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特開2022-161368中空立体映像表示装置、中空立体映像表示システム、中空立体映像の歪補正方法、および歪補正データ作成プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161368
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】中空立体映像表示装置、中空立体映像表示システム、中空立体映像の歪補正方法、および歪補正データ作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20221014BHJP
   H04N 13/363 20180101ALI20221014BHJP
   H04N 13/393 20180101ALI20221014BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20221014BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20221014BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221014BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20221014BHJP
   G03B 35/18 20210101ALN20221014BHJP
【FI】
G02B30/56
H04N13/363
H04N13/393
G02B3/08
G02B5/00 Z
G09F9/00 361
G03B21/14 Z
G03B35/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066120
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】513051416
【氏名又は名称】学校法人電波学園 愛知工科大学
(71)【出願人】
【識別番号】508050336
【氏名又は名称】学校法人桜美林学園
(71)【出願人】
【識別番号】000101330
【氏名又は名称】アストロデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】特許業務法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永野 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】杉森 順子
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 吉仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩司
【テーマコード(参考)】
2H042
2H059
2H199
2K203
5C061
5G435
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA20
2H042AA26
2H059AB12
2H059AC08
2H199BA22
2H199BA32
2H199BA62
2H199BB06
2H199BB33
2H199BB63
2H199BB67
2K203FA25
2K203FA62
2K203FA97
2K203FB03
2K203GB33
2K203GB47
2K203GB62
2K203GC22
2K203GC26
2K203HB09
2K203KA83
2K203MA27
5C061AA06
5C061AA23
5C061AB12
5C061AB14
5C061AB16
5G435AA01
5G435BB17
5G435CC11
5G435DD04
5G435GG46
(57)【要約】
【課題】中空に浮かんでいるような印象を受けながらも、視野角が広い立体映像を表示することができる中空立体映像表示装置を提供する。
【解決手段】中空立体映像表示装置は、平面映像を含む投影光を発する投影システムと、回転しながら前記投影光を透過させるかまたは反射する回転スクリーンと、前記回転スクリーンを透過するかまたは前記回転スクリーンで反射した前記投影光を一方向に導く誘導光学系と、前記誘導光学系によって導かれた前記投影光を集光させる集光レンズ系と、前記平面映像に対応する立体映像が空中で表示されるように、前記投影システムおよび前記回転スクリーンを制御する制御部と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面映像を含む投影光を発する投影システムと、
回転しながら前記投影光を透過させるかまたは反射する回転スクリーンと、
前記回転スクリーンを透過するかまたは前記回転スクリーンで反射した前記投影光を一方向に導く誘導光学系と、
前記誘導光学系によって導かれた前記投影光を集光させる集光レンズ系と、
前記平面映像に対応する立体映像が空中で表示されるように、前記投影システムおよび前記回転スクリーンを制御する制御部と、を備えた、中空立体映像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記回転スクリーン、前記誘導光学系、および前記集光レンズ系に起因した前記立体映像の歪を補正する歪補正部を含む、請求項1に記載の中空立体映像表示装置。
【請求項3】
前記平面映像は、撮影された実物の平面映像を含み、
前記立体映像は、前記実物の立体映像を含み、
前記歪補正部は、前記実物の立体映像の形状が前記実物それ自身の形状に近づくように、前記平面映像の座標を変換する、請求項2に記載の中空立体映像表示装置。
【請求項4】
前記誘導光学系と前記集光レンズ系との間の距離を調整する距離調整機構をさらに備えた、請求項1~3のいずれかに記載の中空立体映像表示装置。
【請求項5】
前記距離調整機構は、前記誘導光学系または前記集光レンズ系のうちの少なくともいずれか一方をスライドさせるスライド機構を含む、請求項4に記載の中空立体映像表示装置。
【請求項6】
前記誘導光学系は、互いの中心軸が一致するように配置された複数のフレネルレンズを含む、請求項1~5のいずれかに記載の中空立体映像表示装置。
【請求項7】
前記誘導光学系は、凹面鏡を含み、
前記凹面鏡と前記集光レンズ系とは、互いの中心軸が一致するように配置された、請求項1~5のいずれかに記載の中空立体映像表示装置。
【請求項8】
前記集光レンズ系は、互いの中心軸が一致するように配置された複数のフレネルレンズを含む、請求項1~7のいずれかに記載の中空立体映像表示装置。
【請求項9】
前記投影システムは、1つのプロジェクタを含み、
前記回転スクリーンは、前記1つのプロジェクタが発した前記投影光を反射または透過する螺旋状回転スクリーンを含む、請求項1~8のいずれかに記載の中空立体映像表示装置。
【請求項10】
前記投影システムは、複数のプロジェクタを含み、
前記回転スクリーンは、前記投影光を反射する反射型回転スクリーンを含み、
前記複数のプロジェクタは、それぞれ、互いに異なる位置から前記反射型回転スクリーンへ前記投影光を発する、請求項1~8のいずれかに記載の中空立体映像表示装置。
【請求項11】
複数の中空立体映像表示装置を備え、
前記複数の中空立体映像表示装置のそれぞれは、同一の立体映像を中空の同一の位置に表示するように配置された、中空立体映像表示システム。
【請求項12】
前記複数の中空立体映像表示装置のそれぞれは、前記中空立体映像表示装置を含む、請求項11に記載の中空立体映像表示システム。
【請求項13】
中空に立体映像を表示する中空立体映像表示装置を準備するステップと、
前記立体映像が表示される中空に格子点の実物を有する立体格子構造を配置するステップと、
前記格子点の実物に対応する格子点の平面映像を用いて前記中空立体映像表示装置に前記格子点の立体映像を中空に表示させるステップと、
前記格子点の実物および前記格子点の立体映像を撮影するステップと、
撮影された前記格子点の実物と撮影された前記格子点の立体映像との間の座標の差を算出するステップと、
前記座標の差がゼロに近づくように前記格子点の平面映像の座標を変換する平面映像座標変換データを生成するステップと、を備えた、中空立体映像の歪補正方法。
【請求項14】
前記格子点の立体映像を中空に表示するステップにおいては、前記格子点の実物および前記格子点の平面映像のそれぞれは、互いの対応関係を識別可能な色を有しており、
前記座標の差を算出するステップにおいては、
撮影された前記格子点の実物の色と撮影された前記格子点の立体映像の色とを用いて、前記格子点の実物と前記格子点の立体映像との前記対応関係の有無を識別し、
前記格子点の実物と前記格子点の実物と前記対応関係を有していると識別された前記格子点の立体映像との間の前記座標の差を算出する、請求項13に記載の中空立体映像の歪補正方法。
【請求項15】
前記格子点の実物を有する立体格子構造を配置するステップにおいては、それぞれが前記格子点の実物である複数の格子点の実物を有する立体格子構造を配置し、
前記格子点の立体映像を中空に表示するステップにおいては、それぞれが前記格子点の立体映像である複数の格子点の立体映像を中空に表示し、
前記平面映像座標変換データを生成するステップにおいては、それぞれが前記格子点の平面映像の座標である複数の格子点の平面映像の座標のうちの隣接する2つの格子点の平面映像の座標同士の間の座標に対応する前記平面映像座標変換データを補間によって生成する、請求項13または14に記載の中空立体映像の歪補正方法。
【請求項16】
前記格子点の実物および前記格子点の立体映像を撮影するステップにおいては、
複数の撮影装置を用いて前記格子点の実物および前記格子点の立体映像を撮影し、
前記複数の撮影装置によって撮影された前記格子点の実物の複数の撮影画像を用いて前記格子点の実物の座標を特定し、
前記複数の撮影装置によって撮影された前記格子点の立体映像の複数の撮影画像を用いて前記格子点の立体映像の座標を特定する、請求項13~15のいずれかに記載の中空立体映像の歪補正方法。
【請求項17】
前記平面映像座標変換データを前記中空立体映像表示装置に記憶させるステップと、
前記平面映像座標変換データを用いて、撮影された新たな実物の平面映像の座標変換を実行し、座標変換後の平面映像を生成するステップと、
前記座標変換後の平面映像を用いて、前記中空立体映像表示装置に前記立体映像を中空に表示させるステップと、を備えた、請求項13~16のいずれかに記載の中空立体映像の歪補正方法。
【請求項18】
コンピュータに、
撮影された格子点の実物と撮影された格子点の立体映像との間の座標の差を算出するステップと、
前記座標の差がゼロに近づくように前記格子点の平面映像の座標を変換する平面映像座標変換データを生成するステップと、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能な中空立体映像の歪補正データ作成プログラム。
【請求項19】
前記座標の差を算出するステップにおいては、
撮影された前記格子点の実物の色と撮影された前記格子点の立体映像の色とを用いて、前記格子点の実物と前記格子点の立体映像との対応関係の有無を識別し、
前記格子点の実物と、前記格子点の実物と前記対応関係を有していると識別された前記格子点の立体映像との間の前記座標の差を算出する、請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能な中空立体映像の歪補正データ作成プログラム。
【請求項20】
前記平面映像座標変換データを生成するステップにおいては、
それぞれが前記格子点の平面映像の座標である複数の格子点の平面映像の座標のうちの隣接する2つの格子点の平面映像の座標同士の間の座標に対応する前記平面映像座標変換データを補間によって生成する、請求項18または19に記載のコンピュータ読み取り可能な中空立体映像の歪補正データ作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中空立体映像表示装置、中空立体映像表示システム、中空立体映像の歪補正方法および歪補正データ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、中空に3次元の立体映像を表示する中空立体映像表示装置の開発が行われている。このような中空立体映像表示装置には、たとえば、下記の特許文献1に開示されているように、液晶ディスプレイ、ピンホールアレイ板、第1のフレネルレンズ、および第2のフレネルレンズが、この順番で配置されているものがある。この中空立体映像表示装置においては、液晶ディスプレイに表示された平面映像を含む光線群が、ピンホールアレイ板の多数のポンホールを通過して、視差画像光線群となる。
【0003】
それにより、視差画像光線群はピンホールアレイ板と第1のフレネルレンズとの間の中空に、第1の立体映像として表示される。この第1の立体映像を構成する視差画像光線群は、第1および第2のフレネルレンズをさらに通過した後、観察者の近傍の位置に、第2の立体映像として再度表示される。観察者は、第2の立体映像を観察する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-296541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の中空立体映像表示装置のように、複数のフレネルレンズを含む集光レンズ系を用いて第1の立体映像から距離を置いた位置に第2の立体映像を再生すれば、中空に浮かんでいるような印象を受ける第2の立体映像を表示することができる。しかしながら、視差画像光線群によって第1の立体映像を再生する、いわゆる光線再生方式を採用しているため、第1の立体映像の視野角が小さい。そのため、第1の立体映像に基づいて再生される第2の立体映像の視野角を大きくすることは困難である。したがって、第2の立体映像を見る位置が極めて狭い範囲に限定されてしまうという問題が生じる。
【0006】
本開示は、上記の問題に鑑みてなされたものある。本開示の目的は、中空に浮かんでいるような印象を受けながらも、視野角が広い立体映像を表示することができる中空立体映像表示装置を提供することである。
【0007】
また、本開示の他の目的は、前述の中空立体映像表示装置を用いた中空立体映像表示システム、その中空立体映像によって表示される中空立体映像の歪補正方法、およびそれに用いられる歪補正データ作成プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の中空立体映像表示装置は、平面映像を含む投影光を発する投影システムと、回転しながら前記投影光を透過させるかまたは反射する回転スクリーンと、前記回転スクリーンを透過するかまたは前記回転スクリーンで反射した前記投影光を一方向に導く誘導光学系と、前記誘導光学系によって導かれた前記投影光を集光させる集光レンズ系と、前記平面映像に対応する立体映像が空中で表示されるように、前記投影システムおよび前記回転スクリーンを制御する制御部と、を備えている。
【0009】
本開示の中空立体映像表示システムは、複数の中空立体映像表示装置を備え、前記複数の中空立体映像表示装置のそれぞれは、同一の立体映像を中空の同一の位置に表示するように配置されている。
【0010】
本開示の中空立体映像の歪補正方法は、中空に立体映像を表示する中空立体映像表示装置を準備するステップと、前記立体映像が表示される中空に格子点の実物を有する立体格子構造を配置するステップと、前記格子点の実物に対応する格子点の平面映像を用いて前記中空立体映像表示装置に前記格子点の立体映像を中空に表示させるステップと、前記格子点の実物および前記格子点の立体映像を撮影するステップと、撮影された前記格子点の実物と撮影された前記格子点の立体映像との間の座標の差を算出するステップと、前記座標の差がゼロに近づくように前記格子点の平面映像の座標を変換する平面映像座標変換データを生成するステップと、を備えている。
【0011】
本開示の中空立体映像の歪補正データ作成プログラムは、コンピュータに、撮影された格子点の実物と撮影された格子点の立体映像との間の座標の差を算出するステップと、前記座標の差がゼロに近づくように前記格子点の平面映像の座標を変換する平面映像座標変換データを生成するステップと、を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1の中空立体映像表示装置を示す図である。
図2】実施の形態1の中空立体映像表示装置の結像光学系の変形例1を示す図である。
図3】実施の形態1の中空立体映像表示装置の結像光学系の変形例2を示す図である。
図4】実施の形態1の中空立体映像表示装置の集光レンズ系の変形例1を説明する。
図5】実施の形態1の中空立体映像表示装置の集光レンズ系の変形例2を説明する。
図6】実施の形態1の中空立体映像表示装置の焦点距離を説明するための図である。
図7】実施の形態1の中空立体映像表示装置の立体映像が結像する位置が変化することを説明するための図である。
図8】投影画像から誘導光学系までの距離と集光レンズ系から中空立体映像までの距離との関係を示す図である。
図9】誘導光学系および集光レンズ系の中心軸からずれた位置に投影画像が表示された場合に、中空立体映像もずれて表示されることを説明するための図である。
図10A】平面に描かれた格子の図柄を説明するための写真である。
図10B】平面に描かれた格子の図柄が誘導光学系および集光レンズ系によって中空立体映像として表示されると、図柄が歪むことを説明するための写真である。
図11】実施の形態1の中空立体映像表示装置に立体格子構造の平面映像に対応する立体格子構造の立体映像を表示させ、立体格子構造の立体映像と立体格子構造の実物とを比較している状況を説明するための図である。
図12】立体格子構造の実物の斜視図である。
図13】実施の形態1の中空立体映像の歪補正方法を説明するためのブロック図である。
図14】実施の形態1の中空立体映像の歪補正方法に用いられる歪補正データ作成プログラムが実行する各処理を説明するためのフローチャートである。
図15】中空立体映像の視野角が小さい状況を説明するための図である。
図16】中空立体映像の視野角が大きい状況を説明するための図である。
図17】実施の形態1の中空立体映像表システムを示す図である。
図18】実施の形態1の中空立体映像表システムの他の例を示す図である。
図19】実施の形態2の中空立体映像表装置を示す図である。
図20】実施の形態3の中空立体映像表装置を示す図である。
図21】実施の形態3の中空立体映像表装置の変形例1を示す図である。
図22】実施の形態3の中空立体映像表装置の変形例2を示す図である。
図23】実施の形態3の中空立体映像表装置の変形例3を示す図である。
図24】実施の形態3の中空立体映像表装置の変形例4を示す図である。
図25】実施の形態4の中空立体映像表装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の中空立体映像表示装置、中空立体映像表示システム、中空立体映像の歪補正方法、および中空立体映像の歪補正データ作成プログラムを、図面を参照しながら説明する。なお、各図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0014】
(実施の形態1)
図1を用いて実施の形態1の中空立体映像表示装置100を説明する。
図1に示されるように、中空立体映像表示装置100は、中空に立体映像SIを表示する装置である。中空立体映像表示装置100は、制御部1、投影システム2、アクチュエータ3、駆動ギア4、受動ギア5、回転スクリーン6、および結像光学系LSを備えている。
【0015】
制御部1は、平面映像PIを記憶部1Mに記憶している。制御部1は、立体映像SIの平面映像PIの座標変換を行う歪補正部1Cを備えている。歪補正部1Cの詳細については後述する。制御部1は、記憶部1Mに記憶された平面映像PIを含む映像信号CSを投影システム2へ送信する。
【0016】
投影システム2は、1つのプロジェクタ2Aを含んでいる。なお、後述の実施の形態において説明するが、投影システム2は、複数のプロジェクタを含んでいてもよい。投影システム2は、制御部1から送信されてきた映像信号CSに基づいて平面映像PIを含む投影光Aを発する。プロジェクタ2Aは、高速フレームレートで平面映像を投影することができる。プロジェクタ2Aは、DMD(Digital Micro-mirror Device)素子を使用したDLP(Data Loss Prevention)方式の場合、階調を下げることで数千フレーム/秒の平面映像の投影を実現することができる。
【0017】
アクチュエータ3は、制御部1から受信した制御信号に基づいて、所定の速度で回転する。アクチュエータ3は、本実施の形態においては、回転運動を生じさせるモータであるが、たとえば、電磁式モータまたは超音波モータ等を用いて回転運動を生じさせるものであってもよい。アクチュエータ3は、アクチュエータ3の基準部位の基準角度に対する回転角度を特定可能な回転信号RSを制御部1へ送信する。
【0018】
アクチュエータ3の回転軸には、互いの回転中心軸が一致するように駆動ギア4が固定されている。また、駆動ギア4は、受動ギア5と噛み合っている。そのため、駆動ギア4は、アクチュエータ3の回転軸の回転にもとなって受動ギア5を回転させる。受動ギア5は、互いの回転中心軸が一致するように回転スクリーン6に固定されている。そのため、受動ギア5が回転すると、回転スクリーン6が回転中心軸まわりに回転する。なお、駆動ギア4および受動ギア5は、互いに回転動力を伝達することができる機構であれば、リンク等、いかなるものを用いて構成されていてもよい。
【0019】
回転スクリーン6は、1つのプロジェクタ2Aが発した投影光Aを透過する透過型の螺旋状回転スクリーン6Aを含んでいる。螺旋状回転スクリーン6Aは、2つの点を結ぶ線分の軌跡によって螺旋面を有するスクリーンである。その2点のうちの1つは、螺旋の回転中心軸まわりに一定の半径を維持して回転しながらその回転中心軸に沿って一定速度で移動する螺旋状の曲線上の点である。また、前述の2点のうちのもう1つは、螺旋の回転中心軸に沿って前述の一定速度で回転中心軸上を移動する点である。ただし、螺旋状回転スクリーン6Aは、図1に開示された1つの螺旋面を有するものに限定されず、立体映像SIを表示できる形状であれば、複数の螺旋面を有する形状、または、螺旋階段形状等、いかなる形状を有していてもよい。
【0020】
なお、螺旋状回転スクリーン6Aは、投影光Aの一部を反射するが、螺旋状回転スクリーン6Aによって反射される投影光Aの量は、螺旋状回転スクリーン6Aを透過する投影光Aの量に比較して極めて小さい。螺旋状回転スクリーン6Aは、アクチュエータ3の回転速度に比例した回転速度で回転しながら投影光Aを透過させる。
【0021】
結像光学系LSは、誘導光学系CLS、および集光レンズ系ILSを備えている。誘導光学系CLSの中心軸および集光レンズ系ILSの中心軸は、互いに一致するとともに、回転スクリーン6の回転中心軸と一致する。誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSのそれぞれは、その中心軸に対して回転対称性を有する形状をなしている。つまり、誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSのそれぞれの平面形状は、円形である。
【0022】
誘導光学系CLSは、それぞれが円形の平面形状を有し、互いの中心軸が一致するように配置された複数のフレネルレンズL3,L4を含んでいる。複数のフレネルレンズL3,L4のそれぞれの凹凸面は、螺旋状回転スクリーン6側を向いている。複数のフレネルレンズL3,L4のそれぞれの平面は、立体映像SI側を向いている。誘導光学系CLSは、回転スクリーン6を透過する投影光Aを集光レンズ系ILSに向かって一方向に導く。本実施の形態においては、誘導光学系CLSは、投影光Aを平行光にするコリメータレンズ系である。しかしながら、誘導光学系CLSは、一方向に投影光Aを導くことができるのであれば、投影光Aを平行光にするものでなくてもよい。
【0023】
集光レンズ系ILSは、それぞれが円形の平面形状を有し、互いの中心軸が一致するように配置された複数のフレネルレンズL1,L2を含んでいる。複数のフレネルレンズL1,L2のそれぞれの凹凸面は、立体映像SI側を向いている。複数のフレネルレンズL1,L2のそれぞれの平面は、回転スクリーン6側を向いている。集光レンズ系ILSは、誘導光学系CLSによって導かれた投影光Aを集光させる。それにより、投影光Aが集光した位置で結像が生じる。その結果、平面映像PIに対応する立体映像SIが中空に表示される。この中空に表示される立体映像SIは、回転スクリーン6の回転角度に対応した多数の平面映像PIの集合で構成されている。
【0024】
本実施の形態においては、誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSのそれぞれは、複数のレンズを含んでいるが、1枚のレンズのみを含んでいてもよい。この場合には、結像レンズ系LSの全体の高さ(または厚さ)を小さくすることができる。
【0025】
また、誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSのそれぞれは、フレネルレンズによって構成されているため、誘導光学系CLSが占有する高さ(または厚さ)を小さくすることができる。ただし、誘導光学系CLSは、投影光Aを所定の方向に誘導できるのであれば、1または複数の凸レンズを含んでいてもよい。また、集光レンズ系ILSは、投影光Aを集光できるのであれば、1または複数の凸レンズを含んでいてもよい。
【0026】
本実施の形態においては、誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSのそれぞれが複数のレンズを含んでいるため、投影光Aの進行方向を大きく変化させることができる。そのため、回転スクリーン6と誘導光学系CLSとの間の距離および集光レンズ系ILSと中空立体映像SIとの間の距離を小さくすることが可能になっている。
【0027】
なお、本実施の形態においては、図示されていないが、中空立体映像表示装置100は、誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSを支持する円筒状の筐体を備えているものとする。
【0028】
本実施の形態の中空立体映像表示装置100においては、上述の視差画像光線群を用いるのではなく、上記のように、投影システム2と回転スクリーン6とを用いて、第1の立体映像(図6の投影画像PRI参照)を回転スクリーン6上に体積表示している。そのため、第1の立体映像(図6の投影画像PRI参照)の視野角αを大きくすることが可能になっている。また、第1の立体映像(図6の投影画像PRI参照)を誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSを用いて、所望の中空に第2の立体映像SIを表示している。そのため、誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSのそれぞれの直径を大きくし、かつ、誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSのそれぞれの焦点距離を小さくすれば、中空の第2の立体映像SIの視野角αを大きくすることができる。
【0029】
また、集光レンズ系ILSの構成に応じて、第2立体映像SIを表示する位置を異ならせることができる。その結果、第2の立体映像SIの位置を中空立体映像表示装置100から大きく離れた位置に表示することも可能になる。
【0030】
また、本実施の形態の中空立体映像表示装置100によれば、回転スクリーン6と第2の立体映像SIとの間に誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSが存在する。そのため、第2の立体映像SIを見る人の体が回転スクリーン6に接触してしまうことを防止することができる。
【0031】
さらに、中空立体映像表示装置100の内部構造と立体映像SIとは、結像光学系LSにより、仕切られている。そのため、立体映像SIが表示されている空間およびその周辺の空間の衛生環境を良好な状態に維持することができる。その結果、外科手術などの医療の分野において立体映像SIを利用することが可能になる。
【0032】
制御部1は、回転スクリーン6の回転角度に対応した多数の平面映像PIの集合により構成される第2の立体映像SIが空中で表示されるように、投影システム2および回転スクリーン6を制御する。平面映像PIに対応する第2の立体映像SIが中空に表示される。平面映像PIは、撮影装置(図示せず)によって予め撮影された実物の平面映像PIを含んでいる。そのため、第2の立体映像SIは、実物の立体映像を含んでいる。
【0033】
より具体的には、制御部1は、アクチュエータ3から受信した回転信号RSによって特定される回転角度に対応する平面映像PIを構成する1つの静止画像を含む投影光Aを投影システム2に発せさせる制御を実行する。制御部1は、この制御を、アクチュエータ3の一回転のうちの所定の回転角度ごとに実行する。たとえば、制御部1は、アクチュエータ3の回転角度が0.1度増加するごとに、その増加したアクチュエータ3の回転角度に対応する平面映像PIを構成する1つの静止画像を含む投影光Aを投影システム2に発せさせる。
【0034】
アクチュエータ3の回転角度に対応する平面映像PIを構成する1つの静止画像は、アクチュエータ3の回転角度に対応する方向におけるある位置から実物を撮影したときのその実物の静止画像であるものとする。この実物の静止画像の集合により、実物を撮影した位置が360度の全周の範囲にわたって時系列的に変化する平面映像PIが構成されている。
【0035】
制御部1は、回転スクリーン6、誘導光学系CLS、および集光レンズ系ILSに起因した立体映像SIの歪を補正する歪補正部1Cを含んでいる。これによれば、回転スクリーン6、誘導光学系CLS、および集光レンズ系ILSの収差等に起因した歪を補正することができる。本実施の形態においては、歪補正部1Cは、実物の立体映像SIの形状が実物それ自身の形状に近づくように、平面映像PIの座標を変換する。そのため、複雑な処理を行うことなく、歪補正を簡単に実行することができる。
【0036】
本実施の形態の中空立体映像表示装置100を用いれば、撮影された実物を中空に立体映像SIとして表示することができる。そのため、実物とその実物と同一形状を有する立体映像SIとを中空で3次元的に重ね合わせることができる。それにより、その実物と中空の立体映像SIとを比較することにより、その実物を中空の立体映像SIと同一の形状に加工することができる。
【0037】
したがって、本実施の形態の中空立体映像表示装置100は、たとえば、医療分野において血管内に挿入デバイスの加工をするとき、または、工芸分野においてアクセサリを加工するとき等に、それらの模範品を立体映像SIとして表示することができる。これによれば、中空に表示された模範品の立体映像に一致するように、実物の挿入デバイスまたはアクセサリ等を加工すれば、挿入デバイスまたはアクセサリ等の正確な加工を容易に行うことができる。
【0038】
なお、その模範品は、本実施の形態においては、実物を撮影した平面映像PIに対応する立体映像SIである。しかしながら、模範品は、3DCAD(Dimensional Computer-Aided Design)などコンピュータを用いて製作された平面映像PIに対応する立体映像SIであってもよい。コンピュータを用いて製作された平面映像PIを用いる場合、実物を撮影した平面映像PIを製作する場合と同様に、歪補正部1Cによる歪補正を行ってもよい。しかしながら、立体映像SIの歪が補正された平面映像PIがコンピュータを用いて予め製作され得るのであれば、歪補正部ICによる歪補正を実行しなくてもよい。
【0039】
図2および図3を用いて、実施の形態1の中空立体映像表示装置の結像光学系LSの変形例1および変形例2を説明する。
【0040】
図2に示されるように、結像光学系LSは、1つの凸レンズL11からなる誘導光学系CLSと、1つの凸レンズL10からなる集光レンズ系CLSと、によって構成されていてもよい。なお、この場合、凸レンズL11は、凸面と平面とを有し、凸レンズL10も、凸面と平面とを有する。凸部レンズL11の凸面と凸レンズL10の凸面とは、互いに向かい合っている。凸部レンズL11の平面と凸レンズL10の平面とは、互いに反対側を向いている。
【0041】
図3に示されるように、結像光学系LSは、1つのフレネルレンズL21からなる誘導光学系CLSと、1つのフレネルレンズL20からなる集光レンズ系ILSと、によって構成されていてもよい。なお、この場合、フレネルレンズL21は、凹凸面と平面とを有し、フレネルレンズL20も、凹凸面と平面とを有する。フレネルレンズL21の凹凸面とフレネルレンズL20の凹凸面とは、互いに向かい合っている。フレネルレンズL21の平面とフレネルレンズL20の平面とは、互いに反対側を向いている。
【0042】
図4を用いて、中空立体映像表示装置100の集光レンズ系ILSの変形例1を説明する。
【0043】
変形例1の集光レンズ系ILSは、中心軸OAが一致する2つの凸レンズL1A,L2Aによって構成されている。2つの凸レンズL1AおよびL2Aのそれぞれは、互いに反対側を向く2つの凸面を有している。変形例1によっても、凸レンズL1A,L2Aのそれぞれの直径を大きくし、凸レンズL1A,L2Aの全体の焦点距離Fcを小さくすれば、中空の立体映像SIの視野角αを大きくすることができる。
【0044】
凸レンズL1Aと凸レンズL2Aとの間の距離は、dである。凸レンズL1AおよびL2Aは、それぞれ、焦点距離f1およびf2のレンズである。平行光である投影光Aが凸レンズL1AおよびL2Aを透過すると、焦点Fで結像が生じる。したがって、2つの凸レンズL1A,L2Aの焦点距離がfcであるとすると、1/fc=1/f1+1/f2-d/f1・f2の関係が成り立つ。なお、この焦点距離fcの算出式は、集光レンズ系CLSが複数の集光レンズを有しているのであれば、いかなる構成を有する集光レンズ系CLSにおいても成立する。
【0045】
図5を用いて、中空立体映像表示装置100の集光レンズ系CLSの変形例2を説明する。
【0046】
変形例2においては、集光レンズ系ILSを複数のフレネルレンズL1B,L2Bのそれぞれの凹凸面は、立体映像SIが表示される焦点F側とは逆側を向いている。変形例2によっても、複数のフレネルレンズL1B,L2Bの直径を大きくし、焦点距離fcを小さくすれば、中空の立体映像SIの視野角αを大きくすることができる。
【0047】
複数のフレネルレンズL1B,L2Bの厚さのそれぞれは、凸レンズに比較して極めて小さいため、d=0であるとする。このとき、集光レンズ系ILSがN個のフレネルレンズのそれぞれの焦点距離f1、f2、・・・、fNがいずれも同一の値であるとすると、1/fc=1N/f1という式が導き出される。したがって、N個のフレネルレンズの焦点距離fc=f1/Nで表される。つまり、複数のフレネルレンズを重ね合わせた場合、焦点距離fcは重ね合わされたフレネルレンズの数に比例して小さくなる。
【0048】
図6および図7を用いて、距離a、距離D、および距離bを説明する。
【0049】
距離aは、回転スクリーン6上に表示される第1の立体映像としての投影画像PRIから誘導光学系CLSまでの距離である。距離Dは、誘導光学系CLSから集光レンズ系ILSまでの距離である。距離bは、集光レンズ系ILSから中空に表示される第2の立体映像SIまでの距離である。なお、投影画像PRIとは、回転している回転スクリーン6に時系列的に投影されている一連の静止画像の集合体を意味するものとする。
【0050】
図6に示されるように、誘導光学系CLSを構成するフレネルレンズL1およびL2、ならびに、集光レンズ系ILSを構成するフレネルレンズL3およびL4がすべて同一の焦点距離を有しているものとする。このとき、距離aは、誘導光学系CLSの焦点距離f3であれば、距離bも、集光レンズ系ILSの焦点距離f3である。図6に示された条件の下では、結像光学系LSのそれぞれのレンズ系が同一の焦点距離を有する複数のフレネルレンズによって構成されている場合、次のことが言える。つまり、図6に示されるように、集光レンズ系ILSと誘導光学系CLSとが対向するようにかつ集光レンズ系ILSの中心軸と誘導光学系CLSの中心軸とが一致するように配置すると、1/f3/2=1/f3+1/f3という式が成立する。
【0051】
図7に示されるように、図6に示される条件の下で、D≒0とすると、焦点距離f3/2の結像光学系LSが形成される。この場合、距離aをf3/2とすると、距離bは無限大∞となるため、図7に示される条件の下では、結像レンズLSは投影画像PRIの立体映像SIを結像させることができない。
【0052】
図8に示される投影画像PRIから誘導光学系CLSまでの距離aと集光レンズ系ILSから立体映像SIまでの距離bとの関係を説明する。
【0053】
図9に示されるように、a>f3/2の条件が成立する場合、立体映像SIの結像点が存在するが、距離aと距離bとの関係は、レンズの公式から非線形(図8参照)であると言える。そのため、距離a、距離b、および距離Dの調整が必要になる。本実施の形態の中空立体映像表示装置100においては、距離a、距離b、および距離Dの関係が、立体映像SIが結像するように設定されているものとする。
【0054】
図9に示されるように、投影画像PRIの位置が結像光学系LSの中心軸OAからずれると、立体映像SIも中心軸OAからずれて表示される。たとえば、図10Aに示される平面格子の図柄の実物PLRT(これは、図9の投影画像PRIに対応する)の反射光は、結像光学系LSを透過した後に結像した後、図10Bに示されるように歪んだ格子の平面映像DLPI(これは、図9の立体映像SIに対応する)として表示される。したがって、この歪んだ格子の平面映像DLPIを補正するために、前述した歪補正部1Cが必要になる。
【0055】
図11図13を用いて、本実施の形態の中空立体映像の歪補正方法を説明する。
【0056】
本実施の形態の中空立体映像の歪補正方法においては、平面映像座標変換データ生成装置500が用いられる。平面映像座標変換データ生成装置500は、歪補正データ作成プログラムによって動作するコンピュータである。歪補正データ作成プログラムが実行する処理については後述される。
【0057】
本実施の形態の中空立体映像の歪補正方法においては、まず、前述した中空に立体映像SIを表示する中空立体映像表示装置100を準備する。次に、図11および図12に示されるように、複数の格子点の立体映像LSIが表示される中空に複数の格子点の実物LRTを有する立体格子構造Mを配置する。
【0058】
なお、本明細書においては、格子点とは、格子を構成する縦軸と横軸との交点を意味するものとする。また、図11および図12においては、図面を見易くするため、格子点の立体映像LSIを×印で描き、格子点の実物LRTを●で描いているが、実際には、同一の形状を有しているものとする。
【0059】
その後、図11に示されるように、平面映像座標変換データ生成装置500は、格子点の実物LRTに対応する複数の格子点の平面映像LPIを用いて中空立体映像表示装置100に格子点の立体映像LSIを中空に表示させる。ただし、作業員が中空立体映像表示装置100の操作部を操作することによって、格子点の実物LRTに対応する複数の格子点の平面映像LPIを用いて中空立体映像表示装置100に格子点の立体映像LSIを中空に表示させてもよい。このとき、格子点の実物LRT、格子点の平面映像LPI、および格子点の立体映像LSIのそれぞれは、互いの対応関係を識別可能な色を有している。
【0060】
次に、平面映像座標変換データ生成装置500は、複数の撮影装置CA1,CA2に格子点の実物LSIおよび格子点の立体映像LSIを撮影させる。ただし、作業員が複数の撮影装置CA1,CA2を操作することによって、複数の撮影装置CA1,CA2に格子点の実物LSIおよび格子点の立体映像LSIを撮影させてもよい。複数の撮影装置CA1,CA2のそれぞれは、撮影された格子点の実物LSIおよび撮影された格子点の立体映像LSIの画像を平面映像座標変換データ生成装置500へ送信する。
【0061】
さらに、平面映像座標変換データ生成装置500は、複数の撮影装置CA1,CA2によって撮影された格子点の実物LPTの複数の撮影画像を用いて格子点の実物LRTの座標を特定する。また、平面映像座標変換データ生成装置500は、複数の撮影装置CA1,CA2によって撮影された格子点の立体映像LSIの複数の画像を用いて格子点の立体映像LSIの座標を特定する。本実施の形態においては、光軸が異なる複数の撮影装置CA1,CA2を用いる。そのため、2つの撮影装置CA1,CA2の両方において、格子点の実物LRTと格子点の立体映像LSIとの座標が一致していれば、実空間において格子点の実物LRTと格子点の立体映像LSIとの空間座標が一致していること分かる。
【0062】
その後、平面映像座標変換データ生成装置500は、撮影された格子点の実物LRTと撮影された格子点の立体映像LSIとの間の座標の差を算出する。このとき、まず、平面映像座標変換データ生成装置500は、撮影された格子点の実物LRTの色と撮影された格子点の立体映像LSIの色とを用いて、格子点の実物LRTと格子点の立体映像LSIとの対応関係の有無を識別する。
【0063】
前述の格子点の実物LRTと格子点の立体映像LSIとの対応関係は、1対1の関係である。たとえば、格子点の実物LRTと格子点の立体映像LSIとは、同じ色を有していれば、1対1の対応関係を有するものとする。ただし、格子点の実物LRTと格子点の立体映像LSIとは、予め定められた色の組合せであれば、対応関係を有すると識別されてもよい。複数の格子点の実物LRTと複数の格子点の立体映像LSIとの1対1の対応関係の有無を識別できるのであれば、いかなる方法が用いられてよい。このように、2つの色によって格子点の実物RLTと格子点の立体映像LSIとの対応関係の有無の識別を行うため、格子点の実物RLTと格子点の立体映像LSIとの対応関係の有無の識別を正確に行うことができる。
【0064】
その後、平面映像座標変換データ生成装置500は、格子点の実物LRTと格子点の実物LRTと対応関係を有していると識別された格子点の立体映像LSIとの間の座標の差を算出する。
【0065】
次に、平面映像座標変換データ生成装置500は、互いに対応関係を有する格子点の実物LRTと格子点の立体映像LSIとの座標の差がゼロに近づくように、格子点の平面映像LPIの座標を変換する平面映像座標変換データCDを生成する。また、平面映像座標変換データ生成装置500は、複数の格子点の平面映像LSIの座標のうちの隣接する2つの格子点の平面映像LPIの座標同士の間の中間座標に対応する平面映像座標変換データCDを補間によって生成する。
【0066】
図13に示されるように、平面映像座標変換データ生成装置500は、平面映像座標変換データCDを中空立体映像表示装置100のデータテーブル1Tに記憶させる。新たな実物の立体映像SIを中空に表示する場合には、まず、制御部1は、撮影装置200によって撮影された平面映像PIが入力部1Nを経由して記憶部1Mに記憶させる。
【0067】
次に、制御部1は、歪補正部1Cにおいて、データテーブル1Tに記憶された平面映像座標変換データCDを用いて、撮影装置200によって撮影された新たな実物の平面映像PIの座標変換を実行し、座標変換後の平面映像CPIを生成する。次に、制御部1は、座標変換後の平面映像CPIを含む映像信号CSを、出力部1OUTから投影システム2へ送信する。それにより、投影システム2が投影光Aを発することにより、中空立体映像表示装置100は、立体映像SIを中空に表示する。
【0068】
図14を用いて、平面映像座標変換データ生成装置500が平面映像座標変換データを生成する方法をより具体的に説明する。平面映像座標変換データ生成装置500は、実施の形態においては、中空立体映像の歪補正データ作成プログラムがインストールされたパーソナルコンピュータであるものとする。しかしながら、平面映像座標変換データ生成装置500は、中空立体映像の歪補正データ作成プログラムにおける各ステップを実行することができるコンピュータであれば、いかなる装置であってもよい。補正データ作成プログラムは、コンピュータ読み取り可能なものである。平面映像座標変換データ生成装置500は、コンピュータとして機能し、その内部にインストールされた歪補正データ作成プログラムによって、次の各ステップを実行する。
【0069】
まず、ステップS1において、平面映像座標変換データ生成装置500は、外部装置(図示せず)から、中空に表示される複数の格子点の平面映像LPIのデータを読み込む。次に、ステップS2において、平面映像座標変換データ生成装置500は、複数の格子点の平面映像LPIのデータから複数の格子点の座標データを読み出す。
【0070】
ステップS3において、平面映像座標変換データ生成装置500は、中空立体映像表示装置100に複数の格子点の平面映像LPIのデータに対応する格子点の立体映像LSIを中空に表示させる。その後、ステップS4において、複数の撮影装置CA1,CA2のそれぞれに複数の格子点の実物LRTと複数の格子点の立体映像LSIとを撮影させる。
【0071】
次に、ステップS5において、平面映像座標変換データ生成装置500は、複数の撮影装置CA1,CA2によって撮影された画像の色に基づいて、複数の格子点の実物LRTと複数の格子点の立体映像LSIとの対応関係を識別する。
【0072】
その後、ステップS6において、平面映像座標変換データ生成装置500は、複数の格子点の立体映像LSIの座標のそれぞれと、複数の格子点の実物LRTの座標のうちの対応する格子点の実物LRTの座標との差がゼロであるか否かを判定する。複数の格子点の立体映像LSIおよび複数の格子点の実物LRTのそれぞれは、複数の撮影装置CA1,CA2によって撮影されたものである。
【0073】
ステップS6において、複数の格子点の立体映像LSIの座標のそれぞれと、複数の格子点の実物LRTの座標のうちの対応する格子点の実物LRTの座標との差のすべてがゼロであると判定される場合がある。この場合には、平面映像座標変換データ生成装置500は、ステップS8の処理を実行する。
【0074】
一方、ステップS6において、複数の格子点の立体映像LSIのそれぞれについて、いずれか1つの座標の差がゼロでないと判定される場合がある。この場合には、ステップS7において、全ての座標の差がゼロになるように、格子点の平面映像LPIのいずれか1つの格子点の座標データを修正することによって格子点の立体映像LSIのいずれか1つ格子点の位置を変更する。このとき、格子点の実物LRTの座標と格子点の立体映像LSIの座標とが一致するまで、修正する必要がある格子点の平面映像LPIの格子点の座標データを徐々に修正することにより、格子点の立体映像LSIの座標を徐々に変更する。その後、格子点の実物LRTと格子点の映像LSIとの全ての座標が一致すれれば、ステップS8において、格子点の立体映像LSIのそれぞれについて、修正された格子点の立体映像LSIの座標に対応する修正された格子点の平面映像LPIの座標データと、修正される前の格子点の平面映像LPIの座標データとを対応させて保存する。
【0075】
次に、ステップS9において、平面映像座標変換データ生成装置500は、複数の格子点の平面映像LPIの座標データを、修正された複数の格子点の平面映像LPIの座標へ変換する平面映像座標変換データCDをデータテーブルの形式で生成する。
【0076】
その後、ステップS10において、平面映像座標変換データ生成装置500は、格子点の平面映像LPIにおける格子点同士の間の平面映像座標変換データCDを補間によって生成する。ステップS11において、平面映像座標変換データ生成装置500は、全ての平面映像座標変換データCDをデータテーブルの形式で記憶する。
【0077】
その後、平面映像座標変換データ生成装置500は、ステップS11で生成されたすべての平面映像座標変換データCDを中空立体映像表示装置100の制御部1のデータテーブル1Tに記憶させる。それにより、中空立体映像表示装置100の制御部1の歪補正部1Cは、データテーブル1Tに記憶された平面映像座標変換データCDを用いて、平面映像PIの座標変換によって立体映像SIの歪補正を実行することが可能になる。
【0078】
図15および図16に示されるように、本実施の形態の中空立体映像表示装置100によれば、中空立体映像表示装置100から立体映像SIまでの距離bを変更するように結像光学系LSを変更すれば、立体映像SIの視野角αを変更することができる。なお、図15および図16においては、複数の人の目Eの位置が描かれており、複数の目Eの位置の範囲によって視野角αに広さが表現されている。本実施の形態の中空立体映像表示装置100によれば、立体映像SIは、図15に示される距離bが相対的に大きいことに起因して視野角αが相対的に小さい状態、または、図16に示される距離bが相対的に小さいことに起因して視野角αが相対的に大きい状態のいずれにもなり得る。
【0079】
図17および図18に示されるように、中空立体映像表示システム1000は、複数の中空立体映像表示装置100を備えている。図17および図18に示される複数の中空立体映像表示装置100のそれぞれは、同一の立体映像SIを中空の同一の位置に表示するように配置されている。本実施の形態においては、同一の立体映像SIを中空の同一の位置に表示することは、同一の大きさおよび同一の立体形状を有する立体映像SIを同一の姿勢で表示することを意味する。つまり、本実施の形態のち中空立体映像表示装置100は、立体的に異なる範囲の視野角αを有する2以上の同一の立体映像SIを重ねて中空に表示することにより、視野角αを立体的に広げている。
【0080】
図17に示される中空立体映像表示システム1000は、1つの中空立体映像表示装置100の結像光学系LSの中心軸V1と他の1つの中空立体映像表示装置100の結像光学系LSの中心軸中心軸V2とが互いに直交している。図18に示される中空立体映像表示システム1000は、3つの中空立体映像表示装置100の3つの結像光学系LSの3つの中心軸VA1,VA2,VA3のうちのいずれか2つの中心軸が互いに直交している。
【0081】
図17に示される中空立体映像表示システム1000によれば、ある1つの中心軸V1およびV2の双方に直交する仮想軸VAまわりの視野角αを大きくすることができる。また、図18に示される中空立体映像表示システム1000によれば、直交する3つの中心軸VA1,VA2,VA3のそれぞれまわりの視野角αを大きくすることができる、すなわち、立体的に視野角αを大きくすることができる。
【0082】
(本実施の形態2)
図19を用いて実施の形態2の中空立体映像表示装置100を説明する。本実施の形態の中空立体映像表示装置100は、実施の形態1の中空立体映像表示装置100とほぼ同様である。したがって、以下、本実施の形態の中空立体映像表示装置100と実施の形態1の中空立体映像表示装置100との相違点を主として説明する。
【0083】
図19に示されるように、本実施の形態の中空立体映像表示装置100は、誘導光学系CLSと集光レンズ系ILSとの間の距離D1を調整する距離調整機構7をさらに備えている点において、実施の形態1の中空立体映像表示装置100と異なる。なお、本実施の形態においては、距離D1は、たとえば、レンズL1の下面とレンズL3の上面との間の距離である。距離D1は、移動機構7に設けられた距離センサSによって測定され、距離D1を示す信号が距離センサSから制御部1へ送信される。本実施の形態においては、距離調整機構7は、誘導光学系CLSまたは集光レンズ系ILSのうちの少なくともいずれか一方をスライドさせるスライド機構である。
【0084】
なお、距離調整機構7は、スライド機構でなくとも、誘導光学系CLSと集光レンズ系ILSとの間の距離D1の増減を調整することができれば、いかなるものであってもよい。また、距離D1が変化すると、立体映像SIが歪むことも起こり得るため、歪補正部1Cが、誘導光学系CLSと集光レンズ系ILSとの間の距離D1をパラメータとして立体映像SIの歪を補正する機能を有していてもよい。つまり、制御部1は、距離センサSから受信した距離D1の値に基づいて、立体映像SIの歪を補正してもよい。ただし、制御部1は、たとえば、ユーザによって距離調整機構7に入力される距離D1の値を用いて、立体映像SIの歪を補正してもよい。
【0085】
本実施の形態の中空立体映像表示装置100によれば、距離調整機構7により、誘導光学系CLSの位置を固定した状態で、誘導光学系CLSと集光レンズ系ILSとの間の距離を大きくしたり、小さくしたりすることができる。それにより、立体映像SIが表示される位置を誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSの中心軸に沿って移動させることができる。なお、この場合、誘導光学系CLSと集光レンズ系ILSとの間においては、投影光Aは平行光Aであることが好ましい。
【0086】
(本実施の形態3)
図20を用いて実施の形態3の中空立体映像表示装置100を説明する。本実施の形態の中空立体映像表示装置100は、実施の形態1の中空立体映像表示装置100とほぼ同様である。したがって、以下、本実施の形態の中空立体映像表示装置100と実施の形態1の中空立体映像表示装置100との相違点を主として説明する。
【0087】
図20に示されるように、誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSを支持する円筒状の筐体10を備えている。本実施の形態の中空立体映像表示装置100は、誘導光学系CLSと集光レンズ系ILSとの間に、マスク部Mおよびスリット部Sを含む透明円板状部材MSを備えている。マスク部Mは、光を透過しない。スリット部Sは、外部から回転スクリーン6への光の進入を防ぎながら、誘導光学系CLSによって生成された誘導光学系CLSおよび集光レンズ系ILSの中心軸に平行に進行する投影光Aのみを透過させる。
【0088】
本実施の形態においては、回転スクリーン6は、回転しながら投影光Aを反射する反射型回転スクリーン6Bを含んでいる。反射型回転スクリーン6Bは、平板状をなしている。
【0089】
本実施の形態においては、投影システム2は、平板状の反射型回転スクリーン6の回転軸に垂直な方向から反射型回転スクリーン6Bの主表面に垂直に投影光Aが照射される。反射型回転スクリーン6Bで反射された投影光Aは、誘導光学系CLSにより平行光にされ、透明円板状部材MSを透過した後、集光レンズ系ILSによって集光される。その結果、中空に立体映像SIが表示される。
【0090】
上記のような本実施の形態の中空立体映像表示装置100によっても、視野角αが広い立体映像SIを中空に表示することができる。
【0091】
なお、反射型回転スクリーン6Bの代わりに、平板状の透過型スクリーンが用いられてもよい。
【0092】
次に、図21を用いて、本実施の形態の変形例1の中空立体映像表示装置100を説明する。
【0093】
本実施の形態の変形例1の中空立体映像表示装置100においては、投影システム2は、複数のプロジェクタ2B,2Cを含んでいる。複数のプロジェクタ2B,2Cは、それぞれ、互いに異なる位置から回転スクリーン6へ投影光Aを発する。プロジェクタ2Bが発する投影光Aの進行方向とプロジェクタ2Cが発する投影光Aの進行方向とは、本実施の形態においては、平面視において互いに90度だけ異なっている。しかしながら、立体映像SIを所望の状態で表示することができるのであれば、プロジェクタ2Bが発する投影光Aの進行方向とプロジェクタ2Cが発する投影光Aの進行方向とは、平面視においていかなる角度異なっていてもよい。
【0094】
変形例1によれば、複数のプロジェクタ2B,2Cのそれぞれは、平板状の反射型回転スクリーン6Bの回転角度に応じて、平面映像PIを含む投影光Aを平板状の反射型回転スクリーン6Bへ照射する。それにより、同一の立体映像SIが同一の姿勢および大きさで中空に表示される。この場合、プロジェクタが1つである場合、平板状の反射型回転スクリーン6Bの両主表面のそれぞれが、プロジェクタの投影光Aの進行方向に対して平行であるタイミングにおいては、立体映像SIが表示されない。しかしながら、変形例1によれば、平板状の反射型回転スクリーン6Bの両主表面のそれぞれが、プロジェクタ2Bの投影光Aの進行方向に対して平行であっても、プロジェクタ2Cの投影光Aの進行方向に対しては垂直である。したがって、立体映像SIが表示されなくなるタイミングが発生する不具合を抑制することができる。また、1つのプロジェクタを用いる場合に比較して、2つのプロジェクタを用いれば、立体映像SIの輝度を増加させることができる。
【0095】
次に、図22を用いて、本実施の形態の変形例2の中空立体映像表示装置100を説明する。
【0096】
図22に示されるように、投影システム2は、複数のプロジェクタ2B,2C,2Dを含んでいる。複数のプロジェクタ2B,2C,2Dは、それぞれ、互いに異なる位置から平板状の反射型回転スクリーン6Bへ投影光Aを発する。プロジェクタ2B,2C,2Dが発する投影光Aの進行方向は、平面視において互いに120度ずつ異なっている。
【0097】
変形例2の中空立体映像表示装置100によれば、複数のプロジェクタ2B,2C,2Dのそれぞれは、平板状の反射型回転スクリーン6Bの回転角度に応じて、同一の平面映像PIを含む投影光Aを平板状の反射型回転スクリーン6Bへ照射する。したがって、変形例2の中空立体映像表示装置100によれば、立体映像SIが表示されなくなるタイミングが発生することをより確実に抑制することができる。また、2つのプロジェクタを用いる場合に比較して、3つのプロジェクタを用いれば、立体映像SIの輝度をさらに増加させることができる。
【0098】
次に、図23および図24を用いて、本実施の形態の変形例3および変形例4の中空立体映像表示装置100を説明する。
【0099】
変形例3の中空立体映像表示装置100および変形例4の中空立体映像表示装置100は、それぞれ、反射型スクリーン6Cの形状が上記した変形例1の中空立体映像表示装置100および変形例2の中空立体映像表示装置100と異なっている。反射型回転スクリーン6Cは、平面視において、回転中心軸Cから互いに120度ずつ異なる方向に延びる3つの平板部を有している。1枚の平板の反射型スクリーン6Bを用いる場合に比較して、3つの平板部を有する反射型回転スクリーン6Cを用いれば、立体映像SIの輝度を増加させることができる。なお、変形例4の中空立体映像表示装置100は、プロジェクタ2B,2C,2Dのそれぞれ発する投影光Aの進行方向が120度ずつずれている点において、プロジェクタ2B,2Cのそれぞれ発する投影光Aの進行方向が90度ずれている変形例3の中空立体映像表示装置100と異なっている。
【0100】
なお、本実施の形態の中空立体映像表示装置100においても、実施の形態2の距離調整機構7(スライド機構等)が設けられていてもよい。
【0101】
(実施の形態4)
図25を用いて実施の形態4の中空立体映像表示装置100を説明する。本実施の形態の中空立体映像表示装置100は、実施の形態1の中空立体映像表示装置100とほぼ同様である。したがって、以下、本実施の形態の中空立体映像表示装置100と実施の形態1の中空立体映像表示装置100との相違点を主として説明する。
【0102】
図25に示されるように、本実施の形態の中空立体映像表示装置100は、回転スクリーン6が反射型の螺旋状回転スクリーン6Dを含んでいる点が実施の形態1の中空立体映像表示装置100と異なる。また、反射型の螺旋状回転スクリーン6Dがアクチュエータ3の回転軸に直接接続されており、アクチュエータ3の回転軸は、透明板TLと反射型の螺旋状回転スクリーン6Dとを回転させる。
【0103】
凹面鏡CMは、凹面鏡CMの中心に貫通孔THを有している。投影システム2を構成する1つのプロジェクタ2Aは、投影光Aが貫通孔THから反射型の螺旋状回転スクリーン6Dへ向かう方向に進むように配置されている。
【0104】
透明板TLの回転角度を特定可能な回転信号RSが透明板TLに設置されたセンサ(図示せず)またはアクチュエータ3から制御部1へ送信される。また、本実施の形態の中空立体映像表示装置100は、誘導光学系CLSが凹面鏡CMを含んでいる。
凹面鏡CMと集光レンズ系ILSとは、互いの中心軸が一致するように配置されている。
【0105】
本実施の形態においては、凹面鏡CMは、放物線を中心軸まわりに回転させた放物面の反射面を有している。しかしながら、凹面鏡CMは、立体映像SIを表示することができるのであれば、他の凹面形状を有するものであってもよい。凹面鏡CMは、螺旋状回転スクリーン6Dで反射した投影光Aを平行光線にして、透明ガラス回転板TLを透過させた後、集光レンズ系ILSへ導く。
【0106】
本実施の形態の中空立体映像表示装置100によっても、視野角αが広い立体映像SIを中空に表示することができる。
【0107】
なお、本実施の形態の中空立体映像表示装置100においても、実施の形態2において説明された距離調整機構7(スライド機構等)と同様のものが設けられていてもよい。本実施の形態の距離調整機構7(スライド機構等)は、誘導光学系ICSIとしての凹面鏡CMと集光レンズILSとの間の距離を調整する。
【符号の説明】
【0108】
1 制御部
1C 歪補正部
1M 記憶部
2 投影システム
2A,2B,2C プロジェクタ
6 回転スクリーン
6A 透過型の螺旋状回転スクリーン
6B 反射型回転スクリーン
6C 反射型螺旋状回転スクリーン
6D 螺旋状回転スクリーン
100 中空立体映像表示装置
1000 中空立体映像表示システム
CA1,CA2 撮影装置
CD 平面座標変換データ
CLS 誘導光学系
ILS 集光レンズ系
L1,L2,L3,L4 フレネルレンズ
LSI 格子点の立体映像
LRT 格子点の実物
M 立体格子構造
PI 平面映像
SI 立体映像(第2の立体映像)
図1
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図10A
図10B
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