(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161279
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】内燃機関の吸気装置
(51)【国際特許分類】
F02M 35/024 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
F02M35/024 521D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065958
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森田 明司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英太
(57)【要約】
【課題】エアフローメータによって検出される吸気量と実際に内燃機関に吸入される吸気量との差を低減できる吸気装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の吸気装置は、内燃機関に吸気を供給し、吸気の流量を検出するエアフローメータが配置される吸気通路13を備える。吸気通路13におけるエアフローメータよりも吸気の流れ方向の下流側の位置には、吸気の流れを調整する吸気調整部29が配置されている。吸気調整部29は、吸気が通過する調整通路38を有している。調整通路38における吸気の流れ方向の下流端の断面積は、調整通路38における吸気の流れ方向の上流端の断面積よりも小さくなっている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に吸気を供給し、前記吸気の流量を検出するエアフローメータが配置される吸気通路を備えた内燃機関の吸気装置であって、
前記吸気通路における前記エアフローメータよりも前記吸気の流れ方向の下流側の位置には、前記吸気の流れを調整する吸気調整部が配置され、
前記吸気調整部は、前記吸気が通過する調整通路を有しており、
前記調整通路における前記吸気の流れ方向の下流端の断面積は、前記調整通路における前記吸気の流れ方向の上流端の断面積よりも小さくなっていることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項2】
前記吸気調整部は、前記吸気通路を前記吸気の流れ方向の下流側から上流側に向かって流れる逆流の前記吸気を受けて当該逆流の前記吸気を前記吸気の流れ方向の上流側から下流側に向かって流れる順流の前記吸気に変換する変換部を有していることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項3】
前記調整通路は、前記吸気通路の延びる方向に対して交差する方向に延びていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の吸気装置。
【請求項4】
前記吸気調整部は、前記吸気通路における前記吸気の流れ方向の下流側に開口する凹部を有しており、
前記凹部は、前記調整通路と隣り合って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気の流量を検出するエアフローメータが配置される吸気通路を備えた内燃機関の吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車などの内燃機関に空気(吸気)を供給する吸気通路には、内燃機関への燃料噴射量を決定するために、内燃機関へ供給される空気の流量を測定するエアフローメータが配置されている。しかし、内燃機関が吸入する空気量は一定ではないため、吸気通路を流れる空気の流速が変動して吸気通路に空気の逆流が発生する。
【0003】
吸気通路に空気の逆流が発生すると、逆流した空気もエアフローメータに検出されるため、エアフローメータで検出される空気量と実際に内燃機関に吸入される空気量との間に差が生じてしまう。このため、従来は、例えば特許文献1に示すような空気流量測定装置が提案されている。こうした空気流量測定装置は、内燃機関に供給される空気が流れる主空気通路を有したボディと、主空気通路に形成されて主空気通路を流れる空気の一部が流れる副空気通路と、副空気通路に配置されて副空気通路を流れる空気の流量を検出する検出部とを備える。
【0004】
副空気通路は、主空気通路の空気の流れに対してほぼ垂直に開口する入口開口面を有した第一通路と、主空気通路の空気の流れに対してほぼ平行に開口する出口開口面を有した第二通路とを連通させてL字形に構成されている。そして、第一通路に検出部を配置することで、主空気通路で空気の逆流が発生した際に当該逆流した空気が検出部によって検出され難くなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のような空気流量測定装置では、単に検出部をL字形の副空気通路における第一通路に配置しているだけの構造になっている。このため、状況によっては、主空気通路で発生した逆流の空気が第二通路の出口開口面から副空気通路に少なからず進入するおそれがある。
【0007】
したがって、主空気通路で発生した逆流の空気が検出部によって検出され難くする上では、十分とは言えない。すなわち、主空気通路で空気の逆流が発生した際に当該逆流した空気が検出部によって検出され難くして検出部で検出される空気量と実際に内燃機関が吸入する空気量との差を低減する上では改善の余地を残すものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する内燃機関の吸気装置は、内燃機関に吸気を供給し、前記吸気の流量を検出するエアフローメータが配置される吸気通路を備えた内燃機関の吸気装置であって、前記吸気通路における前記エアフローメータよりも前記吸気の流れ方向の下流側の位置には、前記吸気の流れを調整する吸気調整部が配置され、前記吸気調整部は、前記吸気が通過する調整通路を有しており、前記調整通路における前記吸気の流れ方向の下流端の断面積は、前記調整通路における前記吸気の流れ方向の上流端の断面積よりも小さくなっていることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、調整通路に対する吸気の下流側からの流れ込み易さの度合いは、調整通路に対する吸気の上流側からの流れ込み易さの度合いよりも小さくなる。このため、吸気通路で内燃機関側からエアフローメータ側に向かって吸気が逆流した場合に、当該逆流した吸気がエアフローメータに検出されることを吸気調整部によって抑制できる。したがって、エアフローメータによって検出される吸気量と実際に内燃機関に吸入される吸気量との差を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態において、内燃機関に吸気を供給する吸気装置の断面模式図。
【
図2】同吸気装置の吸気調整部を上流側から見たときの状態を示す斜視図。
【
図3】同吸気装置の吸気調整部を下流側から見たときの状態を示す斜視図。
【
図6】下流側から見たときの吸気調整部の一部を示す拡大斜視図。
【
図7】第2実施形態における吸気装置の吸気調整部を上流側から見たときの状態を示す斜視図。
【
図9】同吸気装置の吸気調整部を下流側から見たときの状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、内燃機関の吸気装置の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両の内燃機関11の吸気装置12は、例えば多気筒の内燃機関11に吸気を供給する吸気通路13を備えている。吸気通路13は、吸気の流れ方向の上流側から下流側に向かって順に配置されたエアクリーナ14、エアクリーナホース15、スロットルボディ16、及びインテークマニホールド17によって形成されている。なお、以下の説明においては、吸気通路13における吸気の流れ方向の上流側及び下流側を単に上流側及び下流側と言う。
【0012】
エアクリーナ14は、上部に開口18を有する有底箱状のケース19と、下部に開口20を有する有蓋箱状のキャップ21と、これらの開口18,20同士の間に設けられたフィルタエレメント22とを備えている。ケース19の側壁23には、ケース19の内外を連通するとともにケース19の内部に吸気を導入する円筒状のインレットダクト24が外側に向けて突設されている。
【0013】
キャップ21の側壁25には、キャップ21の内外を連通するとともに内燃機関11側に向けて吸気を導出する円筒状のアウトレットダクト26が外側に向けて突設されている。フィルタエレメント22は、ケース19内からキャップ21内に流れる吸気を濾過することによって、当該吸気に含まれる塵埃などの異物を除去する。
【0014】
アウトレットダクト26の途中位置には、取付孔(図示略)が貫通して形成されている。この取付孔(図示略)には、アウトレットダクト26内を上流側から下流側に向かって流れる吸気の流量を検出するエアフローメータ27がアウトレットダクト26の外側から挿通されて取り付けられている。すなわち、吸気通路13には、吸気の流量を検出するエアフローメータ27が配置されている。エアフローメータ27は、車両の制御部28と電気的に接続されている。
【0015】
エアフローメータ27は、例えば、熱式の流量センサによって構成される。この熱式の流量センサは、加熱されている発熱抵抗体から吸気の流れによって持ち去られる熱量を検出し、持ち去られる熱量が大きいときほど吸気の流量が大きいとして高い電圧を出力する。アウトレットダクト26内の下流側の端部には、吸気通路13の吸気の流れを調整する吸気調整部29が取り付けられている。
【0016】
すなわち、吸気通路13におけるエアフローメータ27よりも下流側の位置には、吸気通路13の吸気の流れを調整する吸気調整部29が配置されている。吸気調整部29は、全体として略円板状をなしており、大きさがアウトレットダクト26内における吸気通路13の断面とほぼ同じになっている。すなわち、吸気調整部29の外径は、アウトレットダクト26の内径とほぼ同じになっている。
【0017】
エアクリーナホース15は、フレキシブルな蛇腹管によって構成されている。エアクリーナホース15は、アウトレットダクト26の下流端部とスロットルボディ16の上流端部とを連結している。スロットルボディ16は、内部に内燃機関11に供給される吸気量を調整するスロットルバルブ30を有している。
【0018】
インテークマニホールド17は、上流端部がスロットルボディ16の下流端部に連結されるとともに下流端部が複数に分岐して内燃機関11の複数の吸気ポート31にそれぞれ連結されている。インテークマニホールド17は、サージタンク32を有しており、上流側から流れてくる吸気を内燃機関11の複数の吸気ポート31にそれぞれ均等に分配して供給する。
【0019】
各吸気ポート31には、燃料を噴射するインジェクター33が設けられている。各インジェクター33は、車両の制御部28と電気的に接続され、制御部28によって制御される。制御部28は、エアフローメータ27によって検出される吸気の流量に応じた量の燃料を各インジェクター33に噴射させる。
【0020】
次に、吸気調整部29の構成について詳述する。
図2及び
図3に示すように、吸気調整部29は、円環板状の第1フレーム34と、第1フレーム34の内側に配置された複数の円環板状のフィン部35と、中心部36から径方向に延びて第1フレーム34に連結された複数の帯状の第2フレーム37とを備えている。複数(本例では8つ)の第2フレーム37は、周方向に等間隔で配置され、中心部36で互いに連結されている。
【0021】
複数(本例では10個)のフィン部35は、第1フレーム34と中心部36との間に径方向に等間隔で配置されている。すなわち、複数のフィン部35は、径方向の外側に向かうほど外径が徐々に大きくなっている。各フィン部35は、周方向において全ての第2フレーム37を貫通している。径方向における各フィン部35同士の間には、吸気が通過する円環状に延びる複数の調整通路38が形成されている。すなわち、吸気調整部29は、吸気が通過する複数の調整通路38を有している。
【0022】
図4~
図6に示すように、吸気調整部29における各フィン部35は、吸気調整部29の中心軸線Jに対して下流側の方が上流側よりも近くなるように傾斜している。各フィン部35における上流端部には、当該上流端部を径方向の外側に断面視でU字状に屈曲してなる屈曲部39が形成されている。吸気調整部29において、調整通路38は、フィン部35の屈曲部39と、当該フィン部35の屈曲部39と径方向の外側で隣り合う別のフィン部35の上流端部との間に形成されている。
【0023】
各調整通路38における吸気の流れ方向の下流端の断面積は、各調整通路38における吸気の流れ方向の上流端の断面積よりも小さくなっている。すなわち、各調整通路38は、上流端から下流端に向かって徐々に断面積が小さくなっている。各調整通路38は、吸気通路13の延びる方向となる吸気調整部29の中心軸線Jの延びる方向に対して交差する方向に延びている。
【0024】
各調整通路38は、吸気調整部29の中心軸線Jの延びる方向よりも径方向の外側に向かって延びている。各フィン部35における屈曲部39の内側の断面視U字状の面は、吸気通路13を下流側から上流側に向かって流れる逆流の吸気を受けて当該逆流の吸気を上流側から下流側に向かって流れる順流の吸気に変換する変換部40とされている。
【0025】
次に、内燃機関11の運転時の吸気調整部29の作用について説明する。
図1に示すように、内燃機関11が運転されると、吸気管負圧の発生により、吸気が吸気通路13を上流側(エアクリーナ14側)から下流側(内燃機関11側)に向かって流れる。このとき、吸気通路13を上流側から下流側に向かって流れる吸気は、エアフローメータ27によって検出された後、内燃機関11に供給される。
【0026】
しかし、内燃機関11では、吸気バルブ41の開閉により燃焼室42内に吸気が間欠的に吸入されるため、吸気通路13を流れる吸気が脈動する。すなわち、吸気通路13には、上流側から下流側に向かって流れる吸気の順流及び下流側から上流側に向かって流れる吸気の逆流が交互に発生する。このため、エアフローメータ27は、吸気の順流だけでなく吸気の逆流も検出してしまう。したがって、エアフローメータ27で検出される吸気量と実際に内燃機関11の燃焼室42内に吸入される吸気量との間で差が生じることとなる。
【0027】
この点、本実施形態の吸気装置12では、吸気通路13におけるエアフローメータ27よりも下流側の位置に、吸気通路13の吸気の流れを調整する吸気調整部29が配置されている。この場合、
図4及び
図5に示すように、吸気調整部29の各調整通路38は、上流端から下流端に向かって徐々に断面積が小さくなっている上に、吸気通路13の延びる方向に対して交差する方向に延びている。
【0028】
すなわち、吸気調整部29の各調整通路38は、吸気通路13を流れる吸気の順流が進入し易いが、吸気通路13を流れる吸気の逆流が極めて進入し難い構造になっている。このため、各調整通路38に対する吸気の下流側からの逆流の流れ込み易さの度合いは、各調整通路38に対する吸気の上流側からの順流の流れ込み易さの度合いよりも小さくなる。
【0029】
したがって、吸気通路13で内燃機関11側からエアフローメータ27側に向かって吸気が逆流した場合に、当該逆流した吸気がエアフローメータ27へ流れてエアフローメータ27に検出されることが吸気調整部29によって抑制される。よって、エアフローメータ27によって検出される吸気量と実際に内燃機関11に吸入される吸気量との差が低減される。
【0030】
また、
図5に示すように、吸気調整部29の各フィン部35には、断面視U字状の変換部40が調整通路38と隣り合うように形成されている。このため、吸気調整部29の各変換部40に逆流の吸気が当たると、当該変換部40に当たった逆流の吸気が
図5の二点鎖線の矢印で示すように変換部40に沿ってUターンして順流の吸気に変換される。したがって、吸気通路13における逆流の吸気が吸気調整部29の各調整通路38に対してより一層進入し難くなる。
【0031】
さらに、吸気通路13の吸気が逆流から順流に切り替わるときには、各調整通路38を通過した順流の吸気の流れ(
図5の実線の矢印で示す)が上述の変換部40に当たってUターンした逆流の吸気の流れ(
図5の二点鎖線の矢印で示す)によって妨げられる。このため、順流の吸気の流れが抑制されるので、吸気通路13を流れる順流の吸気全体の流れの振れ幅(変動幅)が小さくなる。この結果、エアフローメータ27による順流の吸気の流量の検出精度が向上する。
【0032】
以上詳述した第1実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1-1)吸気装置12は、内燃機関11に吸気を供給し、吸気の流量を検出するエアフローメータ27が配置される吸気通路13を備えている。吸気通路13におけるエアフローメータ27よりも吸気の流れ方向の下流側の位置には、吸気の流れを調整する吸気調整部29が配置されている。吸気調整部29は、吸気が通過する調整通路38を有している。調整通路38における吸気の流れ方向の下流端の断面積は、調整通路38における吸気の流れ方向の上流端の断面積よりも小さくなっている。
【0033】
この構成によれば、調整通路38に対する吸気の下流側からの流れ込み易さの度合いを、調整通路38に対する吸気の上流側からの流れ込み易さの度合いよりも小さくできる。このため、吸気通路13で内燃機関11側からエアフローメータ27側に向かって吸気が逆流した場合に、当該逆流した吸気がエアフローメータ27に検出されることを吸気調整部29によって抑制できる。したがって、エアフローメータ27によって検出される吸気量と実際に内燃機関11に吸入される吸気量との差を低減できる。
【0034】
(1-2)吸気装置12において、吸気調整部29は、吸気通路13を下流側から上流側に向かって流れる逆流の吸気を受けて当該逆流の吸気を上流側から下流側に向かって流れる順流の吸気に変換する変換部40を有している。
【0035】
この構成によれば、吸気通路13を流れる逆流の吸気の一部を変換部40で順流の吸気に変換できるので、逆流の吸気が調整通路38に進入することを抑制できる。
(1-3)吸気装置12において、調整通路38は、吸気通路13の延びる方向に対して交差する方向に延びている。
【0036】
この構成によれば、吸気通路13を逆流する吸気が調整通路38に進入することをより一層抑制できる。
(第2実施形態)
次に、内燃機関の吸気装置の第2実施形態を図面に従って説明する。
【0037】
図1、
図7及び
図9に示すように、この第2実施形態の吸気装置50は、上記第1実施形態の吸気装置12において吸気調整部29を吸気調整部51に変更したものである。そして、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なる点のみを説明し、第1実施形態と重複する説明を省略する。
【0038】
図7及び
図8に示すように、吸気調整部51は、上記第1実施形態の吸気調整部29と同じ大きさの円板状をなしており、周縁部に円環板状の第1フレーム52を備えている。吸気調整部51における第1フレーム52の内側の領域には、当該領域の全体にわたって上流側から見て正六角形状をなす複数の調整通路53が貫通して形成されている。吸気調整部51を上流側から見た場合、複数の調整通路53は、千鳥状すなわちジグザグに規則的に並んで隙間無く配置されている。
【0039】
図11及び
図12に示すように、各調整通路53における吸気の流れ方向の下流端の断面積は、各調整通路53における吸気の流れ方向の上流端の断面積よりも小さくなっている。すなわち、各調整通路53は、上流端から下流端に向かって徐々に断面積が小さくなっている。各調整通路53は、吸気通路13の延びる方向となる吸気調整部51の中心軸線Kの延びる方向に延びている。
【0040】
図9及び
図10に示すように、吸気調整部51における下流側には、中心部54から径方向に延びて第1フレーム52に連結された複数の帯状の第2フレーム55が設けられている。複数(本例では8つ)の第2フレーム55は、周方向に等間隔で配置され、中心部54で互いに連結されている。
【0041】
吸気調整部51における下流側に開口する各調整通路53の周囲には、各調整通路53を囲むように複数(本例では6つ)の凹部56が設けられている。各凹部56は、調整通路53と隣り合って配置され、吸気調整部51の下流側から見た場合に略三角形状をなしている。各凹部56は、吸気通路13における吸気の流れ方向の下流側に開口している。
【0042】
次に、内燃機関11の運転時の吸気調整部51の作用について説明する。
図1に示すように、内燃機関11が運転されると、吸気管負圧の発生により、吸気が吸気通路13を上流側(エアクリーナ14側)から下流側(内燃機関11側)に向かって流れる。このとき、吸気通路13を上流側から下流側に向かって流れる吸気は、エアフローメータ27によって検出された後、内燃機関11に供給される。
【0043】
しかし、内燃機関11では、吸気バルブ41の開閉により燃焼室42内に吸気が間欠的に吸入されるため、吸気通路13を流れる吸気が脈動する。すなわち、吸気通路13には、上流側から下流側に向かって流れる吸気の順流及び下流側から上流側に向かって流れる吸気の逆流が交互に発生する。このため、エアフローメータ27は、吸気の順流だけでなく吸気の逆流も検出してしまう。したがって、エアフローメータ27で検出される吸気量と実際に内燃機関11の燃焼室42内に吸入される吸気量との間で差が生じることとなる。
【0044】
この点、本実施形態の吸気装置50では、吸気通路13におけるエアフローメータ27よりも下流側の位置に、吸気通路13の吸気の流れを調整する吸気調整部51が配置されている。この場合、
図11及び
図12に示すように、吸気調整部51の各調整通路53は、上流端から下流端に向かって徐々に断面積が小さくなっている。
【0045】
すなわち、吸気調整部51の各調整通路53は、吸気通路13を流れる吸気の順流が進入し易いが、吸気通路13を流れる吸気の逆流が進入し難い構造になっている。このため、各調整通路53に対する吸気の下流側からの逆流の流れ込み易さの度合いは、各調整通路53に対する吸気の上流側からの順流の流れ込み易さの度合いよりも小さくなる。
【0046】
したがって、吸気通路13で内燃機関11側からエアフローメータ27側に向かって吸気が逆流した場合に、当該逆流した吸気がエアフローメータ27へ流れてエアフローメータ27に検出されることが吸気調整部51によって抑制される。よって、エアフローメータ27によって検出される吸気量と実際に内燃機関11に吸入される吸気量との差が低減される。
【0047】
また、
図12に示すように、吸気調整部51における下流側には、吸気通路13における吸気の流れ方向の下流側に開口する各凹部56が調整通路53と隣り合うように形成されている。このため、吸気調整部51の各凹部56に吸気通路13を流れる逆流の吸気の一部が凹部56に流れ込むと、各凹部56の開口付近において
図12の二点鎖線の矢印で示す逆流の吸気による渦が発生する。
【0048】
すると、この各凹部56の開口付近で発生した一部の逆流の吸気の渦により、吸気通路13を流れる逆流の吸気が各調整通路53に進入することが妨げられる。このため、吸気通路13を流れる逆流の吸気が各調整通路53に進入することがより一層抑制される。なお、順流の吸気は、
図12の実線の矢印で示すように、各調整通路53を下流側に向かって円滑に流れる。
【0049】
以上詳述した第2実施形態によれば、上記(1-1)に記載の効果に加えて、次のような効果が発揮される。
(2-1)吸気装置12において、吸気調整部51は、吸気通路13における吸気の流れ方向の下流側に開口する凹部56を有しており、凹部56は、調整通路53と隣り合って配置されている。
【0050】
この構成によれば、吸気通路13を流れる逆流の吸気の一部が凹部56に流れ込むと、凹部56で逆流の吸気による渦が発生する。この渦により吸気通路13を流れる逆流の吸気が各調整通路53に進入することが妨げられるので、吸気通路13を流れる逆流の吸気が各調整通路53に進入することを抑制できる。
【0051】
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0052】
・第1実施形態において、吸気調整部29の各調整通路38は、吸気通路13の延びる方向に延びていてもよい。
・第1実施形態において、吸気調整部29の各フィン部35における屈曲部39及び変換部40は、省略してもよい。
【0053】
・第2実施形態において、吸気調整部51の凹部56は、省略してもよい。
・第2実施形態において、吸気調整部51の凹部56の数は、適宜変更してもよい。
・第2実施形態において、吸気調整部51における下流側から見たときの各凹部56の形状は、三角形状に限らず、三角形状以外の多角形状、円形状、楕円形状などであってもよい。
【0054】
・第2実施形態において、吸気調整部51の調整通路53の数は、適宜変更してもよい。
・第2実施形態において、吸気調整部51における上流側から見たときの各調整通路53の形状は、正六角形状に限らず、正六角形状以外の多角形状、円形状、楕円形状などであってもよい。
【0055】
・第1及び第2実施形態において、吸気調整部29,51は、アウトレットダクト26に一体形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
11…内燃機関
12,50…吸気装置
13…吸気通路
14…エアクリーナ
15…エアクリーナホース
16…スロットルボディ
17…インテークマニホールド
18,20…開口
19…ケース
21…キャップ
22…フィルタエレメント
23,25…側壁
24…インレットダクト
26…アウトレットダクト
27…エアフローメータ
28…制御部
29,51…吸気調整部
30…スロットルバルブ
31…吸気ポート
32…サージタンク
33…インジェクター
34,52…第1フレーム
35…フィン部
36,54…中心部
37,55…第2フレーム
38,53…調整通路
39…屈曲部
40…変換部
41…吸気バルブ
42…燃焼室
56…凹部
J,K…中心軸線