(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161307
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】勤務状態管理システム、勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバー、勤務状態管理方法及び勤務状態管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20221014BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066017
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】521149220
【氏名又は名称】株式会社JCS管理
(74)【代理人】
【識別番号】100130007
【弁理士】
【氏名又は名称】垣木 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】川原 誠治
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】工事現場などに派遣され交通警備などを行なう警備員の勤務状態を管理するシステムにおいて、スマートフォンなどの携帯端末から、ワンアクション操作のみで自己の勤務開始時間、勤務終了時間、契約者側の責任者の確認サイン画像データなどを警備会社のサーバーに送信し、自動的に電子的管制日報を作成する。
【解決手段】警備員のうち報告者は、勤務開始及び勤務終了に際して自己の携帯端末3の画面上に表示されている勤務開始画面及び勤務終了画面にタッチすると、携帯端末3からサーバー1に勤務開始時間、勤務終了時間が送信される。さらに、携帯端末3の表示画面上のサイン領域に依頼者側担当者にサインをしてもらい、携帯端末3からサーバー1にサイン画像データを送信する。ネットワーク2を介してサーバー1に接続された管理者端末4の表示画面上に、勤務開始時間及び勤務終了時間を含む管制日報が表示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、従業員の勤務状態を管理するための勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバーと、ネットワークを介して前記サーバーと通信可能な1又は複数の携帯端末で構成された勤務状態管理システムであって、
前記サーバーは、
前記勤務状態管理プログラムを実行するサーバー演算処理部と、
前記1又は複数の携帯端末との間でデータの送受信を行なうサーバー通信部と、
前記1又は複数の携帯端末の画面表示用データを記憶する画面データ、従業員を派遣する1つの派遣業務に対する所定の業務指示データ及び前記携帯端末から送信される実績データを記憶するサーバーデータ記憶部と、
を備え、
前記1又は複数の携帯端末は、それぞれ
前記ネットワークを介して前記サーバーとの間でデータの送受信を行なう携帯端末通信部と、
前記サーバーから送信された前記画面データ及び前記業務指示データを記憶する携帯端末データ記憶部と、
前記画面データに対応する所定の画面を表示する画面表示部と、
前記携帯端末通信部を介して前記サーバーに送信するデータを入力する入力部と、
前記画面表示部及び前記入力部を制御する携帯端末演算処理部と、
を備え、
前記1又は複数の携帯端末は、前記サーバーから前記業務指示データを受信すると、前記画面表示部に前記業務指示データに対応する業務指示を表示し、
前記業務指示に従って従業員が勤務を開始する際、何れかの従業員(以下、「報告者」とする)が前記1又は複数の携帯端末のうち自己の携帯端末(以下、「報告者携帯端末」とする)から前記サーバーにアクセスすると、前記サーバーから前記報告者携帯端末に前記画面表示用データが送信され、
前記報告者携帯端末において、
前記携帯端末演算処理部は、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務開始画面を表示させ、前記入力部を介して前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記携帯端末通信部に、前記サーバー通信部に対して所定の勤務開始信号及び前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務開始時間を送信させ、
前記従業員が勤務を終了する際、前記携帯端末演算処理部は、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務終了画面を表示させ、前記入力部を介して前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記携帯端末通信部に、前記サーバー通信部に対して所定の勤務終了信号及び前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務終了時間を送信させ、
前記勤務終了信号及び前記勤務終了時間を送信すると、前記携帯端末演算処理部は、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定のサイン画面を表示し、前記入力部を用いて依頼者側の担当者によって前記サイン画面の所定の領域にサインが記載され、前記報告者が前記入力部を用いて前記サイン画面の所定の領域に所定のワンアクション操作を行なうと、前記携帯端末通信部に前記サーバー通信部に対して前記サイン画像データを送信させ、
前記サーバーにおいて、
前記サーバー演算処理部は、前記実績データ記憶部に前記携帯端末から受信した前記勤務開始信号、前記勤務開始時間、前記勤務終了信号、前記勤務終了時間及び前記サイン画像データを前記実績データとして前記サーバーデータ記憶部に記憶する、
ことを特徴とする勤務状態管理システム。
【請求項2】
前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に記憶されている前記業務指示データ及び前記実績データに基づいて管制日報データを作成し、前記サーバーデータ記憶部に記憶することを特徴とする請求項1に記載の勤務状態管理システム。
【請求項3】
前記サーバー演算処理部は、前記業務指示データと前記実績データとを比較し、少なくとも何れか一つに不一致がある場合に所定の相違データを作成し、前記管制日報データに含めることを特徴とする請求項2に記載の勤務状態管理システム。
【請求項4】
勤務状態管理システムは、前記サーバーとネットワークを介して接続された少なくとも1つの管理者端末をさらに備え、前記管理者端末からの操作に基づいて前記業務指示データを作成することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の勤務状態管理システム。
【請求項5】
前記管理者端末からアクセスがあったときに、前記管制日報データは前記サーバー通信部から前記管理者端末に送信され、前記管理者端末の表示画面上に前記管制日報データの内容が表示されることを特徴とする請求項4に記載の勤務状態管理システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、測位システム機能を備え、前記勤務開始画面の所定の領域が操作されたときに、前記開始信号と共に前記報告者携帯端末の位置情報を送信し、
前記サーバー演算処理部は、前記業務指示データの内容と受信した前記報告者携帯端末の位置情報を比較し、前記業務指示データの内容と受信した前記報告者携帯端末の位置情報とが不一致の場合に、前記報告者携帯端末に所定の注意信号を送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の勤務状態管理システム。
【請求項7】
前記サーバーは、所属する従業員の勤務データファイルを有し、前記報告者携帯端末から受信した前記勤務開始時間及び前記勤務終了時間と前記業務指示データを、前記業務指示データの内容に従って勤務した前記1又は複数の従業員の勤務データファイルに記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の勤務状態管理システム。
【請求項8】
勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバーであって、
前記勤務状態管理プログラムを実行するサーバー演算処理部と、
携帯端末との間でデータの送受信を行なうサーバー通信部と、
前記携帯端末の画面表示用データを記憶する画面データ、従業員を派遣する1つの派遣業務に対する所定の業務指示データ及び前記携帯端末から送信される実績データを記憶するサーバーデータ記憶部と、
を備え、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末からアクセスを受けたときに、前記サーバー演算処理部は、前記携帯端末に対して前記業務指示データを送信し、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末から再度アクセスを受けたときに、前記サーバー演算処理部は、前記携帯端末に対して前記画面表示用データを送信し、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末から勤務開始信号及び勤務開始時間が送信されたときに、前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に前記勤務開始信号及び前記勤務開始時間を記憶し、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末から勤務終了信号及び勤務終了時間が送信されたときに、前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に前記勤務終了信号及び前記勤務終了時間を記憶し、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末からサイン画像データが送信されたときに、前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に前記サイン画像データを記憶する、
ことを特徴とするサーバー。
【請求項9】
前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に記憶されている前記業務指示データ及び前記実績データに基づいて管制日報データを作成し、前記サーバーデータ記憶部に記憶することを特徴とする請求項8に記載のサーバー。
【請求項10】
前記サーバー演算処理部は、前記業務指示データと前記実績データとを比較し、少なくとも何れか一つに不一致がある場合に所定の相違データを作成し、前記管制日報データに含めることを特徴とする請求項9に記載のサーバー。
【請求項11】
少なくとも、従業員の勤務状態を管理する勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバーと、前記サーバーとネットワークを介して通信可能である少なくとも1つの携帯端末との間で実行される勤務状態管理方法であって、
従業員を派遣する1つの派遣業務に対して、前記サーバーから前記携帯端末に対して所定の業務指示データを送信するステップと、
前記1又は複数の携帯端末の表示画面上に前記業務指示データの内容を表示するステップと、
何れかの従業員(以下、「報告者」とする)が前記1又は複数の携帯端末のうち自己の携帯端末(以下、「報告者携帯端末」とする)から前記サーバーにアクセスしたときに、前記サーバーから前記報告者携帯端末に前記画面表示用データを送信するステップと、
前記報告者携帯端末において、
前記業務指示に従って従業員が勤務を開始する際、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務開始画面を表示するステップと、
前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記サーバーに対して所定の勤務開始信号及び前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務開始時間を送信するステップと、
前記従業員が勤務を終了する際、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務終了画面を表示するステップと、
前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記サーバーに対して所定の勤務終了信号及び前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務終了時間を送信するステップと、
前記勤務終了信号及び前記勤務終了時間を送信した後、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定のサイン画面を表示するステップと、
依頼者側の担当者によって前記サイン画面の所定の領域にサインが記載され、前記報告者が前記サイン画面の所定の領域に所定のワンアクション操作を行なったときに、前記サーバー通信部に対して前記サイン画像データを送信させ、
前記サーバーにおいて、
前記携帯端末から受信した前記勤務開始信号、前記勤務開始時間、前記勤務終了信号、前記勤務終了時間及び前記サイン画像データを実績データとして記憶するステップと、
を備えることを特徴とする勤務状態管理方法。
【請求項12】
前記サーバーにおいて、前記業務指示データ及び前記実績データに基づいて管制日報データを作成し、記憶するステップをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の勤務状態管理方法。
【請求項13】
前記サーバーにおいて、
前記業務指示データと前記実績データとを比較するステップと、
少なくとも何れか一つに不一致の場合に所定の相違データを作成するステップと、
前記相違データを前記管制日報データに含めるステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の勤務状態管理方法。
【請求項14】
ネットワークを介して前記サーバーと管理者端末を接続するステップと、
前記管理者端末からの操作に基づいて前記業務指示データを作成するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れか一項に記載の勤務状態管理方法。
【請求項15】
前記管理者端末からアクセスがあったときに、前記サーバーから前記管理者端末に前記管制日報データを送信するステップと、
前記管理者端末の表示画面上に所定の様式の管制日報を表示するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の勤務状態管理方法。
【請求項16】
請求項1乃至7の何れかに記載の勤務状態管理システムのサーバーにインストールされる勤務状態管理プログラムであって、
ネットワークを介して通信可能に接続された少なくとも1つの管理者端末の表示画面上に、少なくとも、顧客名、派遣先住所、勤務開始時間、勤務終了時間、派遣人数、派遣従業員名を入力させる業務指示データ作成画面を表示するステップと、
前記管理者端末から入力された少なくとも、顧客名、派遣先住所、勤務開始時間、勤務終了時間、派遣人数、派遣従業員名に基づいて、業務指示データを作成するステップと、
ネットワークを介して、作成された業務指示データを前記派遣従業員名に対応する1又は複数の携帯端末に送信するステップと、
前記1又は複数の携帯端末の表示画面上に前記業務指示データの内容を表示するステップと、
何れかの従業員(以下、「報告者」とする)が前記1又は複数の携帯端末のうち自己の携帯端末(以下、「報告者携帯端末」とする)から前記サーバーにアクセスしたときに、前記サーバーから前記報告者携帯端末に前記画面表示用データを送信するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記業務指示に従って従業員が勤務を開始する際、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務開始画面を表示するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記サーバーに対して所定の勤務開始信号及び前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務開始時間を送信するステップと、
前記サーバーにおいて、前記報告者携帯端末から、前記勤務開始信号及び前記勤務開始時間を受信するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記従業員が勤務を終了する際、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務終了画面を表示するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記サーバーに対して所定の勤務終了信号及び前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務終了時間を送信するステップと、
前記サーバーにおいて、前記報告者携帯端末から、前記勤務終了信号及び前記勤務開始時間を受信するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記勤務終了信号及び前記勤務終了時間を送信した後、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定のサイン画面を表示するステップと、
前記報告者携帯端末において、依頼者側の担当者によって前記サイン画面の所定の領域にサインが記載され、前記報告者が前記サイン画面の所定の領域に所定のワンアクション操作を行なったときに、前記サーバー通信部に対して前記サイン画像データを送信させ、
前記サーバーにおいて、前記携帯端末から受信した前記勤務開始信号、前記勤務開始時間、前記勤務終了信号、前記勤務終了時間及び前記サイン画像データを記憶するステップと、
を実行することを特徴とする勤務状態管理プログラム。
【請求項17】
前記サーバーにおいて、前記業務指示データ及び前記実績データに基づいて管制日報データを作成し、記憶するステップをさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の勤務状態管理プログラム。
【請求項18】
前記サーバーにおいて、
前記業務指示データと前記実績データとを比較するステップと、
少なくとも何れか一つに不一致の場合に所定の相違データを作成するステップと、
前記相違データを前記管制日報データに含めるステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の勤務状態管理プログラム。
【請求項19】
ネットワークを介して前記サーバーと管理者端末を接続するステップと、
前記管理者端末からの操作に基づいて前記業務指示データを作成するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項16乃至請求項18の何れか一項に記載の勤務状態管理プログラム。
【請求項20】
前記管理者端末からアクセスがあったときに、前記サーバーから前記管理者端末に前記管制日報データを送信するステップと、
前記管理者端末の表示画面上に所定の様式の管制日報を表示するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の勤務状態管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従業員の勤務状態管理システム、特に工事現場などに派遣され交通警備などを行なう警備員の勤務状態管理システム、勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバー、勤務状態管理方法及び勤務状態管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、道路沿いに設置されている電柱など、屋外で、且つ、閉鎖されていない場所で電気工事や電話工事などを行なう場合、工事用車両を避けて一般車両や歩行者の安全な通行を確保しなければならない。そのため、工事会社は、契約している警備会社に警備員の派遣を依頼する。工事現場などで交通警備を行なう警備員は、警備会社からの指示を受けて現場に赴き、安全誘導業務を行なう。一般的に、現場に到着した警備員は、勤務開始に際して携帯電話から警備会社に勤務開始を報告すると共に、勤務終了時にも携帯電話から警備会社に勤務終了を報告している。また、勤務状態を管理するため、警備員には管制日報(勤務日報)の提出が義務づけられており、管制日報に勤務開始時間及び勤務終了時間を記載すると共に、工事会社の責任者による確認の署名及び/又は捺印を受けなければならない。
【0003】
図18は、書面による一般的な管制日報の書式を示す。この管制日報は、例えば複写式の3枚重ねであり、警備会社名や業務種別などの所定の事項が予め印刷されている。一方、契約先名、現場名、勤務日、報告者名、勤務開始時間、勤務終了時間、警備員名、警備員数など、依頼内容によって不定の事項についてはその都度記載する必要がある。工事責任者の署名及び/又は捺印を受けた管制日報のうち1枚を工事会社の控えとして提出し、残りの枚葉は勤務状態管理のために警備会社に提出する。警備員は、警備会社からの指示に基づいて直接現場に出勤し、勤務終了後は直接帰宅する場合が多い。そのため、管制日報を提出するためだけに勤務を終了した警備員が警備会社に立ち寄ることは合理的ではなく、例えば一週間分の管制日報をまとめて手渡し、郵送、FAXなどによって提出することが行なわれている。ところが、警備員が管制日報を紛失したり、提出し忘れることも少なくない。さらに、警備員には高齢者も含まれるため、入院などによって管制日報の回収が遅れることもありうる。
【0004】
また、交通警備を伴う屋外での工事は、通勤ラッシュ時間帯を避けて行なわれることが多いため、複数の契約先を有する警備会社の場合、複数の現場での勤務開始時間や勤務終了時間が重複することがよくある。その場合、警備員からの勤務開始及び終了の電話連絡が短時間に集中して電話が繋がりにくく、その間、警備会社の担当者は他の電話に対応することができないという問題が生じる。また、警備員が電話連絡を忘れた場合、勤務開始又は勤務終了時間になっても連絡が無いため、警備員が実際に現場に行ったかどうか又は工事が完了したかどうかを確認しなければならなかった。
【0005】
また、管理日報に記載された事項のうち、契約先名、現場名、勤務日、報告者名、勤務開始時間、勤務終了時間、警備員名、警備員数などの主要事項は手書きで行なわれるため、記入間違いが生じる可能性がある。さらに、警備員の給与計算などを行なう場合、管制日報に手書きされた業務種別、勤務開始時間、勤務終了時間などを改めてコンピュータに入力し直す必要があり、事務手続が煩雑になると共に、入力ミスを生じる可能性がある。
【0006】
なお、特許文献1には、警備員が電話の代わりにネットワークを介して電子メールで勤務開始時間及び勤務終了時間をサーバーに送信することが記載されている。しかしながら、特許文献1の
図4によれば、勤務開始時間及び勤務終了時間の入力がワンアクション操作式ではないため、高齢の警備員にとっては取り扱いが困難な場合があり、入力ミスを誘発する可能性がある。また、勤務終了に際して工事会社の責任者による確認を受けていないため、改めて管制日報を作成しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、スマートフォンなどの携帯端末を介して、警備員などの従業員がより少ない回数のワンアクション操作のみで自己の勤務開始時間、勤務終了時間、契約者側の責任者の確認サイン画像データなどを所属会社のサーバーに送信し、自動的に、且つ、電子的に管制日報を作成しうる勤務状態管理システム、勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバー、勤務状態管理方法及び勤務状態管理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る勤務状態管理システムは、少なくとも、従業員の勤務状態を管理するための勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバーと、ネットワークを介して前記サーバーと通信可能な1又は複数の携帯端末で構成され、
前記サーバーは、
前記勤務状態管理プログラムを実行するサーバー演算処理部と、
前記1又は複数の携帯端末との間でデータの送受信を行なうサーバー通信部と、
前記1又は複数の携帯端末の画面表示用データを記憶する画面データ、従業員を派遣する1つの派遣業務に対する所定の業務指示データ及び前記携帯端末から送信される実績データを記憶するサーバーデータ記憶部と、
を備え、
前記1又は複数の携帯端末は、それぞれ
前記ネットワークを介して前記サーバーとの間でデータの送受信を行なう携帯端末通信部と、
前記サーバーから送信された前記画面データ及び前記業務指示データを記憶する携帯端末データ記憶部と、
前記画面データに対応する所定の画面を表示する画面表示部と、
前記携帯端末通信部を介して前記サーバーに送信するデータを入力する入力部と、
前記画面表示部及び前記入力部を制御する携帯端末演算処理部と、
を備え、
前記1又は複数の携帯端末は、前記サーバーから前記業務指示データを受信すると、前記画面表示部に前記業務指示データに対応する業務指示を表示し、
前記業務指示に従って従業員が勤務を開始する際、何れかの従業員(以下、「報告者」とする)が前記1又は複数の携帯端末のうち自己の携帯端末(以下、「報告者携帯端末」とする)から前記サーバーにアクセスすると、前記サーバーから前記報告者携帯端末に前記画面表示用データが送信され、
前記報告者携帯端末において、
前記携帯端末演算処理部は、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務開始画面を表示させ、前記入力部を介して前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記携帯端末通信部に、前記サーバー通信部に対して所定の勤務開始信号及び前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務開始時間を送信させ、
前記従業員が勤務を終了する際、前記携帯端末演算処理部は、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務終了画面を表示させ、前記入力部を介して前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記携帯端末通信部に、前記サーバー通信部に対して所定の勤務終了信号及び前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務終了時間を送信させ、
前記勤務終了信号及び前記勤務終了時間を送信すると、前記携帯端末演算処理部は、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定のサイン画面を表示し、前記入力部を用いて依頼者側の担当者によって前記サイン画面の所定の領域にサインが記載され、前記報告者が前記入力部を用いて前記サイン画面の所定の領域に所定のワンアクション操作を行なうと、前記携帯端末通信部に前記サーバー通信部に対して前記サイン画像データを送信させ、
前記サーバーにおいて、
前記サーバー演算処理部は、前記実績データ記憶部に前記携帯端末から受信した前記勤務開始信号、前記勤務開始時間、前記勤務終了信号、前記勤務終了時間及び前記サイン画像データを前記実績データとして前記サーバーデータ記憶部に記憶する、
ことを特徴とする。
【0010】
上記勤務状態管理システムにおいて、前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に記憶されている前記業務指示データ及び前記実績データに基づいて管制日報データを作成し、前記サーバーデータ記憶部に記憶するように構成してもよい。
【0011】
上記勤務状態管理システムにおいて、前記サーバー演算処理部は、前記業務指示データと前記実績データとを比較し、少なくとも何れか一つに不一致がある場合に所定の相違データを作成し、前記管制日報データに含めるように構成してもよい。
【0012】
上記勤務状態管理システムは、前記サーバーとネットワークを介して接続された少なくとも1つの管理者端末をさらに備え、前記管理者端末からの操作に基づいて前記業務指示データを作成するように構成してもよい。
【0013】
上記勤務状態管理システムにおいて、前記管理者端末からアクセスがあったときに、前記管制日報データは前記サーバー通信部から前記管理者端末に送信され、前記管理者端末の表示画面上に所定の様式の管制日報が表示されるように構成してもよい。
【0014】
上記勤務状態管理システムにおいて、前記携帯端末は、測位システム機能を備え、前記勤務開始画面の所定の領域が操作されたときに、前記開始信号と共に前記報告者携帯端末の位置情報を送信し、
前記サーバー演算処理部は、前記業務指示データの内容と受信した前記報告者携帯端末の位置情報を比較し、前記業務指示データの内容と受信した前記報告者携帯端末の位置情報とが不一致の場合に、前記報告者携帯端末に所定の注意信号を送信するように構成してもよい。
【0015】
上記勤務状態管理システムにおいて、前記サーバーは、所属する従業員の勤務データファイルを有し、前記報告者携帯端末から受信した前記勤務開始時間及び前記勤務終了時間と前記業務指示データを、前記業務指示データの内容に従って勤務した前記1又は複数の従業員の勤務データファイルに記憶するように構成してもよい。
【0016】
本発明に係る勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバーは、
前記勤務状態管理プログラムを実行するサーバー演算処理部と、
携帯端末との間でデータの送受信を行なうサーバー通信部と、
前記携帯端末の画面表示用データを記憶する画面データ、従業員を派遣する1つの派遣業務に対する所定の業務指示データ及び前記携帯端末から送信される実績データを記憶するサーバーデータ記憶部と、
を備え、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末からアクセスを受けたときに、前記サーバー演算処理部は、前記携帯端末に対して前記業務指示データを送信し、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末から再度アクセスを受けたときに、前記サーバー演算処理部は、前記携帯端末に対して前記画面表示用データを送信し、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末から勤務開始信号及び勤務開始時間が送信されたときに、前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に前記勤務開始信号及び前記勤務開始時間を記憶し、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末から勤務終了信号及び勤務終了時間が送信されたときに、前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に前記勤務終了信号及び前記勤務終了時間を記憶し、
前記サーバー通信部に対して前記携帯端末からサイン画像データが送信されたときに、前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に前記サイン画像データを記憶する、
ことを特徴とする。
【0017】
上記サーバーにおいて、前記サーバー演算処理部は、前記サーバーデータ記憶部に記憶されている前記業務指示データ及び前記実績データに基づいて管制日報データを作成し、前記サーバーデータ記憶部に記憶するように構成してもよい。
【0018】
上記サーバーにおいて、前記サーバー演算処理部は、前記業務指示データと前記実績データとを比較し、少なくとも何れか一つに不一致がある場合に所定の相違データを作成し、前記管制日報データに含めるように構成してもよい。
【0019】
本発明に係る勤務状態管理方法は、少なくとも、従業員の勤務状態を管理する勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバーと、前記サーバーとネットワークを介して通信可能である少なくとも1つの携帯端末との間で実行され、
従業員を派遣する1つの派遣業務に対して、前記サーバーから前記携帯端末に対して所定の業務指示データを送信するステップと、
前記1又は複数の携帯端末の表示画面上に前記業務指示データの内容を表示するステップと、
何れかの従業員(以下、「報告者」とする)が前記1又は複数の携帯端末のうち自己の携帯端末(以下、「報告者携帯端末」とする)から前記サーバーにアクセスしたときに、前記サーバーから前記報告者携帯端末に前記画面表示用データを送信するステップと、
前記報告者携帯端末において、
前記業務指示に従って従業員が勤務を開始する際、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務開始画面を表示するステップと、
前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記サーバーに対して所定の勤務開始信号及び前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務開始時間を送信するステップと、
前記従業員が勤務を終了する際、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務終了画面を表示するステップと、
前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記サーバーに対して所定の勤務終了信号及び前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務終了時間を送信するステップと、
前記勤務終了信号及び前記勤務終了時間を送信した後、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定のサイン画面を表示するステップと、
依頼者側の担当者によって前記サイン画面の所定の領域にサインが記載され、前記報告者が前記サイン画面の所定の領域に所定のワンアクション操作を行なったときに、前記サーバー通信部に対して前記サイン画像データを送信させ、
前記サーバーにおいて、
前記携帯端末から受信した前記勤務開始信号、前記勤務開始時間、前記勤務終了信号、前記勤務終了時間及び前記サイン画像データを実績データとして記憶するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0020】
上記勤務状態管理方法において、前記サーバーにおいて、前記業務指示データ及び前記実績データに基づいて管制日報データを作成し、記憶するステップをさらに備えるように構成してもよい。
【0021】
上記勤務状態管理方法の前記サーバーにおいて、
前記業務指示データと前記実績データとを比較するステップと、
少なくとも何れか一つに不一致の場合に所定の相違データを作成するステップと、
前記相違データを前記管制日報データに含めるステップと、
をさらに備えるように構成してもよい。
【0022】
上記勤務状態管理方法において、ネットワークを介して前記サーバーと管理者端末を接続するステップと、
前記管理者端末からの操作に基づいて前記業務指示データを作成するステップと、
をさらに備えるように構成してもよい。
【0023】
上記勤務状態管理方法において、前記管理者端末からアクセスがあったときに、前記サーバーから前記管理者端末に前記管制日報データを送信するステップと、
前記管理者端末の表示画面上に所定の様式の管制日報を表示するステップと、
をさらに備えるように構成してもよい。
【0024】
本発明に係る勤務状態管理プログラムは、
ネットワークを介して通信可能に接続された少なくとも1つの管理者端末の表示画面上に、少なくとも、顧客名、派遣先住所、勤務開始時間、勤務終了時間、派遣人数、派遣従業員名を入力させる業務指示データ作成画面を表示するステップと、
前記管理者端末から入力された少なくとも、顧客名、派遣先住所、勤務開始時間、勤務終了時間、派遣人数、派遣従業員名に基づいて、業務指示データを作成するステップと、
ネットワークを介して、作成された業務指示データを前記派遣従業員名に対応する1又は複数の携帯端末に送信するステップと、
前記1又は複数の携帯端末の表示画面上に前記業務指示データの内容を表示するステップと、
何れかの従業員(以下、「報告者」とする)が前記1又は複数の携帯端末のうち自己の携帯端末(以下、「報告者携帯端末」とする)から前記サーバーにアクセスしたときに、前記サーバーから前記報告者携帯端末に前記画面表示用データを送信するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記業務指示に従って従業員が勤務を開始する際、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務開始画面を表示するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記サーバーに対して所定の勤務開始信号及び前記勤務開始画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務開始時間を送信するステップと、
前記サーバーにおいて、前記報告者携帯端末から、前記勤務開始信号及び前記勤務開始時間を受信するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記従業員が勤務を終了する際、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定の勤務終了画面を表示するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定のワンアクション操作がなされたときに、前記サーバーに対して所定の勤務終了信号及び前記勤務終了画面の所定の領域に対して所定の操作がなされたときの勤務終了時間を送信するステップと、
前記サーバーにおいて、前記報告者携帯端末から、前記勤務終了信号及び前記勤務開始時間を受信するステップと、
前記報告者携帯端末において、前記勤務終了信号及び前記勤務終了時間を送信した後、前記画面表示用データを用いて、前記画面表示部に所定のサイン画面を表示するステップと、
前記報告者携帯端末において、依頼者側の担当者によって前記サイン画面の所定の領域にサインが記載され、前記報告者が前記サイン画面の所定の領域に所定のワンアクション操作を行なったときに、前記サーバー通信部に対して前記サイン画像データを送信させ、
前記サーバーにおいて、前記携帯端末から受信した前記勤務開始信号、前記勤務開始時間、前記勤務終了信号、前記勤務終了時間及び前記サイン画像データを記憶するステップと、
を実行することを特徴とする。
【0025】
上記勤務状態管理プログラムの前記サーバーにおいて、前記業務指示データ及び前記実績データに基づいて管制日報データを作成し、記憶するステップをさらに備えるように構成してもよい。
【0026】
上記勤務状態管理プログラムの前記サーバーにおいて、
前記業務指示データと前記実績データとを比較するステップと、
少なくとも何れか一つに不一致の場合に所定の相違データを作成するステップと、
前記相違データを前記管制日報データに含めるステップと、
をさらに備えるように構成してもよい。
【0027】
上記勤務状態管理プログラムにおいて、ネットワークを介して前記サーバーと管理者端末を接続するステップと、
前記管理者端末からの操作に基づいて前記業務指示データを作成するステップと、
をさらに備えるように構成してもよい。
【0028】
上記勤務状態管理プログラムにおいて、前記管理者端末からアクセスがあったときに、前記サーバーから前記管理者端末に前記管制日報データを送信するステップと、
前記管理者端末の表示画面上に所定の様式の管制日報を表示するステップと、
をさらに備えるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0029】
このように、本発明によれば、スマートフォンなどの携帯端末を介して、報告者がワンアクション操作のみで自己の勤務開始時間、勤務終了時間、契約者側の責任者の確認サインなどが所属会社のサーバーに送信され、自動的に、且つ、電子的に管制日報が作成されるので、報告者は煩わしい管制日報の作成、保管及び提出業務から開放される。また、所属会社にとっても、従業員の勤務状態が自動的に電子データとしてサーバーに保管されるので、従業員の勤務状態管理や給与計算などに必要な労力を大幅に削減することができる。また、勤務開始時間及び勤務終了時間は、携帯端末から自動的に送信され、記憶されるので、従来の手書きによる管制日報の誤記などに伴う無駄な業務から開放される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態に係る勤務状態管理システムの構成を示す図。
【
図2】管理者端末の表示画面上に表示されるログイン画面を示す図。
【
図3】管理者端末の表示画面上に表示される検索画面を示す図。
【
図4】管理者端末の表示画面上に表示される業務管理画面(業務指示データ作成画面)を示す図。
【
図5】携帯端末でアプリケーションプログラムを起動したときのログイン画面を示す図。
【
図6】携帯端末の表示画面上に表示される業務指示の内容の一例を示す図。
【
図7】携帯端末の表示画面上に表示される勤務開始画面を示す図。
【
図8】携帯端末の表示画面上に表示される勤務終了画面を示す図。
【
図9】携帯端末の表示画面上に表示されるサイン画面を示す図。
【
図10】携帯端末の表示画面上に設定される所定のサイン領域及びそこにサインが記載された状態を示す図。
【
図11】管理者端末の表示画面上に表示される受任案件一覧画面を示す図。
【
図12】業務終了後、管理者端末の表示画面上に表示された業務管理画面(管制日報画面)を示す図。
【
図13】上記勤務状態管理システムを運用するための勤務状態管理プログラムのサーバー側フローチャートを示す図。
【
図14】上記勤務状態管理プログラムの携帯端末側フローチャートを示す図。
【
図15】管理者端末の表示画面上に管制日報データの内容を表示するためのフローチャートを示す図。
【
図16】上記勤務状態管理プログラムのサーバー側フローチャートの変形例を示す図。
【
図17】上記勤務状態管理プログラムのサーバー側フローチャートの他の変形例を示す図。
【
図18】書面による一般的な管制日報の書式を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施例に係るシステムは、携帯端末からサーバーに勤務開始時間及び勤務終了時間などが送信され、自動的に、且つ、電子的に管制日報を作成しうる勤務状態管理システム、勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバー、勤務状態管理方法及び勤務状態管理プログラムに関するものであり、これについて説明する。以下の説明では、上記従来例の記載に合わせて、警備会社及びそこに所属する交通警備員を例にして説明するが、本発明はそれに限定されるものではなく、不定の現場に派遣される従業員の勤務状態管理に適応できることは言うまでもない。
【0032】
図1は本発明の一実施形態に係る勤務状態管理システムの構成を示す。この勤務状態管理システムは、従業員の勤務状態を管理する事務所に設置されるサーバー1と、ネットワーク2を介して通信可能な1又は複数の携帯端末3と、ネットワーク2を介してサーバーと通信可能な1又は複数の管理者端末4などで構成されている。この勤務状態管理システムを運用するための勤務状態管理プログラムはサーバー1にインストールされている。サーバー1としては、市販のサーバー用コンピュータやクラウドサーバーなどを利用することができる。携帯端末3は、例えばスマートフォンなどの携帯電話であり、表示画面兼入力部としてタッチパネルを備えている。また、管理者端末4としては、一般的なコンピュータを使用することができる。いずれの装置も構造は周知であるため、詳細な説明は省略する。
【0033】
サーバー1及び携帯端末3のブロック構成を示す。サーバー1は、この勤務状態管理プログラムを実行するサーバー演算処理部10(以下、「演算処理部10」と略称する)と、携帯端末3との間でデータの送受信を行なうサーバー通信部11(以下、「通信部11」と略称する)と、携帯端末3の画面表示用データを記憶する画面データ、従業員を派遣する1つの派遣業務に対する所定の業務指示データ及び携帯端末3から送信される実績データを記憶するサーバーデータ記憶部12(以下、「記憶部12」と略称する)とを備えている。また、携帯端末3は、それぞれ、ネットワークを介して前記サーバーとの間でデータの送受信を行なう携帯端末通信部31(以下、「通信部31」と略称する)と、サーバー1から送信された画面データ及び業務指示データを記憶する携帯端末データ記憶部32(以下、「記憶部32」と略称する)と、画面データに対応する所定の画面を表示する画面表示部33と、携帯端末通信部31を介してサーバー1に送信するデータを入力する入力部34と、画面表示部及び入力部を制御する携帯端末演算処理部35(以下、「演算処理部35」と略称する)とを備えている。
【0034】
記憶部12には、所属する警備員の氏名、各警備員ごとのメールアドレス、携帯端末からのログインID及びパスワード、各警備員ごとの勤務データファイル、契約先(顧客)リスト、業務種別、業務種別ごとの単価(時給)、過去の業務指示データや管制日報データなどが記憶されている。携帯端末3又は管理者端末4からサーバーにアクセスすると、サーバー1から携帯端末3又は管理者端末4に画面表示用データなどが送信され、警備員又は管理者は画面表示に従ってそれぞれの入力部を操作する。
【0035】
図2~
図4は、それぞれ管理者端末4の表示画面20上に表示されるログイン画面、検索画面及び業務指示作成画面を示す。契約者から警備依頼(派遣業務依頼)があると、管理者は、自己の管理者端末4からサーバー1にアクセスし、
図2に示すログイン画面から自己のログインID20a及びパスワード20bを入力し、ログインボタン20cをクリックして勤務状態管理システムにログインする。そして、
図3に示す検索画面から「新規作成」ボックス20dを選択して、新規な業務指示の作成を開始する。
図4に示す業務指示作成画面では、画面上部の比較的目立つ位置(例えば上部)には、指示した業務の進行状態などを表す「開始」、「終了」、「サイン」、「突合」の文字21が表示され、それぞれの表示の下には確認ボックス22が設けられている。これらについては後述する。
【0036】
また、表示画面の中央部には入力テーブル23が設けられており、左端の項目欄23aには入力すべき項目の一覧が列挙されている。入力欄は予定データ欄23bと実績データ欄23cの2つに分割されており、初期画面(雛形)では何も記載されていない。入力すべき項目としては、例えば契約先ID、契約先名、配置先名(派遣先住所)、業務種別、派遣日、勤務開始時間、勤務終了時間、報告者名、配置先責任者名、特記事項、警備員数、警備員名などが挙げられる。新規作成の場合、管理者は、契約先から依頼を受けた内容に従って順に予定データ欄に必要な事項を記載していく。
図4は、予定データ欄23bに必要なデータが全て記載された状態を示す。作成された業務指示データはサーバー1の記憶部12に記憶される。
図3に示す検索画面から「業務指示」ボックス20eを選択することにより、後述する業務指示データがサーバー1から携帯端末3に送信されるまでは予定データを修正することができる。複数の派遣業務依頼がある場合、それぞれの派遣業務依頼に応じて複数の業務指示データが作成され、サーバー1の記憶部12に記憶される。サーバー1は、1つの派遣業務に関して、その派遣業務の業務指示データに記載されている1又は複数の警備員に対してその業務指示データを送信する。複数の派遣業務に関しては、以下に説明するデータなどの送受信が並行して行なわれる。
【0037】
図4に記載された事例では、例えば、道路沿いに設置されている電柱などで電気工事や電話工事などを行なうために、「業務種別」として「工事用車両、一般車両及び歩行者の安全誘導」が記載され、それに伴って、「特記事項」として「交通誘導2級」が記載されている。管理者は、所属する警備員名、勤務希望日、所持する資格などを参照しながら適任者を指名する。この場合、警備員としては「特許 太郎」、「実用 二郎」、「意匠 三郎」の3名が指名され、さらに有資格者である「特許 太郎」が報告者として指名されている。
【0038】
警備員は、自己の携帯端末3を操作してサーバー1にアクセスし、ログインID及びパスワードを入力することにより、サーバー1の通信部11から記憶部12に記憶されている自分宛の業務指示データを受信する。
図5は携帯端末3の表示部33の表示画面50上に表示されているログイン画面を、
図6は表示画面50上に表示されている業務指示画面を示す。携帯端末3の表示画面50上にログインIDを表示するログインボックス51とパスワードを表示するパスワードボックス52及びログインボタン53が表示される。携帯端末3は、表示部33兼入力部34としてタッチパネルを備えている。
図5に示すログイン画面において、使用者(警備員)がログインボックス51及びパスワードボックス52に指をタッチさせることにより表示画面50下側にキーボード(図示せず)が表示され、キーボードを操作して、ログインID及びパスワードを入力する。
図5では、ログインID及びパスワードが入力された状態を示す。ログインID及びパスワードがサーバー1に送信され、通信部11がログインID及びパスワードを受信すると、サーバー1の演算処理部10は、記憶部12に記憶されている業務指示データの中からログインID及びパスワードに対応する警備員の名前が記載されている業務指示データを読み出し、通信部11に、記憶部12に記憶されている業務指示データを、ネットワーク2を介して、アクセスしてきた携帯端末3に送信させる。携帯端末3の通信部31が業務指示データを受信すると、演算処理部35は画面表示部33の表示画面50上に業務指示データの内容を表示する。
図6に示す業務指示画面では、表示画面50上に業務指示の内容を示す業務内容ボックス54が表示される。なお、
図6では派遣一覧ボタン55も表示されており、派遣一覧ボタン55にタッチすることにより、過去の派遣業務を確認することができる。また、業務内容ボックス54にタッチすることにより、派遣先の地図を表示するように構成してもよい。なお、警備員が自己の携帯端末3からサーバー1にアクセスするのを忘れることもあるため、管理者端末4の表示画面上に表示されている送信ボタン26をクリックして、サーバー1の演算処理部10は、通信部11に、記憶部12に記憶されている業務指示データを、ネットワーク2を介して、業務指示データに記載されている警備員の携帯端末3に送信させるように構成してもよい。また、業務指示データに記載された警備員から勤務できない旨の連絡があった場合、管理者は、
図3に示す検索画面から「業務指示」ボックス20eを選択し、他の警備員を指名し、業務指示データを修正することができる。
【0039】
警備員が業務指示に従って派遣先に到着し、勤務(警備業務)を開始する際、警備員のうちの報告者が自己の携帯端末(以下、「報告者携帯端末」とする)3からサーバー1にアクセスすると、サーバー1の演算処理部10は、通信部11に、記憶部12に記憶されている画面表示用データを、ネットワーク2を介して、アクセスがあった報告者携帯端末3に送信させる。基本的に、この画面表示用データは、業務指示データに記載されている1又は複数の警備員のうち、指名されている報告者に対してのみ送信される。報告者携帯端末3では、通信部31が画面表示用データを受信すると、演算処理部35は、画面表示用データを用いて、画面表示部33に
図7に示すような所定の勤務開始画面を表示させる。
図7に示す勤務開始画面では、業務内容ボックス54の下に、「開始」、「終了」、「サイン」の文字56が表示され、それぞれの表示の下には時間表示ボックス57が設けられている。さらに、業務指示の内容に変更があった場合にその変更を表示する変更ボックス58、業務種別の詳細を表示する業務種別ボックス59、勤務を開始する際にタッチする目標となる開始ボタン60及び操作を取り消して前の画面に戻るための戻りボタン61などが表示されている。変更ボックス58には、報告者端末3からサーバー1にアクセスして業務指示データを受信した後に加えられた変更事項、例えば勤務開始時間の変更、派遣される警備員の氏名や人数の変更などが表示される。戻りボタン61は操作のやり直しなどの際に前画面に戻るために使用されるものであり、他の画面においても表示される。この勤務状態管理システムでは、報告者が自己の報告者携帯端末3の画面表示部33の表示画面50に対して指をタッチさせるなどのワンアクション操作を行なうことによって、管理者携帯端末3からサーバー1に対して自動的に所定の信号やデータが送信されるように構成されている。そのため、報告者は、戻りボタン61の領域を除く表示画面50の何れかの所定の領域に対してワンアクション操作を行なえば良い。なお、以下の説明では、便宜上「開始ボタン60」などと表現する。後述する勤務終了画面及びサイン画面についても同様である。
【0040】
報告者が、勤務開始にあたって開始ボタン60に指をタッチさせると、携帯端末3の演算処理部35は、通信部31に、ネットワーク2を介してサーバー1に所定の勤務開始信号と、報告者が開始ボタン60にタッチした時間(勤務開始時間)を送信させると共に、
図8に示すように勤務終了画面に移行する。勤務終了画面では、時間表示ボックス57に勤務開始時間が表示されると共に、開始ボタン60に代わって終了ボタン62が表示される。この後、報告者は、勤務終了までこの画面にアクセスする必要はないので、戻りボタン61を操作してこの勤務状態管理システムから抜けてもよいし、そのまま放置すれば携帯端末3の節電機能によりスリープモードに移行する。
【0041】
警備業務を終了し、警備員が勤務を終了する際、報告者が再度報告者携帯端末3を操作すると、再び
図8に示す勤務終了画面が表示される。報告者が終了ボタン62に指をタッチさせると、携帯端末3の演算処理部35は、通信部31に、ネットワーク2を介してサーバー1に所定の勤務終了信号及び報告者が終了ボタン62にタッチした時間(勤務終了時間)を送信させ、
図9に示すサイン移行画面に移行する。
図9に示すサイン移行画面では、時間表示ボックス57に勤務終了時間が表示されると共に、終了ボタン62に代わってサインボタン63が表示される。
【0042】
報告者がサインボタン63に指をタッチさせると、報告者携帯端末3の演算処理部35は、画面表示用データを用いて、画面表示部33に
図10に示す所定のサイン画面を表示する。
図10に示すサイン画面では、画面表示部35の表示画面50上に所定のサイン領域64が設定されると共に、サインボタン63に代わって完了ボタン65が表示される。
図10は、依頼先の工事責任者にサインを記載してもらった状態を示す。前述のように、報告者携帯端末3の表示画面50は入力部を兼ねたタッチパネルであるので、依頼者側の責任者に、サイン領域64に指などで自己の名前を記載してもらう。その後、報告者が完了ボタン65に指をタッチさせることにより、携帯端末3の演算処理部35は、通信部31に、ネットワーク2を介してサーバー1に所定の業務完了信号と共にサイン画像データを送信させる。なお、サーバー1がサイン画像データを受信することによって業務完了を認識できるので、業務完了信号の送信を省略してもよい。
【0043】
携帯端末3から送信された勤務開始信号、勤務開始時間、勤務終了信号、勤務終了時間、業務完了信号及びサイン画像データは、随時サーバー1の記憶部12のそれぞれの記憶領域に蓄積される。管理者は、管理者端末4からサーバー1にアクセスして受任した警備業務(派遣業務)の進行状況を確認することができる。例えば、
図3に示す検索画面において「案件一覧」ボックス20fをクリックすると、管理者端末4の表示画面20上に
図11に示すような受任案件一覧画面が表示される。受任案件一覧画面の進行状況表示テーブル24には、縦方向に受任した複数の警備業務が派遣日順に一覧表示され、同一の派遣日の場合は受任日時順や勤務開始時間順など一定のルールに従って表示される。また、個々の警備業務に関しては、横方向に、契約先ID、契約先名、派遣先、派遣日、勤務開始時間及び勤務終了時間(派遣時間)、警備員数(人数)など、
図4に示す業務管理画面の予定データに入力されている事項が列挙されている。さらに、それらの右側には、業務の進行状態などを表す「開始」、「終了」、「サイン」、「突合」に対応して、「済」や「相違」を表示するための進行状況表示ボックス24a~24dが設けられている。さらに、進行状況表示テーブル24の右端には、詳細画面に移行するための「詳細」ボタン24eが設けられている。なお、前記「突合」との表示は、比較結果であることを示す表示であればよく「突合」の表示に限定されるものではない。
【0044】
図11において、管理者が管理端末4からサーバー1にアクセスした日時が2021年1月9日であると仮定して、一番上の警備業務欄25aは翌日の警備業務であり、何れのボックス24a~24cにも「済」が表示されていない状態を示す。上から2番目の警備業務欄25bは、警備業務が完了し、依頼者側の責任者にサインをもらっているので進行状況表示ボックス24a~24cに「済」が表示されているが、予定データ23bと実績データ23cの何れかの項目に不一致があったため、進行状況表示ボックス24dに「相違」が表示されている状態を示している。上から3番目の警備業務欄25cは、警備業務が完了し、依頼者側の責任者にサインをもらっているので進行状況表示ボックス24a~24cに「済」が表示され、予定データ23bと実績データ23cの何れかの項目にも不一致がなかったため、進行状況表示ボックス24dに表示されていない状態を示している。上から4番目の警備業務欄25dは、勤務は終了しているので進行状況表示進行状況表示ボックス24a及び24bに「済」が表示されているが、依頼者側の責任者にサインをもらっていないので進行状況表示ボックス24cには「済」が表示されておらず、予定データ23bと実績データ23cの何れかの項目の何れかに不一致があったため、進行状況表示ボックス24dに「相違」が表示されている状態を示している。上から5番目の警備業務欄25eは、勤務を開始しているので進行状況表示ボックス24aに「済」が表示されているが、勤務が終了していないので進行状況表示ボックス24b~24dに何も表示されていない状態を示している。また、上から6番目の警備業務欄25fは、前日の警備業務の結果を示している。例えば、マウスやキーボードを操作して画面を上下にスクロールすることにより、画面に表示されていない過去の警備業務や未実施の警備業務を表示することができる。
【0045】
図11に示す進行状況表示テーブル24の右端の「詳細」ボックスを選択(クリック)すると、管理者端末4の表示画面20上に、クリックされた「詳細」ボックスが含まれる警備業務の詳細が表示される。
図12は、
図11における上から2番目の警備業務25bの「詳細」ボックスがクリックされた場合の、管理者端末4の表示画面20上に表示される詳細な業務管理画面(管制日報画面)を示す。
図12において、確認ボックス22には、勤務開始信号、勤務終了信号及びサイン画像データ又は業務完了信号を受信したことを示す「済」が表示されている。また、実際の勤務開始時間及び勤務終了時間が実績データ欄23cに自動的に記載される。この勤務状態管理システムでは、予定データ欄23bに記載されている内容と実績データ欄23cに記載されているデータを比較する機能を有しており、不一致項目が存在する場合には、「突合」の文字の下のボックス22に「相違」と表示される。また、項目欄23aの不一致項目にも「相違」と表示される。この勤務状態管理システムでは、勤務開始時間や勤務終了時間の他、派遣先や派遣された警備員数など、警備業務開始前に設定した予定データと、実際に行なった警備業務の実績データを自動的に比較している。この予定データと実績データとを自動的に比較する行為又は動作を「突合」と称している。そして、管理者の注意を喚起するために、管理者端末4の表示画面20上に表示される受任案件一覧画面や業務管理画面において、不一致項目を目立たさせるように注意喚起表示として「相違」を併記している。これらの「相違」の文字は目立つように例えば赤色などで表示される。なお、この画面では、サイン画像は表示されていない。比較項目としては、勤務開始時間及び勤務終了時間の他に、派遣先(工事現場の位置)、警備員名や警備員数などが挙げられる。
【0046】
図12において、管理者端末4の表示画面上に表示されている内容(データ)は、サーバー1の記憶部12に管制日報データとして保存される。
図3に示す検索オプション画面において、例えば「管制日報」ボックス20gを選択することにより、
図18に示すような様式の管制日報に変換されて、依頼者に送信される。また、サーバー1の記憶部12に、この警備会社に所属する従業員の勤務データファイルを予め作成しておき、実績データ欄23cに記載されている実際の勤務開始時間及び勤務終了時間と業務指示データ(業務種別)を、業務指示データの内容に従って勤務した従業員の勤務データファイルに記憶する。また、経理担当者の管理者端末4からサーバー1の勤務データファイルにアクセスすることにより、所属する各警備員ごとの勤務時間管理及び給与計算などを行なうことができる。
【0047】
このように、本実施形態に係る勤務状態管理システムによれば、工事現場などに派遣される警備員のうち報告者は、勤務開始に際して携帯端末3の画面表示部33の表示画面50上に表示されている開始ボタン60に指をタッチさせ、勤務終了に際しても終了ボタン62に指をタッチさせ、さらにサイン領域64に依頼者の工事責任者にサインを記載してもらった後、完了ボタン65に指をタッチさせるだけで、サーバー1上に自動的に管制日報データが作成され、保存される。その結果、報告者が自ら管制日報を作成したり、作成した管制日報を保管したり会社に提出する必要がなくなる。なお、報告者による携帯端末3の画面表示部33に対する操作としては、タッチパネル上に指をタッチさせるだけでなく、タッチペンをタッチさせるなど、ワンタッチ操作であればよい。さらに、携帯端末3の画面表示部33兼入力部34として非接触タッチパネルなどを用いてもよい。
【0048】
また、報告者が開始ボタン60及び終了ボタン62にタッチした勤務開始時間及び勤務終了時間が、携帯端末3からサーバー1に自動的に送信され、サーバー1に記憶されるので、業務の予定と実績の比較、個々の警備員の勤務時間管理や給与計算などが容易になる。
【0049】
次に、本実施形態に係る勤務状態管理システムの変形例について説明する。勤務場所、すなわち工事現場などが、新たに開発されたいわゆるニュータウンなどの場合、道路が幾何学的に整備されているため、警備員が業務指示データで指示された派遣先とは異なる場所に出勤することも少なくない。この変形例では、スマートフォンなどの携帯端末3のGPS(Global Positioning System)などの測位システム機能を用いて、報告者携帯端末3の画面表示部33の表示画面50上に表示されている開始ボタン60が操作されたときに、勤務開始信号及び勤務開始時間と共に報告者携帯端末3の位置情報を送信するように構成してもよい。サーバー1の演算処理部10は、業務指示データに記載されている派遣先データと受信した報告者携帯端末3の位置情報を比較し、業務指示データの派遣先データと受信した報告者携帯端末3の位置情報とが不一致の場合に、通信部11に、報告者携帯端末3に所定の注意信号を送信させるように構成してもよい。
【0050】
次に、上記勤務状態管理システムを運営するために、サーバー1に(必要に応じて管理者端末4にも)インストールされている勤務状態管理プログラムについて、
図13及び
図14に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
図13はサーバー1側のフローを示す。以下の説明において、ステップ(#2)におけるアクセスは、例えば
図4における「特許 太郎」、「実用 二郎」及び「意匠 三郎」からのアクセスを意味し、ステップ(#4)におけるアクセスは報告者である「特許 太郎」からのアクセスを意味する。
【0051】
サーバー1側では、
(1)管理者端末4の表示画面20上に
図4に示す業務指示データ作成画面を表示し、管理者端末4から、少なくとも、顧客名、派遣先住所、勤務開始時間、勤務終了時間、派遣人数、派遣従業員名を入力させて業務指示データを作成し、記憶部12に記憶するステップ(#1)と、
(2)矢印Aで示すように、何れかの携帯端末3からのログインID及びパスワードなどの受信待ち(アクセス待ち)するステップ(#2)と、
(3)矢印Bで示すように、何れかの携帯端末3からアクセスがあったときに(#2でYes)、記憶部12からその携帯端末3に該当する警備員が記載されている業務指示データを読み出し、ネットワーク2を介して、その携帯端末3に送信するステップ(#3)と、
(4)矢印Cで示すように、報告者携帯端末3からアクセスされるのを待ち受けるステップ(#4)と、
(5)報告者携帯端末3からアクセスがあったときに(#4でYes)、矢印Dで示すように、報告者携帯端末3に対して画面表示用データを送信するステップ(#5)と、
(6)矢印Eで示すように、報告者携帯端末3からの勤務開始信号及び勤務開始時間の受信待ちをするステップ(#6)と、
(7)勤務開始信号及び勤務開始時間を受信したときに、勤務開始信号及び勤務開始時間を業務指示データに対応させて記憶部12に記憶するステップ(#7)と、
(8)勤務開始信号及び勤務開始時間受信した後、矢印Fで示すように、報告者携帯端末3からの勤務終了信号及び勤務終了時間の受信待ちをするステップ(#8)と、
(9)勤務終了信号及び勤務終了時間を受信したときに、勤務終了信号及び勤務終了時間を前記業務指示データに対応させて記憶部12に記憶するステップ(#9)と、
(10)勤務終了信号及び勤務終了時間を受信した後、矢印Gで示すように、報告者携帯端末3からサイン画像データの受信待ちをするステップ(#10)と、
(11)サイン画像データを受信したときに、サイン画像データを業務指示データに対応させて記憶するステップ(#11)と、
(12)業務指示データ及び受信した勤務開始信号、勤務開始時間、勤務終了信号、勤務終了時間及びサイン画像データに基づいて、管制日報データを作成するステップ(#12)と、
(13)作成された管制日報データのうち、例えば
図12に示す予定データ欄23bに記載されている項目と、実績データ欄23cに記載されている項目を順に比較するステップ(#13)と、
(14)比較した項目の何れかに不一致がある場合に(#14でYes)、所定の相違データを作成し、相違データを管制日報データに含めるべく、記憶部12に記憶するステップ(#15)と、
(15)管理者端末4からアクセスがあったときに(#16でYes)、サーバー1から管理者端末4に管制日報データを送信するステップ(#17)と、
(16)
図12に示すように、管理者端末4の表示画面20上に管制日報データの内容を表示するステップ(#18)と、
を実行する。
【0052】
携帯端末3にはこの勤務状態管理システムを運営するためのアプリケーションプログラムはインストールされておらず、サーバー1から送信される業務指示データ及び画面表示用データを用いて画面表示部33に業務指示や勤務開始画面、勤務終了画面、サイン画面などが表示される。
図14は携帯端末3側のフローを示す。
【0053】
携帯端末3側では、
(A)警備員が自己の携帯端末3に対してログインIDやパスワードの入力など所定の操作を行なったときに(#51でYes)、矢印Aで示すように、携帯端末3からサーバー1にアクセスを行なうステップ(#52)と、
(B)矢印Bで示すように、サーバー1から送信される自己に対する業務指示データを受信するステップ(#53)と、受信した業務指示の内容を携帯端末3の画面表示部33の表示画面50上に、
図6に示すように業務内容ボックス54に業務指示データの内容(業務指示)を表示するステップ(#54)と、
(C)業務指示データの内容を表示した後、従業員のうち報告者によって所定の操作(
図5と同様のログイン)がなされたときに(#55でYes)、矢印Cで示すように、報告者携帯端末3からサーバー1にアクセスする(ログインID、パスワード送信)ステップ(#56)と、
(D)矢印Dで示すように、サーバー1から画面表示用データを受信するステップ(#57)と、
(E)受信した画面表示用データを用いて、報告者携帯端末3の表示画面50上の第1所定位置に開始ボタン60を表示するステップ(#58)と、
(F)報告者が開始ボタン60にタッチしたとき(#59でYes)に、矢印Eで示すように、勤務開始信号及び開始ボタン60にタッチしたときの勤務開始時間を送信するステップ(#60)と、
(G)勤務開始信号及び勤務開始時間を送信した後、報告者携帯端末3の表示画面50上の第2所定位置(ボックス57)に勤務開始時間を表示すると共に、第1所定位置に終了ボタン62を表示するステップ(#61)と、
(H)報告者が終了ボタン62にタッチしたときに(#62でYes)、矢印Fで示すように、勤務終了信号及び終了ボタン62にタッチしたときの勤務終了時間を送信するステップ(#63)と、
(I)勤務終了信号及び勤務終了時間を送信した後、報告者携帯端末3の表示画面50上の第3所定位置(ボックス57)に勤務終了時間を表示すると共に、第1所定位置にサインボタン63を表示するステップ(#64)と、
(J)報告者がサインボタン63にタッチしたときに(#65でYes)、報告者携帯端末3の表示画面50上にサイン領域64を設定すると共に、第1所定位置に完了ボタン65を表示するステップ(#66)と、
(K)サイン領域64に依頼者側の責任者によってサインが記載され、報告者によって完了ボタン65がタッチされたときに(#67でYes)、矢印Fで示すように、報告者携帯端末3からサーバー1に対してサイン画像データを送信するステップ(#68)と、
を実行する。
【0054】
次に、
図13に示すフローチャートにおいて、ステップ(#17)でサーバー1から管制日報データが管理者端末4に送信され、ステップ(#18)で管理者端末4の表示画面上に管制日報データの内容(業務管理画面)を表示するステップについてさらに詳細に説明する。業務完了後は、管理者端末4の表示画面上に
図12に示す管制日報データの内容が表示される。
図15は管理者端末4の表示画面上に管制日報データの内容を表示するためのフローチャートを示す。
【0055】
サーバー1の演算処理部10は、記憶部12に勤務開始信号及び勤務開始時間が記憶されているか否かを判断し(#21)、これらが記憶されている場合(#21でYes)、実績データ欄23cの勤務開始時間欄に受信した(実績)勤務開始時間を表示し(#22)、「開始」文字の下方の開始確認ボックスに「済」を表示する(#23)。次に、演算処理部10は、記憶部12に勤務終了信号及び勤務終了時間が記憶されているか否かを判断し(#24)、これらが記憶されている場合(#24でYes)、実績データ欄23cの勤務終了時間欄に受信した(実績)勤務終了時間を表示し(#25)、「終了」文字の下方の終了確認ボックスに「済」を表示する(#26)。さらに、演算処理部10は、記憶部12にサイン画像データが記憶されているか否かを判断し(#27)、サイン画像データが記憶されている場合(#27でYes)、「サイン」文字の下方のサイン確認ボックスに「済」を表示する(#28)。管理者端末4の表示画面上に
図12に示す管制日報データの内容が表示されている場合、サイン画像自体は表示されないが、例えば
図3に示す検索オプション画面において、「サイン」ボックス20hを選択することによって閲覧することが可能である。
【0056】
次に、演算処理部10は、予定データ欄に記載されている(予定)勤務開始時間と上記(実績)勤務開始時間とを比較し(#29)、不一致の場合に(#29でNo)、「突合」文字の下方の開始確認ボックスに「相違」を表示する(#30)と共に、項目欄23aの勤務開始時間欄に「相違」を表示する(#31)。さらに、演算処理部10は、予定データ欄に記載されている(予定)勤務終了時間と上記(実績)勤務終了時間とを比較し(#32)、不一致の場合に(#32でNo)、項目欄23aの勤務終了時間欄に「相違」を表示する(#33)。
【0057】
勤務開始時間及び勤務終了時間の比較が完了すると、予定データ欄23bに記載されているその他の事項と実績データ欄23cに記載されているその他の事項とを順に比較する。
図12に示す事例では、予定データ欄23bに記載されている警備員数及び警備員名と、実績データ欄23cに記載されている警備員数及び警備員名とが異なっている。演算処理部10は、予定データ欄23bに記載されている警備員数と実績データ欄23cに記載されている警備員数とを比較し(#34)、不一致の場合に(#34でNo)、項目欄23aの警備員数欄及び警備員欄にそれぞれ「相違」を表示し(#35、#36)、さらに実績データ欄23cの警備員欄に実際に勤務した警備員名を表示する(#37)。
図12に示す事例では、例えば「意匠 三郎」が体調不良で勤務できなかった場合を示している。一般的に、「意匠 三郎」は、管理者又は報告者に対して電話やメールで勤務できない旨を通知するので、勤務開始に際して、管理者又は報告者が自己の管理端末4又は携帯端末3からサーバー1にアクセスして、警備員名を修正する。
図12では、この修正が反映されている。
【0058】
また、
図16は上記変形例に対応したフローチャートを示す。上記勤務状態管理システムの基本構成では、報告者携帯端末3から、勤務開始信号及び勤務開始時間を受信するように構成されているが、上記変形例では、さらに報告者携帯端末3の位置情報も構成されている。そこで、ステップ(#6)の所定の勤務開始信号及び勤務開始時間の受信待ちに代えて、(17)報告者携帯端末3から、勤務開始信号及び勤務開始時間に加えて報告者携帯端末3の位置情報の受信待ちを行うステップ(#6A)と、
(18)報告者携帯端末3から、勤務開始信号及び勤務開始時間と共に報告者携帯端末3の位置情報を受信したときに(#6AでYes)、業務指示データの内容(派遣先)と受信した報告者携帯端末3の位置情報を比較するステップ(#6B)と、
(19)業務指示データの内容と受信した報告者携帯端末3の位置情報とが不一致(すなわち携帯端末位置が正しくない)の場合に(#6BでNo)、矢印Hで示すように、報告者携帯端末3に所定の注意信号を送信するステップ(#6D)と、
をさらに備えるように構成してもよい。
【0059】
さらに、
図17に他の変形例を示すフローチャートを示す。上記勤務状態管理システムにおいて、経理担当者の管理者端末4からサーバー1にアクセスして、所属する警備員ごとの勤務時間管理及び給与計算などを行なえるようにするために、勤務状態管理システムの運用開始に先立って、サーバー1の記憶部12内に予め所属する従業員の勤務データファイルを作成しておく(#100)。そして、管制日報データが作成された後、報告者携帯端末3から受信した勤務開始時間及び勤務終了時間と業務指示データを、業務指示データの内容に従って勤務した1又は複数の従業員(
図2の事例の場合、2名)の勤務データファイルに記憶するステップ(#19)をさらに備えるように構成してもよい。
【0060】
このように、本発明に係る勤務状態管理システム、勤務状態管理プログラムがインストールされたサーバー、勤務状態管理方法及び勤務状態管理プログラムによれば、市販のサーバー用コンピュータ、パーソナルコンピュータ及びスマートフォンなどの携帯端末を用いて、管制日報の作成、従業員の勤務状態管理などをペーパーレスで、且つ、自動的に行なうことができる。また、従業員(警備員)は、管制日報の作成、管理及び提出といった、本来の業務(例えば、交通警備業務)とは異なる煩わしい業務から開放される。
【符号の説明】
【0061】
1 サーバー
2 ネットワーク
3 携帯端末
4 管理者端末
10 (サーバーの)演算処理部
11 (サーバーの)通信部
12 (サーバーの)記憶部
20 管理者端末の表示画面
21 業務進行状態を表す文字表示
22 業務進行状態を示す確認ボックス
23 入力テーブル
23a (入力テーブルの)項目欄
23b (入力テーブルの)予定データ欄
23c (入力テーブルの)実績データ欄
24 進行状況表示テーブル
24a~24d 進行状況表示ボックス
24e 「詳細」ボタン
25a~25f 警備業務欄
26 送信ボタン
31 (携帯端末の)通信部
32 (携帯端末の)記憶部
33 (携帯端末の)画面表示部
34 (携帯端末の)入力部
35 (携帯端末の)演算処理部
50 携帯端末の表示画面
51 ログインボックス
52 パスワードボックス
53 ログインボタン
54 業務内容ボックス
55 派遣一覧ボタン
56 「開始」、「終了」、「サイン」の文字表示
57 時間表示ボックス
58 変更ボックス
59 業務種別ボックス
60 開始ボタン
61 戻りボタン
62 終了ボタン
63 サインボタン
64 サイン領域
65 完了ボタン