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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161471
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】マイクモジュール
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20221014BHJP
   H03F 3/181 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
H04R3/00 320
H03F3/181 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066324
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 竜平
【テーマコード(参考)】
5D220
5J500
【Fターム(参考)】
5D220BA22
5J500AA02
5J500AA51
5J500AC36
5J500AF18
5J500AH39
5J500AH42
5J500AK00
5J500AK11
5J500AK17
5J500AK32
5J500AK33
5J500AK34
5J500AK48
5J500AK49
5J500AK64
5J500AM22
5J500AS01
5J500AT01
5J500AT07
5J500LV02
5J500LV07
5J500RG05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】消費電力を低減できるマイクモジュールを提供する。
【解決手段】マイクモジュール100は、静電容量型のマイク10と、マイクに接続されたプリアンプ20とを備える。プリアンプは、第1の電圧を受ける電源端子20aと、第1の電圧より高い第2の電圧を生成する昇圧回路30と、昇圧回路とマイクの一端とが接続された第1の接続状態と電源端子とマイクの一端とが接続された第2の接続状態とを切り替える第1のスイッチ8と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量型のマイクと、
前記マイクに接続されたプリアンプと、
を備え、
前記プリアンプは、
第1の電圧を受ける電源端子と、
前記第1の電圧より高い第2の電圧を生成する昇圧回路と、
前記昇圧回路と前記マイクの一端とが接続された第1の接続状態と前記電源端子と前記マイクの一端とが接続された第2の接続状態とを切り替える第1のスイッチと、
を有する
マイクモジュール。
【請求項2】
前記プリアンプは、
出力端子と、
前記マイクの他端に接続された増幅回路と、
前記マイクの他端に接続可能である比較回路と、
前記増幅回路及び前記出力端子が接続された第3の接続状態と前記比較回路及び前記出力端子が接続された第4の接続状態とを切り替える第2のスイッチと、
をさらに有する
請求項1に記載のマイクモジュール。
【請求項3】
前記プリアンプは、第1のモードにおいて、前記第1のスイッチで前記第1の接続状態に切り替え、前記第2のスイッチで前記第3の接続状態に切り替え、第2のモードにおいて、前記第1のスイッチで前記第2の接続状態に切り替え、前記第2のスイッチで前記第4の接続状態に切り替える
請求項2に記載のマイクモジュール。
【請求項4】
前記プリアンプは、前記第1のモードにおいて、前記昇圧回路を動作させ、前記第2のモードにおいて、前記昇圧回路を停止させる
請求項3に記載のマイクモジュール。
【請求項5】
前記プリアンプは、前記第1のモードにおいて、前記増幅回路を第1の駆動力で動作させ、前記第2のモードにおいて、前記増幅回路を前記第1の駆動力より小さい第2の駆動力で動作させる
請求項3に記載のマイクモジュール。
【請求項6】
前記第1のモードは、前記マイクから出力される信号を増幅するモードであり、
前記第2のモードは、前記マイクから出力される信号が所定のレベルを超えるか否かを検出するモードである
請求項3に記載のマイクモジュール。
【請求項7】
前記プリアンプは、前記第1のスイッチの制御ノードに接続された制御回路をさらに有する
請求項1に記載のマイクモジュール。
【請求項8】
前記プリアンプは、前記第1のスイッチの制御ノードに接続された制御端子をさらに有する
請求項1に記載のマイクモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、マイクモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量型のマイク及びプリアンプを有するマイクモジュールでは、プリアンプで昇圧された電圧がマイクに定常的に供給され、マイクからの信号がプリアンプで増幅され後段へ出力される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-56699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクモジュールでは、プリアンプの動作モードとして、マイクからの信号を増幅する第1のモードに加えて、マイクからの信号が所定のレベルを超えるか否かを検出する第2のモードを有することがある。
【0005】
しかし、プリアンプで昇圧された電圧がマイクに定常的に供給されると、プリアンプが第2のモードで動作する際にも大きな電流を流し続けることになり、消費電力が無駄に増加する可能性があり、消費電力を低減することが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、消費電力を低減できるマイクモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかるマイクモジュールは、静電容量型のマイクと、前記マイクに接続されたプリアンプとを備え、前記プリアンプは、第1の電圧を受ける電源端子と、前記第1の電圧より高い第2の電圧を生成する昇圧回路と、前記昇圧回路と前記マイクの一端とが接続された第1の接続状態と前記電源端子と前記マイクの一端とが接続された第2の接続状態とを切り替える第1のスイッチとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るマイクモジュールの構成を示す図。
図2】実施形態に係るマイクモジュールの動作モードを示す図。
図3】実施形態に係るマイクモジュールの動作を示すフローチャート。
図4】実施形態の第1の変形例に係るマイクモジュールの構成を示す図。
図5】実施形態の第2の変形例に係るマイクモジュールの構成を示す図。
図6】実施形態の第3の変形例に係るマイクモジュールの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、マイクモジュールの実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
(実施形態)
実施形態に係るマイクモジュールは、マイク及びプリアンプを有する。マイクモジュールにおけるマイクは、コンデンサ型マイクの一種である静電容量型のマイクであり、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)チップとして構成され得る。ECM(Electret Condenser Microphone)型のマイクや圧電型のマイクと異なり、静電容量型のマイクは、動作するためにバイアス電圧の供給を受けるタイプのマイクである。プリアンプは、電源電圧を昇圧してバイアス電圧を生成し、バイアス電圧をマイクに定常的に供給する。これにより、マイクの感度が仕様に合った感度に調整され得る。
【0012】
マイクからの信号は、プリアンプで処理される。マイクモジュールは、その動作モードとして、マイクからの信号をプリアンプで増幅する第1のモードに加えて、マイクからの信号が所定のレベルを超えるか否かをプリアンプで検出する第2のモードを有することがある。プリアンプで昇圧されたバイアス電圧がマイクに定常的に供給されると、第2のモードで動作する際にもプリアンプで大きな電流を流し続けることになり、消費電力が無駄に増加する可能性がある。
【0013】
そこで、本実施形態では、マイクモジュールのプリアンプにおいて、マイクへ供給すべきバイアス電圧を昇圧電圧と昇圧前の電源電圧とで切り替え可能に構成することで、動作モードに応じた消費電力の低減を可能にする。
【0014】
具体的には、マイクモジュール100は、図1に示すように構成され得る。図1は、マイクモジュール100の構成を示す図である。マイクモジュール100は、マイク10及びプリアンプ20を有する。マイク10は、動作するためにバイアス電圧の供給を受けるタイプのマイクであり、例えば、静電容量型のマイクである。プリアンプ20は、マイク10に接続される。プリアンプ20は、マイク10へバイアス電圧を供給可能であり、マイクからの信号を処理可能である。
【0015】
マイク10は、MEMSチップとして構成され得る。この場合、マイク10は、MEMSマイクとも呼ばれる。プリアンプ20は、半導体チップとして構成され得る。これにより、マイク10及びプリアンプ20の小型化が可能であり、例えば、共通の回路基板上に実装され得る。
【0016】
マイク10は、入力端子10a、出力端子10b、チップ本体11及びトランスデューサ12を有する。入力端子10aは、ラインL1を介してプリアンプ20に電気的に接続される。出力端子10bは、ラインL2を介してプリアンプ20に電気的に接続される。トランスデューサ12は、振動電極12a及び固定電極12bを有する。振動電極12aは、チップ本体11に固定される。振動電極12aは、チップ本体11上に配されたラインL11を介して入力端子10aに電気的に接続される。固定電極12bは、チップ本体11に振動可能に支持される。固定電極12bは、チップ本体11上に配されたラインL12を介して出力端子10bに電気的に接続される。
【0017】
トランスデューサ12は、音声を電気信号に変換する。トランスデューサ12において、振動電極12aがプリアンプ20からラインL1、入力端子10a、ラインL11経由でバイアス電圧を印加された状態で、固定電極12bが音波を受けると、振動電極12a及び固定電極12b間の間隔が変化し、その変化に応じた電圧が信号として固定電極12bに発生する。このとき、トランスデューサ12は、振動電極12aに印加されるバイアス電圧の大きさが大きいほど、間隔の変化に応じて固定電極12bに発生する信号の強度が大きくなり得る。固定電極12bで発生した信号は、ラインL12、出力端子10b、ラインL2経由でプリアンプ20へ出力される。
【0018】
プリアンプ20は、入力端子20a、出力端子20b、入力端子20c、出力端子20d、入力端子20e、チップ本体21、昇圧回路30、スイッチ(第1のスイッチ)8、増幅回路5、比較回路6、スイッチ(第2のスイッチ)7、及びスイッチ9を有する。入力端子20aは、電源端子であり、外部(例えば、コントローラ)から電源電圧VDDを受ける。出力端子20bは、マイク10への接続端子であり、ラインL1を介してマイク10の入力端子10aに接続される。入力端子20cは、マイク10への接続端子であり、ラインL2を介してマイク10の出力端子10bに接続される。出力端子20dは、後段の回路への接続端子であり、出力信号OUTを後段の回路へ出力する。入力端子20eは、グランド端子であり、外部(例えば、コントローラ)からグランド電圧GNDを受ける。電源電圧VDD及びグランド電圧GNDは、プリアンプ20内の各回路へ供給され得る。
【0019】
昇圧回路30は、スイッチ9とスイッチ8との間に電気的に接続される。昇圧回路30は、電源電圧VDDを受けると、電源電圧VDDを昇圧してバイアス電圧を生成し、バイアス電圧を出力する。
【0020】
昇圧回路30は、バンドギャップ回路(BGR:Band Gap Reference)31、発振回路(OSC:Oscilator)32、チャージポンプ回路(CP:Charge Pump)33を有する。バンドギャップ回路31、発振回路32、チャージポンプ回路33は、スイッチ9に対して並列に接続され、スイッチ8に対して直列に接続されている。すなわち、バンドギャップ回路31、発振回路32、チャージポンプ回路33のそれぞれの入力ノード31a、32a、33aがスイッチ9の他端9bに接続され、スイッチ9の一端9aはスイッチ8の第2端8bに接続される。また、スイッチ8の第3端8cが昇圧回路30の出力ノード33cに接続される。バンドギャップ回路31は、ラインL22、スイッチ9、入力ノード31aを介して電源電圧VDDを受けると、電源電圧VDD及びグランド電圧GNDを用いてバンドギャップに応じた基準電圧を生成し、基準電圧を出力ノード31bから発振回路32へ供給する。発振回路32は、ラインL22、スイッチ9、入力ノード32aを介して電源電圧VDDを受け、入力ノード32bを介して基準電圧を受けると、電源電圧VDD、基準電圧及びグランド電圧GNDを用いて発振動作を行い、基準電圧に応じた周波数を有する発振信号を出力ノード32cからチャージポンプ回路33へ供給する。チャージポンプ回路33は、ラインL22、スイッチ9、入力ノード33aを介して電源電圧VDDを受け、入力ノード33bを介して発振信号を受けると、電源電圧VDD、発振信号及びグランド電圧GNDを用いて電源電圧VDDが昇圧されたバイアス電圧を生成し出力ノード33cから出力する。
【0021】
スイッチ9は、入力端子20aと昇圧回路30との間に電気的に接続される。スイッチ9は、オンすることで、昇圧回路30を入力端子20aに電気的に接続する。スイッチ9は、オフすることで、昇圧回路30を入力端子20aから電気的に遮断する。
【0022】
スイッチ9は、一端9aがラインL22、ラインL21を介して入力端子20aに電気的に接続され、他端9bがバンドギャップ回路31、発振回路32、チャージポンプ回路33のそれぞれに電気的に接続される。ラインL22は、ノードN1とスイッチ9との間に電気的に接続される。ノードN1は、ラインL21における入力端子20aとスイッチ8との間のノードである。スイッチ9は、オンすることで、バンドギャップ回路31、発振回路32、チャージポンプ回路33のそれぞれを入力端子20aに電気的に接続する。スイッチ9は、オフすることで、バンドギャップ回路31、発振回路32、チャージポンプ回路33のそれぞれを入力端子20aから電気的に遮断する。
【0023】
スイッチ8は、入力端子20a及び昇圧回路30とマイク10の入力端子10aとの間に電気的に接続される。スイッチ8は、第1の接続状態と第2の接続状態とを切り替える。第1の接続状態は、昇圧回路30とマイク10の入力端子10aとが接続された状態である。第2の接続状態は、入力端子(電源端子)20aとマイク10の入力端子10aとが接続された状態である。
【0024】
スイッチ8は、第1端8aが出力端子20b及びラインL1を介してマイク10の入力端子10aに電気的に接続され、第2端8bが入力端子20aに電気的に接続され、第3端8cが昇圧回路30に電気的に接続される。スイッチ8は、第1端8aを第3端8cに接続することで第1の接続状態に切り替え、第1端8aを第2端8bに接続することで第2の接続状態に切り替える。
【0025】
第1の接続状態では、昇圧回路30で電源電圧VDDから昇圧された電圧が、ラインL23、スイッチ8、ラインL24、出力端子20b、ラインL1、入力端子10a、ラインL11を介してトランスデューサ12の振動電極12aに伝達され得る。すなわち、プリアンプ20は、スイッチ8で第1の接続状態に切り替えることにより、電源電圧VDDより高い電圧をバイアス電圧としてマイク10へ供給可能である。
【0026】
第2の接続状態では、入力端子20aで受けた電源電圧VDDがラインL21、スイッチ8、ラインL24、出力端子20b、ラインL1、入力端子10a、ラインL11を介してトランスデューサ12の振動電極12aに伝達され得る。すなわち、プリアンプ20は、スイッチ8で第2の接続状態に切り替えることにより、電源電圧VDDをバイアス電圧としてマイク10へ供給可能である。
【0027】
増幅回路5は、マイク10の出力端子10bと比較回路6及びスイッチ7との間に電気的に接続される。増幅回路5は、電源電圧VDD及びグランド電圧GNDを用いて動作する。増幅回路5は、マイク10から出力される信号を増幅する。
【0028】
増幅回路5は、入力ノード5aがラインL25、入力端子20c、ラインL2を介してマイク10の出力端子10bに電気的に接続される。増幅回路5は、出力ノード5bが、ラインL25を介してスイッチ7へ電気的に接続されるとともに、ラインL25、ラインL26を介して比較回路6へ電気的に接続される。ラインL26は、ノードN2とスイッチ7との間に電気的に接続される。ノードN2は、ラインL25における増幅回路5の出力ノード5bとスイッチ7との間のノードである。
【0029】
比較回路6は、マイク10の出力端子10bとスイッチ7との間に電気的に接続され、例えば増幅回路5とスイッチ7との間に電気的に接続可能である。比較回路6は、ラインL25をバイパスするラインL26上に配されている。比較回路6は、電源電圧VDD及びグランド電圧GNDを用いて動作する。比較回路6は、マイク10から出力され増幅回路5で増幅された信号を受け、その信号のレベルを閾値レベルと比較し、比較結果の信号を出力する。閾値レベルは、マイク10へ音声入力が行われた場合に、マイクモジュール100が動作モードをマイクからの信号を増幅する第1のモードに切り替えるべき信号のレベルに応じて、所望の値に設定される。
【0030】
比較回路6は、入力ノード6aがノードN2、増幅回路5、入力端子20c、ラインL2を介してマイク10の出力端子10bに電気的に接続され、出力ノード6bがスイッチ7へ電気的に接続される。
【0031】
スイッチ7は、増幅回路5及び比較回路6と出力端子20dの間に電気的に接続される。スイッチ7は、第3の接続状態と第4の接続状態とを切り替える。第3の接続状態は、増幅回路5と出力端子20dとが接続された状態である。第4の接続状態は、比較回路6と出力端子20dとが接続された状態である。第4の接続状態では、増幅回路5が比較回路6を介して出力端子20dに接続されていてもよい。
【0032】
スイッチ7は、第1端7aが出力端子20dに電気的に接続され、第2端7bがノードN2を介して増幅回路5の出力ノード5bに電気的に接続され、第3端7cが比較回路6の出力ノード6bに電気的に接続される。スイッチ7は、第1端7aを第2端7bに接続することで第3の接続状態に切り替え、第1端7aを第3端7cに接続することで第4の接続状態に切り替える。
【0033】
第3の接続状態では、入力端子20cから出力端子20dに至る経路から比較回路6が電気的に遮断され、増幅回路5で増幅された信号が比較回路6を経由せずに出力端子20dに伝達され得る。すなわち、プリアンプ20は、スイッチ7で第3の接続状態に切り替えることにより、増幅回路5で増幅された信号を出力信号OUTとして出力可能である。
【0034】
第4の接続状態では、入力端子20cから出力端子20dに至る経路に比較回路6が電気的に挿入され、増幅回路5で増幅された信号が比較回路6に入力され、比較回路6で信号のレベルと閾値レベルとが比較される。そして、比較回路6で比較された結果を示す信号が出力端子20dに伝達され得る。すなわち、プリアンプ20は、スイッチ7で第4の接続状態に切り替えることにより、比較回路6の比較結果の信号を出力信号OUTとして出力可能である。
【0035】
マイクモジュール100は、その動作モードとして、図2に示すように、第1のモード及び第2のモードを有する。図2は、マイクモジュール100の動作モードを示す図であり、図2(a)が第1のモードを示し、図2(b)が第2のモードを示す。
【0036】
第1のモードは、プリアンプ20で音声処理を行う通常の動作モードであり、第2のモードは、待機状態の動作モードである。第1のモードでは、マイク10からの信号をプリアンプ20で音声信号として増幅するが、第2のモードでは、マイク10からの信号に対してプリアンプ20で所定のレベルを超えるか否かを検出する。そのため、第1のモードでは、マイク10からの信号には音声信号としてSN比を確保可能な信号強度が要求されるが、第2のモードでは、マイク10からの信号には所定のレベルを超えるか否かを検出可能な程度の信号強度が要求される。すなわち、第2のモードでマイク10からの信号に要求される信号強度は、第1のモードでマイク10からの信号に要求される信号強度より小さい。
【0037】
このため、図2(a)に示すように、プリアンプ20は、第1のモードにおいて、スイッチ8で第1の接続状態に切り替え、スイッチ7で第3の接続状態に切り替える。これにより、第1のモードにおいて、昇圧回路30で昇圧された電圧がバイアス電圧としてマイク10へ供給され、マイク10から信号が第1のモードに応じた信号強度でプリアンプ20へ供給され得る。また、マイク10から信号が増幅回路5で増幅され、増幅後の信号が比較回路6を経由せずに出力端子20dから後段の回路へ出力信号OUTとして出力され得る。
【0038】
図2(b)に示すように、プリアンプ20は、第2のモードにおいて、スイッチ8で第2の接続状態に切り替え、スイッチ7で第4の接続状態に切り替える。これにより、第2のモードにおいて、電源電圧VDDがバイアス電圧としてマイク10へ供給され、マイク10から信号が第2のモードに応じた信号強度でプリアンプ20へ供給され得る。また、マイク10から信号が増幅回路5で増幅され、増幅後の信号のレベルが比較回路6で閾値レベルと比較され、比較結果の信号が出力端子20dから後段の回路へ出力信号OUTとして出力され得る。
【0039】
すなわち、第2のモードでは、プリアンプ20が第1のモードより低い電圧をバイアス電圧としてマイク10へ供給するので、プリアンプ20の消費電力を容易に低減できる。
【0040】
第2のモードでは、昇圧回路30で昇圧された電圧がバイアス電圧として用いられないので、昇圧回路30を停止させることができる。このため、プリアンプ20は、図2(a)に示す第1のモードにおいて、スイッチ9をオン状態に維持して昇圧回路30を動作させ、図2(b)に示す第2のモードにおいて、スイッチ9をオフ状態に維持して昇圧回路30を停止させてもよい。これにより、第2のモードでは、第1のモードより、プリアンプ20の消費電力を容易に低減できる。
【0041】
第2のモードでは、増幅回路5の駆動力は信号を伝送可能な程度でよい。このため、プリアンプ20は、図2(a)に示す第1のモードにおいて、増幅回路5を第1の駆動力で動作させ、図2(b)に示す第2のモードにおいて、増幅回路5を第2の駆動力で動作させる。第2の駆動力は、第1の駆動力より小さい駆動力である。例えば、増幅回路5が可変電流源を有する場合、プリアンプ20は、第1のモードにおいて、可変電流源より第1の駆動電流を供給し、第2のモードにおいて、可変電流源より第1の駆動電流より低い第2の駆動電流を供給してもよい。これにより、第2のモードでは、第1のモードより、プリアンプ20の消費電力を容易に低減できる。
【0042】
また、マイクモジュール100は、所定の条件が成立することに応じて、第1のモード及び第2のモードの間でプリアンプ20の動作モードを遷移させることが可能である。マイクモジュール100は、例えば、図3に示すような動作モードの遷移を行ってもよい。図3は、マイクモジュール100の動作を示すフローチャートである。
【0043】
マイクモジュール100は、起動されると、第1のモードで動作する(S1)。例えば、プリアンプ20は、マイクモジュール100の起動時に、スイッチ8で第2の接続状態に切り替えられており、スイッチ7で第4の接続状態に切り替えられている。あるいは、プリアンプ20は、マイクモジュール100の起動に応じて、スイッチ8で第2の接続状態に切り替え、スイッチ7で第4の接続状態に切り替える。これにより、昇圧回路30で昇圧された電圧がバイアス電圧としてプリアンプ20からマイク10へ供給され、マイク10から信号が第1のモードに応じた信号強度でプリアンプ20へ供給され得る。
【0044】
マイクモジュール100は、マイク10からの信号レベルが閾値レベル以下であるか否か判断する(S2)。閾値レベルは、マイク10へ音声入力が行われた場合にマイク10で発生する信号レベルの下限に対応する。マイクモジュール100は、信号レベルが閾値レベルを超えていれば(S2でNo)、処理をS1に戻す。
【0045】
マイクモジュール100は、信号レベルが閾値レベル以下になると(S2でYes)、信号レベルが継続的に閾値レベル以下である継続時間を計測する。マイクモジュール100は、継続時間が閾値時間未満であれば(S3でNo)、処理をS1に戻す。閾値時間は、マイク10へ音声入力が行われていない場合に信号レベルが閾値レベル未満となる時間の下限に対応する。
【0046】
マイクモジュール100は、継続時間が閾値時間以上となると(S3でYes)、マイク10へ音声入力が行われない待機状態になったとして、動作モードを第1のモードから第2のモードへ切り替える(S4)。すなわち、プリアンプ20は、スイッチ8で第2の接続状態に切り替え、スイッチ7で第4の接続状態に切り替える。これにより、マイクモジュール100は、第2のモードで動作し(S5)、電源電圧VDDがバイアス電圧としてプリアンプ20からマイク10へ供給され、マイク10から信号が第2のモードに応じた信号強度でプリアンプ20へ供給され得る。
【0047】
マイクモジュール100は、マイク10からの信号レベルが閾値レベル以下であるか否か判断する(S6)。マイクモジュール100は、信号レベルが閾値レベル以下であれば(S6でYes)、処理をS5に戻す。
【0048】
マイクモジュール100は、信号レベルが閾値レベルを超えると(S6でNo)、マイク10へ音声入力が行われる状態になったとして、動作モードを第2のモードから第1のモードへ切り替える(S7)。すなわち、プリアンプ20は、スイッチ8で第1の接続状態に切り替え、スイッチ7で第3の接続状態に切り替える。これにより、マイクモジュール100は、第1のモードで動作し(S1)、昇圧回路30で昇圧された電圧がバイアス電圧としてプリアンプ20からマイク10へ供給され、マイク10から信号が第1のモードに応じた信号強度でプリアンプ20へ供給され得る。そして、S2以降の動作が行われる。
【0049】
以上のように、本実施形態では、マイクモジュール100のプリアンプ20は、マイクへ供給すべきバイアス電圧を昇圧電圧と昇圧前の電源電圧VDDとで切り替え可能に構成される。例えば、プリアンプ20で音声処理を行う第1のモードにおいて、マイクへ供給すべきバイアス電圧を昇圧電圧とし、待機状態である第2のモードにおいて、マイクへ供給すべきバイアス電圧を昇圧前の電源電圧VDDとする。これにより、動作モードに応じて、プリアンプ20の消費電力を低減できる。
【0050】
なお、実施形態の第1の変形例として、マイクモジュール200において、図4に示すように、プリアンプ220内に動作モードの遷移のためのコントロールロジック回路(制御回路)240が設けられていてもよい。図4は、実施形態の第1の変形例に係るマイクモジュール200の構成を示す図である。プリアンプ220は、コントロールロジック回路240をさらに有する。コントロールロジック回路240は、比較回路6とスイッチ8、増幅回路5、スイッチ9、スイッチ7との間に電気的に接続される。コントロールロジック回路240は、タイマ241を有し、タイマ241で時間を計測可能である。コントロールロジック回路240は、比較回路6の比較結果の信号を受け、タイマ241で時間を計測したり、スイッチ8、増幅回路5、スイッチ9、スイッチ7をそれぞれ制御したりすることができる。
【0051】
コントロールロジック回路240は、入力ノード240aがノードN3を介して比較回路6の出力ノード6bに電気的に接続される。ノードN3は、ラインL26における比較回路6とスイッチ7との間のノードである。コントロールロジック回路240は、出力ノード240bが、スイッチ8の制御ノード8d、スイッチ7の制御ノード7d、スイッチ9の制御ノード9c、増幅回路5の制御ノード5cに電気的に接続される。
【0052】
第1のモードにおいて、スイッチ8は、コントロールロジック回路240から制御ノード8dで受ける制御信号に応じて第1の接続状態に切り替える。スイッチ7は、コントロールロジック回路240から制御ノード7dで受ける制御信号に応じて第3の接続状態に切り替える。スイッチ9は、コントロールロジック回路240から制御ノード9cで受ける制御信号に応じてオン状態に維持される。増幅回路5は、コントロールロジック回路240から制御ノード5cで受ける制御信号に応じて第1の駆動力で動作する。
【0053】
第2のモードにおいて、スイッチ8は、コントロールロジック回路240から制御ノード8dで受ける制御信号に応じて第2の接続状態に切り替える。スイッチ7は、コントロールロジック回路240から制御ノード7dで受ける制御信号に応じて第4の接続状態に切り替える。スイッチ9は、コントロールロジック回路240から制御ノード9cで受ける制御信号に応じてオフ状態に維持される。増幅回路5は、コントロールロジック回路240から制御ノード5cで受ける制御信号に応じて第2の駆動力で動作する。
【0054】
また、コントロールロジック回路240は、図3に例示する動作モードの遷移の制御を行うことができる。コントロールロジック回路240は、第1のモードで動作する際(S1)、第1の接続状態に切り替えるようにスイッチ8を制御し、第3の接続状態に切り替えるようにスイッチ7を制御し得る。
【0055】
コントロールロジック回路240は、比較回路6の比較結果の信号に応じて、マイク10からの信号レベルが閾値レベル以下であるか否か判断する(S2)。コントロールロジック回路240は、信号レベルが閾値レベルを超えていれば(S2でNo)、処理をS1に戻す。コントロールロジック回路240は、信号レベルが閾値レベル以下になると(S2でYes)、信号レベルが継続的に閾値レベル以下である継続時間をタイマ241で計測する。コントロールロジック回路240は、継続時間が閾値時間未満であれば(S3でNo)、処理をS1に戻す。コントロールロジック回路240は、継続時間が閾値時間以上となると(S3でYes)、動作モードを第1のモードから第2のモードへ切り替える(S4)。すなわち、コントロールロジック回路240は、第2の接続状態に切り替えるようにスイッチ8を制御し、第4の接続状態に切り替えるようにスイッチ7を制御する。これにより、マイクモジュール200は、第2のモードで動作する(S5)。
【0056】
コントロールロジック回路240は、比較回路6の比較結果の信号に応じて、マイク10からの信号レベルが閾値レベル以下であるか否か判断する(S6)。コントロールロジック回路240は、信号レベルが閾値レベル以下であれば(S6でYes)、処理をS5に戻す。コントロールロジック回路240は、信号レベルが閾値レベルを超えると(S6でNo)、動作モードを第2のモードから第1のモードへ切り替える(S7)。すなわち、コントロールロジック回路240は、第1の接続状態に切り替えるようにスイッチ8を制御し、第3の接続状態に切り替えるようにスイッチ7を制御する。
【0057】
このように、マイクモジュール200において、動作モードの遷移のための制御がプリアンプ20内で行われる。これにより、動作モードに応じてプリアンプ20の後段で動作させる回路を制限できる。この結果、マイクモジュール200全体として、動作モードに応じて消費電力を低減できる。
【0058】
あるいは、実施形態の第2の変形例として、マイクモジュール300において、プリアンプ320は、図5に示すように、スイッチ7が省略された構成であってもよい。図5は、実施形態の第2の変形例に係るマイクモジュール300の構成を示す図である。プリアンプ320は、スイッチ7(図4参照)が省略され、出力端子20fをさらに有する。出力端子20fは、ラインL26を介して比較回路6の出力ノード6bに電気的に接続される。これにより、プリアンプ320は、第1のモード及び第2のモードのそれぞれにおいて、比較回路6の比較結果の信号DETECTを後段の回路へ出力できる。
【0059】
このように、マイクモジュール300において、プリアンプ320はスイッチ7が省略された構成である。これにより、スイッチ7を動作させるための電力を削減できるので、プリアンプ20の消費電力をさらに低減できる。
【0060】
あるいは、実施形態の第3の変形例として、マイクモジュール400において、図6に示すように、プリアンプ420の後段に動作モードの遷移のためのコントロールロジック回路(制御回路)240が設けられていてもよい。図6は、実施形態の第3の変形例に係るマイクモジュール400の構成を示す図である。
【0061】
マイクモジュール400は、マイク10及びプリアンプ420に加えて、ASIC回路ブロック450、信号処理回路(Signal Processor)ブロック460を有する。プリアンプ420は、図5に示す構成に対して、コントロールロジック回路240が省略され、入力端子20gをさらに有する。入力端子20gは、制御信号を受けるための制御端子であり、スイッチ8の制御ノード8d、スイッチ9の制御ノード9c、増幅回路5の制御ノード5cに電気的に接続される。
【0062】
ASIC回路ブロック450は、入力端子450a、入力端子450b、出力端子450c、出力端子450d、アナログデジタルコンバータ(ADC)回路451、及びコントロールロジック回路240を有する。入力端子450aは、プリアンプ420の出力端子20fに電気的に接続され、比較回路6の比較結果の信号DETECTを受ける。入力端子450bは、プリアンプ420の出力端子20dに電気的に接続され、増幅回路5で増幅された信号OUTを受ける。アナログデジタルコンバータ回路451は、入力ノード451aが入力端子450bに電気的に接続され、出力ノード451bがコントロールロジック回路240の入力ノード240cと出力端子450dとに電気的に接続されている。出力端子450dは、信号処理回路ブロック460の入力端子460bに電気的に接続される。これにより、増幅回路5で増幅された信号OUT(アナログ信号)がアナログデジタルコンバータ回路451でデジタル信号に変換され、デジタル信号が信号処理回路ブロック460で信号処理され得る。
【0063】
コントロールロジック回路240は、入力ノード240aが入力端子450aに接続され、出力ノード240bが出力端子450cに電気的に接続される。出力端子450cは、プリアンプ420の入力端子20gと信号処理回路ブロック460の入力端子460aとに電気的に接続される。
【0064】
第1のモードにおいて、スイッチ8は、コントロールロジック回路240から出力端子450c及び入力端子20gを介して制御ノード8dで受ける制御信号に応じて第1の接続状態に切り替える。スイッチ9は、コントロールロジック回路240から出力端子450c及び入力端子20gを介して制御ノード9cで受ける制御信号に応じてオン状態に維持される。増幅回路5は、コントロールロジック回路240から出力端子450c及び入力端子20gを介して制御ノード5cで受ける制御信号に応じて第1の駆動力で動作する。
【0065】
第2のモードにおいて、スイッチ8は、コントロールロジック回路240から出力端子450c及び入力端子20gを介して制御ノード8dで受ける制御信号に応じて第2の接続状態に切り替える。スイッチ9は、コントロールロジック回路240から出力端子450c及び入力端子20gを介して制御ノード9cで受ける制御信号に応じてオフ状態に維持される。増幅回路5は、コントロールロジック回路240から出力端子450c及び入力端子20gを介して制御ノード5cで受ける制御信号に応じて第2の駆動力で動作する。
【0066】
また、コントロールロジック回路240は、図3に例示する動作モードの遷移の制御を行うことができる点は、第1の変形例と同様である。
【0067】
このように、マイクモジュール400において、動作モードの遷移のための制御がプリアンプ420の後段で行われる。これにより、動作モードに応じてプリアンプ20で動作させる回路を制限できる。この結果、マイクモジュール400全体として、動作モードに応じて消費電力を低減できる。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
5 増幅回路
6 比較回路
7 スイッチ
8 スイッチ
9 スイッチ
10 マイク
20,220,320,420 プリアンプ
30 昇圧回路
100,200,300,400 マイクモジュール
240 コントロールロジック回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6