(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161381
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】脱硝触媒の再生方法
(51)【国際特許分類】
B01J 38/10 20060101AFI20221014BHJP
B01J 29/69 20060101ALI20221014BHJP
B01J 29/90 20060101ALI20221014BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20221014BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20221014BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B01J38/10 A
B01J29/69 A ZAB
B01J29/90 A
B01D53/86 222
B01D53/96 500
B01D53/94 222
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066160
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】庄野 恵美
(72)【発明者】
【氏名】森 匠磨
(72)【発明者】
【氏名】清水 香奈
(72)【発明者】
【氏名】田所 秀之
(72)【発明者】
【氏名】西 亜美
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC09
4D148BA11X
4D148BA20Y
4D148BA22X
4D148BA34X
4D148BB02
4D148BD01
4D148DA03
4D148DA11
4D148DA13
4G169AA03
4G169AA10
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC25A
4G169BC25B
4G169BC32A
4G169BC32B
4G169CA02
4G169CA03
4G169CA08
4G169CA13
4G169DA06
4G169EA21
4G169FA02
4G169FC07
4G169GA05
4G169ZA11A
4G169ZA13A
4G169ZA13B
4G169ZF05A
4G169ZF05B
(57)【要約】
【課題】触媒活性を効率的に回復させることができる脱硝触媒の再生方法を提供すること。
【解決手段】本発明の脱硝触媒の再生方法では、還元剤として有機還元剤が添加されたNOx含有排気ガスの脱硝処理に使用された脱硝触媒を、水素含有ガス存在下において250℃以上の温度で加熱処理する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤として有機還元剤が添加されたNOx含有排気ガスの脱硝処理に使用された脱硝触媒を、水素含有ガス存在下において250℃以上の温度で加熱処理する、脱硝触媒の再生方法。
【請求項2】
前記脱硝触媒が、
触媒担体と、
前記触媒担体に担持された活性金属であって、ビスマスおよび銀を含む活性金属と、を含む、請求項1に記載の脱硝触媒の再生方法。
【請求項3】
前記触媒担体がゼオライトを含む、請求項2に記載の脱硝触媒の再生方法。
【請求項4】
前記ゼオライトが、MFI型ゼオライトおよび/またはFER型ゼオライトである、請求項3に記載の脱硝触媒の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱硝触媒の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素酸化物(NOx)を含む排気ガスからNOxを除去するための処理には、例えば、脱硝触媒が用いられる。脱硝触媒は、NOx含有の排気ガスと、当該排気ガスに供給される還元剤との反応を促進して、NOxを還元除去する。
【0003】
脱硝触媒は、例えば、還元剤としてアンモニアが用いられる脱硝反応用の触媒(第1タイプの脱硝触媒)と、還元剤としてアンモニア以外の有機還元剤が用いられる脱硝反応用の触媒(第2タイプの脱硝触媒)とに、大別できる。
【0004】
第2タイプの脱硝触媒としては、例えば、MFI型またはFER型のゼオライトを含む触媒担体に、Ag、BiおよびPbからなる群から選択される少なくとも1つの金属が担持された触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の触媒では、使用に伴って触媒に付着物が生じて、触媒活性が低下する場合がある。このような場合、一般的には、触媒を、酸素含有ガス存在下で加熱処理して、付着物を酸化(燃焼)除去することが検討される。しかし、特許文献1に記載の触媒を酸素含有ガス存在下で加熱処理しても、触媒活性の回復には限度がある。
【0007】
本発明は、触媒活性を効率的に回復させることができる脱硝触媒の再生方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、還元剤として有機還元剤が添加されたNOx含有排気ガスの脱硝処理に使用された脱硝触媒を、水素含有ガス存在下において250℃以上の温度で加熱処理する、脱硝触媒の再生方法を含む。
【0009】
本発明[2]は、前記脱硝触媒が、触媒担体と、前記触媒担体に担持される活性金属であって、ビスマスおよび銀を含む活性金属と、を有する、上記[1]に記載の脱硝触媒の再生方法を含む。
【0010】
本発明[3]は、前記触媒担体がゼオライトを含む、上記[2]に記載の脱硝触媒の再生方法を含む。
【0011】
本発明[4]は、前記ゼオライトが、MFI型ゼオライトおよび/またはFER型ゼオライトである、上記[3]に記載の脱硝触媒の再生方法を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の脱硝触媒の再生方法では、還元剤として有機還元剤が添加されたNOx含有排気ガスの脱硝処理に使用された脱硝触媒を、水素含有ガス存在下において250℃以上の温度で加熱処理するので、触媒活性を効率的に回復させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の脱硝触媒の再生方法では、還元剤として有機還元剤が添加されたNOx含有排気ガスの脱硝処理に使用された脱硝触媒(使用済みの上述の第2タイプの脱硝触媒)を、水素含有ガス存在下で加熱処理する。
【0014】
脱硝触媒は、選択還元触媒であって、排気ガスに含まれるNOxを還元除去できる。
【0015】
脱硝触媒は、触媒担体と、触媒担体に担持される活性金属とを含む。
【0016】
触媒担体としては、例えば、ゼオライト、チタニア、アルミナ、ジルコニア、およびシリカが挙げられ、好ましくはゼオライトが挙げられる。
【0017】
ゼオライトは、結晶性アルミノケイ酸塩である。ゼオライトとしては、例えば、FER型ゼオライト(フェリエライト)、MFI型ゼオライト(ZSM-5)、MOR型ゼオライト(モルデナイト)、FAU型ゼオライト(Y型ゼオライト)、BEA型ゼオライト(ベータ型ゼオライト)、およびCHA型ゼオライト(チャバサイト)が挙げられる。ゼオライトとしては、好ましくは、MFI型ゼオライトおよび/またはFER型ゼオライトが用いられる。言い換えれば、ゼオライトは、好ましくは、FER型ゼオライトおよび/またはMFI型ゼオライトを含む。
【0018】
このような触媒担体は、単独使用または2種類以上併用できる。
【0019】
活性金属としては、例えば、遷移金属および貧金属が挙げられる。活性金属は、単独使用または2種類以上併用できる。
【0020】
活性金属のなかでは、好ましくは、銀(Ag)、ビスマス(Bi)および鉛(Pb)が挙げられ、より好ましくは、銀(Ag)およびビスマス(Bi)が挙げられる。言い換えれば、活性金属は、好ましくは、銀(Ag)、ビスマス(Bi)および鉛(Pb)からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含み、より好ましくは、銀(Ag)およびビスマス(Bi)を含み、さらに好ましくは、銀(Ag)およびビスマス(Bi)からなる。活性金属が、銀(Ag)、ビスマス(Bi)および鉛(Pb)からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含むと、脱硝触媒の再生方法において、脱硝触媒の触媒活性を確実に回復させることができる。また、活性金属は、好ましくはチタン(Ti)またはバナジウム(V)を含まず、より好ましくはチタン(Ti)およびバナジウム(V)を含まない。
【0021】
脱硝触媒における活性金属の担持量は、例えば0.35mg/cm2以上、好ましくは0.5mg/cm2以上、また、例えば6.0mg/cm2以下、好ましくは2.0mg/cm2以下である。
【0022】
脱硝触媒における活性金属の担持量が上記範囲であれば、脱硝触媒の触媒活性を安定して確保できるとともに、脱硝触媒の再生方法において、脱硝触媒の触媒活性を十分に回復させることができる。
【0023】
また、活性金属が銀(Ag)およびビスマス(Bi)を含む場合、ビスマスの質量比は、銀1質量部に対して、例えば1質量部以上、好ましくは1.5質量部以上、また、例えば6質量部以下、好ましくは3質量部以下である。
【0024】
銀に対するビスマスの質量比が上記範囲であれば、脱硝触媒の触媒活性をより安定して確保できるとともに、脱硝触媒の再生方法において、脱硝触媒の触媒活性を十分に回復させることができる。
【0025】
また、脱硝触媒は、基材に担持されていてもよい。基材としては、例えば無機繊維シートが挙げられる。無機繊維シートとしては、例えば、ガラス繊維シートおよびセラミックス繊維シートが挙げられる。
【0026】
このような脱硝触媒の製造方法としては、例えば、イオン交換法、および、含浸担持法が挙げられ、好ましくはイオン交換法が挙げられる。脱硝触媒がイオン交換法で製造される場合、上記した活性金属の塩を含む水溶液に上記した触媒担体を懸濁させた後、イオン交換法により、活性金属のイオンを触媒担体に担持させる。その後、得られたスラリーに、必要に応じて上記した無機繊維シートを含浸させ、次に、スラリーを乾燥させた後、550℃以下で焼成する。これによって、脱硝触媒が製造される。
【0027】
このような脱硝触媒は、排気ガスを排出する各種産業製品・産業施設において使用される。各種産業製品・産業施設としては、例えば、廃棄物焼却施設、工場、船舶、自動車が挙げられ、好ましくは廃棄物焼却施設が挙げられる。つまり、脱硝触媒は、好ましくは廃棄物焼却施設用脱硝触媒である。
【0028】
廃棄物焼却施設では、例えば、焼却炉において廃棄物が焼却されて、NOxを含む排気ガスが排出される。そして、排気ガスから煤塵が除去された後、排気ガスに有機還元剤が注入される。その後、有機還元剤が注入された排気ガスは、上記した脱硝触媒が収容される反応器を通過する。反応器内部の温度は、例えば、130℃以上250℃以下である。このとき、排気ガスに含まれるNOxは、脱硝触媒の作用により、有機還元剤と反応して、窒素と水とに分解(還元除去)される。その後、排気ガスは、煙突などから外気に放出される。
【0029】
有機還元剤としては、例えば、アンモニウム化合物およびアミン化合物以外の、炭化水素を含む有機化合物が挙げられ(前記有機化合物には、アンモニウム化合物およびアミン化合物以外の、活性水素を含む有機化合物が含まれる)。そのような有機化合物としては、例えば、ヒドロキシ有機化合物および有機カルボン酸が挙げられ、好ましくはヒドロキシ有機化合物が用いられる。ヒドロキシ有機化合物としては、例えば、アルコールおよびフェノール類が挙げられ、好ましくはアルコールが用いられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、およびグリコールが挙げられ、好ましくはメタノールが用いられる。有機カルボン酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、シュウ酸、およびクエン酸が挙げられる。
【0030】
脱硝触媒では、NOxを含む排気ガスの脱硝処理に所定期間使用されると、付着物が生じて、触媒活性が低下する場合がある。そこで、使用済みの脱硝触媒を、水素含有ガス存在下において250℃以上の温度で加熱処理して、脱硝触媒の触媒活性を回復させる。
【0031】
水素含有ガスは、例えば、水素および不活性ガスを有し、好ましくは、水素および不活性ガスからなる。
【0032】
不活性ガスとしては、例えば、窒素、および、アルゴンが挙げられ、好ましくは窒素が挙げられる。不活性ガスは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0033】
水素含有ガスにおける水素濃度は、例えば3体積%以上、好ましくは5体積%以上、また、例えば10体積%以下、より好ましくは8体積%以下である。
【0034】
水素含有ガスにおける水素濃度が上記下限以上であれば、使用済みの脱硝触媒の触媒活性を安定して回復できる。水素含有ガスにおける水素濃度が上記上限以下であれば、水素含有ガスの取扱性の向上を図ることができる。
【0035】
加熱処理における加熱温度は、250℃以上、好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上であり、また、例えば500℃以下、好ましくは400℃以下、より好ましくは380℃以下、更に好ましくは350℃以下である。
【0036】
加熱温度が上記範囲であれば、使用済みの脱硝触媒の触媒活性をより安定して回復できる。
【0037】
加熱時間は、例えば3時間以上、好ましくは10時間以上、より好ましくは20時間以上であり、また、例えば50時間以下、好ましくは30時間以下である。
【0038】
加熱時間が上記下限以上であれば、使用済みの脱硝触媒の触媒活性をより一層安定して回復できる。加熱時間が上記上限以下であれば、脱硝触媒の触媒活性の再生方法を効率よく実施することができる。
【0039】
3.作用効果
上記した脱硝触媒の再生方法では、使用済の脱硝触媒を、水素含有ガス存在下において250℃以上の温度で加熱処理するので、触媒活性を効率的に回復させることができる。とりわけ、使用済の脱硝触媒を、酸素含有ガス存在下で加熱処理することなく、水素含有ガス存在下のみで加熱処理することにより、触媒活性をより一層効率的に回復させることができる。
【実施例0040】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0041】
〔実施例1~4〕
〈脱硝触媒〉
以下のようにして、脱硝触媒を準備した。具体的には、まず、硝酸ビスマス(品名:硝酸ビスマス(III)・5水和物,キシダ化学社製)と、硝酸銀(品名:硝酸銀(I),キシダ化学社製)とを、エチレングリコール(品名:エチレングリコール,キシダ化学社製)に溶かした。次に、得られた溶液に、無機バインダーとしてのジルコニアゾル(品名:ジルコゾールZA-20,第一稀元素社製)を加えて混合し、スラリーを得た。次に、当該スラリーに、FER型ゼオライト(品名:HSZ-720NHA,東ソー社製)を加え、当該スラリーを3時間撹拌した。これにより、触媒スラリーを得た。
【0042】
次に、第1のガラス繊維ペーパー(100mm×150mm)の両面に、触媒スラリーを塗布した(同繊維ペーパーにおける触媒スラリー担持量は300g/m2)。これにより、平板状のスラリー塗布ガラス繊維ペーパーを得た。次に、平板状スラリー塗布ガラス繊維ペーパーを、110℃で一晩、乾燥した。
【0043】
一方、第2のガラス繊維ペーパー(100mm×230mm)の両面に、触媒スラリーを塗布した(同繊維ペーパーにおける触媒スラリー担持量は300g/m2)。次に、このスラリー塗布ガラス繊維ペーパーを、波形付与用の第1金型と第2金型との間に挟み込み、押さえ治具によって第1金型および第2金型を型締めした。これにより、スラリー塗布ガラス繊維ペーパーが波形に変形されて、波板状のスラリー塗布ガラス繊維ペーパーを得た。次に、金型間に挟まれた波板状スラリー塗布ガラス繊維ペーパーを、110℃で一晩、乾燥した。次に、波板状のスラリー塗布ガラス繊維ペーパーを、金型から取り外した。
【0044】
次に、平板状のスラリー塗布ガラス繊維ペーパーおよび波板状のスラリー塗布ガラス繊維ペーパーを、500℃で3時間、焼成した。次に、こうして得られた平板状ガラス繊維ペーパーと波板状ガラス繊維ペーパーとを交互に積層して、ハニカム構造体を作製した。
【0045】
以上のようにして、脱硝触媒を準備した。脱硝触媒は、触媒担体としてのゼオライトと、ゼオライトに担持された活性金属としての銀およびビスマスとを有する。脱硝触媒における活性金属の担持量は0.7mg/cm2であり、銀に対するビスマスの質量比は1.88であった。また、脱硝触媒は、無機繊維シートに担持されていた。
【0046】
次に、無機繊維シートに担持される脱硝触媒を、反応器に収容した。その後、表1に示す組成を有する試験ガス(排気ガス)を、常圧下において150℃に加熱した後、試験ガスに、還元剤としてのメタノールを表1に示す割合で注入した。そして、還元剤を注入した試験ガスを、表1に示す面積速度(area velocity:AV)で反応器に流入させた。なお、反応器に流入する試験ガスのNOx濃度を入口NOx濃度とする。また、面積速度は、反応器に流入する試験ガスの量(Nm3/h)を、脱硝触媒の表面積(m2)で除した値である。そして、反応器から流出する試験ガスのNOx濃度を、出口NOx濃度として測定した(NOx濃度測定)。以上のようにして、脱硝触媒の初期の触媒性能としての初期の脱硝効率C1を測定した(脱硝効率C1に対する脱硝効率C1の割合1.0を、R1として表1に示す)。入口NOx濃度(ppm)をP1とし、出口NOx濃度(ppm)をP2とすると、脱硝効率(%)は、下記式(1)に基づいて算出される。
【0047】
脱硝効率 =[(P1 - P2)/P1]×100 ・・・(1)
【0048】
次に、脱硝触媒を所定の実排ガス(150℃程度)に96時間晒した。実排ガスは、NOx、SOx、HCl、O2、および水分を含有する。これにより、疑似的に使用済み状態の脱硝触媒を得た。
【0049】
次に、使用済み状態の脱硝触媒の触媒性能を調べた。具体的には、使用済み状態の脱硝触媒を用いたこと以外は上述のNOx濃度測定と同様にして、反応器を通過する試験ガスにおけるNOx濃度を出口NOx濃度として測定した。これにより、実排ガスに96時間晒された後の脱硝触媒の性能としての脱硝効率C2を測定した。脱硝効率C1に対する脱硝効率C2の割合R2を、表1に示す。
【0050】
次に、反応器に窒素ガスを流入させた。これによって、反応器内の試験ガスを窒素ガスに置換した。
【0051】
次に、表1に示す組成を有する再生処理ガス(水素含有ガス)を、常圧下において反応器に流入させるとともに、反応器を1時間かけて300℃(加熱温度)に昇温した。その後、反応器の温度を24時間維持した後、室温(25℃)まで低下させた。
【0052】
その後、再生処理ガス(水素含有ガス)の流入を停止して、反応器に窒素ガスを流入した。これによって、反応器内の再生処理ガス(水素含有ガス)を窒素ガスに置換した。これにより、再生処理後の脱硝触媒を得た。
【0053】
次に、再生処理後の脱硝触媒の触媒性能を調べた。具体的には、再生処理後の脱硝触媒を用いたこと以外は上述のNOx濃度測定と同様にして、反応器を通過する試験ガスにおけるNOx濃度を出口NOx濃度として測定した。これにより、再生処理後の脱硝触媒の性能としての脱硝効率C3を測定した。脱硝効率C1に対する脱硝効率C3の割合R3を、表1に示す。
【0054】
<<比較例1および2>>
表1に示す組成を有する再生処理ガス(水素含有ガス)を、表1に示す再生処理ガス(酸素含有ガス)に変更して、加熱温度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、脱硝触媒の再生方法が実施された。
【0055】
【表1】
表1における「Balance」とは、ガス組成において、窒素以外の成分と窒素との総和が100体積%となるように、窒素の濃度が調整されていることを示す。