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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161227
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】経皮的脊柱安定化システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A61B17/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065870
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000193612
【氏名又は名称】ミズホ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 崇史
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL24
4C160LL63
4C160LL69
(57)【要約】
【課題】患者への複数の切開孔におけるトータル的な大きさを最小限にしつつ、その手術手技等を簡素化することができる経皮的脊柱安定化システムを提供する。
【解決手段】経皮的脊柱安定化システムに採用される体内埋没材4は、脊柱の頭尾方向に沿う各椎骨にそれぞれ固定されると共に、一椎体に対して左右方向に沿って一対固定される椎弓根スクリュー10と、脊柱の頭尾方向に沿って配置され、各椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結されるロッド部材11と、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結されるコネクタ部材12と、左右一対の椎弓根スクリュー10に連結されたコネクタ部材12に連結されるクロスバー13と、を含む。これにより、患者への複数の切開孔におけるトータル的な大きさを最小限にすることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊柱の各椎骨に装着されることで該脊柱を安定化させるための種々の体内埋没材と、各体内埋没材を体外から経皮的に脊柱に装着するための種々の手術器具と、を備えた経皮的脊柱安定化システムであって、
前記体内埋没材は、
脊柱の頭尾方向に沿う各椎骨にそれぞれ固定されると共に、一椎体に対して左右方向に沿って一対固定される椎骨固定具と、
脊柱の頭尾方向に沿って配置され、前記各椎骨固定具の頭部に連結されるロッド部材と、
前記椎骨固定具の頭部に連結されるコネクタ部材と、
前記左右一対の前記椎骨固定具に連結されたコネクタ部材に連結されるクロスバーと、
を含むことを特徴とする経皮的脊柱安定化システム。
【請求項2】
前記コネクタ部材は、
前記椎骨固定具の頭部に係合される固定具係合部と、前記クロスバーを受けて連結するバー受入部と、を有し、
前記バー受入部は、前記固定具係合部に対して所定範囲で左右方向に沿って揺動自在に一体的に連結されることを特徴とする請求項1に記載の経皮的脊柱安定化システム。
【請求項3】
前記体内埋没材は、
前記ロッド部材を前記椎骨固定具の頭部に連結するための第1ねじ部と、前記コネクタ部材を前記椎骨固定具の頭部に連結するための第2ねじ部と、を有するねじ部材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の経皮的脊柱安定化システム。
【請求項4】
前記ロッド部材が前記各椎骨固定具に連結され、該椎骨固定具に前記コネクタ部材の固定具係合部が連結された状態で、前記コネクタ部材の前記バー受入部が、前記ロッド部材の上方に位置することを特徴とする請求項2または3に記載の経皮的脊柱安定化システム。
【請求項5】
前記手術器具は、
前記コネクタ部材を体外から経皮的に支持可能なクロスリンクアジャスタを含み、
該クロスリンクアジャスタはシャフト状に形成され、その先端に前記コネクタ部材の前記バー受入部が着脱自在に装着されることを特徴とする請求項2~4いずれかに記載の経皮的脊柱安定化システム。
【請求項6】
前記手術器具は、
前記ねじ部材を体外から経皮的に支持可能なガイドシャフトを含み、
前記コネクタ部材は、前記ガイドシャフトに沿って前記椎骨固定具の頭部に案内されることを特徴とする請求項3~5いずれかに記載の経皮的脊柱安定化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椎骨固定具、ロッド部材及びクロスバー等の種々の体内埋没材を、種々の手術器具を用いて経皮的に体内に挿入して脊柱に装着することで脊柱を安定化させることが可能な経皮的脊柱安定化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、患者の背中の正中を大きく切開して、その切開部分から椎弓根スクリュー及びロッド部材等を体内に挿入しつつ、脊柱に装着することで、脊柱の安定性を高めたり、脊柱変形を矯正するなど、脊柱を安定化させる外科的治療が行われている。また、近年では、低侵襲手術として、患者の背中から経皮的に(数個の小切開孔から)椎弓根スクリュー及びロッド部材等を体内に挿入して各椎骨に固定し、脊柱を安定化させる術式が採用されている。このような経皮的な術式によって脊柱を安定化させる方法は、背中を大きく切開する術式に比べて、手術に伴う出血量が減少して、手術時間も短縮することができ、しかも、手術部位感染も減少するなど、多くの点で患者にとって有利となる。
【0003】
そこで、後者の経皮的な術式によって、椎弓根スクリュー及びロッド部材等を脊柱に装着する従来方式として、特許文献1には経皮的脊椎クロスリンクシステムが開示されている。すなわち、特許文献1に係る経皮的脊椎クロスリンクシステムでは、経皮的に体内に挿入されて脊柱に固定される経皮的脊柱安定化システムとして、脊柱の頭尾方向に沿う複数の椎体に対してその各椎弓根にねじ込まれて固定される複数の椎弓根スクリューと、脊柱の頭尾方向に沿って配置される複数の椎弓根スクリューに連結されるロッド部材と、左右一対のロッド部材を、各連結部材を介して連結するクロスバーと、が備えられている(特許文献1の図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6340221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る経皮的脊椎クロスリンクシステムでは、クロスバーが各連結部材を介して左右一対のロッド部材に連結されているが、操作用ブレードと一体化された連結部材の構造が複雑であり、また連結部材とロッド部材との固定力が十分に確保できないなど、多くの問題があり、改善する必要がある。また、連結部材は椎弓根スクリューの隣りに間隔を置いて配置され、椎弓根スクリューを支持するシャフト部材と、連結部材から延びる操作用ブレードとが大きな間隔を開けて体外に向かって延びている(特許文献1の図8参照)ために、患者の体表面に相当大きな切開孔が必要となる。そのために、上述した経皮的な術式(低侵襲手術)における作用効果が減じることになり、改善する必要がある。
【0006】
そして、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、患者への複数の切開孔におけるトータル的な大きさを最小限にしつつ、その手術手技等を簡素化することができる経皮的脊柱安定化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の態様)
以下に示す発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0008】
(1)脊柱の各椎骨に装着されることで該脊柱を安定化させるための種々の体内埋没材と、各体内埋没材を体外から経皮的に脊柱に装着するための種々の手術器具と、を備えた経皮的脊柱安定化システムであって、前記体内埋没材は、脊柱の頭尾方向に沿う各椎骨にそれぞれ固定されると共に、一椎体に対して左右方向に沿って一対固定される椎骨固定具と、脊柱の頭尾方向に沿って配置され、前記各椎骨固定具の頭部に連結されるロッド部材と、前記椎骨固定具の頭部に連結されるコネクタ部材と、前記左右一対の前記椎骨固定具に連結されたコネクタ部材に連結されるクロスバーと、を含む、経皮的脊柱安定化システム(請求項1の発明に相当)。
(1)項に記載の経皮的脊柱安定化システムでは、体内埋没材として、コネクタ部材は、椎骨固定具の頭部に連結されるので、コネクタ部材を、椎骨固定具を体内に挿入した小切開孔を介して体内に挿入することができる。その結果、複数の小切開孔におけるトータル的な大きさを最小限にすることができ、手術に伴う出血量の減少や手術時間の短縮など、最大限の効果を奏することができる。
【0009】
(2)(1)項に記載の経皮的脊柱安定化システムであって、前記コネクタ部材は、前記椎骨固定具の頭部に係合される固定具係合部と、前記クロスバーを受けて連結するバー受入部と、を有し、前記バー受入部は、前記固定具係合部に対して所定範囲で左右方向に沿って揺動自在に一体的に連結される、経皮的脊柱安定化システム(請求項2の発明に相当)。
(2)項に記載の経皮的脊柱安定化システムでは、コネクタ部材のバー受入部は、固定具係合部に対して所定範囲で左右方向に沿って揺動自在に一体的に連結されているので、左右一対の椎骨固定具の頭部にそれぞれコネクタ部材を連結した後、各コネクタ部材のバー受入部内にクロスバーを収容する際に、容易にクロスバーを各コネクタ部材のバー受入部内に案内することができる。これにより、手術手技を簡素化することができ、手術時間をさらに短縮することができ、ひいては、患者への負担をさらに軽減することができる。
【0010】
(3)(1)項または(2)項に記載の経皮的脊柱安定化システムであって、前記体内埋没材は、前記ロッド部材を前記椎骨固定具の頭部に連結するための第1ねじ部と、前記コネクタ部材を前記椎骨固定具の頭部に連結するための第2ねじ部と、を有するねじ部材を含む、経皮的脊柱安定化システム(請求項3の発明に相当)。
(3)項に記載の経皮的脊柱安定化システムでは、ねじ部材の第1ねじ部及び第2ねじ部により、椎骨固定具の頭部に、ロッド部材及びコネクタ部材を両方連結することができる。その結果、構造が複雑化することがなく、体内埋没材の構成部材の数量を最小限に抑えることができる。これにより、手術手技を簡素化することができ、手術時間をさらに短縮することができ、ひいては、患者への負担をさらに軽減することができる。
【0011】
(4)(2)項または(3)項に記載の経皮的脊柱安定化システムであって、前記ロッド部材が前記各椎骨固定具に連結され、該椎骨固定具に前記コネクタ部材の固定具係合部が連結された状態で、前記コネクタ部材の前記バー受入部が、前記ロッド部材の上方に位置する、経皮的脊柱安定化システム(請求項4の発明に相当)。
(4)項に記載の経皮的脊柱安定化システムでは、クロスバーを、左右一対のコネクタ部材のバー受入部に容易に案内することができる。これにより、手術手技をさらに簡素化することができ、手術時間をさらに短縮することができる。
【0012】
(5)(2)項~(4)項いずれかに記載の経皮的脊柱安定化システムであって、前記手術器具は、前記コネクタ部材を体外から経皮的に支持可能なクロスリンクアジャスタを含み、該クロスリンクアジャスタはシャフト状に形成され、その先端に前記コネクタ部材の前記バー受入部が着脱自在に装着される、経皮的脊柱安定化システム(請求項5の発明に相当)。
(5)項に記載の経皮的脊柱安定化システムでは、術者が体外に突出されるクロスリンクアジャスタを操作することで、容易に、コネクタ部材のバー受入部を固定具係合部に対して揺動させることができる。その結果、クロスバーを、左右一対のコネクタ部材のバー受入部に容易に案内することができる。
【0013】
(6)(3)項~(5)項いずれかに記載の経皮的脊柱安定化システムであって、前記手術器具は、前記ねじ部材を体外から経皮的に支持可能なガイドシャフトを含み、前記コネクタ部材は、前記ガイドシャフトに沿って前記椎骨固定具の頭部に案内される、経皮的脊柱安定化システム(請求項6の発明に相当)。
(6)項に記載の経皮的脊柱安定化システムでは、ガイドシャフトにより、コネクタ部材を容易に、言い換えれば、精度良く、椎骨固定具の頭部に案内することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る経皮的脊柱安定化システムにより、患者への複数の切開孔におけるトータル的な大きさを最小限にしつつ、その手術手技等を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材が脊柱に装着された状態を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材の斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材の分解斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材である、コネクタ部材とスクリュー部材との締結状態、及びコネクタ部材とクロスバーとの締結状態を示し、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は側面図である。
図5図5は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材であるスクリュー部材のロッド受入部にロッド部材を挿入する様子を示す斜視図である。
図6図6は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材である第1セットスクリューにガイドシャフトを装着する様子を示す斜視図である。
図7図7は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材であるスクリュー部材からエクステンダを取り除く様子を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材であるコネクタ部材にクロスリンクアジャスタを装着する様子を示す斜視図である。
図9図9は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材であるコネクタ部材の雌ねじ部にスタンディングシャフトの雄ねじ部を螺合する様子を示す斜視図である。
図10図10は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材であるコネクタ部材をガイドシャフトに沿ってスクリュー部材のロッド受入部に案内する様子を示す斜視図である。
図11図11は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材であるナット部材をガイドシャフトに沿って第1セットスクリューに案内する様子を示す斜視図である。
図12図12は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の手術器具であるクロスバーホルダーによりクロスバーの一端を把持する様子を示す斜視図である。
図13図13は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材である各コネクタ部材のバー受入部にクロスバーを案内する様子を示す斜視図である。
図14図14は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材である第2セットスクリューを第2セットスクリュー用ドライバーで把持して、クロスリンクアジャスタ内に挿入する様子を示す斜視図である。
図15図15は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材である第2セットスクリューから第2セットスクリュー用ドライバーを取り外す様子を示す斜視図である。
図16図16は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材であるナット部材を第1セットスクリューに対して本締めする様子を示す斜視図である。
図17図17は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材であるコネクタ部材からクロスリンクアジャスタを取り外す様子を示す斜視図である。
図18図18は、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システムに採用された種々の体内埋没材である第1セットスクリューからガイドシャフトを取り外す様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図1図18に基づいて詳細に説明する。
本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1は、成人脊柱変形症であって、例えば、変性後側彎症や、腰椎すべり症、転位性脊椎腫瘍等様々な外科的治療に採用されるものである。図1に示すように、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1は、例えば、種々の体内埋没材4により、脊柱をその頭尾方向に沿う複数の椎骨間に亘って固定して、脊柱を安定化させるものである。また、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1は、種々の手術器具5を使用して、経皮的(低侵襲)な術式に対応できるものである。なお、患者に体表面に設けた小切開孔等の図示は省略している。そして、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1は、脊柱の各椎骨に装着されることで該脊柱の頭尾方向に沿う所望範囲を固定して安定化させるための種々の体内埋没材4と、該各体内埋没材4を体外から経皮的に脊柱に装着するための種々の手術器具5と、を備えている。なお、体内埋没材4は、図1図4に詳細に図示されている。一方、手術器具5は、図5図18に詳細に図示されている。
【0017】
まず、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1に採用された種々の体内埋没材4を、図1図4に基づいて詳細に説明する。
体内埋没材4は、図1図3に示すように、脊柱の各椎骨の椎弓根を介して椎体にねじ込まれる複数の椎弓根スクリュー10(椎骨固定具)と、脊柱の頭尾方向に沿って配置される各椎弓根スクリュー10のロッド受入部20(頭部)に連結されるロッド部材11と、各椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結されるコネクタ部材12と、左右一対の椎弓根スクリュー10、10に連結されたコネクタ部材12、12に連結されるクロスバー13と、ロッド部材11を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結するための大径雄ねじ部88(第1ねじ部)、及びコネクタ部材12を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結するための小径雄ねじ部89(第2ねじ部)を有する第1セットスクリュー14(ねじ部材)と、該第1セットスクリュー14の小径雄ねじ部89に螺合して、コネクタ部材12を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結するナット部材15と、コネクタ部材12のバー受入部36(バー受入溝部57内)に案内されたクロスバー13を押圧、固定するための第2セットスクリュー16と、を含む。
【0018】
これら体内埋没材4として構成される、椎弓根スクリュー10、ロッド部材11、コネクタ部材12、クロスバー13、第1セットスクリュー14、ナット部材15及び第2セットスクリュー16は、同一材料で形成され、例えば、チタン合金等の生体親和性に優れた材料にて形成されている。図2及び図3に示すように、椎弓根スクリュー10は、脊柱の後方から頭部方向に沿う複数の椎骨に対して選択的に固定される。椎弓根スクリュー10は、一椎骨に対して左右一対の椎弓根を介して椎体にそれぞれねじ込まれるものである。椎弓根スクリュー10は、一般に、ペディクルスクリューとも称される。椎弓根スクリュー10は、ロッド部材11を受け入れる溝部28を有するロッド受入部20(頭部)と、該ロッド受入部20に連結され、椎骨の椎弓根を介して椎体にねじ込まれるスクリュー部21と、を備えている。
【0019】
ロッド受入部20は、平面視にて、一対の平面部24、24と、一対の円弧部25、25と、を有するブロック状に形成される。ロッド受入部20の上面には、上方を開放したU字状の溝部28が形成される。該溝部28は、脊柱への装着状態において、ロッド部材11の軸方向に沿って形成される。溝部28は、一対の平面部24、24を突き抜けるように形成される。溝部28にロッド部材11が受け入れられる。ロッド受入部20において、溝部28を境に対向する一対の壁部30、30の内壁面に雌ねじ部31がそれぞれ形成される。この雌ねじ部31に、第1セットスクリュー14の大径雄ねじ部88がねじ込まれる。
【0020】
スクリュー部21は、ロッド受入部20に対して全方位に揺動自在に連結されている。この実施形態では、スクリュー部21の、ロッド受入部20に対する揺動範囲は、全方位にて揺動中心から片側略32°の範囲となる(全揺動範囲略64°)。なお、椎弓根スクリュー10において、スクリュー部21が、ロッド受入部20に対して一方向に沿って揺動自在に連結される形態を採用してもよい。この実施形態では、スクリュー部21の、ロッド受入部20に対する揺動範囲は、一方向にて、揺動中心から片側略45°の範囲となる(全揺動範囲略90°)。スクリュー部21を、ロッド受入部20に対して揺動可能とする構造は、周知のためにここでの詳細な説明を省略する。
【0021】
図2図4を参照して、ロッド部材11は、断面円形状に形成される。ロッド部材11の長さは、体内埋没材4による脊柱の固定範囲に基づいて適宜設定される。ロッド部材11は、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に設けた溝部28に、第1セットスクリュー14により装着される。コネクタ部材12は、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20(頭部)に係合されるスクリュー係合部35(固定具係合部)と、該スクリュー係合部35の側方に一体的に連結され、クロスバー13を受け入れるバー受入部36と、を備えている。スクリュー係合部35は、図4からよく解るように、円筒状部39と、該円筒状部39の軸方向端部寄り(下端部寄り)の外周面から径方向外方に突設される支持ロッド部40と、を備えている。円筒状部39には、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20(頭部)に係合される大径開口部43と、大径開口部43から上方に向かって連続して設けられ、該大径開口部43よりも小径であって、後述する第1セットスクリュー14の中間円筒部90及び小径雄ねじ部89が挿通される小径開口部44と、が形成される。なお、円筒状部39内には、後述する手術器具5であるガイドシャフト111が挿通可能となる。
【0022】
図4を参照して、大径開口部43の内周面には、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に設けた一対の平面部24、24及び一対の円弧部25、25に当接する、一対の平面部47、47及び一対の円弧部48、48が形成される。小径開口部44は、断面円形状に形成される。円筒状部39には、その外壁部が径方向外方に若干突設される外壁突起部50が形成される。該外壁突起部50は、ほぼ直方体からなり、円筒状部39の軸方向全域から径方向外方に突設される。該外壁突起部50の外面から支持ロッド部40が径方向外方に向かって突設される。支持ロッド部40は断面円形状に形成される。支持ロッド部40の先端部には、取付ネジ80が螺合する雌ねじ部54が形成される。なお、スクリュー係合部35の下面には、脊柱への装着状態において、ロッド部材11との干渉を避けるべく円弧状凹面55が形成される。
【0023】
一方、コネクタ部材12のバー受入部36は、ほぼ直方体からなるブロック状に形成される。バー受入部36は、スクリュー係合部35に設けた支持ロッド部40に所定角度の範囲で揺動自在に連結される(図4(c)の白抜き矢印参照)。バー受入部36には、上面を開放するコ字状のバー受入溝部57が形成される。バー受入溝部57は、脊柱への装着状態にて、ロッド部材11の軸方向と直交する方向に延びている。バー受入溝部57にクロスバー13が受け入れられる。バー受入溝部57を境とした互い対向する一対の壁部59、59には、当該バー受入溝部57にクロスバー13を固定するための第2セットスクリュー16が螺合する雌ねじ部60が形成される。
【0024】
バー受入部36の対向する壁部59、59の上面には、後述する手術器具5のスタンディングシャフト126の雄ねじ部132(図8参照)が螺合される雌ねじ部61、61がそれぞれ形成される。一対の雌ねじ部61、16は、第2セットスクリュー16用の雌ねじ部60の径方向中心に対して対角線上にそれぞれ位置する。バー受入部36には、そのバー受入溝部57よりも下方に、スクリュー係合部35に設けた支持ロッド部40が挿通される挿通孔63が貫通して形成される。挿通孔63は、バー受入溝部57の延びる方向と直交する方向に形成される。挿通孔63は、バー受入溝部57が延びる方向においてその中央に形成される。なお、バー受入部36の下面には、挿通孔63と略同じ位置で、挿通孔63と同方向に延びる膨出部64が形成される。
【0025】
挿通孔63は、上下方向に沿って若干長孔に形成される。バー受入部36において、挿通孔63の延びる方向に沿う一端面、すなわち、スクリュー係合部35から遠い側の一端面には、挿通孔63の周辺にストッパ収容凹部69が形成される。一方、バー受入部36において、挿通孔63の延びる方向に沿う他端面、すなわち、スクリュー係合部35に近い側の他端面には、ワッシャ収容凹部70が形成される。図4(c)を参照して、ストッパ収容凹部69は、挿通孔63の幅長よりも若干大きく、互いに平行に延びる一対の幅広壁面72、72と、該一対の幅広壁面72、72から下方に向かって次第にその幅長が大きくハ字状に形成される一対の傾斜壁面73、73と、を備えている。傾斜壁面73は、鉛直方向に対してほぼ15°で傾斜して延びている。このストッパ収容凹部69にストッパ75が収容される。
【0026】
ストッパ75は、スクリュー係合部35に設けた支持ロッド部40の先端部に取り付けられる。ストッパ75は、取付ネジ80が挿通される取付孔77を有する板状に形成される。図4(c)を参照して、ストッパ75の上部の側壁両面には、ストッパ収容凹部69の一対の傾斜壁面73、73から連続するように、互いに近接する方向に延びる一対の傾斜壁面82、82が形成される。傾斜壁面82は、鉛直方向に対してほぼ15°で傾斜して延びている。ストッパ75は、バー受入部36のストッパ収容凹部69に配置される。そして、取付ネジ80がストッパ75の取付孔77に挿通されると共に支持ロッド部40の雌ねじ部54に螺合される。その結果、ストッパ75により、バー受入部36とスクリュー係合部35とが一体的に連結される。
【0027】
また、バー受入部36の挿通孔63の上面と、スクリュー係合部35の支持ロッド部40との間にはシム85が介在される。バー受入部36のワッシャ収容凹部70にはウェーブワッシャ86が配置される。該ウェーブワッシャ86により、スクリュー係合部35とバー受入部36とが互いに離間する方向に付勢される。そして、バー受入部36は、スクリュー係合部35に対して支持ロッド部40の軸心を中心に左右方向に沿って片側15°(全30°)の範囲で揺動自在に連結されることになる(図4の白抜き矢印参照)。なお、コネクタ部材12において、バー受入部36の上面は、スクリュー係合部35の上面より高く設定される。また、コネクタ部材12において、バー受入部36の下面が、スクリュー係合部35の下面より若干高く設定される。スクリュー係合部35の下面に設けた円弧状凹面55の最も底部と、バー受入部36の下面に設けた膨出部64の最も頂部とが高さ方向にてほぼ一致する。
【0028】
そして、コネクタ部材12のスクリュー係合部35を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に装着すると、コネクタ部材12のスクリュー係合部35に設けた一対の平面部47、47及び一対の円弧部48、48が、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20(大径開口部43)に設けた一対の平面部24、24及び一対の円弧部25、25(図3参照)に当接するように嵌合される。その結果、コネクタ部材12の、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に対するその周方向の位置が位置決めされる。具体的には、コネクタ部材12のスクリュー係合部35が椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に装着されると、コネクタ部材12は、そのバー受入溝部57の延びる方向が椎弓根スクリュー10のロッド受入部20の溝部28(図3参照)が延びる方向と直交する向きに配置される。
【0029】
図4を参照して、第1セットスクリュー14は、円筒状に形成される。第1セットスクリュー14は、ロッド部材11を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結するための大径雄ねじ部88と、コネクタ部材12を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結するための小径雄ねじ部89と、大径雄ねじ部88と小径雄ねじ部89との間に位置する中間円筒部90と、を有している。小径雄ねじ部89が形成される部位は、平面視六角星状にて軸方向に延びる貫通孔92が形成される。大径雄ねじ部88が形成される部位の内周面には、雌ねじ部93が形成される。なお、雌ねじ部93の内径は、中間円筒部90の内径、及び小径雄ねじ部89の内周面に設けた平面視六角星状の貫通孔92における最小内径よりも小径に形成される。大径雄ねじ部88の外径は、中間円筒部90の外径より大径である。中間円筒部90の外径は、小径雄ねじ部89の外径よりも大径である。
【0030】
第1セットスクリュー14の大径雄ねじ部88は、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に設けた雌ねじ部31(図3参照)に螺合される。そして、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20の溝部28にロッド部材11を嵌合させた後、第1セットスクリュー14の大径雄ねじ部88を、ロッド受入部20に設けた雌ねじ部31に螺合することで、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20(溝部28)にロッド部材11を固定することができる。中間円筒部90の外径は、コネクタ部材12のスクリュー係合部35に設けた小径開口部44の内径よりも小径である。
【0031】
図3及び図4を参照して、コネクタ部材12のスクリュー係合部35を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に嵌合させた後、コネクタ部材12のスクリュー係合部35から突出された第1セットスクリュー14の小径雄ねじ部89にナット部材15が螺合されることで、コネクタ部材12が椎弓根スクリュー10に固定される。ナット部材15は、その外形が六角形状に形成される。ナット部材15が、コネクタ部材12のスクリュー係合部35から突出された第1セットスクリュー14の小径雄ねじ部89に螺合された状態において、ナット部材15の上面とコネクタ部材12のバー受入部36の上面とは同一平面上に位置する。
【0032】
図3及び図4を参照して、クロスバー13は、断面矩形状に形成される。クロスバー13は、コネクタ部材12のバー受入部36(バー受入溝部57内)に嵌合される。そして、クロスバー13を、コネクタ部材12のバー受入部36(バー受入溝部57)に配置した後、第2セットスクリュー16を、コネクタ部材12のバー受入部36に設けた雌ねじ部60に螺合することで、第2セットスクリュー16により、クロスバー13がコネクタ部材12のバー受入部36(バー受入溝部57)に押圧、固定される。第2セットスクリュー16は円筒状に形成される。第2セットスクリュー16には、第1セットスクリュー14の貫通孔92と同様に、平面視六角星状の貫通孔95が形成される。そして、第2セットスクリュー16により、クロスバー13をコネクタ部材12のバー受入部36(バー受入溝部57)に押圧、固定した状態では、第2セットスクリュー16の上面と、コネクタ部材12のバー受入部36の上面とは同一平面上に位置する。
【0033】
次に、体内埋没材4を経皮的に体内に挿入して、該体内埋没材4により各椎骨間の範囲を固定するための主な手術器具5を説明する。当該手術器具5は、本経皮的脊柱安定化システム1として採用される特殊なものである。手術器具5は、体外から患者に設けた小切開孔や極小切開孔を通じて体内に延びるものである。
手術器具5は、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20を支持するためのエクステンダ110(図5及び図6参照)と、椎弓根スクリュー10を椎骨の椎弓根を介して椎体にねじ込むためのスクリュードライバー(図示略)と、ロッド部材11を把持するロッドホルダー(図示略)と、第1セットスクリュー14を着脱自在に支持して、該第1セットスクリュー14を締め込む第1セットスクリュー用ドライバー(図示略)と、第1セットスクリュー14を着脱自在に支持して、またコネクタ部材12を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に案内するためのガイドシャフト111(図6及び図7参照)と、先端がコネクタ部材12のバー受入部36に着脱自在に装着されるクロスリンクアジャスタ112(図8図10及び図11参照)と、ナット部材15を着脱自在に把持して、該ナット部材15を締め込むナットホルダー(図示略)と、クロスバー13を着脱自在に把持するクロスバーホルダー113(図12参照)と、第2セットスクリュー16を把持して、該第2セットスクリュー16を締め込む第2セットスクリュー用ドライバー114(図14及び図15参照)と、を含む。
【0034】
図5を参照して、エクステンダ110は、シャフト状に形成される。エクステンダ110は、円筒状に形成される。エクステンダ110の内部には、スクリュードライバー、第1セットスクリュー用ドライバー及びガイドシャフト111も挿通可能である。エクステンダ110は、体外から体表面に設けた小切開部を介して体内に延びる。エクステンダ110は、その先端部(下端部)に設けられた、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20を支持するスクリュー支持部117と、先端から基端に向かう所定範囲に径方向に沿って貫通されるスリット部118と、を備えている。
【0035】
スクリュー支持部117は、スリット部118の形成により、互いに間隔を置いて対向する一対のスクリュー把持部119、119として構成される。該一対のスクリュー把持部119、119は、椎弓根スクリュー10に設けたロッド受入部20の一対の円弧部25、25の外周面を外方から相対回転不能及び軸方向に沿って相対移動不能に支持する構成である。そして、エクステンダ110にて、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20を支持すると、エクステンダ110のスリット部118が、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に設けた溝部28と同じ向きに配置される。スリット部118の開口幅は、ロッド部材11の外径より大きく形成される。エクステンダ110であって、一対のスクリュー把持部119、119より上側のスリット部118を境とした互いに対向する一対の壁部121、121の内周面には、第1セットスクリュー14の大径雄ねじ部88が螺合する雌ねじ部120が設けられている。なお、図7を参照して、一対のスクリュー把持部119、119の内周面には、雄ねじ部120は形成されておらず、逃げ凹部122、122がそれぞれ形成される。
【0036】
なお、エクステンダ110のスクリュー支持部117(一対のスクリュー把持部119、119)によって、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20を支持した際には、一対のスクリュー把持部119、119の逃げ凹部122、122内に、椎弓根スクリュー10の一対の円弧部25、25が嵌合され、エクステンダ110の対向する壁部121、121の内周面に設けた雌ねじ部120の螺旋状に延びるねじ山(ねじ溝)と、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20の一対の壁部30、30の内周面に設けた雌ねじ部31の螺旋状に延びるねじ山(ねじ溝)とが連続するように接続される。スクリュードライバーは、エクステンダ110内に挿通可能となる。スクリュードライバーは、その先端が椎弓根スクリュー10のロッド受入部20内に挿入され、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20及びスクリュー部21を相対回転不能に支持する構成である。
【0037】
第1セットスクリュー用ドライバーは、そのの先端部が第1セットスクリュー14の貫通孔92に挿入されて把持できる構成である。図6図7及び図18を参照して、ガイドシャフト111は、断面略円形状であって、シャフト状に形成される。ガイドシャフト111の先端部(下端部)には、雄ねじ部123が形成される。この雄ねじ部123が、第1セットスクリュー14の雌ねじ部93(図4(b)も参照)に螺合される。図8を参照して、クロスリンクアジャスタ112は、パイプ部材125と、該パイプ部材125にその軸方向に沿ってそれぞれ挿通される複数のスタンディングシャフト126、126と、から構成される。本実施形態では、スタンディングシャフト126、126は2本採用される。パイプ部材125は、その平面視外形がコネクタ部材12のバー受入部36の上面とほぼ同じ矩形状に形成される。パイプ部材125は、中央に位置して軸方向に貫通して延びる主開口部128が形成される。主開口部128に、第2セットスクリュー用ドライバー114(図14参照)が挿通可能となる。パイプ部材125の主開口部128周辺には、その対角線上に一対の貫通孔129、129が形成される。各貫通孔129は軸方向に沿って貫通して設けられる。当該貫通孔129にスタンディングシャフト126が挿通可能となる。
【0038】
図8を参照して、スタンディングシャフト126の上端部には、その外径がパイプ部材125の貫通孔129の内径よりも大径の大径シャフト部131が形成される。図9も参照して、スタンディングシャフト126の下端部には、コネクタ部材12のバー受入部36の上面に設けた雌ねじ部61に螺合する雄ねじ部132が形成される。スタンディングシャフト126の軸方向の長さは、パイプ部材125の軸方向の長さより長く設定される。そして、図9も参照して、コネクタ部材12のバー受入部36の上面にパイプ部材125の下面を当接させると共に、パイプ部材125の各貫通孔129にスタンディングシャフト126を挿通してその下端の雄ねじ部132をバー受入部36の上面に設けた雌ねじ部61に螺合する。すると、各スタンディングシャフト126の大径シャフト部131が、パイプ部材125の上面から上方に突出され、スタンディングシャフト126の大径シャフト部131とバー受入部36との間にパイプ部材125が挟まった状態で、クロスリンクアジャスタ112によりコネクタ部材12のバー受入部36が支持される。
【0039】
図12を参照して、クロスバーホルダー113は、クロスバー13の軸方向一端を把持して、クロスバー13を操作するためのものである。クロスバーホルダー113は、先端にクロスバー13の一端を嵌合する径方向に沿って拡縮自在な開口端部139を有するシャフト本体部134と、該シャフト本体部134の外周に配置され、シャフト本体部134に対して軸方向に沿ってスライド自在な円筒状のスライドパイプ部135と、シャフト本体部134の基端部に一体的に接続されるグリップ136と、を備えている。そして、図12(a)を参照して、クロスバー13の一端を把持するときには、スライドパイプ部135をグリップ136側にスライドさせて、シャフト本体部134の開口端部139を露出させて拡径させる。
【0040】
続いて、図12(b)を参照して、クロスバー13の一端にシャフト本体部134の開口端部139を覆い被せた後、スライドパイプ部135を、開口端部139を覆う位置までスライドさせる。すると、シャフト本体部134の開口端部139が縮径することで、クロスバー13の一端がシャフト本体部134の開口端部139に支持された状態となる。一方、クロスバー13からクロスバーホルダー113を離脱させる際には、スライドパイプ部135をグリップ136側にスライドさせれば、シャフト本体部134の開口端部139が露出、拡径されて、クロスバー13を離脱させることができる。
【0041】
図14を参照して、第2セットスクリュー用ドライバー114は、細径のシャフト部142と、該シャフト部142の上端に設けられるグリップ143と、からなる。シャフト部142の下端には、六角星状に突設される嵌合部146が形成される。該嵌合部146が、第2セットスクリュー16の六角星状の貫通孔95に嵌合される。そして、第2セットスクリュー用ドライバー114により第2セットスクリュー16を把持して、第2セットスクリュー16をコネクタ部材12のバー受入部36に設けた雌ねじ部60に螺合することで、クロスバー13をコネクタ部材12のバー受入部36(バー受入溝部57)に押圧、固定する。
【0042】
次に、本発明の実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1を使用して、脊柱の頭尾方向における所望範囲を固定して、脊柱を安定化させる方法を説明する。本実施形態では、体内埋没材4により、例えば、頭尾方向に沿って選択的に決定された2椎骨間(例えば、胸椎T11と腰椎L2との間)の範囲を安定化させる形態を説明する。
まず、図5に示すように、エクステンダ110のスクリュー支持部117(一対のスクリュー把持部119、119)にて、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20を支持する。続いて、スクリュードライバーをエクステンダ110内に挿入して、スクリュードライバーの先端により、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20及びスクリュー部21を相対回転不能に支持して、スクリュードライバー、エクステンダ110及び椎弓根スクリュー10を一体的に接続する。続いて、一体化されたスクリュードライバー、エクステンダ110及び椎弓根スクリュー10を患者の背中に設けた小切開孔から体内に挿入する。
【0043】
次に、術者がスクリュードライバーを回転させることで、椎弓根スクリュー10のスクリュー部21を所定の椎骨に対して、当該椎骨の椎弓根を介して椎体にねじ込む。続いて、次のエクステンダ110に、次のスクリュードライバー及び椎弓根スクリュー10をセットして、上述したように、次の椎骨に対してねじ込み操作を行い、このねじ込み操作を所定の椎骨に対して繰り返す。なお、椎弓根スクリュー10は、一椎体に対して左右一対の椎弓根に沿ってねじ込まれるために、一椎体に対して左右方向に沿って一対(2本)ねじ込まれる。
【0044】
本実施形態では、図1に示すように、例えば、脊柱の頭尾方向に沿って互いに離間する2椎体(胸椎T11と腰椎L2)に対して椎弓根スクリュー10がそれぞれ(全4本)ねじ込まれる。所定の椎骨に対する椎弓根スクリュー10のねじ込み操作が完了すると、全てのエクステンダ110内からスクリュードライバーを抜いて、体外に持ち出す。その結果、全4本のエクステンダ110が、体表面に設けた各小切開孔から外方に突出された状態となっている。また、各エクステンダ110は、体内においてそのスリット部118が頭尾方向に向くようにその回転方向の位置が決められる。このとき、各エクステンダ110により、各椎弓根スクリュー10のロッド受入部20は、そのU字状の溝部28が頭尾方向に向くように保持される。なお、体表面に設けた小切開孔は、椎弓根スクリュー10の数量に対応して複数設けられる。
【0045】
次に、術者により、図示しないロッドホルダーにてロッド部材11を把持する。続いて、該ロッド部材11を頭尾方向に沿う各小切開孔のうちいずれか一方から体内に挿入して、脊柱の頭尾方向に隣接する各エクステンダ110、110のスリット部118、118にそれぞれ挿入する。続いて、図5を参照しながら、図示しない第1セットスクリュー用ドライバーの先端部を、第1セットスクリュー14の貫通孔92に挿入して把持する。続いて、第1セットスクリュー用ドライバーを第1セットスクリュー14と共に、各エクステンダ110内に挿入して、第1セットスクリュー14の大径雄ねじ部88を、エクステンダ110の一対の壁部121、121に設けた雌ねじ部120に螺合する。続いて、第1セットスクリュー用ドライバーを回転させることで第1セットスクリュー14を回転させながら前進させて、その下面にてロッド部材11を押しながら椎弓根スクリュー10のロッド受入部20の溝部28内に侵入させる。
【0046】
引き続き、第1セットスクリュー用ドライバーを回転させて、第1セットスクリュー14の大径雄ねじ部88を、エクステンダ110の雌ねじ部120から椎弓根スクリュー10のロッド受入部20の雌ねじ部31に連続して螺合させ、最終的に、第1セットスクリュー14により、ロッド部材11を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20の溝部28に仮固定する。図1を参照して、この操作を繰り返すことで、頭尾方向に沿う各椎弓根スクリュー10のロッド受入部20にロッド部材11をそれぞれ仮固定する。このとき、各エクステンダ110は、小切開孔を経て体外に突出した状態であり、術者が、これらエクステンダ110の上部を把持して、あるいは図示しないコンプレッサー等の手術器具を用いて、各エクステンダ110の上部を頭尾方向または左右方向等に変位させることで、脊柱のアライメントを整えるように矯正する。
【0047】
次に、第1セットスクリュー用ドライバーにより、第1セットスクリュー14を本締して、ロッド部材11を、各椎弓根スクリュー10のロッド受入部20にそれぞれ本締固定する。そして、ロッド部材11は、左右一対の椎弓根スクリュー10、10に対して左右一対配置される。続いて、第1セットスクリュー用ドライバーをエクステンダ110から抜いた後、図6を参照して、ガイドシャフト111を、エクステンダ110内に挿入して、その下端部の雄ねじ部123を、第1セットスクリュー14の雌ねじ部93に螺合して、第1セットスクリュー14を支持する。この操作を繰り返し、全てのガイドシャフト111により、全ての第1セットスクリュー14を支持する。このとき、ガイドシャフト111の上端は、エクステンダ110の上端から上方に突出された状態となる。
【0048】
次に、図7を参照して、術者により、全てのエクステンダ110を各椎弓根スクリュー10のロッド受入部20から取り外し、各ガイドシャフト111に沿って体外に取り出す。続いて、図8及び図9を参照して、クロスリンクアジャスタ112をコネクタ部材12のバー受入部36に接続する。具体的には、上述したように、クロスリンクアジャスタ112のパイプ部材125の下面を、コネクタ部材12のバー受入部36の上面に当接させると共に、パイプ部材125の各貫通孔129に各スタンディングシャフト126を挿通して、その下端の雄ねじ部132をバー受入部36の上面に設けた雌ねじ部61にそれぞれ螺合する。そして、スタンディングシャフト126の大径シャフト部131と、コネクタ部材12のバー受入部36との間にパイプ部材125が挟まった状態で、クロスリンクアジャスタ112により、コネクタ部材12のバー受入部36を支持する。
【0049】
次に、図10を参照して、術者がクロスリンクアジャスタ112を把持して、コネクタ部材12のスクリュー係合部35の円筒状部39をガイドシャフト111に挿入して、ガイドシャフト111に沿って移動させ、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20を覆うように係合する。すると、スクリュー係合部35の円筒状部39内(大径開口部43内)の一対の平面部47、47及び一対の円弧部48、48(図4参照)が、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20の一対の平面部24、24及び一対の円弧部25、25(図3参照)にそれぞれ当接することで、コネクタ部材12が、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に対して位置決めされる。このとき、コネクタ部材12のバー受入部36がロッド部材11の上方に位置する。また、第1セットスクリュー14の小径雄ねじ部89が、コネクタ部材12のスクリュー係合部35から上方に突出された状態となる。
【0050】
次に、図11を参照して、術者により、図示しないナットホルダーにてナット部材15を把持する。当該ナット部材15をガイドシャフト111に挿入して、ガイドシャフト111に沿って、第1セットスクリュー14の小径雄ねじ部89に案内する。続いて、ナットホルダーを回転させることにより、ナット部材15を第1セットスクリュー14の小径雄ねじ部89に螺合する。そして、ナット部材15の締結(仮締め)により、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20にコネクタ部材12が連結される。この操作を繰り返すことで、全ての椎弓根スクリュー10のロッド受入部20にコネクタ部材12がそれぞれ仮固定される。なお、本実施形態では、図1に示す通り、全ての椎弓根スクリュー10のロッド受入部20にコネクタ部材12がそれぞれ固定されているが、例えば、脊柱の頭尾方向に沿って複数設けられる左右一対の椎弓根スクリュー10、10のうち、適宜選択された左右一対の椎弓根スクリュー10、10だけにコネクタ部材12をそれぞれ連結する術式もある。
【0051】
次に、術者により、クロスバーホルダー113にてクロスバー13の軸方向一端を把持する。具体的には、上述したように、図12(a)を参照して、クロスバーホルダー113によりクロスバー13の軸方向一端を把持する際には、スライドパイプ部135をグリップ136側にスライドさせて、シャフト本体部134の開口端部139を露出、拡径させる。続いて、図12(b)を参照して、クロスバー13の一端にシャフト本体部134の開口端部139を覆い被せた後、スライドパイプ部135を、グリップ136側とは反対方向に開口端部139を覆う位置までスライドさせる。その結果、シャフト本体部134の開口端部139が縮径することで、クロスバー13の一端がシャフト本体部134の開口端部139に支持される。
【0052】
次に、図13を参照して、クロスバー13の軸方向一端をクロスバーホルダー113により把持した状態で、クロスバー13を患者の側方に設けた極小切開孔から体内に挿入していく。続いて、クロスバー13を、左右一対の椎弓根スクリュー10、10に連結されている各コネクタ部材12、12のバー受入部36、36(バー受入溝部57、57)内に挿入していく。その際、各コネクタ部材12のバー受入部36の上面に、クロスリンクアジャスタ112のパイプ部材125がそれぞれ配置されているために、バー受入部36のバー受入溝部57の上方は開放されていない状態となっている。このような状況下においては、クロスバー13を各コネクタ部材12のバー受入部36(バー受入溝部57)に側方から挿入することになる。
【0053】
そして、このとき、術者により、クロスリンクアジャスタ112を左右方向に沿って揺動させることで、各コネクタ部材12のバー受入部36を、スクリュー係合部35に対して支持ロッド部40の軸心を中心に左右方向に沿って片側15°(全30°)の範囲で揺動させることができる(図13の白抜き矢印参照)。その結果、クロスバー13を、容易に各コネクタ部材12のバー受入部36(バー受入溝部57)に案内することができる。この操作を繰り返すことで、頭側の左右一対のコネクタ部材12、12のバー受入部36(バー受入溝部57)内にクロスバー13を案内すると共に、尾側の左右一対のコネクタ部材12、12のバー受入部36(バー受入溝部57)内にクロスバー13を案内する。その後、クロスバー13の軸方向一端をクロスバーホルダー113にて把持した状態のままとする。
【0054】
次に、図14を参照して、術者により、第2セットスクリュー用ドライバー114の嵌合部146を、第2セットスクリュー16の貫通孔95に嵌合して支持する。続いて、第2セットスクリュー用ドライバー114を第2セットスクリュー16と共に、クロスリンクアジャスタ112のパイプ部材125(主開口部128)内に挿入して、第2セットスクリュー用ドライバー114を回転させることで、第2セットスクリュー16をコネクタ部材12のバー受入部36の雌ねじ部60(図3及び図4(b)参照)に螺合して、クロスバー13を、コネクタ部材12のバー受入部36(バー受入溝部57)に押圧、固定する。
【0055】
次に、図15を参照して、第2セットスクリュー用ドライバー114をクロスリンクアジャスタ112のパイプ部材125(主開口部128)内から抜いて、体外に持ち出す。さらに、クロスバーホルダー113のスライドパイプ部135をグリップ136側にスライドさせることで、クロスバーホルダー113をクロスバー13から取り外して、体外まで持ち出す。続いて、図16を参照して、図示しないトルクレンチ等にて、全てのナット部材15に対して本締めする。続いて、図17を参照して、クロスリンクアジャスタ112の各スタンディングシャフト126の雄ねじ部132を、コネクタ部材12のバー受入部36の各雌ねじ部61からそれぞれ離脱させて、コネクタ部材12からクロスリンクアジャスタ112を取り外して、体外まで持ち出す。続いて、図18を参照して、ガイドシャフト111の雄ねじ部123を、第1セットスクリュー14の雌ねじ部93(図4(b)参照)から離脱させて、体外まで持ち出す。この操作が完了すると、図1に示すように、種々の手術器具5による、種々の体内埋没材4の脊柱への装着操作が完了して、脊柱を安定化させることが可能になる。
【0056】
そして、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1では、基本的には、患者の体表面には、各椎弓根スクリュー10を挿入するための小切開孔が椎弓根スクリュー10に対応して設けられる。本実施形態では、4本の椎弓根スクリュー10に対応して4個の小切開孔が形成される。1本の椎弓根スクリュー10に対応する小切開孔を使用して、ロッド部材11及びコネクタ部材12が体内に挿入される。また、当該小切開孔を使用して、エクステンダ110、ガイドシャフト111、クロスリンクアジャスタ112、第1セットスクリュー用ドライバー及び第2セットスクリュー用ドライバー114等が操作される。言い換えれば、術中、エクステンダ110、ガイドシャフト111及びクロスリンクアジャスタ112が当該小切開孔を介して体外に突出された状態となる。
【0057】
なお、そのほか、クロスバー13を体内に挿入するための極小切開孔を患者の側方の体表面に設けている。本実施形態では、この極小切開孔は、頭尾方向に沿って2箇所必要となる。この極小切開孔を使用して、クロスバーホルダー113によりクロスバー13を体内に挿入しつつ、左右一対のコネクタ部材12、12を架け渡すように連結する。その結果、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1を採用することで、患者の背中を大きく切開することなく、患者の体表面に、少なくとも、椎弓根スクリュー10に対応した小切開孔(本実施形態では4箇所)と、クロスバー13に対応する極小切開孔(2箇所)とを設ければよく、経皮的な術式による効果をさらに高めることができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1では、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結されるコネクタ部材12と、左右一対の椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結された左右一対のコネクタ部材12、12に連結されるクロスバー13と、を備えている。これにより、コネクタ部材12を、椎弓根スクリュー10を体内に挿入した小切開孔を介して体内に挿入することができ、小切開孔のトータル的な大きさを最小限にすることができる。その結果、手術に伴う出血量の減少や手術時間の短縮など、経皮的な術式として最大限の効果を奏することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1では、コネクタ部材12が、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結されているので、コネクタ部材12の構成を簡素化することができ、コネクタ部材12のバー受入部36を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に限りなく近接させることができる。これにより、ガイドシャフト111とリンクアジャスタ112との間を限りなく近接させることができ、特許文献1に記載された発明よりも、患者の体表面に設ける切開孔を大幅に小さくすることができ、経皮的な術式として最大限の効果を奏することができる。
【0060】
さらに、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1では、コネクタ部材12のバー受入部36は、スクリュー係合部35に対して所定範囲で左右方向に沿って揺動自在に一体的に連結されている。その結果、左右一対のコネクタ部材12、12のバー受入部36内にクロスバー13を収容する際に、容易にクロスバー13を各コネクタ部材12のバー受入部36内に案内することができる。これにより、手術手技を簡素化することができ、手術時間をさらに短縮することができ、ひいては、患者への負担をさらに軽減することができる。
【0061】
さらにまた、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1では、体内埋没材4としての第1セットスクリュー14は、ロッド部材11を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結するための大径雄ねじ部88と、コネクタ部材12のスクリュー係合部35を椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に連結するための小径雄ねじ部89と、を有する。そして、第1セットスクリュー14の大径雄ねじ部88及び小径雄ねじ部89により、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に、ロッド部材11及びコネクタ部材12を両方連結することができる。その結果、構造が複雑化することがなく、体内埋没材4の構成部材の数量を最小限に抑えることができる。これにより、手術手技をさらに簡素化することができ、手術時間をさらに短縮することができ、ひいては、患者への負担をさらに軽減することができる。
【0062】
さらにまた、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1では、ロッド部材11が各椎弓根スクリュー10に連結され、該椎弓根スクリュー10にコネクタ部材12のスクリュー係合部35が連結された状態で、コネクタ部材12のバー受入部36がロッド部材11の上方に位置する。
これにより、左右一対のコネクタ部材12、12のバー受入溝部57、57が左右方向(ロッド部材11の軸方向と直交する方向)に向くので、クロスバー13を、左右一対のコネクタ部材12、12のバー受入部36、36(バー受入溝部57、57)に容易に案内することができる。これにより、手術手技をさらに簡素化することができ、手術時間をさらに短縮することができる。
【0063】
さらにまた、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1では、手術器具5として、コネクタ部材12を体外から経皮的に支持可能なクロスリンクアジャスタ112を含み、該クロスリンクアジャスタ112は、その先端にコネクタ部材12のバー受入部36が着脱自在に装着される。これにより、術者が体外に突出されるクロスリンクアジャスタ112を操作することで、容易に、コネクタ部材12のバー受入部36をスクリュー係合部35に対して揺動させることができる。その結果、クロスバー13を、左右一対のコネクタ部材12、12のバー受入部36、36それぞれに容易に案内することができる。
【0064】
さらにまた、本実施形態に係る経皮的脊柱安定化システム1では、手術器具5として、第1セットスクリュー14を体外から経皮的に支持可能なガイドシャフト111を含み、コネクタ部材12は、ガイドシャフト111に沿って椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に案内される。これにより、コネクタ部材12を容易に、また精度良く、椎弓根スクリュー10のロッド受入部20に案内することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 経皮的脊柱安定化システム,4 体内埋没材,5 手術器具,10 椎弓根スクリュー(椎骨固定具),11 ロッド部材,12 コネクタ部材,13 クロスバー,14 第1セットスクリュー(ねじ部材),20 ロッド受入部(頭部),35 スクリュー係合部(固定具係合部),36 バー受入部,88 大径雄ねじ部(第1ねじ部),89 小径雄ねじ部(第2ねじ部),111 ガイドシャフト,112 クロスリンクアジャスタ
図1
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