(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161334
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】ソーラーパネル洗浄装置及びソーラーパネルの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H02S 40/10 20140101AFI20221014BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20221014BHJP
B08B 3/04 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H02S40/10
B08B1/04
B08B3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066061
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】520363476
【氏名又は名称】株式会社SSG
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼免 知己
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
5F151
【Fターム(参考)】
3B116AA01
3B116AA31
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA15
3B116BA33
3B116BB21
3B201AA01
3B201AA31
3B201AB54
3B201BA02
3B201BA15
3B201BA33
3B201BB21
3B201BB92
5F151JA15
(57)【要約】
【課題】
ソーラーパネルの受光面に洗浄ユニットを載置した状態でも、洗浄ユニットを連結する作業を行いやすいライン型のソーラーパネル洗浄装置を提供する。
【解決手段】
走行輪12とソーラーパネル51の受光面を洗浄するためのロールブラシ13とを備えた複数の洗浄ユニット11を列状に配置し、隣り合う洗浄ユニット11を連結部材14で連結して構成されるライン型のソーラーパネル洗浄装置10において、連結部材14として、隣り合う洗浄ユニット11の境界部分に対して上側(z’軸方向正側)から被せることで、隣り合う洗浄ユニット11を互いに連結する構造のものを用いる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行輪とソーラーパネルの受光面を洗浄するためのロールブラシとを備えた複数の洗浄ユニットを列状に配置し、隣り合う洗浄ユニットを連結部材で連結して構成されるライン型のソーラーパネル洗浄装置であって、
連結部材が、隣り合う洗浄ユニットの境界部分に対して上側から被せることで、隣り合う洗浄ユニットを互いに連結する構造のものとされたことを特徴とするソーラーパネル洗浄装置。
【請求項2】
それぞれの洗浄ユニットにおける隣の洗浄ユニットに対して連結される連結縁部に、洗浄ユニットの幅方向に延びる横フレーム部が設けられ、
連結部材が、下側を解放された挟持部を有し、
隣り合う洗浄ユニットの境界部分で並列に配された一方の洗浄ユニットにおける横フレーム部と他方の洗浄ユニットにおける横フレーム部とを連結部材の挟持部で挟持することで、隣り合う洗浄ユニットが互いに連結されるようにした
請求項1記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項3】
連結部材が、下向きに突出するピンを有し、
それぞれの洗浄ユニットにおける隣の洗浄ユニットに対して連結される連結縁部付近に、上下方向のボス部が設けられ、
隣り合う洗浄ユニットを互いに当接した際に、一方の洗浄ユニットにおけるボス部と他方の洗浄ユニットにおけるボス部とが上下方向に重なるようにし、
連結部材を隣り合う洗浄ユニットの境界部分に対して上側から被せる際に、一方の洗浄ユニットのボス部と他方の洗浄ユニットのボス部とに、連結部材のピンが挿通されるようにした
請求項1又は2記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項4】
それぞれの洗浄ユニットにおける隣の洗浄ユニットに対して連結される連結縁部付近に、案内凸部と案内凹部とが設けられ、
隣り合う洗浄ユニットを近づけた際に、一方の洗浄ユニットの案内凸部が他方の洗浄ユニットの案内凹部に挿入されることによって、隣り合う洗浄ユニットが幅方向で互いに位置決めされるようにした
請求項1~3いずれか記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項5】
案内凸部が先細り状に形成され、
案内凹部が奥細り状に形成された
請求項4記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項6】
隣り合う洗浄ユニットの境界部分に、当該境界部分に重なるソーラーパネルの受光面を洗浄するための補助ロールブラシを備えた請求項1~5いずれか記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項7】
ロールブラシが、洗浄ユニットの躯体に対して昇降可能な状態で支持され、
それぞれの洗浄ユニットに、ロールブラシをソーラーパネルの受光面に向かって付勢するためのロールブラシ付勢手段が設けられるとともに、
ロールブラシが洗浄ユニットの躯体側に所定以上押し込まれないようにするためのストッパーが設けられた
請求項1~6いずれか記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項8】
ストッパーが、洗浄ユニットの幅方向側方に設けられた補助走行輪とされた請求項7記載のソーラーパネル洗浄装置。
【請求項9】
請求項1~8いずれか記載のソーラーパネル洗浄装置を用いてソーラーパネルを洗浄するソーラーパネルの洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の洗浄ユニットを列状に連結して構成されるソーラーパネル洗浄装置と、このソーラーパネル洗浄装置を用いるソーラーパネルの洗浄方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
環境に優しいクリーンエネルギーの利用を促進するとの観点から、太陽光発電に対する注目が集まっている。近年は、発電量が1メガワット以上の大規模な太陽光発電施設も設置されるようになっている。この太陽光発電施設は、「メガソーラー」と呼ばれており、全国各地に設置されている。
【0003】
ところが、太陽光発電に用いられるソーラーパネルの発電量は、その受光面に埃等の汚れが付着すると低下してしまう。ソーラーパネルの発電量を維持するためには、ソーラーパネルの受光面を定期的に洗浄する必要がある。この点、従前には、手作業によりソーラーパネルを洗浄していたところ、上記のメガソーラー等、ソーラーパネルの設置枚数が膨大な太陽光発電施設では、その作業に多大な時間と労力を要するという問題があった。
【0004】
このような実状に鑑みてか、ソーラーパネルを洗浄するための装置(ソーラーパネル洗浄装置)が開発されて利用されるに至っている。ソーラーパネル洗浄装置としては、これまでに各種のものが提案されている。例えば、
図1に示すような長尺タイプのソーラーパネル洗浄装置10(ライン型のソーラーパネル洗浄装置10)が用いられている。ライン型のソーラーパネル洗浄装置10は、複数枚のソーラーパネル51で構成されるソーラーパネル列50の上側を方向D
2(ソーラーパネル列50に沿った方向D
1に垂直な方向D
2)に跨って配される。
【0005】
この種のソーラーパネル洗浄装置10では、ロールブラシ13を回転駆動するとともに、走行輪12も回転駆動することによって、ソーラーパネル洗浄装置10を方向D1に移動させながら、ロールブラシ13でソーラーパネル51の受光面を洗浄することができる。ソーラーパネル51は、ソーラーパネル列50に沿った方向D1だけでなく、それに垂直な方向D2にも並べられる。方向D2に並べるソーラーパネル51の数(以下、「ソーラーパネル51の段数」と呼ぶことがある。)は、現場によって様々である。
【0006】
このため、ライン型のソーラーパネル洗浄装置10は、複数の洗浄ユニット11を連結して構成され、連結する洗浄ユニット11の数を増減することで、その長さ(方向D2に沿った長さ)を切り替えることができるようにしたものも登場している。特許文献1~3にも、これと同様の構造を有するライン型のソーラーパネル洗浄装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-135962号公報
【特許文献2】特開2017-159285号公報
【特許文献3】特開2018-030050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1~3のように、複数の洗浄ユニットを連結する構造のライン型のソーラーパネル洗浄装置では、それぞれの洗浄ユニットを連結する作業は、通常、それぞれの洗浄ユニットをソーラーパネルの受光面に載せた後に行われる。このため、洗浄ユニットにおける、ソーラーパネルの脇に立つ作業者から見て奥側となる部分には、作業者の手が届きにくく、洗浄ユニットの連結する作業を行いにくかった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、ソーラーパネルの受光面に洗浄ユニットを載せた状態でも、洗浄ユニットを連結する作業を行いやすいライン型のソーラーパネル洗浄装置を提供するものである。また、このソーラーパネル洗浄装置を用いたソーラーパネルの洗浄方法を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、
走行輪とソーラーパネルの受光面を洗浄するためのロールブラシとを備えた複数の洗浄ユニットを列状に配置し、隣り合う洗浄ユニットを連結部材で連結して構成されるライン型のソーラーパネル洗浄装置であって、
連結部材が、隣り合う洗浄ユニットの境界部分に対して上側(ソーラーパネルの受光面の法線方向上側。以下同じ。)から被せることで、隣り合う洗浄ユニットを互いに連結する構造のものとされたことを特徴とするソーラーパネル洗浄装置
を提供することによって解決される。
【0011】
これにより、連結部材を上側から被せるだけで、隣り合う洗浄ユニットを連結することができるようになる。このため、ソーラーパネルの受光面に洗浄ユニットを載置した状態でも、ソーラーパネルの脇に立つ作業者が、洗浄ユニットを連結する作業を容易に行うことが可能になる。
【0012】
本発明のソーラーパネル洗浄装置においては、
それぞれの洗浄ユニットにおける隣の洗浄ユニットに対して連結される連結縁部に、洗浄ユニットの幅方向に延びる横フレーム部を設け、
連結部材に、下側を解放された挟持部を設け、
隣り合う洗浄ユニットの境界部分で並列に配された一方の洗浄ユニットにおける横フレーム部と他方の洗浄ユニットにおける横フレーム部とを連結部材の挟持部で挟持することで、隣り合う洗浄ユニットが互いに連結されるようにする
ことが好ましい。
【0013】
これにより、上側から被せるタイプの連結部材でも、隣り合う洗浄ユニットをしっかりと連結することが可能になる。連結部材は、洗浄ユニットにおける連結縁部の両側の端部計2箇所に被せるようにするとより好ましい。
【0014】
本発明のソーラーパネル洗浄装置においては、
連結部材に、下向きに突出するピンを設け、
それぞれの洗浄ユニットにおける隣の洗浄ユニットに対して連結される連結縁部付近に、上下方向のボス部を設け、
隣り合う洗浄ユニットを互いに当接した際に、一方の洗浄ユニットにおけるボス部と他方の洗浄ユニットにおけるボス部とが上下方向に重なるようにし、
連結部材を隣り合う洗浄ユニットの境界部分に対して上側から被せる際に、一方の洗浄ユニットのボス部と他方の洗浄ユニットのボス部とに、連結部材のピンが挿通されるようにする
ことも好ましい。
【0015】
これにより、連結された洗浄ユニットが互いに位置ズレしないようにすることができる。特に、上記のように、連結部材の嵌込溝に洗浄ユニットの横フレーム部を嵌め込む構造を採用しただけでは、隣り合う洗浄ユニットの幅方向の移動(幅方向の位置ズレ)が許容された状態にあるところ、上記のピンとボス部に係る構成を採用することで、この幅方向の位置ズレが生じないようにすることができる。
【0016】
本発明のソーラーパネル洗浄装置においては、
それぞれの洗浄ユニットにおける隣の洗浄ユニットに対して連結される連結縁部付近に、案内凸部と案内凹部とを設け、
隣り合う洗浄ユニットを近づけた際に、一方の洗浄ユニットの案内凸部が他方の洗浄ユニットの案内凹部に挿入されることによって、隣り合う洗浄ユニットが幅方向で互いに位置決めされるようにする
ことも好ましい。
この場合には、案内凸部を先細り状に形成し、案内凹部を奥細り状に形成することが好ましい。
【0017】
これにより、隣り合う洗浄ユニットを近づけていくだけで、それぞれの洗浄ユニットが幅方向で自然に位置決めされるようになり、連結部材を被せる作業を行いやすくなる。特に、上記のように、連結部材に設けたピンを洗浄ユニットのボス部に挿通する構成を採用した場合には、隣り合う洗浄ユニットのボス部が上下に重なっていないと、ボス部にピンを挿通することができないところ、上記のように、案内凸部と案内凹部に係る構成を採用することで、隣り合う洗浄ユニットを近づけると、隣り合う洗浄ユニットのボス部が自然と上下に重なるようになる。このため、ボス部にピンを挿通する作業を行いやすくなる。
【0018】
本発明のソーラーパネル洗浄装置においては、隣り合う洗浄ユニットの境界部分に、当該境界部分に重なるソーラーパネルの受光面を洗浄するための補助ロールブラシを設けることも好ましい。というのも、本発明のソーラーパネル洗浄装置のように、複数の洗浄ユニットを連結する構造を採用すると、隣り合う洗浄ユニットの境界部分が、ロールブラシの存在しない領域となる。このため、ソーラーパネル洗浄装置を、ソーラーパネル列に沿って1回走行させただけでは、その境界部分に重なるソーラーパネルの受光面がロールブラシで洗浄されず、洗浄漏れが生じる。この点、上記の補助ロールブラシを設けることによって、洗浄漏れが生じないようにすることができるからである。
【0019】
本発明のソーラーパネル洗浄装置においては、
ロールブラシを、洗浄ユニットの躯体に対して昇降可能な状態で支持し、
それぞれの洗浄ユニットに、ロールブラシをソーラーパネルの受光面に向かって付勢するためのロールブラシ付勢手段を設ける
ことも好ましい。
【0020】
というのも、ソーラーパネル洗浄装置を走行させているときに、ソーラーパネルの受光面からロールブラシが浮き上がることがあると、ソーラーパネルの受光面に洗浄漏れが生ずるおそれがある。この点、ロールブラシを昇降可能にしてソーラーパネルの受光面に向かって付勢することにより、ロールブラシがソーラーパネルの受光面から浮き上がりにくくすることができるからである。
【0021】
ただし、ソーラーパネルには、段差等が存在する場合もある。その段差等によって洗浄ユニットが跳ね上がると、洗浄ユニットがソーラーパネルの受光面に着地した際の衝撃で、ロールブラシが洗浄ユニットの躯体側に押し込まれ、ロールブラシの周囲の構造物(例えば、ロールブラシを昇降可能に支持する構造等)が、ロールブラシよりもソーラーパネルの受光面側に突出した状態となって、ソーラーパネルの受光面に接触するおそれがある。この場合には、ソーラーパネルの受光面が傷つくおそれもある。
【0022】
このため、本発明のソーラーパネル洗浄装置において、洗浄ユニットを昇降可能とする場合には、ロールブラシが洗浄ユニットの躯体側に所定以上押し込まれないようにするためのストッパーを設けることが好ましい。これにより、洗浄ユニットが跳ね上がっても、ロールブラシの周囲の構造物が、ソーラーパネルの受光面に接触しないようにすることができる。ストッパーは、洗浄ユニットの幅方向側方に設けられた補助走行輪とすることが好ましい。これにより、ソーラーパネル洗浄装置をさらに安定した姿勢で走行させることが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によって、ソーラーパネルの受光面に洗浄ユニットを載せた状態でも、洗浄ユニットを連結する作業を行いやすいライン型のソーラーパネル洗浄装置を提供することが可能になる。また、このソーラーパネル洗浄装置を用いたソーラーパネルの洗浄方法を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来のソーラーパネル洗浄装置を用いてソーラーパネルを洗浄している様子を示した斜視図である。
【
図2】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置の平面図である。
【
図3】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する一の洗浄ユニットを他の洗浄ユニットに対して接近させている様子を示した斜視図である。
【
図4】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する一の洗浄ユニットを他の洗浄ユニットに当接させた状態を示した斜視図である。
【
図5】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する一の洗浄ユニットと他の洗浄ユニットとの境界部分を拡大した斜視図であって、一の洗浄ユニットを他の洗浄ユニットに接近させている様子を示した図である。
【
図6】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する一の洗浄ユニットと他の洗浄ユニットとの境界部分を拡大した斜視図であって、一の洗浄ユニットを他の洗浄ユニットに当接させ、連結部材を取り付けている様子を示した図である。
【
図7】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する一の洗浄ユニットと他の洗浄ユニットとの境界部分を拡大した斜視図であって、連結部材を取り付けて一の洗浄ユニットと他の洗浄ユニットとを連結した状態を示した図である。
【
図8】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する一の洗浄ユニットと他の洗浄ユニットとの境界部分を拡大した断面図であって、一の洗浄ユニットの案内凸部が他の洗浄ユニットの案内凹部に挿入される前の状態を示した図である。
【
図9】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する一の洗浄ユニットと他の洗浄ユニットとの境界部分を拡大した断面図であって、一の洗浄ユニットの案内凸部が他の洗浄ユニットの案内凹部に挿入されている途中の状態を示した図である。
【
図10】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置を構成する一の洗浄ユニットと他の洗浄ユニットとの境界部分を拡大した断面図であって、一の洗浄ユニットの案内凸部が他の洗浄ユニットの案内凹部に挿入された後の状態を示した図である。
【
図11】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置におけるロールブラシとそれを昇降可能な状態で支持する昇降支持機構とを示した斜視図である。
【
図12】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置をソーラーパネルの受光面上を走行させている様子を、ソーラーパネル洗浄装置の長手方向から見た図である。
【
図13】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置における補助ロールブラシの周辺を拡大した斜視図である。
【
図14】本発明に係るソーラーパネル洗浄装置において、ロールブラシを傾斜させた状態を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のソーラーパネル洗浄装置について、図面を用いてより具体的に説明する。以下で述べる構成は、飽くまで好適な実施形態に過ぎず、本発明のソーラーパネル洗浄装置の技術的範囲は、以下で述べる構成に限定されない。本発明のソーラーパネル洗浄装置には、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0026】
本発明のソーラーパネル洗浄装置10は、
図1に示した従来のソーラーパネル洗浄装置10と同様、複数の洗浄ユニット11を列状に連結したライン型のものとなっている。それぞれの洗浄ユニット11は、ロールブラシ13と走行輪12とを備えている。ロールブラシ13と走行輪12は、図示省略の回転駆動手段(電気モーター等)で回転駆動される。ロールブラシ13を回転駆動する回転駆動手段と、走行輪12を回転駆動する回転駆動手段は、共通としてもよいが、通常、それぞれ独立して設けられる。ロールブラシ13の回転駆動手段及び走行輪12の回転駆動手段は、通常、洗浄ユニット11の躯体11aに取り付けられる。
【0027】
ロールブラシ13は、単純な円柱形状を為すもの(円柱状のスポンジ等)であってもよいが、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、多数の毛を螺旋状に配置したものとなっている。ロールブラシ13の本数や配置は、特に限定されない。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、ロールブラシ13を軸支するための支軸13aを、ソーラーパネル洗浄装置10の幅方向D1中央寄りに2列で配している。ロールブラシ13は、1列で配することもできるし、3列以上で配することもできる。ロールブラシ13には、図示省略の洗浄水供給手段によって、洗浄水が供給されるようになっている。
【0028】
このソーラーパネル洗浄装置10は、複数枚のソーラーパネル51で構成されるソーラーパネル列50を方向D2(ソーラーパネル列50に沿った方向D1に垂直な方向D2)に跨るように設置される。この状態で、ロールブラシ13を回転駆動するとともに、走行輪12も回転駆動すると、ソーラーパネル洗浄装置10が、ソーラーパネル列50に沿った方向D1に移動しながら、ロールブラシ13でソーラーパネル51の受光面が洗浄される。
【0029】
ソーラーパネル列50は、複数枚のソーラーパネル51を特定の方向(
図1の例では、方向D
1)に沿って列状に並べることによって構成される。
図1に示した例では、ソーラーパネル列50に沿った方向D
1だけでなく、方向D
1に垂直な方向D
2(ソーラーパネル列50の幅方向)においてもソーラーパネル51が並べられている。以下においては、ソーラーパネル列50の幅方向D
2に並べられたソーラーパネル51の枚数を、「ソーラーパネル51の段数」と呼ぶことがある。ソーラーパネル51は、太陽光を垂直に近い角度で受けることができるように、その受光面が水平面に対して傾斜した状態で支持されることが多いところ、
図1に示した例でも、ソーラーパネル列50の幅方向(方向D
2)の一側が低くなって他側が高くなるように、ソーラーパネル列50を構成するソーラーパネル51を傾斜させている。
【0030】
ところで、
図1には、説明の便宜上、x軸、y軸及びz軸からなる直交座標系を示している。x軸及びy軸は、水平方向に平行な軸であり、互いに直交している。また、z軸は、鉛直方向に平行な軸である。このうち、x軸は、ソーラーパネル列50に沿った方向D
1と平行になっている。また、
図1には、x’軸、y’軸及びz’軸からなる直交座標系も示している。x’軸は、ソーラーパネル列50に沿った方向D
1と平行になっている。y’軸は、x’軸に垂直であり、ソーラーパネル列50の幅方向D
2(ソーラーパネル列50に沿った方向D
1に垂直な方向D
2)と平行になっている。z’軸は、x’軸及びy’軸に垂直であり、ソーラーパネル列50を構成するソーラーパネル51の受光面に対して垂直になっている。x’軸、y’軸及びz’軸からなる直交座標系は、
図2以降でも示している。
【0031】
図2に、本発明に係るソーラーパネル洗浄装置10の平面図を示す。ソーラーパネル洗浄装置10を構成する洗浄ユニット11の数は、ソーラーパネル列50(
図1を参照。以下同じ。)を構成するソーラーパネル51(
図1を参照。以下同じ。)の段数(
図1の方向D
2に並べられるソーラーパネル51の枚数)等によって適宜決定されるが、通常、2~8個程度とされる。
図2に示す例では、4個の洗浄ユニット11を連結することで、ソーラーパネル洗浄装置10を構成している。ソーラーパネル列50における一番上側(y’軸方向正側)に配される洗浄ユニット11には、ソーラーパネル列50の上端面に沿って走行するガイドローラ18が設けられている。洗浄ユニット11は、複数本の横フレーム部11a
1と縦フレーム部11a
1とで構成されるフレーム状の躯体11aを備えている。上述したロールブラシ13や走行輪12等は、このフレーム11aに支持される。
【0032】
図3は、本発明に係るソーラーパネル洗浄装置10を構成する一の洗浄ユニット11を他の洗浄ユニット11に対して接近させている様子を示した斜視図である。
図4は、本発明に係るソーラーパネル洗浄装置10を構成する一の洗浄ユニット11を他の洗浄ユニット11に当接させた状態を示した斜視図である。隣り合う洗浄ユニット11は、
図3に示すように、それらを接近させ、
図4に示すように、互いに当接させた後、それらを後述する連結部材で連結することによって互いに連結される。洗浄ユニット11の連結は、地上で行ってもよいが、通常、ソーラーパネル51の受光面に洗浄ユニット11を載せた状態で行われる。この点、隣り合う洗浄ユニット11を連結する連結部材として、例えばボルトを用いると、ソーラーパネル列50の脇に立つ作業者から見て手前側となる部分のボルトを締める作業は行うことができても、その作業者から見て奥側となる部分のボルトを締める作業は非常に行いにくい。
【0033】
このため、本発明のソーラーパネル洗浄装置10では、
図5~7に示すように、連結部材14として、隣り合う洗浄ユニット11の境界部分に対して上側(z’軸方向正側)から被せることで、隣り合う洗浄ユニット11を互いに連結するものを用いている。
図5~7は、本発明に係るソーラーパネル洗浄装置10を構成する一の洗浄ユニット11と他の洗浄ユニット11との境界部分を拡大した斜視図である。
図5は、一の洗浄ユニット11を他の洗浄ユニット11に接近させている様子を、
図6は、一の洗浄ユニット11を他の洗浄ユニット11に当接させ、連結部材14を取り付けている様子を、
図7は、連結部材14を取り付けて一の洗浄ユニット11と他の洗浄ユニット11とを連結した状態を、それぞれ示している。
【0034】
これにより、連結部材14を上側(z’方向正側)から被せるだけで、隣り合う洗浄ユニット11を連結することができるようになる。このため、ソーラーパネル洗浄装置10における、ソーラーパネル列50の脇に立つ作業者から見て奥側となる部分でも、手が届きさえすれば、連結部材14を取り付けることができる。加えて、ボルトを締める等の作業も要しない。したがって、ソーラーパネル51の受光面に洗浄ユニット11を載せた状態でも、洗浄ユニット11を連結する作業を容易に行うことができる。
【0035】
図5~7は、隣り合う洗浄ユニット11の境界部分のうち、x’軸方向正側の端部周辺に連結部材14を取り付けている様子を示しているところ、実際には、前記境界部分におけるx’軸方向正側の端部にも、連結部材14を取り付けるようにしている。このように、隣り合う洗浄ユニット11の境界部分の複数個所に、連結部材14を取り付けることもできる。これにより、隣り合う洗浄ユニット11をさらに確実に連結することができる。したがって、ソーラーパネル洗浄装置10がソーラーパネル51上を走行しているときに、隣り合う洗浄ユニット11が分離しにくくすることができる。
【0036】
連結部材14は、隣り合う洗浄ユニット11の境界部分に対して上側(z’方向正側)から被せる構造のものであれば特に限定されない。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、
図6に示すように、連結部材14を、挟持部14aとピン14bとで構成している。挟持部14aは、下側に開口を有するように断面溝型に折り曲げられた板状部材となっている。この挟持部14aを、
図6及び
図7に示すように、それぞれの洗浄ユニット11の連結縁部に設けられた横フレーム部11a
1の重なり部分に上側(z’軸方向正側)から被せることで、一方の洗浄ユニット11の横フレーム部11a
1と他方の洗浄ユニット11の横フレーム部11a
1とを挟持部14aで挟持できるようになっている。
【0037】
一方、ピン14bは、連結部材14における挟持部14aに連続する突片部から下向きに突出した状態で設けられている。このピン14bは、
図6及び
図7に示すように、隣り合う洗浄ユニット11の境界部分の角部(連結縁部の両端部)にそれぞれ設けた上下方向(z’軸方向)のボス部11bに挿通するための部分となっている。
図5に示すように、一方の洗浄ユニット11におけるボス部11bと他方の洗浄ユニット11におけるボス部11bは、段違いに形成しており、
図6に示すように、隣り合う洗浄ユニット11を互いに当接した際に、上下方向(z’軸方向)に重なるようにしている。連結部材14の挟持部14aを横フレーム部11a
1の重なり部分に対して上側(z’軸方向正側)から被せる際に、それぞれのボス部11bに対して共通のピン14bが下向き(z’方向負側を向く向き)に挿通されるようになっている。
【0038】
それぞれの洗浄ユニット11における横フレーム部11a1の重なり部分を上記の挟持部14bで挟持しただけでは、一方の洗浄ユニット11と他方の洗浄ユニット11は、方向D2に沿った方向の移動が規制されても、方向D1に沿った方向の移動が許容された状態にあるところ、このように、隣り合う洗浄ユニット11に設けたボス部11bに共通のピン14bを挿通することで、一方の洗浄ユニット11と他方の洗浄ユニット11とが、方向D2に対してだけでなく、方向D1に対しても、相対的に移動できない状態となる。したがって、連結部材14で連結された洗浄ユニット11が互いに位置ズレしない状態でより強固に連結された状態となる。
【0039】
ただし、ピン14bをボス部11bに挿通する構造を採用すると、
図6に示すように、隣り合う洗浄ユニット11を当接させた際に、それぞれのボス部11bが上下方向(z’軸方向)で重なるように、一方の洗浄ユニット11と他方の洗浄ユニット11とを方向D
1においてある程度正確に位置決めする必要がある。この点、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、
図3に示すように、それぞれの洗浄ユニット11における連結縁部付近に、案内凸部11cと案内凹部11dとを設けている。これにより、隣り合う洗浄ユニット11を近づけた際に、一方の洗浄ユニット11の案内凸部11cが他方の洗浄ユニット11の案内凹部11dに挿入されることによって、隣り合う洗浄ユニット11が方向D
1において互いに位置決めされるようになっている。
【0040】
図8~10は、本発明に係るソーラーパネル洗浄装置10を構成する一の洗浄ユニット11と他の洗浄ユニット11との境界部分を拡大した断面図(その境界部分をz’軸に垂直な平面で切断した断面図)である。
図8は、一の洗浄ユニット11の案内凸部11cが他の洗浄ユニット11の案内凹部11dに挿入される前の状態を、
図9は、一の洗浄ユニット11の案内凸部11cが他の洗浄ユニット11の案内凹部11dに挿入されている途中の状態を、
図10は、一の洗浄ユニット11の案内凸部11cが他の洗浄ユニット11の案内凹部11dに挿入された後の状態をそれぞれ示す。
図8~10に示すように、一方の洗浄ユニット11と他方の洗浄ユニット11とが互いに近づき、案内凸部11cが案内凹部11dに深く入り込むに連れて、一方の洗浄ユニット11と他方の洗浄ユニット11とが、方向D
1において相対的に移動し、適正な位置(それぞれのボス部11b(
図6)が上下方向(z’軸方向)に重なる位置)となるようになっている。
【0041】
案内凸部11cと案内凹部11dは、それらが深く噛み合うに連れてそれぞれの洗浄ユニット11を方向D
1に移動できるものであれば、その形状を特に限定されない。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、
図8に示すように、案内凸部11cを先細り状に形成するとともに、案内凹部11dを奥細り状に形成している。換言すると、案内凸部11cの側面を傾斜させるとともに、案内凹部11dにおける案内凸部11cの側面に当接する内壁面も傾斜させている。これにより、隣り合う洗浄ユニット11を方向D
1に沿って近づけていくだけで、それぞれの洗浄ユニット11が方向D
2で自然に位置決めされるようになる。
【0042】
案内凸部11c及び案内凹部11dは、洗浄ユニット11の連結縁部ごとに1つずつ設けてもよいが、複数個ずつ設けることが好ましい。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10においても、
図3に示すように、案内凸部11c及び案内凹部11dを、洗浄ユニット11の連結縁部ごとに2個ずつ設けている。これにより、一方の洗浄ユニット11と他方の洗浄ユニット11とを、方向D
1においてバランスよく安定して移動させやすくなる。
【0043】
ロールブラシ13(
図13)は、洗浄ユニット11の躯体11a(
図13)に対して位置が変化しない状態で支持させてもよい。しかし、ソーラーパネル51の受光面上をソーラーパネル洗浄装置10が走行しているときに、走行輪12(
図13)がソーラーパネル51の段差等を拾って洗浄ユニット11が跳ね上がることがある。このときに、洗浄ユニット11の躯体11aと一緒にロールブラシ13も跳ね上がると、ソーラーパネル51の受光面からロールブラシ13が浮き上がり、ソーラーパネル51の受光面に洗浄漏れが生じる等、洗浄ムラが生じることになる。
【0044】
このため、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、ロールブラシ13を、洗浄ユニット11の躯体11aに対して昇降可能(z’軸方向に移動可能)な状態で支持するとともに、それぞれの洗浄ユニット11に、ロールブラシ13をソーラーパネル51の受光面(z’軸方向負側)に向かって付勢している。これにより、ソーラーパネル51の受光面に対してロールブラシ13が略一定の圧力で押し付けられた状態が維持されるようにして、上記の洗浄ムラが生じないようにすることが可能となっている。
【0045】
具体的には、
図11に示す昇降支持機構15を介して、ロールブラシ13を洗浄ユニット11の躯体11a(
図3)に支持させている。
図11は、本発明に係るソーラーパネル洗浄装置10におけるロールブラシ13と昇降支持機構15とを示した斜視図である。昇降支持機構15は、ロールブラシ13を洗浄ユニット11の躯体11に対して昇降可能(z’軸方向に移動可能)な状態で支持するためのものであり、ロールブラシ13の両端部に設けられている。それぞれの昇降支持機構15は、取り付け基部15aと、昇降部15bと、昇降ガイド部15cと、ロールブラシ付勢手段15dとで構成されている。
【0046】
取り付け基部15aは、洗浄ユニット11の躯体11a(
図3)に対して動かない状態で取り付けられる。昇降部15bは、取り付け基部15aに対して昇降可能(z’軸方向に移動可能)な状態で取り付けられる。この昇降部15bには、ロールブラシ13の支軸13aが軸支される。昇降ガイド部15cは、取り付け基部15aに対して昇降部15bがz’軸方向に沿って移動するように昇降部15bを案内するための部材である。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、昇降ガイド部15cとして、ガイドピン15c
1とガイドブッシュ15c
2とで構成されるリニアガイドを用いている。ロールブラシ付勢手段15dは、ロールブラシ13をソーラーパネル51の受光面(z’軸方向負側)に向かって付勢するためのものである。ロールブラシ付勢手段15dとしては、コイルバネ等の弾性部材のほか、ガススプリング等を用いることができる。
【0047】
ただし、上記のように、洗浄ユニット11の躯体11aに対してロールブラシ13を昇降可能な状態で支持すると、ソーラーパネル51の段差等によって洗浄ユニット11が跳ね上がった後、洗浄ユニット11がソーラーパネル51の受光面に着地した際の衝撃で、ロールブラシ13が洗浄ユニット11の躯体11a側に深く押し込まれ、躯体11aが通常時よりも沈み込んでソーラーパネル51の受光面に近づいた状態となる。このため、ロールブラシ13の周囲の構造物(例えば、上記の昇降支持機構15におけるガイドピン15c1の下端部等)がソーラーパネル51の受光面に接触し、ソーラーパネル51が傷つくおそれがある。躯体11aは、走行輪12によって支えられているため、躯体11aの沈み込みは、その走行輪12によってある程度は抑えることができる。しかし、走行輪12は、洗浄ユニット11の幅方向(方向D1に沿った方向)中央部に設けているため、洗浄ユニット11が幅方向で傾いた状態となると、ロールブラシ13の周囲の構造物(ガイドピン15c1の下端部等)がソーラーパネル51の受光面に接触するおそれがある。
【0048】
このため、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、
図12に示すように、走行輪12とは別に、ロールブラシ13が洗浄ユニット11の躯体11a側に所定以上押し込まれないようにするためのストッパー16を、洗浄ユニット11の幅方向両端部(幅方向側方)に設けている。
図12は、本発明に係るソーラーパネル洗浄装置10をソーラーパネル51の受光面上を走行させている様子を、ソーラーパネル洗浄装置10の長手方向から見た図である。これにより、洗浄ユニット11が幅方向D
1で傾いても、洗浄ユニット11の幅方向両端部をストッパー16で支え、ガイドピン15c
1の下端部等、ロールブラシ13の周囲の構造物がソーラーパネル51の受光面に接触しないようにすることができる。
【0049】
ストッパー16は、洗浄ユニット11の躯体11aの沈み込みを規制するものであれば、その構造等を特に限定されない。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、ストッパー16を補助走行輪としている。このように、ソーラーパネル51の受光面上をストッパー16が転がるようにすることで、ソーラーパネル51の受光面に対するストッパー16の接触抵抗を小さく抑えることができる。したがって、ソーラーパネル洗浄装置10をさらに安定した姿勢で滑らかに走行させることが可能になる。
【0050】
ところで、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、
図2に示すように、それぞれの洗浄ユニット11を方向D
2にわたる略全区間(同図における区間S
1を参照。)にロールブラシ13が存在するものの、隣り合う洗浄ユニット11の境界部分には、ロールブラシ13の存在しない区間(同図における区間S
2を参照。)が存在する。このため、ソーラーパネル洗浄装置10を、ソーラーパネル列50に沿って1回走行させただけでは、その境界部分(区間S
2)に重なるソーラーパネル51の受光面がロールブラシ13で洗浄されず、洗浄漏れが生じる。
【0051】
このため、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、
図2に示すように、隣り合う洗浄ユニット11の境界部分(区間S
2)をオーバーラップするように、補助ロールブラシ17aを設けている。
図13は、本発明に係るソーラーパネル洗浄装置10における補助ロールブラシ17aの周辺を拡大した斜視図である。
図13に示すように、補助ロールブラシ17aは、補助洗浄ユニット17の一部として設けている。
【0052】
補助洗浄ユニット17は、その躯体17bに対し、補助ロールブラシ17aのほか、昇降支持機構17cも設けられている。このため、上述したロールブラシ13と同様、補助ロールブラシ17aも、昇降可能(z’軸方向に移動可能)となっており、ソーラーパネル51の受光面に接触した状態が維持されるようになっている。昇降支持機構17cの具体的な構造は、上述した昇降支持機構15と同様であるため、説明を割愛する。このように、補助ロールブラシ17aを設けることによって、ロールブラシ13の存在しない区間S2に重なるソーラーパネル51を補助ロールブラシ17aで洗浄することができ、洗浄漏れが生じないようにすることができる。
【0053】
補助ロールブラシ17aは、上述したロールブラシ13と同様、多数の毛を螺旋状に配置したものを採用している。この補助ロールブラシ17aも、図示省略の回転駆動手段により回転駆動される。補助ロールブラシ17aを回転駆動する回転駆動手段は、ロールブラシ13の回転駆動手段や、走行輪12の回転駆動手段と共通としてもよいが、それらから独立したものを用いることが好ましい。補助ロールブラシ17aは、それに供給される洗浄水の圧力で回転するようにもできる。しかし、この場合には、洗浄水供給用の配管が複雑になるおそれがある。このため、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10においては、補助ロールブラシ17aの回転駆動手段として電気モーターを用いている。補助ロールブラシ17の回転駆動手段(電気モーター)は、補助洗浄ユニット17の躯体17bに取り付けられる。
【0054】
図14は、本発明に係るソーラーパネル洗浄装置10において、ロールブラシ13を傾斜させた状態を示した平面図である。本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10は、
図2に示すように、ロールブラシ13をソーラーパネル洗浄装置10の長手方向D
1に対して平行な状態とするだけでなく、
図14に示すように、ロールブラシ13をソーラーパネル洗浄装置10の長手方向D
1に対して傾斜した状態とできるようになっている。このような構造は、例えば、洗浄ユニット11の横フレーム部11a
1(
図3)に対して昇降支持機構15における取り付け基部15a(
図11)を取り付ける角度を調節可能とすることで、実現することができる。
【0055】
このように、ロールブラシ13を傾斜した状態とすることで、ロールブラシ13とソーラーパネル51の受光面とが、ソーラーパネル洗浄装置10の走行方向D
1において広い幅で接触するようになり、ソーラーパネル51の受光面に付着した汚れを除去しやすくなる。ロールブラシ13の傾斜角度は、特に限定されないが、
図2に示す状態を0°とし、その状態からロールブラシ13のy’軸方向正側の端部がx’軸方向正側に移動する向きの傾斜を正(プラス)とし、y’軸方向正側の端部がx’軸方向負側に移動する向きの傾斜を負(マイナス)とすると、±1°以上の範囲で調節できるようにすることが好ましい。ロールブラシ13の傾斜角度は、±3°以上の範囲で調節できるようにするとより好ましく、±5°以上の範囲で調節できるようにするとさらに好ましい。ロールブラシ13の傾斜角度の上限は、特に制限はないが、通常、±30°程度までである。
【0056】
ロールブラシ13の存在しない区間S
2は、
図14に示すように、ロールブラシ13を傾斜した状態でも存在する。この点、本実施形態のソーラーパネル洗浄装置10では、ロールブラシ13を最大の傾斜角度まで傾斜させた場合であっても、ロールブラシ13の存在しない区間S
2を補助ロールブラシ17aでカバーすることができるようにしている。これにより、ロールブラシ13の傾斜角度にかかわらず、ソーラーパネル51の受光面に洗浄漏れが生じないようにすることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 ソーラーパネル洗浄装置
11 洗浄ユニット
11a 躯体
11a1 横フレーム部
11a2 縦フレーム部
11b ボス部
11c 案内凸部
11d 案内凹部
12 走行輪
13 ロールブラシ
13a 支軸
14 連結部材
14a 挟持部
14b ピン
15 昇降支持機構
15a 取り付け基部
15b 昇降部
15c 昇降ガイド部
15c1 ガイドピン
15c2 ガイドブッシュ
15d ロールブラシ付勢手段
16 ストッパー
17 洗浄ユニット
17a 補助ロールブラシ
17b 躯体
17c 昇降支持機構
18 ガイドローラ
50 ソーラーパネル列
51 ソーラーパネル
D1 ソーラーパネル列に沿った方向
D2 ソーラーパネル列に垂直な方向
S1 ロールブラシが存在する区間
S2 ロールブラシが存在しない区間