(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161296
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】イヤホン本体、イヤホン係止具、イヤホンセット
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
H04R1/10 104B
H04R1/10 104A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066000
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】515009066
【氏名又は名称】プレシードジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 顕悟
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BE03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】イヤホンを耳に係止するためのイヤホン係止具を用いて、開放型状態及び密閉型状態を任意に切り替えることが可能なイヤホン本体、イヤホン係止具及びイヤホンセットを提供する。
【解決手段】イヤホン本体10は、外周面にイヤホン係止具の装着溝36が環状に形成されると共に、内部にチャンバ26を有するハウジング22と、ハウジング22から延出する音導管30と、装着溝36とチャンバ26又は音導管30の内部とを連通するベント部24と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にイヤホン係止具の被装着部が環状に形成されると共に、内部にチャンバを有するハウジングと、
前記ハウジングから延出する音導管と、
前記被装着部と前記チャンバ又は前記音導管の内部とを連通するベント部と、
を備えているイヤホン本体。
【請求項2】
無端に形成され、請求項1に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、
を備え、
前記装着部が前記イヤホン本体の前記被装着部に装着された状態で、前記開口部が前記イヤホン本体の前記ベント部と一致する、
イヤホン係止具。
【請求項3】
前記開口部は、前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出した筒形状である、
請求項2に記載のイヤホン係止具。
【請求項4】
無端に形成され、請求項1に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部に形成され、前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出した中実の閉止部と、
を備え、
前記装着部が前記イヤホン本体の前記被装着部に装着された状態で、前記閉止部が前記イヤホン本体の前記ベント部と嵌まる、
イヤホン係止具。
【請求項5】
無端に形成され、請求項1に記載のイヤホン本体であって前記イヤホン本体の耳への装着方向から見て前記被装着部が前後方向中心に対して線対称形状であるイヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出されると共に前記装着部の軸方向から見て前記装着部の中心線に対して線対称形状に形成され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、
前記装着部における前記中心線に対して前記開口部と線対称となる位置に形成される閉止部と、
を備える、
イヤホン係止具。
【請求項6】
請求項1に記載のイヤホン本体と、
請求項2~請求項5のいずれか一項に記載のイヤホン係止具と、
を備えたイヤホンセット。
【請求項7】
前記イヤホン本体の耳への装着方向から見て前記被装着部が前後方向中心に対して線対称形状であり、
前記被装着部の軸方向から見て前記被装着部の中心線に対して前記ベント部と線対称となる位置に凹み部をさらに備えている、
請求項1に記載のイヤホン本体。
【請求項8】
無端に形成され、請求項7に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出されると共に前記装着部の軸方向から見て前記装着部の中心線に対して線対称形状に形成され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、
前記装着部における前記中心線に対して前記開口部と線対称となる位置に形成される閉止部と、
を備え、
前記開口部又は前記閉止部のうち少なくともいずれか一方が前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出している、
イヤホン係止具。
【請求項9】
前記中心線に対して直交する方向のうち前記開口部を有する方向を一方側とし、前記閉止部を有する方向を他方側とした場合に、前記装着部又は前記耳係止部の少なくとも一つに前記一方側及び前記他方側を識別するマークをさらに備える、
請求項5又は請求項8のいずれか一項に記載のイヤホン係止具。
【請求項10】
請求項7に記載のイヤホン本体と、
請求項5、請求項8又は請求項9のいずれか一項に記載のイヤホン係止具と、
を備えたイヤホンセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤホン本体、イヤホン係止具、イヤホンセットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載された先行技術では、カナル型イヤホンの筐体に孔を開けることで密閉された状態を解消する(以後、「開放型状態」と呼称する)。また、蓋を装着することによって再び密閉された状態とする(以後、「密閉型状態」と呼称する)ことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5716058号公報
【特許文献2】特開2018-121285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓋の着脱を行うことによって密閉型状態と開放型状態とを切り替える構造では、専用部品として蓋が必要となる。また、この蓋は、小型であり、かつ、イヤホンとは別体である。すなわち、非使用時に外した蓋を紛失してしまいやすい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、イヤホンを耳に係止するためのイヤホン係止具を用いて、開放型状態及び密閉型状態を任意に切り替えることが可能なイヤホン本体、イヤホン係止具及びイヤホンセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
目的を達成するために本発明の第一態様に係るイヤホン本体は、外周面にイヤホン係止具の被装着部が環状に形成されると共に、内部にチャンバを有するハウジングと、前記ハウジングから延出する音導管と、を備え、前記被装着部の底面とチャンバ又は音導管の内部とを連通するベント部を備えている。
本発明の第一態様に係るイヤホン本体では、ベント部が被装着部に開口している。このため、被装着部に装着されるイヤホン係止具の装着部の形状などに応じて、イヤホン本体に形成されたベント部を露出又は閉止することができる。
【0007】
本発明の第二態様に係るイヤホン係止具は、無端に形成され、本発明の第一態様に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、前記装着部から延出され、耳に係止される耳係止部と、前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、を備え、前記装着部が前記イヤホン本体の前記被装着部に装着された状態で、前記開口部が前記イヤホン本体の前記ベント部と一致する。
本発明の第二態様に係るイヤホン係止具では、装着部がイヤホン本体に装着されると、装着部に形成された開口部によって、イヤホン本体に形成されたベント部を露出することができる。これにより、ユーザが、イヤホンセットを開放型状態とすることができる。
【0008】
本発明の第三態様に係るイヤホン係止具は、本発明の第二態様において、前記開口部は、前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出した筒形状である。
本発明の第三態様に係るイヤホン係止具では、ベント部に開口部が嵌まる。これにより、イヤホン係止具の装着部がイヤホン本体に対しずれて装着部によってベント部が塞がれることを防ぐことができる。
【0009】
本発明の第四態様に係るイヤホン係止具は、無端に形成され、本発明の第一態様に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、前記装着部の外周面から延出され、耳に係止される耳係止部と、前記装着部に形成され、前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出した中実の閉止部と、を備え、前記装着部がイヤホン本体の前記被装着部に装着された状態で、前記閉止部が前記イヤホン本体の前記ベント部と嵌まる。
本発明の第四態様に係るイヤホン係止具では、装着部がイヤホン本体に装着されると、装着部に形成された閉止部によって、イヤホン本体に形成されたベント部を閉止することができ、さらにベント部に閉止部が嵌まる。これにより、装着部のみでベント部を塞ぐ場合と比してベント部の気密性を向上させることができると共に、イヤホン係止具の装着部がイヤホン本体に対しずれることを防止することができるため、イヤホンセットが密閉型状態である場合の性能向上を図ることが可能となる。
【0010】
本発明の第五態様に係るイヤホン係止具は、無端に形成され、本発明の第一態様に記載のイヤホン本体において前記イヤホン本体の耳への装着方向から見て前記被装着部が前後方向中心に対して線対称形状であるイヤホン本体に装着される装着部と、前記装着部から延出されると共に前記装着部の軸方向から見て前記装着部の中心線に対して線対称形状に形成され、耳に係止される耳係止部と、前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、前記装着部における前記中心線に対して前記開口部と線対称となる位置に形成される閉止部と、を備えている。
本発明の第五態様に係るイヤホン係止具では、装着部がイヤホン本体に装着されると、装着部に形成された開口部又は閉止部がベント部に一致する。このイヤホン係止具の開口部がベント部に一致した状態では開放型状態のイヤホンとなり、閉止部がベント部に一致した状態では密閉型状態のイヤホンとなる。これにより、イヤホン係止具は、左右一方の耳用のイヤホン本体を開放型状態にし、左右他方の耳用のイヤホン本体を密閉側状態にすることができる。したがって左右一対のイヤホンに対し、左右兼用となるミラー対称の一対のイヤホン係止具を用いることで、不使用となるイヤホン係止具を準備することなく密閉型状態と開放型状態とを切り替えることができる。
【0011】
本発明の第六態様に係るイヤホンセットは、本発明の第一態様に記載のイヤホン本体と、本発明の第二態様~本発明の第五態様のいずれか一項に記載のイヤホン係止具と、を備える。
本発明の第六態様に係るイヤホンセットでは、イヤホン本体に装着するイヤホン係止具をユーザが選択することにより、装着部に形成された開口部又は閉止部によって、イヤホン本体に形成されたベント部を露出又は閉止することができる。これにより、ユーザが、専用の蓋を使用せずにイヤホンセットを開放型状態又は密閉型状態とすることができる。
【0012】
本発明の第七態様に係るイヤホン本体は、本発明の第一態様において、前記イヤホン本体の耳への装着方向から見て前記被装着部が前後方向中心に対して線対称形状であり、前記被装着部の軸方向から見て前記被装着部の中心線に対して前記ベント部と線対称となる位置に凹み部をさらに備えている。
本発明の第七態様に係るイヤホン本体では、イヤホン係止具の開口部と閉止部とを同様の外形状にすることが可能となる。
【0013】
本発明の第八態様に係るイヤホン係止具は、無端に形成され、本発明の第七態様に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、前記装着部から延出されると共に前記装着部の軸方向から見て前記装着部の中心線に対して線対称形状に形成され、耳に係止される耳係止部と、前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、前記装着部における前記中心線に対して前記開口部と線対称となる位置に形成される閉止部と、を備え、前記開口部又は前記閉止部のうち少なくともいずれか一方が前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出している。
本発明の第八態様に係るイヤホン係止具では、装着部がイヤホン本体に装着されると、装着部に形成された開口部がベント部及び凹み部の一方と一致し、閉止部がベント部及び凹み部の一方と一致する。このイヤホン係止具の開口部がベント部に一致した状態では開放型のイヤホンとなり、閉止部がベント部に一致した状態では密閉型のイヤホンとなる。これにより、本イヤホン係止具は、不使用となるイヤホン係止具を準備することなく密閉型状態と開放型状態とを切り替えることができると共に、さらにイヤホン係止具の装着部がイヤホン本体に対しずれてベント部が塞がれることを防ぐことができる。
【0014】
本発明の第九態様に係るイヤホン係止具は、本発明の第五態様又は本発明の第八態様において、前記中心線に対して直交する方向のうち前記開口部を有する方向を一方側とし、前記閉止部を有する方向を他方側とした場合に、前記装着部又は前記耳係止部の少なくとも一つに前記一方側及び前記他方側を識別するマークをさらに備えている。
本発明の第九態様に係るイヤホン係止具では、装着部又は耳係止部に一方側又は他方側を識別するマークを備えている。これによりイヤホンセットが密閉型状態又は開放型状態のどちらの状態であるか、ユーザが容易に認識することができる。
【0015】
本発明の第十態様に係るイヤホンセットは、本発明の第七態様に記載のイヤホン本体と、本発明の第五態様、本発明の第八態様又は本発明の第九態様のいずれか一項に記載のイヤホン係止具と、を備える。
本発明の第十態様に係るイヤホンセットでは、イヤホン本体に装着するイヤホン係止具をユーザが選択することにより、装着部に形成された開口部及び閉止部によって、イヤホン本体に形成されたベント部を露出及び閉止することができる。これにより、ユーザが、専用の蓋を使用せずにイヤホンセットを開放型状態及び密閉型状態とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装着者が密閉型状態及び開放型状態の切り替えを任意に選択可能なイヤホン本体、イヤホン係止具、及びイヤホンセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るイヤホン本体を示す図であって、(A)は平面図、(B)は背面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るイヤホン本体に装着されるイヤホン係止具を示す図であって、(A)は密閉型用のイヤホン係止具を示す側面図、(B)は開放型用イヤホン係止具を示す側面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る密閉型状態のイヤホンセットを示す図であって、(A)は分解平面図、(B)は平面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る開放型状態のイヤホンセットを示す図であって、(A)は分解平面図、(B)は平面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係るイヤホン本体の第1の変形例を示す図であって、(A)は平面図、(B)は背面図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係るイヤホン係止具の変形例を示す図であって、(A)は密閉型用のイヤホン係止具を示す側面図、(B)は開放型用イヤホン係止具を示す側面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係るイヤホン本体の第2の変形例を示す図であって、(A)は平面図、(B)は背面図である。
【
図8】本発明の第二実施形態に係るイヤホン本体を示す図であって、(A)は平面図、(B)は背面図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係るイヤホン本体に装着されるイヤホン係止具を示す図であって、(A)は第一イヤホン係止具を示す側面図、(B)は第二イヤホン係止具を示す側面図である。
【
図10】本発明の第二実施形態に係る密閉型状態のイヤホンセットを示す図であって、(A)は分解平面図、(B)は平面図である。
【
図11】本発明の第二実施形態に係る開放型状態のイヤホンセットを示す図であって、(A)は分解平面図、(B)は平面図である。
【
図12】本発明の第二実施形態に係るイヤホン係止具の第一の変形例を示す図であって、(A)は第一イヤホン係止具を示す平面図、(B)は第二イヤホン係止具を示す平面図である。
【
図13】本発明の第二実施形態に係るイヤホン係止具の第二の変形例を示す図であって、(A)は第一イヤホン係止具を示す側面図、(B)は第二イヤホン係止具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第一実施形態]
本発明の第一の実施形態に係るイヤホンセット12について、
図1~
図4に基づいて説明する。図中に示す矢印FRは、イヤホンセット12をユーザが装着した状態におけるユーザの前方(視線方向)を示す。矢印INは、イヤホンセット12をユーザが装着した状態におけるユーザの左右方向内側を示す。矢印UPは、イヤホンセット12を直立したユーザが装着した状態における鉛直方向上側を示す。
図3及び
図4に示されるように、イヤホンセット12は、イヤホン本体10と、イヤホン係止具50との組み合わせとして構成されている。まず、イヤホン本体10について説明し、次いでイヤホン係止具50について説明する。その後、イヤホンセット12における開放型状態と密閉型状態との切り替えについて説明する。
【0019】
(イヤホン本体の構成)
図1(A)は、本発明における第一実施形態に係る、イヤホン本体10の平面図であり、
図1(B)は、イヤホン本体10の背面図である。
図1(A)及び
図1(B)に示す通り、イヤホン本体10は、ハウジング22及び音導管30が形成された筐体20と、筐体20の内側に配置されたベント部24と、を備えている。また、イヤホン本体10は、発音手段であるドライバ28を備えている。
【0020】
筐体20は、イヤホン本体10の外郭を成す中空部材である。ハウジング22は、筐体20の一部分として構成され、一例として平面視及び背面視で等脚台形状を成す概略箱状であり、内部にチャンバ26を有する。ハウジング22は、チャンバ26内にドライバ28が配置され、イヤホン本体10の共鳴部として機能する。
【0021】
また、ハウジング22は、被装着部の一例として、外周面に環状に形成された装着溝36を有している。装着溝36は、側面視で環状を成しており、平面視及び背面視で等脚台形の等脚辺を成す部分に形成されている。本実施形態の装着溝36は、一例として1~2mm程度の深さ及び3~6mm程度の幅に形成される。
【0022】
チャンバ26は、ハウジング22に覆われた気室であり、後述するドライバ28を固定して収容している。
【0023】
ドライバ28は、一例としてチャンバ26に収容された発音体であり、図示しない制御器から伝えられた電気信号に応じて発音する。ドライバ28から発生した音波は、チャンバ26内の空気に伝わる。
【0024】
なお、上述した制御器は、イヤホン本体10の外部に設けられていてもよく、内部に設けられていてもよい。制御器がイヤホン本体10の外部に設けられる構成では、電気信号は、例えばケーブル等を用いてイヤホン本体10の外部から供給される。
【0025】
音導管30は、ハウジング22の矢印IN側を向く一の面から延出しており、筐体20の一部分として構成されている。本実施形態では、音導管30は、略円筒形状に形成されている。
【0026】
音導管30は、ハウジング22の内部に形成されたチャンバ26と、イヤホン本体10の外部とを連通している。したがって、ドライバ28から発せられた音は、チャンバ26及び音導管30を通じてイヤホン本体10の外部へ放出される。
【0027】
音導管30の開口端32には、イヤーピース34が装着されている。
【0028】
イヤーピース34は、一例としてシリコーン樹脂等の弾性材で作られている。したがって、後述するようにイヤホンセット12をユーザが装着する場合、外耳道に密着する。
【0029】
これにより、イヤホン本体10は、いわゆるカナル型イヤホンとして機能する。
【0030】
なお、ハウジング22及び音導管30は、例えば硬質の樹脂又は金属で作られている。また、ハウジング22及び音導管30は、一体に成形されてもよく、又は別体として形成され、接合されていてもよい。
【0031】
本実施形態におけるベント部24は、ハウジング22の装着溝36の底面から、チャンバ26を通って音導管30の内側へ連通する筒体である。ベント部24の内部は、ベント孔24Aであり、音導管30とイヤホン本体10の筐体20の外部との通気を可能とする通気路として機能する。イヤホン本体10は、ベント部24を備えることで、単体としては開放型のイヤホンとして機能する。
【0032】
さらに、本実施形態に係るイヤホン本体10には、装着溝36の底面において、装着溝36の底面に対して窪んでいる、穴部42が形成される。ここで、本実施形態に係るベント孔24Aは、装着溝36の底面に対して窪んでいる。本実施形態では、ベント部24は、穴部42を兼ねて構成されているものと捉えることができる。
【0033】
(イヤホン係止具の構成)
図2(A)は、本発明の第一実施形態に係る第一イヤホン係止具50Aを表す側面図であり、
図2(B)は、本発明の第一実施形態に係る第二イヤホン係止具50Bを表す側面図である。
【0034】
図2(A)に示すように、第一イヤホン係止具50Aは、装着部の一例として、無端の帯状に形成される帯状体52と、帯状体52の外周面から延出され、耳に係止される耳係止部54と、帯状体52の帯部分に形成され、帯状体52の内周面から帯状体52の内側に突出した中実の閉止部56を備えている。
【0035】
この実施形態における帯状体52は、一例として、全体が帯部分であり、
図3(A)にも示されるように、イヤホン本体10の外形に対応して平面視では等脚台形状を成している。帯状体52の幅及び内径は、前述したハウジング22の装着溝36の幅及び外径に対して、同等よりわずかに小さく形成される。したがって、帯状体52が弾性的に伸びた状態でハウジング22の装着溝36と帯状体52とが装着される構成である。このように、イヤホン本体10に第一イヤホン係止具50Aが装着されることでイヤホンセット12が構成される。
【0036】
また、帯状体52がイヤホン本体10の装着溝36に装着された状態で、閉止部56は、イヤホン本体10のベント部24と嵌まる構造とされている。
【0037】
耳係止部54は、
図2(A)に示すように、一例として、帯状体52の軸方向から見て下向きに開口したU字状に形成されており、両端で帯状体52に接続し、帯状体52の外周面から一例として8mm~15mm程度延出されている。
【0038】
また、耳係止部54は、後述するように本発明の第一実施形態に係るイヤホンセット12をユーザが使用する状態において、ユーザの耳介に係止される。これにより、第一イヤホン係止具50Aに形成された耳係止部54は、使用時に振動や風等の影響から、イヤホンセット12がユーザの耳から脱落され難くする。
【0039】
また、耳係止部54は、後述する
図3に示すように、帯状体52の軸方向のいずれか一方に向かうように傾斜して延出されている。
【0040】
なお、第一イヤホン係止具50Aは、一例としてシリコーン樹脂等の弾性材で作られている。
【0041】
閉止部56は、帯状体52からの突出方向から見てベント部24(ベント孔24A)の断面形状に対応した形状とされ、外形状を断面形状が突出方向に連続する柱状を成している。この実施形態の閉止部56は、一例として円柱形状である。閉止部56の外径は、前述したベント孔24Aの内径に対して同等に形成される。これにより、閉止部56は弾性を有しているため、ベント部24の装着溝36側の端部に嵌まることが可能であり、ベント部24の装着溝36側の端部に入り込んだ状態ではベント部24を閉止するようになっている。
【0042】
なお、上述の通り、閉止部56の外径は、ベント孔24Aの内径に対して同等に形成されている。これにより、閉止部56がベント部24に嵌まった状態は、閉止部56とベント部24とが密着した状態とされている。
【0043】
さらに、本実施形態に係る第一イヤホン係止具50Aには、帯状体52の内周面において、帯状体52の内周面に対して突出している、突出部40が形成される。ここで、閉止部56は、帯状体52の内周面に対して突出している。本実施形態に係る第一イヤホン係止具50Aにおいて、閉止部56は、突出部40を兼ねて構成されているものと捉えることができる。
【0044】
また、
図2(B)に示すように、第二イヤホン係止具50Bは、無端の帯状に形成され、本発明の第一態様に記載のイヤホン本体10に装着される帯状体52と、帯状体52から延出され、耳に係止される耳係止部54と、帯状体52の帯部分に形成され、帯状体52の内周面から帯状体52の内側に突出した筒形状である開口部58を備えている。
【0045】
第二イヤホン係止具50Bは、閉止部56に代えて開口部58を備える以外は、第一イヤホン係止具50Aと同様に構成されている。
【0046】
開口部58は、帯状体52からの突出方向から見てベント部24(ベント孔24A)の断面形状に対応した外形状の筒状態とされている。この実施形態の開口部58は、一例として円筒形状である。前述した第一イヤホン係止具50Aの閉止部56と同様に、開口部58の外径は、前述したベント部24の内径に対して同等に形成される。これにより、開口部58は、ベント部24の装着溝36側の端部に開口部58とベント部24とが密着した状態で嵌まることが可能であり、ベント部24の装着溝36側の端部に嵌まった状態でベント部24の開放状態を維持するようになっている。
【0047】
また、本実施形態に係る第二イヤホン係止具50Bにおいても、開口部58は、突出部40を兼ねて構成されているものと捉えることができる。
【0048】
(密閉型状態及び開放型状態の切り替え操作)
次に、
図3及び
図4に基づいて、第一実施形態に係るイヤホンセット12について密閉型状態及び開放型状態の切り替え操作を説明する。
【0049】
まず、
図3(A)は、本発明の第一実施形態に係る、密閉型状態のイヤホンセット12を示す分解平面図であり、
図3(B)は、イヤホンセット12の平面図である。
【0050】
図3(A)に示されるように、イヤホン本体10と、第一イヤホン係止具50Aとを組み合わせて密閉型状態のイヤホンセット12が組立てられる。この場合、上述の通り第一イヤホン係止具50Aの帯状体52は、イヤホン本体10の装着溝36に装着される。
【0051】
この状態では、
図3(B)に示されるように、閉止部56は、装着溝36の底面に形成されたベント部24に嵌まる。閉止部56は、中実のため、ベント部24は、閉止される。本実施形態及び以降の実施形態の説明ではこの状態のイヤホンセット12を「密閉型状態」と称する。
【0052】
次に、
図4(A)は、本発明の第一実施形態に係る、開放型状態のイヤホンセット12を示す分解平面図であり、
図4(B)は、イヤホンセット12の平面図である。
【0053】
図4(A)に示されるように、イヤホン本体10と、第二イヤホン係止具50Bとを組み合わせて密閉型状態のイヤホンセット12が組立てられる。この場合、密閉型状態と同様に第二イヤホン係止具50Bの帯状体52は、イヤホン本体10の装着溝36に装着される。
【0054】
この状態では、
図4(B)に示されるように、開口部58は、装着溝36の底面に形成されたベント部24に嵌まる。しかし、開口部58は、筒形状であるため、ベント部24は、閉塞されず開放状態が維持(外部に露出)される状態となる。本実施形態及び以降の実施形態の説明ではこの状態のイヤホンセット12を「開放型状態」と称する。
【0055】
このようにユーザは、第一イヤホン係止具50A又は、第二イヤホン係止具50Bを選択してイヤホン本体10に装着することによって、第一実施形態に係るイヤホンセット12を密閉型状態及び開放型状態のいずれか一方の状態に選択することができる。
【0056】
ここで、イヤホンセット12が密閉型状態の場合、イヤホン本体10の外部に対する遮音性が向上し、イヤホンセット12が開放型状態の場合、ユーザは、イヤホン本体10の外部の音を聞き取りやすくなる。
【0057】
(作用及び効果)
ユーザは、第一実施形態に係るイヤホンセット12を密閉型状態及び開放型状態のいずれかの状態とし、音導管30及びイヤーピース34を外耳道に挿入して使用する。
【0058】
ここで、上述の通り、イヤーピース34は、弾性体であるため、外耳道に挿入された状態では外耳道の形状に変形する。これにより、イヤーピース34と外耳道は、密着する。
【0059】
まず、第一実施形態に係るイヤホンセット12が密閉型状態とした場合、イヤホン本体10は、音導管30の開口端32以外には、イヤホン本体10の外部と通気しない。
【0060】
次に、第一実施形態に係るイヤホン本体10に、第二イヤホン係止具50Bを装着し、開放型状態とした場合、イヤホン本体10は、音導管30の開口端32以外にベント部24を通じて、イヤホン本体10の外部と通気する。
【0061】
上述したように、第一実施形態に係るイヤホンセット12では、ユーザが開口部58を有する第一イヤホン係止具50Aをイヤホン本体10に装着することによって、ベント部24が閉塞される密閉型状態に切り替えることができる。
【0062】
また、第一実施形態に係るイヤホンセット12では、ユーザが閉止部56を有する第二イヤホン係止具50Bを選択してイヤホン本体10に装着することによって、ベント部24が露出した開放型状態に切り替えることができる。
【0063】
このように第一実施形態に係るイヤホンセット12では、ユーザがイヤホン本体10に装着するイヤホン係止具50を付け替えることで、密閉型状態と開放型状態を任意に切り替えることができる。
【0064】
また、本発明の第一実施形態に係るイヤホンセット12では、蓋等の部品を必要とせずに、イヤホン係止具50を用いて密閉型状態と開放型状態とを切り替えることが可能とされている。
【0065】
また、本発明の第一実施形態に係るイヤホンセット12では、イヤホン係止具50を用いて密閉型状態と開放型状態とを切り替えている。ここで、イヤホン係止具50は、上述のようにイヤホン本体10のハウジング22に周囲から装着するため、イヤホン本体10と同程度の大きさである。このため、イヤホン本体10から外した状態でもユーザがイヤホン係止具50を紛失する虞を低減することができる。
【0066】
また、本発明の第一実施形態に係るイヤホンセット12では、イヤホン係止具50に形成された突出部40を兼ねている開口部58が穴部42を兼ねているベント部24に嵌まる。したがって、イヤホン本体10と第二イヤホン係止具50Bとが、使用時にずれることを防ぐことができる。
【0067】
また、本発明の第一実施形態に係るイヤホンセット12では、イヤホン係止具50に形成された突出部40を兼ねている閉止部56が穴部42を兼ねているベント部24に嵌まる。したがって、イヤホン本体10と第一イヤホン係止具50Aとが、使用時にずれることを防ぐことができる。また、帯状体52のみでベント部24を塞ぐ場合に比してベント部24を効果的に塞ぐことができるため、イヤホンセット12が密閉状態である場合の遮音性向上を図ることができる。
【0068】
(変形例)
さらに本発明の第一実施形態に係るイヤホンセット12について、以下の変形例を開示する。
【0069】
また、
図5(A)は、本発明における第一実施形態に係る、イヤホン本体10の第1の変形例の平面図であり、
図5(B)は、イヤホン本体10の第1の変形例の背面図である。
図5(A)及び
図5(B)に示す通り、変形例に係るイヤホン本体10は、筐体20の内部に配置された筒体であるベント部24に代えて、筐体20を貫通する孔であるベント部24を備える点で、第一実施形態に係るイヤホン本体10とは異なる。具体的には、本変形例に係るベント部24は、ハウジング22における装着溝36の溝底部を貫通する孔であり、チャンバ26とイヤホン本体10の外部とを連通している。これにより、ベント部24は、ドライバ28を挟んで音導管30とは反対側に向けて音波の放出される方向に対して後方に開口している。
【0070】
本変形例においても、第一実施形態に係るイヤホンセット12と同様にユーザが、イヤホン本体10に装着するイヤホン係止具50を付け替えることで、密閉型状態と開放型状態を任意に切り替えて同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、本変形例に係るイヤホンセット12は、密閉型状態及び開放型状態の音質を、ユーザが任意に選択することができる。
【0072】
また、
図6(A)は、本発明の第一実施形態に係る第一イヤホン係止具50Aの変形例の側面図であり、
図6(B)は、第二イヤホン係止具50Bの変形例の側面図である。
【0073】
図6(A)に示すように、本変形例では、第一イヤホン係止具50Aの閉止部56は、内周面から内側に突出した柱形状に代えて、帯状体52の帯部分自体で構成されている。
【0074】
同様に
図6(B)に示すように、第二イヤホン係止具50Bの開口部58は、内周面から内側に突出した筒形状に代えて、帯状体52の内外周面を連通する孔とされている。
【0075】
この場合においても、第一実施形態に係るイヤホンセット12と同様にユーザが、イヤホン本体10に装着するイヤホン係止具50を付け替えることで、密閉型状態と開放型状態を任意に切り替えて同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、
図7(A)は、本発明における第一実施形態に係る、イヤホン本体10の第2の変形例の平面図であり、
図7(B)は、イヤホン本体10の第2の変形例の背面図である。
図7(A)及び
図7(B)に示す通り、この変形例に係るイヤホン本体10では、装着溝36の底面においてベント孔24Aを囲うように突出した突出部40が形成されている点で、第一実施形態に係るイヤホン本体10とは異なる。すなわち、本変形例は、ベント孔24Aの周囲が装着溝36に形成された突出部40とされ、第一イヤホン係止具50Aの閉止部56、及び第二イヤホン係止具50Bの開口部58が穴部42とされた場合の一例である。
【0077】
本変形例に係る第一イヤホン係止具50Aでは、閉止部56は、帯状体52の内周面に開口し、かつ突出部40が嵌まる大きさの有底穴とされている。この有底穴は、帯状体52の厚さ内の窪み形状とされていてもよく、又は帯状体52の外周面に突出した袋形状とされていてもよい。
【0078】
また、本変形例に係る第二イヤホン係止具50Bでは、開口部58は、
図6(B)と同様に、帯状体52の内外周面を連通し、かつ突出部40が嵌まる大きさの孔とされる。
【0079】
本変形例では、イヤホン本体10に第一イヤホン係止具50Aを取り付けた場合、閉止部56の有底穴に突出部40が嵌まることで、密閉型状態となるイヤホンセット12が組み立てられる。また、イヤホン本体10に第二イヤホン係止具50Bを取り付けた場合、開放型状態となるイヤホンセット12が組み立てられる。
【0080】
このように、本変形例においても、第一実施形態に係るイヤホンセット12と同様にユーザが、イヤホン本体10に装着するイヤホン係止具50を付け替えることで、第一実施形態に係るイヤホンセット12と同様の効果を得ることができる。
【0081】
さらに閉止部56の有底穴に突出部40が嵌まるため、イヤホン本体10と第一イヤホン係止具50Aとが、使用時にずれることを防ぐことができる。また、開口部58の孔に突出部40が嵌まるため、イヤホン本体10と第二イヤホン係止具50Bとが、使用時にずれることを防ぐことができる。
【0082】
なお、本発明の第一実施形態及び本発明の第一実施形態の第2の変形例に記述したように、イヤホン本体10と第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bとが、使用時にずれることを防ぐため、突出部40が装着溝36の底面からベント部24のベント孔24Aを囲うように形成されているが、本変形例に係る突出部40は、これに限らない。すなわち、突出部40及び穴部42は、閉止部56並びに開口部58、及びベント部24とは別に離れた位置に形成されていてもよい。
【0083】
例えば、装着溝36の底面に形成される突出部40、又は穴部42のいずれか一方及び帯状体52の内周面に形成される突出部40、又は穴部42のいずれか他方は、ベント部24及び、閉止部56並びに開口部58とは別に形成されていても、突出部40と穴部42が嵌まれば使用時にずれることを防ぐ効果を得ることができる。
【0084】
また、音導管30とイヤホン本体10の外部とを連通するベント部24は、筒体として形成されているが、これに限らない。例えば、ベント部24は、ハウジング22及び音導管30を通じる孔として形成されていてもよい。
【0085】
また、開口部58は、ベント部24を露出することができれば足り、単なる開口である構成には限られない。開口部58は、例えば、イヤホン本体10の内部と外部とを連通する通気路の途中や端部にメッシュや格子などが形成されていてもよい。このようなメッシュや格子により、例えば、開口部58にメッシュ等を設けることで通気量を調整し、又は開口部58を異物の侵入から防ぐことが可能となる。
【0086】
また、装着部である帯状体52は、全体が帯部分とされているが、本実施形態に係る帯状体52の形状は、これに限らない。帯状体52の内周面が、ハウジング22の外形に沿った形状であれば足り、例えば略半球殻状としてイヤホン本体10の被装着部を覆うように装着されてもよい。また、帯状体52の外周面には、耳係止部54以外に、さらに凹凸や装飾等を付した形状とされていてもよい。
【0087】
また、耳係止部54は、上述の通り、帯状体52から延出し、U字状の形状とされているが、本実施形態に係る耳係止部54の形状は、これに限らない。すなわち、耳係止部54の形状は、耳介に係止することができる形状であれば足り、例えば、丘状、錨状、J字状、又は鉤状等の形状とされていてもよい。
【0088】
これらの耳係止部54は、帯状体52に一端だけ接続する形状とされてもよい。
【0089】
また、ドライバ28は、チャンバ26に収容されているが、本実施形態に係るドライバの位置は、これに限らない。例えば、音導管30の内部に収容されていてもよい。
【0090】
また、ハウジング22は、平面視及び背面視で等脚台形状とされているが、本実施形態に係るハウジングの形状は、これに限らない。例えば、略半球状、略円筒状、又は卵型状等の形状とされていてもよい。
【0091】
なお、本発明の第一実施形態に係るイヤホンセット12は、
図3及び
図4に示されるように、左右一対のイヤホンセット12のうちのいずれか一方(図示例では左側)である。したがって、左右の耳にイヤホンセット12を装着する場合、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bは、それぞれ左右一対のイヤホン本体10にそれぞれ一組ずつ用意される。
【0092】
[第二実施形態]
次に本発明の第二の実施形態に係るイヤホンセット12について、
図8~
図11に基づいて説明する。第一実施形態に係るイヤホンセット12と同様に、図中に示す矢印FRは、イヤホンセット12をユーザが装着した状態におけるユーザの前方(視線方向)を示す。矢印INは、イヤホンセット12をユーザが装着した状態におけるユーザの左右方向内側を示す。矢印UPは、イヤホンセット12を直立したユーザが装着した状態における鉛直方向上側を示す。また、中心線CL1は、ユーザの左右方向の中心を示し、中心線CL2は、イヤホン本体10の耳への装着方向から見て前後方向の中心を示す。
【0093】
図10及び
図11に示されるように、イヤホンセット12は、イヤホン本体10と、イヤホン係止具50との組み合わせとして構成されている。まず、イヤホン本体10について説明し、次いでイヤホン係止具50について説明する。その後、イヤホンセット12における開放型状態と密閉型状態との切り替えについて説明する。
【0094】
(イヤホン本体10の構成)
第二実施形態に係るイヤホン本体10として、左右一対のイヤホン本体10がある。これらを区別して説明するときは、ユーザの左耳に装着されるイヤホン本体10を第一イヤホン本体10Aとし、ユーザの右耳に装着されるイヤホン本体10を第二イヤホン本体10Bとする。
【0095】
図8(A)のユーザの左右方向の中心線CL1に対する左側には、第一イヤホン本体10Aの平面図を示し、
図8(B)のユーザの左右方向の中心線CL1に対する左側には、第一イヤホン本体10Aの背面図を示す。
図8(A)のユーザの左右方向の中心線CL1に対する右側には、第二イヤホン本体10Bの平面図を示し、
図8(B)のユーザの左右方向の中心線CL1に対する右側には、第二イヤホン本体10Bの背面図を示す。本実施形態に係る第一イヤホン本体10A及び第二イヤホン本体10Bは、第一実施形態に係るイヤホン本体10に対して、穴部42を兼ねているベント部24に加えて第2の穴部42を兼ねている凹み部38を備えている点及び、装着溝36がイヤホン本体10の耳への装着方向から見て装着溝36が前後方向の中心線CL2に対して線対称形状である点で異なる。凹み部38は、ベント部24とイヤホン本体10の耳への装着方向から見て前後方向の中心線CL2に対して線対称となる位置に形成されている。
【0096】
本実施形態における凹み部38は、ハウジング22の装着溝36の底面からチャンバ26内部に形成され、装着溝36に開口された有底筒体である。すなわち、凹み部38は、チャンバ26、及び音導管30の内部と連通されていない。凹み部38の内部は、凹み38Aである。また、凹み部38は、一例として円形状であり、外径は、ベント部24と同等とされている。
【0097】
また、ベント部24及び凹み部38は、同じ方向に向けて開口している。一例として、ベント部24及び凹み部38は、
図8(A)及び
図8(B)に示すように、ユーザの上方向(矢印UP方向)にそれぞれ開口している。
【0098】
また、
図8(A)及び
図8(B)に示すように、本実施形態に係る第二イヤホン本体10Bは、第一イヤホン本体10Aに対して、ユーザの左右方向の中心線CL1を挟んで面対称形状とされている。すなわち、第一イヤホン本体10A、第二イヤホン本体10Bは、それぞれユーザの耳への装着状態で、一例として、凹み部38がベント部24に対して前側に位置している。
【0099】
ここで、第一実施形態と同様に、本実施形態に係るベント孔24Aは、装着溝36の底面に対して窪んでいる。したがって、本実施形態では、ベント部24は、装着溝36の底面に対する穴部42を兼ねて構成されているものと捉えることができる。
【0100】
(イヤホン係止具の構成)
第二実施形態に係るイヤホン係止具50として、左右一対のイヤホン係止具50がある。これらを区別して説明するときは一方のイヤホン係止具50を、第一イヤホン係止具50Aとし、他方のイヤホン係止具50を、第二イヤホン係止具50Bとする。
【0101】
図9(A)は、第一イヤホン係止具50Aの矢印IN側の反対方向を向いて見た側面図であり、
図9(B)は、本実施形態に係る第二イヤホン係止具50B矢印IN側の反対方向を向いて見た側面図である。
【0102】
図9(A)に示すように、本実施形態に係る第一イヤホン係止具50Aは、第一実施形態に係るイヤホン係止具50に対して次の点で異なる。まず、第一イヤホン係止具50Aの耳係止部54は、イヤホン本体10の耳への装着方向から見て前後方向の中心線CL2に対して線対称形状に形成されている。より具体的には、耳係止部54は、一例として、帯状体52の軸方向から見て下向きに開口し中心線CL2に対し線対称なU字状に形成されており、両端で帯状体52につながっている。また、第一イヤホン係止具50Aは、開口部58及び閉止部56の両方を備えている。開口部58と閉止部56とは、中心線CL2すなわち帯状体52の帯部分における中心線に対して線対称となる位置に配置されている。
【0103】
ここで、第一実施形態と同様に、本実施形態に係る開口部58と閉止部56は、帯状体52の内周面に対して突出している。したがって、本実施形態では、開口部58及び閉止部56は、帯状体52の内周面に対する突出部40を兼ねて構成されているものと捉えることができる。この場合、閉止部56及び開口部58の一報が突出部40に相当し、他方が第2の突出部に相当する。
【0104】
また、開口部58及び閉止部56が帯状体52の内周面から延出する長さは、第一イヤホン本体10A及び第二イヤホン本体10Bの凹み38Aの深さに対して、短い。これにより、後述する
図10に示すように、帯状体52がイヤホン本体10の装着溝36に装着された状態で、閉止部56は、ベント部24に嵌まる構造とされると共に、開口部58は、凹み部38に嵌まる構造とされている。
【0105】
以上説明した第一イヤホン係止具50Aは、帯状体52が第一イヤホン本体10Aの装着溝36に装着された状態で、閉止部56がイヤホン本体10のベント部24と嵌まり、開口部58が第一イヤホン本体10Aの凹み部38と嵌まる構成である。
【0106】
また、第一イヤホン係止具50Aは、帯状体52が第二イヤホン本体10Bの装着溝36に装着された状態で、開口部58が第二イヤホン本体10Bのベント部24と嵌まり、閉止部56が第二イヤホン本体10Bの凹み部38と嵌まる。
【0107】
なお、上述の通り、閉止部56及び開口部58の外径は、ベント部24及び凹み部38の内径に対して同等に形成されている。これにより、閉止部56及び開口部58がベント部24及び凹み部38に嵌まった状態は、密着した状態とされている。
【0108】
次に第二イヤホン本体10B係止具について説明する。
図9(A)のユーザの左右方向の中心線CL1に対する右側には、本発明の第二実施形態に係る第二イヤホン係止具50Bを示している。
【0109】
図9(A)及び
図9(B)に示すように、本実施形態に係る第二イヤホン係止具50Bは、第一イヤホン係止具50Aに対して、ユーザの左右方向の中心線CL1を挟んで面対称形状(ミラー対称)とされている。すなわち、第一イヤホン係止具50A、第二イヤホン係止具50Bは、
図10(A)及び
図11(A)に示すように、互いに向かわせた状態で開口部58同士が前後方向の同じ側(一方側)に位置し、閉止部56同士が前後方向の同じ側(他方側)に位置するようになっている。
これにより、
図10(A)に示すように、第二イヤホン係止具50Bは、帯状体52が第二イヤホン本体10Bの装着溝36に装着された状態で、閉止部56と第二イヤホン本体10Bのベント部24とが密着した状態で嵌まり、開口部58と第二イヤホン本体10Bの凹み部38とが嵌まる構成である。なお、第二イヤホン本体10Bの凹み部38は、開口部58が嵌まった状態で、第二イヤホン本体10Bの凹み部38と開口部58とが密着していてもよく、密着せず隙間を有していてもよい。
【0110】
また、
図11(A)に示すように、第二イヤホン係止具50Bは、帯状体52が第一イヤホン本体10Aの装着溝36に装着された状態で、開口部58が第一イヤホン本体10Aとベント部24とが密着した状態で嵌まり、閉止部56と第一イヤホン本体10Aの凹み部38とが嵌まる構成である。なお、第一イヤホン本体10Aの凹み部38は、開口部58が嵌まった状態で、第一イヤホン本体10Aの凹み部38と開口部58とが密着していてもよく、密着せず隙間を有していてもよい。
このように、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bは、左右一対の第一イヤホン本体10A及び第二イヤホン本体10Bのいずれにも装着すること、すなわち装着対象のイヤホン本体10を組み替えることが可能である。
【0111】
(密閉型状態及び開放型状態の切り替え操作)
図10及び
図11は、第二実施形態に係るイヤホンが密閉型状態及び開放型状態の切り替え操作を行う図である。
【0112】
まず、
図10(A)は、本発明の第二実施形態に係る、密閉型状態のイヤホンセット12を示す分解平面図であり、
図10(B)は、イヤホンセット12の平面図である。
【0113】
図10(A)のユーザの左右方向の中心線CL1に対して左側に示されるように、第一イヤホン本体10Aと、第一イヤホン係止具50Aとを組み合わせて第一イヤホンセット12Aが組立てられる。この場合、上述の通り第一イヤホン係止具50Aの帯状体52は、第一イヤホン本体10Aの装着溝36に装着される。
【0114】
この状態では、
図10(B)のユーザの左右方向の中心線CL1に対して左側に示されるように、第一イヤホン係止具50Aは、閉止部56が装着溝36の底面に形成されたベント部24に嵌まる。また、第一イヤホン係止具50Aは、開口部58が装着溝36の底面に形成された凹み部38に嵌まる。閉止部56は、中実のため、ベント部24は、閉止される。
【0115】
この状態では、第一イヤホンセット12Aは、音導管30の開口端32以外には、第一イヤホン本体10Aの外部に開口しない、密閉型状態となる。
【0116】
また、第一イヤホンセット12Aと同様に、
図10(A)のユーザの左右方向の中心線CL1に対して右側に示されるように、第二イヤホン本体10Bと、第二イヤホン係止具50Bとを組み合わせて第二イヤホンセット12Bが組立てられる。この場合、上述の通り第二イヤホン係止具50Bの帯状体52は、第二イヤホン本体10Bの装着溝36に装着される。
【0117】
この状態では、第二イヤホンセット12Bは、第一イヤホンセット12Aと同様に音導管30の開口端32以外には、第二イヤホン本体10Bの外部に開口しない、密閉型状態となる。
【0118】
図11(A)は、本発明の第二実施形態に係る、開放型状態のイヤホンセット12を示す分解平面図であり、
図11(B)は、イヤホンセット12の平面図である。すなわち、
図10に示した密閉型状態のイヤホンセット12に対して、第一イヤホン本体10Aに第二イヤホン係止具50Bを、第二イヤホン本体10Bに第一イヤホン係止具50Aを装着している違いがある。
【0119】
この場合、
図11(A)のユーザの左右方向の中心線CL1に対して左側に示されるように、第一イヤホン本体10Aと、第二イヤホン係止具50Bとを組み合わせて第一イヤホンセット12Aが組み立てられる。この状態では、
図11(B)のユーザの左右方向の中心線CL1に対して左側に示されるように、開口部58は、装着溝36の底面に形成されたベント部24に嵌まると共に、閉止部56は、装着溝36の底面に形成された凹み部38に嵌まる。これにより、第一イヤホン本体10Aのベント部24は、開口部58に形成された孔によって、完全に閉塞されず、ベント部24の装着溝36側の端部に嵌まった状態でベント部24の開放状態を維持するようになっている。
【0120】
これにより、第一イヤホンセット12Aは、音導管30の開口端32以外にも、第一イヤホン本体10Aの外部に開口した開放型状態となる。
【0121】
また、
図11(A)のユーザの左右方向の中心線CL1に対して右側に示されるように、第二イヤホン本体10Bと、第一イヤホン係止具50Aとを組み合わせて第二イヤホンセット12Bが組立てられる。この場合、上述の通り第一イヤホン係止具50Aの帯状体52は、第二イヤホン本体10Bの装着溝36に装着される。
【0122】
第一イヤホンセット12Aと同様に、この状態では、第二イヤホンセット12Bは、音導管30の開口端32以外にも、第二イヤホン本体10Bの外部に開口した開放型状態となる。
【0123】
また、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bの耳係止部54は、ユーザの装着状態において前後対称に形成されているため、それぞれを第一イヤホン本体10A及び第二イヤホン本体10Bに組み替えても、ユーザの耳介に係止される機能を果たす。
【0124】
このようにユーザは、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bのいずれか一方を第一イヤホン本体10A及び第二イヤホン本体10Bのいずれか一方に装着するとともに、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bのいずれか他方を第一イヤホン本体10A及び第二イヤホン本体10Bのいずれか他方に装着することによって、第二実施形態に係るイヤホンの状態を密閉型状態及び開放型状態のいずれか一方を任意に選択することができる。
【0125】
(作用及び効果)
以上の構成及び操作によって、第二実施形態に係るイヤホンは、上述した第一実施形態に係るイヤホンと同等の構造の部分については、第一実施形態に係るイヤホンと同様の効果を得ることができる。
【0126】
また、第二実施形態に係る第一イヤホンセット12A及び第二イヤホンセット12Bでは、ユーザが、第一イヤホン本体10A及び第二イヤホン本体10Bに装着する第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bとを付け替えることで、密閉型状態と開放型状態に任意に切り替えることができる。
【0127】
また、第二実施形態に係るイヤホンセット12の部品が全て常態的に使用されるため、第一実施形態に係るイヤホンセット12に比べて、イヤホン係止具50を紛失する虞をさらに低減することができる。
【0128】
また、第二実施形態に係る第一イヤホン本体10A及び第二イヤホン本体10Bは、穴部42を兼ねているベント部24及び第2の穴部42を兼ねている凹み部38がイヤホン本体10の耳への装着方向から見て前後方向の中心線CL2に対して線対称の位置に形成されているため、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bの突出部40を兼ねている閉止部56及び第2の突出部を兼ねている開口部58を同様の外形状の突出部40とすることができる。これにより、例えば開口部58が帯状体52の内外周面を連通する孔である構成や閉止部56が帯状体52の帯部分自体である構成と比して、イヤホン本体10に対するイヤホン係止具50の誤装着、装着後の位置ずれが抑制される。
【0129】
さらに、第二実施形態に係るイヤホンセット12は、第一実施形態に係るイヤホンセット12に対して、左右一対のイヤホン本体10及び左右一対のイヤホン係止具50のみを有している。したがって、第一実施形態に係るイヤホン係止具50に比して、必要とするイヤホン係止具50が一組でよい。すなわち、第一実施形態に係るイヤホン係止具50に比べて、部品コストの増加を抑えることができる。
【0130】
(変形例)
さらに本発明の第二実施形態に係るイヤホンについて、以下の変形例を開示する。
【0131】
本発明の第二実施形態に係る第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bの帯状体52、又は耳係止部54には、さらにマーク60を付すことで、第一イヤホンセット12A及び第二イヤホンセット12Bの外観又は外形を密閉型状態と開放型状態とで変化させてもよい。
【0132】
マーク60は、例えば、模様、記号、及び塗色等の視覚的情報により、又は刻印、切欠き、及びエンボス等の触覚的情報によって、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bの前後方向を識別させる構成が挙げられる。
【0133】
視覚的情報により識別する構成の一例として、
図12(A)は、本発明の第二実施形態に係る第一イヤホン係止具50Aにおける第一の変形例の側面図であり、
図12(B)は、第二イヤホン係止具50Bの第一の変形例の側面図である。
【0134】
図12(A)に示す第一イヤホン係止具50A及び
図12(B)に示す第二イヤホン係止具50Bのように、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bの帯状体52には、イヤホン本体10の耳への装着方向から見て前後方向の中心線CL2から一方側及び他方側を示すマーク60が付されている。
【0135】
このマーク60は、帯状体52の外周面に印字された文字62である。これにより、第一イヤホンセット12A及び第二イヤホンセット12Bの外観が密閉型状態及び開放型状態で変化するため、ユーザは、第一イヤホンセット12A及び第二イヤホンセット12Bのそれぞれが、密閉型状態及び開放型状態のどちらの状態であるか第二実施形態に比べてさらに容易に認識することができる。
【0136】
同様に、触覚的情報により識別する構成の一例として、
図13(A)は、本発明の第二実施形態に係る第一イヤホン係止具50Aにおける第二の変形例の矢印IN側の反対方向を向いて見た側面図であり、
図13(B)は、第二イヤホン係止具50Bの第二の変形例の矢印IN側の反対方向を向いて見た側面図である。
【0137】
図13(A)に示す第一イヤホン係止具50A及び
図13(B)に示す第二イヤホン係止具50Bのように、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bの耳係止部54には、イヤホン本体10の耳への装着方向から見て前後方向の中心線CL2から一方側及び他方側の方向を示すマーク60が付されている。
【0138】
このマーク60は、耳係止部54に形成された突起64である。これにより、第一イヤホンセット12A及び第二イヤホンセット12Bの外形が密閉型状態及び開放型状態で変化するため、ユーザは、第一イヤホンセット12A及び第二イヤホンセット12Bのそれぞれが、密閉型状態及び開放型状態のどちらの状態であるか第二実施形態に比べてさらに容易に認識することができる。
【0139】
また、その他の変形例として、凹み部38は、有底筒体として形成されているが、本実施形態に係る凹み部38は、これに限らない。例えば、凹み部38は、ハウジング22の内壁の一部として形成されていてもよい。
【0140】
また、ベント部24及び凹み部38は、同じ方向に開口しているが、本実施形態に係るベント部24及び凹み部38は、これに限らない。ベント部24及び凹み部38は、イヤホン本体10の耳への装着方向から見て前後方向の中心線CL2に対して線対称の位置にそれぞれ形成されていれば足り、例えば、ユーザの前方向(矢印FR方向)及びユーザの後方向(矢印FR方向の反対方向)にそれぞれ開口していてもよい。
【0141】
また、耳係止部54は、上述の通り、帯状体52から延出し、U字状の形状とされているが、本実施形態に係るイヤホン係止具50における耳係止部54の形状は、これに限定されない。すなわち、耳介に係止される部分がイヤホン本体10の耳への装着方向から見て前後方向の中心線CL2に対して線対称形状に形成され、耳介に係止することができる形状であれば足り、例えば、丘状、J字状、又は錨状等の形状とされていてもよい。
【0142】
また、本実施形態に係るイヤホン係止具50は、帯状体52内周面から帯状体52の内側に突出した中実の閉止部56及び帯状体52の内周面から帯状体52の内側に突出した筒形状である開口部58を備えているが、本実施形態に係る閉止部56及び開口部58は、これに限らない。例えば、
図6(B)に示されたイヤホン係止具50の耳係止部54をイヤホン本体10の耳への装着方向から見て前後方向の中心線CL2に対して線対称形状とした構成としてもよい。
【0143】
この場合においても、第二実施形態に係るイヤホンセット12と同様にユーザが、イヤホン本体10に装着するイヤホン係止具50を付け替えることで、密閉型状態と開放型状態を任意に切り替えることができ、この点で第二実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第一実施形態に係るイヤホン本体10が、イヤホン本体の耳への装着方向から見て装着溝36が前後方向の中心線CL2に対して線対称形状である場合、言い換えると第二実施形態に係るイヤホン本体10の凹み部が無い場合、この変形例に係るイヤホン係止具50を適用して、第二実施形態に係るイヤホンセット12と同様の効果を得ることができる。
【0144】
また、本実施形態に係るイヤホン係止具50は、帯状体52内周面から帯状体52の内側に突出した中実の閉止部56及び帯状体52の内周面から帯状体52の内側に突出した筒形状である開口部58を備えているが、本実施形態に係る閉止部56及び開口部58は、これに限らない。例えば、
図9(A)及び
図9(B)に示されたイヤホン係止具50において、閉止部56が帯状体52の帯部分自体で構成されているか、又は開口部58が帯状体52の内外周面を連通する孔とされた構成としてもよい。
【0145】
この場合においても、第二実施形態に係るイヤホンセット12と同様にユーザが、イヤホン本体10に装着するイヤホン係止具50を付け替えることで、密閉型状態と開放型状態を任意に切り替えることができ、この点で第二実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、開口部58が孔であり、イヤホン係止具50を前後逆にした状態で閉止部56を凹み部38に装着した場合、ベント部24と開口部58が一致しないため、開放型とならないことから、第二実施形態における上記した誤装着の抑制効果を得ることはできない。ただし、誤装着した場合においても、耳係止部54が正規の位置とずれることから、耳に装着した状態でユーザが違和感を覚えることで誤装着に気付きやすくなるため、誤装着のまま使用される恐れを少なくすることができる。
【0146】
また、第二実施形態においても本発明における第一実施形態に係る、イヤホン本体10の第2の変形例と同様の構成を採用することができる。すなわち、本発明における第二実施形態に係る第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bの閉止部56、開口部58に代えて、イヤホン本体10側に突出部及び第2の突出部を形成した構成とすることができる。例えば、イヤホン本体10が、装着溝36の底面からベント部24を囲うように突出した突出部40、及び、ベント部24と中心線CL2に対して線対称となる位置で装着溝36の底面から突出する第2の突出部を有する構成とされていてもよい。
【0147】
本変形例は、ベント部24が周囲を装着溝36に形成された突出部40とされると共に、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bの閉止部56及び開口部58が穴部42及び第2の穴部42とされた場合の一例である。
【0148】
なお、本変形例に係る第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bは、一例として、閉止部56が帯状体52の内周面に開口する有底穴とされ、開口部58が
図6(B)と同様に、帯状体52の内外周面を連通し、かつ突出部40が嵌まる大きさの孔とされる。
【0149】
本変形例では、第一イヤホン本体10Aに第一イヤホン係止具50Aを取り付けた場合、閉止部56の有底穴にベント部24が嵌まり、開口部58の内外周面を連通する孔に突起部が嵌まることで密閉型状態となる第一イヤホンセット12Aが組み立てられる。また、第一イヤホン本体10Aに第二イヤホン係止具50Bを取り付けた場合、開口部58の内外周面を連通する孔にベント部24が嵌まり、閉止部56の有底穴に突起部が嵌まることで開放型状態となる第一イヤホンセット12Aが組み立てられる。
【0150】
また、第一イヤホンセット12Aと同様に、第二イヤホン本体10Bと、第一イヤホン係止具50Aとを組み合わせて密閉型状態となる第二イヤホンセット12Bが組立てられ、第二イヤホン本体10Bと、第二イヤホン係止具50Bとを組み合わせて開放型状態となる第二イヤホンセット12Bが組立てられる。
【0151】
このように、本変形例においても、第二実施形態に係るイヤホンセット12と同様にユーザが、イヤホン本体10に装着するイヤホン係止具50を付け替えることで、第二実施形態に係るイヤホンセット12と同様の効果を得ることができる。
【0152】
さらに第一イヤホンセット12Aでは、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bのいずれか一方を装着した状態で、閉止部56の有底穴に突出部40が嵌まると共に開口部58の孔に突出部40が嵌まるため、第一イヤホン本体10Aと第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bのいずれか一方とが、使用時にずれることを防ぐことができる。
【0153】
さらに第二イヤホンセット12Bでは、第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bのいずれか他方を装着した状態で、閉止部56の有底穴に突出部40が嵌まると共に開口部58の孔に突出部40が嵌まるため、第一イヤホン本体10Aと第一イヤホン係止具50A及び第二イヤホン係止具50Bのいずれか他方とが、使用時にずれることを防ぐことができる。
【0154】
なお、本変形例は、突出部40が装着溝36の底面からベント部24を囲うように形成されると共に、第2の突出部がベント部24と中心線CL2に対して線対称となる位置に形成されているが、このような構成に限られない。すなわち、突出部40は、ベント部24と装着溝36の周方向に離れた位置に設けてもよい。この場合、第2の突出部を設けない構成とし、イヤホン係止具の穴部42を装着される第一イヤホン本体10A及び第二イヤホン本体10Bに合わせて中心線CL2に対し対称な2か所に設けてもよい。また、突出部40を中心CL2上に設けた構成とすれば、穴部42も中心線CL2上に1つ設ければ足りる。
【0155】
なお、本実施形態においても、第一実施形態と同様の構成については、第一実施形態と同様の変形例を採用することができる。また、本実施形態に係る変形例は、それぞれを組み合わせてもよい。
【0156】
以上、本発明の第一実施形態乃至第二実施形態を説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0157】
なお、上述の本願の開示する技術の一実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0158】
(付記1)
外周面にイヤホン係止具の被装着部が環状に形成されると共に、内部にチャンバを有するハウジングと、
前記ハウジングから延出する音導管と、
前記被装着部と前記チャンバ又は前記音導管の内部とを連通するベント部と、
を備えているイヤホン本体。
(付記2)
無端に形成され、付記1に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、
を備え、
前記装着部が前記イヤホン本体の前記被装着部に装着された状態で、前記開口部が前記イヤホン本体の前記ベント部と一致する、
イヤホン係止具。
(付記3)
前記開口部は、前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出した筒形状である、
付記2に記載のイヤホン係止具。
(付記4)
無端に形成され、付記1に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部に形成され、前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出した中実の閉止部と、
を備え、
前記装着部が前記イヤホン本体の前記被装着部に装着された状態で、前記閉止部が前記イヤホン本体の前記ベント部と嵌まる、
イヤホン係止具。
(付記5)
無端に形成され、付記1に記載のイヤホン本体であって前記イヤホン本体の耳への装着方向から見て前記被装着部が前後方向中心に対して線対称形状であるイヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出されると共に前記装着部の軸方向から見て前記装着部の中心線に対して線対称形状に形成され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、
前記装着部における前記中心線に対して前記開口部と線対称となる位置に形成される閉止部と、
を備える、
イヤホン係止具。
(付記6)
付記1に記載のイヤホン本体と、
付記2~付記5のいずれか一項に記載のイヤホン係止具と、
を備えたイヤホンセット。
(付記7)
前記イヤホン本体の耳への装着方向から見て前記被装着部が前後方向中心に対して線対称形状であり、
前記被装着部の軸方向から見て前記被装着部の中心線に対して前記ベント部と線対称となる位置に凹み部をさらに備えている、
付記1に記載のイヤホン本体。
(付記8)
無端に形成され、付記7に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出されると共に前記装着部の軸方向から見て前記装着部の中心線に対して線対称形状に形成され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出し、前記装着部が前記イヤホン本体の前記被装着部に装着された状態で、前記ベント部又は前記凹み部に嵌まる筒形状であり、前記装着部の内外周に連通する開口部と、
前記装着部の前記中心線に対して前記開口部と線対称となる位置で内周面から前記装着部の内側に突出し、前記装着部が前記イヤホン本体の前記被装着部に装着された状態で、前記ベント部又は前記凹み部に嵌まる中実の閉止部と、
を備える、
イヤホン係止具。
(付記9)
無端に形成され、付記7に記載のイヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出されると共に前記装着部の軸方向から見て前記装着部の中心線に対して線対称形状に形成され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、
前記装着部における前記中心線に対して前記開口部と線対称となる位置に形成される閉止部と、
を備え、
前記開口部又は前記閉止部のうち少なくともいずれか一方が前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出している、
イヤホン係止具。
(付記10)
前記中心線に対して直交する方向のうち前記開口部を有する方向を一方側とし、前記閉止部を有する方向を他方側とした場合に、前記装着部又は前記耳係止部の少なくとも一つに前記一方側及び前記他方側を識別するマークをさらに備える、
付記5又は付記8のいずれか一項に記載のイヤホン係止具。
(付記11)
付記7に記載のイヤホン本体と、
付記5又は付記8~付記10のいずれか一項に記載のイヤホン係止具と、
を備えたイヤホンセット。
(付記12)
前記イヤホン本体の前記被装着部及び前記イヤホン係止具の前記装着部の前記内周面のいずれか一方には、突出部が形成され、
前記イヤホン本体の前記被装着部及び前記イヤホン係止具の前記装着部の前記内周面のいずれか他方には、穴部が形成され、
前記装着部が前記イヤホン本体の前記被装着部に装着された状態で前記突出部と前記穴部が嵌まる、
付記6に記載のイヤホンセット。
(付記13)
前記突出部は、前記被装着部の外周面において前記ベント部自体若しくは該ベント部の周囲が突出しているか、又は前記装着部の内周面において前記ベント部に嵌まるように突出して形成されている、
付記12に記載のイヤホンセット。
(付記14)
前記被装着部には、該被装着部の軸方向から見て前記被装着部の中心線に対して、前記ベント部と線対称となる位置に凹部がさらに形成されており、
前記装着部には、筒形状とされた前記突出部としての前記開口部と、該被装着部の軸方向から見て前記被装着部の中心線に対して前記開口部と線対称となる位置に配置され前記ベント部及び前記凹部に選択的に嵌まる形状の他の突出部をさらに備えている、
付記13に記載のイヤホンセット。
(付記15)
無端に形成され、軸方向から見て前後方向中心に対して線対称形状であり、イヤホン本体に装着される装着部と、
前記装着部から延出されると共に前記装着部の軸方向から見て前記装着部の中心線に対して線対称形状に形成され、耳に係止される耳係止部と、
前記装着部に形成され、前記装着部の内外周に連通する開口部と、
前記装着部における前記中心線に対して前記開口部の線対称となる位置に形成される閉止部と、
を備えるイヤホン係止具。
(付記16)
前記中心線に対して直交する方向のうち前記開口部を有する方向を一方側とし、前記閉止部を有する方向を他方側とした場合に、前記装着部及び前記耳係止部の少なくとも一つに前記一方側及び前記他方側を識別するマークをさらに備えている、
付記15に記載のイヤホン係止具。
(付記17)
前記開口部は、前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出した筒形状であり、
前記閉止部は、前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出した中実形状である、
付記15~付記16のいずれか一項に記載のイヤホン係止具。
(付記18)
前記開口部又は前記閉止部のうち少なくともいずれか一方が前記装着部の内周面から前記装着部の内側に突出している、
付記15~付記16のいずれか一項に記載のイヤホン係止具。
(付記19)
付記15~付記16のいずれか一項に記載のイヤホン係止具と、
イヤホン本体と、
を備え、
前記イヤホン本体は、前記イヤホン係止具が装着される環状の被装着部であって、前記イヤホン本体の耳への装着方向から見て前後方向中心に対して線対称形状である被装着部が形成されており、
前記イヤホン本体は、前記被装着部とチャンバ又は音導管とを連通するベント部を有し、
前記イヤホン係止具の前記装着部が前記被装着部に装着された状態で、前記イヤホン係止具の前記開口部又は前記閉止部の位置が前記ベント部と一致する、
イヤホンセット。
(付記20)
付記17又は付記18に記載のイヤホン係止具と、
イヤホン本体と、
を備え、
前記イヤホン本体は、前記イヤホン係止具が装着される環状の被装着部であって、前記イヤホン本体の耳への装着方向から見て前後方向中心に対して線対称形状である被装着部が形成されており、
前記イヤホン本体は、前記被装着部とチャンバ又は音導管とを連通するベント部を有し、
前記イヤホン係止具の前記装着部が前記被装着部に装着された状態で、前記イヤホン係止具の前記開口部又は前記閉止部が前記ベント部に嵌まると共に、前記中心線に対して前記ベント部の線対称となる位置に形成され、前記開口部及び前記閉止部のいずれか一方が嵌まる凹み部をさらに備えている、
イヤホンセット。
【符号の説明】
【0159】
10・・・イヤホン本体
10A・・・第一イヤホン本体
10B・・・第二イヤホン本体
12・・・イヤホンセット
12A・・・第一イヤホンセット
12B・・・第二イヤホンセット
20・・・筐体
22・・・ハウジング
24・・・ベント部
24A・・・ベント孔
26・・・チャンバ
28・・・ドライバ
30・・・音導管
32・・・開口端
34・・・イヤーピース
36・・・装着溝(被装着部の一例)
38・・・凹み部
38A・・・凹み
40・・・突出部
42・・・穴部
50・・・イヤホン係止具
50A・・・第一イヤホン係止具
50B・・・第二イヤホン係止具
52・・・帯状体(装着部の一例)
54・・・耳係止部
56・・・閉止部
58・・・開口部
60・・・マーク
62・・・文字
64・・・突起
CL1・・・ユーザの左右方向の中心線
CL2・・・イヤホン本体の耳への装着方向から見て前後方向の中心線