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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161517
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】画像シート製造用の両面印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/00 20060101AFI20221014BHJP
   B41J 15/08 20060101ALI20221014BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B41J11/00 Z
B41J15/08
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066399
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】591243893
【氏名又は名称】株式会社フォトクラフト社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】松本 巖
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
2C060
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA24
2C056FA10
2C056FB01
2C056HA29
2C056HA44
2C058AB14
2C058AC07
2C058AC11
2C058AE04
2C058AE07
2C058AF06
2C058AF15
2C058AF57
2C060BA01
2C060BC94
2C060CA13
(57)【要約】
【課題】反射光と透過光とにかかわらず印刷画像を良好に表示することができる反射・透過両用型の画像シートを効率良く製造できるようにする。
【解決手段】基材供給ロール1から供給される連続印刷基材S1の両面Sa,Sbに同じ画像Gを重畳印刷して反射・透過両用型の画像シートS2を製造する画像シート製造用の両面印刷装置において、連続印刷基材S1の表面Saに画像Gを印刷する表面印刷用ヘッド3と、表面印刷後の連続印刷基材S1を表裏反転させる表裏反転搬送部2Aと、表裏反転後の連続印刷基材S1の裏面Sbに画像Gを印刷する裏面印刷用ヘッド4とが、基材供給ロール1と、両面印刷後の連続印刷基材S1を巻き取る巻取り部5との間に配置されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材供給ロールから供給される連続印刷基材の両面に同じ画像を重畳印刷して反射・透過両用型の画像シートを製造する画像シート製造用の両面印刷装置であって、
前記連続印刷基材の表面に前記画像を印刷する表面印刷用ヘッドと、表面印刷後の前記連続印刷基材を表裏反転させる表裏反転搬送部と、表裏反転後の前記連続印刷基材の裏面に前記画像を印刷する裏面印刷用ヘッドとが、前記基材供給ロールと、両面印刷後の前記連続印刷基材を巻き取る巻取り部との間に配置されている画像シート製造用の両面印刷装置。
【請求項2】
前記表面印刷用ヘッドと前記裏面印刷用ヘッドとが上下2段に並べて配置されている請求項1に記載の画像シート製造用の両面印刷装置。
【請求項3】
前記表面印刷用ヘッドを支持する第1支持部材が前記表面印刷用ヘッドよりも装置背面側に備えられ、前記裏面印刷用ヘッドを支持する第2支持部材が前記裏面印刷用ヘッドよりも装置背面側に備えられている請求項1又は2に記載の画像シート製造用の両面印刷装置。
【請求項4】
前記基材供給ロールと前記巻取り部とが、前記表面印刷用ヘッド及び前記裏面印刷用ヘッドよりも装置正面側に備えられている請求項1~3のいずれか一項に記載の画像シート製造用の両面印刷装置。
【請求項5】
前記基材供給ロールが装置下部側に備えられ、前記巻取り部が装置上部側に備えられている請求項1~4のいずれか一項に記載の画像シート製造用の両面印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材供給ロールから供給される連続印刷基材の両面に同じ画像を重畳印刷して反射・透過両用型の画像シートを製造する画像シート製造用の両面印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術としては、周囲の環境が明るい昼間などにおいては、外部からの太陽光などを反射させることで印刷画像を視認可能に表示し、周囲の環境が暗い夜間などにおいては、背部の光源からの光を透過させることで印刷画像を視認可能に表示する反射・透過両用型の画像シートを製造するにあたり、例えば、用紙の両端部に設けられた送り用のパンチ孔に係合して用紙を搬送する2つのピントラクタを有する搬送装置を備えたプリンタを用いて、搬送装置で搬送される用紙の表面に画像を印刷した後、その用紙を搬送装置から一旦取り外し、用紙の表裏を反転させて搬送装置にセットし直してから用紙の裏面に画像を印刷することにより、用紙の両面に同じ画像をズレなく印刷する方法がある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
又、前述した反射・透過両用型の画像シートを製造するにあたり、インクジェットプリンタを使用して、透明の樹脂フィルムの表面に第1画像を印刷して第1画像層を形成するステップと、第1画像層の上に乳白層を印刷によって形成するステップと、乳白層の上に第1画像と同じ第2画像を印刷して第2画像層を形成するステップとを行うことにより、透明の樹脂フィルムの表面のみに、第1画像と第2画像とを、それらの間に乳白層を介在させた状態で重ねて印刷する方法がある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5349180号公報
【特許文献2】特開2004-306432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、連続印刷基材(用紙)の両面に画像を印刷するためには、表面に画像が印刷された連続印刷基材を、未印刷側の連続印刷基材から切り離してプリンタから一旦取り外した後、表裏を反転させて再びプリンタにセットし直す、といった手作業を行う必要があることから、反射・透過両用型の画像シートを効率良く製造する上において改善の余地がある。
【0006】
特許文献2に記載の技術では、連続印刷基材(透明の樹脂フィルム)の表面のみに印刷することから、上記のような手作業を不要にすることができるが、連続印刷基材の表面に対して、第1画像層を形成するステップと、乳白層を形成するステップと、第2画像層を形成するステップとを行う必要があることから、反射・透過両用型の画像シートを効率良く製造する上において改善の余地がある。
又、特許文献2に記載の技術では、透過光で印刷画像を表示する場合に、光源からの光を、連続印刷基材などに加えて乳白層をも透過させることにより、乳白層の影響で画像本来の濃度や色合いなどが損なわれる虞があることから、透過光による画像表示を良好にする上において改善の余地がある。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、反射光と透過光とにかかわらず印刷画像を良好に表示することができる反射・透過両用型の画像シートを効率良く製造できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、基材供給ロールから供給される連続印刷基材の両面に同じ画像を重畳印刷して反射・透過両用型の画像シートを製造する画像シート製造用の両面印刷装置であって、
前記連続印刷基材の表面に前記画像を印刷する表面印刷用ヘッドと、表面印刷後の前記連続印刷基材を表裏反転させる表裏反転搬送部と、表裏反転後の前記連続印刷基材の裏面に前記画像を印刷する裏面印刷用ヘッドとが、前記基材供給ロールと、両面印刷後の前記連続印刷基材を巻き取る巻取り部との間に配置されている点にある。
【0009】
本発明によると、基材供給ロールから供給される連続印刷基材の表面に対して表面印刷用ヘッドが画像を印刷し、その表面印刷後の連続印刷基材が表裏反転搬送部にて表裏反転されて、その連続印刷基材の裏面に対して裏面印刷用ヘッドが画像を印刷した後、その両面印刷後の連続印刷基材が巻取り部にて巻き取られることで、連続印刷基材の両面に同じ画像が重畳印刷された反射・透過両用型の画像シートが製造される。
これにより、連続印刷基材を手作業で表裏反転させる手間を要することなく、連続印刷基材の両面に同じ画像が重畳して印刷された反射・透過両用型の画像シートを製造することができる。
そして、連続印刷基材の両面に同じ画像を重畳して印刷することにより、連続印刷基材の片面に同じ画像を重畳印刷する場合に必要な乳白層の形成を不要にすることができるとともに、その乳白層の影響で、透過光による印刷画像の表示状態において画像本来の濃度や色合いなどが損なわれる虞を回避することができる。
その結果、反射光と透過光とにかかわらず印刷画像を良好に表示することができる反射・透過両用型の画像シートを効率良く製造することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記表面印刷用ヘッドと前記裏面印刷用ヘッドとが上下2段に並べて配置されている点にある。
【0011】
本発明によると、表面印刷用ヘッドと裏面印刷用ヘッドとが水平方向に並べて配置される場合に比較して、両面印刷装置を水平方向でコンパクトに構成することができ、両面印刷装置の設置に要する水平方向の面積を狭くすることができる。
その結果、床面積が狭い作業空間においても、反射光と透過光とにかかわらず印刷画像を良好に表示することができる反射・透過両用型の画像シートを効率良く製造することが可能になる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記表面印刷用ヘッドを支持する第1支持部材が前記表面印刷用ヘッドよりも装置背面側に備えられ、前記裏面印刷用ヘッドを支持する第2支持部材が前記裏面印刷用ヘッドよりも装置背面側に備えられている点にある。
【0013】
本発明によると、各印刷用ヘッドに対する連続印刷基材の供給状態や各印刷用ヘッドによる画像の印刷状態などを、両面印刷装置の正面側から各支持部材によって阻害されることなく容易に視認することができる。
その結果、反射・透過両用型の画像シートを製造するときの監視作業を容易にすることができる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記基材供給ロールと前記巻取り部とが、前記表面印刷用ヘッド及び前記裏面印刷用ヘッドよりも装置正面側に備えられている点にある。
【0015】
本発明によると、基材供給ロールの交換や巻取り部で巻き取られた両面印刷後の連続印刷基材(画像シート)の取り出しを、各印刷用ヘッドなどによって阻害されることなく、両面印刷装置の正面側から容易に行うことができる。
その結果、反射・透過両用型の画像シートを製造するときの作業性を向上させることができる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、前記基材供給ロールが装置下部側に備えられ、前記巻取り部が装置上部側に備えられている点にある。
【0017】
本発明によると、基材供給ロールと巻取り部とを上下に並べて配置することができ、これにより、基材供給ロールと巻取り部とが水平方向に並べて配置される場合に比較して、両面印刷装置を水平方向でコンパクトに構成することができ、両面印刷装置の設置に要する水平方向の面積を狭くすることができる。
そして、基材供給ロールが装置下部側に備えられることにより、両面印刷後の連続印刷基材(画像シート)を巻き取る巻取り部よりも連続印刷基材の巻き数が多くて重量が重い基材供給ロールを取り扱う基材供給ロールの交換を容易に行うことができる。
その結果、床面積が狭い作業空間に設置するのに有効な両面印刷装置のコンパクト化を図りながら、反射・透過両用型の画像シートを製造するときの作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】各印刷用ヘッドなどの配置を示す両面印刷装置の概略縦断側面図
図2】別実施形態での各印刷用ヘッドなどの配置を示す両面印刷装置の概略縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態の一例を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態で例示する画像シート製造用の両面印刷装置Pは、連続印刷基材として横幅の広い(例えば5m程度)透明又は半透明の樹脂シートS1がロール状に備えられた基材供給ロール1から供給される樹脂シートS1の両面Sa,Sbに同じ画像Gを重畳して印刷することで、印刷面の広い反射・透過両用型の画像シートS2を製造するように構成されている。
【0021】
両面印刷装置Pには、前述した基材供給ロール1と、基材供給ロール1から供給される樹脂シートS1を搬送する搬送機構2と、搬送機構2にて搬送される樹脂シートS1の表面Saに画像Gを印刷する表面印刷用ヘッド3と、搬送機構2にて搬送される樹脂シートS1の裏面Sbに画像Gを印刷する裏面印刷用ヘッド4と、両面印刷後の樹脂シートS1である画像シートS2を巻き取る巻取り部5と、搬送機構2による樹脂シートS1の搬送速度や各印刷用ヘッド3,4での各種の動作などを制御する制御ユニット(図示せず)と、それらを支持する支持フレーム6などが備えられている。
【0022】
両面印刷装置Pにおいては、その下部の正面側に基材供給ロール1が着脱可能に配置され、基材供給ロール1よりも装置上部の背面側に表面印刷用ヘッド3が配置され、表面印刷用ヘッド3よりも装置上部側に裏面印刷用ヘッド4が配置され、裏面印刷用ヘッド4よりも装置下部の正面側で表面印刷用ヘッド3よりも装置上部の正面側に巻取り部5が着脱可能に配置されている。
【0023】
搬送機構2には、基材供給ロール1から樹脂シートS1を繰り出す駆動ローラ21と、繰り出された樹脂シートS1を所定の搬送経路に沿って案内する複数のガイドローラ22~25と、駆動ローラ21を駆動する電動モータ(図示せず)と、樹脂シートS1を高精度で位置決め搬送するトラクタ(図示せず)などが備えられている。
【0024】
搬送経路は、基材供給ロール1から供給される樹脂シートS1が、装置下部側の表面印刷領域と装置背面側の表裏反転領域と装置上部側の裏面印刷領域とを、その順に通って、その両面Sa,Sbに同じ画像Gが印刷された後に、巻取り部5にて巻き取られるように設定されている。
【0025】
搬送機構2においては、装置背面側の表裏反転領域に上下に並べて配置された一対のガイドローラ23,24が、表面印刷用ヘッド3による表面印刷後の樹脂シートS1を表裏反転させる表裏反転搬送部2Aとして機能するように構成されている。
【0026】
各印刷用ヘッド3,4は、紫外線硬化型のインクを使用して画像Gを印刷するインクジェット式に構成されている。各印刷用ヘッド3,4は、搬送機構2による樹脂シートS1の搬送方向(両面印刷装置Pの前後方向)と直交する方向(両面印刷装置Pの左右方向)に延びるガイドレール7,8に沿って往復移動するキャリッジ9,10に備えられている。各印刷用ヘッド3,4には、樹脂シートS1に噴き付けたインクを硬化させる紫外線LED(図示せず)が備えられている。各キャリッジ9,10は、電動モータ(図示せず)などを有する駆動機構(図示せず)によって、ガイドレール7,8に沿って往復移動するように構成されている。
【0027】
表面印刷用ヘッド3は、搬送機構2にて表面印刷用のプラテン11上に搬送された樹脂シートS1に対して、その搬送方向と直交する方向に移動しながら、樹脂シートS1の上方から下向きにインクを噴き付けて硬化させることで、樹脂シートS1の表面Saに印刷開始マーク(図示せず)と第1画像Gaとを印刷する。
【0028】
裏面印刷用ヘッド4には、樹脂シートS1の印刷開始マークを検出するマーク検出部(図示せず)が備えられている。マーク検出部には、発光部と受光部とを有する反射型のフォトセンサなどを採用することができる。裏面印刷用ヘッド4は、搬送機構2にて裏面印刷用のプラテン12上に搬送された樹脂シートS1に対して、マーク検出部が印刷開始マークを検出してから所定のタイミングで印刷を開始し、樹脂シートS1の搬送方向と直交する方向に移動しながら、樹脂シートS1の上方から下向きにインクを噴き付けて硬化させることで、樹脂シートS1の裏面Sbに、第1画像Gaをミラー反転させた第2画像Gbを、表面Saの第1画像Gaに重畳させた状態で印刷する。
【0029】
このように、樹脂シートS1の表面Saには第1画像Gaが印刷され、樹脂シートS1の裏面Sbには、第1画像Gaをミラー反転させた第2画像Gbが、表面Saの第1画像Gaに重畳させた状態で印刷されることにより、樹脂シートS1の表面Saを目視した場合に樹脂シートS1の両面Sa,Sbに同じ画像Gが重畳して印刷された状態となる反射・透過両用型の画像シートS2を製造することができる。
【0030】
制御ユニットは、パーソナルコンピュータ又はスマートフォンなどの操作端末装置(図示せず)と通信可能に接続されており、操作端末装置から送信される作動開始指令に基づいて制御作動を開始し、操作端末装置から送信された画像情報などに基づいて、搬送機構2や各印刷用ヘッド3,4などにおける各種の動作を制御する。
【0031】
支持フレーム6には、ガイドレール7を介して表面印刷用ヘッド3を支持する下部側の第1支持部材61と、ガイドレール8を介して裏面印刷用ヘッド4を支持する上部側の第2支持部材62などが備えられている。各支持部材61,62は、ガイドレール7,8の装置背面側にガイドレール7,8と平行に配置された上下の鋼材などから構成されており、両面印刷装置Pが設置される建物の柱や構造壁などの躯体に支持されている。
尚、各支持部材61,62を構成する鋼材には、H形鋼や角形鋼管などを採用することができる。又、支持フレーム6は、各支持部材61,62を支持する複数の支柱部材を有するように構成されたものであってもよい。
【0032】
以上の通り、本実施形態で例示する画像シート製造用の両面印刷装置Pにおいては、基材供給ロール1と巻取り部5との間に、表面印刷用ヘッド3と表裏反転搬送部2Aと裏面印刷用ヘッド4とが、その順で搬送機構2による樹脂シートS1の搬送方向上手側から所定の搬送経路に沿って配置されている。
【0033】
これにより、操作端末装置からの作動開始指令に基づいて制御ユニットが制御作動を開始すると、搬送機構2が基材供給ロール1から樹脂シートS1を繰り出して所定の搬送経路に沿って搬送し、表面印刷用のプラテン11上に搬送された樹脂シートS1の表面Saに対して、その上方から表面印刷用ヘッド3がインクを噴き付けて第1画像Gaを印刷し、その表面印刷後の樹脂シートS1が表裏反転搬送部2Aにて表裏反転され、裏面印刷用のプラテン12上に搬送された樹脂シートS1の裏面Sbに対して、その上方から裏面印刷用ヘッド4がインクを噴き付けて、第2画像(第1画像Gaをミラー反転させた画像)Gbを表面Saの第1画像Gaに重畳させた状態で印刷した後、その重畳印刷後の樹脂シートS1が巻取り部5にて巻き取られることで、樹脂シートS1の両面Sa,Sbに同じ画像Gが重畳して印刷された反射・透過両用型の画像シートS2が製造される。
【0034】
つまり、各印刷用ヘッド3,4として、印刷面に対して紫外線硬化型のインクを上方から噴き付けることで高い解像度(例えば1000dpi以上)で印刷することができるインクジェット式を採用しながらも、樹脂シートS1を手作業で表裏反転させる手間を要することなく、樹脂シートS1の両面Sa,Sbに同じ画像Gが重畳して印刷された反射・透過両用型の画像シートS2を製造することができる。
【0035】
そして、樹脂シートS1の両面Sa,Sbに同じ画像Gを重畳して印刷することにより、樹脂シートS1の片面に同じ画像Gを重畳印刷する場合に必要な乳白層の形成を不要にすることができるとともに、その乳白層の影響で、透過光による印刷画像の表示状態において画像本来の濃度や色合いなどが損なわれる虞を回避することができる。
【0036】
その結果、反射光と透過光とにかかわらず印刷画像を良好に表示することができる反射・透過両用型の画像シートS2を効率良く製造することができる。
【0037】
これに加えて、本実施形態で例示する両面印刷装置Pにおいては、表面印刷用ヘッド3と裏面印刷用ヘッド4とが上下2段に並べて配置されている。
【0038】
これにより、それらの印刷用ヘッド3,4が水平方向に並べて配置される場合に比較して、両面印刷装置Pを水平方向でコンパクトに構成することができ、両面印刷装置Pの設置に要する水平方向の面積を狭くすることができる。
【0039】
その結果、床面積が狭い作業空間においても、反射光と透過光とにかかわらず印刷画像を良好に表示することができる反射・透過両用型の画像シートS2を効率良く製造することが可能になる。
【0040】
又、本実施形態で例示する両面印刷装置Pにおいては、表面印刷用ヘッド3を支持する第1支持部材61が表面印刷用ヘッド3よりも装置背面側に備えられ、裏面印刷用ヘッド4を支持する第2支持部材62が裏面印刷用ヘッド4よりも装置背面側に備えられている。
【0041】
これにより、各印刷用ヘッド3,4に対する樹脂シートS1の供給状態や各印刷用ヘッド3,4による画像Gの印刷状態などを、両面印刷装置Pの正面側から各支持部材61,62によって阻害されることなく容易に視認することができる。
【0042】
その結果、反射・透過両用型の画像シートS2を製造するときの監視作業を容易にすることができる。
【0043】
更に、本実施形態で例示する両面印刷装置Pにおいては、基材供給ロール1と巻取り部5とが、表面印刷用ヘッド3及び裏面印刷用ヘッド4よりも装置正面側に備えられている。
【0044】
これにより、基材供給ロール1の交換や巻取り部5で巻き取られた画像シートS2の取り出しを、各印刷用ヘッド3,4などによって阻害されることなく、両面印刷装置Pの正面側から容易に行うことができる。
【0045】
その結果、反射・透過両用型の画像シートS2を製造するときの作業性を向上させることができる。
【0046】
その上、本実施形態で例示する両面印刷装置Pにおいては、基材供給ロール1が装置下部側に備えられ、巻取り部5が装置上部側に備えられている。
【0047】
つまり、基材供給ロール1と巻取り部5とを上下に並べて配置することができ、これにより、基材供給ロール1と巻取り部5とを水平方向に並べて配置する場合に比較して、両面印刷装置Pを水平方向でコンパクトに構成することができ、両面印刷装置Pの設置に要する水平方向の面積を狭くすることができる。
【0048】
そして、基材供給ロール1が装置下部側に備えられることにより、両面印刷後の樹脂シートS1(画像シートS2)を巻き取る巻取り部5よりも樹脂シートS1の巻き数が多くて重量が重い基材供給ロール1を取り扱う基材供給ロール1の交換を容易に行うことができる。
【0049】
その結果、床面積が狭い作業空間に設置するのに有効な両面印刷装置Pのコンパクト化を図りながら、反射・透過両用型の画像シートS2を製造するときの作業性を向上させることができる。
【0050】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、上記の実施形態や他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0051】
(1)上記の実施形態においては、画像シート製造用の両面印刷装置Pとして、基材供給ロール1が装置下部側に備えられ、巻取り部5が装置上部側に備えられたものを例示したが、これに限らず、例えば、図2に示すように、基材供給ロール1が装置上部側に備えられ、巻取り部5が装置下部側に備えられたものであってもよい。
尚、図2に示す両面印刷装置Pにおいては、基材供給ロール1が装置上部側に備えられるのに伴って表面印刷用ヘッド3が装置上部側に備えられ、巻取り部5が装置下部側に備えられるのに伴って裏面印刷用ヘッド4が装置下部側に備えられている。そして、装置背面側の表裏反転領域に上下に並べて配置された一対のガイドローラ22,23が、表面印刷用ヘッド3による表面印刷後の樹脂シートS1を表裏反転させる表裏反転搬送部2Aとして機能するように構成されている。
【0052】
(2)上記の実施形態においては、画像シート製造用の両面印刷装置Pとして、表面印刷用ヘッド3を支持する第1支持部材61が表面印刷用ヘッド3よりも装置背面側に備えられ、裏面印刷用ヘッド4を支持する第2支持部材62が裏面印刷用ヘッド4よりも装置背面側に備えられたものを例示したが、これに限らず、例えば、図2に示すように、第2支持部材62が裏面印刷用ヘッド4よりも装置正面側に備えられたものであってもよい。又、図示は省略するが、第1支持部材61が表面印刷用ヘッド3よりも装置正面側に備えられたものであってもよく、更に、第1支持部材61と第2支持部材62とが、表面印刷用ヘッド3と裏面印刷用ヘッド4よりも装置正面側に備えられたものであってもよい。
【0053】
(3)上記の実施形態においては、画像シート製造用の両面印刷装置Pとして、表面印刷用ヘッド3と裏面印刷用ヘッド4とが上下2段に並べて配置されたものを例示したが、これに限らず、例えば、表面印刷用ヘッド3と裏面印刷用ヘッド4とが前後に並べて配置されたものであってもよい。
【0054】
(4)上記の実施形態においては、画像シート製造用の両面印刷装置Pとして、基材供給ロール1と巻取り部5とが、表面印刷用ヘッド3及び裏面印刷用ヘッド4よりも装置正面側に備えられたものを例示したが、これに限らず、例えば、基材供給ロール1と巻取り部5とのいずれか一方又は双方が表面印刷用ヘッド3及び裏面印刷用ヘッド4よりも装置背面側に備えられたものであってもよい。
【0055】
(5)上記の実施形態においては、画像シート製造用の両面印刷装置Pとして、装置背面側の表裏反転領域に上下に並べて配置された一対のガイドローラ23,24が表裏反転搬送部2Aとして機能するように構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、装置背面側の表裏反転領域に配置された単一のガイドローラ23が表裏反転搬送部2Aとして機能するように構成されたものであってもよい。
【0056】
(6)上記の実施形態においては、画像シート製造用の両面印刷装置Pとして、紫外線硬化型のインクを使用するものを例示したが、これに限らず、例えば、通常のインクを使用して乾燥装置による乾燥工程を要するものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 基材供給ロール
2A 表裏反転搬送部
3 表面印刷用ヘッド
4 裏面印刷用ヘッド
5 巻取り部
61 第1支持部材
62 第2支持部材
G 画像
S1 連続印刷基材(樹脂シート)
Sa 表面
Sb 裏面
S2 画像シート

図1
図2