(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161387
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】操作器
(51)【国際特許分類】
H01H 9/16 20060101AFI20221014BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20221014BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221014BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20221014BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20221014BHJP
H05B 47/18 20200101ALI20221014BHJP
H01H 19/00 20060101ALI20221014BHJP
H01H 19/02 20060101ALI20221014BHJP
F21Y 105/18 20160101ALN20221014BHJP
F21Y 113/17 20160101ALN20221014BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221014BHJP
【FI】
H01H9/16 A
F21V8/00 310
F21S2/00 663
F21V23/00 140
F21V23/04 100
H05B47/18
H01H19/00 P
H01H19/02 A
F21Y105:18
F21Y113:17
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066167
(22)【出願日】2021-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005038
【氏名又は名称】神保電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【弁理士】
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】松野 達夫
(72)【発明者】
【氏名】内藤 勝広
(72)【発明者】
【氏名】石山 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】率川 陽馬
(72)【発明者】
【氏名】藤田 昌宏
【テーマコード(参考)】
3K014
3K244
3K273
5G052
5G219
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K244AA09
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA17
3K244DA19
3K244EA04
3K244EA06
3K244EA08
3K244EA16
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273UA18
5G052AA23
5G052BB02
5G052JA03
5G052JA07
5G052JB05
5G052JC04
5G219GS11
5G219HT02
5G219QS03
5G219RS03
5G219RS14
5G219RS24
5G219RS25
5G219RS33
(57)【要約】
【課題】照明器具の明るさを明確かつ詳細に視認する。
【解決手段】明るさBを操作する操作部と、明るさBを長さで表示する表示部と、を有し、表示部が、n個(nは2以上の自然数)の表示素子Dk|
k=1~n(kは、n以下の自然数)を有し、表示素子Dk|
k=1~nが、明るさBのレベルが低レベル側から高レベル側に向かうに従って、D1~Dnの順に配置され、明るさBの最大値をBmax、Bmaxをnで割った値(実数)をBd、Bを被除数、Bdを除数として除算したときの商をQ、剰余(余り)をR、Dk|
k=1~nの最大出力をPmaxとしたとき、Dk|
k=Q+1の出力Pk|
k=Q+1を、剰余Rに基づき計算された値Prとし、Dk|
k<Q+1の出力Pk|
k<Q+1を、Pr<Pk|
k<Q+1≦Pmax、の範囲の値とし、Dk|
k>Q+1の出力Pk|
k>Q+1を、0≦Pk|
k>Q+1<Pr、の範囲の値とする操作器を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明機器の明るさBを操作する操作器であって、
前記明るさBを操作する操作部と、
前記明るさBを、直線、曲線、円、円弧その他の線に沿った長さで表示する表示部と、を有し、
前記表示部が、前記線に沿って配置されたn個(nは2以上の自然数)の表示素子Dk|k=1~n(kは、n以下の自然数であり、各表示素子を示す指標である。k=1~nのように範囲で示した場合は、当該範囲に含まれるkで指標される表示素子の全てを示す。Dk|k=1のように単一の表示素子を指標する場合、単にD1と表記する場合がある。)を有し、
前記表示素子Dk|k=1~nが、前記明るさBのレベルが低レベル側から高レベル側に向かうに従って、D1,D2,・・・,Dnの順に配置され、
前記明るさBの最大値をBmaxとし、Bmaxをnで割った値(実数)をBdとし、Bを被除数、Bdを除数として除算したときの商をQ、剰余(余り)をRとし、前記表示素子Dk|k=1~nの最大出力をPmaxとしたとき、
前記表示素子Dk|k=Q+1の出力Pk|k=Q+1を、前記剰余Rに基づき計算された値Prとし、
前記表示素子Dk|k<Q+1の出力Pk|k<Q+1を、Pr<Pk|k<Q+1≦Pmax、の範囲の値とし、
前記表示素子Dk|k>Q+1の出力Pk|k>Q+1を、0≦Pk|k>Q+1<Pr、の範囲の値とする
操作器。
【請求項2】
前記表示素子Dk|k=1~nの出力Pk|k=1~nが、数1に従う
請求項1に記載の操作器。
(数1)
Pk|k<Q+1=Pmax、
Pk|k=Q+1=Pr、
Pk|k>Q+1=0、
但し、
Pr=Pmax・(R/Bd)である。
【請求項3】
前記表示素子Dk|k=1~nのうち、隣接して配置された複数の表示素子Dk|k=r~s(但し、r<sである。)が、前記表示素子Dk|k=Qおよび前記表示素子Dk|k=Q+1を含み、
前記表示素子Dk|k=rから前記表示素子Dk|k=sにかけて、表示素子Dk|k=r~sの出力が漸減し、
前記Rが0のときの前記表示素子Dk|k=r~Qの出力Pk|k=r~QはPmaxより小さく、前記Rが0のときの前記表示素子Dk|k=Q+1~sの出力Pk|k=Q+1~sは0以上であり、
前記出力Pk|k=r~QのPmaxからの減少分の合計は、前記出力Pk|k=Q+1~sの0からの増加分の合計に等しい
請求項1に記載の操作器。
【請求項4】
前記表示素子Dk|k=r~sのそれぞれの出力Pk|k=r~sは、前記明るさBの増加または減少に応じて、Pmax・(R/Bd)/(s-r+1)だけ均等に増加または減少する
請求項3に記載の操作器。
【請求項5】
前記表示素子が、発光素子であり、
前記表示部は、前記発光素子が発する光を前記発光素子ごとに導く導光部を備えた導光体、または、前記発光素子ごとの導光体を有する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の操作器。
【請求項6】
前記発光素子は、前記導光体の中心または前記低レベル側に偏って位置する
請求項5に記載の操作器。
【請求項7】
前記表示素子の配置方向に沿った前記線と直行する方向の表示幅が、前記明るさBのレベルが低レベル側から高レベル側に向かうに従って広くなる
請求項1から請求項6の何れか一項に記載の操作器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具用の操作器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特許文献1は、指で触れられた範囲がわかりやすく出力の大きさを容易に視認できる出力調整装置および照明器具の発明を開示する。当該発明によれば、出力の大きさを示す出力表示部が、端部にLED発光部が設けられた導光板を有し、このため、LED発光部の照度に応じて、導光板を長手方向に対応した長さだけ連続して発光させることができ、また、導光板の表面を指で触れた際に、導光板の直下に設けられている静電センサが、どこまで触れられたか検出するので、制御部の出力表示制御部がLED発光部の照度を制御し、これにより、指で触れられた範囲がわかりやすく、出力の大きさを容易に視認できる、とされている。
【0003】
たとえば、特許文献2は、照明装置の光量と光色との両方を指示する際に、操作部位がわかりやすく、しかも指示内容を1つの表示で確認できるようにした照明用操作装置の発明を開示する。当該発明において、操作プレートは、横方向と縦方向とに複数個ずつ並べた窓部材を有し、窓部材ごとに、指の接近または接触を検出するセンサ電極と、光出力と発光色とが可変である表示素子が配置され、処理部は、縦方向に並ぶ表示素子については光出力を異ならせ、横方向に並ぶ表示素子については発光色を異ならせる。また、処理部は、所望の光出力が表示素子から選択され、所望の発光色が表示素子から選択されると、選択表示素子を選択された光出力および発光色で点灯させ、選択表示素子の光出力および発光色に相当する光量および光色を照明装置に指示する。当該発明の構成によれば、照明装置の光量と光色との両方を指示する際に、操作部位がわかりやすく、しかも指示内容を1つの表示で確認できるという効果があり、また、タッチパネルを用いる必要がないから、比較的低コストで提供することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-11056号公報
【特許文献2】国際公開WO2012/137875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に記載の発明によれば、導光板の端部に設けたLED発光部の照度を照明器具の出力に応じて制御するので、導光板の長手方向の連続した発光を視認することで、照明器具の出力の大きさ(明るさ)を容易に視認することが可能である。また、上記した特許文献2に記載の発明によれば、縦方向に複数並べた窓部材ごとの表示素子を選択し、選択された表示素子(選択表示素子)を照明装置の光量に応じた光出力で点灯するので、照明装置への指示内容(光量の指示)が確認できる、すなわち、照明器具の明るさを容易に視認することが可能である。
【0006】
しかし、特許文献1における照明器具の明るさの表示は、導光板端部に設けた単一のLED発光部の出力制御による導光板長手方向の発光長によって実現されるので、照明器具の明るさの直感的な把握には優れるものの、導光板長手方向における発光長の端部は曖昧であり、照明器具の明るさの明確な把握は困難である。また、特許文献2における照明器具の明るさの表示は、縦方向に複数配置した表示素子の点灯および消灯によって実現されるので、照明器具の明るさ表示の端部は明確であるものの、隣接する表示素子間の明るさを表示することはできず、照明器具の明るさの詳細な把握は困難である。
【0007】
本発明の目的は、照明器具の明るさを表示する表示部を備えた操作器において、照明器具の明るさを明確かつ詳細に視認することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、照明機器の明るさBを操作する操作器であって、前記明るさBを操作する操作部と、前記明るさBを、直線、曲線、円、円弧その他の線に沿った長さで表示する表示部と、を有し、前記表示部が、前記線に沿って配置されたn個(nは2以上の自然数)の表示素子Dk|k=1~n(kは、n以下の自然数であり、各表示素子を示す指標である。k=1~nのように範囲で示した場合は、当該範囲に含まれるkで指標される表示素子の全てを示す。Dk|k=1のように単一の表示素子を指標する場合、単にD1と表記する場合がある。)を有し、前記表示素子Dk|k=1~nが、前記明るさBのレベルが低レベル側から高レベル側に向かうに従って、D1,D2,・・・,Dnの順に配置され、前記明るさBの最大値をBmaxとし、Bmaxをnで割った値(実数)をBdとし、Bを被除数、Bdを除数として除算したときの商をQ、剰余(余り)をRとし、前記表示素子Dk|k=1~nの最大出力をPmaxとしたとき、前記表示素子Dk|k=Q+1の出力Pk|k=Q+1を、前記剰余Rに基づき計算された値Prとし、前記表示素子Dk|k<Q+1の出力Pk|k<Q+1を、Pr<Pk|k<Q+1≦Pmax、の範囲の値とし、前記表示素子Dk|k>Q+1の出力Pk|k>Q+1を、0≦Pk|k>Q+1<Pr、の範囲の値とする操作器を提供する。
【0009】
前記した操作器において、前記表示素子Dk|k=1~nの出力Pk|k=1~nが、数1に従うものとしてもよい。
(数1)
Pk|k<Q+1=Pmax、
Pk|k=Q+1=Pr、
Pk|k>Q+1=0、
但し、
Pr=Pmax・(R/Bd)である。
【0010】
あるいは、前記表示素子Dk|k=1~nのうち、隣接して配置された複数の表示素子Dk|k=r~s(但し、r<sである。)が、前記表示素子Dk|k=Qおよび前記表示素子Dk|k=Q+1を含み、前記表示素子Dk|k=rから前記表示素子Dk|k=sにかけて、表示素子Dk|k=r~sの出力が漸減し、前記Rが0のときの前記表示素子Dk|k=r~Qの出力Pk|k=r~QはPmaxより小さく、前記Rが0のときの前記表示素子Dk|k=Q+1~sの出力Pk|k=Q+1~sは0以上であり、前記出力Pk|k=r~QのPmaxからの減少分の合計は、前記出力Pk|k=Q+1~sの0からの増加分の合計に等しいものとすることができる。この場合、前記表示素子Dk|k=r~sのそれぞれの出力Pk|k=r~sは、前記明るさBの増加または減少に応じて、Pmax・(R/Bd)/(s-r+1)だけ均等に増加または減少するものとしてもよい。
【0011】
前記表示素子が、発光素子であってもよく、この場合、前記表示部は、前記発光素子が発する光を前記発光素子ごとに導く導光部を備えた導光体、または、前記発光素子ごとの導光体を有してもよい。また、前記発光素子は、前記導光体の中心または前記低レベル側に偏って位置してもよい。また、前記表示素子の配置方向に沿った前記線と直行する方向の表示幅が、前記明るさBのレベルが低レベル側から高レベル側に向かうに従って広くなるものであってもよい。
【0012】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】操作器140を適用する制御システム100の全体を示したブロック図である。
【
図2】操作器140の主要な構成を示した機能ブロック図である。
【
図3】制御システム100で用いるハードウェア200の一例を示した構成図である。
【
図5】回転操作部320(操作部144)および発光表示部330(表示部146)を含む断面を示した図である。
【
図6】発光表示部330(表示部146)における発光素子334(表示素子146a~n)の配置を示した上面図である。
【
図7】導光体336の例を示した上面図および断面図である。
【
図8】発光素子334の動作の例を模式的に示した図である。
【
図9】導光体336の他の例を示した上面図および断面図である。
【
図10】発光素子334の動作の他の例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、本実施の形態の操作器140を適用する制御システム100の全体を示したブロック図である。制御システム100は、制御器120、操作器140、被操作機器160および通信線180を有する。同図において、単一の制御器120を図示しているが、複数の制御器120が協働して機能する限り制御器120は複数であってもよい。また、同図において、複数の操作器140および複数の被操作機器160を図示しているが、操作器140および被操作機器160は、それぞれ、単一であっても良い。通信線180は、制御器120と操作器140との間および制御器120と被操作機器160との間でコマンドを通信する。
【0016】
制御器120は、操作器140と被操作機器160との間で通信線180を介したコマンド通信を行い、操作器140からの操作指示情報を受けて被操作機器160を操作するよう制御する。
【0017】
操作器140は、制御器120にコマンドを送信することで、制御器120により制御される被操作機器160を操作する。すなわち、操作器140は、被操作機器160を操作するための要求コマンドを制御器120に送信し、制御器120は、当該要求コマンドを受けて操作コマンドを生成し、生成した操作コマンドを被操作機器160に送信する。被操作機器160は、受信した操作コマンドに従って機能を発現する。
【0018】
被操作機器160が照明機器である場合、制御システム100が準拠する規格としてDALI(登録商標)(Digital Addressable Lighting Interface)規格を採用することができる。すなわち、前記したコマンドは、DALI(登録商標)規格に準拠したコマンドとすることができる。DALI(登録商標)規格に準拠することで、同規格を採用する制御器120および被操作機器160に幅広く対応可能な操作器140を提供することができる。また、DALI(登録商標)規格で採用する制御コマンドを利用して、操作器140および被操作機器160における複雑な制御や報知が可能になる。これにより、ユーザは、DALI(登録商標)規格に準拠する制御器120あるいは被操作機器160を製造メーカに依らず自由に選択でき、また、複雑な制御の実現によってユーザの利便性を高めることができる。
【0019】
図2は、操作器140の主要な構成を示した機能ブロック図である。操作器140は、制御部143、操作部144および報知部145を有する。制御部143は、逓倍器148、選択スイッチ149、調光カウンタ150、調色カウンタ151、調色テーブル152、選択スイッチ153を有する。報知部145は、表示制御部147、表示部146を有する。表示部146は、表示素子146a,146b,・・・,146nを有する。
【0020】
操作部144は、被操作機器160が照明機器である場合、当該照明機器の明るさBを操作する。操作部144として、たとえばロータリーエンコーダを例示する。ロータリーエンコーダのツマミを時計回りに回転して照明機器が明るくなるよう操作し、反時計回りに回転して暗くなるよう操作できる。ロータリーエンコーダは、たとえば1周分解能が25のものを用いることができる。また、ロータリーエンコーダは、ロータを押下してプッシュ信号を出力する機能を備えたものとすることもできる。プッシュ信号を用いて、照明機器の明るさを操作する調光モードと、色調を操作する調色モードとの何れかを選択可能とし、明るさの操作と同様に色調を操作することも可能である。
【0021】
なお、操作部144として、本実施の形態ではロータリーエンコーダを例示しているが、これに限られない。たとえば、ポテンショメータ等の可変抵抗器を用いることも可能である。
【0022】
逓倍器148は、操作部144からの信号、たとえばロータリーエンコーダからのパルス信号を受けて、当該パルス信号の周波数をたとえば4逓倍する。ロータリーエンコーダの1周分解能が25である場合、4逓倍することで分解能が100になる。この場合、操作部144のロータの約2周半の回転が256カウントに相当する。
【0023】
選択スイッチ149は、選択スイッチ153と連動させ、調光モード(調光カウンタ150)か調色モード(調色カウンタ151および調色テーブル152)かを選択する。選択スイッチ149および選択スイッチ153の切り替えは、操作部144としてプッシュ信号機能付きのロータリーエンコーダを用いた場合、ツマミの押下によって行える。調光カウンタ150は、調光モードが選択されている場合のロータリーエンコーダの出力信号(パルス)数をカウントし、調色カウンタ151は、調色モードが選択されている場合のロータリーエンコーダの出力信号(パルス)数をカウントする。調光カウンタ150でカウントされたカウント数は、輝度情報に対応し、表示制御部147に送られる。調色カウンタ151でカウントされたカウント数は、調色テーブル152によって対応する色差情報(RGBデータ)に変換され、表示制御部147に送られる。
【0024】
報知部145は、操作器140の動作状態を報知する。操作器140が照明機器を操作するものである場合、たとえば、現在の明るさ(輝度)、色調、異常状態であるかどうか、等を報知する。
【0025】
表示制御部147は、制御部143から受信した輝度情報および色差情報(RGBデータ)に基づき表示部146を制御する。表示部146は、図示するように、複数の表示素子146a,146b,・・・,146nを有し、表示素子146a~nのそれぞれは、表示制御部147によって制御される。表示素子146a~nとして、RGB-LEDが例示できる。この場合、表示制御部147は、RGB-LEDのドライバとして機能する。
【0026】
図3は、制御システム100で用いるハードウェア200の一例を示した構成図である。
図3に示すハードウェア構成は、一般的なコンピュータシステムと同様であり、制御器120、操作器140、被操作機器160のそれぞれに適用できる。当該ハードウェア構成は、データバス202に、CPU(Central Processing Unit)204、入力装置206、出力装置208、入出力装置210、記憶装置212が接続される。記憶装置212には、RAM(Random access memory)212a、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)212bが含まれる。なお、例示したハードウェア構成は一例であり、他の構成であってもよい。
【0027】
なお、操作器140がDALI(登録商標)規格に準拠する場合、表示部146の報知パターン(たとえば、LEDの点灯パターンやRGB_LEDの点灯割合や色)の指定方法は、DALI(登録商標)規格に準拠して、メモリ領域(バンク領域)の指定によって行うことができる。すなわち、所定のバンク領域に報知パターンを予め登録しておき、実際の報知においては、表示したい報知パターンが登録されているバンク領域のアドレスを指定することで希望する報知(表示)を実行することができる。
【0028】
図4は、操作器140の外観の例を示した図である。
図4に示す操作器140は、回転操作器310と、スイッチ操作器380とを組み合わせた例である。回転操作器310は、回転操作部320および発光表示部330を有し、スイッチ操作器380は、スイッチ操作部382およびスイッチ報知部384を有する。
【0029】
回転操作部320は、操作部144の一例であり、たとえばツマミの回転操作に応じた操作情報(回転数や回転角度、回転によって発生するパルス数)を回転操作器310に入力する。操作器140が照明装置を操作するものである場合、回転操作部320の操作によって、被操作機器160である照明装置の明るさBを操作する。回転操作部320は、前記した照明装置の明るさBの他、照明装置の色調を操作してもよい。
【0030】
発光表示部330は、表示部146の一例であり、操作対象である照明機器の明るさBを表示する。発光表示部330は、回転操作部320の外周に設置され、当該外周の円に沿った発光の長さで明るさBを表示する。すなわち、発光表示部330は、後に説明するように、複数のLED(本例では10個)を回転操作部320の外周に沿って配置し、各LEDの発光の有無と発光強度とを制御することで発光領域の長短を表現し、当該発光領域の長短に対応付けて、照明機器の明るさBの大小を表示する。
【0031】
なお、発光表示部330は、照明機器の明るさBの他、照明機器の色調や操作器140の動作状態(異常であるか否か等)を表示してもよい。また、本例では、発光表示部330が表現する発光領域の形状として円を例示しているが、発光表示部330が表現する発光領域の形状は、円に限らず、直線、曲線、円弧その他、発光領域の長さを表現できる形状である限り、任意の形状を採用することができる。すなわち、発光表示部330(表示部146)は、操作器140が操作する照明機器の明るさBを、直線、曲線、円、円弧その他の線に沿った長さで表示することができる。
【0032】
スイッチ操作部382は、スイッチ操作器380にスイッチ操作を与え、スイッチ報知部384は、発光素子であるLEDの点灯、点滅、点滅パターン、発光色調等によって動作状況等を報知する。スイッチ操作部382は、たとえばプッシュスイッチで構成される。
【0033】
図5は、回転操作部320(操作部144)および発光表示部330(表示部146)を含む断面を示した図であり、
図6は、発光表示部330(表示部146)における発光素子334(表示素子146a~n)の配置を示した上面図である。
【0034】
回転操作部320には、ロータリーエンコーダ322を有し、ロータリーエンコーダ322は、ナット328によって操作器140の上蓋314に固定される。ロータリーエンコーダ322の回転入力部324には、ツマミ326が装着され、化粧カバー312で覆われる。
【0035】
発光表示部330は、基板332に配置された複数の発光素子334(本例では10個)を有する。発光素子334は、たとえば、フルカラーチップLEDとすることができ、各発光素子334は、表示素子146a~nの一例である。発光表示部330は、化粧カバー312に固定された導光体336を有する。
【0036】
図7は、導光体336の例を示した上面図および断面図である。断面図に示すA部は、上面図におけるa-a線断面を示す。導光体336は、発光素子334が発する光を導くものであり、本例では、発光素子334ごとに光を導く導光部336aを有する。これにより、発光素子334ごとの明暗が明確に表示できる。なお、導光体336は、発光素子334ごとに設けてもよい。この場合、導光部336aを設ける必要性は低い。
【0037】
なお、
図6には、発光素子342および発光素子342が表示されているが、当該発光素子342および発光素子342は調光モードまたは調色モードの選択状態その他の情報を表示するためのものであり、発光表示部330で表現しようとする照明機器の明るさの表示には関与しない。
【0038】
次に、操作器140が操作する照明機器の明るさBの表示について説明する。前記したとおり、発光表示部330は、回転操作部320の外周に設置された発光素子334(本例では10個)の発光の有無と発光強度とを制御することで発光領域の長短を表現し、当該発光領域の長短に対応付けて、照明機器の明るさBを表示する。
【0039】
すなわち、発光素子334を、時計回りに左から順に、D1,D2,・・・,D10に割り付け、
照明機器の明るさBの最大値をBmaxとし、Bmaxを発光素子の個数n(ここではn=10)で割った値(実数)をBdとし、Bを被除数、Bdを除数として除算したときの商をQ、剰余(余り)をRとし、表示素子Dk|k=1~nの最大出力をPmaxとしたとき、
表示素子Dk|k=Q+1の出力Pk|k=Q+1を、剰余Rに基づき計算された値Prとし、
表示素子Dk|k<Q+1の出力Pk|k<Q+1を、Pr<Pk|k<Q+1≦Pmax、の範囲の値とし、
表示素子Dk|k>Q+1の出力Pk|k>Q+1を、0≦Pk|k>Q+1<Pr、の範囲の値とする。
【0040】
なお、DkあるいはPkにおける“|k=1~n”の表記は、表示素子(発光素子334)のそれぞれを示す指標であり、k=1~nのように範囲で示した場合は、当該範囲に含まれるkで指標される表示素子(発光素子334)の全てを示すものとする。Dk|k=1のように単一の表示素子(発光素子334)を指標する場合、単にD1と表記する。
【0041】
たとえば、照明機器の明るさBの最大値Bmaxを1000とすると、n=10なのでBd=100となり、明るさBが850(明るさ最大値の85%)の場合、850÷100=8、余り50なので、Q=8、R=50となる。よって、
D9の出力は、R=50に基づき計算された値Pr、
D1~D8の出力は、Prより大きくPmax以下、
D10の出力は、0以上Prより小さい、
となる。
【0042】
具体例として例1を説明する。
(例1)
Pk|k<Q+1=Pmax、
Pk|k=Q+1=Pr=Pmax・(R/Bd)、
Pk|k>Q+1=0、
とする。
【0043】
すなわち、上記数値例(Bmax=1000、n=10、Bd=100、B=850)の場合、Q=8、R=50であり、Pr=Pmax・50/100=Pmaxの50%である。よって、
D1の出力P1=Pmax、
D2の出力P2=Pmax、
D3の出力P3=Pmax、
D4の出力P4=Pmax、
D5の出力P5=Pmax、
D6の出力P6=Pmax、
D7の出力P7=Pmax、
D8の出力P8=Pmax、
D9の出力P9=Pmaxの50%、
D10の出力P10=0、
となる。
【0044】
図8は、上記例1の場合の発光素子334の動作の例を模式的に示した図である。(a)は明るさBが50%の場合を示し、(b)は明るさBが85%の場合を示し、(c)は明るさBが90%の場合を示している。同図(a)において、発光素子334の低レベル側(反時計回り方向)に位置するものから高レベル側(時計回り方向)に位置するものに順にD1~D10の符号を付している。(b)、(c)ではD1~D10の符号を省略する。同図における各発光素子334(D1~D10)の表記において、出力が大きいほど濃く、出力が小さいほど薄く表記しており、消灯の場合は「消」の文字を付している。
【0045】
同図に示すように、明るさBが50%の場合、D1~D5が100%の出力で点灯され、D6~D10は消灯される。明るさBが85%の場合、D1~D8が100%の出力で点灯され、D9が50%の出力で点灯され、D10は消灯される。明るさBが90%の場合、D1~D9が100%の出力で点灯され、D10は消灯される。
【0046】
以上のような構成を有することで、発光素子334間の表示を明確かつ詳細にすることができる。上記例でいえば、80%~90%の間の表示を、D1~D8を100%出力、D9を50%出力、D10を0%出力(消灯)で発光することで、明確かつ詳細に表示することができる。
【0047】
他の具体例として例2を示す。
(例2)
本例2は、表示素子Dk|k=1~nのうち、隣接して配置された複数の表示素子Dk|k=r~s(但し、r<s)が、表示素子Dk|k=Qおよび表示素子Dk|k=Q+1を含み、表示素子Dk|k=rから表示素子Dk|k=sにかけて、表示素子Dk|k=r~sの出力が漸減し、Rが0のときの表示素子Dk|k=r~Qの出力Pk|k=r~QはPmaxより小さく、Rが0のときの表示素子Dk|k=Q+1~sの出力Pk|k=Q+1~sは0以上であり、出力Pk|k=r~QのPmaxからの減少分の合計は、出力Pk|k=Q+1~sの0からの増加分の合計に等しい、構成を有する。また、表示素子Dk|k=r~sのそれぞれの出力Pk|k=r~sは、明るさBの増加または減少に応じて、Pmax・(R/Bd)/(s-r+1)だけ均等に増加または減少する。
【0048】
当該構成は、例1におけるDk|k=Q+1の両側に位置するDk|k=QとDk|k=Q+2の出力値を一部交換し、Dk|k=Q+1を境とする発光領域の境界をなだらかにして視認性をたかめようとするものである。
【0049】
たとえば、Bmax=1000、n=10、Bd=100、B=550の場合、Q=5、R=50となり、rとsの間にQおよびQ+1を含むので、r=5、s=7とする。また、Bの増加または減少に応じて増加または減少するPmax・(R/Bd)/(s-r+1)はPmaxの16.6%である。この場合、
(1)D5~D7にかけて出力が漸減し、
(2)Rが0のときのD5の出力がPmaxより小さく、
(3)Rが0のときのD6、D7の出力が0以上、
(4)Rが0のときのD5のPmaxからの減少分=D6、D7の0からの増加分、
(5)R=50によるD5~D7の増加分がそれぞれ16.6%、
となる。D5の減少分=D6の増加分(D7の増加分は無し)を25%とすると、
D1の出力P1=Pmax、
D2の出力P2=Pmax、
D3の出力P3=Pmax、
D4の出力P4=Pmax、
D5の出力P5=Pmax・(1-0.25+0.166)、
D6の出力P6=Pmax・(0.25+0.166)、
D7の出力P7=Pmax・(0.166)、
D8の出力P8=0、
D9の出力P9=0、
D10の出力P10=0、
となる。
【0050】
以上のような構成とすることがで、発光表示部330の発光領域の境界をなだらかにし、視認性を高めることができる。
【0051】
以上説明した実施の形態によれば、照明器具の明るさを明確かつ詳細に視認することが可能な操作器を得ることができる。
【0052】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0053】
たとえば、上記した実施の形態では、導光体336の導光部336aの中心に発光素子334が位置する例を説明したが、
図9に示すように、発光素子334は、導光体336の低レベル側に偏って位置してもよい。これにより、
図10に示すように、各発光素子334において、低レベル側を明るく、高レベル側を暗く表示することができ、視認性を高めることができる。なお、
図10において、濃く表示されている方が明るいことを示す。
【0054】
また、上記した実施の形態では、発光表示部330の長さ方向に沿った幅が均一な場合を説明したが、
図11に示すように、回転操作部420に沿って配置された各表示素子430の配置方向に沿った線と直行する方向の表示幅dは、明るさBのレベルが低レベル側から高レベル側に向かうに従って広くなるよう構成することも可能である。これにより、高レベル(明るい)ほど表示幅が広くなり、視認性を高めることができる。
【符号の説明】
【0055】
100…制御システム、120…制御器、140…操作器、143…制御部、144…操作部、145…報知部、146…表示部、146a~n…表示素子、147…表示制御部、148…逓倍器、149…選択スイッチ、150…調光カウンタ、151…調色カウンタ、152…調色テーブル、153…選択スイッチ、160…被操作機器、180…通信線、200…ハードウェア、202…データバス、204…CPU、206…入力装置、208…出力装置、210…入出力装置、212…記憶装置、310…回転操作器、312…化粧カバー、314…上蓋、320…回転操作部、322…ロータリーエンコーダ、324…回転入力部、326…ツマミ、328…ナット、330…発光表示部、332…基板、334…発光素子、336…導光体、336a…導光部、342,344…発光素子、380…スイッチ操作器、382…スイッチ操作部、384…スイッチ報知部、420…回転操作部、430…表示素子。