(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161362
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】モータ用電源装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/00 20060101AFI20221014BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20221014BHJP
H02H 7/20 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H03K17/00 B
H03K17/687 A
H02H7/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066110
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】内田 豊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】山崎 航平
【テーマコード(参考)】
5G053
5J055
【Fターム(参考)】
5G053AA06
5G053BA04
5G053DA02
5G053EA01
5G053EC03
5G053FA04
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5J055EZ39
5J055FX05
5J055FX13
5J055FX22
5J055GX03
(57)【要約】
【課題】電力供給ラインの電源と電源側半導体スイッチとの間に地絡が発生した場合でも、電源側半導体スイッチの故障診断の誤判定を抑制することが可能なモータ用電源装置を提供する。
【解決手段】このモータ用電源装置3は、第1電力供給ライン31b上において第1電源側半導体スイッチ31cよりも第1電源31a側に配置されており、第1電力供給ライン31bの電圧を検知する第1電源側電圧検知部31eと、第1電源側電圧検知部31eの計測値に基づいて、第1電源31aから第1電源側半導体スイッチ31cへの電力の供給の状態を判定する制御を行う制御部31iとを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源と
前記第1電源から供給される電力により駆動するモータと、
前記第1電源と前記モータとを電気的に接続する第1電力供給ラインと、
前記第1電力供給ライン上の前記第1電源側に配置された第1電源側半導体スイッチと、
前記第1電力供給ライン上において前記第1電源側半導体スイッチに直列に接続されるとともに、出力側に配置された第1出力側半導体スイッチと、
前記第1電力供給ライン上において前記第1電源側半導体スイッチよりも前記第1電源側に配置されており、前記第1電力供給ラインの電圧を検知する第1電源側電圧検知部と、
前記第1電源側電圧検知部の計測値に基づいて、前記第1電源から前記第1電源側半導体スイッチへの電力の供給の状態を判定する制御を行う制御部とを備える、モータ用電源装置。
【請求項2】
前記第1電力供給ラインにおいて前記第1出力側半導体スイッチよりも前記モータ側に配置されており、前記第1電力供給ラインの電圧を検知する出力側電圧検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1電源側半導体スイッチおよび前記第1出力側半導体スイッチをオンにした第1状態で、前記第1電源側電圧検知部および前記出力側電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、前記第1電源側半導体スイッチおよび前記第1出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている、請求項1に記載のモータ用電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1電源側半導体スイッチおよび前記第1出力側半導体スイッチの全てをオフにした第2状態において、前記第1電源側電圧検知部および前記出力側電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、前記第1出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている、請求項2に記載のモータ用電源装置。
【請求項4】
前記第1電源側半導体スイッチと前記第1出力側半導体スイッチとの間に配置されており、前記第1電力供給ラインの電圧を検知する中間部電圧検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1状態で、前記第1電源側電圧検知部、前記出力側電圧検知部および前記中間部電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、前記第1電源側半導体スイッチおよび前記第1出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている、請求項2または3に記載のモータ用電源装置。
【請求項5】
前記第1電源とは別個に設けられた第2電源と、
前記第2電源と前記モータとを電気的に接続する第2電力供給ラインと、
前記第2電力供給ライン上の前記第2電源側に配置された第2電源側半導体スイッチと、
前記第2電力供給ライン上において前記第2電源側半導体スイッチに直列に接続されるとともに、出力側に配置された第2出力側半導体スイッチと、
前記第2電力供給ラインにおいて前記第2電源側半導体スイッチよりも前記第2電源側に配置されており、前記第2電力供給ラインの電圧を検知する第2電源側電圧検知部とをさらに備え、
前記制御部は、前記第1電源側半導体スイッチ、前記第2電源側半導体スイッチ、前記第1出力側半導体スイッチおよび前記第2出力側半導体スイッチの全てをオフにした第3状態において、前記第1電源側電圧検知部、前記出力側電圧検知部および前記中間部電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、前記第1電源側半導体スイッチおよび前記第2出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている、請求項4に記載のモータ用電源装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1状態で、前記出力側電圧検知部、前記中間部電圧検知部および前記第2電源側電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、前記第2出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている、請求項5に記載のモータ用電源装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2電源側半導体スイッチおよび前記第2出力側半導体スイッチをオンにした第4状態において、前記第1電源側電圧検知部、前記出力側電圧検知部および前記中間部電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、前記第1出力側半導体スイッチの故障を診断するか、または、前記出力側電圧検知部、前記中間部電圧検知部および前記第2電源側電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、前記第2出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている、請求項5または6に記載のモータ用電源装置。
【請求項8】
前記第1電力供給ライン上において前記出力側電圧検知部の前記第1電源側に配置され、外部電源により予め充電されたプリチャージ用コンデンサをさらに備え、
前記制御部は、前記第1電源側半導体スイッチおよび前記第1出力側半導体スイッチの全てをオフにした第2状態、前記第3状態および前記第4状態の前に、前記プリチャージ用コンデンサを放電する制御を行うように構成されている、請求項7に記載のモータ用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用電源装置に関し、特に、モータを駆動させる電力を供給するモータ用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを駆動させる電力を供給するモータ用電源装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、モータを駆動させる電力を供給する電源ユニット(モータ用電源装置)が開示されている。電源ユニットは、メイン電源と、サブ電源と、サブ電源供給ラインと、第1MOSFETと、第2MOSFETと、マイコンとを備えている。サブ電源は、メイン電源と別個に設けられている。サブ電源供給ラインは、サブ電源に接続されており、サブ電源からの電力をモータに供給する。第1MOSFETは、サブ電源供給ラインにおいて第2MOSFETよりもサブ電源側に配置されている。第2MOSFETは、サブ電源供給ラインにおいて第1MOSFETと直列に接続されている。マイコンは、第1MOSFETおよび第2MOSFETの各々のオンオフを制御するように構成されている。
【0004】
上記特許文献1のマイコンは、第1MOSFETおよび第2MOSFETをオンオフさせた状態で、第1MOSFETおよび第2MOSFETの各々の短絡・オープン故障の有無を判断するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の電源ユニットでは、サブ電源供給ラインのサブ電源と第1MOSFETとの間において地絡が発生した場合、第1MOSFETのオンの故障診断および第1MOSFETのオフの故障診断において、故障診断を誤判定するおそれがある。具体的には、第1MOSFETをオンにするとともに第2MOSFETをオフにした状態で、第1MOSFETを故障診断する際、サブ電源供給ラインのサブ電源と第1MOSFETとの間において地絡が発生している場合、第1MOSFETの電圧は0Vになる。この場合、マイコンは、第1MOSFETのオン動作が正常であったとしても、第1MOSFETがオフの状態を解除できないオープン故障と誤判定してしまう。また、第1MOSFETをオフにするとともに第2MOSFETをオフにした状態で、第1MOSFETを故障診断する際、サブ電源供給ラインのサブ電源と第1MOSFETとの間において地絡が発生している場合、第1MOSFETの電圧は0Vになる。この場合、マイコンは、第1MOSFETがショート故障(短絡故障)していたとしても、オフ動作が正常と誤判定してしまう。これらのように、上記特許文献1の電源ユニットでは、サブ電源供給ライン(電力供給ライン)のサブ電源(電源)と第1MOSFET(電源側半導体スイッチ)との間に地絡が発生した場合、第1MOSFET(電源側半導体スイッチ)の故障診断において、故障診断を誤判定してしまうという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電力供給ラインの電源と電源側半導体スイッチとの間に地絡が発生した場合でも、電源側半導体スイッチの故障診断の誤判定を抑制することが可能なモータ用電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるモータ用電源装置は、第1電源と第1電源から供給される電力により駆動するモータと、第1電源とモータとを電気的に接続する第1電力供給ラインと、第1電力供給ライン上の第1電源側に配置された第1電源側半導体スイッチと、第1電力供給ライン上において第1電源側半導体スイッチに直列に接続されるとともに、出力側に配置された第1出力側半導体スイッチと、第1電力供給ライン上において第1電源側半導体スイッチよりも第1電源側に配置されており、第1電力供給ラインの電圧を検知する第1電源側電圧検知部と、第1電源側電圧検知部の計測値に基づいて、第1電源から第1電源側半導体スイッチへの電力の供給の状態を判定する制御を行う制御部とを備える。
【0009】
この発明の一の局面によるモータ用電源装置では、上記のように、第1電源側電圧検知部の計測値に基づいて、第1電源から第1電源側半導体スイッチへの電力の供給の状態を判定する制御を行う制御部が設けられる。これにより、第1電力供給ライン上の第1電源と第1電源側半導体スイッチとの間において地絡が発生した場合でも、制御部が第1電源側電圧検知部の計測値に基づいて地絡を正確に判定することができるので、第1電源側半導体スイッチのオン動作の故障診断および第1電源側半導体スイッチのオフ動作の故障診断において、故障診断の誤判定を抑制することができる。
【0010】
上記一の局面によるモータ用電源装置では、好ましく、第1電力供給ラインにおいて第1出力側半導体スイッチよりもモータ側に配置されており、第1電力供給ラインの電圧を検知する出力側電圧検知部をさらに備え、制御部は、第1電源側半導体スイッチおよび第1出力側半導体スイッチをオンにした第1状態で、第1電源側電圧検知部および出力側電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、第1電源側半導体スイッチおよび第1出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている。
【0011】
このように構成すれば、第1電源側半導体スイッチと第1出力側半導体スイッチとの間に電圧検知部を配置することなく第1電源側半導体スイッチおよび第1出力側半導体スイッチの故障を診断することができるので、モータ用電源装置(回路)の部品点数の増加を抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、第1電源側半導体スイッチおよび第1出力側半導体スイッチの全てをオフにした第2状態において、第1電源側電圧検知部および出力側電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、第1出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている。
【0013】
このように構成すれば、第1電源側半導体スイッチがオンの状態を解除できないオン故障(短絡故障)である場合、第1出力側半導体スイッチがオン故障であると出力側電圧検知部に電圧が検知され、第1出力側半導体スイッチが正常であると出力側電圧検知部に電圧が検知されないので、第1出力側半導体スイッチのオン故障の診断結果を第1電源側半導体スイッチのオン故障の診断結果に流用することができる。その結果、第1電源側半導体スイッチの故障の診断を行うことなく、第1出力側半導体スイッチの故障の診断のみを行うことにより、第1電源側電圧検知部および出力側電圧検知部の各々のオン故障の診断を行うことができるので、制御部における故障診断の処理負荷を軽減することができる。
【0014】
上記出力側電圧検知部を備えるモータ用電源装置において、好ましくは、第1電源側半導体スイッチと第1出力側半導体スイッチとの間に配置されており、第1電力供給ラインの電圧を検知する中間部電圧検知部をさらに備え、制御部は、第1状態で、第1電源側電圧検知部、出力側電圧検知部および中間部電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、第1電源側半導体スイッチおよび第1出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている
【0015】
このように構成すれば、中間部電圧検知部を設けることにより、第1電源側半導体スイッチの故障を直接的に診断することができるので、第1電源側半導体スイッチの診断結果の正確性を向上させることができる。
【0016】
上記中間部電圧検知部を備えるモータ用電源装置において、好ましくは、第1電源とは別個に設けられた第2電源と、第2電源とモータとを電気的に接続する第2電力供給ラインと、第2電力供給ライン上の第2電源側に配置された第2電源側半導体スイッチと、第2電力供給ライン上において第2電源側半導体スイッチに直列に接続されるとともに、出力側に配置された第2出力側半導体スイッチと、第2電力供給ラインにおいて第2電源側半導体スイッチよりも第2電源側に配置されており、第2電力供給ラインの電圧を検知する第2電源側電圧検知部とをさらに備え、制御部は、第1電源側半導体スイッチ、第2電源側半導体スイッチ、第1出力側半導体スイッチおよび第2出力側半導体スイッチの全てをオフにした第3状態において、第1電源側電圧検知部、出力側電圧検知部および中間部電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、第1電源側半導体スイッチおよび第2出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている。
【0017】
このように構成すれば、第2電源側電圧検知部により第2電力供給ライン上の第2電源と第2電源側半導体スイッチとの間において地絡が発生した場合を正確に判定することができるので、故障診断の誤判定を抑制することができる。また、中間部電圧検知部を用いて第1電源側半導体スイッチの故障を診断することにより、第1電源側半導体スイッチを直接的に診断することができるので、第1電源側半導体スイッチのオン故障を正確に検知することができる。
【0018】
上記第2電源側検知部を備えるモータ用電源装置において、好ましくは、制御部は、第1状態で、出力側電圧検知部、中間部電圧検知部および第2電源側電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、第2出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている。
【0019】
このように構成すれば、第1電源側電圧検知部を用いることなく、第2出力側半導体スイッチがオフの状態を解除できないオフ故障(オープン故障)であることを診断することができるので、第2出力側半導体スイッチのオフ故障を診断する際の制御部の処理負荷を軽減することができる。
【0020】
上記第2電源側検知部を備えるモータ用電源装置において、好ましくは、制御部は、第2電源側半導体スイッチおよび第2出力側半導体スイッチをオンにした第4状態において、第1電源側電圧検知部、出力側電圧検知部および中間部電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、第1出力側半導体スイッチの故障を診断するか、または、出力側電圧検知部、中間部電圧検知部および第2電源側電圧検知部の各々の検知した電圧値に基づいて、第2出力側半導体スイッチの故障を診断するように構成されている。
【0021】
このように構成すれば、第2電源側電圧検知部を用いることなく、第1出力側半導体スイッチがオン故障であることを診断することができるので、第1出力側半導体スイッチのオフ故障を診断する際の制御部の処理負荷を軽減することができる。また、第1電源側電圧検知部を用いることなく、第2出力側半導体スイッチがオフ故障であることを診断することができるので、第2出力側半導体スイッチのオフ故障を診断する際の制御部の処理負荷を軽減することができる。
【0022】
上記第4状態において故障診断を行うモータ用電源装置において、好ましくは、第1電力供給ライン上において出力側電圧検知部の第1電源側に配置され、外部電源により予め充電されたプリチャージ用コンデンサをさらに備え、制御部は、第1電源側半導体スイッチおよび第1出力側半導体スイッチの全てをオフにした第2状態、第3状態および第4状態の前に、プリチャージ用コンデンサを放電する制御を行うように構成されている。
【0023】
このように構成すれば、プリチャージ用コンデンサにより、出力側検知部に向けて突入電流が流れることを抑制することができる。また、モータ用電源装置を第2状態、第3状態または第4状態にする前にプリチャージ用コンデンサを放電することにより、出力側電圧検知部において半導体スイッチを通過した電圧の検知を行うことができるので、モータ用電源装置において半導体スイッチの故障診断を正確に行うことができる。
【0024】
なお、上記一の局面によるモータ用電源装置において、以下のような構成も考えられる。
【0025】
(付記項1)
すなわち、上記プリチャージ用コンデンサを備えるモータ用電源装置において、制御部は、プリチャージ用コンデンサの充電異常が発生したことに基づいて、第1状態、第2状態、第3状態および第4状態での故障の診断を行わない制御を行うように構成されている。
【0026】
このように構成すれば、第1状態、第2状態、第3状態および第4状態での故障の診断の際に、出力側検知部に向けて突入電流が流れることを確実に抑制することができるので、突入電流に起因する半導体スイッチの故障診断の誤検知を抑制することができる。
【0027】
(付記項2)
上記出力側電圧検知部を備えるモータ用電源装置において、好ましくは、制御部は、第1状態において第1電源側半導体スイッチおよび第1出力側半導体スイッチの少なくともいずれかの故障を検知したことに基づいて、故障の診断を終了する制御を行うように構成されている。
【0028】
このように構成すれば、故障した第1電源側半導体スイッチおよび第1出力側半導体スイッチの少なくともいずれかの半導体スイッチの誤動作に起因する半導体スイッチの故障の誤検出を抑制することができるので、モータ用電源装置において半導体スイッチの故障診断を正確に行うことができる。また、第1状態において、第1電源側半導体スイッチおよび第1出力側半導体スイッチの少なくともいずれかの故障を検知したことに基づいて故障の診断を終了するので、故障の診断を続ける場合と比較して、制御部の処理負荷を軽減することができる。
【0029】
(付記項3)
上記第2状態において第1出力側半導体スイッチの故障を診断するモータ用電源装置において、制御部は、第2状態において、第1出力側半導体スイッチの故障を検知したことに基づいて、故障の診断を終了する制御を行うように構成されている。
【0030】
このように構成すれば、故障した第1出力側半導体スイッチの誤動作に起因する半導体スイッチの故障の誤検出を抑制することができるので、モータ用電源装置において半導体スイッチの故障診断を正確に行うことができる。また、第2状態において、第1出力側半導体スイッチの故障を検知したことに基づいて故障の診断を終了するので、故障の診断を続ける場合と比較して、制御部の処理負荷を軽減することができる。
【0031】
(付記項4)
上記第3状態において第1電源側半導体スイッチの故障を診断するモータ用電源装置において、制御部は、第3状態において、第1電源側半導体スイッチの故障を検知したことに基づいて、故障の診断を終了する制御を行うように構成されている。
【0032】
このように構成すれば、故障した第1電源側半導体スイッチの誤動作に起因する半導体スイッチの故障の誤検出を抑制することができるので、モータ用電源装置において半導体スイッチの故障診断を正確に行うことができる。また、第3状態において、第1電源側半導体スイッチの故障を検知したことに基づいて故障の診断を終了するので、故障の診断を続ける場合と比較して、制御部の処理負荷を軽減することができる。
【0033】
(請求項5)
上記第4状態において第1出力側半導体スイッチまたは第2出力側半導体スイッチの故障を診断するモータ用電源装置において、制御部は、第2電源の種類に基づいて、第4状態において、第1出力側半導体スイッチの故障を診断するか否か、および、第2出力側半導体スイッチの故障を診断するか否かを判断する制御を行うように構成されている。
【0034】
このように構成すれば、第2電源の種類に関わらず第4状態において半導体スイッチの故障診断を行う場合と比較して、制御部の処理負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1実施形態によるシフト装置の全体構成を概略的に示した斜視図である。
【
図2】第1実施形態によるシフト装置を構成するディテントプレートの構造を示した図である。
【
図3】第1実施形態によるモータ用電源装置の構成を模式的に示した図である。
【
図4】第1実施形態によるモータ用電源装置における故障診断のタイミングチャートである。
【
図5】第1実施形態によるモータ用電源装置における第1メイン用半導体スイッチの第1診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図6】第1実施形態によるモータ用電源装置における第2メイン用半導体スイッチの第1診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図7】第1実施形態によるモータ用電源装置における第1サブ用半導体スイッチの第1診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図8】第1実施形態によるモータ用電源装置における第2サブ用半導体スイッチの第1診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図9】第1実施形態によるモータ用電源装置における第2メイン用半導体スイッチの第2診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図10】第1実施形態によるモータ用電源装置における第1サブ用半導体スイッチの第2診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図11】第1実施形態によるモータ用電源装置における第4サブ用半導体スイッチの第2診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図12】第1実施形態によるモータ用電源装置における第2サブ用半導体スイッチの第3診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図13】第1実施形態によるモータ用電源装置における第4サブ用半導体スイッチの第3診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図14】第1実施形態によるモータ用電源装置のメイン側故障診断処理を示したフローチャートである。
【
図15】第1実施形態によるモータ用電源装置のサブ側故障診断処理の一部を示したフローチャートである。
【
図16】第1実施形態によるモータ用電源装置のサブ側故障診断処理の残りを示したフローチャートである。
【
図17】第2実施形態によるモータ用電源装置の構成を模式的に示した図である。
【
図18】第2実施形態によるモータ用電源装置における故障診断のタイミングチャートである。
【
図19】第2実施形態によるモータ用電源装置における第4サブ用半導体スイッチの第2診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図20】第3実施形態によるモータ用電源装置の構成を模式的に示した図である。
【
図21】第3実施形態によるモータ用電源装置における故障診断のタイミングチャートである。
【
図22】第3実施形態によるモータ用電源装置における第1半導体スイッチの第1診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図23】第3実施形態によるモータ用電源装置における第2半導体スイッチの第1診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図24】第3実施形態によるモータ用電源装置における第1サブ用半導体スイッチの第2診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図25】第3実施形態によるモータ用電源装置における第4半導体スイッチの第2診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図26】第3実施形態によるモータ用電源装置における第2半導体スイッチの第3診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図27】第3実施形態によるモータ用電源装置における第4半導体スイッチの第3診断状態の診断結果を示したテーブルである。
【
図28】第3実施形態によるモータ用電源装置の故障診断処理の一部を示したフローチャートである。
【
図29】第3実施形態によるモータ用電源装置の故障診断処理の残りを示したフローチャートである。
【
図30】第4実施形態によるモータ用電源装置の構成を模式的に示した図である。
【
図31】第4実施形態によるモータ用電源装置における故障診断のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
[第1実施形態]
図1~
図13を参照して、第1実施形態のモータ用電源装置3の構成について説明する。モータ用電源装置3は、シフト装置100のモータ11を駆動させるための装置である。
【0038】
シフト装置100は、自動車などの車両に搭載されている。
図1に示すように、車両は、乗員(運転者)がシフトレバー(またはシフトスイッチ)などの操作部を介してシフトの切替操作を行った場合に、変速機構部に対する電気的なシフト切替制御が行われる。すなわち、操作部に設けられたシフトセンサを介してシフトレバーの位置がシフト装置100側に入力される。そして、シフト装置100に設けられた後述する専用のメイン側マイコン31iおよびサブ側マイコン32oから送信される制御信号に基づいて、乗員のシフト操作に対応したP(パーキング)位置、R(リバース)位置、N(ニュートラル)位置およびD(ドライブ)位置のいずれかのシフト位置に変速機構部が切り替えらえる。このようなシフト切替制御は、シフトバイワイヤ(SBW)と呼ばれる。
【0039】
シフト装置100は、アクチュエータユニット1と、シフト切替機構部2と、モータ用電源装置3(
図3参照)とを備えている。また、シフト切替機構部2は、変速機構部内の油圧制御回路部(図示せず)における油圧バルブボディのマニュアルスプール弁(図示せず)とパーキング機構部とに機械的に接続されている。そして、シフト切替機構部2が駆動されることによって変速機のシフト状態(P位置、R位置、N位置およびD位置)が機械的に切り替えられるように構成されている。
【0040】
アクチュエータユニット1は、モータ11と、駆動力伝達機構部12とを備えている。モータ11は、後述するディテントプレート21を駆動させるためのモータである。モータ11は、永久磁石をロータの表面に組み込んだ表面磁石型(SPM)の三相モータである。駆動力伝達機構部12は、モータ11の駆動力をディテントプレート21に伝達するように構成されている。駆動力伝達機構部12は、減速機構部(図示せず)と、出力軸12aとを含んでいる。
【0041】
シフト切替機構部2は、
図1に示すように、アクチュエータユニット1により駆動される。シフト切替機構部2は、ディテントプレート21と、ディテントスプリング22とを含んでいる。ディテントスプリング22は、P位置、R位置、N位置およびD位置のそれぞれに対応する回動角度位置でディテントプレート21を保持するように構成されている
【0042】
ディテントプレート21は、
図2に示すように、シフト位置(P位置、R位置、N位置およびD位置)に対応するように設けられた複数(4つ)の谷部21a、谷部21b、谷部21cおよび谷部21d(複数の谷部)を有している。また、谷部21a、谷部21b、谷部21cおよび谷部21dによって、ディテントプレート21には連続的な起伏形状を有するカム面Caが形成されている。また、互いに隣接する谷部同士(たとえば、谷部21aおよび谷部21b、谷部21bおよび谷部21cなど)は、1つの頂部Tを有する山部Mにより隔てられている。ディテントスプリング22は、基端部が変速機構部のケーシングに固定されるとともに、自由端側にローラ部22aが取り付けられている。そして、ディテントスプリング22は、ローラ部22aが、常時、カム面Ca(谷部21a、谷部21b、谷部21c、谷部21dまたは山部Mのいずれかの位置)を押圧している。そして、ディテントスプリング22は、複数の谷部21a、谷部21b、谷部21cおよび谷部21dのいずれかに嵌まり込んだ状態でシフト位置を成立させる。
【0043】
図3に示すように、モータ用電源装置3は、アクチュエータユニット1に電力を供給するように構成されている。モータ用電源装置3は、メイン側電力供給部31と、サブ側電力供給部32とを含んでいる。モータ11は、メイン側電力供給部31およびサブ側電力供給部32の各々から供給される電力により駆動する。
【0044】
メイン側電力供給部31は、メイン側電源31a(特許請求の範囲の「第1電源」の一例)と、メイン用電力供給ライン31b(特許請求の範囲の「第1電力供給ライン」の一例)と、第1メイン用半導体スイッチ31c(特許請求の範囲の「第1電源側半導体スイッチ」の一例)と、第2メイン用半導体スイッチ31d(特許請求の範囲の「第1出力側半導体スイッチ」の一例)とを有している。
【0045】
メイン側電源31aは、リチウム電池またはキャパシタなどである。メイン用電力供給ライン31bは、メイン側電源31aとモータ11とを電気的に接続している。第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの各々は、FET(Field effect transistor)である。第1メイン用半導体スイッチ31cは、メイン用電力供給ライン31b上のメイン側電源31a側に配置されている。第2メイン用半導体スイッチ31dは、メイン用電力供給ライン31b上において第1メイン用半導体スイッチ31cに直列に接続されるとともに、出力側に配置されている。
【0046】
メイン側電力供給部31は、第1メイン用電圧検知部31e(特許請求の範囲の「第1電源側電圧検知部」の一例)と、第2メイン用電圧検知部31f(特許請求の範囲の「出力側電圧検知部」の一例)とを含んでいる。第1メイン用電圧検知部31eは、メイン用電力供給ライン31bにおけるメイン側電源31aと第1メイン用半導体スイッチ31cとの間の電圧を検知する。第1メイン用電圧検知部31eは、メイン用電力供給ライン31b上において第1メイン用半導体スイッチ31cよりもメイン側電源31a側に配置されている。第2メイン用電圧検知部31fは、メイン用電力供給ライン31bにおける第2メイン用半導体スイッチ31dよりもモータ11側の電圧を検知する。第2メイン用電圧検知部31fは、メイン用電力供給ライン31bにおいて第2メイン用電圧検知部31fよりもモータ11側に配置されている。
【0047】
メイン側電力供給部31は、メイン用コンデンサ31g(特許請求の範囲の「プリチャージ用コンデンサ」の一例)と、第1モータ回路31hとを備えている。メイン用コンデンサ31gは、プリチャージ回路101を介して電気的に接続されたシステム電源102(特許請求の範囲の「外部電源」の一例)により予め充電されている。メイン用コンデンサ31gは、メイン用電力供給ライン31b上において第2メイン用電圧検知部31fのメイン側電源31a側に配置されている。第1モータ回路31hは、モータ11を制御するための制御信号をモータ11に送信する。
【0048】
メイン側電力供給部31は、メイン側マイコン31i(特許請求の範囲の「制御部」の一例)を含んでいる。メイン側マイコン31iは、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの各々のオンオフを制御するように構成されている。メイン側マイコン31iは、第1メイン用電圧検知部31e、第2メイン用電圧検知部31f、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの各々と電気的に接続されている。メイン側マイコン31iは、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する記憶部とを有している。
【0049】
サブ側電力供給部32は、第1サブ側電源32a(特許請求の範囲の「第1電源」の一例)と、第1サブ用電力供給ライン32b(特許請求の範囲の「第1電力供給ライン」の一例)と、第1サブ用半導体スイッチ32c(特許請求の範囲の「第1電源側半導体スイッチ」の一例)と、第2サブ用半導体スイッチ32d(特許請求の範囲の「第1出力側半導体スイッチ」の一例)とを有している。
【0050】
第1サブ用電力供給ライン32bは、第1サブ側電源32aとモータ11とを電気的に接続している。第1サブ用半導体スイッチ32cおよび第2サブ用半導体スイッチ32dの各々は、FETである。第1サブ用半導体スイッチ32cは、第1サブ用電力供給ライン32b上の第1サブ側電源32a側に配置されている。第2サブ用半導体スイッチ32dは、第1サブ用電力供給ライン32b上において第1サブ用半導体スイッチ32cに直列に接続されるとともに、出力側に配置されている。
【0051】
サブ側電力供給部32は、第1サブ用電圧検知部32e(特許請求の範囲の「第1電源側電圧検知部」の一例)と、第2サブ用電圧検知部32f(特許請求の範囲の「中間部電圧検知部」の一例)と、第3サブ用電圧検知部32g(特許請求の範囲の「出力側電圧検知部」の一例)とを有している。
【0052】
第1サブ用電圧検知部32eは、第1サブ用電力供給ライン32bにおける第1サブ側電源32aと第1サブ用半導体スイッチ32cとの間の電圧を検知する。第1サブ用電圧検知部32eは、第1サブ用電力供給ライン32b上において第1サブ用半導体スイッチ32cよりも第1サブ側電源32a側に配置されている。第2サブ用電圧検知部32fは、第1サブ用電力供給ライン32bにおける第1サブ用半導体スイッチ32cと第2サブ用半導体スイッチ32dとの間の電圧を検知する。第2サブ用電圧検知部32fは、第1サブ用電力供給ライン32bにおいて第1サブ用半導体スイッチ32cと第2サブ用半導体スイッチ32dとの間に配置されている。第3サブ用電圧検知部32gは、第1サブ用電力供給ライン32bにおける第2サブ用半導体スイッチ32dよりもモータ11側の電圧を検知する。第3サブ用電圧検知部32gは、第1サブ用電力供給ライン32bにおいて第2サブ用電圧検知部32fよりもモータ11側に配置されている。
【0053】
サブ側電力供給部32は、サブ用コンデンサ32h(特許請求の範囲の「プリチャージ用コンデンサ」)と、第2モータ回路32iとを有している。サブ用コンデンサ32hは、プリチャージ回路101を介して電気的に接続されたシステム電源102により予め充電されている。サブ用コンデンサ32hは、第1サブ用電力供給ライン32b上において第2サブ用電圧検知部32fの第1サブ側電源32a側に配置されている。第2モータ回路32iは、モータ11を制御するための制御信号をモータ11に送信する。
【0054】
サブ側電力供給部32は、第2サブ側電源32j(特許請求の範囲の「第2電源」の一例)と、第2サブ用電力供給ライン32k(特許請求の範囲の「第2電力供給ライン」の一例)と、第3サブ用半導体スイッチ32l(特許請求の範囲の「第2電源側半導体スイッチ」の一例)と、第4サブ用半導体スイッチ32m(特許請求の範囲の「第2出力側半導体スイッチ」の一例)とを有している。
【0055】
第2サブ側電源32jは、第1サブ側電源32aとは別個に設けられている。第2サブ側電源32jは、リチウム電池である。第2サブ用電力供給ライン32kは、第2サブ側電源32jとモータ11とを電気的に接続している。第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mの各々は、FETである。第3サブ用半導体スイッチ32lは、第2サブ用電力供給ライン32k上の第2サブ側電源32j側に配置されている。第4サブ用半導体スイッチ32mは、第2サブ用電力供給ライン32k上において第3サブ用半導体スイッチ32lに直列に接続されるとともに、出力側に配置されている。
【0056】
サブ側電力供給部32は、第4サブ用電圧検知部32n(特許請求の範囲の「第2電源側電圧検知部」の一例)を含んでいる。
【0057】
第4サブ用電圧検知部32nは、第2サブ用電力供給ライン32kにおける第2サブ側電源32jと第3サブ用半導体スイッチ32lとの間の電圧を検知する。第4サブ用電圧検知部32nは、第2サブ用電力供給ライン32k上において第3サブ用半導体スイッチ32lよりも第2サブ側電源32j側に配置されている。
【0058】
サブ側電力供給部32は、サブ側マイコン32o(特許請求の範囲の「制御部」の一例)を含んでいる。サブ側マイコン32oは、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mの各々のオンオフを制御するように構成されている。サブ側マイコン32oは、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32f、第3サブ用電圧検知部32g、第4サブ用電圧検知部32n、第1サブ用半導体スイッチ32c、第2サブ用半導体スイッチ32d、第3サブ用半導体スイッチ32l、および、第4サブ用半導体スイッチ32mの各々と電気的に接続されている。サブ側マイコン32oは、CPUと、ROMおよびRAMなどのメモリを有する記憶部とを有している。
【0059】
(故障診断)
図3に示すように、第1実施形態のモータ用電源装置3では、第1メイン用半導体スイッチ31c、第1サブ用半導体スイッチ32cおよび第3サブ用半導体スイッチ32lの各々に対する故障の誤診断を抑制するために、第1メイン用電圧検知部31e、第1サブ用電圧検知部32eおよび第4サブ用電圧検知部32nが設けられている。
【0060】
具体的には、メイン側マイコン31iは、メイン側電源31aからの電力が正常に供給されているかを確認するために、第1メイン用電圧検知部31eの計測値に基づいて、メイン側電源31aから第1メイン用半導体スイッチ31cへの電力の供給の状態を判定する制御を行うように構成されている。
【0061】
また、サブ側マイコン32oは、第1サブ側電源32aからの電力が正常に供給されているかを確認するために、第1サブ用電圧検知部32eの計測値に基づいて、第1サブ側電源32aから第1サブ用半導体スイッチ32cへの電力の供給の状態を判定する制御を行うように構成されている。
【0062】
また、サブ側マイコン32oは、第2サブ側電源32jからの電力が正常に供給されているかを確認するために、第4サブ用電圧検知部32nの計測値に基づいて、第2サブ側電源32jから第3サブ用半導体スイッチ32lへの電力の供給の状態を判定する制御を行うように構成されている。
【0063】
モータ用電源装置3では、
図4に示すように、第1診断状態D1(特許請求の範囲の「第1状態」の一例)、第2診断状態D2(特許請求の範囲の「第2状態」および「第3状態」の一例)および第3診断状態D3(特許請求の範囲の「第4状態」の一例)の3種類の故障診断が行われている。第1診断状態D1は、イグニッションオンの際(始動時)において行われるFETの故障診断である。
【0064】
第1診断状態D1では、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dをオンにした状態で故障診断が行われるか、または、第1サブ用半導体スイッチ32cおよび第2サブ用半導体スイッチ32dをオンにした状態で故障診断が行われる。第2診断状態D2および第3診断状態D3は、イグニッションオフの際(スリープモード時)において行われるFETの故障診断である。第2診断状態D2では、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dをオフにした状態で故障診断が行われるか、または、第1サブ用半導体スイッチ32c、第2サブ用半導体スイッチ32d、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mをオフにした状態で故障診断が行われる。第3診断状態D3では、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mをオンにした状態で故障診断が行われる。
【0065】
第1診断状態D1、第2診断状態D2および第3診断状態D3の順に以下に説明する。
【0066】
まず、第1診断状態D1の前に、メイン側マイコン31iは、システム電源102から電力を供給することにより、メイン用コンデンサ31gを充電(プリチャージ)する制御を行うように構成されている。この際、メイン側マイコン31iは、メイン用コンデンサ31gの充電異常を検知したことに基づいて、第1診断状態D1を行わないように構成されている。
【0067】
同様に、第1診断状態D1の前に、サブ側マイコン32oは、システム電源102から電力を供給することにより、サブ用コンデンサ32hを充電(プリチャージ)する制御を行うように構成されている。この際、サブ側マイコン32oは、サブ用コンデンサ32hの充電異常を検知したことに基づいて、第1診断状態D1を行わないように構成されている。
【0068】
そして、
図4および
図5に示すように、メイン側マイコン31iは、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dをオンにした第1診断状態D1で、第1メイン用半導体スイッチ31c(
図4において「MA1逆接」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0069】
第1メイン用半導体スイッチ31cが正常である場合、第1メイン用電圧検知部31eはしきい値以上の電圧(
図5に「H」と記載)を検知するとともに、第2メイン用電圧検知部31fはしきい値以上の電圧(
図5に「H」と記載)を検知する。
【0070】
また、第1メイン用半導体スイッチ31cが故障している場合、第1メイン用電圧検知部31eはしきい値以上の電圧(
図5に「H」と記載)を検知するとともに、第2メイン用電圧検知部31fはしきい値未満の電圧(
図5に「L」と記載)を検知する。これにより、第1メイン用半導体スイッチ31cのオフ故障を検知することができる。
【0071】
図4および
図6に示すように、メイン側マイコン31iは、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dをオンにした第1診断状態D1で、第2メイン用半導体スイッチ31d(
図4において「MA1上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0072】
第2メイン用半導体スイッチ31dが正常である場合、第1メイン用電圧検知部31eはしきい値以上の電圧(
図6に「H」と記載)を検知するとともに、第2メイン用電圧検知部31fはしきい値以上の電圧(
図6に「H」と記載)を検知する。
【0073】
また、第2メイン用半導体スイッチ31dが故障している場合、第1メイン用電圧検知部31eはしきい値以上の電圧(
図6に「H」と記載)を検知するとともに、第2メイン用電圧検知部31fはしきい値未満の電圧(
図6に「L」と記載)を検知する。これにより、第2メイン用半導体スイッチ31dのオフ故障を検知することができる。
【0074】
ここで、メイン側マイコン31iは、第1診断状態D1において第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの少なくともいずれかの故障を検知したことに基づいて、第1診断状態D1を終了する制御を行うように構成されている。
【0075】
図4および
図7に示すように、サブ側マイコン32oは、第1サブ用半導体スイッチ32cおよび第2サブ用半導体スイッチ32dをオンにした第1診断状態D1で、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32fおよび第3サブ用電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第1サブ用半導体スイッチ32c(
図4において「MAB上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0076】
第1サブ用半導体スイッチ32cが正常である場合、第1サブ用電圧検知部32eはしきい値以上の電圧(
図7に「H」と記載)を検知し、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値以上の電圧(
図7に「H」と記載)を検知し、かつ、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値以上の電圧(
図7に「H」と記載)を検知する。
【0077】
また、第1サブ用半導体スイッチ32cが故障している場合、第1サブ用電圧検知部32eはしきい値以上の電圧(
図7に「H」と記載)を検知し、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値未満の電圧(
図7に「L」と記載)を検知し、かつ、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値未満の電圧(
図7に「L」と記載)を検知する。これにより、第1サブ用半導体スイッチ32cのオフ故障を検知することができる。
【0078】
図4および
図8に示すように、サブ側マイコン32oは、第1サブ用半導体スイッチ32cおよび第2サブ用半導体スイッチ32dをオンにした第1診断状態D1で、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32fおよび第3サブ用電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第2サブ用半導体スイッチ32d(
図4において「MAB逆接」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0079】
第2サブ用半導体スイッチ32dが正常である場合、第1サブ用電圧検知部32eはしきい値以上の電圧(
図8に「H」と記載)を検知し、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値以上の電圧(
図8に「H」と記載)を検知し、かつ、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値以上の電圧(
図8に「H」と記載)を検知する。
【0080】
また、第2サブ用半導体スイッチ32dが故障している場合、第1サブ用電圧検知部32eはしきい値以上の電圧(
図8に「H」と記載)を検知し、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値以上の電圧(
図8に「H」と記載)を検知し、かつ、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値未満の電圧(
図8に「L」と記載)を検知する。これにより、第2サブ用半導体スイッチ32dのオフ故障を検知することができる。
【0081】
ここで、サブ側マイコン32oは、第1診断状態D1において第1サブ用半導体スイッチ32cおよび第2サブ用半導体スイッチ32dの少なくともいずれかの故障を検知したことに基づいて、第1診断状態D1を終了する制御を行うように構成されている。
【0082】
図4に示すように、メイン側マイコン31iは、第2メイン用電圧検知部31fに電力が供給されるように、第2診断状態D2の前に、メイン用コンデンサ31gを放電する制御を行うように構成されている。また、サブ側マイコン32oは、第2サブ用電圧検知部32fに電力が供給されるように、第2診断状態D2の前に、サブ用コンデンサ32hを放電する制御を行うように構成されている。
【0083】
図4および
図9に示すように、メイン側マイコン31iは、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの全てをオフにした第2診断状態D2において、第1メイン用電圧検知部31eおよび第2メイン用電圧検知部31fの各々の検知した電圧値に基づいて、第2メイン用半導体スイッチ31d(
図4において「MA1上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0084】
第2メイン用半導体スイッチ31dが正常である場合、第1メイン用電圧検知部31eはしきい値以上の電圧(
図9に「H」と記載)を検知するとともに、第2メイン用電圧検知部31fはしきい値未満の電圧(
図9に「L」と記載)を検知する。
【0085】
また、第2メイン用半導体スイッチ31dが故障している場合、第1メイン用電圧検知部31eはしきい値以上の電圧(
図9に「H」と記載)を検知するとともに、第2メイン用電圧検知部31fはしきい値以上の電圧(
図9に「H」と記載)を検知する。これにより、第2メイン用半導体スイッチ31dのオン故障を検知することができる。
【0086】
ここで、メイン側マイコン31iは、第2診断状態D2において第2メイン用半導体スイッチ31dの故障を検知したことに基づいて、故障の診断を終了する制御を行うように構成されている。
【0087】
図4および
図10に示すように、サブ側マイコン32oは、第1サブ用半導体スイッチ32c、第2サブ用半導体スイッチ32d、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mをオフにした第2診断状態D2で、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32fおよび第3サブ用電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第1サブ用半導体スイッチ32c(
図4において「MAB上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0088】
第1サブ用半導体スイッチ32cが正常である場合、第1サブ用電圧検知部32eはしきい値以上の電圧(
図10に「H」と記載)を検知し、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値未満の電圧(
図10に「L」と記載)を検知し、かつ、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値未満の電圧(
図10に「L」と記載)を検知する。
【0089】
また、第1サブ用半導体スイッチ32cが故障している場合、第1サブ用電圧検知部32eはしきい値以上の電圧(
図10に「H」と記載)を検知し、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値以上の電圧(
図10に「H」と記載)を検知し、かつ、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値以上の電圧(
図10に「H」と記載)を検知する。これにより、第1サブ用半導体スイッチ32cのオン故障を検知することができる。
【0090】
ここで、サブ側マイコン32oは、第2診断状態D2において第1サブ用半導体スイッチ32cの故障を検知したことに基づいて、故障の診断を終了する制御を行うように構成されている。
【0091】
図4および
図11に示すように、サブ側マイコン32oは、第1サブ用半導体スイッチ32c、第2サブ用半導体スイッチ32d、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mをオフにした第2診断状態D2で、第2サブ用電圧検知部32f、第3サブ用電圧検知部32gおよび第4サブ用電圧検知部32nの各々の検知した電圧値に基づいて、第4サブ用半導体スイッチ32m(
図4において「MA2上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0092】
第4サブ用半導体スイッチ32mが正常である場合、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値未満の電圧(
図11に「L」と記載)を検知し、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値未満の電圧(
図11に「L」と記載)を検知し、かつ、第4サブ用電圧検知部32nはしきい値以上の電圧(
図11に「H」と記載)を検知する。
【0093】
また、第4サブ用半導体スイッチ32mが故障している場合、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値未満の電圧(
図11に「L」と記載)を検知し、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値以上の電圧(
図11に「H」と記載)を検知し、かつ、第4サブ用電圧検知部32nはしきい値以上の電圧(
図11に「H」と記載)を検知する。これにより、第4サブ用半導体スイッチ32mのオン故障を検知することができる。
【0094】
ここで、サブ側マイコン32oは、第2診断状態D2において第4サブ用半導体スイッチ32mの故障を検知したことに基づいて、故障の診断を終了する制御を行うように構成されている。
【0095】
図4に示すように、第2診断状態D2の後に、メイン側マイコン31iは、システム電源102から電力を供給することにより、メイン用コンデンサ31gを充電(プリチャージ)する制御を行うように構成されている。この際、メイン側マイコン31iは、メイン用コンデンサ31gの充電異常を検知したことに基づいて、第3診断状態D3を行わないように構成されている。
【0096】
同様に、第2診断状態D2の後に、サブ側マイコン32oは、システム電源102から電力を供給することにより、サブ用コンデンサ32hを充電(プリチャージ)する制御を行うように構成されている。この際、サブ側マイコン32oは、サブ用コンデンサ32hの充電異常を検知したことに基づいて、第3診断状態D3を行わないように構成されている。
【0097】
図4に示すように、メイン側マイコン31iは、第3診断状態D3の前に、メイン用コンデンサ31gを放電する制御を行うように構成されている。また、サブ側マイコン32oは、第3診断状態D3の前に、サブ用コンデンサ32hを放電する制御を行うように構成されている。
【0098】
また、放電した後、サブ側マイコン32oは、第2サブ側電源32jの種類に基づいて、第3診断状態D3において、第2サブ用半導体スイッチ32dの故障を診断をするか否か、および、第4サブ用半導体スイッチ32mの故障を診断するか否かを判断する制御を行うように構成されている。ここで、サブ側マイコン32oは、第2サブ側電源32jがリチウム電池であることに基づいて、第3診断状態D3において、第2サブ用半導体スイッチ32dの故障、および、第4サブ用半導体スイッチ32mの故障の両方の診断を行うように構成されている。
【0099】
図4および
図12に示すように、サブ側マイコン32oは、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mをオンにした第3診断状態D3において、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32fおよび第3サブ用電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第2サブ用半導体スイッチ32d(
図4において「MAB逆接」と記載)の故障を診断する制御を行うように構成されている。
【0100】
第2サブ用半導体スイッチ32dが正常である場合、第1サブ用電圧検知部32eはしきい値以上の電圧(
図12に「H」と記載)を検知し、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値未満の電圧(
図12に「L」と記載)を検知し、かつ、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値以上の電圧(
図12に「H」と記載)を検知する。
【0101】
また、第2サブ用半導体スイッチ32dが故障している場合、第1サブ用電圧検知部32eはしきい値以上の電圧(
図12に「H」と記載)を検知し、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値以上の電圧(
図12に「H」と記載)を検知し、かつ、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値以上の電圧(
図12に「H」と記載)を検知する。これにより、第2サブ用半導体スイッチ32dのオン故障を検知することができる。
【0102】
図4および
図13に示すように、サブ側マイコン32oは、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mをオンにした第3診断状態D3において、第2サブ用電圧検知部32f、第3サブ用電圧検知部32gおよび第4サブ用電圧検知部32nの各々の検知した電圧値に基づいて、第4サブ用半導体スイッチ32m(
図4において「MA2上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0103】
第4サブ用半導体スイッチ32mが正常である場合、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値未満の電圧(
図13に「L」と記載)を検知し、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値以上の電圧(
図13に「H」と記載)を検知し、かつ、第4サブ用電圧検知部32nはしきい値以上の電圧(
図13に「H」と記載)を検知する。
【0104】
また、第4サブ用半導体スイッチ32mが故障している場合、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値未満の電圧(
図13に「L」と記載)を検知し、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値未満の電圧(
図13に「L」と記載)を検知し、かつ、第4サブ用電圧検知部32nはしきい値以上の電圧(
図13に「H」と記載)を検知する。これにより、第4サブ用半導体スイッチ32mのオフ故障を検知することができる。
【0105】
ここで、第3サブ用半導体スイッチ32lの故障の診断結果は、第4サブ用半導体スイッチ32mの故障の診断結果と同じになるので、第4サブ用半導体スイッチ32mの故障の診断結果が第3サブ用半導体スイッチ32lの故障の診断結果として流用される。
【0106】
(メイン側故障診断処理)
以下に、
図14を参照して、メイン側電力供給部31における第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dのメイン側故障診断処理について説明する。
【0107】
ステップS1において、メイン側マイコン31iでは、第1故障診断が行われる。すなわち、メイン側マイコン31iでは、第1診断状態D1において、第1メイン用電圧検知部31eおよび第2メイン用電圧検知部31fの各々の電圧値に基づいて、第1メイン用半導体スイッチ31cのオフ故障診断が行われる。メイン側マイコン31iでは、第1診断状態D1において、第1メイン用電圧検知部31eおよび第2メイン用電圧検知部31fの各々の電圧値に基づいて、第2メイン用半導体スイッチ31dのオフ故障診断が行われる。
【0108】
ステップS2において、メイン側マイコン31iでは、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの少なくともいずれかにおいて故障が検知されたか否かが判断される。故障が検知された場合はメイン側故障診断処理を終了し、故障が検知されていない場合はステップS3に進む。ステップS3において、メイン側マイコン31iでは、第1条件を満たすか否かが判断される。第1条件とは、イグニッションスイッチがオフであり、故障診断が禁止の状態から許可に変更されており、メイン用コンデンサ31gが正常に充電されており、かつ、モータ11の駆動が停止しているという条件である。第1条件を満たす場合にはステップS4に進み、第1条件を満たさない場合にはステップS3を繰り返す。
【0109】
ステップS4において、メイン側マイコン31iでは、メイン用コンデンサ31gが放電するまで待機される。ステップS5において、メイン側マイコン31iでは、第2条件を満たすか否かが判断される。第2条件とは、所定時間が経過し、かつ、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの両方がオフになるという条件である。第2条件を満たす場合にはステップS6に進み、第2条件を満たさない場合にはステップS4に戻る。
【0110】
ステップS6において、メイン側マイコン31iでは、第2故障診断が行われる。すなわち、メイン側マイコン31iでは、第2診断状態D2において、第1メイン用電圧検知部31eおよび第2メイン用電圧検知部31fの各々の電圧値に基づいて、第2メイン用半導体スイッチ31dのオン故障診断が行われる。ステップS7において、メイン側マイコン31iでは、所定時間が経過したか否かが判断される。所定時間が経過した場合はメイン側故障診断が終了し、所定時間が経過していない場合にはステップS6に戻る。
【0111】
(サブ側故障診断処理)
以下に、
図15および
図16を参照して、サブ側電力供給部32における第1サブ用半導体スイッチ32c、第2サブ用半導体スイッチ32d、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mのサブ側故障診断処理について説明する。
【0112】
ステップS101において、サブ側マイコン32oでは、第1故障診断が行われる。すなわち、サブ側マイコン32oでは、第1診断状態D1において、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32fおよび第3サブ用電圧検知部32gの各々の電圧値に基づいて、第1サブ用半導体スイッチ32cのオフ故障診断が行われる。サブ側マイコン32oでは、第1診断状態D1において、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32fおよび第3サブ用電圧検知部32gの各々の電圧値に基づいて、第2サブ用半導体スイッチ32dのオフ故障診断が行われる。サブ側マイコン32oでは、第1診断状態D1において、第2サブ用電圧検知部32f、第3サブ用電圧検知部32gおよび第4サブ用電圧検知部32nの各々の電圧値に基づいて、第4サブ用半導体スイッチ32mのオフ故障診断が行われる。
【0113】
ステップS102において、サブ側マイコン32oでは、第1サブ用半導体スイッチ32c、第2サブ用半導体スイッチ32dおよび第4サブ用半導体スイッチ32mの少なくともいずれかにおいて故障が検知されたか否かが判断される。故障が検知された場合はサブ側故障診断処理を終了し、故障が検知されていない場合はステップS103に進む。ステップS103において、サブ側マイコン32oでは、第1条件を満たすか否かが判断される。第1条件とは、イグニッションスイッチがオフであり、故障診断が禁止の状態から許可に変更されており、サブ用コンデンサ32hが正常に充電されており、かつ、モータ11の駆動が停止しているという条件である。第1条件を満たす場合にはステップS104に進み、第1条件を満たさない場合にはステップS103を繰り返す。
【0114】
ステップS104において、サブ側マイコン32oでは、サブ用コンデンサ32hが放電するまで待機される。ステップS105において、サブ側マイコン32oでは、第2条件を満たすか否かが判断される。第2条件とは、所定時間が経過し、かつ、第1サブ用半導体スイッチ32c、第2サブ用半導体スイッチ32d、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mの全てがオフになるという条件である。第2条件を満たす場合にはステップS6に進み、第2条件を満たさない場合にはステップS104に戻る。
【0115】
ステップS106において、サブ側マイコン32oでは、第2故障診断が行われる。すなわち、サブ側マイコン32oでは、第2診断状態D2において、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32f、第3サブ用電圧検知部32gおよびの各々の電圧値に基づいて、第1サブ用半導体スイッチ32cのオン故障診断が行われる。サブ側マイコン32oでは、第2診断状態D2において、第2サブ用電圧検知部32f、第3サブ用電圧検知部32gおよび第4サブ用電圧検知部32nの各々の電圧値に基づいて、第4サブ用半導体スイッチ32mのオン故障診断が行われる。
【0116】
ステップS107において、サブ側マイコン32oでは、所定時間が経過したか否かが判断される。所定時間が経過した場合はステップS108に進み、所定時間が経過していない場合にはステップS106に戻る。ステップS108において、サブ側マイコン32oでは、第3条件を満たすか否かが判断される。第3条件とは、第2電源32jの電源種別が設定なしであるか、第2電源32jの電源種別がキャパシタであるか、または、第2故障診断で故障有りと検知したという条件である。第2条件を満たす場合にはサブ側故障診断処理を終了し、第2条件を満たさない場合にはステップS109に進む。
【0117】
ステップS109において、サブ側マイコン32oでは、サブ用コンデンサ32hが充電するまで待機される。
図15のAから
図16のAに進むことにより、ステップS109からステップS110へと進む。
【0118】
図16に示すように、ステップS110において、サブ側マイコン32oでは、第4条件を満たすか否かが判断される。第4条件とは、サブ用コンデンサ32hの充電が完了し、第1サブ用半導体スイッチ32cがオフであり、第2サブ用半導体スイッチ32dがオフであり、第3サブ用半導体スイッチ32lがオンであり、かつ、第4サブ用半導体スイッチ32mがオンであるという条件である。第4条件を満たす場合にはステップS111に進み、第4条件を満たさない場合にはステップS110を繰り返す。ステップS111において、サブ側マイコン32oでは、サブ用コンデンサ32hが放電されるまで待機される。
【0119】
ステップS112において、サブ側マイコン32oでは、第5条件を満たすか否かが判断される。第5条件とは、所定時間が経過し、第1サブ用半導体スイッチ32cがオフであり、かつ、第2サブ用半導体スイッチ32dがオフであり、第3サブ用半導体スイッチ32lがオンであり、かつ、第4サブ用半導体スイッチ32mがオンであるという条件である。第5条件を満たす場合にはステップS113に進み、第5条件を満たさない場合にはステップS111に戻る。
【0120】
ステップS113において、サブ側マイコン32oでは、第3故障診断が行われる。すなわち、サブ側マイコン32oでは、第3診断状態D3において、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32f、および、第3サブ用電圧検知部32gの各々の電圧値に基づいて、第2サブ用半導体スイッチ32dのオン故障診断が行われる。サブ側マイコン32oでは、第3診断状態D3において、第2サブ用電圧検知部32f、第3サブ用電圧検知部32g、第4サブ用電圧検知部32nの各々の電圧値に基づいて、第4サブ用半導体スイッチ32mのオフ故障診断が行われる。
【0121】
ステップS114において、サブ側マイコン32oでは、所定時間が経過したか否かが判断される。所定時間が経過した場合はメイン側故障診断処理を終了し、所定時間が経過していない場合はステップS113に戻る。
【0122】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0123】
第1実施形態では、上記のように、モータ用電源装置3は、第1メイン用電圧検知部31e(第1サブ用電圧検知部32e)の計測値に基づいて、メイン側電源31a(第1サブ側電源32a)から第1メイン用半導体スイッチ31c(第1サブ用半導体スイッチ32c)への電力の供給の状態を判定する制御を行うメイン側マイコン31i(サブ側マイコン32o)を備えている。これにより、メイン用電力供給ライン31b(第1サブ用電力供給ライン32b)上のメイン側電源31a(第1サブ側電源32a)と第1メイン用半導体スイッチ31c(第1サブ用半導体スイッチ32c)との間において地絡が発生した場合でも、メイン側マイコン31i(サブ側マイコン32o)が第1メイン用電圧検知部31e(第1サブ用電圧検知部32e)の計測値に基づいて地絡を正確に判定することができるので、第1メイン用半導体スイッチ31c(第1サブ用半導体スイッチ32c)のオン動作の故障診断において、故障診断の誤判定を抑制することができる。
【0124】
また、第1実施形態では、上記のように、モータ用電源装置3は、メイン用電力供給ライン31bにおいて第2メイン用半導体スイッチ31dよりもモータ11側に配置されており、メイン用電力供給ライン31bの電圧を検知する第2メイン用電圧検知部31fを備えている。メイン側マイコン31iは、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dをオンにした第1診断状態D1で、第1メイン用電圧検知部31eおよび第2メイン用電圧検知部31fの各々の検知した電圧値に基づいて、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの故障を診断するように構成されている。これにより、第1メイン用半導体スイッチ31cと第2メイン用半導体スイッチ31dとの間に電圧検知部を配置することなく第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの故障を診断することができるので、モータ用電源装置3(回路)の部品点数の増加を抑制することができる。
【0125】
また、第1実施形態では、上記のように、メイン側マイコン31iは、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dの全てをオフにした第2診断状態D2において、第1メイン用電圧検知部31eおよび第2メイン用電圧検知部31fの各々の検知した電圧値に基づいて、第2メイン用半導体スイッチ31dの故障を診断するように構成されている。これにより、第1メイン用半導体スイッチ31cがオンの状態を解除できないオン故障である場合、第2メイン用半導体スイッチ31dがオン故障であると第2メイン用電圧検知部31fに電圧が検知され、第2メイン用半導体スイッチ31dが正常であると第2メイン用電圧検知部31fに電圧が検知されないので、第2メイン用半導体スイッチ31dのオン故障の診断結果を第1メイン用半導体スイッチ31cのオン故障の診断結果に流用することができる。この結果、第1メイン用半導体スイッチ31cの故障の診断を行うことなく、第2メイン用半導体スイッチ31dの故障の診断のみを行うことにより、第1メイン用電圧検知部31eおよび第2メイン用電圧検知部31fのオン故障の診断を行うことができるので、メイン側マイコン31iにおける故障診断の処理負荷を軽減することができる。
【0126】
また、第1実施形態では、上記のように、モータ用電源装置3は、第1サブ用半導体スイッチ32cと第2サブ用半導体スイッチ32dとの間に配置されており、第1サブ用電力供給ライン32bの電圧を検知する第2サブ用電圧検知部32fを備えている。サブ側マイコン32oは、第1診断状態D1で、第1サブ用電圧検知部32e、第3サブ用電圧検知部32gおよび第2サブ用電圧検知部32fの各々の検知した電圧値に基づいて、第1サブ用半導体スイッチ32cおよび第2サブ用半導体スイッチ32dの故障を診断するように構成されている。これにより、第2サブ用電圧検知部32fを設けることにより、第1サブ用半導体スイッチ32cの故障を直接的に診断することができるので、第1サブ用半導体スイッチ32cの診断結果の正確性を向上させることができる。
【0127】
また、第1実施形態では、上記のように、モータ用電源装置3は、第1サブ側電源32aとは別個に設けられた第2サブ側電源32jと、第2サブ側電源32jとモータ11とを電気的に接続する第2サブ用電力供給ライン32kとを備えている。モータ用電源装置3は、第2サブ用電力供給ライン32k上の第2サブ側電源32j側に配置された第3サブ用半導体スイッチ32lと、第2サブ用電力供給ライン32k上において第3サブ用半導体スイッチ32lに直列に接続されるとともに、出力側に配置された第4サブ用半導体スイッチ32mとを備えている。モータ用電源装置3は、第2サブ用電力供給ライン32kにおいて第3サブ用半導体スイッチ32lよりも第2サブ側電源32j側に配置されており、第2サブ用電力供給ライン32kの電圧を検知する第4サブ用電圧検知部32nを備えている。サブ側マイコン32oは、第1サブ用半導体スイッチ32c、第3サブ用半導体スイッチ32l、第2サブ用半導体スイッチ32dおよび第4サブ用半導体スイッチ32mの全てをオフにした第2診断状態D2において、第1サブ用電圧検知部32e、第3サブ用電圧検知部32gおよび第2サブ用電圧検知部32fの各々の検知した電圧値に基づいて、第1サブ用半導体スイッチ32cおよび第4サブ用半導体スイッチ32mの故障を診断するように構成されている。これにより、第4サブ用電圧検知部32nにより第2サブ用電力供給ライン32k上の第2サブ側電源32jと第3サブ用半導体スイッチ32lとの間において地絡が発生した場合を正確に判定することができるので、故障診断の誤判定を抑制することができる。また、第2サブ用電圧検知部32fを用いて第1サブ用半導体スイッチ32cの故障を診断することにより、第1サブ用半導体スイッチ32cを直接的に診断することができるので、第1サブ用半導体スイッチ32cのオン故障を正確に検知することができる。
【0128】
また、第1実施形態では、上記のように、サブ側マイコン32oは、第3サブ用半導体スイッチ32lおよび第4サブ用半導体スイッチ32mをオンにした第3診断状態D3において、第1サブ用電圧検知部32e、第3サブ用電圧検知部32gおよび第2サブ用電圧検知部32fの各々の検知した電圧値に基づいて、第2サブ用半導体スイッチ32dの故障を診断するか、または、第3サブ用電圧検知部32g、第2サブ用電圧検知部32fおよび第4サブ用電圧検知部32nの各々の検知した電圧値に基づいて、第4サブ用半導体スイッチ32mの故障を診断するように構成されている。これにより、第4サブ用電圧検知部32nを用いることなく、第2サブ用半導体スイッチ32dがオン故障であることを診断することができるので、第2サブ用半導体スイッチ32dのオン故障を診断する際のサブ側マイコン32oの処理負荷を軽減することができる。また、第1サブ用電圧検知部32eを用いることなく、第4サブ用半導体スイッチ32mがオフ故障であることを診断することができるので、第4サブ用半導体スイッチ32mのオフ故障を診断する際のサブ側マイコン32oの処理負荷を軽減することができる。
【0129】
また、第1実施形態では、上記のように、モータ用電源装置3は、メイン用電力供給ライン31b(第1サブ用電力供給ライン32b)上において第2メイン用電圧検知部31f(第3サブ用電圧検知部32g)のメイン側電源31a(第1サブ側電源32a)側に配置され、システム電源102により予め充電されたメイン用コンデンサ31g(サブ用コンデンサ32h)を備えている。メイン側マイコン31iは、第2診断状態D2の前に、メイン用コンデンサ31gを放電する制御を行うように構成されている。また、サブ側マイコン32oは、第2診断状態D2および第3診断状態D3の前に、サブ用コンデンサ32hを放電する制御を行うように構成されている。これにより、メイン用コンデンサ31g(サブ用コンデンサ32h)により、第2メイン用電圧検知部31f(第3サブ用電圧検知部32g)に向けて突入電流が流れることを抑制することができる。また、モータ用電源装置3を第2診断状態D2または第3診断状態D3にする前にメイン用コンデンサ31g(サブ用コンデンサ32h)を放電することにより、第2メイン用電圧検知部31f(第3サブ用電圧検知部32g)において半導体スイッチを通過した電圧の検知を行うことができるので、モータ用電源装置3において半導体スイッチの故障診断を正確に行うことができる。
【0130】
[第2実施形態]
次に、
図17~
図19を参照して、第2実施形態のモータ用電源装置203について説明する。詳細には、第2サブ側電源32jがリチウム電池である第1実施形態のモータ用電源装置3とは異なり、第2実施形態のモータ用電源装置203では、第2サブ側電源232jがキャパシタである。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0131】
図17に示すように、モータ用電源装置203は、モータ11に電力を供給するように構成されている。第2実施形態のモータ用電源装置203は、メイン側電力供給部31と、サブ側電力供給部232とを含んでいる。モータ11は、メイン側電力供給部31およびサブ側電力供給部232の各々から供給される電力により駆動する。
【0132】
サブ側電力供給部232は、第2サブ側電源232j(特許請求の範囲の「第2電源」の一例)と、第2サブ用電力供給ライン32k(特許請求の範囲の「第2電力供給ライン」の一例)と、第3サブ用半導体スイッチ32l(特許請求の範囲の「第2電源側半導体スイッチ」の一例)と、第4サブ用半導体スイッチ32m(特許請求の範囲の「第2出力側半導体スイッチ」の一例)とを備えている。
【0133】
第2サブ側電源232jは、第1サブ側電源32aとは別個に設けられている。第2サブ側電源232jは、キャパシタである。ここで、モータ用電源装置3において第2サブ側電源232jにキャパシタを使う場合は、第1サブ側電源32aからモータ11に電力は供給されない。
【0134】
(故障診断)
モータ用電源装置3では、
図18に示すように、第1診断状態D1(特許請求の範囲の「第1状態」の一例)、第2診断状態D2(特許請求の範囲の「第2状態」および「第3状態」の一例)および第3診断状態D3(特許請求の範囲の「第4状態」の一例)の3種類の故障診断が行われている。第1診断状態D1、第2診断状態D2および第3診断状態D3の順に以下に説明する。
【0135】
なお、第1実施形態の第1診断状態D1、第2診断状態D2および第3診断状態D3と同じ構成については説明を省略する。また、モータ用電源装置3において第2サブ側電源232jにキャパシタを使う場合、第3診断状態D3が行われない(スキップされる)。
【0136】
メイン側マイコン31iは、第1実施形態と同様に、
図18に示すように、第1メイン用半導体スイッチ31cおよび第2メイン用半導体スイッチ31dをオンにした第1診断状態D1で、第1メイン用半導体スイッチ31c(
図18において「MA1逆接」と記載)および第2メイン用半導体スイッチ31d(
図18において「MA1上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0137】
図18および
図19に示すように、サブ側マイコン32oは、第1サブ用半導体スイッチ32cおよび第2サブ用半導体スイッチ32dをオンにした第1診断状態D1で、第2サブ用電圧検知部32f、第3サブ用電圧検知部32gおよび第4サブ用電圧検知部32nの各々の検知した電圧値に基づいて、第4サブ用半導体スイッチ32m(
図18において「MA2上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。
【0138】
第4サブ用半導体スイッチ32mが正常である場合、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値未満の電圧(
図19に「L」と記載)を検知し、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値以上の電圧(
図19に「H」と記載)を検知し、かつ、第4サブ用電圧検知部32nはしきい値以上の電圧(
図19に「H」と記載)を検知する。
【0139】
また、第4サブ用半導体スイッチ32mが故障している場合、第2サブ用電圧検知部32fはしきい値未満の電圧(
図19に「L」と記載)を検知し、第3サブ用電圧検知部32gはしきい値以上の電圧(
図19に「L」と記載)を検知し、かつ、第4サブ用電圧検知部32nはしきい値以上の電圧(
図19に「H」と記載)を検知する。これにより、第4サブ用半導体スイッチ32mのオフ故障を検知することができる。
【0140】
また、メイン側マイコン31iは、第1実施形態と同様に、
図18に示すように、第2診断状態D2において、第2メイン用半導体スイッチ31dおよび第4サブ用半導体スイッチ32mの故障を診断するように構成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0141】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0142】
第2実施形態では、上記のように、モータ用電源装置203は、第1メイン用電圧検知部31e(第1サブ用電圧検知部32e)の計測値に基づいて、メイン側電源31a(第1サブ側電源32a)から第1メイン用半導体スイッチ31c(第1サブ用半導体スイッチ32c)への電力の供給の状態を判定する制御を行うメイン側マイコン31i(サブ側マイコン32o)を備えている。これにより、第1メイン用半導体スイッチ31c(第1サブ用半導体スイッチ32c)の故障診断において、故障診断の誤判定を抑制することができる。
【0143】
また、第2実施形態では、上記のように、サブ側マイコン32oは、第1診断状態D1で、第3サブ用電圧検知部32g、第2サブ用電圧検知部32fおよび第4サブ用電圧検知部32nの各々の検知した電圧値に基づいて、第4サブ用半導体スイッチ32mの故障を診断するように構成されている。これにより、第1サブ用電圧検知部32eを用いることなく、第4サブ用半導体スイッチ32mがオフの状態を解除できないオフ故障であることを診断することができるので、第4サブ用半導体スイッチ32mのオフ故障を診断する際のサブ側マイコン32oの処理負荷を軽減することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態の効果と同様である。
【0144】
[第3実施形態]
次に、
図20を参照して、第3実施形態のモータ用電源装置303について説明する。詳細には、メイン側マイコン31iおよびサブ側マイコン32oを備える第1実施形態のモータ用電源装置3とは異なり、第3実施形態のモータ用電源装置303では、1つのマイコン332oが設けられている。なお、第3実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0145】
第3実施形態のシフト装置100では、ディテントスプリング22が、P位置および非P位置のそれぞれに対応する回動角度位置でディテントプレート(図示せず)を保持するように構成されている。
【0146】
図20に示すように、モータ用電源装置303は、アクチュエータユニット1に電力を供給するように構成されている。モータ用電源装置303は、第1電源32aと、第1電力供給ライン32bと、第1半導体スイッチ32c(特許請求の範囲の「第1電源側半導体スイッチ」の一例)と、第2半導体スイッチ32d(特許請求の範囲の「第1出力側半導体スイッチ」の一例)とを備えている。
【0147】
モータ用電源装置303は、第1電圧検知部32e(特許請求の範囲の「第1電源側電圧検知部」の一例)と、第2電圧検知部32f(特許請求の範囲の「中間部電圧検知部」の一例)と、第3電圧検知部32g(特許請求の範囲の「出力側電圧検知部」の一例)とを含んでいる。モータ用電源装置303は、プリチャージ用コンデンサ32hと、モータ回路32iとを備えている。
【0148】
モータ用電源装置303は、第2電源32jと、第2電力供給ライン32kと、第3半導体スイッチ32l(特許請求の範囲の「第2電源側半導体スイッチ」の一例)と、第4半導体スイッチ32m(特許請求の範囲の「第2出力側半導体スイッチ」の一例)とを備えている。第2電源32jは、第1電源32aとは別個に設けられている。第2電源32jは、キャパシタまたはリチウム電池である。
【0149】
モータ用電源装置303は、第4電圧検知部32n(特許請求の範囲の「第2電源側電圧検知部」の一例)と、マイコン332o(特許請求の範囲の「制御部」の一例)を含んでいる。
【0150】
(故障診断)
モータ用電源装置303では、
図21に示すように、第1診断状態D1(特許請求の範囲の「第1状態」の一例)、第2診断状態D2(特許請求の範囲の「第3状態」の一例)および第3診断状態D3(特許請求の範囲の「第4状態」の一例)の3種類の故障診断が行われている。
【0151】
同様に、第1診断状態D1の前に、マイコン332oは、システム電源102から電力を供給することにより、プリチャージ用コンデンサ32hを充電(プリチャージ)する制御を行うように構成されている。この際、マイコン332oは、プリチャージ用コンデンサ32hの充電異常を検知したことに基づいて、第1診断状態D1を行わないように構成されている。
【0152】
図21および
図22に示すように、マイコン332oは、第1半導体スイッチ32cおよび第2半導体スイッチ32dをオンにした第1診断状態D1で、第1電圧検知部32e、第2電圧検知部32fおよび第3電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第1半導体スイッチ32c(
図21において「MA1上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。なお、第1半導体スイッチ32cの故障の診断結果は、第1実施形態における第1サブ用半導体スイッチ32cの第1診断状態D1の診断結果と同じであるので、説明を省略する。
【0153】
図21および
図23に示すように、マイコン332oは、第1半導体スイッチ32cおよび第2半導体スイッチ32dをオンにした第1診断状態D1で、第1電圧検知部32e、第2電圧検知部32fおよび第3電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第2半導体スイッチ32d(
図21において「MA1逆接」と記載)の故障を診断するように構成されている。なお、第2半導体スイッチ32dの故障の診断結果は、第1実施形態における第2サブ用半導体スイッチ32dの第1診断状態D1の診断結果と同じであるので、説明を省略する。
【0154】
図21に示すように、マイコン332oは、第2電圧検知部32fに電力が供給されるように、第2診断状態D2の前に、プリチャージ用コンデンサ32hを放電する制御を行うように構成されている。
【0155】
図21および
図24に示すように、マイコン332oは、第1半導体スイッチ32c、第2半導体スイッチ32d、第3半導体スイッチ32lおよび第4半導体スイッチ32mをオフにした第2診断状態D2で、第1電圧検知部32e、第2電圧検知部32fおよび第3電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第1半導体スイッチ32c(
図4において「MA1上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。なお、第1半導体スイッチ32cの故障の診断結果は、第1実施形態における第1サブ用半導体スイッチ32cの第2診断状態D2の診断結果と同じであるので、説明を省略する。
【0156】
ここで、マイコン332oは、第2診断状態D2において第1半導体スイッチ32cの故障を検知したことに基づいて、故障の診断を終了する制御を行うように構成されている。
【0157】
図21および
図25に示すように、マイコン332oは、第1半導体スイッチ32c、第2半導体スイッチ32d、第3半導体スイッチ32lおよび第4半導体スイッチ32mをオフにした第2診断状態D2で、第2電圧検知部32f、第3電圧検知部32gおよび第4電圧検知部32nの各々の検知した電圧値に基づいて、第4半導体スイッチ32m(
図21において「MA2上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。なお、第4半導体スイッチ32mの故障の診断結果は、第1実施形態における第4サブ用半導体スイッチ32mの第2診断状態D2の診断結果と同じであるので、説明を省略する。
【0158】
ここで、マイコン332oは、第2診断状態D2において第4サブ用半導体スイッチ32mの故障を検知したことに基づいて、故障の診断を終了する制御を行うように構成されている。
【0159】
図21に示すように、マイコン332oは、第3診断状態D3の前に、プリチャージ用コンデンサ32hを放電する制御を行うように構成されている。また、放電した後、マイコン332oは、第2電源32jが設定なしか否かに基づいて、第3診断状態D3において、第2半導体スイッチ32dの故障を診断をするか否か、および、第4半導体スイッチ32mの故障を診断するか否かを判断する制御を行うように構成されている。ここで、マイコン332oは、第2電源32jがキャパシタまたはリチウム電池であることに基づいて、第3診断状態D3において、第2半導体スイッチ32dの故障、および、第4半導体スイッチ32mの故障の両方の診断を行うように構成されている。
【0160】
図21および
図26に示すように、マイコン332oは、第3半導体スイッチ32lおよび第4半導体スイッチ32mをオンにした第3診断状態D3において、第1電圧検知部32e、第2電圧検知部32fおよび第3電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第2半導体スイッチ32d(
図21において「MA1逆接」と記載)の故障を診断する制御を行うように構成されている。なお、第2半導体スイッチ32dの故障の診断結果は、第1実施形態における第2サブ用半導体スイッチ32dの第3診断状態D3の診断結果と同じであるので、説明を省略する。
【0161】
図21および
図27に示すように、マイコン332oは、第3半導体スイッチ32lおよび第4半導体スイッチ32mをオンにした第3診断状態D3において、第2電圧検知部32f、第3電圧検知部32gおよび第4電圧検知部32nの各々の検知した電圧値に基づいて、第4半導体スイッチ32m(
図21において「MA2上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。なお、第4半導体スイッチ32mの故障の診断結果は、第1実施形態における第4サブ用半導体スイッチ32mの第3診断状態D3の診断結果と同じであるので、説明を省略する。
【0162】
ここで、第3半導体スイッチ32lの故障の診断結果は、第4半導体スイッチ32mの故障の診断結果と同じになるので、第4半導体スイッチ32mの故障の診断結果が第3半導体スイッチ32lの故障の診断結果として流用される。
【0163】
また、モータ用電源装置303では、故障診断が終了した後、外部のシステム(車両用制御システム)から送信される停止信号に基づいて、装置の起動が停止される。なお、第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0164】
(故障診断処理)
以下に、
図28および
図29を参照して、第1半導体スイッチ32c、第2半導体スイッチ32dおよび第4半導体スイッチ32mの故障診断処理について説明する。
【0165】
ステップS301において、マイコン332oでは、第1故障診断が行われる。すなわち、マイコン332oでは、第1診断状態D1において、第1電圧検知部32e、第2電圧検知部32fおよび第3電圧検知部32gの各々の電圧値に基づいて、第1半導体スイッチ32cおよび第2半導体スイッチ32dのオフ故障診断が行われる。
【0166】
ステップS302において、マイコン332oでは、第1半導体スイッチ32cおよび第2半導体スイッチ32dの少なくともいずれかにおいて故障が検知されたか否かが判断される。故障が検知された場合は故障診断処理を終了し、故障が検知されていない場合はステップS303に進む。ステップS303において、マイコン332oでは、第1条件を満たすか否かが判断される。第1条件とは、イグニッションスイッチがオフであり、故障診断が禁止の状態から許可に変更されており、プリチャージ用コンデンサ32hが正常に充電されており、かつ、モータ11の駆動が停止しているという条件である。第1条件を満たす場合にはステップS304に進み、第1条件を満たさない場合にはステップS303を繰り返す。
【0167】
ステップS304において、マイコン332oでは、プリチャージ用コンデンサ32hが放電するまで待機される。ステップS305において、マイコン332oでは、第2条件を満たすか否かが判断される。第2条件とは、所定時間が経過し、かつ、第1半導体スイッチ32c、第2半導体スイッチ32d、第3半導体スイッチ32lおよび第4半導体スイッチ32mの全てがオフになるという条件である。第2条件を満たす場合にはステップS306に進み、第2条件を満たさない場合にはステップS304に戻る。
【0168】
ステップS306において、マイコン332oでは、第2故障診断が行われる。すなわち、マイコン332oでは、第2診断状態D2において、第1電圧検知部32e、第2電圧検知部32fおよび第3電圧検知部32gの各々の電圧値に基づいて、第1半導体スイッチ32cのオン故障診断が行われる。マイコン332oでは、第2診断状態D2において、第2電圧検知部32f、第3電圧検知部32gおよび第4電圧検知部32nの各々の電圧値に基づいて、第4半導体スイッチ32mのオン故障診断が行われる。
【0169】
ステップS307において、マイコン332oでは、所定時間が経過したか否かが判断される。所定時間が経過した場合はステップS308に進み、所定時間が経過していない場合にはステップS306に戻る。ステップS308において、マイコン332oでは、第3条件を満たすか否かが判断される。第3条件とは、第2電源32jの電源種別が設定なしであるか否か、または、第2故障診断で故障有りと検知したか否かという条件である。第2条件を満たす場合にはサブ側故障診断処理を終了し、第2条件を満たさない場合にはステップS309に進む。
【0170】
ステップS309において、マイコン332oでは、プリチャージ用コンデンサ32hが充電するまで待機される。
図28のAから
図29のAに進むことにより、ステップS309からステップS310へと進む。
【0171】
図29に示すように、ステップS310において、マイコン332oでは、第4条件を満たすか否かが判断される。第4条件とは、プリチャージ用コンデンサ32hの充電が完了し、第1半導体スイッチ32cがオフであり、第2半導体スイッチ32dがオフであり、第3半導体スイッチ32lがオンであり、かつ、第4半導体スイッチ32mがオンであるという条件である。第4条件を満たす場合にはステップS311に進み、第4条件を満たさない場合にはステップS310を繰り返す。ステップS311において、マイコン332oでは、プリチャージ用コンデンサ32hが放電されるまで待機される。
【0172】
ステップS312において、マイコン332oでは、第5条件を満たすか否かが判断される。第5条件とは、所定時間が経過し、第1サブ用半導体スイッチ32cがオフであり、第2サブ用半導体スイッチ32dがオフであり、第3サブ用半導体スイッチ32lがオンであり、かつ、第4サブ用半導体スイッチ32mがオンであるという条件である。第5条件を満たす場合にはステップS313に進み、第5条件を満たさない場合にはステップS311に戻る。
【0173】
ステップS313において、マイコン332oでは、第3故障診断が行われる。すなわち、マイコン332oでは、第3診断状態D3において、第1サブ用電圧検知部32e、第2サブ用電圧検知部32f、および、第3サブ用電圧検知部32gの各々の電圧値に基づいて、第2半導体スイッチ32dのオン故障診断が行われる。マイコン332oでは、第3診断状態D3において、第2サブ用電圧検知部32f、第3サブ用電圧検知部32g、第4サブ用電圧検知部32nの各々の電圧値に基づいて、第4半導体スイッチ32mのオフ故障診断が行われる。
【0174】
ステップS314において、マイコン332oでは、所定時間が経過したか否かが判断される。所定時間が経過した場合は故障診断処理を終了し、所定時間が経過していない場合はステップS313に戻る。
【0175】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0176】
第3実施形態では、上記のように、モータ用電源装置303は、第1電圧検知部32eの計測値に基づいて、第1電源32aから第1半導体スイッチ32cへの電力の供給の状態を判定する制御を行うマイコン332oを備えている。これにより、第1半導体スイッチ32cの故障診断において、故障診断の誤判定を抑制することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態の効果と同様である。
【0177】
[第4実施形態]
次に、
図30および
図31を参照して、第4実施形態のモータ用電源装置403について説明する。詳細には、第1電源32aおよび第2電源32jを備える第3実施形態のモータ用電源装置303とは異なり、第4実施形態のモータ用電源装置403では、電源432aが設定されている。なお、第4実施形態において、上記第3実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0178】
第4実施形態のシフト装置100では、ディテントスプリング22が、P位置および非P位置のそれぞれに対応する回動角度位置でディテントプレート(図示せず)を保持するように構成されている。
【0179】
図30に示すように、モータ用電源装置403は、アクチュエータユニット1に電力を供給するように構成されている。モータ用電源装置403は、電源432aと、第1電力供給ライン32bと、第1半導体スイッチ32c(特許請求の範囲の「第1電源側半導体スイッチ」の一例)と、第2半導体スイッチ32d(特許請求の範囲の「第1出力側半導体スイッチ」の一例)とを備えている。
【0180】
モータ用電源装置403は、第1電圧検知部32e(特許請求の範囲の「第1電源側電圧検知部」の一例)と、第2電圧検知部32f(特許請求の範囲の「中間部電圧検知部」の一例)と、第3電圧検知部32g(特許請求の範囲の「出力側電圧検知部」の一例)とを含んでいる。モータ用電源装置403は、プリチャージ用コンデンサ32hと、モータ回路32iと、マイコン432o(特許請求の範囲の「制御部」の一例)とを備えている。
【0181】
(故障診断)
モータ用電源装置403では、
図31に示すように、第1診断状態D1(特許請求の範囲の「第1状態」の一例)、第2診断状態D2(特許請求の範囲の「第3状態」の一例)および第3診断状態D3(特許請求の範囲の「第4状態」の一例)の3種類の故障診断が行われている。
【0182】
同様に、第1診断状態D1の前に、マイコン432oは、システム電源102から電力を供給することにより、プリチャージ用コンデンサ32hを充電(プリチャージ)する制御を行うように構成されている。この際、マイコン432oは、プリチャージ用コンデンサ32hの充電異常を検知したことに基づいて、第1診断状態D1を行わないように構成されている。
【0183】
図31に示すように、マイコン432oは、第1半導体スイッチ32cおよび第2半導体スイッチ32dをオンにした第1診断状態D1で、第1電圧検知部32e、第2電圧検知部32fおよび第3電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第1半導体スイッチ32c(
図31において「MA1上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。なお、第1半導体スイッチ32cの故障の診断結果は、第3実施形態における第1半導体スイッチ32cの第1診断状態D1の診断結果と同じであるので、説明を省略する。
【0184】
図31に示すように、マイコン432oは、第1半導体スイッチ32cおよび第2半導体スイッチ32dをオンにした第1診断状態D1で、第1電圧検知部32e、第2電圧検知部32fおよび第3電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第2半導体スイッチ32d(
図31において「MA1逆接」と記載)の故障を診断するように構成されている。なお、第2半導体スイッチ32dの故障の診断結果は、第3実施形態における第2半導体スイッチ32dの第1診断状態D1の診断結果と同じであるので、説明を省略する。
【0185】
図31に示すように、マイコン432oは、第2電圧検知部32fに電力が供給されるように、第2診断状態D2の前に、プリチャージ用コンデンサ32hを放電する制御を行うように構成されている。
【0186】
図31に示すように、マイコン432oは、第1半導体スイッチ32c、第2半導体スイッチ32d、第3半導体スイッチ32lおよび第4半導体スイッチ32mをオフにした第2診断状態D2で、第1電圧検知部32e、第2電圧検知部32fおよび第3電圧検知部32gの各々の検知した電圧値に基づいて、第1半導体スイッチ32c(
図31において「MA1上流」と記載)の故障を診断するように構成されている。なお、第1半導体スイッチ32cの故障の診断結果は、第3実施形態における第1半導体スイッチ32cの第2診断状態D2の診断結果と同じであるので、説明を省略する。
【0187】
また、モータ用電源装置403では、第3実施形態の第2電源32j側(バックアップ側)の電源が設定されていないので、第3診断状態D3が行われない(スキップされる)。なお、第4実施形態のその他の構成は、第3実施形態の構成と同様である。
【0188】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0189】
第4実施形態では、上記のように、モータ用電源装置403は、第1電圧検知部32eの計測値に基づいて、電源432aから第1半導体スイッチ32cへの電力の供給の状態を判定する制御を行うマイコン432oを備えている。これにより、第1半導体スイッチ32cの故障診断において、故障診断の誤判定を抑制することができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、第3実施形態の効果と同様である。
【0190】
[変形例]
今回開示された上記実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0191】
たとえば、上記実施形態では、本発明のモータ用電源装置3(203、303、403)が、自動車用のシフト装置100に適用される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、モータ用電源装置は、たとえば、電車など、自動車用以外のシフト装置に適用されてもよいし、シフト装置以外の装置に適用されてもよい。
【0192】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、メイン側マイコン31i(制御部)、サブ側マイコン32o(制御部)、マイコン332o(制御部)およびマイコン432o(制御部)の各々の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0193】
3、203、303、403 モータ用電源装置
11 モータ
31a メイン側電源、(第1電源)
31b メイン用電力供給ライン(第1電力供給ライン)
31c 第1メイン用半導体スイッチ、(第1電源側半導体スイッチ)
31d 第2メイン用半導体スイッチ(第1出力側半導体スイッチ)
31e 第1メイン用電圧検知部(第1電源側電圧検知部)
31f 第2メイン用電圧検知部(出力側電圧検知部)
31g メイン用コンデンサ(プリチャージ用コンデンサ)
31i メイン側マイコン(制御部)
32a 第1サブ側電源、第1電源(第1電源)
32b 第1サブ用電力供給ライン、第1電力供給ライン(第1電力供給ライン)
32c 第1サブ用半導体スイッチ、第1半導体スイッチ(第1電源側半導体スイッチ)
32d 第2サブ用半導体スイッチ、第2半導体スイッチ(第1出力側半導体スイッチ)
32e 第1サブ用電圧検知部、第1電圧検知部(第1電源側電圧検知部)
32f 第2サブ用電圧検知部、第2電圧検知部(中間部電圧検知部)
32g 第3サブ用電圧検知部、第3電圧検知部(出力側電圧検知部)
32h サブ用コンデンサ、プリチャージ用コンデンサ(プリチャージ用コンデンサ)
32j、232j 第2サブ側電源(第2電源)、第2電源
32k 第2サブ用電力供給ライン(第2電力供給ライン)、第2電力供給ライン
32l 第3サブ用半導体スイッチ(第2電源側半導体スイッチ)、第3半導体スイッチ
32m 第4サブ用半導体スイッチ(第2出力側半導体スイッチ)、第4半導体スイッチ
32n 第4サブ用電圧検知部、第4電圧検知部(第2電源側電圧検知部)
32o サブ側マイコン(制御部)
332o、432o マイコン(制御部)