(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161452
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20221014BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20221014BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221014BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/31
A61K8/37
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066289
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】御田村 侑香里
(72)【発明者】
【氏名】建部 桃子
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 正洋
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC022
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC542
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD572
4C083BB04
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD32
4C083EE06
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】肌に塗布中に柔らかく、均一にのばすことができ、化粧肌の保湿感、化粧のりに優れた乳化化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)スルホン酸基を有する紫外線吸収剤、
(B)25℃で液状の炭化水素油、
(C)25℃で固体のグリセリン脂肪酸エステル
を含有する乳化化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)スルホン酸基を有する紫外線吸収剤、
(B)25℃で液状の炭化水素油、
(C)25℃で固体のグリセリン脂肪酸エステル
を含有する乳化化粧料。
【請求項2】
成分(A)の含有量が、0.5~10質量%である請求項1記載の乳化化粧料。
【請求項3】
成分(B)の含有量が、2~20質量%である請求項1又は2記載の乳化化粧料。
【請求項4】
成分(C)の含有量が、0.5~10質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の乳化化粧料。
【請求項5】
成分(B)が、不揮発性炭化水素油である請求項1~4のいずれか1項記載の乳化化粧料。
【請求項6】
成分(C)が、炭素数20~28の脂肪酸のトリグリセライドである請求項1~5のいずれか1項記載の乳化化粧料。
【請求項7】
成分(A)に対する成分(C)の質量割合(C)/(A)が、0.2~10である請求項1~6のいずれか1項記載の乳化化粧料。
【請求項8】
さらに、(D)HLB6以下の非イオン性界面活性剤を含有する請求項1~7のいずれか1項記載の乳化化粧料。
【請求項9】
油中水型乳化化粧料である請求項1~8のいずれか1項記載の乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線防御効果を有する化粧料を得るため、水溶性の紫外線防御剤であるフェニルベンズイミダゾールスルホン酸を配合した化粧料が検討されている。
例えば、特許文献1には、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸と、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオ-ルおよび/または2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオールと、オクチルメトキシシンナメートとを含有する油中水型日焼け止め化粧料が、変臭を生じることがなく、乳化安定性に優れたものであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の化粧料は、紫外線防御効果に優れるものの、肌に塗布中に硬く、伸ばしたときに不均一になりやすく、化粧肌の保湿感に劣るという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、スルホン酸基を有する紫外線吸収剤に、25℃で液状の炭化水素油及び25℃で固体のグリセリン脂肪酸エステルを組合わせて用いることにより、肌に塗布中に柔らかく、均一にのばすことができ、化粧肌の保湿感、化粧のりに優れた乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)スルホン酸基を有する紫外線吸収剤、
(B)25℃で液状の炭化水素油、
(C)25℃で固体のグリセリン脂肪酸エステル
を含有する乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の乳化化粧料は、紫外線防御効果にも優れつつ、肌に塗布中に柔らかく、均一にのばすことができ、化粧肌の保湿感、化粧のりに優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のスルホン酸基を有する紫外線吸収剤は、水溶性の紫外線吸収剤であり、具体的には、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸等が挙げられる。例えば、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸としては、ユビナールMS40(BASF社製)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸としては、EUSOLEX232(メルク社製)、Neo Heliopan Hydro(シムライズ社製)、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸としては、Neo Heliopan AP(シムライズ社製)、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸としては、Mexoryl SX(Chimex社製)等の市販品を用いることができる。これらのうち、生体安全性に優れ、良好な紫外線防御効果が得られる観点から、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及び/又はフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸を含むことが好ましく、少なくともフェニルベンズイミダゾールスルホン酸を含むことがより好ましい。
【0009】
成分(A)の含有量は、紫外線防御効果を高める観点から、全組成中に0.5質量%以上であるのが好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.5~10質量%であるのが好ましく、0.8~5質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。
【0010】
成分(A)のスルホン酸基を有する紫外線吸収剤は、水への溶解性を高める目的で、中和塩として用いることができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、N-メチルタウリンナトリウム、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、L-アルギニン等を用いて中和塩とするのが好ましい。
【0011】
本発明で用いる成分(B)は、25℃で液状の炭化水素油である。ここで、25℃で液状とは、25℃において流動性を有するもので、ペースト状のものも含まれる。
成分(B)の炭化水素油としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、ポリブテン、ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン、ワセリン等の直鎖又は分岐の炭化水素油が挙げられる。
これらのうち、均一な塗膜を形成させる観点から、不揮発性炭化水素が好ましく、流動パラフィン、流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、ポリブテン、ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン、ワセリン等の直鎖又は分岐の炭化水素油がより好ましい。
液状の炭化水素油の粘度は、B型粘度計を用いて25℃で測定される。
【0012】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、均一な塗膜を形成させる観点から、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に1~20質量%であるのが好ましく、3~12質量%がより好ましく、5~9質量%がさらに好ましい。
【0013】
本発明で用いる成分(C)は、25℃で固体のグリセリン脂肪酸エステルである。ここで、25℃で固体とは、25℃において半固体~固体の性状を示すことをいう。
グリセリン脂肪酸エステルは、トリエステルが好ましく、成分(A)を水相に安定に保持させ、均一な塗膜を形成させ、紫外線防御効果を高め、肌に塗布中に柔らかく、均一にのび広げることができ、化粧肌の保湿感、化粧のりに優れる観点から、炭素数20~28の脂肪酸のトリグリセライドがより好ましく、炭素数20~24の脂肪酸のトリグリセライドがさらに好ましく、トリベヘニンがよりさらに好ましい。
【0014】
成分(C)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、成分(A)を水相に安定に保持させ、均一な塗膜を形成させ、紫外線防御効果を高め、肌に塗布中に柔らかく、均一にのび広げることができ、化粧肌の保湿感、化粧のりに優れる観点から、全組成中に0.5質量%以上であるのが好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.5~10質量%であるのが好ましく、0.8~6質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。
【0015】
本発明において、成分(A)に対する成分(C)の質量割合(C)/(A)は、成分(A)を水相に安定に保持させ、均一な塗膜を形成させ、紫外線防御効果を高め、肌に塗布中に柔らかく、均一にのび広げることができ、化粧肌の保湿感、化粧のりに優れる観点から、0.2以上であるのが好ましく、0.5以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、10以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。また、成分(A)に対する成分(C)の質量割合(C)/(A)は、0.2~10であるのが好ましく、0.5~4がより好ましく、1~3がさらに好ましい。
【0016】
本発明において、成分(B)に対する成分(C)の質量割合(C)/(B)は、成分(A)を水相に安定に保持させ、均一な塗膜を形成させ、紫外線防御効果を高め、肌に塗布中に柔らかく、均一にのび広げることができ、化粧肌の保湿感、化粧のりに優れる観点から、0.05以上であるのが好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましく、1以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましい。また、成分(B)に対する成分(C)の質量割合(C)/(B)は、0.05~1であるのが好ましく、0.1~0.8がより好ましく、0.2~0.6がさらに好ましい。
【0017】
本発明の乳化化粧料は、さらに、(D)非イオン性界面活性剤を含有することができ、均一な塗膜を形成することができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロースエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・フルオロアルキル共変性シリコーン等が挙げられる。
【0018】
非イオン界面活性剤は、水並びに水溶性成分の油中への分散・溶解性を高める観点から、油中水型乳化化粧料の場合、HLB値が6以下であるのが好ましく、HLB値が1~6がより好ましく、HLB値が2~6がさらに好ましい。
【0019】
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
【0020】
非イオン性界面活性剤としては、HLB値6以下の25℃で液状の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤が好ましく、ソルビタン脂肪酸エステルがより好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。
【0021】
成分(D)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、均一な塗膜を形成することができる観点から、全組成中に0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であるのが好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。
【0022】
本発明の乳化化粧料は、さらに、(E)着色顔料を含有することができる。
着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるもので、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラ、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、さらにカーボンブラック等の無機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色401号、青色1号、青色404号等の合成有機顔料;β-カロチン、カラメル、パプリカ色素等の天然有機色素等が挙げられ、これらの着色顔料の複合体、これらの着色顔料とパール顔料とを組み合わせた複合顔料などが挙げられる。処理されるパール顔料としては、例えば、雲母、金雲母、タルク、シリカ、セリサイト、マイカ、ガラス、カオリン、オキシ塩化ビスマス、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、板状アルミナ粉末等の天然又は合成の無機粉体が挙げられる。複合顔料の具体例としては、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄被覆合成金雲母、酸化クロム被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄被覆ガラス末、酸化チタン内包ガラス末、酸化鉄内包ガラス末等が挙げられる。
着色顔料としては、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、少なくとも酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラを含むことがより好ましい。
【0023】
これらの着色顔料は、そのまま用いることができるほか、疎水化処理された着色顔料を用いることもできる。
疎水化処理としては、例えば、シリコーン処理、アルキル処理、アルキルシラン処理、金属石鹸処理、水溶性高分子処理、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理、レシチン処理、有機チタネート処理、ポリオール処理、アクリル樹脂処理、メタクリ樹脂処理、ウレタン樹脂処理、フッ素化合物処理等の表面処理が挙げられる。なかでも、肌への付きがよく、二次付着性を抑制する観点から、シリコーン処理、アルキルシラン処理、アミノ酸処理、アシル化アミノ酸処理が好ましい。
着色顔料を疎水化処理するには、通常の方法により、行うことができる。
【0024】
成分(E)の着色顔料は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、肌を綺麗なメイクアップ効果で仕上げる観点から、全組成中に1~30質量%であるのが好ましく、3~25質量%がより好ましく、4~18質量%がさらに好ましい。
【0025】
本発明の乳化化粧料は、さらに、油溶性紫外線吸収剤を含有することができ、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも用いることができる。
具体的には、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系紫外線吸収剤;
パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルへキシル等のパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;
4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;
パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(例えば、ユビナールMC80;BASF製)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン(例えば、ユビナールT150;BASF製)、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p-メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;
2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-硫酸、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(例えば、パラソール1789;DSMニュートリションジャパン社製)等のベンゾイルメタン系紫外線吸収剤;
オクトクリレン(例えば、パラソール340;DSMニュートリションジャパン社製)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル(例えば、ソフトシェードDH;味の素社製)、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、シノキサート、メチル-O-アミノベンゾエート、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、ジエチルアミノ
ヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル(例えば、ユビナールAplus;BASF製)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(例えば、チノソーブS;BASF製)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(例えば、チノソーブM;BASF製)が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
20℃で固体状のものを用いる場合は、化粧料の安定性を向上させる観点から、20℃で液体状の油に溶解させて用いるのが好ましい。
【0026】
これらのうち、化粧料の紫外線吸収効果を向上させる観点から、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(例えば、ユビナールMC80;BASF製)、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン(例えば、ユビナールT150;BASF製)、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(例えば、パラソール1789;DSMニュートリションジャパン社製)、オクトクリレン(例えば、パラソール340;DSMニュートリションジャパン社製)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル(例えば、ソフトシェードDH;味の素社製)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル(例えば、ユビナールAplus;BASF製)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(例えば、チノソーブS;BASF製)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(例えば、チノソーブM;BASF製)から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0027】
油溶性紫外線吸収剤は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、紫外線防御効果をより高める観点から、全組成中に1~15質量%であるのが好ましく、2~10質量%がより好ましく、3~8質量%がさらに好ましい。
【0028】
本発明において、水の含有量は、使用感に優れる点から、全組成中に1質量%以上であるのが好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。また、水の含有量は、全組成中に1~70質量%が好ましく、20~65質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。
【0029】
本発明の乳化化粧料は、前記の成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に用いられる各種成分を含有することができる。これらの成分としては、例えば、前記以外の油性成分、前記以外の粉体、前記以外の界面活性剤、水溶性高分子、酸化防止剤、ビタミン剤、防腐剤、pH調整剤、香料、植物エキス類、保湿剤、着色剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
【0030】
本発明の乳化化粧料は、通常の方法により製造することができる。油中水型乳化化粧料、水中油型乳化化粧料等のいずれにもすることができ、油中水型乳化化粧料が好ましい。
また、液状、乳液液、ペースト状、クリーム状、ジェル状、固形状等の剤型にすることができる。
本発明の乳化化粧料は、化粧品、医薬部外品、医薬品用途として用いることができ、例えば、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。メイクアップ化粧料として好適である。
【実施例0031】
実施例1~9、比較例1~4
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料(下地化粧料)を製造し、SPFを測定するとともに、保湿感(みずみずしい保湿感)、均一なのび感、肌の塗布中の化粧料の柔らかさ及び化粧のりを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0032】
(製造方法)
粉体相成分を混合粉砕し、別途混合した成分(B)、(C)を含む油相成分に添加してディスパーで分散した。その後、成分(A)を含む水相成分を添加し、ディスパーで分散後、ホモミキサーで撹拌することにより、油中水型乳化化粧料(下地化粧料)を得た。
【0033】
(評価方法)
(1)紫外線防御効果(SPF値)
PMMA板上に、各化粧料を1.4mg/cm2になるように1分間均一に塗布し、冷暗所で15分乾燥させた。試料乾燥後、SPFアナライザー(UV2000S、米国Labsphere社製)にて、正方形のPMMA板上の中点、各頂点、各頂点を結んだ辺の中点の計9箇所の吸収スペクトル(波長350nm)の透過率(%)を測定し、9箇所の平均を求めた。結果は、その透過率(%)から求められるSPF値(-)を示した。
【0034】
(2)保湿感(みずみずしい保湿感):
専門パネラー3名により、各下地化粧料を肌に塗布した後の化粧肌のみずみずしさを、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;みずみずしさを非常に感じる。
4;みずみずしさを感じる。
3;みずみずしさをやや感じる。
2;みずみずしさをあまり感じない。
1;みずみずしさを感じない。
【0035】
(3)均一なのび感:
専門パネラー3名により、各下地化粧料を肌に塗布し、塗布中の均一なのび広がりを、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;肌にかなり均一にのび広がる。
4;肌に均一にのび広がる。
3;肌にやや均一にのび広がる
2;肌にあまり均一にのび広がらない
1;肌に均一に広がらない。
【0036】
(4)肌に塗布中の化粧料の柔らかさ:
専門パネラー3名により、各下地化粧料を肌に塗布し、手の平で触れた際の肌の感触を、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;手の平で触れた際の肌が柔らかい。
4;手の平で触れた際の肌がやや柔らかい。
3;手の平で触れた際の肌があまり柔らかくない。
2;手の平で触れた際の肌が柔らかくない。
1;手の平で触れた際の肌がまったく柔らかくない。
【0037】
(5)化粧のり:
専門パネラー3名により、各下地化粧料を肌に塗布した際の化粧のりを、以下の基準で官能評価した。結果は、3名の合計点で示した。
5;化粧のりがかなり良い。
4;化粧のりが良い。
3;化粧のりがやや良い。
2;化粧のりがあまり良くない。
1;化粧のりが良くない。
【0038】
【0039】
実施例10~13
実施例1~9と同様にして、表2に示す組成の油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を製造した。
得られた油中水型乳化化粧料はいずれも、SPF値が高く、紫外線防御効果に優れ、塗布中の化粧料が柔らかく、均一なのび感が得られ、保湿感(みずみずしい保湿感)及び化粧のりも良好である。
【0040】