(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161414
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】袋供給装置における袋搬送機構
(51)【国際特許分類】
B65B 43/18 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
B65B43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066215
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋正
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BA04
3E030BA09
3E030BB02
3E030BC02
3E030CA02
3E030CA09
3E030CC02
3E030DA02
3E030FA05
3E030GA04
(57)【要約】
【課題】従来の袋搬送機構は、袋Wの底部にマチWmを有する袋は、袋を一旦停止させるストッパ3にマチWmの折り返し部Wmoが引っかかって良好に受け渡しできない不具合やストッパの角部に袋Wが局所的に接触して袋の表面に細かな傷が生じる場合がある。
【解決手段】本発明の袋搬送機構100は、袋Wを搬送経路に沿ってストッパ151に当接するまで搬送し、包装機側へ袋を受け渡すために、袋を搬送する袋搬送機構である。ストッパ151は、エアーシリンダ154等により、搬送経路から上方に突出して袋Wが当接し停止する突出姿勢と、搬送経路から退いて袋に当接しない後退姿勢と、にわたって出退自在に駆動する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立した袋をストックすると共に、ストックした袋群を先端側へ案内する機構を備えた袋ストック手段と、この袋ストック手段の袋を包装機側に搬送して供給する袋供給手段と、を備え、前記袋ストック手段と袋供給手段との間に、袋ストック手段から袋を取り出す袋取り手段を備えた袋供給装置における袋搬送機構であって、
前記袋搬送機構は、袋を包装機側に搬送する搬送経路を備え、搬送経路の先端に搬送されてきた袋を停止させるストッパを設けており、前記ストッパは、搬送経路より突出し、搬送されてきた袋が当接して停止する突出姿勢と、搬送経路から退いて袋が接触しない後退姿勢と、にわたって出退自在に駆動することを特徴とする袋供給装置における袋搬送機構。
【請求項2】
搬送経路の先端部に、袋を下方から受ける袋受け板を配置し、袋受け板にスリットが形成され、アクチュエータにより前記スリットからストッパが出退自在に駆動することを特徴とする請求項1に記載の袋供給装置における袋搬送機構。
【請求項3】
袋受け板の先端の中央部両側に、袋の先端両側が傾かずに正確に停止したか否かを検知する少なくとも2個のセンサーが配置され、先端側の中央後方に袋のオーバランを防止するセンサーが配置されたことを特徴とする請求項2に記載の袋供給装置における袋搬送機構。
【請求項4】
袋受け板のスリットの近傍に設けた小孔から、エアーを送ってスリットにより停止する袋を浮き上げるように構成していることを特徴とする請求項2に記載の袋供給装置における袋搬送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は袋をストッパで停止させた後に包装機側に供給する袋供給装置における袋搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された大容量袋供給装置には、搬送対象物である袋を所定箇所で停止させた後、この袋をさらに包装機側に供給する袋供給装置が開示されている。
【0003】
図14に示すように、この種の従来の袋搬送機構1では、搬送経路の先端案内面の一部を形成する袋受け板2に、略四角棒状のブロックからなるストッパ3を固定している。そして、
図15(A)に示すように、搬送経路に沿って搬送されてきた袋Wは、袋口先端部がストッパ3に当接して停止し、この後、袋Wの袋口側の上面を吸盤で吸着するなどして持ち上げ、
図15(B)に示すように、袋Wの先端部が、ストッパ3を乗り越える状態とするとともに、受渡し機構(図示せず)により、この袋Wを後工程の包装機側(搬送方向A)に供給している。
【0004】
ところで、被包装物を包装する袋Wは、マチがない平袋以外に、
図16に示すように、底部にマチWmがあるマチ付き袋である場合がある。このような袋Wがマチ付き袋である場合には、袋Wの底部にマチWmへの折り返し部Wmoがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1などに開示されている従来の袋供給装置では、ストッパ3が袋受け板2に固定され、袋受け板2から上方に突き出た状態である。そのため、袋Wがマチ付き袋である場合に、ストッパ3に当接させて停止させた後、受け渡しする際に、袋Wの本体部分から続くマチWmの折り返し部Wmoがストッパ3に引っかかってしまい、袋Wを良好に受け渡しできない不具合が発生することがある。しかも、ストッパ3の角部に袋Wが局所的に接触した状態で引っ張られるため、袋Wの本体部分などの表面に細かな傷が生じることがある。
【0007】
このような不具合を解消する構造としては、袋Wを斜め上方に吹き上げる送風装置を下方に設けて、折り返し部Wmoなどを有する袋Wの後部(底部側)をエアーにより強制的に斜め上方に吹き上げてストッパ3を乗り越えさせることが考えられる。しかし、かかる構造は、エアーで袋Wの後部を強制的に吹き上げるため、多量のエアーを送らなければならないと共に、袋Wに応じた送風量の調整も必要となるなどの短所もある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み、袋を良好に停止させることができるだけでなく、良好に包装機側に供給することができる袋供給装置における袋搬送機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、起立した袋をストックすると共に、ストックした袋群を先端側へ案内する機構を備えた袋ストック手段と、この袋ストック手段の袋を包装機側に搬送して供給する袋供給手段と、を備え、前記袋ストック手段と袋供給手段との間に、袋ストック手段から袋を取り出す袋取り手段を備えた袋供給装置における袋搬送機構であって、前記袋搬送機構は、袋を包装機側に搬送する搬送経路を備え、搬送経路の先端に搬送されてきた袋を停止させるストッパを設けており、前記ストッパは、搬送経路より突出し、搬送されてきた袋が当接して停止する突出姿勢と、搬送経路から退いて袋が接触しない後退姿勢と、にわたって出退自在に駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の袋搬送機構は、前記構成により、袋を包装機側へ良好に供給することが可能となる。また、袋がストッパに局所的に接触しながら供給されることがないため、袋の表面に細かな傷が生じることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の袋搬送機構を備えた大容量袋供給装置の全体斜視図
【
図4】袋取り手段を構成する袋取り機構と袋渡し機構の正面図
【
図5】袋架設台及び袋搬送機構の紐ベルトコンベアの側面図
【
図8】本発明の袋搬送機構の袋受け板やストッパなどの斜視図
【
図9】本発明の袋搬送機構の袋受け板やストッパなどの側面図
【
図10】本発明の袋搬送機構の袋受け板やストッパなどの使用状態の正面図
【
図15】従来の袋搬送機構のストッパなどの使用状態図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の袋搬送機構100を備えた大容量袋供給装置の斜視図、
図2は正面図、
図3は平面図である。この実施の形態では、袋搬送機構100が大容量袋供給装置の一部として備えられている。大容量袋供給装置は、袋が起立した状態でかつ大容量でストックされ、このストックされた袋群から袋を1袋ずつ取り出して、包装機側へ供給する装置である。
【0013】
大容量袋供給装置は、起立した袋Wを大容量でストックすると共に、ストックした袋群を先端側へ案内する機構を備えた袋ストック手段と、この袋ストック手段の袋Wを包装機側に搬送して供給する袋供給手段と、を備えている。また、前記袋ストック手段と袋供給手段との間に、袋ストック手段から袋Wを取り出す袋取り手段と、前記袋取り手段により取り出した袋Wの方向を検知する袋方向検知手段と、前記袋方向検知手段により検知した袋Wの方向に基づいて、袋供給手段で搬送する定められた方向に袋Wを旋回する袋旋回手段と、が設けられている。以下に、これらの各手段について説明する。
【0014】
(袋ストック手段)
図1に示すように、袋供給手段である袋搬送機構100の手前には、袋ストック手段である袋ストック機構50が配設されている。この袋ストック機構50は、基台51に袋ストック通路52を備えており、この袋ストック通路に、起立した状態で袋口が横向きとなった袋Wを大容量で載置する。この袋Wは、底部(袋底)に折り返し部Wmo(
図16参照)を有するいわゆるマチ付き袋である。ただし、袋Wはマチ付き袋に限定されるものではなく、平袋等であっても使用可能である。マチ付き袋などの袋口側と袋底側で厚みが相違する袋Wの袋群では、袋Wを同じ方向に多く重ねるに従って、袋口側と袋底側の厚みの差が大きくなるので、袋群が扇状に捻じれた状態となり、袋ストック機構50内で袋Wが正しい姿勢で起立せず、袋取り手段で取り出しミスが発生するおそれがある。このため、この実施の形態では、10枚とか20枚とか、ある程度まとまった枚数の袋Wの袋口側と袋底側を左右逆にしてストックし、袋口側と袋底側の厚みの差を平均化し、袋群を全体的に歪みの無い状態で整列して袋ストック通路52にストックしている。
【0015】
前記袋ストック通路52は、両側に側面送りコンベア53が配置されており、前方の駆動プーリー55と後方の従動プーリー(図示せず)とに渡って架け渡された紐ベルト72が回転して袋群を前方にゆっくりと送り出している。前記側面送りコンベア53は、基台51の長手方向に配置されるとともに架設ロッド57を介して基台51の幅方向にスライド可能なフレーム56に装備されている。そして、
図2に示すハンドル58を回転することにより、両フレーム56の間隔、ひいては側面送りコンベア53の間隔を、袋Wの寸法に応じて調整することができる。
【0016】
前記袋ストック通路52の長手方向底部中央に袋押しベルト59が敷設され、この袋押しベルト59に袋押部材60が垂直に着脱可能にセットされている。袋押しベルト59が回転駆動すると、袋押部材60が前方にゆっくりと移動して、袋ストック通路52にストックされた袋群を後方から前方に押し出して袋取り手段側に送り出す。
【0017】
図1~
図3に示すように、側面送りコンベア53が装備されたフレーム56の先端には、ゲート状のプレート板61を有し、このプレート板61の先端上部間に係止板62が架設されている。そして、前記側面送りコンベア53と袋押部材60により、袋ストック通路52の前方に押し出された袋群の先端の袋Wが飛び出ないように係止し、後述する袋取り手段に受け渡されるまで先端の袋Waを係止している。また、袋ストック通路52の先端部に設けられた袋検知片(図示せず)で先端の袋Waを検知している。
【0018】
(袋取り手段)
袋取り手段は、袋ストック機構50の先端に位置する袋Wを取り出して袋旋回手段に受け渡す機構である。
図4に示すように、本実施の形態では、袋取り手段は、袋ストック機構50から袋Wを取り出す袋取り機構63と、この袋取り機構63から取り出した袋Wを受け取り、後述の袋旋回手段に受け渡す袋渡し機構64とから構成されている。
【0019】
袋取り機構63は、第1駆動ボックス65の側部において、平行ロッド66により水平方向に支持されている。
図1に示すように、平行ロッド66は、回転駆動されるメインロッド67と、サブロッド68からなり、これらのロッド67,68の両端は連結板69で連結されている。メインロッド67とサブロッド68の真ん中に、スクリューロッド70が回動可能に支持され、このスクリューロッド70の端部にハンドル71が設けられている。そして、このハンドル71を回動することにより、スクリューロッド70の雌ネジと螺合する一対のスライド板75が幅方向の相反する方向にスライドする(すなわち、近接、離間に)。これらのスライド板75のスライドに伴って、後述するスライド板75に取り付けられた吸盤76の横方向の間隔を調整できるように構成されている。
【0020】
また、袋取り機構63は、スライド板75の下端部に取り付けられたエアーシリンダ77により取付プレート78が出退自在に取り付けられると共に、取付プレート78にスライドロッド79が平行に取り付けられている。1本のスライドロッド79に2個の吸盤76がネジ80を介して上下方向にスライド可能に固定され、2本のスライドロッド79に、合計4個の吸盤76が固定されている。なお、袋Wの形状によっては下側の2個の左右の吸盤76だけでもよい。
【0021】
袋渡し機構64は、前記袋取り機構63から袋Wを受け取って、後述する袋旋回手段の袋架設台90に袋Wを乗せる働きをする。この袋渡し機構64は、前記袋取り機構63と隣接し、前記第1駆動ボックス65から水平方向に突出して支持されている。この袋渡し機構64の回動筒81には、外軸82と中軸83とが格納され、外軸82の外方に突出して取り付けられた摺動ガイド84が外軸82の回動に伴って正逆方向に回動する。また、摺動ガイド84にスライド自在に取り付けられた摺動部85には本体板86が取り付けられている。本体板86と回動筒81の中軸83とが、くの字形のリンク89を介して連結され、中軸83が回転してリンク89の屈曲運動により、摺動部85が摺動ガイド84に沿って往復動する。前記本体板86にエアーシリンダ87が取り付けられると共に、本体板86の先端部に挟持部88が軸支され、エアーシリンダ87のロッドと挟持部88とが連結し、前記エアーシリンダ87のロッドの伸縮により挟持部88が開閉して袋Wをつかむ。
【0022】
(袋方向検知手段)
袋方向検知手段は、前記袋渡し機構64から袋架設台90上に架け渡された袋Wがどちらの方向に架け渡されているのか検知部91により検知する機構である。この検知部91は、CCDカメラなどの画像センサーを用いており、袋ストック機構50から袋Wを取り出して袋旋回手段に受け渡す過程における袋Wの画像や、袋架設台90上に載置された袋Wの画像を認識して袋Wの向きを判断する。
図2では、CCDカメラは袋架設台90の下部に設置されているが、設置位置は袋Wの向きを認識するのに適した位置に適宜変更すればよい。なお、検知部91は、CCDカメラに限定されるものではなく、レーザセンサーのように、袋Wの厚みをレーザで計測したり、特許文献1のように被検知板で袋Wを機械的に挟み込んで袋Wの厚みを計測したりして袋Wの向きを検出してもよい。
【0023】
(袋旋回手段)
袋旋回手段は、袋ストック機構50から取り出された袋Wを架け渡す袋架設台90を備えている。
図5は前記袋架設台90の側面図、
図6は斜視図である。この袋架設台90は平行な二本の長尺で逆L状の鋼材からなるカウンター部92が平行に配置されている。
図5に示すように、上段の水平部はカウンター部92で、下段内側の水平部は側板102であるが、
図6に示すように側板102は部分的に僅かに水平に庇状に内方に張り出している。前記カウンター部92とカウンター部92との間の間隔は袋Wの長手寸法よりも短く、袋Wの幅寸法よりも長く設定しており、ハンドル93とスクリューネジによりその幅を袋Wの種類に応じて調整することができる。従って、
図6に示す袋架設台90に対して、長手方向に架け渡された袋Wでは袋口側と袋底側がカウンター部92上に乗り、幅方向に回転した袋Wでは両側部がカウンター部92に乗らず、下降して側板102上に乗り移ると同時に、後述する袋搬送機構100の紐ベルトコンベア101上に乗り移る。
【0024】
袋架設台90の各カウンター部92の両外側部には、長手方向に架け渡された袋Wの袋口側と袋底側を押さえて保持するコ字状の保持板94が配置されている。この保持板94の上部裏面が前記カウンター部92に接し、カウンター部92上に架け渡された袋Wの袋口側と袋底側を挟持し、後述する袋旋回吸盤107が下方から上昇して吸着しても袋Wは袋架設台90から外れないようになっている。なお、保持板94の下端はエアーシリンダ95と連結しており、エアーシリンダ95のロッドの伸縮により保持板94が上下動してカウンター部92上の袋Wを保持したり、開放したりすることが可能である。
【0025】
図7は袋旋回手段の一部を構成する袋旋回機構105の斜視図である。この袋旋回機構105は、前記袋架設台90の下部に設置され、袋架設台90上に架け渡された袋Wを正逆方向に回転する機構である。この袋旋回機構105の役割は、所定方向に袋Wを旋回して袋搬送機構100に受け渡すためのものである。即ち、前記袋ストック機構50に、袋Wが袋口と袋底を左右逆にしてストックされているため、そのままの状態で袋Wを袋搬送機構100で搬送して包装機に受け渡すと、ある袋Wは袋底側を上にして逆の状態で包装機に受け渡されることになり不都合である。そこで、袋搬送機構100で搬送された袋Wは、袋口リフト機構106が袋口側を常に吸着できるように、前記袋方向検知手段で袋架設台90上の袋Wの方向を検知してこの袋旋回機構105により袋口が下流側に向くように回転する。
【0026】
前記袋旋回機構105は、袋架設台90上に、保持板94で保持された袋Wの中心部を下方から吸着する袋旋回吸盤107が吸引パイプ108の上端部に備え付けられており、この吸引パイプ108の下端部のエルボに図示していない吸引ホースが接合されている。吸引パイプ108はブラケット109を介して旋回アクチュエータ110の回動軸に接合され、エアー駆動の旋回アクチュエータ110により正逆方向に90度回動する。旋回アクチュエータ110は基板112の上にスライド可能にセットされ、位置調整機構としてのスクリューネジ113に取り付けられたハンドル114を回転することにより、旋回アクチュエータ110が基板112上をスライドして袋旋回吸盤107の位置調整ができる。そして、前記袋旋回吸盤107は、袋Wの寸法に応じて、ハンドル114を回転して旋回アクチュエータ110をスライドさせて袋旋回吸盤107が袋Wの中心位置に来るようにセット可能である。
【0027】
この袋旋回機構105は基板112を下部から支えて昇降自在な昇降部115により昇降動する(
図2参照)。
図5に示すように、前記昇降部115により袋旋回吸盤107が、袋架設台90に架け渡された袋Wを下から吸着し、袋Wを正逆何れかの方向に90度回転して下端位置まで下降し、側板102上と紐ベルトコンベア101上に乗せる。
【0028】
(袋供給手段)
袋供給手段の実施の形態に係る袋搬送機構100は、袋架設台90の下部から包装機側にかけて配置された袋を供給する搬送機構であって、前記袋架設台90の下部から後述する袋口リフト機構106まで袋Wを搬送する紐ベルトコンベア101を備えている。この紐ベルトコンベア101は、前記袋架設台90より下層でカウンター部92間の中央部に配置されており、側板102と同じ高さである。
図5に示すように、側板102間の間隔は袋Wの横幅より小さく、前記袋旋回機構105により旋回した袋Wが前記袋架設台90のカウンター部92とカウンター部92との間を通り抜け、下降し、両側の側板102上と紐ベルトコンベア101上に乗せられる。袋Wの両側部が側板102上に乗り、中央部が紐ベルトコンベア101上に乗って支持されることとなるため、紐ベルトコンベア101の回転により袋Wは袋口リフト機構106側に搬送される。
【0029】
図3や
図8に示すように、袋搬送機構100の先端部には光センサー103が3か所設けられている。先端の中央部後方の1個の光センサー103は袋Wが先端部に近づいたことを検知し、袋Wがオーバランしないよう紐ベルトコンベア101の速度を落すために設けられている。先端の中央部両側に配置された2個のセンサーは袋Wの先端両側が袋搬送機構100の先端の所定の位置に傾かずに正確に停止したか否かを検知するために設けられている。
【0030】
図8~
図10に示すように、袋搬送機構100の先端には、搬送経路に沿って配置され、紐ベルトコンベア101により搬送されてきた袋Wの先端部などを下方から受ける袋受け板150と、搬送経路に沿って搬送されてきた袋Wの先端が当接して、袋を停止させるストッパ151とが設けられている。袋受け板150には、幅方向に延びるスリット152(ストッパ151が出退する孔)や光センサー103の光を透過させる貫通孔153が形成され、袋受け板150の下方に上下アクチュエータ154が組付けられている。
【0031】
前記上下アクチュエータ154により、ストッパ151が搬送経路より上方に突出して袋W(詳しくは袋Wの先端)が当接する突出姿勢(
図10(A)参照)と、搬送経路から下方に後退して袋Wに接触しない後退姿勢(
図10(B)参照)と、にわたって出退自在となる。なお、上下アクチュエータ154はエアーにより上下駆動させると好適であり、
図8に上下アクチュエータ154に接続されたエルボにエアーパイプが接続されるが、これに限るものではなく、上下アクチュエータ154をソレノイドなど電気により上下駆動させる構造としてもよい。また、この実施の形態では、
図9に示すように、取付ブラケット155を介して、左右のストッパ151が上下アクチュエータ154のロッド154aに取り付けられているが、これに限るものではなく、ストッパ151の数は1つや3つ以上でもよい。
【0032】
また、
図9に示すように、上下アクチュエータ154は、その上部に袋受け板150を組み付けたL字形の支持ブラケット156に取り付けられている。この支持ブラケット156は、所定位置に固定された支持台157上においてネジ158を緩めることで、搬送方向に対する位置を調整可能な状態で組付けられている。また、支持台157には、支持ブラケット156、袋受け板150及びストッパ151などの位置を設定するための目盛部159が組付けられている。
【0033】
(袋口リフト機構)
図2に示す袋口リフト機構106は、袋搬送機構100の先端部に搬送されてきた袋Wの袋口を吸着して持ち上げて、図示していない次の袋受渡し機構が袋Wを受け取るようにする機構である。なお、袋受渡し機構は、袋口リフト機構106から受け取った袋Wをロータリー式包装機などの包装機に受け渡す。
【0034】
図1~
図3に示すように、袋口リフト機構106は、第1駆動ボックス65に隣接する第2駆動ボックス117に設けられている。この袋口リフト機構106には、第2駆動ボックス117から横方向に突出した回動軸に、リンク118が回動可能に軸支され、このリンク118に三角板122が取り付けられている。さらに、前記三角板122に平行棒121が取り付けられ、この平行棒121に吸盤119を固定した2個のブロック120が摺動可能に取り付けられている。
【0035】
前記袋口リフト機構106は、第2駆動ボックス117内の駆動機構により、リンク118の一端が右回りに回転し、吸盤119が伏して袋搬送機構100の先端に停止する袋Wの袋口側を吸着する。リンク118の一端が左回りに回転すると、吸盤119が上方に持ち上がる。吸盤119が袋Wの袋口側を持ち上げることにより、次工程の袋受渡し機構が受け取りロータリー式包装機に受け渡す。
【0036】
以上のような大容量袋供給装置は、例えば、袋3000枚程度を一度にセット可能であって、能力50袋/分であれば、60分の連続運転が可能となり、袋を補充する作業者の兼任を可能としている。さらに、袋Wを横向き起立してセットでき、袋口を自動判定する方式を採用したことで、マチ付き袋等を大容量セットすることができる。
【0037】
次に、前記大容量袋供給装置の使用状態について説明する。
図11~
図13は本発明の袋搬送機構を備えた大容量袋供給装置の使用状態を示すものである。
図11(1)の左側の袋ストック機構50には、まとまった枚数の袋Wが起立した状態で、袋口と袋底を左右逆にして袋群の両側部の厚みの差を平均化し、袋群が全体的に並列な姿勢で袋ストック通路52に大容量ストックされている。
【0038】
まず、
図11(1)では、袋取り機構63の平行ロッド66がメインロッド67を中心に右回りに回転して袋Wと取りに行った状態を示す。吸盤76の吸着面が袋ストック機構50の先端の袋Waの面と平行に対面した状態で、エアーシリンダ77の作動ロッドを伸長する。スライドロッド79に取り付けられた吸盤76により袋ストック機構50の先端の袋Waを取りに行く。吸盤76が先端の袋Waを吸着するとエアーシリンダ77の作動ロッドを収縮させる。ただし、袋渡し機構64はまだ停止した状態で待機している。
【0039】
図11(2)では、袋ストック機構50の先端の袋Waを吸着した袋取り機構63は、メインロッド67を中心に平行ロッド66を左回りに45度回転する。それと同時に、袋渡し機構64は、前記袋取り機構63の袋Waを受け取るために、挟持部88を開いた状態で、リンク89により摺動部85を下方に摺動させながら、外軸82を右方向に45度回転する。そして、挟持部88が袋取り機構63の吸盤76により保持された袋Wを挟持する位置に来た時に、エアーシリンダ87が作動して挟持部88が袋Wの袋口側を挟持する。
【0040】
図12(3)は、袋ストック機構50と袋搬送機構100の正面図と側面図である。この
図12(3)は袋取り機構63から袋Wを受け取った袋渡し機構64が、そのまま下方に回転して袋架設台90上に袋Wを乗せている。袋Wは袋架設台90のカウンター部92とカウンター部92の間に架け渡される状態であるので、
図12(3)の右図に示すように袋架設台90に乗った状態になる。この段階では、まだ、袋Wの袋口側と袋底側が保持板94により袋架設台90上に押さえ付けられてはいない。
【0041】
図12(4)では、袋取り機構63は45度左に回転して次の袋Wを袋ストック機構50に取りに行くが、袋渡し機構64は袋Wを袋架設台90上に載置したまま、エアーシリンダ95が作動して、袋Wの袋口側と袋底側を保持板94により袋架設台90上に保持する。前記のように、袋Wは袋ストック機構50に、袋口と袋底を左右逆にしてストックされているので、袋口が左右どちらにくるのかは、ストック時の状態により異なる。そこで、
図5に示すように、下方から検知部91のCCDカメラにより袋Wの姿勢を撮影する。袋底には、折り返し部Wmoが設けられており、袋Wの表裏面にはイラスト等が印刷されているので、検知部91の撮像により、どちらが袋口なのか袋底なのか判別することができる。
【0042】
図12(4)では、さらに袋旋回機構105の昇降部115により、袋旋回機構105が持ち上げられると同時に、袋旋回吸盤107が上昇して、袋架設台90の保持板94により保持された袋Wの裏面の回転中心部を吸着する。
【0043】
図13(5)では、袋渡し機構64が袋取り機構63から次の袋Wを受け取ろうとしている。そして、検知部91の結果から、制御装置により袋旋回吸盤107の回転方向を決定した後、エアーシリンダ95が作動して保持板94が上昇して袋Wを開放する。その後、
図7の旋回アクチュエータ110を作動させ、ブラケット109を介して吸引パイプ108を90度回転する。袋Wの回転方向は、後の工程で袋Wが袋搬送機構100により搬送される際に、袋口側が下流側(袋搬送機構100の先端側)を向くようにして、袋口リフト機構106の吸盤119が袋口を吸着するようにする。このように、袋旋回機構105は、袋Wを左右どちら側かに回転し、袋口を袋口リフト機構106が吸引できるようにする。
【0044】
図13(6)では、前記工程で適正な方向に90度回転した袋Wを、袋旋回吸盤107により吸着した状態で、昇降部115により袋旋回機構105が下降し、
図5に示すように、袋Wを側板102及び袋搬送機構100の紐ベルトコンベア101上に載置する。袋旋回吸盤107に吸着した袋Wが90度回転すると、
図5に示す上層の袋Wが、袋Wの幅方向に向くように回転するので、袋架設台90に架け渡された袋Wが、カウンター部92とカウンター部92との間を通過して側板102及び紐ベルトコンベア101上に載置することができる。
【0045】
側板102及び紐ベルトコンベア101上に載置された袋Wは、紐ベルトコンベア101により下流側に搬送され、袋搬送機構100の先端部のストッパ151により定められた位置に停止する。その後は、袋口リフト機構106のリンク118が下方に旋回し、吸盤119により停止した袋Wを吸着した後、図示しない袋受渡し機構により前記袋口リフト機構106の袋Wを受け取り、同じく図示しないロータリー式包装機に受け渡す。ロータリー式包装機では被包装物の充填と袋Wの袋口のシールが行われる。
【0046】
本発明の実施の形態の袋搬送機構100においては、ストッパ151は、上下アクチュエータの作動により、搬送経路(袋受け板150)のスリット152から突出して袋Wが当接して停止する突出姿勢と、搬送経路から下方に退いて袋Wが接触しない後退姿勢と、にわたって出退自在に駆動する。そして、袋Wを停止させる際にはストッパ151が搬送経路から突出する突出姿勢(
図10(A)参照)とする一方、袋Wを包装機側へ受け渡しするにはストッパ151が搬送経路から下方に退いて袋Wに接触しない後退姿勢(
図10(B)参照)とする。
【0047】
前記構成により、袋Wを停止させる際には、ストッパ151が、搬送経路のスリット152から突出して袋Wが当接して停止する突出姿勢であるため、袋Wを良好に停止させることができる。また、袋Wを包装機側へ受け渡す際には、ストッパ151が搬送経路から退いて袋Wに接触しない後退姿勢であるので、ストッパ151に袋Wの折り返し部Wmoが引っ掛かることがなく、したがって、袋Wを落とすことなく包装機側に良好に受け渡しができる。なお、スリット152は、袋Wの搬送方向に対する孔の寸法が小さいので、ストッパ151が後退した後のスリット152に、袋Wの折り返し部Wmoが引っ掛かることもない。また、袋Wを包装機側に受け渡しする際には袋Wがストッパ151に接触しないので、ストッパの先端部などが袋Wの表面に局所的に接触して細かな傷が生じることもない。
【0048】
なお、スリット152の近傍に複数の小孔(図示せず)を設け、エアーを送って、袋Wが浮き上がるように構成してもよい。なお、この際でも、エアーの送風量は極めて少なくても差し支えなく、この構成により、袋Wと袋受け板150との接触による袋W表面の細かな傷を防止することが可能となる。
【0049】
なお、上記の実施の形態においては、袋搬送機構100の先端部に搬送されてきた袋Wを袋口リフト機構106により持ち上げて、後工程の包装機側へ供給する場合を述べたが、これに限るものではなく、袋搬送機構100に搬送されてきた袋Wを直接、後工程の包装機側へ受け渡しする場合でもこの袋搬送機構100を適用可能であることはもちろんである。また、上記の実施の形態においては、袋Wをマチ付き袋で説明したが、通常の平袋を兼用する袋供給装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、袋Wをストックする袋ストック機構50から包装機側に袋Wを供給する袋搬送機構において有用である。
【符号の説明】
【0051】
50 袋ストック機構
63 袋取り機構
64 袋渡し機構
90 袋架設台
91 検知部
100 袋搬送機構
101 紐ベルトコンベア
102 側板
103 光センサー
105 袋旋回機構
106 袋口リフト機構
110 旋回アクチュエータ
150 袋受け板
151 ストッパ
152 スリット
153 貫通孔
154 上下アクチュエータ
156 支持ブラケット
157 支持台