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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161502
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】工業炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 17/00 20060101AFI20221014BHJP
   F27D 7/02 20060101ALI20221014BHJP
   F27D 7/04 20060101ALI20221014BHJP
   F27D 9/00 20060101ALI20221014BHJP
   F27D 17/00 20060101ALI20221014BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
F27B17/00 B
F27D7/02 A
F27D7/04
F27D9/00
F27D17/00 105A
B01D46/42 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066374
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】大澤 英世
【テーマコード(参考)】
4D058
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
4D058QA01
4D058QA19
4D058QA21
4D058QA25
4D058UA01
4D058UA03
4K056AA09
4K056BB10
4K056DB13
4K063BA12
4K063CA03
4K063DA13
4K063DA26
4K063EA05
(57)【要約】
【課題】 加熱用気体や冷却用気体をフィルターによりクリーンな状態にして炉内において循環させる場合に、フィルターが温度変化により発塵したり劣化したりするのを防止して、炉内において被処理物の処理をクリーンな状態で適切に行えるようにする。
【解決手段】 炉1外に設けられた加熱器11により加熱されて第1フィルター12により浄化された加熱用気体を、炉内を通して循環させる加熱用気体循環経路15と、炉外に設けられた冷却器21により冷却されて第2フィルター22により浄化された冷却用気体を、炉内を通して循環させる冷却用気体循環経路25とを別に設け、加熱用気体循環経路により炉内を通して加熱用気体を循環させる操作と、冷却用気体循環経路により炉内を通して冷却用気体を循環させる操作とを切り換えて行うようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉外に設けられた加熱器により加熱されて第1フィルターにより浄化された加熱用気体を、炉内を通して循環させる加熱用気体循環経路と、炉外に設けられた冷却器により冷却されて第2フィルターにより浄化された冷却用気体を、炉内を通して循環させる冷却用気体循環経路とを別に設け、前記の加熱用気体循環経路により炉内を通して加熱用気体を循環させる操作と、前記の冷却用気体循環経路により炉内を通して冷却用気体を循環させる操作とを切り換えて行うことを特徴とする工業炉。
【請求項2】
請求項1に記載の工業炉において、前記の加熱用気体を、炉内を通して循環させないように炉外に導いて循環させる加熱用気体迂回循環経路と、前記の冷却用気体を、炉内を通して循環させないように炉外に導いて循環させる冷却用気体迂回循環経路とを設け、前記の加熱用気体循環経路により炉内を通して加熱用気体を循環させる操作時には、前記の冷却用気体迂回循環経路を通して冷却用気体を炉外に導いて循環させる一方、前記の冷却用気体循環経路により炉内を通して冷却用気体を循環させる操作時には、前記の加熱用気体迂回循環経路を通して加熱用気体を炉外に導いて循環させることを特徴とする工業炉。
【請求項3】
請求項2に記載の工業炉において、前記の加熱用気体循環経路として、前記の加熱用気体を炉内に案内する加熱用気体案内管と、炉内を通して排気される加熱用気体を前記の加熱器に戻す加熱用気体戻し管とを設け、前記の冷却用気体循環経路として、前記の冷却用気体を炉内に案内する冷却用気体案内管と、炉内を通して排気される冷却用気体を前記の冷却器に戻す冷却用気体戻し管とを設ける一方、前記の加熱用気体迂回循環経路として、前記の加熱用気体案内管を通して炉内に案内された加熱用気体を炉外に導いて前記の加熱器に戻す加熱用気体迂回戻し管を設け、前記の冷却用気体迂回循環経路として、前記の冷却用気体案内管を通して炉内に案内された冷却用気体を炉外に導いて前記の冷却器に戻す冷却用気体迂回戻し管を設けたことを特徴とする工業炉。
【請求項4】
請求項3に記載の工業炉において、前記の加熱用気体戻し管に第1バルブを、前記の冷却用気体戻し管に第2バルブを、前記の加熱用気体迂回戻し管に第3バルブを、前記の冷却用気体迂回戻し管に第4バルブを設け、前記の第1バルブを開ける一方、前記の第3バルブを閉じて、加熱用気体を前記の加熱用気体循環経路により炉内を通して循環させると共に、前記の第2バルブを閉じる一方、前記の第4バルブを開けて、冷却用気体を前記の冷却用気体迂回循環経路を通して炉外に導いて循環させ、前記の第2バルブを開ける一方、前記の第4バルブを閉じて、冷却用気体を前記の冷却用気体循環経路により炉内を通して冷却用気体を循環させると共に、前記の第1バルブを閉じる一方、前記の第3バルブを開けて、加熱用気体を前記の加熱用気体迂回循環経路を通して炉外に導いて循環させることを特徴とする工業炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンな雰囲気中において被処理物を加熱させたり、冷却させたりする工業炉に関するものである。特に、加熱器により加熱された加熱用気体をフィルターによりクリーンな状態にして炉内において循環させる操作と、冷却器により冷却された冷却用気体をフィルターによりクリーンな状態にして炉内において循環させる操作とを切り換えて行うようにした工業炉において、フィルターに導かれる加熱用気体と冷却用気体との切り換えによる温度変化によって、フィルターが発塵したり、劣化したりするのを防止するようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体デバイスや液晶ディスプレイデバイスなどの製造プロセス等において、クリーンな雰囲気中において被処理物を加熱させたり、冷却させたりする工業炉(いわゆるクリーンオーブン)が知られている。
【0003】
ここで、このような工業炉として、従来においては、特許文献1~4に示されるようなものが知られている。
【0004】
そして、これらの特許文献1~4に示される工業炉においては、加熱器により加熱された加熱用気体をフィルターによりクリーンな状態にして炉内において循環させる操作と、冷却器により冷却された冷却用気体をフィルターによりクリーンな状態にして炉内において循環させる操作とを切り換えて行うようにしており、この時、加熱された加熱用気体と、冷却された冷却用気体とを同じフィルターに導くようにしていた。
【0005】
しかし、特許文献1~4に示される工業炉のように、加熱された加熱用気体と、冷却された冷却用気体とを同じフィルターに導いて処理するようにした場合、加熱された加熱用気体と、冷却された冷却用気体とによる温度変化によって、フィルターが発塵したり劣化したりして、炉内において処理する被処理物に悪影響を及ぼすという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平5-46267号公報
【特許文献2】特許第2603393号公報
【特許文献3】特許第4376243号公報
【特許文献4】特許第6140264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、加熱器により加熱された加熱用気体をフィルターによりクリーンな状態にして炉内において循環させる操作と、冷却器により冷却された冷却用気体をフィルターによりクリーンな状態にして炉内において循環させる操作とを切り換えて行うようにした工業炉における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0008】
すなわち、本発明は、前記のような工業炉において、フィルターが温度変化により発塵したり劣化したりするのを防止して、炉内において被処理物の処理をクリーンな状態で適切に行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る工業炉においては、前記のような課題を解決するため、炉外に設けられた加熱器により加熱されて第1フィルターにより浄化された加熱用気体を、炉内を通して循環させる加熱用気体循環経路と、炉外に設けられた冷却器により冷却されて第2フィルターにより浄化された冷却用気体を、炉内を通して循環させる冷却用気体循環経路とを別に設け、前記の加熱用気体循環経路により炉内を通して加熱用気体を循環させる操作と、前記の冷却用気体循環経路により炉内を通して冷却用気体を循環させる操作とを切り換えて行うようにした。
【0010】
ここで、本発明における工業炉のように、炉外に設けられた加熱器により加熱されて第1フィルターにより浄化された加熱用気体を、炉内を通して循環させる加熱用気体循環経路と、炉外に設けられた冷却器により冷却されて第2フィルターにより浄化された冷却用気体を、炉内を通して循環させる冷却用気体循環経路とを別に設け、加熱気体循環経路を通して加熱用気体を循環させる操作と、冷却用気体循環経路を通して冷却用気体を循環させる操作とを切り換えて行うようにすると、第1フィルターには加熱器により加熱された加熱用気体だけが導かれ、第2フィルターには冷却器により冷却された冷却用気体だけが導かれるようになり、第1フィルターや第2フィルターに導かれる気体の温度が変化するのが防止され、これらの第1フィルターや第2フィルターが発塵したり劣化したりするということがなくなる。
【0011】
また、本発明における工業炉においては、前記の加熱用気体を、炉内を通して循環させないように炉外に導いて循環させる加熱用気体迂回循環経路と、前記の冷却用気体を、炉内を通して循環させないように炉外に導いて循環させる冷却用気体迂回循環経路とを設け、前記の加熱用気体循環経路により炉内を通して加熱用気体を循環させる操作時には、前記の冷却用気体迂回循環経路を通して冷却用気体を炉外に導いて循環させる一方、前記の冷却用気体循環経路により炉内を通して冷却用気体を循環させる操作時には、前記の加熱用気体迂回循環経路を通して加熱用気体を炉外に導いて循環させるようにするということができる。このようにすると、加熱用気体が冷却用気体循環経路に流れ込んだり、冷却用気体が加熱用気体循環経路に流れ込んだりするのが防止されると共に、加熱気体循環経路を通して加熱用気体を循環させる操作と、冷却用気体循環経路を通して冷却用気体を循環させる操作とを切り換えて行う場合にも、第1フィルターには加熱器により加熱された加熱用気体が常に導かれ、第2フィルターには冷却器により冷却された冷却用気体が常に導かれるようになり、第1フィルターや第2フィルターの温度が変化するのが一層抑制されるようになる。
【0012】
また、本発明における工業炉においては、前記の加熱用気体循環経路として、前記の加熱用気体を炉内に案内する加熱用気体案内管と、炉内を通して排気される加熱用気体を前記の加熱器に戻す加熱用気体戻し管とを設け、前記の冷却用気体循環経路として、前記の冷却用気体を炉内に案内する冷却用気体案内管と、炉内を通して排気される冷却用気体を前記の冷却器に戻す冷却用気体戻し管とを設ける一方、前記の加熱用気体迂回循環経路として、前記の加熱用気体案内管を通して炉内に案内された加熱用気体を炉外に導いて前記の加熱器に戻す加熱用気体迂回戻し管を設け、前記の冷却用気体迂回循環経路として、前記の冷却用気体案内管を通して炉内に案内された冷却用気体を炉外に導いて前記の冷却器に戻す冷却用気体迂回戻し管を設けるようにすることができる。
【0013】
また、本発明における工業炉においては、前記の加熱用気体戻し管に第1バルブを、前記の冷却用気体戻し管に第2バルブを、前記の加熱用気体迂回戻し管に第3バルブを、前記の冷却用気体迂回戻し管に第4バルブを設けるようにすることができる。
【0014】
そして、前記の工業炉において、炉内を加熱させる場合には、前記の第1バルブを開ける一方、前記の第3バルブを閉じて、加熱用気体を前記の加熱用気体循環経路により炉内を通して循環させると共に、前記の第2バルブを閉じる一方、前記の第4バルブを開けて、冷却用気体を前記の冷却用気体迂回循環経路を通して炉外に導いて循環させるようにすることができる。
【0015】
また、前記の工業炉において、炉内を冷却させる場合には、前記の第2バルブを開ける一方、前記の第4バルブを閉じて、冷却用気体を前記の冷却用気体循環経路により炉内を通して冷却用気体を循環させると共に、前記の第1バルブを閉じる一方、前記の第3バルブを開けて、加熱用気体を前記の加熱用気体迂回循環経路を通して炉外に導いて循環させるようにすることができる。
【0016】
このようにすると、加熱用気体を炉内に案内する加熱用気体案内管や、冷却用気体を炉内に案内する冷却用気体案内管にバルブを設ける必要がなくなり、フィルターから炉内までの間に動作部分がなくなり、加熱用気体案内管や冷却用気体案内管にバルブを設けた場合のように、これらのバルブの動作によって生じる発塵が、加熱用気体案内管や冷却用気体案内管を通して炉内に導かれて、炉内環境が悪化するということがなく、炉内において被処理物の処理をクリーンな状態で適切に行えるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における工業炉においては、前記のように炉外に設けられた加熱器により加熱されて第1フィルターにより浄化された加熱用気体を、炉内を通して循環させる加熱用気体循環経路と、炉外に設けられた冷却器により冷却されて第2フィルターにより浄化された冷却用気体を、炉内を通して循環させる冷却用気体循環経路とを別に設け、前記の加熱気体循環経路を通して加熱用気体を循環させる操作と、前記の冷却用気体循環経路を通して冷却用気体を循環させる操作とを切り換えて行うようにしたため、第1フィルターには加熱器により加熱された加熱用気体だけが導かれ、第2フィルターには冷却器により冷却された冷却用気体だけが導かれるようになり、第1フィルターや第2フィルターに導かれる気体の温度が変化するのが防止され、これらのフィルターが発塵したり劣化したりするということがなくなる。
【0018】
この結果、本発明の工業炉においては、前記のように炉内に加熱用気体を循環させて炉内を加熱させる操作と、炉内に冷却用気体を循環させて炉内を冷却させる操作とを切り換えて行う場合にも、第1フィルターや第2フィルターが温度変化により発塵したり劣化したりするのが防止され、炉内において被処理物の処理をクリーンな状態で適切に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る工業炉において、炉外に設けられた加熱器により加熱されて第1フィルターにより浄化された加熱用気体を、加熱用気体循環経路により炉内を通して循環させる一方、炉外に設けられた冷却器により冷却されて第2フィルターにより浄化された冷却用気体を、冷却用気体迂回循環経路を通して炉外に導いて循環させる状態を示した概略説明図である。
図2】前記の実施形態における工業炉において、炉外に設けられた冷却器により冷却されて第2フィルターにより浄化された冷却用気体を、冷却用気体循環経路を通して炉内に導いて循環させる一方、炉外に設けられた加熱器により加熱されて第1フィルターにより浄化された加熱用気体を、加熱用気体迂回循環経路を通して炉外に導いて循環させる状態を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る工業炉を、添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る工業炉は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0021】
この実施形態における工業炉においては、図1及び図2に示すように、炉1外に設けられた加熱器11により加熱されて第1フィルター12により浄化された加熱用気体を第1送風機13により送風させるようにしており、この加熱用気体を、炉1内を通して循環させる加熱用気体循環経路14として、前記のように第1フィルター12により浄化された加熱用気体を炉1内に案内する加熱用気体案内管14aと、炉1内を通して排気される加熱用気体を前記の加熱器11に戻す加熱用気体戻し管14bとを設け、この加熱用気体戻し管14bの部分に第1バルブ14cを設けている。
【0022】
そして、この第1バルブ14cを開けた場合には、前記のように加熱用気体が加熱用気体循環経路14により炉1内を通して循環される一方、この第1バルブ14cを閉じた場合には、加熱用気体が加熱用気体循環経路14により炉1内を通して循環されないようになる。
【0023】
また、この実施形態における工業炉においては、炉1外に設けられた冷却器21により冷却されて第2フィルター22により浄化された冷却用気体を第2送風機23により送風させるようにしており、この冷却用気体を、炉1内を通して循環させる冷却用気体循環経路24として、前記のように第2フィルター22により浄化された冷却用気体を炉1内に案内する冷却用気体案内管24aと、炉1内を通して排気される冷却用気体を前記の冷却器21に戻す冷却用気体戻し管24bとを設け、この冷却用気体戻し管24bの部分に第2バルブ24cを設けている。
【0024】
そして、この第2バルブ24cを開けた場合には、前記のように冷却用気体が冷却用気体循環経路24により炉1内を通して循環される一方、この第2バルブ24cを閉じた場合には、冷却用気体が冷却用気体循環経路24により炉1内を通して循環されないようになる。
【0025】
さらに、この実施形態における工業炉において、前記のように第1バルブ14cを閉じて、加熱器11により加熱されて第1フィルター12により浄化された加熱用気体が、前記の加熱用気体循環経路14により炉1内を通して循環されないようにした場合には、前記の加熱用気体を加熱用気体迂回循環経路15により炉1外に導いて循環させるようにしている。
【0026】
ここで、この実施形態においては、加熱用気体を加熱用気体迂回循環経路15により炉1外に導いて循環させるにあたり、前記の加熱用気体案内管14aと対向する炉1内の位置から前記の第1送風機13に至るように加熱用気体迂回戻し管15aを設け、この加熱用気体迂回戻し管15aが前記の加熱用気体案内管14aと炉1内において対向する一端に加熱用気体案内管14aより大径の吸引口部15bを設ける一方、加熱用気体迂回戻し管15aを第1送風機13に導く位置に第3バルブ15cを設けている。
【0027】
そして、この第3バルブ15cを開けた場合には、前記のように加熱用気体案内管14aによって炉1内に導かれる加熱用気体が、前記の第1送風機13により前記の吸引口部15bを通して加熱用気体迂回戻し管15aに吸引されて、加熱用気体が加熱用気体迂回循環経路15を通して炉1外に導かれて循環されるようになる。
【0028】
さらに、この実施形態における工業炉において、前記のように第2バルブ24cを閉じて、冷却器21により冷却されて第2フィルター22により浄化された冷却用気体か、前記の冷却用気体循環経路24により炉1内を通して循環されないようにした場合には、前記の冷却用気体を冷却用気体迂回循環経路25により炉1外に導いて循環させるようにしている。
【0029】
ここで、この実施形態においては、冷却用気体を冷却用気体迂回循環経路25により炉1外に導いて循環させるにあたり、前記の冷却用気体案内管24aと対向する炉1内の位置から前記の第2送風機23に至るように冷却用気体迂回戻し管25aを設け、この冷却用気体迂回戻し管25aが前記の冷却用気体案内管24aと炉1内において対向する一端に冷却用気体案内管24aより大径の吸引口部25bを設ける一方、冷却用気体迂回戻し管25aを第2送風機23に導く位置に第4バルブ25cを設けている。
【0030】
そして、この第4バルブ25cを開けた場合には、前記のように冷却用気体案内管24aによって炉1内に導かれる冷却用気体が、前記の第2送風機23により前記の吸引口部25bを通して冷却用気体迂回戻し管25aに吸引されて、冷却用気体が冷却用気体迂回循環経路25を通して炉1外に導かれて循環されるようになる。なお、図1及び図2においては、前記の第1バルブ14c、第2バルブ24c、第3バルブ15c、第4バルブ25cを開けた状態では白抜きで、閉じた状態では黒塗りで示している。
【0031】
ここで、この実施形態における工業炉において、前記の加熱用気体を加熱用気体循環経路14により炉1内を通して循環させて、炉1内における被処理物(図示せず)を加熱させるにあたっては、図1に示すように、前記の第1バルブ14cを開ける一方、前記の第3バルブ15cを閉じ、また前記の第2バルブ24cを閉じる一方、前記の第4バルブ25cを開けるようにする。
【0032】
そして、前記のように第1バルブ14cを開けて、第3バルブ15cを閉じると、前記の加熱器11により加熱されて第1フィルター12により浄化された加熱用気体が、前記の第1送風機13によって前記の加熱用気体案内管14aを通して炉1内に導かれ、前記の加熱用気体迂回戻し管15aには導かれずに、加熱用気体案内管14aの端部とそれより大径の吸引口部15bとの隙間から炉1内に流れ込んで、この加熱用気体により炉1内が加熱され、この炉1内から排気される加熱用気体が加熱用気体戻し管14bを通して前記の加熱器11に戻され、加熱用気体が加熱用気体循環経路14により炉1内を通して循環されるようになる。
【0033】
このとき、前記のように第2バルブ24cを閉じて、前記の第4バルブ25cを開けると、前記の冷却器21により冷却されて第2フィルター22により浄化された冷却用気体が、前記の第2送風機23によって前記の冷却用気体案内管24aに導かれるが、炉1内には供給されずに、前記の冷却用気体案内管24aから前記の吸引口部25bを直進して冷却用気体迂回戻し管25aに吸引され、冷却用気体が冷却用気体迂回循環経路25を通して炉1外に導かれて循環されるようになる。
【0034】
一方、この実施形態における工業炉において、前記の冷却用気体を冷却用気体循環経路24により炉1内を通して循環させて、炉1内における被処理物(図示せず)を冷却させるにあたっては、図2に示すように、前記の第1バルブ14cを閉じる一方、前記の第3バルブ15cを開け、また前記の第2バルブ24cを開ける一方、前記の第4バルブ25cを閉じるようにする。
【0035】
そして、前記のように第2バルブ24cを開けて、第4バルブ25cを閉じると、前記の冷却器21により冷却されて第2フィルター22により浄化された冷却用気体が、前記の第2送風機23によって前記の冷却用気体案内管24aを通して炉1内に導かれ、前記の冷却用気体迂回戻し管25aには導かれずに、冷却用気体案内管24aの端部とそれよりも大径になった吸引口部25bとの隙間から炉1内に流れ込んで、この冷却用気体により炉1内が冷却され、この炉1内から排気される冷却用気体が冷却用気体迂回戻し管25aを通して前記の冷却器21に戻され、冷却用気体が冷却用気体循環経路24により炉1内を通して循環されるようになる。
【0036】
このとき、前記のように第1バルブ14cを閉じて、前記の第3バルブ15cを開けると、前記の加熱器11により加熱されて第1フィルター12により浄化された加熱用気体が、前記の第1送風機13によって前記の加熱用気体案内管14aに導かれるが、炉1内には供給されずに、前記の加熱用気体案内管14aから前記の吸引口部15bを直進して加熱用気体迂回戻し管15aに吸引され、加熱用気体が加熱用気体迂回循環経路15を通して炉1外に導かれて循環されるようになる。
【0037】
前記のように、加熱用気体案内管14aの端部から流出される加熱用気体の流れを炉1内と加熱用気体迂回戻し管15aとに切り換えるにあたっては、加熱用気体迂回戻し管15aに設けた第3バルブ15cを開閉させることによって、加熱用気体を加熱用気体迂回戻し管15aに吸引させるか炉1内に流入させるかを切り換え、また冷却用気体案内管24aの端部から流出される冷却用気体の流れを炉1内と冷却用気体迂回戻し管25aとに切り換えるにあたっては、冷却用気体迂回戻し管25に設けた第4バルブ25cを開閉させることによって、冷却用気体を冷却用気体迂回戻し管25aに吸引させるか炉1内に流入させるかを切り換えるため、第1フィルター12から炉1内までの間の加熱用気体案内管14aや、第2フィルター22から炉1内までの冷却用気体案内管24aには、バルブ等の動作部分をなくして、加熱用気体や冷却用気体の流れの切り換えを行うことができる。
【0038】
この結果、前記の実施形態における工業炉においては、前記の第1フィルター12や第2フィルター22が高温専用と低温専用とに分けて用いられるため、温度変化により発塵したり劣化したりするのが防止され、炉1内において被処理物の処理をクリーンな状態で適切に行えるようになる。
【符号の説明】
【0039】
1 :炉
11 :加熱器
12 :第1フィルター
13 :第1送風機
14 :加熱用気体循環経路
14a :加熱用気体案内管
14b :加熱用気体戻し管
14c :第1バルブ
15 :加熱用気体迂回循環経路
15a :加熱用気体迂回戻し管
15b :吸引口部
15c :第3バルブ
21 :冷却器
22 :第2フィルター
23 :第2送風機
24 :冷却用気体循環経路
24a :冷却用気体案内管
24b :冷却用気体戻し管
24c :第2バルブ
25 :冷却用気体迂回循環経路
25a :冷却用気体迂回戻し管
25b :吸引口部
25c :第4バルブ
図1
図2