(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161427
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】コーヒーゼリー飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20221014BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20221014BHJP
A23L 29/20 20160101ALI20221014BHJP
A23F 5/24 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23L2/52
A23L29/20
A23F5/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066250
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】初川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山本 進太郎
【テーマコード(参考)】
4B027
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B027FB24
4B027FC02
4B027FK01
4B027FK02
4B027FK04
4B027FK10
4B027FK18
4B027FQ17
4B027FQ19
4B027FQ20
4B041LC01
4B041LD01
4B041LD10
4B041LE08
4B041LK01
4B041LK11
4B041LK18
4B041LK21
4B041LK37
4B041LP01
4B041LP17
4B041LP18
4B041LP21
4B117LC02
4B117LE10
4B117LG17
4B117LK01
4B117LK10
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4B117LL06
4B117LL09
4B117LP14
4B117LP17
4B117LP20
(57)【要約】
【課題】容器詰めコーヒーゼリー飲料におけるコーヒー感および後味のキレを改善できる新規な技術を提供する。
【解決手段】 カフェインと、カリウムとを含むと共に、乳固形分を非含有であるか、またはその含有量が5重量%未満で乳固形分を含有し、カフェインの含有量が220~1000ppmであり、カリウムの含有量が120~200mg/100gである、容器詰めコーヒーゼリー飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフェインと、
カリウムとを含むと共に、
乳固形分を非含有であるか、またはその含有量が5重量%未満で乳固形分を含有し、
カフェインの含有量が220~1000ppmであり、カリウムの含有量が120~200mg/100gである、容器詰めコーヒーゼリー飲料。
【請求項2】
その含有量が5重量%未満で乳固形分を含有する、請求項1に記載の容器詰めコーヒーゼリー飲料。
【請求項3】
20℃にした前記コーヒーゼリー飲料の表面に対して直径15mmのプランジャーを垂直に押し当てて荷重を加えていったときに前記コーヒーゼリー飲料が破断するときの破断荷重が10~200gである、請求項1または2に記載の容器詰めコーヒーゼリー飲料。
【請求項4】
乳固形分を非含有であるか、またはその含有量が5重量%未満で乳固形分を含有する容器詰めコーヒーゼリー飲料において、
カフェインをその含有量を220~1000ppmとして含有させると共に、カリウムをその含有量を120~200mg/100gとして含有させることを含む、容器詰めコーヒーゼリー飲料のコーヒー感および後味のキレの改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコーヒーゼリー飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
容器詰めゼリー飲料は、例えば容器を軽く数回振るなどして内容物であるゼリーを破砕した後に容器から排出させたりして飲用する飲料である。
特許文献1にはこのような容器詰めゼリー飲料として、容器詰めコーヒーゼリー飲料が記載されている。特許文献1に記載されるような容器詰めコーヒーゼリー飲料では、飲用することでコーヒー感(飲んだときにコーヒーを連想させる香味)とゼリー状の形態に由来する独特の食感を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、容器詰めコーヒーゼリー飲料におけるコーヒー感および後味のキレを改善できる新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は研究の過程で、コーヒーゼリー飲料では、ゲル状成分を含まないコーヒー飲料と比較してコーヒー感の好ましさおよび後味のキレにおいて十分でないことを見出した。そして鋭意研究の結果、本発明者はコーヒーゼリー飲料においてカフェインとカリウムを所定の含有量として含有させることでコーヒー感の好ましさおよび後味のキレを高めることができることを見出し、本発明を完成させた。
なお、本明細書において、後味のキレとは飲用後の後味がスッとなくなるような感覚であり、甘味、苦味、酸味、うまみ、塩味も含めて飲用後の後味が無くなっていく感覚をいう。
また、本明細書においては、コーヒー感の好ましさを高めることをコーヒー感の改善ともいう。同様に、後味のキレを高めることを後味のキレの改善ともいう。
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
カフェインと、
カリウムとを含むと共に、
乳固形分を非含有であるか、またはその含有量が5重量%未満で乳固形分を含有し、
カフェインの含有量が220~1000ppmであり、カリウムの含有量が120~200mg/100gである、容器詰めコーヒーゼリー飲料。
[2]
その含有量が5重量%未満で乳固形分を含有する、[1]に記載の容器詰めコーヒーゼリー飲料。
[3]
20℃にした前記コーヒーゼリー飲料の表面に対して直径15mmのプランジャーを垂直に押し当てて荷重を加えていったときに前記コーヒーゼリー飲料が破断するときの破断荷重が10~200gである、[1]または[2]に記載の容器詰めコーヒーゼリー飲料。
[4]
乳固形分を非含有であるか、またはその含有量が5重量%未満で乳固形分を含有する容器詰めコーヒーゼリー飲料において、
カフェインをその含有量を220~1000ppmとして含有させると共に、カリウムをその含有量を120~200mg/100gとして含有させることを含む、容器詰めコーヒーゼリー飲料のコーヒー感および後味のキレの改善方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容器詰めコーヒーゼリー飲料におけるコーヒー感および後味のキレを改善できる新規な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は、容器詰めコーヒーゼリー飲料に関する。該容器詰めコーヒーゼリー飲料は、カフェインと、カリウムとを含むと共に、乳固形分を非含有であるか、またはその含有量が5重量%未満で乳固形分を含有する。本実施形態の容器詰めコーヒーゼリー飲料において、カフェインの含有量は220~1000ppmであり、カリウムの含有量は120~200mg/100gである。
【0009】
本明細書において、容器詰めゼリー飲料とは、容器に詰められたゼリー飲料(容器の内容物の少なくとも一部がゲル状の形態を有している飲料)を意味する。また、容器詰めコーヒーゼリー飲料とは、コーヒー豆から抽出または溶出した成分を原料として含み(以下、該原料をコーヒー原料ともいう)、飲んだときにコーヒー感を得ることができる容器詰めゼリー飲料をいう。
【0010】
コーヒー原料は、湯または水を用いてコーヒー豆から抽出されたコーヒー抽出液、コーヒーエキスを含むもの、またはドライ加工されたインスタントコーヒーを湯または水で溶解させて得られたものであってもよく、これらを混合したものであってもよい。さらに、例えばこれらのうちいずれか一種とともにコーヒーフレーバーを併用してもよい。
本実施形態のコーヒーゼリー飲料に係る具体的な製品としては、1977年に制定された「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」において規定されるコーヒー、コーヒー飲料、またはコーヒー入り清涼飲料などに分類される製品が挙げられる。なお、「飲用乳の表示に関する公正競争規約」によれば、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものについては「乳飲料」として扱われる。このような乳飲料として扱われる飲料もコーヒー豆から抽出または溶出した成分を含有し、飲んだときにコーヒー感が感じられる限り、本明細書でいうところのコーヒー飲料に含まれる。
【0011】
本実施形態に係るコーヒーゼリー飲料(容器の内容物)は、ゲル化剤により少なくとも一部がゲル状の形態を有している。硬さについては特に限定されないが、本発明の構成を適用することでよりコーヒー感および後味のキレを改善することができるため、破断荷重が10~200gであることが好ましい。
なお、本明細書において、ゼリー飲料の破断荷重とは、20℃にしたゼリー飲料の表面に対して直径15mmのプランジャーを垂直に押し当てて荷重を加えていったときに、ゼリー飲料が破断するときの最大荷重F(g)を意味する。ゼリー飲料の破断荷重は、例えば、レオメーターを用いて測定することができ、プランジャーの降下速度は、例えば、6cm/minとすることができる。破断荷重を測定する対象のゼリー飲料の大きさは、例えば、直径を50mm、とすることができ、厚み(プランジャーが降下する方向における長さ)を80mmとすることができる。また、ゼリー飲料が破断するとは、プランジャーがゼリー飲料に突き刺さる(プランジャーがゼリー飲料の表面から内部に進入する)ことを指し、必ずしも、ゼリー飲料が崩壊することを要するものではない。
【0012】
ゲル化剤は、本実施形態に係るコーヒーゼリー飲料を所望の硬さに調整できるものであれば、種類、配合量は特に制限されない。例えば、ゲル化剤として、カラギーナン、ローカストビーンガム、グァーガム、寒天、ゼラチン、脱アシルジェランガム、ネイティブジェランガム、グルコマンナン、キサンタンガム、タマリンドシードガム、アルギン酸塩等が挙げられ、これらを1種または2種類以上が用いられてもよい。
【0013】
本実施形態の容器詰めコーヒーゼリー飲料は、上述のとおりカフェインとカリウムを含有する。
カフェイン(1,3,7-Trimethylpurine-2,6-dione)は、本実施形態の容器詰めコーヒーゼリー飲料において220~1000ppm含有される。飲料に含まれるカフェインの由来は特に限定されず、よってその含有量の調整方法も特に限定されない。例えばカフェインはコーヒー原料に由来するようにすることができ、コーヒー原料の添加量などによってカフェイン含有量を調整するようにしてもよい。また、カフェイン自体を添加して飲料中の含有量を調整することもできる。
カフェインの含有量は、原料に基づき算出することができるほか、例えば液体クロマトグラム(HPLC)法により測定することができる。
【0014】
また、カリウムは、コーヒー原料や甘味料、乳成分、pH調整剤に由来するようにすることができ、これらの添加量などによってカリウムの含有量を調整することもできるが、調整の容易さからはカリウム塩を添加することが好ましい。
カリウム塩としては、炭酸カリウム、塩化カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸ニ水素カリウム、リン酸三カリウム、水酸化カリウム、乳酸カリウム、酒石酸カリウム、コハク酸カリウム、リンゴ酸カリウム等が挙げられる。
【0015】
飲料中のカリウムに関し、その含有量は、カリウムがどのような形態で添加され、またどのような状態で存在するかに関わらず、カリウムとして換算又は測定した値をいう。
本実施形態の容器詰めコーヒーゼリー飲料において、カリウムは120~200mg/100g含有され、コーヒー感の好ましさ、後味のキレのさらなる改善の観点から130~180mg/100g含有されることが好ましい。
飲料中のカリウムの含有量は、原料に基づき算出することができるほか、例えば原子吸光光度法により測定することができる。
【0016】
本実施形態の容器詰めコーヒーゼリー飲料は、乳固形分を非含有であるか、またはその含有量が5重量%未満で乳固形分を含有するコーヒーゼリー飲料とすることができる。ここで、本発明の構成を適用することでよりコーヒー感および後味のキレを改善することができるため、飲料中5重量%未満(より好ましくは3重量%未満)で乳固形分を含有することが好ましい。
本明細書において、乳固形分とは、乳脂肪分と無脂乳固形分の合計を意味する。乳固形分の含有量は、原料に基づき算出することができるほか、飲料中の乳脂肪分は、レーゼ・ゴットリーブ法などにより測定することができ、また、無脂乳固形分量は、ケルダール法などにより測定することができる。
【0017】
容器詰めコーヒーゼリー飲料に含有されてもよい乳成分は特に限定されないが、例えば、生乳、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、加工クリーム、濃縮乳、部分脱脂乳、練乳、粉乳、および発酵乳等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
本実施形態のコーヒーゼリー飲料は、コーヒー原料、ゲル化剤、カフェイン、カリウム、必要に応じて含有される乳成分のほか、本発明の目的を達成できる範囲で他の成分を含有してもよく、特に限定されない。その他の原料としては、例えば、糖類および高甘味度甘味料といった甘味料、抗酸化剤、乳化剤、酸味料、pH調整剤、ゲル化促進剤、各種栄養成分、果汁、香料、色素、機能性素材(難消化性デキストリン等の水溶性食物繊維、乳酸菌など)などが挙げられる。
【0019】
甘味料としては、例えば、ショ糖、ブドウ糖、果糖、乳糖などの糖類、マルチトール、エリスリトールなどの糖アルコール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア抽出物、ネオテーム、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料等が挙げられる。
【0020】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0021】
乳化剤としては、例えば、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、クエン酸三エチル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ヒマワリレシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート類、サポニン類、レシチン類、スフィンゴ脂質、胆汁末、動物性ステロール、およびユッカフォーム抽出物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、乳化剤を配合する場合は、コーヒーゼリー飲料の風味を良好にする観点から、コーヒーゼリー飲料全量に対して、1質量%以下であることが好ましい。
【0022】
酸味料としては、例えば、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、又はそれらの塩類等が挙げられる。
【0023】
pH調整剤としては、例えば、炭酸カリウム、重曹、水酸化カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリウム、およびリン酸水素二ナトリウム等が挙げられる。
【0024】
各種栄養成分としては、例えば、ビタミン類、アミノ酸、およびミネラルなどが挙げられる。
【0025】
次に、本実施形態の容器詰めコーヒーゼリー飲料の製造方法の一例について説明する。
【0026】
本実施形態の器詰めコーヒーゼリー飲料は、例えば、以下に示すように、添加処理と容器詰め処理とゲル化処理を含む製造方法により製造することができる。
【0027】
添加処理は、液体成分(例えば、飲料水)に、上述したコーヒー原料、カフェイン、カリウム塩およびゲル化剤を添加する処理である。なお、添加処理では、必要に応じてゼリー飲料中に含有され得る他の成分を添加してもよい。液体成分に添加する成分の添加順序は特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。なお、添加処理は、液体成分に添加される各成分が、液体成分中に偏在にしないよう、攪拌(混合)しながら行われることが好ましい。
【0028】
添加処理における液体成分の温度は、特に限定されるものではない。しかしながら、ゲル化剤に含まれるゲル化成分が溶解すると、液体成分の粘度が増加することがあるため、添加処理で添加する各成分が、液体成分に偏在することがある。このため、添加処理における液体成分の温度は、ゲル化成分が溶解しない温度であることが好ましい。
【0029】
容器詰め処理は、上述の添加処理により得られた混合液(飲料液)を容器に詰める処理である。飲料液を容器に詰める方法は、特に限定されるものではなく、常法に従って行うことができる。
なお、容器については特に限定されず、例えば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、アルミパウチ、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。
また、本実施形態の容器詰めコーヒーゼリー飲料の殺菌処理は特に限定されないが、レトルト殺菌が好ましく、その場合の容器は、アルミ缶、スチール缶、アルミパウチが好ましい。
【0030】
ゲル化処理は、容器詰め処理が行われた飲料液をゲル化する処理である。これにより容器詰めコーヒーゼリー飲料が得られる。飲料液をゲル化する具体的な方法は、ゲル化成分の種類によっても異なるが、一例としては、飲料液を加熱して飲料液中のゲル化成分を溶解させ、その後、ゲル化成分が溶解した飲料液を冷却することでゲル化する方法が挙げられる。
【0031】
飲料液を加熱及び冷却してゲル化する上述した方法を用いる場合、飲料液の加熱温度は、使用するゲル化成分の溶解温度以上であればよく、飲料液の冷却温度は、溶解したゲル化成分がゲル化を進行するゲル化温度以下であればよい。ゲル成分の溶解温度やゲル化温度は、例えば、公知の文献(例えば、食品多糖類 乳化・増粘・ゲル化の知識 著者國崎直道 佐野征男)に記載されている。
【0032】
なお、容器詰め処理は、ゲル化処理の過程で行われてもよい。具体的には、飲料液を加熱してゲル化成分を溶解させ、ゲル化成分が溶解した飲料液を容器に詰めた後、容器に詰められた飲料液を冷却してゲル化を行ってもよい。
【0033】
以上、本実施形態によれば、容器詰めコーヒーゼリー飲料におけるコーヒー感の好ましさおよび後味のキレを高めることができる新規な技術を提供することができる。その結果、嗜好性が改善された、より商品価値の高い容器詰めコーヒーゼリー飲料を提供することが可能である。
【実施例0034】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0035】
[第1の試験(参考)]
表2に示す組成で飲料水に各成分(砂糖、インスタントコーヒー、乳化油脂、牛乳、ゲル化剤、重曹、アセスルファムカリウム、および乳化剤)を添加し、混合して飲料液を得た。得られた飲料液を缶容器に充填した後、レトルト殺菌に供した。1晩以上常温で静置して内容物をゲル化し、コーヒーゼリー飲料(1A-1、および1B-1のコーヒーゼリー飲料)を得た。
また、ゲル化剤を添加しない以外は同様の組成で調製した缶詰めの飲料を対照(コントロール、Ctrl(A)およびCtrl(B))として用いた。
なお、カフェイン含有量、カリウム含有量、乳固形分含有量は原料に基づき算出した。破断荷重はレオメーター(レオテック社 FUDOH レオメーター)により得た。
【0036】
各飲料について10回強く振ってから開缶し、官能評価に供した。評価尺度は表1に示すとおりである。
結果を表2に示す。
【0037】
【0038】
【0039】
表2から、ゲル化していないコーヒー飲料(Ctrl(A), Ctrl(B))に比べて、ゲル化したコーヒーゼリー飲料ではコーヒー感の好ましさおよび後味のキレが低下していることが理解できる。
【0040】
[第2の試験]
飲料水に添加する成分を表3に示す組成とした以外は1A-1のコーヒーゼリー飲料と同様の方法で調製した実施例、比較例のコーヒーゼリー飲料を得た。表3に示すコーヒーゼリー飲料においてはリン酸水素二カリウムの添加量を変更してカリウム含有量を調整している。
これらの飲料について、第1の試験と同様の官能評価に供した。
結果を表3に示す。
【0041】
【0042】
表3から、実施例(2-2~5のコーヒーゼリー飲料)では、コーヒー感の好ましさ、後味のキレが比較例(Ctrl, 2-1,2-6~7のコーヒーゼリー飲料)と比べて向上していることが理解できる。
【0043】
[第3の試験]
飲料水に添加する成分を表4に示す組成とした以外は1A-1のコーヒーゼリー飲料と同様の方法で調製した実施例、比較例の容器詰めコーヒーゼリー飲料を得た。表4に示すコーヒーゼリー飲料においてはコーヒー固形分量の変更(インスタントコーヒーの添加量の変更)、またはカフェイン製剤の添加によりカフェイン含有量を調整している。カリウム含有量は一定になるようにリン酸水素二カリウムの添加量を変更して調整した。
これらの飲料について、第1の試験と同様の官能評価に供した。なお、表3において2-4として示した実施例のコーヒーゼリー飲料を対照(Ctrl)として用いた。
結果を表4に示す。
【0044】
【0045】
表4から、カフェイン含有量が220~1000ppmである実施例(3-1、3-3のコーヒーゼリー飲料)では、コーヒー感の好ましさ、後味のキレが対照のコーヒーゼリー飲料と同等であることが理解できる。
【0046】
[第4の試験]
飲料水に添加する成分を表5に示す組成とした以外は1A-1の飲料と同様の方法で調製した実施例、比較例の容器詰めコーヒーゼリー飲料を得た。表5に示すコーヒーゼリー飲料においては牛乳の添加量を変更して乳固形分の含有量を調整している。
これらの飲料について、ミルク感の好ましさについても評価を行ったほかは第1の試験と同様の官能評価に供した。なお、ミルク感とは飲んだときに乳を連想させる香味を意味する。ミルク感の好ましさも表1に示す評価尺度に基づいて評価を行った。
結果を表5に示す。
【0047】
【0048】
表5から、乳固形分の含有量が5重量%未満である実施例(4-1,4-2のコーヒーゼリー飲料)については、比較例(Ctrlおよび4-3のコーヒーゼリー飲料)と比較してコーヒー感の好ましさ、後味のキレについてより高い評価となったことが理解できる。