IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 学校法人 龍谷大学の特許一覧 ▶ 株式会社イマックの特許一覧

<>
  • 特開-荷重検出装置 図1
  • 特開-荷重検出装置 図2A
  • 特開-荷重検出装置 図2B
  • 特開-荷重検出装置 図2C
  • 特開-荷重検出装置 図2D
  • 特開-荷重検出装置 図2E
  • 特開-荷重検出装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016122
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】荷重検出装置
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
A43B13/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119419
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
(71)【出願人】
【識別番号】300074101
【氏名又は名称】株式会社レイマック
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】辻上 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 守
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】小谷 正光
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA33
4F050DA29
4F050GA30
(57)【要約】
【課題】歩行時の履物の曲がりなどによって検出値が変化するのを抑止することができる荷重検出装置を提供する。
【解決手段】この荷重検出装置1は、履物の内底に対応する平面形状のシート状上部弾性体2と、シート状上部弾性体2の下側に設けられ、互いに細い隙間をあけて隣接された複数個のシート状上部硬質体3と、複数個のシート状上部硬質体3の少なくとも土踏まずの位置以外の全部の下側に設けられ、対応するシート状上部硬質体3よりも小さい平面形状の複数個の荷重センサー4と、複数個の荷重センサー4の下側に設けられ、対応するシート状上部硬質体3よりも小さい平面形状の複数個のシート状下部硬質体5と、複数個のシート状下部硬質体5の下側に設けられ、シート状上部弾性体2と略同一の平面形状のシート状下部弾性体6と、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の内底に対応する平面形状のシート状上部弾性体と、
該シート状上部弾性体の下側に設けられ、互いに細い隙間をあけて隣接された複数個のシート状上部硬質体と、
前記複数個のシート状上部硬質体の少なくとも土踏まずの位置以外の全部の下側に設けられ、対応する該シート状上部硬質体よりも小さい平面形状の複数個の荷重センサーと、
該複数個の荷重センサーの下側に設けられ、対応する前記シート状上部硬質体よりも小さい平面形状の複数個のシート状下部硬質体と、
該複数個のシート状下部硬質体の下側に設けられ、前記シート状上部弾性体と略同一の平面形状のシート状下部弾性体と、
を備えている荷重検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷重検出装置において、
前記土踏まずの位置の前記シート状上部硬質体の下側には、前記複数個の荷重センサーを制御する回路基板が設けられている荷重検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の荷重検出装置において、
前記土踏まずの位置の前記シート状上部硬質体の下側には、前記回路基板に電力を供給するバッテリーが設けられている荷重検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物の内底(中底)に設けられる荷重検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、下肢のリハビリテーションなどのための履物の内底に設けられ歩行時の荷重を検出する荷重検出装置が知られている。このような荷重検出装置においては、荷重に応じて誘電体の厚さが変化するコンデンサーを設けそのコンデンサーの静電容量の変化を電気的に検出する静電容量型のものが用いられることが少なくない。静電容量型の荷重検出装置は、比較的安価であり薄型化し易い。また、静電容量型の荷重検出装置の中には、足底の各部分に対応して複数個のコンデンサーを設けその各々のコンデンサーにかかる荷重(部分荷重)を検出できるものが知られている。部分荷重を検出することにより、歩行時の重心の位置の変化などが検出できる。
【0003】
例えば、特許文献1には、足底の各部分(後足部分、左側前足部、右側前足部)による部分荷重を検出する静電容量型の複数個の可変容量式圧力センサー(荷重検出装置)が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、多数の空隙または窪みを周期的に設けた第1のシート状弾性体と、それと同材質の平坦な第2のシート状弾性体とを誘電体とし、第1のシート状導電性弾性体と、該第1のシート状導電性弾性体との間で前記第1のシート状弾性体をサンドイッチ状に挟む複数個の第2のシート状導電性弾性体と、該複数個の第2のシート状導電性弾性体との間で前記第2のシート状弾性体をサンドイッチ状に挟む第2のシート状導電性弾性体とを電極として複数個のコンデンサーを形成してなり、履物の内底に設けられる荷重センサー部(荷重検出装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02-55045号公報
【特許文献2】国際公開WO2016/158425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、静電容量型の荷重検出装置は、垂直方向(厚さ方向)の荷重の他、歩行時の履物の曲がりなどで起こる荷重検出装置の曲がりによって静電容量が変化して検出値が変化することが起こり得る。その場合、足底の各部分に対応するコンデンサーの静電容量の変化は互いに異なり、従って検出値の変化は互いに異なるので、歩行時の重心の位置の変化などを検出する精度が下がり易くなる。
【0007】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、歩行時の履物の曲がりなどによって検出値が変化するのを抑止することができる荷重検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の荷重検出装置は、履物の内底に対応する平面形状のシート状上部弾性体と、該シート状上部弾性体の下側に設けられ、互いに細い隙間をあけて隣接された複数個のシート状上部硬質体と、前記複数個のシート状上部硬質体の少なくとも土踏まずの位置以外の全部の下側に設けられ、対応する該シート状上部硬質体よりも小さい平面形状の複数個の荷重センサーと、該複数個の荷重センサーの下側に設けられ、対応する前記シート状上部硬質体よりも小さい平面形状の複数個のシート状下部硬質体と、該複数個のシート状下部硬質体の下側に設けられ、前記シート状上部弾性体と略同一の平面形状のシート状下部弾性体と、を備えている。
【0009】
請求項2に記載の荷重検出装置は、請求項1に記載の荷重検出装置において、前記土踏まずの位置の前記シート状上部硬質体の下側には、前記複数個の荷重センサーを制御する回路基板が設けられている。
【0010】
請求項3に記載の荷重検出装置は、請求項2に記載の荷重検出装置において、前記土踏まずの位置の前記シート状上部硬質体の下側には、前記回路基板に電力を供給するバッテリーが設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の荷重検出装置によれば、歩行時の履物の曲がりなどによって検出値が変化するのを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る荷重検出装置を底面側から見た斜視図である。
図2A】同上の荷重検出装置のシート状上部弾性体を底面側から見た斜視図である。
図2B】同上の荷重検出装置の図2Aで示したシート状上部弾性体に複数個のシート状上部硬質体を設けた形態を底面側から見た斜視図である。
図2C】同上の荷重検出装置の図2Bで示したものの土踏まずの位置以外の全部に複数個の荷重センサーを設けた形態を底面側から見た斜視図である。
図2D】同上の荷重検出装置の図2Cで示したものの土踏まずの位置に回路基板とバッテリーを設けた形態を底面側から見た斜視図である。
図2E】同上の荷重検出装置の図2Dで示したものに複数個のシート状下部硬質体を設けた形態を底面側から見た斜視図である。
図3】同上の荷重検出装置を示すものであって、(a)が底面図、(b)がA-Aで示す切断面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る荷重検出装置1は、図1図2A図2E図3に示すように、シート状上部弾性体2、複数個のシート状上部硬質体3、複数個の荷重センサー4、複数個のシート状下部硬質体5、シート状下部弾性体6、を備えている。この荷重検出装置1は、履物の内底(中底)に設けられるものであり、具体的には、履物に固定されるか或いはインソールとして履物とは別に用意されて履物の内底上に置かれるものである。荷重検出装置1は、一般的には、履物の両方に設けられるが、図においては、左足用の片方を示している。
【0014】
シート状上部弾性体2は、図2Aに示すように、履物の内底に対応する平面形状のものである。つまり、荷重検出装置1が取り付けられる履物の内底が大きければ大きく、小さければ小さいものである。シート状上部弾性体2は、荷重検出装置1の上方から荷重がかかるときに緩衝となるように、絶縁性のシリコーンゴムなどを用いることができる。
【0015】
複数個のシート状上部硬質体3は、図2Bに示すように、シート状上部弾性体2の下側に設けられる。複数個のシート状上部硬質体3は、通常は、シート状上部弾性体2に接着される。シート状上部硬質体3は、荷重検出装置1に曲げ力がかかったときに曲がらないような硬質のものであり、例えばアクリル樹脂などを用いることができる。ここで、曲げ力は、履物の曲がり動作などで生じるものである。
【0016】
複数個のシート状上部硬質体3は、互いに細い隙間(例えば、1mm~5mm)をあけて隣接されている。複数個のシート状上部硬質体3は、通常、その集合体の最外周がシート状上部弾性体2の外周よりも少し内側になっている。複数個のシート状上部硬質体3は、例えば、つま先の位置に2個、土踏まずを含む中央の位置に2個、踵の位置に1個、設けられるようにすることができる(図2B等参照)。複数個のシート状上部硬質体3は、アクリル樹脂などの平板を、複数個のシート状上部硬質体3の集合体の最外周に沿った曲線でカットし、更に、複数個のシート状上部硬質体3の互いの細い隙間の部分を直線状にカットして取り除くようにして製作することができる。
【0017】
複数個の荷重センサー4は、図2Cに示すように、複数個のシート状上部硬質体3の少なくとも土踏まずの位置以外の全部の下側に設けられる。複数個の荷重センサー4は、通常は、複数個のシート状上部硬質体3にそれぞれ接着される。荷重センサー4は、対応する該シート状上部硬質体3よりも小さい平面形状である。なお、土踏まずの位置では、荷重(部分荷重)がほぼかからないので、荷重の検出は通常必要ないが、荷重センサー4を設けることは可能である。但し、後述するような回路基板7やバッテリー8などが設けられる場合には、荷重センサー4が配置可能なスペースは小さい。
【0018】
荷重センサー4は、様々なものが適用可能であるが、例えば、背景技術の欄で述べた静電容量型のものなどが適用可能である。
【0019】
土踏まずの位置のシート状上部硬質体3の下側には、図2Dに示すように、回路基板7及びバッテリー8を設けられるようにすることができる。回路基板7及びバッテリー8は、通常は、シート状上部硬質体3に接着される。回路基板7は、複数個の荷重センサー4を制御するものである。回路基板7は、例えば、複数個の荷重センサー4に必要な電圧を印加し、それらからの電流又は電圧を入力して処理し検出値として外部に出力する。この外部への出力は、無線で、又は、ケーブルを接続して有線で、行うことが可能である。バッテリー8は、回路基板7に電力を供給するものである。
【0020】
なお、バッテリー8を省略し外部からケーブルを介して電力を供給することも可能である。また、回路基板7を省略し外部からケーブルを介して複数個の荷重センサー4を制御することも可能である。
【0021】
複数個のシート状下部硬質体5は、図2Eに示すように、複数個の荷重センサー4の下側に設けられる。複数個のシート状下部硬質体5は、通常は、複数個の荷重センサー4にそれぞれ接着される。シート状下部硬質体5は、荷重検出装置1に曲げ力がかかったときに曲がらないような硬質のものであり、例えばアクリル樹脂などを用いることができる。
【0022】
シート状下部硬質体5は、対応するシート状上部硬質体3よりも小さい平面形状である。また、シート状下部硬質体5は、対応する荷重センサー4と略等しい大きさか或いはそれよりも少し大きい。
【0023】
シート状下部弾性体6は、図1に示すように、図2Eで示した複数個のシート状下部硬質体5(及び、回路基板7及びバッテリー8)の下側に設けられる。シート状下部弾性体6は、通常は、複数個のシート状下部硬質体5(及び、回路基板7及びバッテリー8)に接着される。シート状下部弾性体6は、シート状上部弾性体2と略同一の平面形状である。シート状下部弾性体6は、荷重検出装置1の下方から力がかかるときに緩衝となるように、絶縁性のシリコーンゴムなどを用いることができる。
【0024】
以上説明した構成の荷重検出装置1は、複数個の荷重センサー4を複数個のシート状上部硬質体3と複数個のシート状下部硬質体5でそれぞれ挟んでいるので、荷重センサー4が曲がらず、また、荷重センサー4の上面全体及び下面全体に力がかかり、従って、履物の曲げによって検出値が変化するのを抑止することができる。また、荷重センサー4及びシート状下部硬質体5は、シート状上部硬質体3よりも小さいので、歩行時における履物の底部のしなりを不自然に妨げることのないようにできる。また、シート状下部硬質体5は、シート状下部弾性体6を厚くしても、それに荷重センサー4が沈み込んで荷重が垂直方向(厚さ方向)以外に分散されて検出値が変化するのを抑止することができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態に係る荷重検出装置について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 荷重検出装置
2 シート状上部弾性体
3 シート状上部硬質体
4 荷重センサー
5 シート状下部硬質体
6 シート状下部弾性体
7 回路基板
8 バッテリー
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3