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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161331
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/03 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
B60C11/03 300E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066058
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】中島 幸一
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB11
3D131BC18
3D131EC12V
3D131EC12X
3D131EC12Z
3D131EC15V
3D131EC15X
3D131EC15Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】雪路性能を向上させたタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部2にブロック3が設けられたタイヤ1である。ブロック3のブロックコーナ部5は、踏面3aから頂部3bに向かってブロック高さが階段状に小さくなる階段状面取り部7が形成されている。階段状面取り部7は、踏面3aと平行な複数の上面10bと、上面と縦面11a、11b、及び、縦面と踏面3aとが交差してブロック外方に凸となる複数の階段コーナ部12とを含んでいる。頂部3bを通るブロックコーナ部5の縦断面視において、階段コーナ部12のそれぞれを結んだ仮想直線と、踏面3aとの間の角度は、10~40度である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部を含むタイヤであって、
前記トレッド部には、踏面を有するブロックが設けられ、
トレッド平面視において、前記ブロックは、前記ブロックの外側へ凸となる頂部を含むブロックコーナ部を有し、
前記ブロックコーナ部は、前記踏面から前記頂部に向かってブロック高さが階段状に小さくなる階段状面取り部が形成され、
前記階段状面取り部は、前記踏面と実質的に平行な複数の上面と、
ブロック高さ方向に延びる複数の縦面と、
前記上面と前記縦面、及び、前記縦面と前記踏面とが交差してブロック外方に凸となる複数の階段コーナ部とを含み、
前記頂部を通る前記ブロックコーナ部の縦断面視において、前記複数の階段コーナ部のそれぞれを結んだ仮想直線と、前記踏面との間の角度は、10~40度である、
タイヤ。
【請求項2】
前記ブロックコーナ部は、前記踏面と、タイヤ周方向に延びる縦溝の壁面と、タイヤ軸方向に延びる横溝の壁面との交差部に形成されており、
前記階段状面取り部は、前記縦溝の壁面と、前記横溝の壁面に跨っている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記階段状面取り部には、ブロック高さ方向に延びる少なくとも1本のリブが設けられる、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記リブは、ジグザグ状に延びる、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記リブは、複数のジグザグコーナ部を有し、
各ジグザグコーナ部は、前記階段コーナ部に位置している、請求項3又は4に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記リブのジグザグの折れ曲がり幅と、前記階段状面取り部の傾斜片との比は、0.04~0.2である、請求項3ないし5のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記リブの高さは、0.3~2.0mmであり、
前記リブの幅は、0.3~2.0mmである、請求項3ないし6のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項8】
前記リブは、前記上面から立ち上がる一対の立ち上がり面を有し、
前記リブの横断面視において、前記一対の立ち上がり面の根元側端間を結ぶ仮想直線と、前記各立ち上がり面との間の角度は、30~90度である、請求項3ないし7のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項9】
前記階段状面取り部には、ブロック高さ方向に延びる複数本のリブが設けられており、
各リブの間隔は、ブロック高さ方向の外側に向かって漸増する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、トレッド部にブロックが設けられた空気入りタイヤが記載されている。このブロックは、タイヤ軸方向の側面に窪みが設けられたくびれブロックを含んでいる。前記窪みは、ブロック中心側に凸のV字状のエッジにより区画されている。このような前記V字状の窪みは、雪上走行時、内部に雪を捕まえ、かつ、前記捕まえた雪を圧縮変形により押し固めて固い雪柱を形成する。このため、特許文献1の空気入りタイヤは、優れた雪上性能を有するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-124504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、タイヤの雪路性能をより一層向上することが望まれている。発明者らは、種々の実験を行ったところ、トレッド部のブロックコーナ部を改良することで雪路性能を向上させることができることを突き止めた。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、雪路性能を向上させたタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部を含むタイヤであって、前記トレッド部には、踏面を有するブロックが設けられ、トレッド平面視において、前記ブロックは、前記ブロックの外側へ凸となる頂部を含むブロックコーナ部を有し、前記ブロックコーナ部は、前記踏面から前記頂部に向かってブロック高さが階段状に小さくなる階段状面取り部が形成され、前記階段状面取り部は、前記踏面と実質的に平行な複数の上面と、ブロック高さ方向に延びる複数の縦面と、前記上面と前記縦面、及び、前記縦面と前記踏面とが交差してブロック外方に凸となる複数の階段コーナ部とを含み、前記頂部を通る前記ブロックコーナ部の縦断面視において、前記複数の階段コーナ部のそれぞれを結んだ仮想直線と、前記踏面との間の角度は、10~40度である。
【0007】
本発明に係るタイヤは、前記ブロックコーナ部が、前記踏面と、タイヤ周方向に延びる縦溝の壁面と、タイヤ軸方向に延びる横溝の壁面との交差部に形成されており、前記階段状面取り部は、前記縦溝の壁面と、前記横溝の壁面に跨っている、のが望ましい。
【0008】
本発明に係るタイヤは、前記階段状面取り部には、ブロック高さ方向に延びる少なくとも1本のリブが設けられる、のが望ましい。
【0009】
本発明に係るタイヤは、前記リブが、ジグザグ状に延びる、のが望ましい。
【0010】
本発明に係るタイヤは、前記リブが、複数のジグザグコーナ部を有し、各ジグザグコーナ部は、前記階段コーナ部に位置している、のが望ましい。
【0011】
本発明に係るタイヤは、前記リブのジグザグの折れ曲がり幅と、前記階段状面取り部の傾斜片との比が、0.04~0.2である、のが望ましい。
【0012】
本発明に係るタイヤは、前記リブの高さが、0.3~2.0mmであり、前記リブの幅は、0.3~2.0mmである、のが望ましい。
【0013】
本発明に係るタイヤは、前記リブが、前記上面から立ち上がる一対の立ち上がり面を有し、前記リブの横断面視において、前記一対の立ち上がり面の根元側端間を結ぶ仮想直線と、前記各立ち上がり面との間の角度は、30~90度である、のが望ましい。
【0014】
本発明に係るタイヤは、前記階段状面取り部には、ブロック高さ方向に延びる複数本のリブが設けられており、各リブの間隔は、ブロック高さ方向の外側に向かって漸増する、のが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のタイヤは、上記の構成を採用することで、雪路性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態のタイヤのブロックの部分斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のブロックの平面図である。
図4】トレッド部の一実施形態の平面図である。
図5】(a)は、リブの一実施形態の横断面図、(b)は、リブの他の実施形態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のタイヤ1のトレッド部2に設けられたブロック3の部分斜視図である。図1には、好ましい態様として、乗用車用の空気入りタイヤ1のブロック3が示される。但し、本発明は、例えば、重荷重用の空気入りタイヤ1や、他のカテゴリーのタイヤ1にも採用し得る。
【0018】
図1に示されるように、ブロック3は、本実施形態では、路面と接地する踏面3aと、トレッド平面視において、ブロック3の外側へ凸となる頂部3bとを含んでいる。また、ブロック3は、頂部3bから一方に延びる壁面(第1壁面)3cと、頂部3bから他方に延びる壁面(第2壁面)3dとを含んでいる。
【0019】
本実施形態のブロック3は、頂部3bを含むブロックコーナ部5を有している。ブロックコーナ部5は、踏面3aから頂部3bに向かってブロック高さが階段状に小さくなる階段状面取り部7が形成されている。このような階段状面取り部7は、雪を踏み固めて雪柱せん断力を高める。階段状面取り部7は、トレッド平面視において、例えば、三角形状に形成されている。
【0020】
図2は、頂部3bを通るブロックコーナ部5の縦断面図(図1のA-A線断面図)である。図2に示されるように、階段状面取り部7は、複数の上面10と、複数の縦面11と、ブロック外方に凸となる複数の階段コーナ部12とを含んでいる。上面10は、踏面3aと実質的に平行に形成されている。このような上面10は、雪上走行時、雪を強く押し固めて固い雪柱を形成することができる。縦面11は、ブロック高さ方向に延びている。階段コーナ部12は、上面10と縦面11、及び、縦面11と踏面3aとが交差して形成されている。
【0021】
前記「実質的に平行」とは、頂部3bを通るブロックコーナ部5の縦断面視において、踏面3aを延長させた仮想線n1と、上面10を延長させた仮想線n2との間の角度(図示省略)が10度以内である態様を含むものとする。また、「ブロック高さ方向に延び」とは、縦面11がブロック高さ方向(踏面3aと直交)と平行に延びる他、ブロック高さ方向に対して60度以下の角度(図示省略)で延びる態様を含む。
【0022】
本明細書では、タイヤ1の各部の寸法等は、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷である正規状態において測定された値である。前記「正規リム」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0023】
前記「正規内圧」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。タイヤが乗用車用である場合、正規内圧は、180kPaである。
【0024】
複数の階段コーナ部12のそれぞれを結んだ仮想直線n3と、踏面3aとの間の角度θ1は、10~40度とされる。角度θ1を10~40度の範囲とすることにより、階段状面取り部7で形成される雪柱の体積と雪の踏み固め効果とが両立されて大きな雪柱せん断力を発揮することができる。とりわけ、雪が圧縮された圧雪路面においては、前記作用が効果的に発揮される。このような観点より、角度θ1は、15度以上がさらに望ましく、20度以上が一層望ましく、30度以下がより望ましく、25度以下が一層望ましい。なお、複数の階段コーナ部12のそれぞれを一本の直線で結べない場合、仮想直線n3は、各階段コーナ部12を用いた最小二乗法で得られる仮想直線(1次関数)が採用される。
【0025】
階段状面取り部7は、本実施形態では、上面10と縦面11とが交差してブロック内方に凹となる複数の階段凹部13をさらに含んでいる。階段凹部13は、本実施形態では、階段コーナ部12と交互に形成されている。
【0026】
階段状面取り部7は、本実施形態では、上面10と縦面11とが交互に形成される。階段状面取り部7は、例えば、それぞれ、2つ以上5つ以下の上面10と縦面11とで形成される。本実施形態の階段状面取り部7は、2つの上面10と3つの縦面11とで形成される。階段状面取り部7は、例えば、ブロック高さ方向の最も内側の縦面11bが頂部3bを形成している。
【0027】
図3は、図1のブロックコーナ部5の平面図である。図3に示されるように、階段状面取り部7の角度θ1は、トレッド平面視において、頂部3bを中心として第1壁面3cと第2壁面3dとがなす角度θaの2等分線c1上での角度である。本実施形態のブロックコーナ部5では、2等分線c1と平行な縦断面、例えば、縦断面Tにおいて、角度θ1が10~40度となる。
【0028】
特に限定されるものではないが、階段状面取り部7が形成されるブロックコーナ部5において、角度θaは30度以上が望ましく、40度以上がより望ましく、100度以下が望ましく、90度以下がより望ましい。
【0029】
図2に示されるように、前記縦断面視において、例えば、上面10及び縦面11は、それぞれ、直線状に形成されている。なお、上面10及び縦面11は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、ブロック3の外方に凸の円弧状でもよいし、ブロック3の内方に凹の円弧状でもよい
【0030】
図4は、トレッド部2の一実施形態を示す平面図である。図4に示されるように、トレッド部2には、タイヤ周方向に延びる縦溝G1とタイヤ軸方向に延びる横溝G2とが配されている。縦溝G1と横溝G2とは、ブロック3を区画している。
【0031】
縦溝G1は、例えば、タイヤ軸方向に対して45度以上の角度で延びている溝である。横溝G2は、例えば、タイヤ軸方向に対して45度未満の角度で延びている溝である。縦溝G1及び横溝G2は、本明細書では、溝幅wが、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは2.5mm以上、さらに好ましくは、3.5mm以上の溝状体である。
【0032】
ブロック3は、例えば、タイヤ赤道C上に配されたクラウンブロック3Aと、クラウンブロック3Aのタイヤ軸方向の両側に配された一対のミドルブロック3Bと、ミドルブロック3Bのタイヤ軸方向の外側に配された一対のショルダーブロック3Cとを含んでいる。なお、トレッド部2はこのような態様に限定されるものではなく、種々の形状が採用される。
【0033】
各ブロック3Aないし3Cは、本実施形態では、縦溝G1と横溝G2とに挟まれるブロックコーナ部5を有している。換言すると、ブロックコーナ部5は、本実施形態では、踏面3aと、縦溝G1の壁面Gaと、横溝G2の壁面Gbとの交差部に形成されている。
【0034】
また、階段状面取り部7は、本実施形態では、ブロック3Aないし3Cに設けられている。換言すると、本実施形態の階段状面取り部7は、縦溝G1の壁面Gaと横溝G2の壁面Gbとに跨っている。これにより、本実施形態の階段状面取り部7で形成された雪柱は、雪上走行時、縦溝G1又は横溝G2を介してスムーズに排出される。本実施形態では、縦溝G1の壁面Gaが第1壁面3cを構成し、横溝G2の壁面Gbが第2壁面3dを構成している。特に限定されるものではないが、階段状面取り部7の高さH(図2に示す)は、第1壁面3c又は第2壁面3dを形成する縦溝G1の溝深さ(図示省略)の25%以上が望ましく、33%以上がさらに望ましく、40%以下が望ましく、36%以下がさらに望ましい。
【0035】
ブロック3の剛性を維持しつつ、大きな雪柱せん断力を発揮させるために、第1壁面3cのタイヤ周方向の長さL1は、ブロック3のタイヤ周方向の長さLaの10%以上が望ましく、20%以上がより望ましく、50%以下が望ましく、40%以下がより望ましい。
【0036】
図1に示されるように、本実施形態の階段状面取り部7には、ブロック高さ方向に延びる少なくとも1本のリブ15が設けられている。このようなリブ15は、雪上走行時、階段状面取り部7上の雪を逃がすことなく塞き止めるので、強固な雪柱を形成するのに役立つ。このため、リブ15は、雪路性能をより向上する。
【0037】
リブ15は、例えば、複数本、本実施形態では3本配されている。これにより、隣接するリブ15間の雪は、より階段状面取り部7に塞き止めされるので、一層雪路性能が向上する。
【0038】
リブ15は、例えば、ジグザグ状に延びている。このようなリブ15は、例えば、直線状に延びるリブ(図示省略)よりも大きな長さを有しているので、雪をより効果的に塞き止めることができる。なお、リブ15は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、波状や直線状に延びるものでもよい。
【0039】
リブ15は、複数のジグザグコーナ部16を有している。各ジグザグコーナ部16は、階段コーナ部12に位置している。また、ジグザグコーナ部16は、階段凹部13に位置している。リブ15は、頂部3bに向かって第1壁面3c又は第2壁面3dのいずれか一方に傾斜する第1傾斜部15aと、第1傾斜部15aに連なり、かつ、頂部3bに向かって第1傾斜部15aと反対側に傾斜する第2傾斜部15bとを含んでいる。ジグザグコーナ部16は、第1傾斜部15aと第2傾斜部15bとの接続位置に形成されている。このような態様は、上面10や縦面11上の雪をスムーズに排除するのに役立つ。
【0040】
図3に示されるように、トレッド平面視において、リブ15のジグザグの折れ曲がり幅αと、階段状面取り部7の傾斜片βとの比(α/β)は、0.04以上が望ましく、0.2以下であるのが望ましい。比(α/β)が0.04以上であるので、リブ15の長さを相対的に長くでき、雪を塞き止める効果が発揮される。比(α/β)が0.2を超えると、雪を塞き止める効果が大きくならず、また、雪の排出効果が小さくなるおそれがある。このような観点より、比(α/β)は、0.06以上がさらに望ましく、0.16以下がさらに望ましい。折れ曲がり幅αは、リブ15の振幅の中心線15cと直交する向きのジグザグの隣接する頂点間の長さである。傾斜片βは、階段状面取り部7の第1壁面3c上の長さ又は第2壁面3d上の長さである。
【0041】
図5(a)は、リブ15の横断面である。図5(a)に示されるように、リブ15の高さh1は、0.3mm以上が望ましく、2.0mm以下が望ましい。リブ15の高さh1が0.3mm以上であるので、雪を塞き止める効果が発揮される。リブ15の高さh1が2.0mm以下であるので、雪上走行において、階段状面取り部7から雪が容易に離れることになり、雪詰まりが抑制される。このような観点より、リブ15の高さh1は、0.6mm以上がより望ましく、1.7mm以下がより望ましい。
【0042】
リブ15の幅w1は、0.3mm以上が望ましく、2.0mm以下が望ましい。リブ15の幅w1が0.3mm以上であるので、リブ15の剛性が維持され、雪を効果的に塞き止めることができる。リブ15の幅w1が2.0mm以下であるので、階段状面取り部7において、上面10等の面積が確保され、大きな雪柱を形成することができる。このような観点より、リブ15の幅w1は、0.6mm以上がより望ましく、1.7mm以下がより望ましい。
【0043】
リブ15は、上面10から立ち上がる一対の立ち上がり面18を有している。リブ15の横断面視において、一対の立ち上がり面18の根元端18a間を結ぶ仮想直線n4と、各立ち上がり面18との間の角度θ2は、30~90度であるのが望ましい。角度θ2が30度以上であるので、雪の塞き止め効果が有効に発揮される。角度θ2が90度以下であるので、階段状面取り部7で形成される雪柱の容積を大きく確保することができる。
【0044】
リブ15は、横断面において、一対の立ち上がり面18の先端18b同士が連なって三角形状に形成されている。このようなリブ15は、強固な雪柱を形成するとともに、雪柱の容積を大きく確保することができる。なお、リブ15は、例えば、一対の立ち上がり面18の角度θ2が90度となる矩形状(図示省略)や、一対の立ち上がり面18の先端18b間をリブ15の幅方向に延びる外向き面19(図5(b)に示す)で継いだ台形状であってもよい。
【0045】
図1に示されるように、リブ15は、ブロック高さ方向の最も外側の縦面11aからブロック高さ方向の最も内側の上面10bまで延びている。より具体的には、リブ15は、縦面11aの階段コーナ部12から上面10bの階段コーナ部12まで延びている。このようなリブ15は、相対的に大きな長さを有するので、雪の塞き止め効果を大きく発揮する。リブ15は、本実施形態では、ブロック高さ方向の最も内側の縦面11bには形成されていない。
【0046】
各リブ15の間隔L2は、本実施形態では、ブロック高さ方向の外側に向かって漸増している。特に限定されるものではないが、リブ15間の最小隙間Lbは、0.2mm以上が望ましく、1mm以上がより望ましく、5mm以下が望ましく、3mm以下がより望ましい。リブ15間の最小隙間Lbは、リブ15のブロック高さ方向の内端に形成される。
【0047】
以上、本発明の一実施形態のタイヤが詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
【実施例0048】
図4の基本パターンを有するサイズ215/60R16のタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤの雪路性能がテストされた。各試供タイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。なお、階段状面取り部の高さHは、いずれもの例も同じである。
階段状面取り部の高さH:4mm
【0049】
<雪路性能>
各試供タイヤが、下記の条件で、排気量が1500ccの前輪駆動の乗用車の全輪に装着され、テストドライバーが、上記車両を雪路面のテストコースを走行させた。テストドライバーは、このときのハンドル応答性、トラクション及びグリップ等に関する走行特性を官能により評価した。結果は、比較例1を100とする評点で表示している。数値が大きいほど良好である。
リム(全輪):16×6.5J
内圧(全輪):240kPa
【0050】
【表1】
【0051】
テストの結果、実施例のタイヤは、優れた雪路性能を有しているのが確認できた。
【符号の説明】
【0052】
1 タイヤ
2 トレッド部
3 ブロック
3a ブロックの踏面
3b ブロックの頂部
5 ブロックコーナ部
7 階段状面取り部
10 上面
11 縦面
12 階段コーナ部
n3 仮想直線
θ1 角度
図1
図2
図3
図4
図5