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特開2022-161285投げ釣り方法とそれに用いる天秤付き水中浮子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161285
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】投げ釣り方法とそれに用いる天秤付き水中浮子
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/053 20060101AFI20221014BHJP
   A01K 91/06 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A01K91/053
A01K91/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021065972
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】521149080
【氏名又は名称】市坪 裕樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110434
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】市坪 裕樹
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307EB12
2B307EB15
2B307EB17
2B307GA01
2B307GA03
(57)【要約】
【目的】 投げ釣りにより複数の棚に仕掛けを配置させる場合に好適な投げ釣り方法とそれに用いる天秤付き水中浮子を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の投げ釣り方法は、水底からの位置で決められた複数の棚に対してそれぞれ仕掛けを配する、釣り竿とリールを用いた投げ釣り方法であって、前記リールから延長された道糸の延長部には所定の錘が取り付けられ、該道糸の延長部の水中範囲内で前記複数の仕掛けは、前記道糸の延長部に遊動して保持される水中浮子と、該水中浮子の浮子止め部と、該水中浮子に接続されるハリス部をそれぞれ有することを特徴とする
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底からの位置で決められた複数の棚に対してそれぞれ仕掛けを配する、釣り竿とリールを用いた投げ釣り方法であって、
前記リールから延長された道糸の延長部には所定の錘が取り付けられ、該道糸の延長部の水中範囲内で前記複数の仕掛けは、前記道糸の延長部に遊動して保持される水中浮子と、該水中浮子の浮子止め部と、該水中浮子に接続されるハリス部をそれぞれ有することを特徴とする投げ釣り方法。
【請求項2】
請求項 1 記載の投げ釣り方法であって、前記複数の仕掛けの間で、複数の水中浮子は異なる径の道糸案内部を有し、前記浮子止め部は異なるサイズのシモリ玉を有していることを特徴とする投げ釣り方法。
【請求項3】
水底からの位置で決められた棚に対して仕掛けを配する、釣り竿とリールを用いた投げ釣り方法に用いられる天秤付き水中浮子であって、前記水中浮子には、前記リールから延長された道糸が挿通可能とされると共に着脱自在な天秤が配され、該天秤の先端側にハリス部が配されることを特徴とする天秤付き水中浮子。
【請求項4】
請求項3記載の天秤付き水中浮子であって、前記天秤の基端側には、当該水中浮子本体及び当該本体内に設けられた道糸案内部を挿通する開口部が設けられ、前記仕掛け全体を投げる際には前記開口部が前記水中浮子本体に係合し、前記道糸の巻き上げの際には、前記開口部が前記水中浮子本体から外れることを特徴とする天秤付き水中浮子。
【請求項5】
請求項3記載の天秤付き水中浮子であって、前記天秤付き水中浮子の浮力は前記道糸の先端部に取り付けられる錘を浮遊させずに水底まで沈降させる様に設定されることを特徴とする天秤付き水中浮子。
【請求項6】
請求項3記載の天秤付き水中浮子であって、前記天秤付き水中浮子は前記道糸が挿通可能とされる係合部を有し、該係合部に対して着脱可能とされ、その着脱の選択によって当該水中浮子の浮力を調整する浮力調整部材が配されることを特徴とする天秤付き水中浮子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は釣り竿とリールを用いた投げ釣り方法とそれに用いる天秤付き水中浮子に関し、特に水中内の複数の魚が集まる棚に仕掛けを位置させる投げ釣り方法とそれに用いる天秤付き水中浮子に関する。
【背景技術】
【0002】
海や川、湖などの釣り方法として、釣り竿とリールを使用する投げ釣りは広く釣り人の間で利用されている。通常、リールから引き出された道糸の先端部には仕掛けと呼ばれる錘、浮子や釣針あるいは疑似餌、ハリス或いはリードのような様々な部材を組み合わせて、釣果を高めるような工夫をしている。
【0003】
一般に魚には、棚と呼ばれるそれぞれの魚の行動範囲があり、釣果を高めるためには、その棚に合わせた位置に釣り針や疑似餌などの魚が食いつく仕掛けを送り込む必要がある。また、棚は天候や時間、潮目などによっても変化することがあり、釣りを始めて魚が釣れない場合には、その棚を探るべく仕掛けの各部材の位置関係を調整したりもする。例えば、根魚(海底魚)ばかりでなく回遊魚も同時にターゲットとするような仕掛けも考案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-165061
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、それぞれの水中棚に向けて仕掛けをセットすることは、容易でない場合もある。例えば、簡素化された仕掛けとして、道糸の先にリーダーやハリスを取り付け、錘を使用しない釣り(いわゆるノーシーカー釣り)では、餌の重さなどで水中の位置を調整する必要があり、釣り人の感が頼りで棚を取ることが用意ではない。また、オモリと針だけのシンプルな仕掛けを投げ込み、魚が食い付くまで待つ釣り(所謂ぶっこみ釣り)では、遠方に投げた場合には、海底の錘の位置と竿の先端までが水中及び空中で直線的に斜めになり、糸の先端に錘を取り付けその錘から所定の位置に針などを配置しても、糸自体が斜めとなるために水面からの距離や海底からの距離はおおよその値にしかならない。また、投げ釣りでは、錘を道糸の延長部に取り付ける必要があるが、投げる前に竿の先端から糸をたらす距離は、せいぜい竿の長さかそれより短い長さであり、その糸のたらし、すなわち、竿の長さ程度の範囲内に投げる仕掛けを形成する必要がある。これは竿の長さ以上の距離で、棚を探る必要がある場合には対応できないという問題が生じる。
【0006】
更に、水中に複数の棚が存在する場合には、それぞれの位置に針や疑似餌などを配置することで、釣果を上げることができる。しかし、それぞれの位置合わせ手段を設けずに、単純に針を増やすだけでは、ハリスの絡まりなども増えてしまう。
【0007】
そこで上述の技術的な課題に鑑み、本発明は、投げ釣りにより複数の棚に仕掛けを配置させる場合に好適な投げ釣り方法とそれに用いる天秤付き水中浮子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明の投げ釣り方法は、水底からの位置で決められた複数の棚に対してそれぞれ仕掛けを配する、釣り竿とリールを用いた投げ釣り方法であって、 前記リールから延長された道糸の延長部には所定の錘が取り付けられ、該道糸の延長部の水中範囲内で前記複数の仕掛けは、前記道糸の延長部に遊動して保持される水中浮子と、該水中浮子の浮子止め部と、該水中浮子に接続されるハリス部をそれぞれ有することを特徴とする。
【0009】
本発明は、釣り竿とリールを用いた投げ釣り方法であり、リールに巻かれる糸部分は道糸と呼ばれ、本明細書においては、道糸は必要な場合には力糸などのテーパーラインを含んでいても良く、投げられる仕掛け部分は、延長された道糸の延長部に配置されるが、該延長部は道糸自体であっても良く、サルカン(スイベル)などの接続部材を介したリーダー(いわゆるショックリーダーを含む。)などであっても良い。
【0010】
本発明においては道糸の延長部には所定の錘が取り付けられ、該道糸の延長部の水中範囲内に前記複数の仕掛けが配される。延長部の水中範囲内とは、仕掛けを投げた後で先端部に取り付けられた錘が海底などの底に届いた状態で、水中に存在する範囲であり、その範囲で本発明の投げ釣りは、2つ或いはそれ以上の3~数個程度の仕掛けを有する。
【0011】
上記仕掛けは、前記道糸の延長部に遊動して保持される水中浮子を有しており、該水中浮子により、道糸とその延長部は水中内で錘から潮の影響を受けない場合は錘の真上に、通常は海中では潮の影響を受けて錘よりやや潮目で流された位置に配置させることができる。これは海底の錘を起点として、比較的正確な深さに仕掛けを配することができるものであり、水中浮子を使用しない一般的な投げ釣りでは、このような仕掛けの送り込みはできないものである。
【0012】
本発明の1つの実施形態では、水中浮子に接続されるハリス部は、水中浮子に設けられた天秤の先端部に結びつけられる。そのハリス部の先端に餌を伴う針や針を伴う疑似餌などが取り付けられる。水中浮子に設けられる天秤は、仕掛けを投げる際に糸が絡まないように維持するために配されている。特に本発明の1つの実施形態では、水中浮子に設けられた天秤を、魚が針に掛った際には水中浮子から外れるような構成をとることができる。このような天秤を水中浮子に着脱自在に取り付けることで、リールを巻いて魚を引き寄せる際の水の抵抗を減らすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の一例の投げ釣り方法を用いた、仕掛けを投げる前の状態を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態の一例の投げ釣り方法を用いた、仕掛けを投げた後の海中の状態を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態の一例の投げ釣り方法に用いることのできる水中浮子の一例を示す模式側面図である。
図4図3に示した水中浮子の天秤に力が加わった状態を示す模式図である。
図5図3に示した水中浮子の天秤が浮子本体から外れた状態を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態の水中浮子の他の例の要部を示す模式的な斜視図である。
図7】本発明の実施形態の水中浮子のさらに他の例の要部を示す模式的な斜視図である。
図8】本発明の実施形態の水中浮子のまた他の例の要部を示す模式的な斜視図である。
図9】本発明の実施形態の水中浮子のまた更に他の例の要部を示す模式的な斜視図である。
図10】本発明の実施形態の水中浮子の更に他の例の要部を示す模式的な斜視図である。
図11図10に示した水中浮子の天秤が浮子本体から外れた状態を示す模式図である。
図12】本発明の実施形態の投げ釣りに使用される複数の仕掛けの一例を示す模式斜視図である。
図13】本発明の実施形態の水中浮子のまた更に他の例を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、川、湖、池などの淡水と海などの塩水の両方に適用できる投げ釣りの方法に関し、特に以下の実施形態においては、堤防や磯など海岸沿岸部からの投げ釣りを主に説明するが、本発明の投げ釣りの対象は広い範囲の投げ釣りに適用される。投げ釣りについては、堤防などの岸辺から少しの距離だけ投げる(いわゆるチョイ釣り)釣り方と、比較的に重い錘で竿のしなりを利用して遠くになげる投げ釣りがあるが、本発明の投げ釣り方法は両方に適用可能とされる。
【0015】
一例として、堤防からの近距離の投げ釣りの例を説明する。図1は釣り人が長さ約5mの竿12を後ろにもっていき、仕掛けを投げる直前の状態を示す。竿12は投げ釣り用の竿を使用することができ、竿12の手元側には糸を巻き取ることができるリール14が取り付けられている。投げる際には、リール14のアームを倒して道糸が自由に繰り出せる状態で竿12のしなりと戻りを利用して仕掛け全体を目標の水面上の位置を狙って投げることができる。
【0016】
本実施形態では、仕掛けが海底からの距離で約7m、約3m、約1mの3つの距離に対応するように設定されており、これらは海底からの魚の棚として海底からの距離で約7m、約3m、約1mの3つの棚に対応していることを示す。ここに説明する仕掛けは一例に過ぎないが、海底から約7mの棚用の仕掛けとして、糸16若しくはリーダー18に結び付けられた浮子止め26と、その浮子止め26から海底側に遊動可能なように通穴にリーダー18を通しているシモリ玉28と、そのシモリ玉28の海底側に配された水中浮子30と、水中浮子30の底部に着脱自在な形で配された天秤32と、天秤32の先端部の穴に結ばれたハリス34と、そのハリス34の先端に取り付けられた針部及び餌36を有する。同様に、海底から約5mの棚用の仕掛けとして、海底から約3mの位置でリーダー18に結び付けられた浮子止め38と、その浮子止め38から海底側に遊動可能なように通穴にリーダー18を通しているシモリ玉40と、そのシモリ玉40の海底側に配された水中浮子42と、水中浮子42の底部に着脱自在な形で配された天秤44と、天秤44の先端部の穴に結ばれたハリス46と、そのハリス46の先端に取り付けられた針部及び餌48を有する。さらに、海底から約1mの棚用の仕掛けとして、海底から約1mの位置でリーダー18に結び付けられた浮子止め50と、その浮子止め50から海底側に遊動可能なように通穴にリーダー18を通しているシモリ玉52と、そのシモリ玉52の海底側に配された水中浮子54と、水中浮子54の底部に着脱自在な形で配された天秤56と、天秤56の先端部の穴に結ばれたハリス58と、そのハリス58の先端に取り付けられた針部及び餌60を有する。リーダー18の先端部には、サルカン20を介してフロロカーボン糸などのリーダー22が取り付けられ、その先端部には錘24が取り付けられている。海に仕掛けを投げた場合には、先端部の錘24が海底に到達するように構成されている。シモリ玉28、40、52は遊動であり、同様に水中浮子30、42、54も遊動である。
【0017】
特に海底から約7mの棚に仕掛けを送り込む場合には、浮子止め26を竿12の先端からのたらし部分ではなく、竿12に沿った糸の延長部分に浮子止め26を配することができる。この浮子止め26は、他の浮子止め38、50も同様に、糸同士の結び目であったり、道糸若しくは力糸、あるいはリーダー(ショックリーダーを含む。)に巻回された浮子止め糸の結び目とされたものであっても良く、ゴムなどのゴム浮子止めなどを用いても良い。この海底から7mの位置に設けられた浮子止め26は、そこからリール14側には、仕掛けを移動させないように機能する。これと同時に、海底から約7mの棚に仕掛けを送り込む場合であっても、その仕掛けのシモリ玉28、水中浮子30は、リーダー18に対して遊動するため、海底から約3mの浮子止め40の近傍位置まで先端側に配することができ、投げる時にはたらし部分に配して他の約3m及び約1mの仕掛けと共にいっしょに投げることができる。換言すれば、本実施形態の投げ釣りによって比較的に海底からの距離があるような棚に対しても遊動する水中浮子30、42を利用して、簡単に投げる込むことができ且つ棚を合わせることができる。
【0018】
このような仕掛けを有する本実施形態の投げ釣りでは、投げた後に着水した錘24が先行する形で沈んで行き、錘24は海底62に到達する。この錘24が海底62に到着した時点で、海底側に沈んできたそれぞれの仕掛けの水中浮子30、42、54はそれぞれ錘24により海底側に引かれる力に抗して水中内で浮き始め、徐々に図2に示すような錘24の海底での着地点から上に向かって概ね真っすぐ伸びるような形で展開する。実際のところ、海中には多少の潮の流れがあることから、全ての仕掛けで錘24が海底62に置かれているところから、正確に真っすぐ伸びるものでもないが、複数の水中浮子30、42、54の存在により、所定の棚にそれぞれの仕掛けは確実も導かれる。
【0019】
これら水中浮子30、42、54は、それぞれ錘24の重さで重力方向に引っ張られるが、その下向の力に抗するように水中で位置を保持できる浮力を有しており、さらに水面に浮かぶでもなく、海底に沈むでもない微妙なバランスを保つように設計されている。詳しくは、水中浮子30、42、54の内部には、浮力を調整するための浮力調整部が設けられており、全体として海水の重さよりも少しだけ軽くなるように浮力が調整され、その少しだけの浮力が錘24、リーダー18、浮子止め26、38、50及びシモリ玉28,40、52を介して伝わる下向きの力、及び餌、ハリス部や天秤を介して伝わる下向きの力と平衡する。このため水中浮子30、42、54は、それぞれ浮子止め26、38、50の位置から遠い場所にあっても自身の浮力によって海底から離れる方向にリーダー18に沿って遊動し、海中で上昇するに従ってシモリ玉28,40、52に当接し、次いでこれらのシモリ玉28,40、52も各浮子止め26、38、50に当設して、水中浮子30、42、54の水中での上昇動作は止まってもリーダー18を概ね直線状に延ばすように各仕掛けを配する。その結果、本実施形態では、約7m、約3m、約1mの三か所に仕掛けを配置させることが確実に行われる。
【0020】
このような棚に確実に仕掛けを送ることができる本実施形態の投げ釣りでは、1回の投げ釣り動作で複数の棚に仕掛けを送ることができることから、その釣果を上げることができ、単一の棚か狙うことのできない仕掛けよりも何倍を釣れる魚を増やすことができる。また、特に水中浮子については、一例ではあるが、天秤32を着脱自在として、魚を釣り上げ易い構造とすることができる。
【0021】
なお、上述の説明では、棚を三か所に配するパターンを説明したが、棚は2か所だけであっても良く、棚は4か所や5か所などの数多いものであっても良い。また、餌の部分は、天然の餌、人口餌などでも良く、疑似餌などであっても良い。必要に応じて餌カゴなどを付与しても良い。
【0022】
図3乃至図5は、本発明の投げ釣りに適用できる水中浮子30の模式図である。なお、水中浮子30は、その下段の水中浮子42、54と構造とすることもでき、またそれぞれ異なる構造を有していても良い。
【0023】
図3に示すように、本実施形態にかかる水中浮子30は、円錐形の頭部とその頭部から延長された円筒状の外形を有する浮子本体部31と、その浮子本体部31の底面部に設けられた弾性体からなる天秤保持部33と、該天秤保持部33に一端が保持される天秤32とを有する。浮子本体部31は、例えばプラスチックなどの筐体であり、中心軸回りには円筒中空の通孔が先端部72から底部73に至るように設けられている。この中心軸回りに形成された通孔に道糸の延長部となるリーダーなどが通される。浮子本体部31は。円筒中空の通し孔と浮子本体部31の外周部の間も中空とされ、浮子本体部31の外周部にはいくつかの窓部74が形成される。これら窓部74が形成された浮子本体部31には、その中空部に所要の浮力調整部材を入れることができ、重めの部材を入れて重くしたり軽めの部材を入れて軽くしたりして、糸の先端に取り付けられる錘とのバランスを取ることができる。
【0024】
天秤32は、例えばステンレスなどの金属を加工して構成される部材であり、先端側に穴32tが設けられ、基端側にも穴32bが設けられている。先端側の穴には、ハリス部が取り付けられ針や餌などが接続される。他端側の穴32bは、水中浮子30の底面部に設けられた弾性体からなる天秤保持部33に形成された保持溝76に嵌合して保持される。天秤32が天秤保持部33に保持される際には、天秤32の長手方向が水中浮子30の中心軸とは垂直な方向に延長されるように保持される。天秤保持部33は、例えばゴムや軟性樹脂材などの材料であることから弾性変形することができ、天秤32がその保持溝76に嵌合されていても天秤32の他端側に力が加わることで、天秤32を保持溝76から外すことができる。
【0025】
図4及び図5は、天秤32が水中浮子30から外れるところを示す図であり、図4では天秤32の先端部に力が加わったところを示し、天秤32の先端部が弾性変形しているところしめす。釣りの状態で言えば、魚が針にかかりハリスを引き始めたところを示す。図5はさらに力が加わり、天秤32が水中浮子30から外れた状態を示す。この場合でもリーダー18は、水中浮子30を挿通しており、外れた天秤32も穴32bにリーダー18が挿通されているため、魚が天秤32ごとに逃げることはない。このように水中浮子30と天秤32が魚がかかった時に外れることで、魚が水中を左右上下に暴れても水中浮子30を巻き込んで一体に移動することはなく、魚と一体に動くのは天秤32まであるため、魚の巻き上げを円滑に進めることができる。釣り上げた後、魚を針から外して、再び仕掛けを投げる際には、外れた天秤32を弾性体の反力に抗して再び元の保持溝76に係合する。これで元の仕掛けの状態となり、次の釣りに向かうことができる。
【0026】
この天秤が水中浮子から外れる機構は、図6乃至図11に示すような変形例とすることも可能である。図6は、係合部材を利用する構造の水中浮子を示し、天秤82の基端側の穴82bの周囲には複数の突起部84が形成されている。天秤82の先端側の穴82tには図示しないハリス部が取り付けられる。それら突起部84は所定の弾性部材からなり、水中浮子80の本体底部に形成された凹部86に弾性変形して嵌合する。このとき本体の通孔80cと天秤82の基端側の穴82bは連通する。このような構成においても、突起部84を凹部86に嵌合させ、その嵌合時の摩擦により水中浮子80に天秤82を保持させることができ、且つ着脱自在とすることができる。
【0027】
図7は中空浮子本体の胴部の中ほどの周回溝98に、天秤92の大き目の穴92bを嵌合させる構造の中空浮子90を示す。天秤92の先端側の穴92tには図示しないハリス部が取り付けられる。この構造では、天秤92の基端側を弾性部材で形成することもでき、周回溝98の方の特に縁部分に弾性変形させるような材料を使用することもできる。糸91は中空浮子本体を挿通し、且つ天秤92の大き目の穴92bも挿通される。このような構成においても、周回溝98に天秤92の大き目の穴92bを嵌合させることができ、その嵌合時の弾性応力などにより水中浮子90に天秤92を保持させ、且つ着脱自在とすることができる。
【0028】
図8は、もう1つの係合部材を利用する構造の水中浮子を示し、天秤102の基端側の穴102bの周囲には複数の把持部104が形成されている。それら把持部104は、フック形状となる所定の弾性部材からなり、水中浮子100の本体底部に形成された複数の係合部106に弾性変形して嵌合する。このとき本体の通孔100cと天秤102の基端側の穴102bは連通する。このような構成においても、把持部104を係合部106に係合させ、その係合により水中浮子100に天秤102を保持させることができ、且つ着脱自在とすることができる。
【0029】
図9は、さらに他の係合部材を利用する構造の水中浮子を示し、天秤112の基端側の穴112bの周囲には面状接合部材114が形成されている。面状接合部材114は、多くの弾性変形する鍵状部材を設けたものであり、対面側の水中浮子110の本体底部には起毛した面状接合部材116が配設されている。これら面状接合部材114と面状接合部材116は所謂面ファスナーとして面同士の結合を行う。このとき本体の通孔110cと天秤112の基端側の穴112bは連通する。このような構成においても、面ファスナーとして機能する面状接合部材114と面状接合部材116により、水中浮子110に天秤112を保持させることができ、且つ面ファスナーであるために着脱自在とすることができる。また、面ファスナーの代わりに、このような強い力が加わったときに外れ、また後で結合ざせることのできる部材としては、比較的に強い力の永久磁石などを天秤の基端部と水中浮子の底部に設けるようにすることもできる。
【0030】
図10及び図11は、水中浮子120の底部に開閉可能な蓋部126を設けた構造を示す。図10では、水中浮子120の底部に設けられた蓋部126が閉じた状態となっており、その閉じられた蓋部126に係合する形で天秤122が取り付けられる。天秤122の基端側の穴122bは水中浮子120を貫通する穴と連通する。天秤122が蓋部126に取り付けられて、天秤122はその長手方向が水中浮子の軸方向と垂直となる。
【0031】
次に、この状態から魚がかかった場合には、蓋部126が蝶番124を介して開くように動かされ、蓋部126に係合していた天秤122が図11のように外れることになる。このような構成においても、蓋部材126により、水中浮子120に天秤122を保持させることができ、且つ水中浮子120に天秤122を着脱自在とすることができる。
【0032】
図12は他の構造の水中浮子の組を示す。この例では、シモリ玉のサイズと、水中浮子の通穴のサイズを変えて、例えば3段の仕替えを有していても3つの水中浮子は海底側に寄せられる構造としている。すなわち、水中浮子132、134、136はそれぞれ海底から最も遠い位置、次に遠い位置、最も近い位置にそれぞれハリス部を送るための水中浮子である。これら水中浮子132、134、136の通穴は同じサイズではなく、水中浮子132の通穴は最も大きく、水中浮子134の通穴は次に大きく、水中浮子136の通穴は最も小さい。浮子止め部と連携して水中浮子の位置を決めるためのシモリ玉138、140、142もそれぞれサイズが異なっており、シモリ玉138は最も大きく、シモリ玉140は次に大きく、シモリ玉142は最も小さい。最も大きいシモリ玉138は最も大きな通穴を有する水中浮子132を止めることができるが、次に大きなシモリ玉140は、次の水中浮子134を止めることができるが、大きな通穴を有する水中浮子132を止めることはできないため、その結果大きな通穴を有する水中浮子132の遊動範囲は水中浮子134の上まで広げることができる。同様に、最も小さなシモリ玉142は中程度の通穴を有するす水中浮子134を止めることはできないことから、中程度の通穴を有する水中浮子134の遊動範囲は水中浮子136の上まで広げることができる。その結果、このような仕掛けを用いた場合には、3つの水中浮子132、134,136を図示しない錘の近くに寄せた形態にすることができ、投げ釣りの投げの作業での取り扱いが用意となる。これら3つの水中浮子132、134.136が海中では順に遊動しながら所定の位置に移動することは言うまでもない。
【0033】
図13は浮力を部材の着脱で調整する水中浮子150の例を示す。本実施形態の水中浮子150は、円筒状の水中浮子本体部162を有し、道糸若しくはその延長部を挿通させる中空部が水中浮子本体部162の軸部分に形成されている。水中浮子本体部162の上部には尖塔状の頭部が形成され、該頭部には中空部と連通する開口部152が設けられ、水中浮子本体部162の底部には、例えば弾性部材からなりその溝部に天秤158を着脱自在に保持する底部160が設けられている。この水中浮子本体部162の円筒状の胴部の上下には、円筒部を周回する形状に突設した凸状部154、156が設けられており、これらは水中浮子150を投げる際の浮力調整部材164~172の抜け止めとして機能する。
【0034】
浮力調整部材164~172は中心が抜けた円筒状の部材であり、樹脂材、発泡樹脂材、木材、軽量金属材、金属材、陶磁器など種々の材料若しくはこれらの組み合わせを以って構成することができ、浮力調整部材164~172の中心の空洞部は水中浮子150の水中浮子本体部162の外径と同等のサイズの内径を有するが、浮力調整部材164~172の外形や軸方向の長さは種々のサイズとすることができる。浮力調整部材164~172はその構成材料の全体的な比重と体積によって所定の浮力を水中浮子150に与えるものである。すなわち、浮力調整部材164~172のそれぞれは固有の軸方向の長さと径による体積と構成材料に起因する比重とを有しており、これらの部材を組み合わせることで全体的な浮子の浮力を調整することができる。これらの浮力調整部材164~172は、その目標とする魚の種類に応じて適宜選択して取り付けられ或いは外されるように用いられる。例えば、比較的に大きさ魚を狙う場合には、餌の重さも重くなることから、浮力を大きくするような操作が望まれ、これは本実施形態では、浮力調整部材164~172の中で軽量で体積の大きな部材を追加することで実現される。浮力調整部材164~172がそれぞれ弾性変形可能な樹脂材からなる場合は、頭部側から水中浮子本体部162に挿通して嵌合させることで、浮力調整部材164~172のいくつかを装着することができる。逆に外す場合には、軸方向に装着されていた浮力調整部材164~172を移動させて、抜け止めである凸状部154を越えれば鳥は図ことができる。浮力調整部材164~172の弾性変形による着脱は一例であり、一部に力を加えれば幅を広げられる切り欠けを設け、そこから水中浮子本体部162に保持させるようにしても良い。また、浮力調整部材164~172は円筒状で説明したが、これに限定されず六角柱などの多角柱や、浮力調整部材164~172の側面が場所に応じて径が変わるような外径であっても良い。また、浮力調整部材164~172は全て同じ傾向の形状でなくても良く、それぞれ円柱と六角柱を組み合わせて浮力調整部材164~172を構成することもできる。
【0035】
以上のように、本発明の投げ釣り方法によれば、水中の複数の棚に精度良く仕掛けを送ることができるので、容易に釣果を上げることができる。また、天秤が着脱する機構の水中浮子を使用することで、魚がかかった場合の釣り上げ操作の抵抗を減らすことができ、特に暴れたり引きが強い魚を引き上げる際に有利である。
【符号の説明】
【0036】
10 釣り人
12 竿
14 リール
16 道糸
18 リーダー
20 サルカン
22 リーダー
24 錘
26、38、50 浮子止め
28、40、52 シモリ玉
30、42、54 水中浮子
32、44、56 天秤
34、46、58 ハリス部
36、48、60 餌
72 先端部
73 底部
74 窓部
80、90、100、110、120、132、134、136、150 水中浮子
82、82、102、112、122 天秤
84 突起部
86 凹部
96 周回溝
104 把持部
106 係合部
114、116 面状接合部材
126 蓋部
138、140、142 シモリ玉
164~172 浮力調整部材
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