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特開2022-161454情報処理装置、加工プログラム生成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161454
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、加工プログラム生成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4097 20060101AFI20221014BHJP
   B24B 17/10 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
G05B19/4097 C
B24B17/10 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066293
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩明
(72)【発明者】
【氏名】川辺 剛
(72)【発明者】
【氏名】井上 広士
(72)【発明者】
【氏名】吉開 有佑
【テーマコード(参考)】
3C049
3C269
【Fターム(参考)】
3C049BB02
3C049BB06
3C049BB08
3C049CB03
3C269AB07
3C269BB08
3C269EF02
3C269EF69
3C269MN42
3C269MN46
3C269QB02
3C269QE03
3C269QE12
3C269QE15
3C269QE17
3C269QE22
3C269QE26
(57)【要約】
【課題】 可視的な図形を特定するCADデータを用いて、研削盤のための加工プログラムを生成するための情報を入力することに適した情報処理装置等を提供する。
【解決手段】 情報処理装置5は、研削盤1のための加工プログラムを生成する。入力補助部17において、解析処理部29は、CADデータ記憶部11に記憶されるCADデータにより特定される図形群において、開始図形から終了図形に連続的に至る加工軌跡図形群を特定する。展開処理部31は、加工軌跡図形群に含まれる各図形において、加工軌跡において終了図形の側に位置する端点を区間終了情報として区間情報を生成する。加工プログラム生成部43は、展開処理部31により生成された区間情報を利用して加工プログラムを生成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削盤のための加工プログラムを生成する情報処理装置であって、
研削プログラム生成部と、CADデータ記憶部と、入力補助部を備え、
前記研削プログラム生成部は、区間情報入力部と、加工プログラム生成部を備え、
前記入力補助部は、開始図形特定部と、終了図形特定部と、解析処理部と、展開処理部を備え、
前記CADデータ記憶部は、一つ又は複数の図形を含む図形群を特定するためのCADデータを記憶し、
前記入力補助部において、
前記開始図形特定部及び前記終了図形特定部は、それぞれ、前記CADデータにより特定される図形群のうち、加工軌跡の始まりに位置する開始図形及び終わりに位置する終了図形を特定し、
前記解析処理部は、前記図形群において、前記開始図形から前記終了図形に連続的に至る加工軌跡図形群を特定し、
前記展開処理部は、前記加工軌跡図形群に含まれる加工軌跡を構成する各図形において、加工軌跡において前記終了図形の側に位置する端点を区間終了情報として区間情報を生成し、
前記区間情報入力部は、前記展開処理部により生成された区間情報を入力し、
前記加工プログラム生成部は、前記区間情報を利用して前記加工プログラムを生成する、情報処理装置。
【請求項2】
前記加工軌跡図形群は、第1図形と第2図形を含み、
前記第2図形は、加工軌跡において第1図形に連続的に続く図形であり、
前記解析処理部は、前記第2図形の前記開始図形の側に位置する端点が、前記第1図形の前記終了図形の側に位置する端点と異なる場合に、前記第1図形と前記第2図形が重なって分岐が発生しているか、前記第1図形と前記第2図形が重ならずに離間が発生しているかを分析して、前記第2図形の前記開始図形の側に位置する端点及び/又は前記第1図形の前記終了図形の側に位置する端点の位置を変更して前記区間情報を生成する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記解析処理部は、離間が発生した場合に、
第1図形と第2図形の間が前記研削盤において指定された距離よりも離れていないならば、第1図形と第2図形を用いて加工軌跡図形群を特定し、
第1図形と第2図形の間が前記研削盤において指定された距離よりも離れているならば、前記区間情報を生成しない、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記解析処理部は、
分岐が発生した箇所が1つであって他で発生していないならば前記区間情報を生成し、
分岐が発生した箇所が複数であるならば前記区間情報を生成しない、請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、入力処理部を備え、
前記研削プログラム生成部は、開始情報入力部と、区間情報調整部を備え、
前記入力補助部は、加工軌跡の開始位置を特定するための開始情報を生成せず、
前記開始情報入力部は、前記入力補助部とは異なる前記入力処理部から前記開始情報を入力し、
前記区間情報調整部は、作業者の指示に応じて入力後の開始情報及び区間情報を調整し、
前記加工プログラム生成部は、調整後の前記開始情報及び前記区間情報を利用して前記加工プログラムを生成する、請求項1から4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
研削盤のための加工プログラムを生成する加工プログラム生成方法であって、
情報処理装置は、研削プログラム生成部と、CADデータ記憶部と、入力補助部を備え、
前記研削プログラム生成部は、区間情報入力部と、加工プログラム生成部を備え、
前記入力補助部は、開始図形特定部と、終了図形特定部と、解析処理部と、展開処理部を備え、
前記CADデータ記憶部は、一つ又は複数の図形を含む図形群を特定するためのCADデータを記憶し、
前記入力補助部において、
前記開始図形特定部及び前記終了図形特定部が、それぞれ、前記CADデータにより特定される図形群のうち、加工軌跡の始まりに位置する開始図形及び終わりに位置する終了図形を特定し、
前記解析処理部が、前記図形群において、前記開始図形から前記終了図形に連続的に至る加工軌跡図形群を特定し、
前記展開処理部が、前記加工軌跡図形群に含まれる加工軌跡を構成する各図形において、加工軌跡において前記終了図形の側に位置する端点を区間終了情報として区間情報を生成するステップと、
前記区間情報入力部が、前記展開処理部により生成された区間情報を入力し、
前記加工プログラム生成部が、前記区間情報を利用して前記加工プログラムを生成するステップを含む加工プログラム生成方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から5のいずれかに記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、加工プログラム生成方法及びプログラムに関し、特に、研削盤のための加工プログラムを生成する情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、特許文献1にあるように、加工軌跡を複数の区間に分けて特定することにより、研削盤のための加工プログラムを生成することを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-069634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、可視的な情報ではなく、各区間の情報を数値で直接特定して入力していた。
【0005】
よって、本発明は、可視的な図形を特定するCADデータを用いて、研削盤のための加工プログラムを生成するための情報を入力することに適した情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の観点は、研削盤のための加工プログラムを生成する情報処理装置であって、研削プログラム生成部と、CADデータ記憶部と、入力補助部を備え、前記研削プログラム生成部は、区間情報入力部と、加工プログラム生成部を備え、前記入力補助部は、開始図形特定部と、終了図形特定部と、解析処理部と、展開処理部を備え、前記CADデータ記憶部は、一つ又は複数の図形を含む図形群を特定するためのCADデータを記憶し、前記入力補助部において、前記開始図形特定部及び前記終了図形特定部は、それぞれ、前記CADデータにより特定される図形群のうち、加工軌跡の始まりに位置する開始図形及び終わりに位置する終了図形を特定し、前記解析処理部は、前記図形群において、前記開始図形から前記終了図形に連続的に至る加工軌跡図形群を特定し、前記展開処理部は、前記加工軌跡図形群に含まれる加工軌跡を構成する各図形において、加工軌跡において前記終了図形の側に位置する端点を区間終了情報として区間情報を生成し、前記区間情報入力部は、前記展開処理部により生成された区間情報を入力し、前記加工プログラム生成部は、前記区間情報を利用して前記加工プログラムを生成する。
【0007】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の情報処理装置であって、前記加工軌跡図形群は、第1図形と第2図形を含み、前記第2図形は、加工軌跡において第1図形に連続的に続く図形であり、前記解析処理部は、前記第2図形の前記開始図形の側に位置する端点が、前記第1図形の前記終了図形の側に位置する端点と異なる場合に、前記第1図形と前記第2図形が重なって分岐が発生しているか、前記第1図形と前記第2図形が重ならずに離間が発生しているかを分析して、前記第2図形の前記開始図形の側に位置する端点及び/又は前記第1図形の前記終了図形の側に位置する端点の位置を変更して前記区間情報を生成する。
【0008】
本願発明の第3の観点は、第2の観点の情報処理装置であって、前記解析処理部は、離間が発生した場合に、第1図形と第2図形の間が前記研削盤において指定された距離よりも離れていないならば、第1図形と第2図形を用いて加工軌跡図形群を特定し、第1図形と第2図形の間が前記研削盤において指定された距離よりも離れているならば、前記区間情報を生成しない。
【0009】
本願発明の第4の観点は、第2又は第3の観点の情報処理装置であって、前記解析処理部は、分岐が発生した箇所が1つであって他で発生していないならば前記区間情報を生成し、分岐が発生した箇所が複数であるならば前記区間情報を生成しない。
【0010】
本願発明の第5の観点は、第1から第4のいずれかの観点の情報処理装置であって、前記情報処理装置は、入力処理部を備え、前記研削プログラム生成部は、開始情報入力部と、区間情報調整部を備え、前記入力補助部は、加工軌跡の開始位置を特定するための開始情報を生成せず、前記開始情報入力部は、前記入力補助部とは異なる前記入力処理部から前記開始情報を入力し、前記区間情報調整部は、作業者の指示に応じて入力後の開始情報及び区間情報を調整し、前記加工プログラム生成部は、調整後の前記開始情報及び前記区間情報を利用して前記加工プログラムを生成する。
【0011】
本願発明の第6の観点は、研削盤のための加工プログラムを生成する加工プログラム生成方法であって、情報処理装置は、研削プログラム生成部と、CADデータ記憶部と、入力補助部を備え、前記研削プログラム生成部は、区間情報入力部と、加工プログラム生成部を備え、前記入力補助部は、開始図形特定部と、終了図形特定部と、解析処理部と、展開処理部を備え、前記CADデータ記憶部は、一つ又は複数の図形を含む図形群を特定するためのCADデータを記憶し、前記入力補助部において、前記開始図形特定部及び前記終了図形特定部が、それぞれ、前記CADデータにより特定される図形群のうち、加工軌跡の始まりに位置する開始図形及び終わりに位置する終了図形を特定し、前記解析処理部が、前記図形群において、前記開始図形から前記終了図形に連続的に至る加工軌跡図形群を特定し、前記展開処理部が、前記加工軌跡図形群に含まれる加工軌跡を構成する各図形において、加工軌跡において前記終了図形の側に位置する端点を区間終了情報として区間情報を生成するステップと、前記区間情報入力部が、前記展開処理部により生成された区間情報を入力し、前記加工プログラム生成部が、前記区間情報を利用して前記加工プログラムを生成するステップを含む。
【0012】
本願発明の第7の観点は、コンピュータを、第1から第5のいずれかの観点の情報処理装置として機能させるためのプログラムである。
【0013】
なお、本願発明を、第7の観点のプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の各観点によれば、CADデータによる可視的な情報を用いて、入力補助部によりCADデータを分析して、加工軌跡を構成する複数の区間に対応した区間情報を自動的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本願発明の実施の形態に係る研削盤1の(a)構成の一例を示すブロック図及び(b)動作の一例を示すフロー図と、(c)図1(b)のステップSTA2の動作の一例を示すフロー図である。
図2】研削プログラム生成部19の入出力処理を行うための表示画面である。
図3】(a)入力補助部17を起動して入力補助部17の入出力処理を行うための表示画面と、(b)入力補助部17にCADデータの一種であるDXFデータを読み込む処理を説明するための図である。
図4】(a)開始図形と(b)終了図形の特定処理を説明するための図である。
図5】(a)解析処理及び展開処理を説明するための図と、(b)~(d)エラー処理を説明するための図である。
図6】展開後に研削プログラム生成部19に入力された区間情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0017】
図1は、本願発明の実施の形態に係る研削盤1の(a)構成の一例を示すブロック図及び(b)動作の一例を示すフロー図と、(c)図1(b)のステップSTA2の動作の一例を示すフロー図である。
【0018】
図1(a)を参照して、研削盤1の構成の一例を説明する。
【0019】
研削盤1は、研削処理部3と、情報処理装置5を備える。
【0020】
情報処理装置5は、CADデータ記憶部11と、入力処理部13と、表示部15と、入力補助部17と、研削プログラム生成部19を備える。
【0021】
入力補助部17は、補助表示部21と、CADデータ読出部23と、開始図形特定部25と、終了図形特定部27と、解析処理部29と、展開処理部31を備える。
【0022】
研削プログラム生成部19は、入力補助呼出部33と、区間情報入力部35と、開始情報入力部37と、区間情報調整部39と、加工軌跡処理部41と、加工プログラム生成部43を備える。
【0023】
研削プログラム生成部19は、特許文献1と同様に、加工軌跡を特定する開始情報及び区間情報が入力されると、これらに基づき加工プログラムを生成する。
【0024】
例えば、加工軌跡が、n個(nは2以上の自然数)の連続する図形であるとする。開始図形は、加工軌跡が開始する位置を含む。終了図形は、加工軌跡が終了する位置を含む。開始図形と終了図形の間に、n-2個の図形が連続的につながっている。
【0025】
加工軌跡を特定するために、開始情報入力部37及び区間情報入力部35に対して、それぞれ、開始情報及び区間情報が入力される。開始情報は、加工を開始する位置を含む。区間情報は、第1区間情報、…、第n区間情報を含む。第1区間情報は開始図形に対応し、第i区間情報(iは2以上n以下の自然数)は、加工軌跡を構成する加工軌跡図形群において、開始図形から加工軌跡における順番でi-1番目に位置する図形に対応する。第n区間情報は、終了図形に対応する。
【0026】
第j区間情報(jはn以下の自然数)は、対応する図形において加工経路の終了図形側に位置する側の端点の位置を特定する区間終了情報と、対応する図形により特定される加工形状(例えば円弧、線分など)と、区間が終了する位置で面取加工を行うか否か、行う場合の形状、を含む。研削プログラム生成部19は、入力された開始情報及び区間情報を表示部15に表示する。
【0027】
作業者は、入力処理部13により、表示された開始情報及び区間情報の修正を指示する。例えば、開始情報の変更、加工形状及び/又は区間終了情報の変更、面取りの追加・削除・修正、新たな加工区間の追加などを指示する。区間情報調整部39は、開始情報及び区間情報の修正の指示に従って開始情報及び区間情報を調整する。
【0028】
加工軌跡処理部41は、加工プログラムの生成の指示があり、開始情報及び区間情報の調整処理を終了すると、調整後の開始情報及び区間情報を利用して加工軌跡を分析する。加工プログラム生成部43は、分析結果を利用して加工プログラムを生成する。
【0029】
研削処理部3は、生成された加工プログラムに従って研削処理を行う。
【0030】
入力処理部13及び表示部15は、それぞれ、作業者が指示を入力し、及び、作業者に情報を表示するものである。例えばタッチパネルを利用して実現することができる。従来、作業者が入力処理部13を利用して開始情報及び区間情報を入力していた。本願発明は、CADデータ記憶部11及び入力補助部17を追加し、CADデータ(例えばDXFデータなど)を利用して区間情報入力部35に対して区間情報を入力できるようにする。
【0031】
CADデータ記憶部11は、CADデータを記憶する。CADデータは、一つ又は複数の図形を含む図形群を特定するためのデータを含む。図形群は、内面形状を特定しても、外面形状を特定してもよい。CADデータは、通常、研削盤1とは異なる他の情報処理装置によって作成される。CADデータ記憶部11は、例えばUSBメモリなどで実現し、他の情報処理装置で作成されたCADデータをUSBメモリに記憶し、このUSBメモリを研削盤1に付け替えて実現することができる。CADデータは、研削盤1に取り込まずにUSBメモリに格納した状態で処理を行ってもよく、研削盤1に取り込んで処理を行ってもよい。なお、例えば情報処理装置5がネットワークに接続し、他の情報処理装置からCADデータを受信してCADデータ記憶部11に記憶するものなどであってもよい。
【0032】
図1(b)を参照して、研削盤1の動作の一例を説明する。
【0033】
入力補助呼出部33は、作業者よりCADデータを読み出す指示があったか否かを判断する(ステップSTA1)。
【0034】
呼び出す指示があった場合には、入力補助呼出部33は入力補助部17の処理によりCADデータから区間情報を生成させ、区間情報入力部35は、生成された区間情報を入力し(ステップSTA2)、開始情報入力部37は、作業者が入力処理部13に入力した開始情報を入力して(ステップSTA3)、ステップSTA5に進む。
【0035】
呼び出す指示がなかった場合には、区間情報入力部35は、作業者が入力処理部13に入力した区間情報を入力し、開始情報入力部37は、作業者が入力処理部13に入力した開始情報を入力して(ステップSTA4)、ステップSTA5に進む。
【0036】
ステップSTA4において、区間情報調整部39は、区間情報入力部35及び開始情報入力部37に入力された区間情報及び開始情報に対して、作業者の指示により調整処理を行う。
【0037】
加工軌跡処理部41は、加工プログラムの生成の指示があると、区間情報の調整処理を終了して、開始情報及び区間情報を利用して加工軌跡を分析する(ステップSTA6)。加工プログラム生成部43は、分析結果を利用して加工プログラムを生成する(ステップSTA7)。これらの処理は、特許文献1と同様にして実現することができる。
【0038】
図1(c)を参照して、ステップSTA2における入力補助部17の処理の一例を説明する。
【0039】
CADデータ読出部23は、CADデータ記憶部11から作業者が指示したCADデータを読み出す(ステップSTB1)。ここで、CADデータ読出部23は、CADデータにおいて同じ図形が重なっている場合には、1つのみを考慮して他を省略する。補助表示部21は、表示部15に、読み出したCADデータを表示する。
【0040】
開始図形特定部25及び終了図形特定部27は、作業者の入力処理部13に対する指示により、CADデータにおいて加工軌跡の始まりに位置する開始図形と、終わりに位置する終了図形を特定する(ステップSTB2)。
【0041】
解析処理部29は、作業者の入力処理部13に対する指示により解析処理が指示されると、CADデータにおいて、開始図形から終了図形に連続的に至る複数の図形を含む加工軌跡図形群を用いて、開始図形から第1区間情報を生成し、加工軌跡図形群における加工軌跡を構成する順に第i区間情報(iは2以上n以下の自然数)を生成する(ステップSTB3)。
【0042】
第1区間情報は、例えば、対応する開始図形において加工経路の終了図形の側に位置する端点を区間終了情報とし、この端点での面取加工の形状を面取加工形状とし、対応する開始図形の形状を加工形状とする。他の第i区間情報(iは2以上n以下の自然数)も同様に、対応する図形を用いて生成することができる。第n区間情報については、必要に応じて面取加工を省略できるようにしてもよい。
【0043】
解析処理部29は、CADデータにおいて、加工軌跡図形群を特定できない場合には、エラーが発生したとする。エラーは、例えば、隣接する図形の間で作業者の指示する以上の端点の離間が生じたこと、分岐が2か所以上で発生したこと、などで発生する。
【0044】
展開処理部31は、作業者の入力処理部13に対する指示により展開処理が指示されると、ステップSTB3の処理においてエラーが発生したか否かを判断する(ステップSTB4)。エラーが発生したならば、展開処理を行わない。エラーが発生していないならば、加工軌跡図形群に対応させて区間情報を生成して、区間情報入力部35に入力する(ステップSTB5)。
【0045】
図2図6を参照して、図1(c)の処理を具体的に説明する。
【0046】
図2は、研削プログラム生成部19の入出力処理を行うための表示画面である。特許文献1に記載の場合に加えて「DXF読込」ボタン51が追加されている。作業者が「DXF読込」ボタン51を指示すると、入力補助呼出部33は入力補助部17を起動する。
【0047】
図3(a)は、入力補助部17を起動して、入力補助部17の入出力処理を行うための表示画面である。
【0048】
図3(b)は、入力補助部17にCADデータの一種であるDXFデータを読み込む処理を説明するための図である。表示スペース53には、CADデータ記憶部11に記憶されているDXFデータが表示される。作業者がその一つを指示すると、CADデータ読出部23は指示されたDXFデータを読み込む。補助表示部21は、表示スペース54に、読み込んだDXFデータを表示する。
【0049】
図4(a)は、開始図形の特定処理を説明するための図である。作業者が「開始図形」ボタン55が指定された状態で図形57を指定すると、開始図形特定部25は、図形57が開始図形であると特定する。補助表示部21は、色を変えて開始図形を表示する(例えば赤色で強調した表示にする)。以前に開始図形が特定されていても新たに別の図形が指定されれば、後者の図形を開始図形とする。
【0050】
図4(b)は、終了図形の特定処理を説明するための図である。作業者が「終了図形」ボタン59が指定された状態で図形61を指定すると、終了図形特定部27は、図形61を終了図形と特定する。補助表示部21は、色を変えて終了図形を表示する(例えば青色で強調した表示にする)。以前に終了図形が特定されていても新たに別の図形が指定されれば、後者の図形を終了図形とする。
【0051】
図5は、解析処理及び展開処理を説明するための図である。図5(a)を参照して、作業者が「解析」ボタン63を指定すると、解析処理部29は、加工軌跡図形群が存在するか否かを分析する。補助表示部21は、加工軌跡図形群65を、色を変えて表示する(例えば黄色で強調した表示にする)。途中の位置でエラーが生じ、開始図形から終了図形に至らない場合には、開始図形からエラーが生じた位置の前の図形を、色を変えて表示する。作業者が「展開」ボタン69を指示すると、展開処理部31は、展開処理を行う。
【0052】
図5(b)~(d)を参照して、エラー処理について説明する。
【0053】
図5(b)は、エラーがない状態である。点71と点73を結ぶ線分と、点73と点75を結ぶ線分は、連続的につながった状態である。この場合には、エラーが発生していない。
【0054】
図5(c)は、分岐の一例である。図5(d)は、離間の一例である。このような分岐や離間は、CADでの作業によって生じたり、CAD上では正確に作業できていても研削盤1における変換処理などによって生じたりすることがある。このようなCADデータの瑕疵が発生した場合に、研削盤1の作業者が修正する必要がある。このような分岐や離間は、通常、全体を表示した状態では画面の解像度よりもきわめて小さい。そのため、研削盤1の表示部15において大幅に拡大した状態で発見することができる。そのため、各点で拡大して確認する必要があり、作業者に膨大な負担となる。さらに、研削盤1の作業者がもともとのCADデータを作成しているならば、比較的容易に修正することができるであろう。しかしながら、例えば人事異動などにより、研削盤1の作業者とCADデータの作成者が異なることもある。作業者の負担を軽減することは、極めて重要である。
【0055】
本実施例では、分岐は、1か所であればエラーとせず、終了図形に至る経路を選択する。例えば図5(c)で、点77の側に開始図形があり、本来の経路は、点77と点79を結ぶ線分と、点79と点83を結ぶ線分の経路で、点83の側に終了図形があったとする。ここで、点81と点83を結ぶ線分について、点81の側に延長されたことにより分岐が発生したとする。この場合、点79から点81への経路では終了図形に至らず、点79から点83への経路によって終了図形に至る。そのため、解析処理部29は点77から点79を経由して点83に至る経路を選択する。分岐が2か所以上存在する場合には加工軌跡図形群を特定せず、例えば最初の分岐が発生した位置でエラーが発生したとする。なお、分岐は、例えば2つの線が重なって交差したものであってもよい。この場合、交点を利用して加工軌跡を生成してもよく、一方の端点によって加工軌跡を生成してもよい。
【0056】
本実施例では、離間は、図5(a)の表示スペース67により指定された距離よりも短い離間はエラーとせず、指定された距離以上の離間が発生した位置があれば、この位置でエラーが発生したとする。作業者は、例えば加工誤差よりも短い距離を指定することにより、加工誤差に反映しない程度の離間は考慮せず、加工誤差に影響が及ぶような離間に対応すればよくなる。図5(d)を参照して、エラーとしない離間で経路を特定する処理の一例を説明する。点85の側に開始図形があり、本来の経路は、点85と点87を結ぶ線分と、点87と点91を結ぶ線分の経路で、点91の側に終了図形があったとする。ここで、点87と点91を結ぶ線分について、点87の位置が上に移動して離間が発生したとする。この場合、点87の位置は、点85と点87を結ぶ線分によって特定することができる。点87と点89の距離が作業者の指定距離よりも短いならば、解析処理部29はエラーとせず、点89と点91とを結ぶ線分について点87と点91とを結ぶ線分として加工経路を特定する。
【0057】
このように、分岐や離間が生じても、全体として深刻な影響がみられない場合には、調整して加工軌跡を生成することにより、研削盤1の作業者の負担を大幅に軽減することができる。さらに、研削盤1の作業者は、区間情報調整部39によりCADデータから自動生成された情報を研削盤1に整合させた情報に修正でき、この点でも作業負担を軽減することができる。
【0058】
図6は、展開後に研削プログラム生成部19に入力された区間情報を示す図である。表示スペース93において、区間情報が入力されている。入力補助部17は、開始情報を特定していない。これは、アプローチの位置は研削盤1の運用状況などに応じて決定する必要があるため、CADデータから開始情報を特定することが不適切な場合が多いためである。研削プログラム生成部19において開始情報が指定されることにより、表示スペース95において加工軌跡が表示される。
【0059】
研削盤1の作業者は、表示された開始情報及び区間情報に対して、表示スペース93を利用して指示することができる。区間情報調整部39は、開始情報及び区間情報に対して、CADデータから区間情報を生成した後に調整することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 研削盤、3 研削処理部、5 情報処理装置、11 CADデータ記憶部、13 入力処理部、15 表示部、17 入力補助部、19 研削プログラム生成部、21 補助表示部、23 CADデータ読出部、25 開始図形特定部、27 終了図形特定部、29 解析処理部、31 展開処理部、33 入力補助呼出部、35 区間情報入力部、37 開始情報入力部、39 区間情報調整部、41 加工軌跡処理部、43 加工プログラム生成部、51 「DXF読込」ボタン、53,54,67,93,95 表示スペース、55 「開始図形」ボタン、57,61 図形、59 「終了図形」ボタン、63 「解析」ボタン、65 加工軌跡図形群、69 「展開」ボタン、71,73,75,77,79,81,83,85,87,89,91 点
図1
図2
図3
図4
図5
図6