(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161369
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】タッチ式操作装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221014BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20221014BHJP
H01H 19/00 20060101ALI20221014BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G06F3/041 420
H01H36/00 J
H01H19/00 Y
G06F3/041 560
G06F3/03 400F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066121
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 裕司
【テーマコード(参考)】
5G046
5G219
【Fターム(参考)】
5G046AA02
5G046AB02
5G046AC25
5G046AD02
5G046AD22
5G046AE13
5G219HT10
5G219KS07
5G219KY02
5G219KY26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ノブでの操作と、ノブ以外の部位での操作の双方を、適切な感度で検出するタッチ式操作装置を提供する。
【解決手段】画像を表示する表示パネル4と、表示パネル4の前面に配置され、タッチ操作を検出する静電容量式のタッチセンサ5と、タッチセンサ5の前面に配置される保護パネル7と、を備えるタッチ式操作装置1であって、保護パネルから突出する円筒状又は円柱状のノブ71と、平面内にアレイ状に配置される複数の電極を有し、複数の電極は、保護パネル7に垂直な方向に視てノブに重なる第1電極と、保護パネル7に垂直な方向に視てノブ71に重ならず、第1電極よりもサイズが小さい第2電極とを含むタッチセンサ5を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの前面に配置され、タッチ操作を検出する静電容量式のタッチセンサと、
前記タッチセンサの前面に配置される保護パネルと、を備えるタッチ式操作装置であって、
前記保護パネルから突出する円筒状又は円柱状のノブと、
前記タッチセンサは、平面内にアレイ状に配置される複数の電極を有し、
前記複数の電極は、
前記保護パネルに垂直な方向に視て前記ノブに重なる第1電極と、
前記保護パネルに垂直な方向に視て前記ノブに重ならず、前記第1電極よりもサイズが小さい第2電極とを含む、タッチ式操作装置。
【請求項2】
前記第1電極に係る静電容量変化値に基づいて、前記ノブに係る第1入力信号を発生し、かつ、前記第2電極に係る静電容量変化値に基づいて、前記第1入力信号とは異なる第2入力信号を発生する処理装置を、更に備える、請求項1に記載のタッチ式操作装置。
【請求項3】
前記処理装置は、前記第1電極に係る静電容量変化値が第1閾値を超えた場合に、前記第1入力信号を発生し、かつ、前記第2電極に係る静電容量変化値が第2閾値を超えた場合に、前記第1入力信号を発生し、
前記第1閾値と前記第2閾値とは、共通の同じ値である、請求項2に記載のタッチ式操作装置。
【請求項4】
前記第1入力信号は、前記ノブに係る回転操作に応じた処理を前記処理装置に実行させ、
前記第2入力信号は、前記保護パネルにおける前記ノブが配置されていない平面領域におけるタッチ操作又はスワイプ操作に応じた処理を前記処理装置に実行させる、請求項2又は3に記載のタッチ式操作装置。
【請求項5】
前記ノブに設けられる複数の線状導電材を更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のタッチ式操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチ式操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電容量型のタッチパネルと、回転軸を中心としてタッチパネルに対して回転自在に設けられたノブと、ノブに保持され、回転軸を中心とした円周上の一部でタッチパネルに対向している第1導体と、を備えたセンサ装置が記載されている。このようなセンサ装置によれば、ノブの回転操作をタッチパネルで検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のセンサ装置では、ノブの回転操作と、それ以外の部位での操作の双方を適切な感度で検出することが難しい。
【0005】
そこで、本開示は、ノブでの操作と、ノブ以外の部位での操作の双方を、適切な感度で検出可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの前面に配置され、タッチ操作を検出する静電容量式のタッチセンサと、
前記タッチセンサの前面に配置される保護パネルと、を備えるタッチ式操作装置であって、
前記保護パネルから突出する円筒状又は円柱状のノブと、
前記タッチセンサは、平面内にアレイ状に配置される複数の電極を有し、
前記複数の電極は、
前記保護パネルに垂直な方向に視て前記ノブに重なる第1電極と、
前記保護パネルに垂直な方向に視て前記ノブに重ならず、前記第1電極よりもサイズが小さい第2電極とを含む、タッチ式操作装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ノブでの操作と、ノブ以外の部位での操作の双方を、適切な感度で検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1に係るタッチ式操作装置の概略構成を示す正面図である。
【
図3】
図1のタッチ式操作装置のノブ及び線状導電材を示す斜視図であり、(a)は線状導電材をノブの中心線と平行に配置した例を示す斜視図、(b)は線状導電材をノブの中心線に対して傾けて配置した例を示す斜視図である。
【
図4】
図2のB-B断面図であり、(a)は線状導電材をノブの外周面に配置した例を示す断面図、(b)は線状導電材をノブの内部に配置した例を示す断面図、(c)は線状導電材をノブの内周面に配置した例を示す断面図である。
【
図5】ノブの先端面まで線状導電材を配置した例を示すノブの垂直断面図である。
【
図6】タッチセンサのタッチ操作検出領域と線状導電材の位置関係を示す図であり、(a)は好ましい位置関係を示す図、(b)は好ましくない位置関係を示す図である。
【
図7】変形例のタッチ式操作装置を示す図であり、(a)は変形例のタッチ式操作装置の断面図、(b)は変形例のタッチ式操作装置の分解斜視図である。
【
図8】本実施例のタッチセンサを模式的に示す平面図である。
【
図9】本実施例によるタッチ式操作装置の処理装置を説明する概略図である。
【
図10】本実施例による操作有効性判定部における判定方法の一例を示す説明図である。
【
図11】比較例による判定方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0010】
[実施例1]
図1は、実施例1に係るタッチ式操作装置1の概略構成を示す正面図であり、
図2は、
図1のA-A断面図である。
【0011】
図1及び
図2に示す本実施例のタッチ式操作装置1は、車載空気調和装置の操作パネルを構成しており、車載空気調和装置の各種の設定状態(設定温度など)を表示しつつ、タッチ操作やスワイプ操作によるユーザの設定変更操作を受け付ける。
【0012】
図1及び
図2に示すように、タッチ式操作装置1は、ケース2と、基板3と、表示パネル4と、タッチセンサ5と、粘着シート6と、保護パネル7と、操作有効性判定部8と、を備える。
【0013】
ケース2は、例えば、ポリプロピレン(PP)などの樹脂材からなる樹脂成形品であり、基板3、表示パネル4などを覆うように保持するとともに、基板3、表示パネル4などを外的衝撃や塵埃などから保護する。タッチ式操作装置1の駆動時には、基板3などから熱を発生するため、ケース2は、その熱を逃がすような貫通穴を備えることができる。また、基板3にスピーカが搭載される場合、ケース2は、その音を遮らないような貫通穴を備えることができる。
【0014】
基板3は、例えば、エポキシ系樹脂からなる平板樹脂であり、あらかじめ決められた電気回路に基づき銅箔パターンが配設され、タッチ式操作装置1を動作させるためのマイコンや照明用LEDなどが実装される。また、基板3は、ガラス繊維を織り交ぜて、温度、振動に対して信頼性を向上させたものや、銅箔パターンを両面又は階層構造にして回路パターンの省スペース化を図ったものでもよい。
【0015】
表示パネル4は、略矩形の表示領域が設けられた表示素子と、表示素子に照明光を導くための光学シート、導光体、光源などからなる照明手段と、表示素子や照明手段を保持するケースと、これらを前面から覆うように固定配置する金属製のベゼルと、表示素子や光源に接続されたフレキシブル配線板9(FPC)と、を備える。
【0016】
表示素子は、例えば、複数個の画素を有するドットマトリックスタイプのTFT型のLCD表示パネル(液晶パネル)からなる。表示素子は、フレキシブル配線板9を介して、基板3と電気的に接続され、車両のECUなどから取得した各種情報に基づいて、所定情報を画像にて表示領域に表示する。また、表示素子は、OLED表示パネル(有機ELパネルなどであってもよい。
【0017】
タッチセンサ5は、無機ガラス、又はPETなどのプラスチックシートに、透明電極をパターニングして構成されるものである。タッチセンサ5は、
図6に示すように、マトリックス状(アレイ状)に配列された多数の電極51を有しており、これらの電極51は、ユーザが保護パネル7上をタッチ操作したり、スワイプ操作したりすると、これらの操作に応じた静電容量の変化を検出し、ユーザの操作位置を特定可能とする。
【0018】
粘着シート6は、例えば、無色透明なシート状の粘着物であるOCAであり、タッチセンサ5と保護パネル7を隙間なく接合する。粘着シート6は、20μm~200μm程度の厚みのものが好ましい。
【0019】
保護パネル7は、透明基材(例えば、PCやPMMAなど)からなる平面、又は曲面を有する板状の部材であり、ケース2の前面開口部21を覆うことで、タッチ式操作装置1の内部に設けられる部材を衝撃や塵埃などから保護する。保護パネル7の裏面は、粘着シート6を介してタッチセンサ5が一体的に固着されており、タッチセンサ5は、ユーザによる保護パネル7の表面操作(タッチ操作やスワイプ操作)を検出する。なお、保護パネル7の裏面に表示パネル4を縁取るような印刷部を施し、印刷部の内側に表示パネル4の表示内容が表示されるようにしてもよい。
【0020】
図1~
図3に示すように、保護パネル7は、保護パネル7の前面から突出する円筒状又は円柱状のノブ71と、ノブ71に設けられる複数の線状導電材72と、を備える。本実施例のノブ71は、保護パネル7と同一部品で形成されており、保護パネル7に対して回転不能である。ノブ71の操作方法としては、ユーザが複数の指で外周部を摘み、周方向(回転方向)に指を滑らせる操作(以下、適宜、疑似回転操作と称する場合がある。)を想定している。なお、ノブ71の外周部に周方向に回転可能なリングを設け、このリングを回転操作するようにしてもよい。
【0021】
複数の線状導電材72は、ノブ71よりも導電率の高い高導電率材(例えば、金属、金属粉を含むゴム、樹脂、インキ塗料など)を用いて形成されており、
図2~
図4に示すように、保護パネル7の前面又はその近傍からノブ71の突出方向に延在し、かつノブ71の側面部において周方向に並列している。複数の線状導電材72の向きは、
図3の(a)に示すように、垂直方向でもよいし、
図3の(b)に示すように、斜め方向であってもよい。また、複数の線状導電材72は、
図4の(a)に示すように、ノブ71の外周面に設けてもよいし、
図4の(b)に示すように、ノブ71の内部に設けてもよいし、
図4の(c)に示すように、円筒形状を有するノブ71の内周面に設けてもよい。
【0022】
このようなノブ71によれば、側面部に複数の線状導電材72をストライプ状に備えるので、ユーザが指でノブ71の外周部を摘むと、ユーザの指が接触した位置に対応する線状導電材72を介してタッチセンサ5が静電容量変化値を検出し、ユーザの指が接触した位置に対応するタッチセンサ5上の位置を特定することが可能になる。また、ユーザがノブ71を擬似回転操作すると、タッチセンサ5上の検出位置がノブ71の外周に沿って移動するので、ユーザによるノブ71の疑似回転操作及び疑似回転操作方向を検出することが可能になる。
【0023】
また、複数の線状導電材72は、ユーザが指でノブ71の外周部を摘んだとき、複数の線状導電材72に接触又は近接するように線状導電材72の並列ピッチが設定されている。これにより、タッチセンサ5にてバラツキの少ない静電容量変化値を得ることが可能となり、操作有効性判定部8における誤判定を抑制できる。
【0024】
図5に示すように、複数の線状導電材72は、ノブ71の側面部から先端面部まで延在するように配置してもよい。このようにすると、ノブ71の先端面のタッチ操作やスワイプ操作もタッチセンサ5にて検出することが可能になる。例えば、ノブ71の先端面を1本の指で触り、先端面の周縁部に沿って指を滑らせれば、複数の指でノブ71の外周部を摘まなくても擬似回転操作を行うことが可能になる。
【0025】
図6の(a)に示すように、線状導電材72の端部のうち、保護パネル7の前面に近い側の端部は、前面視において、タッチセンサ5の複数の電極51を跨がないように配置されることが好ましい。その理由は、
図6の(b)に示すように、タッチセンサ5の複数の電極51を跨ぐように配置すると、1本の線状導電材72に対するタッチ操作がタッチセンサ5上の複数の電極51で検出され、分解能が低下するからである。
【0026】
なお、本実施例のノブ71は、保護パネル7に同一部品として形成されるが、
図7の(a)及び(b)に示すように、ノブ71を保護パネル7と別部品とし、両面粘着テープ73を介して、保護パネル7にノブ71を固定するようにしてもよい。なお、両面粘着テープ73は、導電性を有してもよい。
【0027】
操作有効性判定部8は、例えば、タッチセンサ用のドライバICであり、タッチセンサ5で得られた静電容量変化値に対して、あらかじめ決められた閾値をもとに、タッチ操作やスワイプ操作の有効性を判定する。有効と判定された操作については、タッチセンサ5上の操作座標信号(第1入力信号、第2入力信号の一例)を基板3に出力する。
【0028】
基板3は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される機能構成として、操作種別判定部8Bを備える。操作種別判定部8Bは、操作有効性判定部8から入力されるタッチセンサ5上の操作座標信号(第1入力信号、第2入力信号の一例)に基づいて、タッチセンサ5上での操作種別を判定する。例えば、タッチセンサ5上の操作座標が、ノブ71の投影範囲から外れている場合は、ノブ71以外の操作領域のタッチ操作又はスワイプ操作であると判定し、その操作座標信号(第2入力信号の一例)に応じた処理、すなわちその操作種別に応じた処理を行う。また、タッチセンサ5上の操作座標が、ノブ71の外周部投影範囲であり、かつ操作座標がノブ71の外周部投影範囲に沿って時計回り方向に移動している場合は、ノブ71の時計回り方向の疑似回転操作であると判定し、操作座標信号(第1入力信号の一例)に応じた処理、すなわちその操作種別に応じた処理(例えば、空気調和装置の設定温度上げ処理)を行う。また、タッチセンサ5上の操作座標が、ノブ71の外周部投影範囲であり、かつ操作座標がノブ71の外周部投影範囲に沿って反時計回り方向に移動している場合は、ノブ71の反時計回り方向の疑似回転操作であると判定し、操作座標信号(第1入力信号の一例)に応じた処理、すなわちその操作種別に応じた処理(例えば、空気調和装置の設定温度下げ処理)を行う。
【0029】
以上のように構成された本実施例によれば、画像を表示する表示パネル4と、表示パネル4の前面に配置され、タッチ操作を検出する静電容量式のタッチセンサ5と、タッチセンサ5の前面に配置される保護パネル7と、を備えるタッチ式操作装置1であって、保護パネル7から突出する円筒状又は円柱状のノブ71と、ノブ71に設けられる複数の線状導電材72と、を更に備え、複数の線状導電材72は、保護パネル7の前面又はその近傍からノブ71の突出方向に延在し、かつノブ71の側面部において周方向に並列するので、ユーザが複数の指でノブ71の外周部を摘み、周方向に指を滑らせる疑似回転操作をタッチセンサ5で検出することができる。その結果、ノブ71が回転しなくても、ノブ71の回し操作を検出できるタッチ式操作装置1の提供が可能となる。
【0030】
また、ノブ71は、保護パネル7に対して回転不能に設けられるので、ノブ71を回転可能に設ける場合に比べて、構造を簡略化してコストを低減できるだけでなく、耐久性の向上が図れる。
【0031】
また、タッチセンサ5は、マトリックス状に配列された多数の電極51を備え、線状導電材72の保護パネル7側の端部は、前面視において複数の電極51を跨がないように配置されるので、ノブ71の疑似回転操作を高精度に検出できる。
【0032】
また、線状導電材72は、ノブ71の側面部から先端面部まで延在するようにしてもよく、この場合には、ノブ71の先端面を1本の指で触り、先端面の周縁部に沿って指を滑らせれば、複数の指でノブ71の外周部を摘まなくても擬似回転操作を行うことが可能になる。
【0033】
[実施例2]
次に、
図8以降を参照して、実施例2によるタッチ式操作装置について説明する。以下では、上述した実施例と同じであってよい構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0034】
本実施例によるタッチ式操作装置は、上述した実施例1に対して、タッチセンサ5が5Aで置換された点が異なり、他の構成は同様であってよい。ただし、本実施例において、ノブ71は、線状導電材72を備えていなくてもよい。
【0035】
図8は、本実施例のタッチセンサ5Aを模式的に示す平面図である。
図8には、各電極51を電気的に接続する横方向(X方向)の配線部800と縦方向(Y方向)の配線部801とが示されている。また、
図8には、ノブ71の配置範囲(投影範囲)850が、その外形(点線)とともに示されている。以下では、平面視とは、
図8に定義したXY平面に垂直な方向に視たビューを指す。なお、XY平面は、保護パネル7等が延在する平面に対応する。
【0036】
タッチセンサ5Aは、上述した実施例1によるタッチセンサ5に対して、複数の電極51Aのうちの一部の第1電極511のサイズ(すなわち電極サイズ)が第2電極512よりも大きく設定されている点が異なる。すなわち、複数の電極51Aは、サイズが相対的に大きい第1電極511と、サイズが相対的に小さい第2電極512とを含む。
【0037】
第1電極511は、
図8に示すように、平面視でノブ71の配置範囲(延在範囲)850に重なる。なお、
図8に示す例では、第1電極511は、ノブ71の配置範囲850内に位置するのみならず、ノブ71の配置範囲850のまわりにも配置されている。しかしながら、変形例では、第1電極511は、ノブ71の配置範囲850内に位置するだけであってもよいし、ノブ71の外周部(例えば筒状部分)に重なる範囲(すなわち外周部投影範囲)内に位置するだけであってもよい。
【0038】
第2電極512は、
図8に示すように、平面視でノブ71の配置範囲(延在範囲)850に重ならない態様で配置される。第2電極512は、例えば、上述した実施例1による電極51と同様の形態であってよい。
【0039】
本実施例では、第1電極511及び第2電極512は、
図8に示すように、横方向の位置(中心位置)の同じ電極同士が共通の配線部800で電気的に接続され、かつ、縦方向の位置(中心位置)の同じ電極同士が共通の配線部801で電気的に接続されてよい。以下では、すべての配線部800のうちの、第1電極511を通る配線部800を、「配線部800-1」と称し、第1電極511を通ることのない配線部800を、「配線部800-2」と称する。また、すべての配線部801のうちの、第1電極511を通る配線部801を、「配線部801-1」と称し、第1電極511を通ることのない配線部801を、「配線部801-2」と称する。
【0040】
図9は、本実施例によるタッチ式操作装置の処理装置80を説明する概略図である。
【0041】
本実施例によるタッチ式操作装置は、処理装置80を備える。処理装置80は、上述した操作有効性判定部8と、基板3の操作種別判定部8Bとを含む。
【0042】
操作有効性判定部8には、タッチセンサ5Aの各配線部800-1、800-2、801-1、801-2(
図8も参照)に電気的に接続される。操作有効性判定部8及び操作種別判定部8Bの動作は、前出の実施例1において上述したとおりである。なお、
図9において、操作種別判定部8Bからの信号S1は、ノブ71に係る操作に基づく信号を表し、操作種別判定部8Bからの信号S2は、ノブ71以外の操作領域のタッチ操作又はスワイプ操作に基づく信号を表す。このように、信号S1、S2は、例えば外部の制御装置である上位ECU(Electronic Control Unit)に供給されてもよい。この場合、上位ECUは、信号S1や信号S2に応答して各種制御を実行してもよい。なお、変形例では、信号S1、S2のうちのいずれか一方だけが上位ECUに供給されてもよい。
【0043】
このようにして、本実施例においても、上述した実施例と同様、ノブ71に係る回転操作は、当該操作種別に応じた処理(
図9では、信号S1を生成及び出力する処理)を処理装置80に実行させ、ノブ71以外の操作領域(ノブ71が配置されていない平面領域)での操作は、当該操作種別に応じた処理(
図9では、信号S2を生成及び出力する処理)を処理装置80に実行させる。これにより、ユーザは、タッチ式操作装置において、多様な操作種別に基づいて多様な処理を処理装置80に実行させることができる。
【0044】
図10は、本実施例による操作有効性判定部8における判定方法の一例を示す説明図である。
図10には、縦軸に静電容量変化値ΔCを取り、3つの状態101~103における静電容量変化値が棒グラフで模式的に示されている。
図11は、比較例による判定方法の一例を示す説明図である。
図11には、縦軸に静電容量変化値を取り、3つの状態101’、102、103における静電容量変化値が棒グラフで模式的に示されている。
図10及び
図11には、各種閾値Th1、Th2が模式的に示されている。
【0045】
状態101、状態101’は、ユーザがノブ71で操作を行うためにノブ71を摘んでいる状態に対応し、状態102は、ユーザがノブ71以外の操作領域で操作を行うために当該操作領域に指でタッチしている状態に対応し、状態103は、ユーザがノブ71以外の操作領域に指を近づけた状態に対応する。
【0046】
図11に係る比較例は、本実施例2とは異なり、複数の電極51のサイズがすべて同じであり、かつ、線状導電材72が設けられていないノブを用いる構成である。
【0047】
ところで、タッチセンサ5A(タッチセンサ5についても同様)で発生する静電容量変化値ΔCは、電極51Aのサイズが同じであるときは、電極51Aと指との間の距離(保護パネル7に対して垂直な方向での距離、以下同様)が近いほど大きくなる。また、静電容量変化値ΔCは、電極51Aと指との間の距離が同じであるときは、電極51Aのサイズが大きいほど大きくなる。
【0048】
この点、本実施例では、ノブ71は、保護パネル7の表面から突出する形態であるので、ノブ71の外周部を摘むときの指と電極51Aとの間の距離は、ノブ71以外の操作領域(ノブ71が配置されていない平面領域)に触れるときの指と電極51Aとの間の距離よりも長くなりやすい。
【0049】
なお、ノブ71に線状導電材72を設ける場合は、線状導電材72が導体であるがゆえに、電極51Aと指との間の距離を実質的に小さくする効果があるため、線状導電材72が設けられない場合よりも、ノブ71の外周部を摘むときの静電容量変化値ΔCが大きくなりやすい。
【0050】
従って、
図11に係る比較例では、電極51のサイズが比較的小さくかつ線状導電材72が設けられてないノブであるため、状態101’に示すように、ノブを摘む場合に生じる静電容量変化値ΔCは、小さくなる傾向がある。この場合、
図11に模式的に示すように、ノブ71以外の操作領域での操作に対する特定の閾値Th2(操作有効性判定部8において、操作の有効性を判定するための閾値)を、ノブ71での操作に対して共通に適用すると、ノブ71での操作を感度良く検出できない。なお、このような場合、ノブ71での操作に対して、特定の閾値Th2よりも小さい閾値Th1を適用すれば、ノブ71での操作を検出できるが、閾値Th1が比較的小さい分だけノイズの影響を受けやすく、また、2種類の閾値を利用する必要性が生じるといった、不都合が生じる。また、状態103のように、ユーザがノブ71以外の操作領域に指を近づけただけで、静電容量変化値ΔCが閾値Th1を超えやすくなり、誤検出が生じやすくなるといった、不都合も生じる。
【0051】
これに対して、本実施例によれば、このような比較例で生じる不都合を低減できる。具体的には、本実施例によれば、上述したように、第1電極511のサイズが第2電極512よりも大きいので、ユーザがノブ71を摘む場合に生じる静電容量変化値ΔCを比較的大きくすることができる。これにより、ノブ71での操作を比較的大きい閾値を用いて感度良く検出できる。
【0052】
また、例えば、
図10に示す例では、状態101と状態102のように、ユーザがノブ71を摘む場合に生じる静電容量変化値ΔCと、ユーザがノブ71以外の操作領域に触れる場合に生じる静電容量変化値ΔCとを略同じにすることができる。この結果、ノブ71での操作の有効性を判定するための閾値(第1閾値の一例)を、ノブ71以外の操作領域での操作の有効性を判定するための閾値(第2閾値の一例)と同じ共通の閾値(例えば
図10の特定の閾値Th2)とすることができる。これにより、操作有効性判定部8における回路構成を簡素化することも可能となる。例えば、本実施例では、配線部800-1(配線部801-1についても同様)には、第1電極511のみならず、第2電極512も電気的に接続されうる(
図8参照)。この場合でも、同じ閾値判定によって、第1電極511に係る操作の有効性と、第2電極512に係る操作の有効性とを実現できる。従って、配線部800-1や配線部801-1に第1電極511だけを電気的に接続する場合に比べて、配線部800、801の簡素化を図り、また、第1電極511と第2電極512の配置の自由度を高めることも可能である。
【0053】
なお、上述したように、本実施例においては、ノブ71に線状導電材72を設けなくてもよいし、設けてもよい。例えば、ユーザがノブ71を摘む場合に生じる静電容量変化値ΔCと、ユーザがノブ71以外の操作領域に触れる場合に生じる静電容量変化値ΔCとが略同じなるように、第1電極511及び第2電極512の各サイズや、線状導電材72の有無や、線状導電材72を設ける場合はその線状導電材72の構成(例えば
図3等を参照して上述した線状導電材72の各種配置態様)が、適宜、適合されてもよい。
【0054】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 タッチ式操作装置
2 ケース
21 前面開口部
3 基板
4 表示パネル
5 タッチセンサ
51 電極
6 粘着シート
7 保護パネル
71 ノブ
72 線状導電材
73 両面粘着テープ
8 操作有効性判定部
8B 操作種別判定部
80 処理装置
9 フレキシブル配線板