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特開2022-161389層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161389
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 28/04 20060101AFI20221014BHJP
   C01F 7/00 20220101ALI20221014BHJP
   C25D 15/02 20060101ALI20221014BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20221014BHJP
   C25D 15/00 20060101ALI20221014BHJP
   C09D 1/00 20060101ALI20221014BHJP
   C09D 5/08 20060101ALN20221014BHJP
【FI】
C23C28/04
C01F7/00 C
C25D15/02 G
C23C26/00 C
C25D15/00 D
C09D1/00
C09D5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066170
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】廣本 祥子
(72)【発明者】
【氏名】土井 康太郎
【テーマコード(参考)】
4G076
4J038
4K044
【Fターム(参考)】
4G076AA10
4G076BA50
4G076BG01
4G076CA02
4G076CA10
4G076DA14
4J038EA011
4J038HA161
4J038NA03
4J038PB01
4J038PB02
4J038PB07
4J038PC02
4K044AA06
4K044AB02
4K044BA12
4K044BB03
4K044BB11
4K044BC02
4K044CA18
(57)【要約】
【課題】1分~数十分程度の短時間処理で、様々な組成の層状複水酸化物粉末および金属水酸化物を処理対象の金属板上に製膜する方法を提供する。
【解決手段】水を含有する第2の電解液に金属イオンを添加する工程(S110)と、添加した金属イオンを含む第2の電解液に層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板と第2の対極板を浸漬する工程(S112)と、層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板と第2の対極板との間に電場を印加することにより、層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板上に金属イオンを水酸化物として電解析出させる工程(S114、S116)を有する。
層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板は、予め準備されたものでもよく、また処理対象となる電極基板に対して電気泳動堆積法により層状複水酸化物粉末を堆積させてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含有する第1の電解液に層状複水酸化物粉末を分散させる工程と、
前記第1の電解液と前記層状複水酸化物粉末からなる懸濁液に電極基板と第1の対極板を浸漬する工程であって、前記電極基板は被覆処理される金属板であり、
前記電極基板と前記第1の対極板との間に電場を印加することにより、前記電極基板上に前記層状複水酸化物粉末を電気泳動堆積させる工程と、
水を含有する第2の電解液に金属イオンを添加する工程と、
添加した前記金属イオンを含む前記第2の電解液に前記層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板と第2の対極板を浸漬する工程と、
前記層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板と前記第2の対極板との間に電場を印加することにより、前記層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板上に前記金属イオンを水酸化物として電解析出させる工程を有する、
層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項2】
水を含有する第3の電解液に金属イオンを添加する工程と、
添加した前記金属イオンを含む前記第3の電解液に電極基板と第3の対極板を浸漬する工程であって、前記電極基板は被覆処理される金属板であり、
前記電極基板と前記第3の対極板との間に電場を印加することにより、前記電極基板上に前記金属イオンを水酸化物として電解析出させる工程と、
水を含有する第4の電解液中に層状複水酸化物粉末を分散させる工程と、
前記第4の電解液と前記層状複水酸化物粉末からなる懸濁液に前記金属イオンの水酸化物が電解析出した電極基板と第4の対極板を浸漬する工程と、
前記金属イオンの水酸化物が電解析出した電極基板と前記第4の対極板との間に電場を印加することにより、前記電極基板上に前記層状複水酸化物粉末を電気泳動堆積させる工程を有する、
層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項3】
水を含有する第5の電解液に金属イオンを添加すると共に、前記第5の電解液中に層状複水酸化物粉末を分散させる工程、又は前記水を含有する第5の電解液に層状複水酸化物粉末を分散させると共に、前記第5の電解液中に金属イオンを添加する工程と、
添加した前記金属イオンを含む前記第5の電解液と前記層状複水酸化物粉末からなる懸濁液に電極基板と第5の対極板を浸漬する工程であって、前記電極基板は被覆処理される金属板であり、
前記電極基板と前記第5の対極板との間に電場を印加することにより、前記電極基板上に前記金属イオンの水酸化物と前記層状複水酸化物粉末の複合体を電気泳動堆積させる工程と、
水を含有する第6の電解液に金属イオンを添加する工程と、
添加した前記金属イオンを含む前記第6の電解液に、前記金属イオンの水酸化物と前記層状複水酸化物粉末の複合体が堆積した電極基板と第6の対極板を浸漬する工程と、
前記電極基板と前記第6の対極板との間に電場を印加することにより、前記金属イオンの水酸化物と前記層状複水酸化物粉末の複合体が堆積した電極基板上に前記金属イオンを水酸化物として電解析出させる工程を有する、
層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項4】
水を含有する第7の電解液に金属イオンを添加する工程と、
添加した前記金属イオンを含む前記第7の電解液に電極基板と第7の対極板を浸漬する工程であって、前記電極基板は被覆処理される金属板であり、
前記電極基板と前記第7の対極板との間に電場を印加することにより、前記電極基板上に前記金属イオンを水酸化物として電解析出させる工程と、
水を含有する第8の電解液に金属イオンを添加すると共に、前記第8の電解液中に層状複水酸化物粉末を分散させる工程、又は前記水を含有する第8の電解液に層状複水酸化物粉末を分散させると共に、前記第8の電解液中に金属イオンを添加する工程と、
添加した前記金属イオンを含む前記第8の電解液と前記層状複水酸化物粉末からなる懸濁液に前記金属イオンの水酸化物が電解析出した電極基板と第8の対極板を浸漬する工程と、
前記金属イオンの水酸化物が電解析出した電極基板と前記第8の対極板との間に電場を印加することにより、前記電極基板上に前記金属イオンの水酸化物と前記層状複水酸化物粉末の複合体を電気泳動堆積させる工程を有する、
層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項5】
前記第1乃至第8の電解液は、有機溶媒と水の混合溶媒であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項6】
前記有機溶媒と水の体積の割合は、有機溶媒:水=99:1~70:30であることを特徴とする請求項5に記載の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項7】
前記有機溶媒は、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミド、クロロホルムの何れか1種類を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項8】
前記金属イオンは、Mg,Al,Zn、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ca、Cr、Inの何れか1種類を含む金属イオンであり、
前記金属イオンを生成する金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩又は塩化物である、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項9】
前記層状複水酸化物粉末は、一般式:[M2+ (1-x)3+ (OH)][An- x/n・yHO]で表されると共に、
2+は、Mg(マグネシウム),Zn(亜鉛),Ca(カルシウム),Mn(マンガン),Pd(パラジウム),Sr(ストロンチウム),Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル),Cu(銅)の何れか1種類から選択される二価金属イオンであり、
3+は、Al(アルミニウム),Bi(ビスマス),Ga(ガリウム),Ni,Mn,V(バナジウム),Ce(セリウム),La(ランタン),Cr(クロム),Fe(鉄),Co(コバルト),In(インジウム)の何れか1種類から選択される三価金属イオンであり、
前記Aは、NO ,CO 2-,OH,Cl,SO 2-,SiO 4-,リン酸、クロム酸、過マンガン酸、バナジン酸、セレン酸、ホウ酸、フッ化物、カルボン酸の何れか1種類から選択されるn価(n=1、2、3、又は4)の陰イオンである、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項10】
前記層状複水酸化物粉末の三価金属イオンは、二価金属イオンを最大モル比M2+:M3+=2:1まで置換していることを特徴とする請求項9に記載の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項11】
前記電極基板上に電解析出された堆積層における層状複水酸化物粉末と金属水酸化物の体積の割合は、層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=90:10~10:90である、
請求項9又は10に記載の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項12】
前記電極基板は、純Mg材、AZ31(Mg-3Al-1Zn)合金、AZ91(Mg-9Al-1Zn)合金、AM60(Mg-6Al-0.4Mn)合金、AXM(Mg-Al-(Zn)-Ca)合金、WE43(Mg-4Y-3RE)合金、又はZK60(Mg-6Zn-0.5Zr)合金であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。
【請求項13】
前記電極基板に印加される電場は、定電圧又はパルス電圧を用いることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム合金およびアルミニウム合金は輸送機器(自動車、電車など)や家電製品、携帯電子機器、福祉材料(車椅子、杖など)などの軽量化部材として期待されているが、特に塩化物イオンを含む環境での耐食性が低いという課題がある。輸送機器や家電製品は、塩化物イオンを含む雨や海水の飛沫や人の汗に曝される。このため、高耐食性被膜の形成と、部材によっては高耐食性被膜に加えて塗装が必要とされている。
従来のマグネシウム材の耐食性被膜は、クロム、マンガンやフッ素などの環境負荷が高い元素を含むものが主流であったが、RoHSやREACHなどの環境規制が強化されクロメート処理は使用禁止や排除になっている。このため、製造工程での環境負荷が小さく、使用中の環境への安全性も高い元素で構成されている耐食性被膜が求められている。
【0003】
リン酸を主成分とする環境負荷の低い元素で構成されている溶液中での陽極酸化により形成した高耐食性皮膜(特許文献1)の報告もあるが、陽極酸化は消費電力量が大きいという欠点がある。
また、リン酸、マンガン酸および酸化カルシウムを含む化成処理溶液および陽極酸化用電解液が開発されており(非特許文献1~4)、製造された皮膜は高い耐食性および塗料との密着性を示している。しかし、マンガン酸は廃液処理が必要な物質であることから、さらに環境負荷の低い耐食性皮膜およびその製造方法が望まれている。
【0004】
近年、層状複水酸化物(LDH:一般式[M2+ 1-x3+ (OH)][An- x/n・mHO])被膜がマグネシウム合金やアルミニウム合金の耐食性被膜として注目されている(特許文献2、3、4参照)。
LDHはホスト層のMgやAlなどの金属水酸化物層と陰イオンと水分子で構成されるゲスト層が交互に積層した化合物で、層間には陰イオンだけでなく有機分子を取り込むこともできる。このため、マグネシウム合金やアルミニウム合金の腐食インヒビターを層間に挿入したLDHで被膜を形成すると、被膜のキズの自己修復が促進されることが期待されている。これまでに、オートクレーブ(高温/高圧蒸気)処理によるAZ31合金やMg-Al-Zn-Ca合金表面での被膜形成、Zn(NO-Al(NOなどの金属硝酸塩溶液中でのAZ91表面への電解析出による被膜形成や、LDHスラリー埋没加熱処理による被膜形成、Al(NO溶液中での化成処理によるLDH被膜形成が行われた。
【0005】
オートクレーブ処理は、基材マグネシウム合金表面からLDHを成長させる手法のため密着性が高いという利点がある一方、処理に時間がかかり、また大型の部材のために大型高圧蒸気窯を設置するなどコストがかかるという欠点がある。スラリー埋没法も、処理時間が長いという欠点がある。電解析出は短時間で被膜形成できるが、金属硝酸塩水溶液のpHは低く処理中の基材の腐食が懸念されるため、比較的耐食性が低いMg合金や純Mgへの応用に課題がある。化成処理では比較的短時間に処理できる処理法が開発されているが、基材から溶出するMgイオンがLDH層の主成分になるためLDH層の組成や形態が基材Mg合金に大きく依存する。また、電解析出でも化成処理でも、被膜形成後にLDHの層間に任意の陰イオンや有機分子を挿入するのは困難である。これは、LDH層間のイオン交換反応は水溶液中で行われるため、イオン交換処理中に基材マグネシウム合金が腐食される可能性が高いためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5517024号
【特許文献2】特許第4303948号
【特許文献3】WO2019-069841
【特許文献4】特表2015-520018号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Shulha, et al., Sci. Rep., 8: 16409 (2018).
【非特許文献2】Wu et al., Appl. Surf. Sci., 313 834 (2014)
【非特許文献3】軽金属 第67巻 第10 号(2017),511-517
【非特許文献4】Electrochimica Acta, 283 (2018) 1845-1857
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
マグネシウム合金やアルミニウム合金表面に層状複水酸化物(LDH)を被覆する従来の方法には、処理時間が数時間から数日と長い、処理溶液の腐食性が高く処理できる合金組成に制限がある、コストが高いという課題と、LDH組成や層間に挿入できるイオンに制限があるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究の結果、電気泳動堆積法を用いることで、処理時間が短縮できると共にLDH組成や層間に挿入できるイオンが自由に選択できるのではないかと考え、本願発明を想到するに至った。電気泳動堆積法は、電解液中にセラミックス粒子を帯電・分散させ、その懸濁液に電極基板を浸漬し、対極との間に電場を印加することにより、セラミックス粒子を電極基板上に直接堆積させる方法である。電気泳動堆積法の利点として、様々な組成のLDH粉末を堆積できること、および層間に任意の陰イオンや有機分子を挿入したLDH粉末を堆積できる点に着目した。
一方、電気泳動堆積法は一般的に、セラミックス粒子堆積層と電極基板の密着性に課題があることが知られている。本発明者は、電解液に金属イオンを添加し、LDH粉末と共に水酸化物として電解析出させることで、堆積層の密着性を向上させることができることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、上述した課題を解決したもので、1分~数十分程度の短時間処理で、様々な組成の層状複水酸化物粉末および金属水酸化物を製膜する方法および層間に任意の陰イオンや有機分子(インヒビター)を挿入した層状複水酸化物粉末を含む被膜を製膜する方法を提供するものである。
【0011】
[1]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法は、例えば図1図2に示すように、水を含有する第1の電解液に層状複水酸化物粉末を分散させる工程(S100)と、前記第1の電解液と前記層状複水酸化物粉末からなる懸濁液に電極基板と第1の対極板を浸漬する工程であって、前記電極基板は被覆処理される金属板であり(S102)、前記第1の電極基板と前記第1の対極板との間に電場を印加することにより、前記電極基板上に前記層状複水酸化物粉末を電気泳動堆積させる工程(S104、S106)と、
水を含有する第2の電解液に金属イオンを添加する工程(S110)と、添加した前記金属イオンを含む前記第2の電解液に前記層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板と第2の対極板を浸漬する工程(S112)と、前記層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板と前記第2の対極板との間に電場を印加することにより、前記層状複水酸化物粉末の堆積した電極基板上に前記金属イオンの水酸化物として電解析出させる工程(S114、S116)を有するものである。
好ましくは、電極基板12上の層状複水酸化物粉末の堆積層の膜厚が、所定値になるまで、電気泳動堆積を継続し、その後層状複水酸化物で被覆された電極基板12を第1の電解液から取り出す工程(S108)を有するとよい。
【0012】
[2]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法は、例えば図1図5に示すように、水を含有する第3の電解液に金属イオンを添加する工程(S200)と、添加した前記金属イオンを含む前記第3の電解液に電極基板と第3の対極板を浸漬する工程であって、前記電極基板は被覆処理される金属板であり(S202)、前記電極基板と前記第3の対極板との間に電場を印加することにより、前記電極基板上に前記金属イオンの水酸化物として電解析出させる工程(S204、S206)と、
水を含有する第4の電解液中に層状複水酸化物粉末を分散させる工程(S210)と、前記第4の電解液と前記層状複水酸化物粉末からなる懸濁液に前記金属イオンの水酸化物が電解析出した電極基板と第4の対極板を浸漬する工程(S212)と、前記金属イオンの水酸化物が電解析出した電極基板と前記第4の対極板との間に電場を印加することにより、前記電極基板上に前記層状複水酸化物粉末を電気泳動堆積させる工程(S214、S216)を有するものである。
好ましくは、電極基板12上の金属水酸化物の膜厚が、所定値になるまで、電解析出を継続し、その後金属水酸化物で被覆された電極基板12を第3の電解液から取り出す工程(S208)を有するとよい。この金属水酸化物は前記金属イオンの水酸化物である。
【0013】
[3]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法は、例えば図1図7図8に示すように、水を含有する第5の電解液に金属イオンを添加すると共に、前記第5の電解液中に層状複水酸化物粉末を分散させる工程(S300)、又は前記水を含有する第5の電解液に層状複水酸化物粉末を分散させると共に、前記第5の電解液中に金属イオンを添加する工程(S300)と、添加した前記金属イオンを含む前記第5の電解液と前記層状複水酸化物粉末からなる懸濁液に電極基板12と第5の対極板を浸漬する工程であって、電極基板12は被覆処理される金属板であり(S302)、電極基板12と前記第5の対極板との間に電場を印加することにより、電極基板12上に前記金属イオンの水酸化物と前記層状複水酸化物粉の複合体を電気泳動堆積させる工程(S304、S306)と、
水を含有する第6の電解液に金属イオンを添加する工程(S310)と、添加した前記金属イオンを含む前記第6の電解液に、前記金属イオンの水酸化物と前記層状複水酸化物粉末の複合体が堆積した電極基板と第6の対極板を浸漬する工程(S312)と、電極基板12と前記第6の対極板との間に電場を印加することにより、前記金属イオンの水酸化物と前記層状複水酸化物粉末の複合体が堆積した電極基板上に前記金属イオンの水酸化物として電解析出させる工程(S314、S316)を有するものである。
好ましくは、電極基板12上の金属水酸化物と層状複水酸化物粉末の複合堆積層の膜厚が、所定値になるまで、電気泳動堆積を継続し、その後複合堆積層で被覆された電極基板12を第5の電解液から取り出す工程(S308)を有するとよい。
【0014】
[4]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法は、例えば図1図7図10に示すように、水を含有する第7の電解液に金属イオンを添加する工程(S400)と、添加した前記金属イオンを含む前記第7の電解液に電極基板と第7の対極板を浸漬する工程であって、電極基板12は被覆処理される金属板であり(S402)、電極基板12と前記第7の対極板との間に電場を印加することにより、電極基板12上に前記金属イオンの水酸化物として電解析出させる工程(S404、S406)と、
水を含有する第8の電解液に金属イオンを添加すると共に、前記第8の電解液中に層状複水酸化物粉末を分散させる工程、又は前記水を含有する第8の電解液に層状複水酸化物粉末を分散させると共に、前記第8の電解液中に金属イオンを添加する工程(S410)と、添加した前記金属イオンを含む前記第8の電解液と前記層状複水酸化物粉末からなる懸濁液に前記金属イオンの水酸化物が電解析出した電極基板と第8の対極板を浸漬する工程(S412)と、前記金属イオンの水酸化物が電解析出した電極基板と前記第8の対極板との間に電場を印加することにより、電極基板12上に前記金属イオンの水酸化物と前記層状複水酸化物粉末の複合体を電気泳動堆積させる工程(S414、S416)を有するものである。
好ましくは、電極基板12上の金属水酸化物の膜厚が、所定値になるまで、電気泳動堆積を継続し、その後金属水酸化物で被覆された電極基板12を第7の電解液から取り出す工程(S408)を有するとよい。
【0015】
[5]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法[1]乃至[4]において、好ましくは、第1乃至第8の電解液は有機溶媒と水の混合溶媒であるとよい。
[6]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法[5]において、好ましくは、有機溶媒と水の体積の割合は、有機溶媒:水=99:1~70:30であるとよい。
水の体積割合が30%を超えると、被覆処理溶液中での基材マグネシウム合金やアルミニウム合金の腐食が増大すると共に、水の還元反応で発生する水素ガスが増大して、被膜の欠陥が増える。水の体積割合が1%未満であれば、有機溶媒の濃度が高すぎて、電気泳動堆積に必要な電気伝導度が得られない。水の体積割合が1%以上30%以下であり、残部を有機溶媒とすれば、緻密な層状複水酸化物層を作製できる。
[7]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法[5]又は[6]において、好ましくは、前記有機溶媒は、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミド、クロロホルムの何れか1種類を含むとよい。
[8]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法[1]乃至[7]において、好ましくは、前記金属イオンは、Mg,Al,Zn、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ca、Cr、Inの何れか1種類を含む金属イオンであり、前記金属イオンを生成する金属塩は、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩、又は塩化物であるとよい。
【0016】
[9]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法[1]乃至[8]において、好ましくは、層状複水酸化物粉末40は、一般式:[M2+ (1-x)3+ (OH)][An- x/n・yHO]で表されると共に、
2+は、Mg(マグネシウム),Zn(亜鉛),Ca(カルシウム),Mn(マンガン),Pd(パラジウム),Sr(ストロンチウム),Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル),Cu(銅)の何れか1種類から選択される二価金属イオンであり、
3+は、Al(アルミニウム),Bi(ビスマス),Ga(ガリウム),Ni,Mn,V(バナジウム),Ce(セリウム),La(ランタン),Cr(クロム),Fe(鉄),Co(コバルト),In(インジウム)の何れか1種類から選択される三価金属イオンであり、
Aは、NO ,CO 2-,OH,Cl,SO 2-,SiO 4-,リン酸、クロム酸、過マンガン酸、バナジン酸、セレン酸、ホウ酸、フッ化物、カルボン酸の何れか1種類から選択されるn価(n=1、2、3、又は4)の陰イオンであるとよい。
[10]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法[9]において、好ましくは、層状複水酸化物粉末40の三価金属イオンは、二価金属イオンを最大モル比M2+:M3+=2:1まで置換しているとよい。なお、M3+の割合がゼロの場合は、Mg(OH)(ブルーサイト)と呼ばれる。全く置換されていない状態を下限値としておくが、好ましくは二価と三価の金属イオンのモル比は、4:1~2:1の範囲であるとよい。
【0017】
[11]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法[9]又は[10]において、好ましくは、電極基板12上に電解析出された堆積層における層状複水酸化物粉末40と金属水酸化物の体積の割合は、層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=90:10~10:90であるよい。
堆積層における層状複水酸化物粉末と金属水酸化物の体積の割合について説明する。粉末の割合の上限は、層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=90:10(体積比)である。2種類のサイズのレンズ形粒子をランダムに混ぜた場合のシミュレーションで、最大の充填率が約90%になるからである。最も広い範囲の下限は、層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=10:90(体積比)である。これは、低い電圧や低い金属イオン濃度の電解液中でEPDして作製した堆積層における割合である。好ましい範囲の下限は、層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=55:45(体積比)である。均一なサイズの球形粒子をランダムに充填した場合のシミュレーションで最も低い充填率が約55%になるからである。さらに好ましい範囲の下限は、層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=68:32(体積比)である。層状複水酸化物粉末が均一なサイズの球形で体心立方で充填されている場合である。最適範囲の下限は、層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=74:26(体積比)である。層状複水酸化物粉末が均一なサイズの球形で最密充填されており、隙間に金属水酸化物が充填されている場合である。
最も広い範囲:層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=90:10~10:90
好ましい範囲:層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=90:10~55:45
さらに好ましい範囲:90:10~68:32
最適範囲:層状複水酸化物粉末:金属水酸化物=90:10~74:26
[12]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法[1]乃至[11]において、好ましくは、電極基板12は、純Mg又はAZ31(Mg-3Al-1Zn)合金、AZ91(Mg-9Al-1Zn)合金、AM60(Mg-6Al-0.4Mn)合金、AXM(Mg-Al-(Zn)-Ca)合金、WE43(Mg-4Y-3RE)合金、又はZK60(Mg-6Zn-0.5Zr)合金の何れかであるとよい。
[13]本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法[1]~[12]において、好ましくは、電極基板12に印加される電場は、パルス電圧又は定電圧を用いるとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法において、金属イオンとして金属硝酸塩を添加した電解液中での金属水酸化物の電解析出の工程と、層状複水酸化物粉末の電気泳動堆積の工程との2段階で被覆処理を実施する効果、及び最終的に層状複水酸化物粉末と金属水酸化物の複合体を堆積させる効果を、従来技術と対比して説明する。
1) 電気泳動堆積において粉末が基板に押し付けられる力は粉末の表面電荷に比例するため、層状複水酸化物粉末の堆積条件において添加する金属イオンが粉末の表面電荷に及ぼす影響を考慮しなくてよいことは緻密な粉末の堆積層の形成において利点である。
2) 粉末を堆積した後に、金属水酸化物を析出させると粉末の隙間に金属水酸化物が侵入して、粉末同士を接着性を高めるとともに堆積層の孔を封孔できる。
3) 金属水酸化物を析出した後に粉末を堆積させると、基板表面と粉末との間の金属水酸化物が糊として粉末の接着性を高める。また、金属水酸化物層は粉末堆積層よりも緻密なため、被膜の欠陥を低減できる。
4) 層状複水酸化物粉末を主原料としている。このため、層状複水酸化物粉末の組成や層間の陰イオンや有機分子の自由度が高い。
5) 電気泳動堆積法は比較的短時間で数マイクロメートル以上の厚い被膜を形成できる手法のため、被覆時間を短くできる。
6) 電気泳動堆積では、合金組成によらず層状複水酸化物被膜を形成できる。これに対して、化成処理やオートクレーブ処理では、基材マグネシウム合金中のMgやAlが被膜に取り込まれて層状複水酸化物を形成しているため、被膜組成が基材合金の組成に依存する。
7) 実施例のように、電解液に添加する金属イオンとして、金属硝酸塩を添加する場合、電解析出法と電気泳動堆積法を組み合わせた手法になっている。金属水酸化物と層状複水酸化物粉末の析出・堆積により、粉末の密着性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板を製造するために用いる電気泳動堆積装置の概要図で、(A)は層状複水酸化物(LDH)粉末による電気泳動堆積処理、(B)は添加金属イオンによる電解析出処理を示している。
図2】本発明の第1の態様による層状複水酸化物を表面に有する金属板を製造する工程を説明する流れ図である。
図3】様々な濃度のハイドロタルサイト(HT)粉末のみを含むエタノール-水電解液中で電気泳動堆積(EPD)を行ったAZ31表面の電子顕微鏡像である。
図4】本発明の第1の態様によるハイドロタルサイト(HT)粉末を電気泳動堆積した後に金属水酸化物を電解析出した表面の電子顕微鏡写真である。
図5】本発明の第2の態様による層状複水酸化物を表面に有する金属板を製造する工程を説明する流れ図である。
図6】本発明の第2の態様による金属水酸化物を電解析出した後にハイドロタルサイト(HT)粉末を電気泳動堆積した表面の電子顕微鏡写真である。
図7】本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板を製造するために用いる電気泳動堆積装置の概要図で、層状複水酸化物(LDH)粉末と添加金属イオンによる電気泳動堆積処理を示している。
図8】本発明の第3の態様による層状複水酸化物(LDH)を表面に有する金属板を製造する工程を説明する流れ図である。
図9】本発明の第3の態様によるハイドロタルサイト(HT)粉末-金属水酸化物複合体を電気泳動堆積した後に金属水酸化物を電解析出した表面の電子顕微鏡写真である。
図10】本発明の第4の態様による層状複水酸化物(LDH)を表面に有する金属板を製造する工程を説明する流れ図である。
図11】本発明の第4の態様による金属水酸化物を電解析出した後にハイドロタルサイト(HT)粉末-金属水酸化物複合体を電気泳動堆積した表面の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0020】
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1は、本発明の層状複水酸化物(LDH)を表面に有する金属板を製造するために用いる電気泳動堆積装置の概要図で、(A)はLDH粉末の電気泳動堆積処理、(B)は添加金属イオンの電解析出処理を示している。図1(A)、(B)において、電気泳動堆積装置は、電解槽10、スターラー20、直流電源30、関数発生器36を備えている。
図1(A)では、電解槽10は、LDH粉末40が分散した表面処理溶液16aを収容していると共に、表面処理溶液16aに被処理金属基板としての基材12、対極板14が浸されており、攪拌子22が表面処理溶液16aの下部に位置している。基材12には、電気泳動堆積法による処理の進行に従って、その表面にLDH粉末の電気泳動堆積物18aが存在する。直流電源30の一方の極と基材12との間は、電線32で結線されている。直流電源30の他方の極と対極板14との間は、電線34で結線されている。
基材12と対極板14との間で生ずる電位差によって、表面処理溶液16aの内部でLDH粉末40が対極板14から基材12に移動して、堆積したLDH粉末40の層が形成される。直流電源30の電圧は、電気泳動堆積に必要な電圧としている。電気泳動堆積では、帯電した粉末が電場の力(F=qE.F:力、q:電荷クーロン、E:電圧)で電極基板上に押し付けられている。
【0021】
図1(B)では、電解槽10は、金属イオン42が添加された表面処理溶液16bを収容していると共に、表面処理溶液16bに被処理金属基板としての基材12、対極板14が浸されており、攪拌子22が表面処理溶液16bの下部に位置している。基材12には、電気泳動堆積法による処理の進行に従って、LDH粉末40の電気泳動堆積物18aが堆積した基材12の表面に金属イオン水酸化物18bの堆積層が存在する。直流電源30の一方の極と基材12との間は、電線32で結線されている。直流電源30の他方の極と対極板14との間は、電線34で結線されている。
基材12と対極板14との間で生ずる電位差によって、表面処理溶液16bの溶液内で添加金属イオン42が対極板14から基材12に移動して、堆積した金属水酸化物18の層が形成される。直流電源30の電圧は、電解析出に必要な電圧としている。
【0022】
このように構成された電気泳動堆積装置の動作を説明する。
電気泳動堆積装置では、粉末を堆積させる基板である基材12を陰極、ステンレス板等の対極板14を陽極にして電場を印加する。このため、電解液中でプラスに帯電している粉末および陽イオン(カチオン)が陰極に引き付けられ、陰イオン(アニオン)が陽極側に引き付けられる。陰極に引き付けられた粉末は電場により押し付けられた状態となっている。同時に陰極表面では水の電気分解が起こり、水素発生とpH上昇が起こる。このため、陰極に引き付けられた陽イオン(カチオン)は高pH環境で水酸化物として陰極表面に析出する。
本発明の電気泳動堆積装置において、図1(A)では、陰極Mg合金表面で、電場によるLDH粉末の押しつけが起きている。他方、図1(B)では、Mgイオンおよび/もしくはAlイオンのpH上昇による水酸化物としての析出や有機溶媒との化合物である有機金属化合物としての析出が起きている。既に、基材12にLDH粉末40の層が形成されている場合は、Mgイオンおよび/もしくはAlイオンのpH上昇による水酸化物や有機溶媒との化合物である有機金属化合物が、LDH粉末の表面やLDH粉末間の隙間に露出しているMg合金表面に吸着する状態で析出する。LDH粉末やMg合金表面に吸着した金属イオンは大気中の水と反応して水酸化物や酸化物になり、有機金属化合物は加水分解されると水酸化物や酸化物になる。このため、金属水酸化物をバインダー(糊)としてLDH粉末がMg合金表面に固着することができる。
【0023】
層状複水酸化物は、一般式:[M2+ (1-x)3+ (OH)][An- x/n・yHO]で表される(成田榮一、粘土科学,46(4),207-218(2007)参照)。
ここで、基本層のM2+は、Mg(マグネシウム),Zn(亜鉛),Ca(カルシウム),Mn(マンガン),Pd(パラジウム),Sr(ストロンチウム),Fe(鉄),Co(コバルト),Ni(ニッケル),Cu(銅),などの二価金属イオンである。
基本層のM3+は、Al(アルミニウム),Bi(ビスマス),Ga(ガリウム),Ni,Mn,V(バナジウム),Ce(セリウム),La(ランタン),Cr(クロム),Fe(鉄),Co(コバルト),In(インジウム)などの三価金属イオンである。
水酸化物基本層中の三価金属イオンは、二価金属イオンを最大モル比M2+:M3+=2:1まで置換することができる。
中間層の陰イオンAは、NO ,CO 2-,OH,Cl,SO 2-,SiO 4-,リン酸、クロム酸、過マンガン酸、バナジン酸、セレン酸、ホウ酸、フッ化物、カルボン酸などのn価の陰イオンである。
【0024】
表面処理溶液16は、表面処理用の電解液であって、その組成は電気泳動の溶液として次の様になっている。
有機溶媒―水混合溶媒:有機溶媒は、アルコール系として、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコールなどがある。ケトン系として、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどがある。エーテル系として、ジエチルエーテルなどがある。その他として、ジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミド、クロロホルムなどがある。
【0025】
電解液に分散させるLDH粉末の濃度は、電解液に対する体積比率として、0%以上10%以下であるとよい。LDH粉末の濃度が10%を超えると、懸濁液中での粒子間距離が近くなって凝集し、沈降しやすくなるという技術的課題が生じる。
電解液に添加する金属イオンとして、金属硝酸塩を添加する場合、Mg(NOおよびAl(NO濃度範囲は、例えば次の比率とするとよい。
Mg(NO:Al(NO=1:0~0:1
金属イオンとLDH粉末が共存している場合、マグネシウムイオンは、LDH粉末表面に吸着してLDH粉末と共に負極側に泳動し、負極表面でゲル状水酸化マグネシウムとして析出するため、水酸化マグネシウムがLDH粉末を負極表面や粉末同士に接着させる糊としての働くという技術的効果がある。アルミニウムイオンも、マグネシウムイオンと同様にLDH粉末表面に吸着して泳動し、LDH粉末を負極表面や粉末同士に接着させる糊としての働くという技術的効果がある。マグネシウムイオンとアルミニウムイオンを同時に添加すると、負極表面でマグネシウムとアルミニウムの複水酸化物として析出し、LDH粉末を負極表面や粉末同士に接着させる糊として働く。
【0026】
図2は、第1の態様による本発明の層状複水酸化物(LDH)を表面に有する金属板を製造する工程を説明する流れ図である。
まず、電解液16aにLDH粉末40を分散させる(S100)。この場合には例えばスターラーを用いて攪拌する。LDH粉末40は電解液16a中で自発的に帯電する。
次に、電解液16aとLDH粉末40からなる懸濁液に電極基板12及び対極板14を浸漬する(S102)。そして、電極基板12と対極板14との間に電場を印加する(S104)。電場の印加は、例えば直流電源30の一方の極と基材12との間を電線32で結線し、直流電源30の他方の極と対極板14との間を電線34で結線し、直流電源30から所定電位の定電圧やパルス電圧により電場を印加する。すると、電極基板12上にLDH粉末40が電気泳動堆積する(S106)。
電極基板12上のLDH粉末40の膜厚が、所定値になるまで、電気泳動堆積を継続する(S108)。電気泳動堆積を継続させる時間は、直接電極基板12上のLDH粉末40の膜厚を測定してもよく、また直流電源30から供給した電荷の総量や電気泳動堆積前後の基材の重量変化から定めてもよい。そして、LDH粉末40で被覆された電極基板12を電解液16aから取り出す(S108)。
【0027】
次に、第2電解液16bに金属イオン42を添加する(S110)。次に、添加した金属イオン42を含む電解液16bに電極基板12及び対極板14を浸漬する(S112)。電極基板12と対極板14との間に電場を印加する(S114)。すると、LDH粉末40で被覆された電極基板12上に金属イオン42の水酸化物が電解析出する(S116)。電極基板12上の金属水酸化物の膜厚が、所定値になるまで、電解析出を継続する(S118)。そして、LDH粉末40の電気泳動堆積層の上を金属イオン42の水酸化物で被覆された堆積層18bを有する電極基板12を電解液16bから取り出す(S218)。
【0028】
実施例では、LDH粉末として市販のハイドロタルサイト(HT)粉末を用いた。HTは層間にCO 2-イオンが挿入されたMg-Al系LDHである。基材には、Mg-3mass% Al-1mass% Zn(AZ31)合金を用いた。AZ31合金は、現在、自動車やカメラ、パソコン、携帯電話等の部材に使用されている汎用マグネシウム合金である。
【0029】
<実施例1-1>HT粉末のみの電気泳動堆積
Mg-3mass% Al-1mass% Zn(AZ31)板表面を#1200の耐水研磨紙で仕上げ、基材とした。電解液には、エタノール:水=4:1(体積比)の溶媒に粒径約1μmの市販のハイドロタルサイト(HT)粉末を1~5w/v%(weight/volμme%)で懸濁した溶液を用いた。同懸濁液を撹拌しながら、作用極として基材AZ31板および対極としてステンレス鋼メッシュ板を挿入した。AZ31板を陰極として対極との間にピーク―ピーク(p-p)電圧10V、周波数0.1Hz、デューティー比98%のパルス電圧を10分間印加し、電気泳動堆積(EPD)を行った。EPD後のAZ31板を100℃で1時間乾燥した後、イソプロパノール溶液で超音波洗浄し、LDH堆積表面を得た。なお、超音波洗浄前の表面は目視ではHT粉末で均一に覆われていた。
【0030】
EPDにおいて、HT濃度を1w/v%、2w/v%、3w/v%、5w/v%としたときのHT堆積表面の電子顕微鏡写真を図3に示す。表面にHT粉末の凝集体が付着していた。電解液中のHT粉末濃度の増加に伴い、HT粉末の付着量は増加した。
【0031】
<実施例1-2>HT粉末の電気泳動堆積→金属水酸化物の電解析出
Mg-3mass% Al-1mass% Zn(AZ31)板表面を#1200の耐水研磨紙で仕上げ、基材とした。1段目のハイドロタルサイト(HT)粉末の電気泳動堆積のための電解液には、イソプロパノール:水=40:1(体積比)の溶媒に粒径約1μmの市販のHT粉末を2w/v%(weight/volμme%)で懸濁した溶液を用いた。作用極として基材AZ31板および対極としてステンレス鋼板を電解液に挿入した。AZ31板を陰極として対極との間に定電圧100Vを1分間印加し、電気泳動堆積(EPD)を行った。
2段目の金属水酸化物の電解析出のための電解液には、イソプロパノール:水=40:1(体積比)の溶媒に0.002mol/Lの硝酸マグネシウムおよび0.0005mol/Lの硝酸アルミニウムを添加した溶液を用いた。1段目の電気泳動堆積でHT粉末が堆積した基材AZ31を作用極として、ステンレス鋼板を対極として電解液に挿入した。陰極と対極の間に定電圧100Vを1分間印加し、電解析出を行った。その後、100℃にて1時間乾燥した。
図4に作製した表面の電子顕微鏡写真を示す。最表面に金属水酸化物が観察され、基材と金属水酸化物の間にHT粉がみられた。基材表面にHT粉末と金属水酸化物の複合堆積層が形成できた。
【0032】
図5は、第2の態様による本発明の層状複水酸化物(LDH)を表面に有する金属板を製造する工程を説明する流れ図である。第2の態様は、第1の態様と比較すると、電極基板12上へのLDH粉末40の電気泳動堆積と金属イオンの水酸化物の電解析出の順序が逆になっている。
まず、電解液16bに金属イオン42を添加する(S200)。次に、添加した金属イオン42を含む電解液16bに電極基板12及び対極板14を浸漬する(S202)。電極基板12と対極板14との間に電場を印加する(S204)。電場の印加は、例えば直流電源30の一方の極と基材12との間を電線32で結線し、直流電源30の他方の極と対極板14との間を電線34で結線し、直流電源30から所定電位の定電圧やパルス電圧により電場を印加する。すると電極基板12上に金属イオンの水酸化物が電解析出する(S206)。
電極基板12上の金属水酸化物の膜厚が、所定値になるまで、電解析出を継続する(S208)。電解析出を継続させる時間は、直接電極基板12上の金属水酸化物の膜厚を測定してもよく、また直流電源30から供給した電荷の総量や電解析出前後の基材の重量変化から定めてもよい。そして、金属水酸化物で被覆された電極基板12を電解液16bから取り出す(S208)。
【0033】
次に、別の電解液16a中にLDH粉末40を分散させる(S210)。この場合には例えばスターラーを用いて攪拌する。LDH粉末40は電解液16a中で自発的に帯電する。
次に、電解液16aとLDH粉末40からなる懸濁液に金属イオン42の水酸化物で被覆された電極基板12及び対極板14を浸漬する(S212)。そして、電極基板12と対極板14との間に電場を印加する(S214)。すると、電極基板12上にLDH粉末40が電気泳動堆積する(S216)。電極基板12上のLDH粉末40の膜厚が、所定値になるまで、電気泳動堆積を継続する(S218)。そして、金属水酸化物で被覆された電極基板12の表面上がLDH粉末40の電気泳動堆積層で被覆された処理済みの電極基板12を電解液16aから取り出す(S218)。
【0034】
<実施例2>金属水酸化物の電解析出→HT粉末の電気泳動堆積
Mg-3mass% Al-1mass% Zn(AZ31)板表面を#1200の耐水研磨紙で仕上げ、基材とした。1段目の金属水酸化物の電解析出のための電解液には、イソプロパノール:水=40:1(体積比)の溶媒に0.002mol/Lの硝酸マグネシウムおよび0.0005mol/Lの硝酸アルミニウムを添加した溶液を用いた。作用極として基材AZ31板および対極としてステンレス鋼板を電解液に挿入した。AZ31板を陰極として対極との間に定電圧100Vを1分間印加し、電解析出を行った。
【0035】
2段目のハイドロタルサイト(HT)粉末の電気泳動堆積のための電解液には、イソプロパノール:水=40:1(体積比)の溶媒に粒径約1μmの市販のHT粉末を2w/v%(weight/volμme%)で懸濁した溶液を用いた。1段目の電解析出で金属水酸化物を堆積した基材AZ31を作用極として、ステンレス鋼板を対極として電解液に挿入した。陰極と対極の間に定電圧100Vを1分間印加し、電気泳動堆積を行った。その後、100℃にて1時間乾燥した。
図6に作製した表面の電子顕微鏡写真を示す。金属水酸化物の堆積層の上面にHT粉末が付着していた。基材表面にHT粉末と金属水酸化物の複合堆積層が形成できた。
【0036】
図7は、本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板を製造するために用いる電気泳動堆積装置の概要図で、LDH粉末と添加金属イオンの同時存在による電気泳動堆積処理を示している。なお、図7において前出の図1の構成要素と同一作用をするものには同一符号を付して説明を省略する。
図1(A)においては、電解槽10にLDH粉末40が分散した表面処理溶液16aを収容しているが、図7においては、電解槽10に金属イオン42を添加した表面処理溶液16にLDH粉末40を分散させて収容している。
なお、別工程である図1(B)に示す工程は、電解槽10に金属イオン42が添加された表面処理溶液16bを収容しているが、図7に示す工程でも図1(A)に示す工程と同様に組み合わせて、電極基板の被覆処理がなされる。
【0037】
図7における動作としては、基材12と対極板14との間で生ずる電位差によって、表面処理溶液16の内部でLDH粉末40と添加金属イオン42が対極板14から基材12に移動して、LDH粉末40と金属水酸化物18の電気泳動堆積層が形成される。直流電源30の電圧は、電気泳動堆積に必要な電圧としている。電気泳動堆積では、帯電した粉末が電場の力(F=qE.F:力、q:電荷クーロン、E:電圧)で電極基板上に押し付けられている。
【0038】
図7に示す電気泳動堆積処理の工程では、陰極Mg合金表面で、電場によるLDH粉末の押しつけと同時に、Mgイオンおよび/もしくはAlイオンのpH上昇による水酸化物としての析出や、LDH粉末に吸着した状態での析出、または有機溶媒との化合物である有機金属化合物としての析出が同時に起こっている。LDH粉末に吸着した金属イオンは大気中の水と反応して水酸化物や酸化物になり、有機金属化合物は加水分解されると水酸化物や酸化物になる。このため、金属水酸化物をバインダー(糊)としてLDH粉末がMg合金表面に固着することができる。
【0039】
図8は、本発明の第3の態様による層状複水酸化物(LDH)を表面に有する金属板を製造する工程を説明する流れ図である。
本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板を製造する第3の態様は、第1の態様と比較すると、電極基板12上にHT粉末のみを電気泳動堆積するのに代えて、第3の態様では電極基板12上にHT粉末と金属水酸化物の複合体を電気泳動堆積し、続いて金属イオンの水酸化物の電解析出を行っている。
【0040】
まず、金属イオンを添加した電解液16にLDH粉末40を分散させる(S300)。LDH粉末40の分散には、例えばスターラーを用いて攪拌する。LDH粉末40は電解液16中で自発的に帯電する。なお、電解液に対する金属イオンの添加とLDH粉末の分散の順序は、逆でもよい。即ち、LDH粉末を分散させた電解液16に金属イオンを添加する順序でもよい。
次に、金属イオンを添加した電解液16とLDH粉末40からなる懸濁液に電極基板12及び対極板14を浸漬する(S302)。そして、電極基板12と対極板14との間に電場を印加する(S304)。すると、電極基板12上にLDH粉末40と金属イオン42の水酸化物の複合体が電気泳動堆積する(S306)。
電極基板12上のLDH粉末40と金属イオン42の水酸化物の複合体の膜厚が、所定値になるまで、電気泳動堆積を継続する(S308)。電気泳動堆積を継続させる時間は、直接電極基板12上のLDH粉末40と金属イオン42の水酸化物の複合体の膜厚を測定してもよく、また直流電源30から供給した電荷の総量や電気泳動堆積前後の基材12の重量変化から定めてもよい。そして、LDH粉末40で被覆された電極基板12を電解液16から取り出す(S308)。
第2の工程である電極基板12に金属イオン42の水酸化物を電解析出させる工程S310~S318は、図2に示すS110~S118と同様である。
【0041】
<実施例3>HT粉末と金属水酸化物の複合体を電気泳動堆積→金属水酸化物の電解析出
Mg-3mass% Al-1mass% Zn(AZ31)板表面を#1200の耐水研磨紙で仕上げ、基材とした。1段目のハイドロタルサイト(HT)粉末と金属水酸化物の複合体を電気泳動堆積のための電解液には、0.002mol/Lの硝酸マグネシウムおよび0.0005mol/Lの硝酸アルミニウムを添加したイソプロパノール:水=40:1(体積比)の溶媒に、粒径約1μmの市販のHT粉末を2w/v%(weight/volμme%)で懸濁した溶液を用いた。作用極として基材AZ31板および対極としてステンレス鋼板を電解液に挿入した。AZ31板を陰極として対極との間に定電圧100Vを1分間印加し、電気泳動堆積(EPD)を行った。
【0042】
2段目の金属水酸化物の電解析出のための電解液には、イソプロパノール:水=40:1(体積比)の溶媒に0.002mol/Lの硝酸マグネシウムおよび0.0005mol/Lの硝酸アルミニウムを添加した溶液を用いた。1段目の電気泳動堆積でHT粉末および金属水酸化物の複合体が堆積した基材AZ31を作用極として、ステンレス鋼板を対極として電解液に挿入した。陰極と対極の間に定電圧100Vを1分間印加し、電解析出を行った。その後、100℃にて1時間乾燥した。
図9に作製した表面の電子顕微鏡写真を示す。基材表面は研磨痕がみえない量のHT粉末と金属水酸化物の複合堆積層に覆われており、その表層に析出した金属酸化物がみられた。基材表面にHT粉末と金属水酸化物の複合堆積層が形成できた。
【0043】
本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板を製造する第4の態様は、第2の態様と比較すると、金属イオンの水酸化物の電解析出を行い、続いて、第2の態様では電極基板12上にHT粉末のみを電気泳動堆積するのに代えて、第4の態様では電極基板12上にHT粉末と金属水酸化物の複合電気泳動堆積を行っている。
図10は、本発明の第4の態様による層状複水酸化物を表面に有する金属板を製造する工程を説明する流れ図である。
最初の工程である電極基板12に金属イオン42の水酸化物を電解析出される工程S400~S408は、図5に示すS200~S208と同様である。
【0044】
次に、金属イオンを添加した別の電解液16中にLDH粉末40を分散させる(S410)。この場合には例えばスターラーを用いて攪拌する。LDH粉末40は電解液16中で自発的に帯電する。なお、電解液に対する金属イオンの添加とLDH粉末の分散の順序は、逆でもよい。即ち、LDH粉末を分散させた電解液16に金属イオンを添加する順序でもよい。
次に、金属イオンを添加した電解液16とLDH粉末40からなる懸濁液に金属イオン42の水酸化物で被覆された電極基板12及び対極板14を浸漬する(S412)。そして、電極基板12と対極板14との間に電場を印加する(S414)。すると、電極基板12上にLDH粉末40と金属イオン42の水酸化物の複合体が電気泳動堆積する(S416)。電極基板12上のLDH粉末40の膜厚が、所定値になるまで、電気泳動堆積を継続する(S418)。そして、金属水酸化物で被覆された電極基板12の表面上がLDH粉末40と金属イオン42の水酸化物の複合体の電気泳動堆積層で被覆された処理済みの電極基板12を電解液16から取り出す(S418)。
【0045】
<実施例4>金属水酸化物の電解析出→HT粉末と金属水酸化物の複合電気泳動堆積
Mg-3mass% Al-1mass% Zn(AZ31)板表面を#1200の耐水研磨紙で仕上げ、基材とした。1段目の金属水酸化物の電解析出のための電解液には、イソプロパノール:水=40:1(体積比)の溶媒に0.002mol/Lの硝酸マグネシウムおよび0.0005mol/Lの硝酸アルミニウムを添加した溶液を用いた。作用極として基材AZ31板および対極としてステンレス鋼板を電解液に挿入した。AZ31板を陰極として対極との間に定電圧100Vを1分間印加し、電解析出を行った。
【0046】
2段目のハイドロタルサイト(HT)粉末と金属水酸化物の複合電気泳動堆積のための電解液には、0.002mol/Lの硝酸マグネシウムおよび0.0005mol/Lの硝酸アルミニウムを添加したイソプロパノール:水=40:1(体積比)の溶媒に、粒径約1μmの市販のHT粉末を2w/v%(weight/volμme%)で懸濁した溶液を用いた。1段目の電解析出で金属水酸化物を堆積した基材AZ31を作用極として、ステンレス鋼板を対極として電解液に挿入した。陰極と対極の間に定電圧100Vを1分間印加し、電気泳動堆積を行った。その後、100℃にて1時間乾燥した。
図11に作製した表面の電子顕微鏡写真を示す。基材に研磨痕がみえない量の金属水酸化物が析出しており、その上にHT粉と金属水酸化物の複合体が堆積していた。基材表面にHT粉末と金属水酸化物の複合堆積層が形成できた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上詳細に説明したように、本発明の層状複水酸化物を表面に有する金属板の製造方法によればマグネシウム合金およびアルミニウム合金において、高耐食性被膜の形成と、用途によっては高耐食性被膜に加えて塗装も容易に行えるので、これら軽合金を輸送機器や家電製品に用いる場合に、塩化物イオンを含む雨や海水の飛沫や人の汗に曝されても耐久性が高まる。
【符号の説明】
【0048】
10:電解槽
12:基材(被処理金属基板、電極基板)
14:対極板
16a、16b:表面処理溶液(電解液)
18a、18b:堆積した金属水酸化物
20:スターラー
22:攪拌子
30:直流電源
36:関数発生器
40:LDH(層状複水酸化物)粉末
42:添加金属イオン

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11