもよい。内角部27および外角部28の各個数は、互い同じになっており、例えば3~12個が好ましく、図示の例では6個となっている。
【0032】
外角部28におけるボトル径方向の外端部(以下、山部という)28aは、可動壁部22におけるボトル径方向の外端部に設けられている。
内角部27におけるボトル径方向の内端部(以下、谷部という)27aは、可動壁部22においてボトル径方向の中央位置22bよりボトル径方向の外側に位置する部分に設けられている。谷部27aは、可動壁部22のうち、最下部22aよりボトル径方向の内側に位置する部分に設けられている。内角部27は、可動壁部22の最下部22aをボトル径方向に跨いでいる。
【0033】
なお、谷部27aは、可動壁部22におけるボトル径方向の中央位置22bに設けられてもよいし、可動壁部22においてボトル径方向の中央位置22bよりボトル径方向の内側に位置する部分に設けられてもよいし、可動壁部22の最下部22aに設けられてもよいし、可動壁部22のうち、最下部22aよりボトル径方向の外側に位置する部分に設けられてもよい。
【0034】
可動壁部22において、谷部27aをボトル周方向に挟む両側に位置する部分に、上方に向けて窪み、かつボトル径方向に延びる第2放射凹部29が各別に設けられている。第2放射凹部29は、ボトル周方向に同等の間隔をあけて複数(例えば3~8本)設けられている。
可動壁部22において、環状凹部26よりボトル径方向の内側に位置する部分は、内角部27と、谷部27aをボトル周方向に挟む2つの第2放射凹部29と、で囲まれた複数のパネル面部分16が、第2放射凹部29を介してボトル周方向に連ねられて構成されている。
なお、ボトル周方向で互いに隣り合う第2放射凹部29同士の間に、複数の谷部27aが位置してもよい。
【0035】
第2放射凹部29および環状凹部26それぞれの幅は、互いに同等になっている。第2放射凹部29は、下方から見て、山部28aとボトル軸Oとを通る直線L上に位置している。
なお、第2放射凹部29および環状凹部26それぞれの幅は、互いに異なってもよい。第2放射凹部29は、下方から見て、山部28aと谷部27aとの間に位置する部分と、ボトル軸Oと、を通る直線上に位置してもよい。
【0036】
第2放射凹部29におけるボトル径方向の外端部は、環状凹部26に接続されている。第2放射凹部29におけるボトル径方向の内端部は、中央壁部23のボトル径方向の外端部よりボトル径方向の外側に位置している。
なお、第2放射凹部29におけるボトル径方向の外端部は、環状凹部26よりボトル径方向の内側に位置してもよく、第2放射凹部29におけるボトル径方向の内端部は、中央壁部23のボトル径方向の外端部に接続されてもよい。
【0037】
環状凹部26および第2放射凹部29はそれぞれ、上方に向けて窪む曲面状に形成された複数のディンプル31が連ねられて構成されている。環状凹部26は、複数のディンプル31が、ボトル周方向に連ねられて構成され、第2放射凹部29は、複数のディンプル31が、ボトル径方向に連ねられて構成されている。環状凹部26および第2放射凹部29それぞれのディンプル31は、互いに同等の形状で、同等の大きさに形成されている。なお、環状凹部26および第2放射凹部29それぞれのディンプル31は、互いに異なる形状で、異なる大きさに形成されてもよい。
【0038】
図示の例では、各ディンプル31は、接続凹部31aと、接続凹部31aの底面に形成された本体凹部31bと、により構成されている。本体凹部31bの内径は、接続凹部31aの内径より小さくなっている。環状凹部26および第2放射凹部29それぞれにおいて、互いに隣り合う本体凹部31bは間隔をあけて設けられ、互いに隣り合う接続凹部31aは連ねられて設けられている。
【0039】
なお、各ディンプル31は、本体凹部31b、および接続凹部31aのうちのいずれか一方のみを備えてもよく、互いに隣り合うディンプル31は、間隔をあけて設けられてもよい。環状凹部26および第2放射凹部29は、複数のディンプル31に代えて、線状に連続して延びる溝、若しくは線状に間欠的に延びる溝により形成されてもよい。
【0040】
可動壁部22に、上方に向けて窪み、かつ谷部27aからボトル径方向に延びる第1放射凹部32が設けられている。第1放射凹部32は、下方から見て、谷部27aをボトル径方向に跨いでいる。
なお、第1放射凹部32は、谷部27aからボトル径方向の外側に限って延びてもよいし、谷部27aからボトル径方向の内側に限って延びてもよい。
【0041】
第1放射凹部32および第2放射凹部29それぞれの幅は、互いに同等になっている。なお、第1放射凹部32および第2放射凹部29それぞれの幅は、互いに異なってもよい。
第1放射凹部32は、周方向で互いに隣り合う第2放射凹部29同士の間におけるボトル周方向の中央部に設けられている。
【0042】
第1放射凹部32におけるボトル径方向の外端部、および山部28aそれぞれのボトル径方向の位置は、互いに同等になっている。なお、第1放射凹部32におけるボトル径方向の外端部、および山部28aそれぞれのボトル径方向の位置は、互いに異なってもよい。
【0043】
第1放射凹部32におけるボトル径方向の内端部は、第2放射凹部29におけるボトル径方向の内端部よりボトル径方向の外側に位置している。なお、第1放射凹部32におけるボトル径方向の内端部は、第2放射凹部29におけるボトル径方向の内端部に対して、ボトル径方向の同じ位置に位置してもよく、ボトル径方向の内側に位置してもよい。第1放射凹部32におけるボトル径方向の内端部は、可動壁部22におけるボトル径方向の中央位置22bを、ボトル径方向に跨いでいる。
【0044】
第1放射凹部32のボトル径方向の長さは、第2放射凹部29のボトル径方向の長さより短くなっている。
なお、第1放射凹部32のボトル径方向の長さは、第2放射凹部29のボトル径方向の長さ以上であってもよい。
【0045】
第1放射凹部32のうち、谷部27aよりボトル径方向の内側に位置する部分のボトル径方向の長さは、谷部27aよりボトル径方向の外側に位置する部分のボトル径方向の長さより短くなっている。
なお、第1放射凹部32のうち、谷部27aよりボトル径方向の内側に位置する部分のボトル径方向の長さは、谷部27aよりボトル径方向の外側に位置する部分のボトル径方向の長さ以上であってもよい。
【0046】
第1放射凹部32のうち、谷部27aからボトル径方向の内側に延びる部分は、環状凹部26および第2放射凹部29と同様に、上方に向けて窪む曲面状に形成されたディンプル31により構成されている。
第1放射凹部32のうち、谷部27aからボトル径方向の外側に延びる部分は、線状に連続して延びる溝33により構成されている。なお、第1放射凹部32のうち、谷部27aからボトル径方向の外側に延びる部分は、複数のディンプルにより構成されてもよく、また、線状に間欠的に延びる溝により形成されてもよい。
【0047】
第1放射凹部32のうち、谷部27aからボトル径方向の内側に延びる部分(ディンプル31)と、谷部27aからボトル径方向の外側に延びる部分(溝33)と、を、一体に延びる連続または間欠の溝で形成してもよい。
第1放射凹部32は、谷部27aに連なって設けることに限らず、間隔を空けて設けてもよい。
【0048】
溝33は、接続溝部33aと、接続溝部33aの底面に形成された本体溝部33bと、により構成されている。環状凹部26および第1放射凹部32それぞれにおいて、互いに隣り合う本体凹部31bおよび本体溝部33bは間隔をあけて設けられ、互いに隣り合う接続凹部31aおよび接続溝部33aは連ねられて設けられている。
なお、溝33は、接続溝部33a、および本体溝部33bのうちのいずれか一方のみを備えてもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態による減圧吸収ボトル1によれば、可動壁部22に、上方に向けて窪み、かつボトル周方向に延びる環状凹部26が設けられ、環状凹部26が、内角部27および外角部28がボトル周方向に交互に連ねられて構成されているので、減圧吸収ボトル1内の減圧時(以下、減圧時という)に、可動壁部22が、曲面部25を中心に上方に向けて回動するだけでなく、可動壁部22のうち、複数の谷部27aが位置する各部分が起点となることで、可動壁部22を上方に向けて変形させやすくすることができる。
可動壁部22に、上方に向けて窪み、かつ谷部27aからボトル径方向に延びる第1放射凹部32が設けられているので、減圧時に、可動壁部22のうち、谷部27aだけでなく谷部27aに対してボトル径方向に連なる部分も上方に向けて変形させやすくすることができる。
以上より、減圧時に、底部14を優先的に変形させて、胴部13の変形を抑えることができる。
【0050】
第1放射凹部32が、下方から見て、谷部27aをボトル径方向に跨いでいるので、減圧時に、可動壁部22のうち、谷部27aに対してボトル径方向に連なる部分を広範囲にわたって上方に向けて変形させやすくすることができる。
【0051】
可動壁部22が、下方に向けて突の曲面状に形成されているので、可動壁部22の受圧面積を確保することが可能になるとともに、減圧時における可動壁部22の上方に向けた変形代を大きく確保することができる。
可動壁部22のうち、最も下方に位置し、減圧時に上方に向けて変形しにくい最下部22aを、減圧時に変形の起点となる谷部27aを有する内角部27が、ボトル径方向に跨いでいるので、減圧時に、可動壁部22を上方に向けて円滑に変形させやすくなり、胴部13の変形を確実に抑えることができる。
【0052】
谷部27aが、可動壁部22においてボトル径方向の中央位置22bよりボトル径方向の外側に位置する部分に設けられているので、可動壁部22のうち、環状凹部26で囲まれた部分を広く確保することが可能になり、減圧時に、確実に可動壁部22を上方に向けて円滑に変形させやすくすることができる。
【0053】
可動壁部22において、谷部27aをボトル周方向に挟む両側に位置する部分に、上方に向けて窪み、かつボトル径方向に延びる第2放射凹部29が各別に設けられているので、減圧時に、可動壁部22のうち、内角部27と、谷部27aをボトル周方向に挟む2つの第2放射凹部29と、で囲まれた複数のパネル面部分16が、個別に、谷部27aが位置する部分を起点として、上方に向けて変形することとなり、減圧時に、可動壁部22を上方に向けて円滑に変形させやすくすることができる。
【0054】
谷部27aが、可動壁部22においてボトル径方向の中央位置22bよりボトル径方向の外側に位置する部分に設けられていることから、前述のパネル面部分16を広く確保することが可能になり、減圧時に、確実に可動壁部22を上方に向けて円滑に変形させやすくすることができる。
【0055】
第2放射凹部29が、下方から見て、山部28aとボトル軸Oとを通る直線L上に位置しているので、前述のパネル面部分16を広く確保することが可能になり、減圧時に、確実に可動壁部22を上方に向けて円滑に変形させやすくすることができる。
【0056】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0057】
例えば、中央壁部23は、前記実施形態に限らず、上下方向に沿って真っ直ぐ延在させたり、あるいは平板状に形成したりする等、適宜変更してもよい。
底壁部19として、頂壁24を有さず、例えば錐状に形成された中央壁部23を有する構成等を採用してもよい。
環状凹部26として、1つの内角部27を有する構成を採用してもよい。
第2放射凹部29を有しない構成を採用してもよい。
【0058】
減圧吸収ボトル1を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル等、またはこれらのブレンド材料等、適宜変更してもよい。
減圧吸収ボトル1は、単層構造体に限らず中間層を有する積層構造体としてもよい。この中間層としては、例えばガスバリア性を有する樹脂材料からなる層、再生材からなる層、若しくは酸素吸収性を有する樹脂材料からなる層等が挙げられる。
前記実施形態では、口部11、肩部12、胴部13および底部14のそれぞれのボトル軸Oに直交する横断面視形状を円形状としたが、これに限らず例えば、角形状にする等適宜変更してもよい。
【0059】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 減圧吸収ボトル
14 底部
18 接地部
19 底壁部
21 立ち上がり周壁部
22 可動壁部
22a 最下部
22b 中央位置
25 曲面部(接続部分)
26 環状凹部
27 内角部
27a 谷部(内端部)
28 外角部
28a 山部(外端部)
29 第2放射凹部
32 第1放射凹部
L 直線
O ボトル軸
図1
図2
図3
図4