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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161313
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】殺菌処理製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/06 20060101AFI20221014BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20221014BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20221014BHJP
   B65B 55/12 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B65B55/06 C
B65D81/24 J
B65B55/04 S
B65B55/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066029
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000152480
【氏名又は名称】株式会社日阪製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】浜田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】今村 恵
(72)【発明者】
【氏名】堤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】御船 和徳
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AC03
3E067BA10A
3E067BB14A
3E067BC02A
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA29
3E067EA32
3E067EB27
3E067FA01
3E067FB12
3E067FC01
3E067GA18
3E067GC06
3E067GD01
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】物性の異なる二種類以上の内容物を殺菌処理して容器に収容した殺菌処理製品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、上方に開口を有する容器本体に第一の内容物を収容する第一収容工程と、前記容器本体に蓋部材を被せ、前記開口の周縁に沿って前記容器本体と前記蓋部材とをシールする一次シール工程であって、前記容器本体と前記蓋部材とがシールされた際に、前記容器本体の内部と外部とが流通可能な流通路が形成されている一次シール工程と、前記流通路を介して殺菌用ガスを前記容器本体の内部に導入し、前記殺菌用ガスによって前記第一の内容物を殺菌する殺菌工程と、前記流通路を介して第二の内容物を前記容器本体の内部に収容する第二収容工程と、前記流通路を閉塞するよう前記容器本体と前記蓋部材とをシールする二次シール工程と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口を有する容器本体に第一の内容物を収容する第一収容工程と、
前記容器本体に蓋部材を被せ、前記開口の周縁に沿って前記容器本体と前記蓋部材とをシールする一次シール工程であって、前記容器本体と前記蓋部材とがシールされた際に、前記容器本体の内部と外部とが流通可能な流通路が形成されている一次シール工程と、
前記流通路を介して殺菌用ガスを前記容器本体の内部に導入し、前記殺菌用ガスによって前記第一の内容物を殺菌する殺菌工程と、
前記流通路を介して第二の内容物を前記容器本体の内部に収容する第二収容工程と、
前記流通路を閉塞するよう前記容器本体と前記蓋部材とをシールする二次シール工程と、を備える、ことを特徴とする殺菌処理製品の製造方法。
【請求項2】
前記第二の内容物が、固体状、液体状、粉体状、及び、ゲル状の少なくとも一つである、請求項1記載の殺菌処理製品の製造方法。
【請求項3】
前記容器本体は、前記開口の周縁に沿って設けられたフランジ部を備え、
前記流通路が、前記フランジ部に形成された貫通孔を含む、請求項1又は請求項2記載の殺菌処理製品の製造方法。
【請求項4】
前記容器本体は、前記開口の周縁に沿って設けられたフランジ部を備え、
前記流通路が、前記フランジ部と前記蓋部材との間に形成された間隙を含む、請求項1又は請求項2記載の殺菌処理製品の製造方法。
【請求項5】
さらに、前記流通路を介して前記容器本体の内部に不活性ガスを供給するガス置換工程を備える、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の殺菌処理製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌処理された内容物を含む殺菌処理製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装食品には、食品工場等で調理・加工された食品が開口を有する容器内に収容され、該容器にトップシートやかぶせ蓋をした状態で流通されるものがある。しかし、トップシートやかぶせ蓋を用いた包装食品は、完全に密封されたものではないため、外気が容器内へ侵入する可能性がある。従って、これらの包装食品の日持ちは概ね1~2日と非常に短く、廃棄ロス率が非常に高い(製品歩留まりが悪い)という問題がある。
【0003】
最近、このような包装食品として、容器と蓋とがヒートシールされるなど容器内が完全に密封されて日持ちを延ばした包装食品が流通するようになっている。中には、冷蔵保存することで日持ちが2週間を超える包装食品もある。
【0004】
しかしながら、ヒートシール等で容器を密封することで外部からの細菌の浸入を防ぐことはできても、成形容器の内部は完全無菌の状態ではない。従って、流通過程において環境が変化することで容器内の細菌が繁殖する可能性は十分に考えられる。そのため、日持ちをさらに長くするためには、食品工場での作業環境をできるだけ無菌状態に近づけるべく、清浄度を厳しく管理することが要求される。従来、食品を容器に収容した状態で加熱殺菌した後、クリーンルーム(無菌室)内で該容器本体を蓋部材で密閉する方法が提案されており(特許文献1)、例えば、調理・加工された食品を取り扱う作業環境の清浄度は、NASA規格クリーンルームの10000あるいは1000レベルといったハイレベルまで管理される場合もある。しかし、このようなクリーンルームを導入する場合、空調設備の設置やその維持管理には多大なコストがかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-9937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、包装食品の内容物が多様化し、固体の食品及び調味液といった物性の異なる二種類以上の内容物を含む包装食品を製造する際には、製造工程が煩雑になっていた。また、食品以外にも、製品として市場に流通させる前に殺菌処理すべき対象物が種々存在し、それらの対象物を効率良く殺菌処理することが求められている。
【0007】
本発明は、物性の異なる二種類以上の内容物をできるだけ菌の少ない状態で容器に収容した殺菌処理製品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る殺菌処理製品の製造方法は、
上方に開口を有する容器本体に第一の内容物を収容する第一収容工程と、前記容器本体に蓋部材を被せ、前記開口の周縁に沿って前記容器本体と前記蓋部材とをシールする一次シール工程であって、前記容器本体と前記蓋部材とがシールされた際に、前記容器本体の内部と外部とが流通可能な流通路が形成されている一次シール工程と、前記流通路を介して殺菌用ガスを前記容器本体の内部に導入し、前記殺菌用ガスによって前記第一の内容物を殺菌する殺菌工程と、前記流通路を介して第二の内容物を前記容器本体の内部に収容する第二収容工程と、前記流通路を閉塞するよう前記容器本体と前記蓋部材とをシールする二次シール工程と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、殺菌用ガスを容器本体内に導入する流通路が、第二の内容物を容器本体内に収容する部位を兼ねるため、物性の異なる第一の内容物と第二の内容物とをできるだけ菌の少ない状態で容器本体に収容した殺菌処理製品を容易に製造することができる。
【0010】
また、前記殺菌処理製品の製造方法では、前記第二の内容物が、固体状、液体状、粉体状、及び、ゲル状の少なくとも一つであってもよい。
【0011】
かかる構成によれば、第二の内容物として、固体状、液体状、粉体状、ゲル状の内容物を容器に収容した殺菌処理製品を製造することができる。
【0012】
また、前記殺菌処理製品の製造方法では、前記容器本体は、前記開口の周縁に沿って設けられたフランジ部を備え、前記流通路が、前記フランジ部に形成された貫通孔を含んでもよい。
【0013】
かかる構成によれば、フランジ部に形成された貫通孔を介して、殺菌用ガスを容器本体内に導入するとともに、第二の内容物を容器本体に収容することができる。
【0014】
また、前記殺菌処理製品の製造方法では、前記容器本体は、前記開口の周縁に沿って設けられたフランジ部を備え、前記流通路が、前記フランジ部と前記蓋部材との間に形成された間隙を含んでもよい。
【0015】
かかる構成によれば、フランジ部と蓋部材との間の間隙を介して、殺菌用ガスを容器本体内に導入するとともに、第二の内容物を容器本体に収容することができる。
【0016】
また、前記殺菌処理製品の製造方法は、さらに、前記流通路を介して前記容器本体の内部に不活性ガスを供給するガス置換工程を備えてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、不活性ガスにより容器本体内から空気を排出することにより、殺菌された内容物を長期にわたって品質保持可能である。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、物性の異なる二種類以上の内容物をできるだけ菌の少ない状態で容器に収容した殺菌処理製品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A図1Aは、本発明の一実施形態に係る殺菌処理製品の製造方法で用いられる包装容器の平面図である。
図1B図1Bは、図1AのI-I位置における断面図である。
図2図2は、前記殺菌処理製品の製造方法における各工程を示す図である。
図3A図3Aは、前記殺菌処理製品の製造方法で用いられる包装容器の第一収容工程前の模式図である。
図3B図3Bは、前記包装容器の第一収容工程後の模式図である。
図3C図3Cは、前記包装容器の貫通孔形成工程の模式図である。
図4A図4Aは、前記包装容器の貫通孔形成工程後の模式図である。
図4B図4Bは、前記包装容器の一次シール工程の模式図である。
図5A図5Aは、前記包装容器の一次シール工程の模式図である。
図5B図5Bは、前記包装容器の一次シール工程後の模式図である。
図5C図5Cは、前記包装容器の殺菌工程及び冷却工程の模式図である。
図6A図6Aは、前記包装容器の冷却工程の模式図である。
図6B図6Bは、前記包装容器の真空破壊工程の模式図である。
図6C図6Cは、前記包装容器の第二収容工程の模式図である。
図7A図7Aは、前記包装容器のガス置換工程の模式図である。
図7B図7Bは、前記包装容器の二次シール工程の模式図である。
図8A図8Aは、本発明の別の実施形態に係る殺菌処理製品の製造方法で用いられる包装容器の平面図である。
図8B図8Bは、図8AのVIII-VIII位置における断面図である。
図9A図9Aは、本発明の別の実施形態に係る殺菌処理製品の製造方法で用いられる包装容器の第二収容工程の模式図である。
図9B図9Bは、前記包装容器の第二収容工程の模式図である。
図10A図10Aは、本発明の別の実施形態に係る殺菌処理製品の製造方法で用いられる包装容器の第二収容工程の模式図である。
図10B図10Bは、前記包装容器の第二収容工程の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図1A図7Bを参照しつつ説明する。図1A及び図1Bは、本発明に係る殺菌処理製品の製造方法で用いられる包装容器の一実施形態を示した図である。また、図2は本発明に係る殺菌処理製品の製造方法の一実施形態を説明するための図であり、図3A図7Bは本発明に係る殺菌処理製品の製造方法の各工程を順に示した図である。
【0021】
まず、この殺菌処理製品の製造方法で用いられる包装容器の構造について説明する。この包装容器は、内部に収容された第一の内容物の一例としての固体状の内容物(例えば、食品)を、殺菌用ガスの一例としての加熱蒸気に晒すことで殺菌し、さらに、第二の内容物の一例としての液体状の内容物(例えば、調味液)を内部に収容し、その後第一の内容物及び第二の内容物を封止した殺菌処理製品(例えば、包装食品)として流通させるための殺菌処理用の包装容器である。
【0022】
包装容器1は、図1A及び図1Bに示すように、上方に開口20を有する容器本体2を備える。また、容器本体2は、内容物を収容する収容部3を含む。さらに、容器本体2は、開口20の周縁に沿って設けられたフランジ部4を含む。
【0023】
以下、包装容器1における上下方向は、図1B及び図3A図7Bにおける上下方向と一致している。また、フランジ部4における内側及び外側は、フランジ部4における容器本体2の開口縁21から近い側及び遠い側と一致している。
【0024】
容器本体2は、図1A及び図1Bに示すように、蓋部材により閉塞可能な容器である。本実施形態の容器本体2は、トレー形状であるが、カップ形状、ボトル形状等、任意の形状のものを採用することができる。また、容器本体2の材質は、合成樹脂である。容器本体2の厚みは、部位によって不均一であるが、いずれの部位においても同じであってもよい。本実施形態の容器本体2では、フランジ部4の厚みが、収容部3の厚みよりも大きい。なお、本実施形態の容器本体2では、収容部3及びフランジ部4は、一部材で構成されている。具体的に、容器本体2は、一枚のシートを成形することで構成されている。なお、容器本体2の材質は、合成樹脂以外の材質、例えば、紙、金属、ガラス(具体的には、ガラス繊維のシート)等であってもよい。
【0025】
また、本実施形態の蓋部材は、柔軟性を有する。蓋部材は、例えば、合成樹脂製のフィルム材で構成される。具体的に、蓋部材を構成するフィルム材は、二軸延伸されたプラスチック製のフィルム材である。
【0026】
収容部3は、内容物(例えば、食品)を収容する部位である。本実施形態の収容部3は、下方に位置する底板31を含む。また、収容部3は、底板31の外周縁から上方に延びる側壁33を含む。
【0027】
側壁33は、例えば、上方に位置する部位ほど平面視において広がるように構成されている。側壁33の上端縁は、容器本体2の開口縁21を構成している。
【0028】
フランジ部4は、蓋部材とシールされる部位である。また、フランジ部4は、容器本体2の開口縁21から外向きに延びている(図1A参照)。さらに、フランジ部4は、例えば、開口縁21の周方向の全周に設けられている。本実施形態では、フランジ部4は、略板状であり、平面視において収容部3を囲むように環状に配置されている。具体的には、フランジ部4は、平面視において四か所の角部を有する環状である。
【0029】
また、フランジ部4は、開口20を覆う蓋部材と一次シール工程においてシールされる一次シール領域41と、蓋部材と二次シール工程においてシールされる二次シール領域42と、を有する。さらに、フランジ部4は、上方を向いたフランジ上面43と、下方を向いたフランジ下面44と、を有する。本実施形態では、フランジ部4には、貫通孔45が形成されている。
【0030】
一次シール領域41は、フランジ部4の一部であり、蓋部材とフランジ部4とを一次シール工程によって仮シールするための領域である。一次シール工程は、収容部3に食品を収容した後であって収容した食品の殺菌前に行われる。
【0031】
本実施形態の一次シール領域41は、フランジ部4の外周部に位置している。また、一次シール領域41は、開口縁21の周方向において連続している。具体的には、一次シール領域41は、フランジ部4の外周部における外周縁よりも内側で、周方向において連続して延びている。より具体的には、一次シール領域41は、フランジ部4の外周部における外周縁よりも内側で、開口縁21の周方向全周に亘って連続して延びている。
【0032】
二次シール領域42は、密封工程としての二次シール工程において、蓋部材とフランジ部4とがシールされる領域である。二次シール工程は、収容部3に収容した第一の内容物を殺菌した後に行われる。二次シール領域42は、フランジ部4の少なくとも一部である。さらに、二次シール領域42は、一次シール領域41と重複する(同じ)領域を含んでいてもよい。本実施形態では、二次シール領域42は、貫通孔45と重なる部位であるが、フランジ部4の全域であってもよい。
【0033】
貫通孔45は、一次シール領域41よりも内側に位置する。また、貫通孔45は、フランジ上面43とフランジ下面44との間を貫通する。
【0034】
また、本実施形態のフランジ部4では、貫通孔45が複数設けられている。なお、フランジ部4に設けられる貫通孔45の数は、一つでもよいが、フランジ部4内に気体を流入させる貫通孔、及び、フランジ部4内から気体を流出させる貫通孔の両方をフランジ部4に設けることが好ましいため、複数であることが好ましい。具体的には、このフランジ部4では、貫通孔45がフランジ部4の角部の数と同じ数(本実施形態では、四つ)設けられている。
【0035】
貫通孔45は、例えば、収容部3を挟む対向位置に配置されている。フランジ部4が四か所に角部を有する環状である場合、貫通孔45は、平面視においてフランジ部4の各角部にそれぞれ1か所ずつ、合計4か所に形成することが好ましい。各貫通孔45の形状や大きさは、いずれも等しくすることが好ましい。
【0036】
本実施形態では、貫通孔45は、フランジ部4に形成されたU字状の裂け目450の内側に位置している。具体的に、フランジ部4において、U字状の裂け目450の内側部分がフランジ部4の他の領域よりも上方に折り曲げられることで、貫通孔45が形成されている。
【0037】
次に、殺菌処理製品の製造方法について説明する。この殺菌処理製品の製造方法は、主たる工程として、容器本体2に第一の内容物C1を収容する第一収容工程と、容器本体2に蓋部材5を被せ、開口20の周縁に沿って容器本体2と蓋部材5とをシールする一次シール工程であって、容器本体2と蓋部材5とがシールされた際に、容器本体2の内部と外部とが流通可能な流通路Rが形成されている一次シール工程と、流通路Rを介して殺菌用ガスを容器本体2の内部に導入し、殺菌用ガスによって第一の内容物C1を殺菌する殺菌工程と、流通路Rを介して第二の内容物C2を容器本体2の内部に収容する第二収容工程と、流通路Rを閉塞するよう容器本体2と蓋部材5とをシールする二次シール工程と、を備える。本実施形態では、殺菌処理製品の製造方法は、さらに、流通路Rを介して容器本体2の内部に不活性ガスを供給するガス置換工程を備える。
【0038】
より具体的には、図2に示すように、第一収容工程(ステップS1)、貫通孔形成工程(ステップS2)、一次シール工程(ステップS3)、脱気工程(ステップS4)、殺菌工程(ステップS5)、冷却工程(ステップS6)、第二収容工程(ステップS7)、ガス置換工程(ステップS8)、及び、二次シール工程(ステップS9)を順に行う。以下、この一実施形態における各工程について説明する。また、本実施形態の方法としては、上記実施形態の包装容器1を用いた場合について説明する。
【0039】
まず、図3A図3B、及び、図3Cに示すように、包装容器1に第一の内容物C1を収容する第一収容工程を行った後に、フランジ部4の一次シール領域41よりも内側に、貫通孔45を形成する貫通孔形成工程を行う。
【0040】
本実施形態では、最初に、容器本体2を第一シール工程で用いるバケット7Aに載置する(図3A参照)。バケット7Aは、例えば、容器本体2を配置可能な凹部であるバケット凹部70と、バケット7Aを貫通するバケット貫通路71と、を備える。本実施形態では、バケット7Aの上面は、平坦面となっている。また、バケット貫通路71は、上下方向に沿って延びている。
【0041】
なお、本実施形態では、第一収容工程、貫通孔形成工程、一次シール工程、第二収容工程、ガス置換工程、及び、二次シール工程は、包装容器1がバケット7Aに載置された状態で行われる。この容器本体2において、フランジ部4は、フランジ部4を貫通する貫通孔45が設けられる折り曲げ片451を有する。バケット7Aには、包装容器1を載置したときに容器本体2の折り曲げ片451(後に形成される貫通孔45)と重なる位置に、バケット貫通路71が配置されている。
【0042】
第一収容工程では、第一の内容物C1は、容器本体2の開口20から容器本体2の内部に収容される(図3B参照)。
【0043】
第一の内容物C1は、固体状、液体状、粉体状、及び、ゲル状の少なくとも一つであり、例えば、固体状の食品である。第一の内容物C1としては、例えば、日配食品、即ち食品工場等で調理、加工された食品やチルド加工食品等の任意の食品を採用することができる。
【0044】
本実施形態では、貫通孔形成工程を行うことにより、フランジ部4に貫通孔45が形成される(図3C参照)。具体的に、貫通孔45は、裂け目450を境界としてフランジ部4の一部である折り曲げ片451が上方に向けて変形されることにより形成される。フランジ部4において、折り曲げ片451の境界は、U字状の裂け目450である。この裂け目450は、予め容器本体2(フランジ部4)に形成されている。より具体的に、貫通孔45は、平坦な折り曲げ片451に裂け目450を形成し、裂け目450の基端部同士を結ぶ直線452を境界にして折り曲げ片451が上方に向けて折り曲げられることにより形成される。折り曲げ片451は、例えば、押上機構72により変形される。具体的に、折り曲げ片451は、バケット貫通路71に下方から挿通された押上機構72(押上棒)により変形される。
【0045】
本実施形態の貫通孔形成工程により、図4Aに示すように、折り曲げ片451は、直線452でフランジ部4の折り曲げ片451の周囲の領域と連続し、且つ、この周囲の領域よりも上方に位置する。換言すると、折り曲げ片451は、折り曲げ片451の外周縁を境界にしてフランジ部4の折り曲げ片451の周囲の領域よりも上方に位置する。
【0046】
続いて、図4B及び図5Aに示すように、容器本体2の開口20を覆う蓋部材5と、フランジ部4の一次シール領域41とをシールする一次シール工程を行う。
【0047】
本実施形態では、まず、容器本体2の開口を覆うように蓋部材5を配置する(図4B参照)。さらに、フランジ部4の外周部である一次シール領域41と蓋部材5とを、フランジ部4の外周部の周方向において線状にシールする(図5A参照)。この一次シール工程において、蓋部材5は、例えば、第一のヒートシール機を用いることにより、一次シール領域41に熱溶着される。なお、一次シール工程は、線シール以外のシール、例えば、少なくとも一点をシールするスポットシールにより行われてもよい。
【0048】
具体的に、第一のヒートシール機は、バケット7Aと、上方から蓋部材5を押さえる金型8と、を備える。金型8は、平板状の金型本体部80と、金型本体部80から下方に突出する金型突出部81と、を備える。また、金型8は、金型本体部80における金型突出部81よりも外周側の位置から下方に突出するカッター82と、を備える。金型本体部80の下面は、平坦面となっている。熱した状態の金型8を容器本体2に上方から押し付けて、金型突出部81が蓋部材5を介して一次シール領域41を押さえることで、一次シールが完了する。
【0049】
なお、本実施形態では、一次シール工程において、支持機構73により折り曲げ片451を下方から持ち上げた状態とする。具体的には、一次シール工程において、フランジ部4の貫通孔45が開放した状態となるよう、より具体的には、折り曲げ片451が折り曲げ片451の周囲の領域よりも上方に位置する姿勢を維持できるよう、支持機構73により折り曲げ片451を下方から持ち上げた状態とする。例えば、バケット貫通路71に下方から挿通した支持機構73(支持棒)により折り曲げ片451を下方から持ち上げた状態とする。
【0050】
また、一次シール工程により、カッター82が蓋部材5の不要な部位を押し切ることで、この不要な部位を取り除くことができる。
【0051】
第一シール工程により、図5Bに示すように、フランジ部4と蓋部材5との間に流通路Rが形成される。本実施形態では、流通路Rは、フランジ部4に形成された貫通孔45を含む。
【0052】
さらに、図5Cに示すように、流通路Rを介して収容部3内に加熱蒸気Sを流通させて、第一の内容物C1を加熱蒸気Sに晒すことで殺菌する殺菌工程を行う。
【0053】
なお、本実施形態では、殺菌工程を株式会社日阪製作所製、短時間調理殺菌装置RIC(以下、単にRICともいう)を用いて行う場合について説明する。ここで、短時間調理殺菌装置RIC(図示せず)とは、処理対象となる容器入りの食品を収容可能な処理槽と、該処理槽へ蒸気を供給する蒸気供給装置と、該処理槽内を脱気して真空状態とする減圧装置と、該処理槽内を加熱する加熱装置とを備えたものである。
【0054】
本実施形態の殺菌処理製品の製造方法では、殺菌工程の前に収容部3内を脱気する脱気工程を行う。脱気工程を行う際には、第一の内容物C1を収容し蓋部材5を一次シールした包装容器1をバケット7Aから取り外し、この包装容器1をトレー(図示しない)上に複数個並べる。さらに、該トレーを上下方向に複数段積み重ねた状態でRICを構成する処理槽内に収容する。次に、処理槽の蓋を閉じて処理槽を密封した後、該処理槽内を真空状態まで脱気する。処理槽内が真空状態まで脱気されると、流通路Rを介して収容部3内の空気も脱気され、収容部3内も処理槽内と同じ真空状態となる。
【0055】
殺菌工程では、処理槽内に殺菌用ガスとして加熱蒸気Sを供給するとともに処理槽内の温度を、例えば、70℃~145℃とする。処理槽内に供給された加熱蒸気Sは、フランジ部4の下方から流通路R(貫通孔45)を介して、収容部3内に流通する。これにより、収容部3内に収容された第一の内容物C1は、加熱蒸気Sにより殺菌される。
【0056】
続いて、本実施形態では、図6Aに示すように、殺菌工程の後に第一の内容物C1を冷却する冷却工程を行う。冷却工程では、前記処理槽内を減圧して加熱蒸気Sを排出し、さらに該処理槽内を真空状態とすることで該水分が蒸発して第一の内容物C1から潜熱が奪われ、第一の内容物C1が冷却される。
【0057】
次に、本実施形態では、図6Bに示すように、第一の内容物C1を真空状態から大気圧とする真空破壊工程を行う。真空破壊工程では、流通路Rを介して容器本体2内に空気A(クリーンエアー)を流入させることで、第一の内容物C1が大気圧状態に戻る。さらに、第一収容工程(本実施形態では、第一収容工程及び冷却工程)の後に、前記処理槽の蓋をあけて第一の内容物C1が収容された包装容器1をトレーとともに取り出す。
【0058】
さらに、図6Cに示すように、第二の内容物C2を容器本体2の内部に収容する第二収容工程を行う。本実施形態では、まず、容器本体2を第二シール工程で用いるバケット7Bに載置する。第二シール工程で用いるバケット7Bは、第一シール工程で用いるバケット7Aと同じ構成のものであるが、異なる構成のものであってもよい。
【0059】
第二の内容物C2は、固体状、液体状、粉体状、及び、ゲル状の少なくとも一つであり、例えば、液体状の食品(具体的には、調味液)である。第二の内容物C2は、流通路Rのうち一部の流通路R1を介して容器本体2の内部に収容される。このとき、容器本体2の内部に収容されていた空気Aは、第二の内容物C2により押し出されて、流通路R1のうち残りの流通路R2を介して外部へと排出される。本実施形態では、第二の内容物C2は、バケット7Bのバケット貫通路71内を流れて、流通路R(例えば、流通路R1)を介して容器本体2の内部に収容される。即ち、第二の内容物C2は、バケット貫通路71内を直接流れる。
【0060】
なお、第二の内容物C2が固体状である場合、削り節等の片状の内容物、タピオカ等の粒状の内容物であってもよく、一部の流通路R1を介して片状や粒状の第二の内容物C2を窒素ガス等にのせて、容器本体2の内部に収容してもよい。第二の内容物C2としては、例えば、日配食品、即ち食品工場等で調理、加工された食品やチルド加工食品等に使用される食材を採用することができる。なお、第二の内容物C2は、予め殺菌処理したものが好ましい。
【0061】
第二収容工程の後、図7Aに示すように、ガス置換工程を実施する。該ガス置換工程では、流通路Rを介して収容部3内に、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、これらのうち複数の混合ガスなどの不活性ガスを供給する。この不活性ガスは、除菌して供給され、例えば、フィルタで除菌して供給される。具体的に、一部の流通路R1を介して、不活性ガスを供給する。このとき、不活性ガスIにより押し出された容器本体2内の空気Aは、残りの流通路R1を介して外部へと排出される。
【0062】
ガス置換工程を行った後、図7Bに示すように、蓋部材5と二次シール領域42とをシールする二次シール工程を行う。これにより、包装容器1と蓋部材5と第一の内容物C1及び第二の内容物C2とで構成される包装食品6が得られる。
【0063】
また、ガス置換工程において、貫通孔45より不活性ガスを供給する、即ち、殺菌用ガスを供給する貫通孔45が、不活性ガスを供給する部位を兼ねるため、ガス置換工程を容易に行うことができる。
【0064】
本実施形態の二次シール工程は、二次シール領域42と蓋部材5とを、部分的にシールする(スポットシールする)工程である。二次シール工程において、蓋部材5は、第二のヒートシール機を用いることにより二次シール領域42に熱溶着される。なお、二次シール工程は、スポットシール以外のシール、例えば、フランジ部4の全体と蓋部材5とを、面状にシールする工程や、線シールであってもよい。
【0065】
具体的に、第二のヒートシール機は、容器本体2が載置されガス置換を行ったバケット7Bと、上方から蓋部材5を押さえる金型9と、を備える。金型9は、平板状の金型本体部90と、金型本体部90から下方に突出する金型突出部91と、を備える。金型本体部90の下面は、平坦面となっている。熱した金型9を容器本体2に上方から押し付けて、金型突出部91が蓋部材5を介して二次シール領域42を押さえることで、二次シールが完了する。
【0066】
本実施形態では、二次シール工程において、ガス置換後、バケット7Bに包装容器を載置したまま速やかにシールを行うため、包装容器1内の酸素濃度を極めて低い状態に維持することができる。
【0067】
また、この二次シール工程では、容器本体2の載置されるバケット7Bが用いられ、ガス置換工程では、バケット7Bに設けられたバケット貫通路71を介して不活性ガスが収容部3内に供給されるため、二次シール工程後のバケット7Bに載置された包装容器1に対してガス置換工程を容易に行うことができる。
【0068】
また、包装容器1の二次シール領域42は、折り曲げ片451と重なる領域であり、二次シール領域により貫通孔45が閉塞される。即ち、二次シール後の包装容器1において、貫通孔45が蓋部材5に加えて変形した(潰れた)折り曲げ片451により閉塞される。なお、包装容器1の二次シール領域42は、フランジ部4の全域であってもよい。
【0069】
以上の殺菌処理製品の製造方法では、殺菌用ガス(例えば、加熱蒸気S)を容器本体2内に導入する流通路Rが、第二の内容物C2を容器本体2内に収容する部位を兼ねるため、物性の異なる第一の内容物C1と第二の内容物C2とをできるだけ菌を少なくした状態で容器本体2に収容した殺菌処理製品(例えば、包装食品6)を容易に製造することができる。
【0070】
また、二種類以上の食品を混合して殺菌する従来の方法(例えば、複数種類の食品すべてを容器に充填密封した後に高温で加熱殺菌するレトルト食品等の製造方法や、複数種類の食品すべてを容器に充填密封した後に容器の外から低温で加熱するロングライフチルド食品の製造方法)では、食品のおいしさが低下するおそれがあった。これに対して、包装食品6の製造方法では、第一の内容物C1(固形食品)を蒸気による直接加熱で瞬間的に殺菌し、第二の内容物C2(液体食品)を、別途液体を短時間で殺菌する殺菌装置で瞬間的に殺菌することで、それぞれの食品のおいしさを保ったまま混合するため、おいしさを保持した包装食品6を製造することができる。
【0071】
また、本実施形態の殺菌処理製品の製造方法により、第二の内容物C2として、固体状、液体状、粉体状、ゲル状の内容物を収容した殺菌処理製品(例えば、包装食品6)を製造することができる。
【0072】
本実施形態の殺菌処理製品の製造方法では、流通路Rがフランジ部4に形成された貫通孔45を介して、殺菌用ガス(例えば、加熱蒸気S)を容器本体2内に導入するとともに第二の内容物C2を容器本体2に収容することができる。
【0073】
本実施形態の殺菌処理製品の製造方法では、ガス置換工程において、不活性ガスにより容器本体2内から空気を排出することにより、殺菌された内容物(第一の内容物C1及び第二の内容物C2)を長期にわたって品質保持可能である
【0074】
さらに、本実施形態の殺菌処理製品の製造方法で用いられる包装容器1では、収容部3を挟む位置に貫通孔45が配置されているため(図1A参照)、この貫通孔45を介して収容部3の両側から殺菌用ガスとしての加熱蒸気を流通させることにより(図5C参照)、第一の内容物C1の加熱むらを抑制できる。
【0075】
なお、本発明の殺菌処理製品の製造方法において使用する包装容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0076】
上記実施形態では、貫通孔45が、フランジ部4の複数の角の全部に設けられていたが、この角のうち一部の角のみに設けられてもよい。例えば、貫通孔45が、フランジ部4の角のうち収容部3を挟む位置に一対のみ設けられてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、フランジ部4に形成される各貫通孔45の形状や大きさは同じであったが、異なっていてもよい。
【0078】
上記実施形態では、フランジ部4の角部に貫通孔45が配置されていたが、フランジ部4の角部以外の領域に貫通孔45が配置されていてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、貫通孔45が、フランジ部4の折り曲げ片451を上方に変形させることにより形成されたが、折り曲げ片451に穿孔針を突き刺すこと(即ち、折り曲げ片451を破断すること)により形成されてもよい。また、貫通孔45が、フランジ部4の折り曲げ片451を打ち抜くことにより形成されてもよい。
【0080】
さらに、上記実施形態において、折り曲げ片451は、平坦な形状であったが、この形状と異なる形状、例えば、下方に凹んだ凹部であってもよい。この場合、折り曲げ片451は、平面視において円形状であってもよい。具体的には、折り曲げ片451は、下方に向かって略半球状に凹んだ凹部であることが考えられる。
【0081】
上記実施形態の包装食品の製造方法では、第一収容工程、貫通孔形成工程、一次シール工程、殺菌工程、及び、二次シール工程が順に行われていたが、貫通孔形成工程を行った後に第一収容工程を行ってもよい。
【0082】
上記実施形態の包装容器1では、フランジ部4に折り曲げ片451が設けられていたが、折り曲げ片451の代わりに、フランジ部4に予め貫通孔45が設けられていてもよい。この場合、包装食品6の製造方法は、貫通孔形成工程を含まず、第一収容工程、一次シール工程、殺菌工程、第二収容工程、及び、二次シール工程を含むことになる。
【0083】
また、上記実施形態のフランジ部4における折り曲げ片451の近傍に、さらに、上方に突出する凸部が設けられていてもよい。この凸部は、例えば、半球形状のようなマウンド形状であってもよい。なお、凸部の形状は、円錐状、円錐台状、円柱状、多角柱状、多角錘状等その他の形状であってもよい。フランジ部4に凸部が設けられる場合、一次シール領域41は、凸部を含むような線状であってもよい。また、一次シール領域41は、凸部よりも外側に配置されていてもよい。
【0084】
なお、フランジ部4に貫通孔45を設けず、凸部のみを設けてもよい。例えば、図8A及び図8Bに示すように、フランジ部4の角を除く部位に、上方に突出する凸条46が設けられていてもよい。具体的に、凸条46は、フランジ部4の四つの角部に隙間をあけた状態で、開口縁21の周方向に長尺状に延びている。この凸条46は、一次シール領域41を兼ねる。この構成では、一次シール工程を行った後、蓋部材5の下面と凸条46の上面460の間に間隙Cが生じる。具体的に、流通路Rは、フランジ部4と蓋部材5との間に形成された間隙Cを含む。また、二次シール領域は、フランジ部4の全域であることが考えられる。
【0085】
この構成では、流通路Rがフランジ部4と蓋部材5との間の間隙Cを介して、殺菌用ガス(例えば、加熱蒸気S)を容器本体2内に導入するとともに、第二の内容物C2を容器本体2に収容することができる。さらに、この間隙Cがフランジ部4の四つの角部に位置しているため、加熱蒸気Sがフランジ部4の四つの角部から収容部3内に流通する。
【0086】
なお、凸条46は、開口縁21の周方向に連続して設けられてもよい。この場合、開口縁21の周方向において全周に連続して設けられた凸条46が、一次シール領域41を兼ねる。
【0087】
また、フランジ部4に、凸部や凸条の代わりに、凹部が設けられてもよい。例えば、凹部は、開口縁21の周方向において隙間をあけて配置され、具体的には、フランジ部4の四つの角部に位置することが考えられる。この構成では、一次シール工程を行った後、蓋部材5の下面と凹部の上面の間に間隙Cが生じ、この間隙Cがフランジ部4の四つの角部に位置しているため、加熱蒸気Sや第二の内容物C2がフランジ部4の四つの角部から収容部3内に流通する。
【0088】
上記実施形態のフランジ部4は、開口縁21の周方向の全周に設けられていたが、この周方向において途切れた状態で(間隔をあけて)設けられてもよい。
【0089】
上記実施形態の包装容器1では、収容部3とフランジ部4とは一部材で構成されていたが別部材で構成されてもよい。例えば、容器本体2は、別部材として収容部3及びフランジ部4を形成し、収容部3やフランジ部4を接着剤で接着することにより、収容部3とフランジ部4とが接続されて構成されることが考えられる。
【0090】
また、上記実施形態の包装容器1は、一つの収容部3を備えていたが、複数の収容部3を備えていてもよい。
【0091】
上記実施形態では、収容部3の底板31は、略矩形板状であったが、略正方形板状であることが考えられる。なお、底板31は、四角形板状以外にも、その他の多角形板状や円板状等であってもよい。
【0092】
なお、底板上面は、凹凸形状を有していてもよい。このような構成によれば、容器本体2に収容された第一の内容物(例えば、固体状の収容物)を殺菌用ガス(例えば、蒸気)で殺菌する際、底部に形成された蒸気流通路を通って、第一の内容物の上面および側面だけでなく、当該第一の内容物の下面からも蒸気を流入させることができる。これにより、蒸気による第一の内容物のより均等かつ効率的な殺菌が可能となる。
【0093】
底板上面の凹凸形状の高さは、容器本体2の深さ(すなわち、容器本体2の開口20から鉛直方向における内表面の最も下方の部分までの距離)の10%以上40%以下であることが好ましい。当該構成によれば、蒸気流通路の断面積が増加するため、蒸気流通路に蒸気がより一層流入しやすくなり、第一の内容物の下面側の蒸気殺菌をより効果的に行うことができる。
【0094】
上記実施形態では、第二収容工程において、第二の内容物C2は、バケット7Bのバケット貫通路71内を直接流れて、流通路Rを介して容器本体2の内部に収容されていたが、バケット貫通路71内を直接流れなくてもよい。例えば、図9A図10Bに示すように、第二収容工程において、第二の内容物C2がノズル10内を流れて、流通路Rを介して容器本体2の内部に収容されてもよい。ノズル10は、流体が内部を通過可能な管体である。また、ノズル10は、金属製又は樹脂製であってもよい、さらに、ノズル10は、金属と樹脂との組み合わせで形成されてもよい。
【0095】
具体的に、図9A及び図9Bに示すように、ノズル10の先端部100に、ノズル10の厚み方向に貫通し、水平方向を向いたノズル孔101が設けられ、ノズル孔101から水平方向に液がふき出す構成であってもよい。ノズル10の先端部100の先端面102は、折り曲げ片451に沿った形状、例えば、収容部3に近い部位ほど上方に位置するような傾斜面であることが考えられる。この場合、ノズル10は、剛性材料、例えば、金属で形成されることが考えられる。
【0096】
また、図10A及び図10Bに示すように、ノズル10の少なくとも先端部100を含む領域である第一領域103(本実施形態では、先端部100)が、第一領域103と異なる第二領域104(本実施形態では、先端部100以外の部分)よりも柔軟性の高い材質で形成されていてもよい。この場合、ノズル10の先端部100が、柔らかく曲がるようになっているため、より流通路Rに入り込むことで、第二の内容物C2が流通路Rにダイレクトに注入される。
【0097】
なお、ノズル10の径は、延伸方向において均一であってもよいし、先端部100が他の部分よりも細い形状であってもよい。この場合、先端部100は、先細り形状であってもよい。
【0098】
上記実施形態では、第一収容工程、貫通孔形成工程、一次シール工程、第二収容工程、ガス置換工程、及び、二次シール工程は、包装容器1がバケット7A、7Bに載置された状態で行われていたが、これらの工程の一部が、包装容器1がバケット7A、7Bに載置された状態で行われなくてもよい。例えば、第二収容工程は、包装容器1がバケット7Bに載置された状態で行われなくてもよい。この場合、第二の収容物C2は、例えば、流通路Rに挿し込まれたノズル10を介して容器本体2内に収容されてもよい。
【0099】
また、本発明においては、殺菌対象物として種々の第一の内容物C1及び第二の内容物C2を収容することができる。第一の内容物C1及び第二の内容物C2は、例えば、保存または輸送にあたり、細菌、塵埃等の汚染物や酸素との接触を所望しない物品であり、食品、化粧品、医薬品、医薬部外品、医療用機器、衛生用品、理化学用品、バイオ関連用品などが包含される。中でも、食品が好ましく、特に高温高圧下での蒸気殺菌において外観
および品質を保持し得る食品(例えば、収容の際に固形である食品)が好ましい。
【0100】
また、本発明において使用する殺菌用ガスとして、上記実施形態では加熱蒸気を用いたが、第一の内容物に応じてオゾンガス、酸化エチレン、ホルムアルデヒド、酢酸、酸化エチレン、二酸化塩素等の他の殺菌作用のあるガスを使用してもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…包装容器、2…容器本体、3…収容部、4…フランジ部、5…蓋部材、6…包装食品、7A、7B…バケット、8、9…金型、10…ノズル、20…開口、21…開口縁、31…底板、33…側壁、41…一次シール領域、42…二次シール領域、43…フランジ上面、44…フランジ下面、45…貫通孔、46…凸条、70…バケット凹部、71…バケット貫通路、72…押上機構、73…支持機構、80、90…金型本体部、81、91…金型突出部、82…カッター、100…先端部、101…ノズル孔、102…先端面、103…第一領域、104…第二領域、451…折り曲げ片、452…直線、460…上面、C…間隙、C1…第一の内容物、C2…第二の内容物、R、R1、R2…流通路、RIC…短時間調理殺菌装置、S…加熱蒸気、A…空気、I…不活性ガス
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B