(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161495
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】冷却設備、乾燥・冷却システムおよび冷却空気湿分制御方法
(51)【国際特許分類】
F26B 21/00 20060101AFI20221014BHJP
F26B 21/04 20060101ALI20221014BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20221014BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20221014BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20221014BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
F26B21/00 F
F26B21/04
B05C9/12
B05C11/00
B05C11/10
B05C9/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066365
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】595080887
【氏名又は名称】株式会社ヒートエナジーテック
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】富田 正浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聡根
(72)【発明者】
【氏名】石田 公基
(72)【発明者】
【氏名】迫田 淳壱
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 裕也
【テーマコード(参考)】
3L113
4F042
【Fターム(参考)】
3L113AA02
3L113AB02
3L113AC03
3L113AC22
3L113AC35
3L113AC67
3L113BA32
3L113CA08
3L113CA09
3L113CB14
3L113DA21
3L113DA23
4F042AA01
4F042AA09
4F042BA13
4F042BA19
4F042BA20
4F042DB02
4F042DB26
4F042DB29
4F042DB30
4F042DB31
4F042DB39
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】冷却装置に流入する冷却空気の湿度を管理可能とする。
【解決手段】冷却設備101は、処理対象物1を冷却する冷却装置101fと、外気が流入する空気冷却用熱交換器112と、ヒートポンプ10と、外気導入流路部111と、冷却空気導入流路部114と、冷却水循環流路20と、風量調節装置117と、外気入口温度検知器201および外気入口湿度検知器202と、冷却熱交出口温度検知器203と、外気入口温度検知器201、外気入口湿度検知器202および冷却熱交出口温度検知器203の出力に基づいて、出口空気の相対湿度が所定の値となるように風量調節装置117を制御する湿分制御装置200とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を冷却する冷却装置と、
外気が流入し、冷水により冷却されて冷却空気として流出する空気冷却用熱交換器と、
前記冷水を冷却するヒートポンプと、
前記外気を前記空気冷却用熱交換器に導入する外気導入流路部と、
前記冷却空気を前記空気冷却用熱交換器から前記冷却装置に導入する冷却空気導入流路部と、
前記空気冷却用熱交換器と前記ヒートポンプ間で前記冷水を循環する冷却水循環流路と、
前記外気導入流路部または前記冷却空気導入流路部に設けられ、前記冷却空気の流量を調節する風量調節装置と、
前記空気冷却用熱交換器の入口の前記外気の温度および相対湿度をそれぞれ測定する外気入口温度検知器および外気入口湿度検知器と、
前記空気冷却用熱交換器の出口の前記冷却空気の温度を測定する冷却熱交出口温度検知器と、
前記外気入口温度検知器、前記外気入口湿度検知器および前記冷却熱交出口温度検知器の出力に基づいて、前記冷却空気の相対湿度が所定の値となるように前記風量調節装置に指令して前記冷却空気の流量を制御する湿分制御装置と、
を備えることを特徴とする冷却設備。
【請求項2】
前記外気導入流路部に設けられた冷却用熱交入口調節部と、
冷却用熱交バイパス調節部を有し、前記空気冷却用熱交換器をバイパスするように前記冷却用熱交入口調節部の上流側から分岐し前記冷却空気導入流路部に合流する冷却用熱交バイパス流路部と、
を備え、
前記湿分制御装置は、
前記外気入口温度検知器の出力が判定用規定値より低い場合には、前記冷却用熱交入口調節部を閉止し前記冷却用熱交バイパス調節部を開とすべき旨の判定を行う熱交入口温度判定部と、
前記熱交入口温度判定部の前記判定に用いる前記判定用規定値を記憶する判定用規定値記憶部と、
を具備することを特徴とする請求項1記載の冷却設備。
【請求項3】
前記湿分制御装置は、
空気線図データを記憶する空気線図データベースと、
前記外気入口湿度検知器および前記冷却熱交出口温度検知器の出力に基づいて、前記空気線図データベースを用いて前記外気の絶対湿度を導出し前記外気の露点温度を導出する露点温度導出部と、
目標相対湿度を記憶する目標相対湿度記憶部と、
前記露点温度と前記目標相対湿度とから、熱交出口温度目標値を導出する熱交出口温度目標値導出部と、
前記熱交出口温度目標値および前記冷却熱交出口温度検知器の出力に基づいて制御演算を行い前記風量調節装置への指令値を出力する湿度用制御演算部と、
を具備することを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷却設備。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の冷却設備と、
前記処理対象物を乾燥させる乾燥装置と、前記乾燥装置に乾燥用ガスを供給する加熱空気供給装置を具備する乾燥設備と、
を備える乾燥・冷却システムであって、
前記加熱空気供給装置は、
燃焼装置と、
前記燃焼装置に燃焼用空気を導入する燃焼用空気導入流路部と、
前記燃焼装置に燃料を導入する燃料導入流路部と、
前記燃焼装置に希釈用空気を導入する希釈用空気導入流路部と、
前記燃焼装置で生成された燃焼ガスと前記希釈用空気との混合ガスを前記乾燥用ガスとして前記乾燥装置に導入する乾燥用ガス導入流路部と、
排気ファンを備え、前記乾燥装置からの排ガスを排気する乾燥装置排気流路部と、
備えることを特徴とする乾燥・冷却システム。
【請求項5】
前記冷却空気導入流路部に設けられ前記冷却空気を加熱する冷却空気加熱用熱交換器をさらに具備し、
前記加熱空気供給装置は、冷却空気加熱用熱交入口調節部を有し、前記乾燥装置排気流路部から分岐して、前記排ガスを前記冷却空気加熱用熱交換器に導入する高温排気導入流路部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項4記載の乾燥・冷却システム。
【請求項6】
前記冷却空気の最低温度を規定する冷却装置入口最低温度規定値を記憶する冷却装置入口最低温度規定値記憶部をさらに具備し、
前記湿分制御装置は、前記熱交出口温度目標値に代えて、前記熱交出口温度目標値および前記冷却装置入口最低温度規定値のうちの高値を用いることを特徴とする請求項4または請求項5記載の乾燥・冷却システム。
【請求項7】
前記湿分制御装置は、
前記冷却空気加熱用熱交換器の出口の前記冷却空気の温度目標値である再加熱温度目標値を記憶する再加熱温度目標値記憶部を有する加熱用制御装置をさらに具備し、
前記熱交出口温度目標値として結露温度より低い温度が用いられ、
前記加熱用制御装置は、前記冷却空気加熱用熱交換器の出口の前記冷却空気の温度が、前記再加熱温度目標値となるように前記冷却空気加熱用熱交換器の加熱用空気制御用の調節部への指令を演算する、
ことを特徴とする請求項6記載の乾燥・冷却システム。
【請求項8】
処理対象物を冷却する冷却装置と、ヒートポンプを冷却源として外気が冷却され冷却空気として流出する空気冷却用熱交換器と、前記冷却空気を前記空気冷却用熱交換器から前記冷却装置に導入する冷却空気導入流路部と、前記冷却空気の流量を調節する風量調節装置と、前記空気冷却用熱交換器の入口の前記外気の温度および相対湿度をそれぞれ測定する外気入口温度検知器および外気入口湿度検知器と、前記空気冷却用熱交換器の出口の前記冷却空気の温度を測定する冷却熱交出口温度検知器と、前記外気入口温度検知器、前記外気入口湿度検知器および前記冷却熱交出口温度検知器の出力に基づいて、前記冷却空気の相対湿度が所定の値となるように前記風量調節装置に指令して前記冷却空気の流量を制御する湿分制御装置と、を備える冷却設備の前記冷却空気の湿度を制御する冷却空気湿分制御方法であって、
前記湿分制御装置の露点温度導出部が、前記外気入口温度検知器および前記外気入口湿度検知器の出力に基づき、前記湿分制御装置が収納する空気線図データベースを用いて、導入した外気の露点温度を導出するステップと、
前記湿分制御装置の熱交出口温度目標値導出部が、前記露点温度に基づき、前記湿分制御装置が収納する温度目標用データを用いて、熱交出口温度目標値を算出するステップと、
前記湿分制御装置の湿度用制御演算部が、前記冷却熱交出口温度検知器の出力および前記熱交出口温度目標値に基づいて前記空気冷却用熱交換器の出口の前記冷却空気の温度が、前記熱交出口温度目標値となるように前記風量調節装置への指令を演算するステップと、
を有することを特徴とする冷却空気湿分制御方法。
【請求項9】
前記冷却設備が、前記空気冷却用熱交換器の入口側に設けられた冷却用熱交入口調節部と、冷却用熱交バイパス調節部を有し前記空気冷却用熱交換器をバイパスするように前記冷却用熱交入口調節部の上流側から分岐し前記冷却空気導入流路部に合流する冷却用熱交バイパス流路部とをさらに備える場合に、
前記導入した外気の前記露点温度を導出するステップの前に、
前記湿分制御装置の熱交入口温度判定部が、前記外気入口温度検知器の出力が判定用規定値より低い場合には、前記冷却用熱交入口調節部を閉止し前記冷却用熱交バイパス調節部を開とすべき旨の判定を行うステップを、
さらに有することを特徴とする請求項8記載の冷却空気湿分制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却設備、乾燥・冷却システムおよび冷却空気湿分制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を含む塗装物等の処理対象物は、塗装処理後に、乾燥炉において加熱乾燥処理された後に、冷却装置である冷却炉において常温へと冷却処理される。
【0003】
冷却炉に供給される冷却空気を冷却するための冷水の冷却源、および乾燥炉に供給される加熱用空気の補助的な加熱源の両者の機能を有するものとして、ヒートポンプが用いられている例がある。
【0004】
ヒートポンプを用いる場合、その成績係数(COP:Coefficient Of Performance)が最大となるような運転状態の下で使用することが、使用エネルギー消費量が最小となり好ましい。加熱負荷あるいは冷却負荷の変動に合わせてヒートポンプの運転状態を変化させることは、COPの最大状態からの逸脱となり好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冷却炉に供給される冷却空気は、冷風用熱交換器に流入した外気が、ヒートポンプにより冷却された冷水により冷却されたものである。ヒートポンプをCOP最大に維持しながらの運転状態のもとでは、冷風用熱交換器の冷却側の冷水の条件がほぼ一定である。
【0007】
このため、冷却空気の状態は、外気の状態に大きく依存することになる。特に、外気の相対湿度が大きな場合は、冷風用熱交換器で冷却されることにより、冷却炉に供給される冷却空気から水分、すなわち水滴が発生する可能性がある。冷却空気とともに水滴が冷却炉に流入すると、対象物の品質に悪影響を生ずる可能性もある。
【0008】
そこで、本発明は、冷却装置に流入する冷却空気の湿度を管理可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明に係る冷却設備は、処理対象物を冷却する冷却装置と、外気が流入し、冷水により冷却されて冷却空気として流出する空気冷却用熱交換器と、前記冷水を冷却するヒートポンプと、前記外気を前記空気冷却用熱交換器に導入する外気導入流路部と、前記冷却空気を前記空気冷却用熱交換器から前記冷却装置に導入する冷却空気導入流路部と、前記空気冷却用熱交換器と前記ヒートポンプ間で前記冷水を循環する冷却水循環流路と、前記外気導入流路部または前記冷却空気導入流路部に設けられ、前記冷却空気の流量を調節する風量調節装置と、前記空気冷却用熱交換器の入口の前記外気の温度および相対湿度をそれぞれ測定する外気入口温度検知器および外気入口湿度検知器と、前記空気冷却用熱交換器の出口の前記冷却空気の温度を測定する冷却熱交出口温度検知器と、前記外気入口温度検知器、前記外気入口湿度検知器および前記冷却熱交出口温度検知器の出力に基づいて、前記冷却空気の相対湿度が所定の値となるように前記風量調節装置に指令して前記冷却空気の流量を制御する湿分制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る冷却空気湿分制御方法は、処理対象物を冷却する冷却装置と、ヒートポンプを冷却源として外気が冷却され冷却空気として流出する空気冷却用熱交換器と、前記冷却空気を前記空気冷却用熱交換器から前記冷却装置に導入する冷却空気導入流路部と、前記冷却空気の流量を調節する風量調節装置と、前記空気冷却用熱交換器の入口の前記外気の温度および相対湿度をそれぞれ測定する外気入口温度検知器および外気入口湿度検知器と、前記空気冷却用熱交換器の出口の前記冷却空気の温度を測定する冷却熱交出口温度検知器と、前記外気入口温度検知器、前記外気入口湿度検知器および前記冷却熱交出口温度検知器の出力に基づいて、前記冷却空気の相対湿度が所定の値となるように前記風量調節装置に指令して前記冷却空気の流量を制御する湿分制御装置と、を備える冷却設備の前記冷却空気の湿度を制御する冷却空気湿分制御方法であって、前記湿分制御装置の露点温度導出部が、前記外気入口温度検知器および前記外気入口湿度検知器の出力に基づき、前記湿分制御装置が収納する空気線図データベースを用いて、導入した外気の露点温度を導出するステップと、前記湿分制御装置の熱交出口温度目標値導出部が、前記露点温度に基づき、前記湿分制御装置が収納する温度目標用データを用いて、熱交出口温度目標値を算出するステップと、前記湿分制御装置の湿度用制御演算部が、前記冷却熱交出口温度検知器の出力および前記熱交出口温度目標値に基づいて前記空気冷却用熱交換器の出口の前記冷却空気の温度が、前記熱交出口温度目標値となるように前記風量調節装置への指令を演算するステップと、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る乾燥・冷却システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る冷却設備の湿分制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】露点温度の算出を説明するための概念的な空気線図である。
【
図4】第1の実施形態に係る冷却空気湿分制御方法の手順を示すフロー図である。
【
図5】第2の実施形態に係る乾燥・冷却システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】第2の実施形態に係る冷却設備の湿分制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】第2の実施形態に係る冷却空気湿分制御方法の手順を示すフロー図である。
【
図8】第3の実施形態に係る乾燥・冷却システムの構成を示すブロック図である。
【
図9】第3の実施形態に係る冷却設備の湿分制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】第3の実施形態に係る冷却空気湿分制御方法の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る冷却設備、乾燥・冷却システムおよび冷却空気湿分制御方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る乾燥・冷却システム100の構成を示すブロック図である。乾燥・冷却システム100は、冷却設備101、乾燥設備102、および乾燥設備102から冷却設備101に処理対象物1を移動する搬送装置103を有する。
【0014】
冷却設備101は、冷却装置である冷却炉101f、ヒートポンプ10、冷却水循環流路20、冷却炉101fに冷却用の空気(冷却空気)を供給する冷却空気供給装置110、および湿分制御装置200を有する。
【0015】
乾燥設備102は、乾燥装置である乾燥炉102f、および乾燥炉102fに加熱用の空気を供給する加熱空気供給装置120を有する。
【0016】
乾燥・冷却システム300の処理対象物1は、搬送装置103により、まず、乾燥設備102の乾燥炉102fに搬送され加熱・乾燥処理される。その後、冷却設備101の冷却炉101fに搬送され、冷却処理される。
【0017】
なお、空気あるいはガスの流路を構成する流路部は、配管あるいはダクトを適宜用いることができる。以下では、この流路部として、配管を例にとって示しているが、これに限定されず、たとえば、ダクトであってもよい。また、流路部において、空気あるいはガスの流れを停止または許容する、あるいは流量を制御する調節部としては、たとえば、ダンパ、弁等を用いることができる。以下では、この調節部として、ダンパを例にとって示しているが、これに限定されず、たとえば、用途に応じて、弁等を用いてもよい。
【0018】
まず、冷却設備101の、ヒートポンプ10、冷却水循環流路20、冷却空気供給装置110、および湿分制御装置200のそれぞれについて、以下、順次説明する。
【0019】
ヒートポンプ10は、加熱空気供給装置120の加熱源および冷却空気供給装置110の冷却源として設けられている。ヒートポンプ10は、蒸発器11、圧縮機12、凝縮器13、膨張弁14、および内臓ファン15を有する。蒸発器11は、吸熱作用を有し、冷却空気供給装置110の冷却源となる。また、凝縮器13は、発熱作用を有し、加熱空気供給装置120の補助的な熱源となる。
【0020】
次に、冷却空気供給装置110の詳細について説明する。
【0021】
冷却空気供給装置110は、外気導入配管111、空気冷却用熱交換器112、冷却用熱交バイパス配管113、冷却空気導入配管114、冷却ファン117、および冷却空気排気配管118を有する。
【0022】
外気導入配管111は、外気を空気冷却用熱交換器112に導入する。外気導入配管111には、冷却用熱交入口ダンパ111aが設けられている。また、外気導入配管111には、空気冷却用熱交換器112に導入される外気の温度および湿度をそれぞれ検知する外気入口温度検知器201および外気入口湿度検知器202が設けられている。
【0023】
空気冷却用熱交換器112は、外気導入配管111により導入された外気を冷却する。空気冷却用熱交換器112の冷却側は、冷却水循環流路20の冷却水である。ここで、冷却水循環流路20は、ヒートポンプ10の蒸発器11により冷却された冷却水流路である流路低温部20aと、空気冷却用熱交換器112から蒸発器11側に戻る流路高温部20bと、流路低温部20aに配された冷却水ポンプ21を有する。
【0024】
ここで、ヒートポンプ10のCOPを最大に維持するためには、流路低温部20aと流路高温部20bのそれぞれにおける冷却水の温度を所定の値に維持する必要がある。このために、
図1に示すように、冷却水加熱用熱交換器22が流路高温部20bに設けられており蒸発器11に戻る冷却水を加熱可能に構成されている。また、流路高温部20bには冷却水温度検知調整部20tが設けられており、空気冷却用熱交換器112での冷却負荷が小さい場合でも蒸発器11に戻る流路高温部20bの冷却水の温度が所定の温度から低下しないように、所定の温度を維持可能としている。冷却水加熱用熱交換器22の加熱源は、後述するように、加熱空気供給装置120であり、詳細は後述する。
【0025】
冷却空気導入配管114は、空気冷却用熱交換器112出口と冷却炉101fとを接続する。冷却空気導入配管114の空気冷却用熱交換器112出口側部分には、冷却炉101fに供給される空気の温度を検知する冷却熱交出口温度検知器203が設けられている。
【0026】
冷却用熱交バイパス配管113は、空気冷却用熱交換器112をバイパスするように、外気導入配管111の外気入口温度検知器201および外気入口湿度検知器202の設置個所の下流側かつ冷却用熱交入口ダンパ111aの上流側の部分から分岐し、冷却空気導入配管114の冷却熱交出口温度検知器203の設置個所の上流側の部分に合流する。冷却用熱交バイパス配管113には、冷却用熱交バイパスダンパ113aが設けられている。
【0027】
冷却ファン117は、導入された外気を冷却空気として冷却炉101fに導入するために、冷却空気導入配管114に設けられており、駆動装置としてのたとえばインバータ電源に接続された電動機により駆動され、回転数が可変である。また、冷却ファン117は、湿分制御装置200からの指令信号に基づいて動作し冷却空気の風量を調節する風量調節装置としての機能を有する。なお、以下では、風量調節装置として、この電動機駆動の冷却ファン117を例にとって示しているが、風量調節装置は、これに限定されない。すなわち、冷却空気の風量を調節可能であれば、他の駆動方式でもよく、あるいは、ブロワを含めた送風機でもよい。さらには、ファン、ブロワなどの送風手段に加えて風量を調節可能なダンパや弁などの調節部を備えたものでもよい。以下、これらを総称して風量調節装置という。
【0028】
冷却空気排気配管118は、冷却炉101fから空気を排出する経路となる。
【0029】
次に、乾燥設備102の、加熱空気供給装置120について説明する。
【0030】
加熱空気供給装置120は、燃焼装置121、燃料供給配管121a、乾燥用ガス導入配管122、循環用ファン123、ガス戻り配管124、乾燥炉排気配管125、排気ファン126、燃焼用空気導入配管127、外気供給ファン127a、再生熱交換器128、希釈用空気導入配管129を有する。
【0031】
燃焼装置121は、燃料供給配管121a経由で供給される燃料と、燃焼用空気導入配管127経由で供給される燃焼用空気とから燃焼ガスを生成し、さらに希釈用空気導入配管129経由で供給される希釈用空気を受け入れてこれを燃焼ガスと混合させて、乾燥用ガスを生成する。燃焼装置121は、ヒートポンプ10の凝縮器13とともに、加熱空気供給装置120における熱源である。
【0032】
燃焼装置121で生成された乾燥用ガスは、燃焼装置121と乾燥炉102fを接続する乾燥用ガス導入配管122に設けられた循環用ファン123により駆動され、乾燥用ガス導入配管122を経由して、乾燥炉102fに供給される。また、乾燥ガスの再循環のため、ガス戻り配管124が、乾燥炉102fから出て希釈用空気導入配管129に接続されている。
【0033】
希釈用空気導入配管129は、外気を燃焼装置121に導入する。希釈用空気導入配管129には、外気を駆動する内臓ファン15が設けられている。また、希釈用空気導入配管129は、ヒートポンプ10の凝縮器13との熱交換部を経由している。このため、外気は、凝縮器13からの発熱により加熱され、内臓ファン15により駆動されて希釈用空気導入配管129内を流れ、希釈用空気として燃焼装置121に送られる。希釈用空気は、燃焼ガスと混合されることにより乾燥用ガスの温度を調整する機能を有するとともに、燃焼装置121の冷却用空気としても機能する。
【0034】
乾燥炉102fからは、ガス戻り配管124を経て燃焼装置121側に再循環するガス以外に、系外に排出されるガスがある。すなわち、一部のガスは、排気ファン126に駆動されて、乾燥炉102fから乾燥炉排気配管125を経て外部に放出される。なお、前述の冷却空気排気配管118は、排気ファン126の上流側の部分の乾燥炉排気配管125に接続されている。
【0035】
乾燥炉排気配管125から外部に排出されるガスの分を補充するように、外部に排出されるガスと同程度の流量の外気が、前述のように、燃焼用空気導入配管127を経て燃焼装置121に供給される。外気は、燃焼用空気導入配管127に設けられた外気供給ファン127aにより駆動される。また、燃焼用空気導入配管127には再生熱交換器128が設けられ、外気は、乾燥炉排気配管125を経て外部に放出される高温の排ガスにより加熱された上で、燃焼用空気として燃焼装置121に供給される。燃焼用空気が加熱されて供給されて燃焼装置121に供給されることにより、燃焼装置121における燃焼効率が向上し、燃料供給配管121a経由で供給される燃料の消費量を低減することができる。また、高温の排ガスの熱の一部を回収することができる。
【0036】
排気ファン126の出口側は、排気ファン出口配管131が設けられ、排気ファン出口配管131の終端は、外気に開放されている。排気ファン出口配管131の途中から、冷却水加熱用熱交バイパス配管132が分岐し、冷却水循環流路20に設けられた冷却水加熱用熱交換器22を経由した後に、再び排気ファン出口配管131に合流する。排気ファン出口配管131と冷却水加熱用熱交バイパス配管132との分岐点と合流点との間には、排気ファン出口配管131には排気ファン出口ダンパ131aが、また冷却水加熱用熱交バイパス配管132には冷却水加熱用熱交換入口ダンパ132aが設けられている。
【0037】
排気ファン出口ダンパ131aおよび冷却水加熱用熱交換入口ダンパ132aは、流路高温部20bに設けられた冷却水温度検知調整部20tにより開度調整され、蒸発器11に戻る流路高温部20bの冷却水温度を維持するように冷却水加熱用熱交換器22に加熱用空気が供給される。
【0038】
次に、湿分制御装置200は、外気入口温度検知器201、外気入口湿度検知器202、および冷却熱交出口温度検知器203の各出力を入力として受け入れて、冷却用熱交入口ダンパ111a、冷却用熱交バイパスダンパ113a、および冷却ファン117に指令信号を出力する。
【0039】
図2は、第1の実施形態に係る冷却設備の湿分制御装置200の構成を示すブロック図である。
【0040】
湿分制御装置200は、たとえば計算機システムである。あるいは、複数の演算器、複数のメモリー、入力装置、および出力装置が相互に機能的に結合したものでもよい。
【0041】
湿分制御装置200は、演算部210、記憶部230、入力部240、および出力部250を有する。
【0042】
入力部240は、外部入力を受け入れる。外部入力は、具体的には、常時、入力として受け入れる外気入口温度検知器201、外気入口湿度検知器202、および冷却熱交出口温度検知器203の各出力の他に、必要に応じて外部からインプットする演算に必要な特性データ等である。
【0043】
出力部250は、演算部210が演算した結果を、たとえば冷却ファン117等の風量調節装置に直接指令可能な信号に変換し、風量調節装置に出力する。また、出力部250は、必要に応じて湿分制御装置200における処理内容、処理結果等を表示する。なお、入力部240と出力部250の表示部分が、操作員等との相互インターフェイスとして一体化されていてもよい。
【0044】
演算部210は、熱交入口温度判定部211、露点温度導出部212、熱交出口温度目標値導出部213、および湿度用制御演算部214を有する。
【0045】
記憶部230は、判定用規定値記憶部231、空気線図データベース232、目標相対湿度記憶部233を有する。
【0046】
熱交入口温度判定部211は、外気入口温度検知器201の出力である外気入口温度が、判定用規定値である所定値より低いか否かを判定する。この所定値は、外部入力として受け入れられ判定用規定値記憶部231に記憶されている。
【0047】
熱交入口温度判定部211は、外気入口温度検知器201の出力が所定値より高い場合は、冷却用熱交入口ダンパ111aを開状態、冷却用熱交バイパスダンパ113aを閉状態とする指令信号を出力部250に出力する。また、熱交入口温度判定部211は、外気入口温度検知器201の出力が所定値より低い場合は、冷却用熱交入口ダンパ111aを閉状態、冷却用熱交バイパスダンパ113aを開状態とする指令信号を出力部250に出力する。
【0048】
このように、判定用規定値記憶部231に記憶されている所定値は、外気が、その温度が低すぎて、冷却水循環流路20の冷却水による冷却ができず、ヒートポンプ10の冷却負荷となり得ない場合に、外気の空気冷却用熱交換器112の通過を停止して、ヒートポンプ10の冷却負荷から外すための条件である。
【0049】
露点温度導出部212は、外気入口温度検知器201および外気入口湿度検知器202の出力に基づいて、流入した外気の露点温度Tdを導出する。
【0050】
熱交出口温度目標値導出部213は、空気冷却用熱交換器112の出口側の空気、すなわち冷却空気の目標相対湿度xrに基づいて、冷却空気の目標温度Trを導出する。なお、目標相対湿度xrは、主に、次の2つの観点に基づいて設定される。
【0051】
(1)空気冷却用熱交換器112の下流側の低温部の存在により、冷却空気の温度が結露温度以下となり水滴が発生し、冷却空気が水滴を含んだ状態で冷却炉101fに流入することを防止するために、冷却空気を適切な相対湿度以下に維持する。
【0052】
(2)冷却炉101fに流入する冷却空気は、処理対象物1の冷却効果を得るために、できる限り温度が低いことが望ましい。
【0053】
以上の点から、目標相対湿度xrは、60%以上で80%以下が好ましい。目標相対湿度xrが60%未満となると冷却炉101fに流入する冷却空気の温度が高くなり、処理対象物1の冷却効率が低下する。一方。目標相対湿度xrが80%を超えると下流側で水滴発生の可能性が生ずる。また、目標相対湿度xrは、65%以上で75%以下がさらに好ましい。
【0054】
目標相対湿度xrは、外部から入力され、目標相対湿度記憶部233に記憶される。
【0055】
露点温度導出部212および熱交出口温度目標値導出部213の演算に際しては、空気線図データベース232に記憶された空気の特性データが用いられる。
【0056】
図3は、露点温度の算出を説明するための概念的な空気線図である。空気線図データベース232は、この特性を、たとえばテーブル形式あるいは近似式等の形式で保存しており、また、必要に応じて内挿および外挿計算を行う。
図3に示す空気線図は、横軸は乾球温度、縦軸は絶対湿度である。また、曲線は、相対湿度の等高線であり、図中で最も上にある太線で示した曲線が、相対湿度100%の場合を示す。なお、図示していないが、空気線図データベース232は、それぞれのエンタルピ、比体積の値についても収納している。
【0057】
露点温度導出部212は、外気入口温度検知器201の出力を入力部が受け入れた外気入口温度T1と、外気入口湿度検知器202の出力を入力部が受け入れた外気入口湿度x1とから、取り入れた外気の状態が点Aにあることを特定する。次に、露点温度導出部212は、絶対湿度一定の条件、すなわち、
図3の縦軸の値を一定の条件の下で、相対湿度100%の曲線との交点B、すなわち露点を導出する。このときの乾球温度が露点温度Tdである。
【0058】
熱交出口温度目標値導出部213は、目標相対湿度xrの曲線と、線分ABの交点Cを導く。ここで、目標相対湿度xrは、目標相対湿度記憶部233に記憶されている値である。また、空気線図データベース232は必要に応じて、
図3に示すような内挿の演算、および外挿の演算を行う。次に、熱交出口温度目標値導出部213は、C点の乾球温度を目標温度Trとして導出する。
【0059】
湿度用制御演算部214は、空気冷却用熱交換器112の出口の冷却空気の相対湿度が所定の値となるように冷却空気の流量を制御するための制御演算を行う。すなわち、湿度用制御演算部214は、冷却空気の冷却熱交出口温度Toを、目標相対湿度xrに対応する熱交出口温度目標値導出部213により導出された冷却空気の目標温度Trとなるように制御演算を行い、その結果を、冷却ファン117等の風量調節装置への要求信号として出力する。
【0060】
ここで、制御演算の内容は、一般に、比例制御、比例・積分制御、比例・積分・微分制御等が、考えられるが、空気冷却用熱交換器112出口の冷却空気の冷却熱交出口温度Toを、目標相対湿度xrに対応する目標温度Trとするように、冷却空気の流量を制御するための制御演算であれば、他の方法でもよい。また、冷却空気の冷却熱交出口温度Toが目標温度Trとなるような風量を実現する筈の風量調節装置の状態(回転数、開度など)を算出して、先行信号として用いてもよい。あるいは、湿度用制御演算部214の出力を一定の幅として、冷却熱交出口温度Toと目標温度Trの温度偏差に応じて温度偏差解消側の要求信号を出力する方式を用いてもよい。
【0061】
以下では、湿度用制御演算部214が、熱交出口温度目標値導出部213により導出された冷却空気の目標温度Trから冷却熱交出口温度Toを減じて温度偏差を算出する部分と、この温度偏差を演算処理する部分を有する場合を例にとって示している。
【0062】
次に、第1の実施形態に係る冷却空気湿分制御方法について説明する。冷却空気湿分制御方法においては、湿分制御装置200およびその指令を受ける動作機器が制御動作を行うが、この制御状態においては、たとえばシーケンス制御のように、一連の制御動作を終了して完了するのではなく、目的を遂行する制御動作が連続的に繰り返されている状態(制御状態)である。この制御状態は、たとえば、入力部240が終了の信号を受け入れることにより終了する。
【0063】
図4は、第1の実施形態に係る冷却空気湿分制御方法の手順を示すフロー図である。なお、図において、実線が各ステップ間の流れを示しており、点線は信号あるいは情報の授受を示している。また、2点鎖線は、冷却ファン117の動作による冷却空気供給装置110の状態の変化により温度等の変化が生ずるなどの、事象の流れを示している。以下同様である。
【0064】
ここで、外気入口温度検知器201、外気入口湿度検知器202、および冷却熱交出口温度検知器203による検知が行われ、それぞれの出力は、外気入口温度T1、外気入口湿度x1、および冷却熱交出口温度Toとして、湿分制御装置200の入力部240が受け入れているものとする。また、ヒートポンプ10は、COP最大の条件のもとに運転されており、流路低温部20aおよび流路高温部20bの冷却水温度は、それぞれ所定の値に維持されているものとする。
【0065】
まず、熱交入口温度判定部211が、外気入口温度T1が所定温度以上か否かを判定する(ステップS11)。ここで、所定温度は、判定用規定値記憶部231から読み出される。
【0066】
外気入口温度T1が所定温度以上と判定されなかった場合(ステップS11 NO)、すなわち、外気入口温度T1が所定温度より低いと判定された場合には、熱交入口温度判定部211は、冷却用熱交入口ダンパ111aを閉、冷却用熱交バイパスダンパ113aを開、すなわち空気冷却用熱交換器バイパスモードとする指令信号を出力する(ステップS12)。この場合、外気は、空気冷却用熱交換器112に流入せず、冷却用熱交バイパス配管113を経由して、冷却ファン117により、そのまま冷却炉101fに供給される。
【0067】
外気入口温度T1が所定温度以上と判定された場合(ステップS11 YES)には、熱交入口温度判定部211は、冷却用熱交入口ダンパ111aを開、冷却用熱交バイパスダンパを閉、すなわち空気冷却用熱交換器通過モードとする指令信号を出力する(ステップS13)。すなわち、外気は、空気冷却用熱交換器112に流入し、冷却された後に、冷却空気として冷却ファン117により冷却炉101fに供給される。以下は、この場合のステップを示す。
【0068】
露点温度導出部212は、外気入口温度T1および外気入口湿度x1に基づいて、空気線図データベース232に記憶・収納されたデータを用いながら、流入した外気の露点温度Tdを導出する(ステップS14)。
【0069】
次に、熱交出口温度目標値導出部213は、目標相対湿度記憶部233に記憶された目標相対湿度xrに基づいて、空気冷却用熱交換器112出口の冷却空気の目標温度Trを導出する(ステップS15)。この目標温度Trは、前述のように、冷却空気の湿度xを目標相対湿度xrとする温度である。
【0070】
次に、湿度用制御演算部214は、空気冷却用熱交換器112出口の冷却空気の相対湿度が所定の値となるように冷却空気の流量を制御するための制御演算を行う。すなわち、湿度用制御演算部214は、冷却空気の冷却熱交出口温度Toを、目標相対湿度xrに対応する熱交出口温度目標値導出部213により導出された冷却空気の目標温度Trとなるように制御演算を行い、演算結果を出力する。
【0071】
制御演算としては、たとえば、まず、冷却熱交出口温度Toを減じて、温度偏差を算出し(ステップS16)、この温度偏差を演算処理(ステップS17)する。湿度用制御演算部214は、演算処理結果を、風量調節装置への要求信号として出力する。出力部250は、湿度用制御演算部214が算出した要求信号を受け入れて、風量調節装置、たとえば
図1示す冷却ファン117に対する指令信号への変換を行い、指令信号を風量調節装置に出力する(ステップS18)。
【0072】
このようなステップS16からステップS18までの流れが連続的に行われ、最終的に、冷却空気の冷却熱交出口温度Toは冷却空気の目標温度Trとなり、その結果、冷却空気の相対湿度xが目標相対湿度xrとなる。外気の条件すなわち外気温度、外気湿度が変化した場合にも、同様の制御動作が行われ、冷却空気の相対湿度xは目標相対湿度xrに維持される。
【0073】
本実施形態の変形としては、空気冷却用熱交換器112出口に冷却空気の湿度を検知する冷却熱交出口湿度検知器をさらに設けて、入力部を介して受け入れたこの冷却熱交出口湿度検知器からの冷却熱交出口湿度を直接のフィードバック信号として、これを目標相対湿度xrとなるように制御演算を行い、冷却空気の流量を調節する風量調節装置への要求信号として出力する方式でもよい。
【0074】
以上に示したように、本実施形態に係る冷却設備、乾燥・冷却システムおよび冷却空気湿分制御方法は、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
空気冷却用熱交換器112のバイパス流路である冷却用熱交バイパス配管113を設けることにより、外気入口温度が低すぎてヒートポンプ10の冷却負荷となり得ない場合に、空気冷却用熱交換器112をバイパス可能とし、冷却炉101fへの冷却空気の供給が継続可能となる。
【0076】
また、外気条件の変化にも対応して、空気冷却用熱交換器112出口の冷却空気を、それが結露する可能性のないような適切な相対湿度で、かつ、できるだけ低い温度に維持することができる。なお、冷却空気の風量を制御するため、外気温度が低下した場合は、冷却空気の風量を増加させることになり冷却炉101fに流入する空気の温度は上昇するが、冷却空気の風量の増加による冷却空気と処理対象物1との熱伝達率の増加により冷却効果の確保が期待できる。
【0077】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る乾燥・冷却システム100aの構成を示すブロック図である。
【0078】
本実施形態は、第1の実施形態の変形である。本実施形態は、冷却空気の温度が低すぎて、その温度が許容されない場合に、温度調整を実行する機能を有する。
【0079】
以下では、第1の実施形態と異なる部分について説明する。特に説明のない部分については、第1の実施形態と同様である。
【0080】
本実施形態の冷却空気供給装置110aにおいては、空気冷却用熱交換器112と冷却ファン117との間の冷却空気導入配管114の部分に、冷却空気加熱用熱交換器115が設けられている。また、冷却空気加熱用熱交換器115の出口側には、加熱熱交出口温度検知器204が設けられている。なお、冷却空気加熱用熱交換器115を冷却ファン117の下流側に設けてもよい。
【0081】
加熱空気供給装置120aにおいては、排気ファン出口配管131から分岐する冷却水加熱用熱交バイパス配管132と並列に、冷却空気加熱用熱交バイパス配管133が設けられている。冷却空気加熱用熱交バイパス配管133は、排気ファン126からの高温の排気を加熱用の空気として冷却空気加熱用熱交換器115に導いた後に、排気ファン出口配管131側に合流する。冷却空気加熱用熱交バイパス配管133には、冷却空気加熱用熱交入口ダンパ133aが設けられており、湿分制御装置200aにより開度を調節される。
【0082】
図6は、第2の実施形態に係る冷却設備101aの湿分制御装置200aの構成を示すブロック図である。第1の実施形態に比べて、演算部210aは高値選択部218および加熱用制御演算部219をさらに有する。また、記憶部230aは、冷却炉101fへ供給される冷却空気の許容される最低温度を冷却炉入口最低温度規定値TLとして記憶する冷却炉入口最低温度規定値記憶部235をさらに有する。
【0083】
高値選択部218は、冷却炉入口最低温度規定値記憶部235から冷却炉入口最低温度規定値TLを読み出し、熱交出口温度目標値導出部213が導出した熱交出口温度目標値Trと比較し、高い方の温度Thを選択する。
【0084】
加熱用制御演算部219は、高値選択部218が選択した高い方の温度Thを目標値として、加熱熱交出口温度検知器204の出力を入力部240が読み込んだ加熱熱交出口温度THoをこの目標値Thとするように、冷却空気加熱用熱交入口ダンパ133aの開度指令を出力する。加熱用制御演算部219の構成は、湿度用制御演算部214bと同様に、目標値Thとフィードバック信号としての加熱熱交出口温度検知器204の出力である加熱熱交出口温度との偏差の算出部、およびたとえば比例・積分要素による演算部を有する。
【0085】
図7は、第2の実施形態に係る冷却空気湿分制御方法の手順を示すフロー図である。
【0086】
ステップS11からステップS15までは、第1の実施形態と同様であるが、ステップS11における判別の結果、ステップS12により空気冷却用熱交換器バイパスモード状態となった場合、およびステップS13で空気冷却用熱交換器通過モード状態となった場合の両方について、以下のステップがなされる。
【0087】
まず、高値選択部218は、冷却炉入口最低温度規定値記憶部235から冷却炉入口最低温度規定値TLを読み出し、ステップS15で熱交出口温度目標値導出部213が導出した熱交出口温度目標値Trとのいずれかの温度が高い方を選択し、高値Thを出力する(ステップS31)。
【0088】
次に、加熱用制御演算部219は、高値選択部218の出力Thと、加熱熱交出口温度検知器204の出力を入力部240がフィードバック信号として読み込んだ加熱熱交出口温度THoとを受け入れ、高値選択部218の出力Thから加熱熱交出口温度THoを減じて、温度偏差を算出する(ステップS32)。
【0089】
続いて、加熱用制御演算部219は、この温度偏差演算処理(ステップS34)し、演算処理結果を、冷却空気加熱用熱交入口ダンパ133aへの要求信号として出力する。出力部250は、加熱用制御演算部219による指令信号を、冷却空気加熱用熱交入口ダンパ133aの駆動部への信号に変換し出力する。
【0090】
以上のような本実施形態においては、ステップS31の高値選択において、ステップS15で導出された熱交出口温度目標値Trが高値Thとして選択された場合は、冷却空気は冷却炉入口最低温度規定値TLより高い状態にあることになる。ステップS15ないしステップS19において湿度用制御演算部214および冷却ファン117の動作により制御が行われていれば、整定状態では、加熱熱交出口温度検知器204の出力は熱交出口温度目標値Trに一致している。
【0091】
したがって、この加熱用制御演算部219の入力となる温度偏差はゼロである。したがって、冷却空気加熱用熱交入口ダンパ133aの開度指令はゼロであり、冷却空気加熱用熱交換器115に加熱用の高温排気は供給されない。すなわち、冷却空気の温度Toが冷却炉入口最低温度規定値TLより高い場合には、冷却空気の加熱はなされない。
【0092】
以上のように、本実施形態によれば、空気冷却用熱交換器バイパスモード状態において、外気入口温度が低すぎて冷却炉入口最低温度規定値TLを下回る場合、あるいは、空気冷却用熱交換器通過モード状態において、空気冷却用熱交換器112の出口の冷却空気が、湿度条件を満たしても温度が冷却炉入口最低温度規定値TLを下回る場合に対して、冷却炉入口最低温度規定値TLまで冷却空気の温度を上昇させ、最低温度を確保することができる。
【0093】
[第3の実施形態]
図8は、第3の実施形態に係る乾燥・冷却システム100bの構成を示すブロック図である。
【0094】
本実施形態は、第2の実施形態の変形である。冷却設備101bの構成については、第2の実施形態に類似しており、冷却用熱交バイパス配管113と冷却空気導入配管114との合流点の下流、かつ、冷却ファン117の上流には、ドレンセパレータ116が設けられている点が、
図5に示す第2の実施形態と異なる。湿分制御装置200bについては、以下に示すように、目的、構成、および作用が、第2の実施形態とは異なる。
【0095】
図9は、第3の実施形態に係る冷却設備101bの湿分制御装置200bの構成を示すブロック図である。
【0096】
本実施形態における湿分制御装置200bは、取り入れた外気の湿度が高すぎて、冷却空気加熱用熱交換器115で外気を冷却することにより、冷却空気が容易に露点温度以下となる、あるいは、相対湿度が目標相対湿度xrより高く相対湿度100%に対して余裕がない、などの状況の場合に、冷却空気の相対湿度を適正な値に制御するものである。
【0097】
すなわち、冷却空気を積極的に冷却して結露させ、発生したドレンはドレンセパレータ116で処理し、冷却空気については冷却空気加熱用熱交換器115によって再加熱を行う。ここで、冷却空気は、それまでの露点温度より低い温度となったことにより、絶対湿度が低下し、その温度が新たな絶対湿度に対応する露点温度となっている。したがって、さらなる温度低下による結露を防止するために再加熱を行う。
【0098】
湿分制御装置200bにおいて、演算部210bは、熱交出口温度目標値導出部213bおよび加熱用制御演算部219bを有する。また、記憶部230bは、低温側シフト値記憶部236および再加熱温度目標値記憶部237を有する。
【0099】
低温側シフト値記憶部236は、第1および第2の実施形態における目標相対湿度記憶部233とは逆に、空気冷却用熱交換器112出口の冷却空気の温度Toを、それまでの露点温度Tdから何度低い温度とするかの低温側シフト値ΔTLを記憶する。
【0100】
ここで、低温側シフト値ΔTLは、たとえば、排出すべき水分量の観点から、
図3に示す概念的な空気線図において、露点温度導出部212で算出された外気の絶対湿度にもとづいて、それより所定の絶対湿度分低い状態の露点温度として設定することでもよい。あるいは、下流側での温度低下の可能性の観点から、予想される温度低下幅より大きな温度低下幅として設定することでもよい。
【0101】
再加熱温度目標値記憶部237は、空気冷却用熱交換器112により露点温度Tdより温度が低くなった冷却空気を再加熱する目標の温度、すなわち再加熱温度目標値THrを記憶する。再加熱温度目標値THrは、たとえば、第1および第2の実施形態における目標相対湿度を用いて設定してもよい。あるいは、元の外気入口温度の値としてもよい。
【0102】
また、熱交出口温度目標値導出部213bは、第2の実施形態における熱交出口温度目標値導出部213とは異なり、露点温度導出部212により導出された外気の露点温度Tdから、低温側シフト値記憶部236に記憶された低温側シフト値ΔTLを減じた温度を目標温度Trとして出力する。
【0103】
図10は、第3の実施形態に係る冷却空気湿分制御方法の手順を示すフロー図である。
【0104】
ステップS11において外気入口温度が所定温度未満と判定され、ステップS12で空気冷却用熱交換器バイパスモードとなっている場合は、冷却空気の温度をさらに下げる手段がないため、以下のステップは適用されない。すなわち、ステップS11において外気入口温度が所定温度以上と判定され、ステップS13で空気冷却用熱交換器通過モードとなっている場合に、以下のステップが続くことになる。
【0105】
ステップS13に続く、ステップS14で、露点温度導出部212が露点温度Tdを導出するまでは、第2の実施形態と同様である。
【0106】
次に、熱交出口温度目標値導出部213bは、露点温度Tdから、低温側シフト値記憶部236に記憶された低温側シフト値ΔTLを減じた温度を目標温度Trとして出力する。
【0107】
目標温度Trを受けて、湿度用制御演算部214が、冷却熱交出口温度Toを目標温度Trとするように冷却ファン117を制御するステップS16ないしステップS18は、第1および第2の実施形態と同様である。この結果、冷却ファン117の回転数は低下し、冷却空気の温度が露点温度以下となる。この結果生じた水滴、ドレンは、ドレンセパレータ116(
図8)に集められて処理される。
【0108】
次に、加熱用制御演算部219bは、ステップS15において低下した冷却空気温度を、冷却空気加熱用熱交換器115による加熱により、元の外気入口温度に復帰するように制御する。
【0109】
すなわち、まず、加熱用制御演算部219bは、再加熱温度目標値記憶部237に記憶された再加熱温度目標値THrおよび入力部240が受け入れた加熱熱交出口温度THoを読み出し、再加熱温度目標値THrから加熱熱交出口温度THoを減じて温度偏差を出力する(ステップS32)。
【0110】
次に加熱用制御演算部219bがたとえば比例・積分演算を行い(ステップS33)、出力部250から冷却空気加熱用熱交入口ダンパ133aに出力する(ステップS34)。これらのステップは、第2の実施形態のステップS33、ステップS34と同様である。
【0111】
以上のように、本実施形態によれば、取り入れた外気の湿度が高すぎて、途中で容易に結露が生ずる、あるいは、結露が生ずる可能性の高い場合に、空気冷却用熱交換器112により冷却空気の温度を下げて積極的に結露させ水分を除去し絶対湿度を低下させた後に、冷却空気加熱用熱交換器115による加熱により、冷却空気の温度を再加熱温度目標値THrまで上昇させて相対湿度を適正な範囲に復帰させる。これにより、湿分の発生を未然に防止することができる。
【0112】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
【0113】
また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。たとえば、第2の実施形態と第3の実施形態は、ドレンセパレータの有無、湿分制御装置の一部の相違点を除いて互いに共通な部分が多い。このため、湿分制御装置として、第2の実施形態と第3の実施形態の両者の機能を有するようにして、外気が乾燥しているが相対湿度が低いときの第1モードと、外気の温度が高くかつ湿度が高いときの第2モードを選択するモード選択部を設けて、互いに切り替え可能とすることでもよい。
【0114】
ここで、モード選択は、入力部240を介して操作員あるいは管理員等が選択することでもよい。あるいは、外気入口温度検知器201および外気入口湿度検知器202から受け入れた外気の温度および相対湿度の信号に基づいて、自動的に選択してもよい。
【0115】
また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0116】
1…処理対象物、10…ヒートポンプ、11…蒸発器、12…圧縮機、13…凝縮器、14…膨張弁、15…内臓ファン、20…冷却水循環流路、20a…流路低温部、20b…流路高温部、20t…冷却水温度検知調整部、21…冷却水ポンプ、22…冷却水加熱用熱交換器、100、100a、100b…乾燥・冷却システム、101、101a、101b…冷却設備、101f…冷却炉(冷却装置)、102、102a…乾燥設備、102f…乾燥炉(乾燥装置)、103…搬送装置、110、110a…冷却空気供給装置、111…外気導入配管、111a…冷却用熱交入口ダンパ、112…空気冷却用熱交換器、113…冷却用熱交バイパス配管、113a…冷却用熱交バイパスダンパ、114…冷却空気導入配管、115…冷却空気加熱用熱交換器、116…ドレンセパレータ、117…冷却ファン(風量調節装置)、118…冷却空気排気配管、120、120a…加熱空気供給装置、121…燃焼装置、121a…燃料供給配管、122…乾燥用ガス導入配管、123…循環用ファン、124…ガス戻り配管、125…乾燥炉排気配管、126…排気ファン、127…燃焼用空気導入配管、127a…外気供給ファン、128…再生熱交換器、129…希釈用空気導入配管、131…排気ファン出口配管、131a…排気ファン出口ダンパ、132…冷却水加熱用熱交バイパス配管、132a…冷却水加熱用熱交換入口ダンパ、133…冷却空気加熱用熱交バイパス配管、133a…冷却空気加熱用熱交入口ダンパ、200、200a,200b…湿分制御装置、201…外気入口温度検知器、202…外気入口湿度検知器、203…冷却熱交出口温度検知器、204…加熱熱交出口温度検知器、210…演算部、211…入り口温度判定部、212…露点温度導出部、213、213a…熱交出口温度目標値導出部、214、214a…湿度用制御演算部、215…冷却ファン風量演算部、216…冷却ファン回転数導出部、217…減算部、218…高値選択部、219…加熱用制御演算部、230…記憶部、231…判定用規定値記憶部、232…空気線図データベース、233…目標相対湿度記憶部、234…冷却ファン特性データベース、235…冷却炉入口最低温度規定値記憶部、236…低温側シフト値記憶部、237…再加熱温度目標値記憶部、240…入力部、250…出力部。