(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161595
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】木質ボードの製造方法
(51)【国際特許分類】
B27N 3/00 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
B27N3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066530
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599048638
【氏名又は名称】CBC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】香川 清造
(72)【発明者】
【氏名】谷脇 宏
(72)【発明者】
【氏名】大町 渉太郎
【テーマコード(参考)】
2B260
【Fターム(参考)】
2B260AA03
2B260AA10
2B260BA01
2B260BA18
2B260BA19
2B260BA20
2B260BA21
2B260BA22
2B260CD30
2B260DA02
2B260DA03
2B260DB15
2B260DC20
2B260DD02
2B260EA01
2B260EA04
2B260EA05
2B260EB05
(57)【要約】
【課題】ホルムアルデヒドの放出を低減し、成形性、耐水性、コスト性に優れ、単層で、かつ薄物の木質ボードを製造することが可能な製造方法を提供する。
【解決手段】木質基材に、前記木質基材100重量部に対して0重量部超10重量部未満の尿素を添加する尿素添加工程と、尿素を添加後の木質基材を乾燥する乾燥工程と、乾燥後の木質基材に接着剤を付着させる接着剤付着工程と、木質ボードを成形する成形工程と、を含み、前記接着剤は、ユリア樹脂:メラミン樹脂を50:50~2:98の重量比率で含むことを特徴とする、木質ボードの製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質基材に、前記木質基材100重量部に対して0重量部超10重量部未満の尿素を添加する尿素添加工程と、
前記尿素を添加後の木質基材を乾燥する乾燥工程と、
乾燥後の木質基材に接着剤を付着させる接着剤付着工程と、
木質ボードを成形する成形工程と、
を含み、
前記接着剤は、ユリア樹脂:メラミン樹脂を50:50~2:98の重量比率で含むことを特徴とする、
木質ボードの製造方法。
【請求項2】
前記尿素は、木質基材100重量部に対して5重量部以上10重量部未満であり、
前記接着剤は、ユリア樹脂:メラミン樹脂を50:50~45:55の重量比率で含むことを特徴とする、
請求項1に記載の木質ボードの製造方法。
【請求項3】
前記木質ボードは、単層であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の木質ボードの製造方法。
【請求項4】
前記木質ボードの厚さは、2.5~9mmであることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか1項に記載の木質ボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木質ボードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木質ボードは、家具、建材などに用いられており、ホルムアルデヒド(ホルマリン)の放出量が少ない木質ボードが望まれている。従来は、例えば、単層の木質ボードでは、木質チップの表面にホルマリンキャッチャー剤(例えば、塩化アンモニウム液)を散布したり、ホルムアルデヒドを含有しない接着剤を使用したりすることで、ホルムアルデヒドの放出量を低減してきた。
【0003】
木質ボードのホルムアルデヒドの放出量を低減するための技術として、特許技術文献1~3に開示されている技術が挙げられる。
【0004】
特許文献1には、木質ボードの表面全体がホルマリンキャッチャー剤である塩化アンモニウム処理された多層パーティクルボードが開示されている。
【0005】
特許文献2、および3には、木片に予めホルムアルデヒドと反応する化合物を散布した後、木片を加熱乾燥し含水率を調整した後、接着剤を塗布し、熱圧締成形される方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-44111号公報
【特許文献2】特開平10-180726号公報
【特許文献3】特開2005-254486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
芯層に粗い木片、表層に細かい木片を使用した多層パーティクルボードでは、表層からのホルマリンの放出は、表層に含ませたホルマリンキャッチャー剤によって低減することができる。しかし、前記ホルマリンキャッチャー剤の効果は永続的ではなく、前記ホルマリンキャッチャー剤の効果が失われた後は、芯層からの放出を防止することはできないという問題があった。
【0008】
ここで、接着剤としてイソシアネート系接着剤を使用すると、ホルマリンは放出されないが、熱圧成形時に接着剤が熱盤に付着し、成形マットをホットプレスから離型性が悪いという問題があった。また、成形マットをホットプレスから取り出すことができても、表層面に凹凸が成形されて表面性の悪いパーティクルボードとなるという問題があった。
【0009】
そこで、芯層にイソシアネート系接着剤、表層にメラミン系接着剤またはユリア系接着剤を使用し、表面全体を塩化アンモニウムで処理した多層パーティクルボードも提案されている(特許文献1)。しかしながら、多層のパーティクルボードの場合、芯層のチップが粗く、該チップを薄くし難いため、厚さの薄いパーティクルボード(9mm未満)を得ることが難しかった。
【0010】
また、ホルムアルデヒドの放出量が少ないパーティクルボードの製造方法として、接着剤の中にホルマリンキャッチャー剤を含有させる方法がある。しかし、ホルムアルデヒドの放出量を少なくするために十分な量のホルマリンキャッチャー剤を添加すると、木片の含水率が高くなるため、製造時にパーティクルボードがパンクするという問題があった。この問題に対して、木片に予めホルムアルデヒドと反応する化合物を散布した後、前記木片を加熱乾燥し、含水率を調整した後、接着剤を塗布し、熱圧締成形する技術が公知である(特許文献2、3)。
【0011】
しかしながら、特許文献2では、接着剤としてホルムアルデヒドを有しないフェノール樹脂、イソシアネート系樹脂などが用いられているため、前述のように、表面性が悪いという問題があった。また、特許文献3は、接着剤としてメラミンユリア系接着剤が用いられているものの、実施例で調製されたパーティクルボードの厚さは15mmであり、十分な薄さとは言えない。さらに、接着剤以外の添加剤を添加することでホルムアルデヒドの放出量を少なくしているため、コスト性が悪いという問題があった。
【0012】
本発明の一態様は、ホルムアルデヒドの放出を低減し、成形性、耐水性、コスト性に優れ、単層で、かつ薄物の木質ボードを製造することが可能な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る製造方法は、木質基材に、木質基材100重量部に対して0重量部超10重量部未満の尿素を添加する尿素添加工程と、前記尿素を添加後の木質基材を乾燥する乾燥工程と、乾燥後の木質基材に接着剤を付着させる接着剤付着工程と、木質ボードを成形する成形工程と、を含み、前記接着剤は、ユリア樹脂:メラミン樹脂を50:50~2:98の重量比率で含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、ホルムアルデヒドの放出を低減し、成形性、耐水性、コスト性に優れ、単層で、かつ薄物の木質ボードを製造することが可能な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る木質ボードの製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0017】
(木質ボード)
本発明の一実施形態に係る木質ボードの製造方法により製造される木質ボードについて説明する。本発明の一実施形態に係る木質ボードは、例えば、パーティクルボード、繊維ボード、配向性ストランドボード(OSB)又は中密度繊維板(MDF)である。
【0018】
木質ボードは、複数の木質基材をプレスして板状に成形したボードである。木質ボードの積層構造は特に限定されない。一例として、木質ボードは、単層構造であってもよいし、2層以上の多層構造を有してもよい。
【0019】
例えば、単層構造を有する場合、木質ボードは、同じ大きさの木質基材のみの層を有してもよいし、異なる大きさの木質基材が程よく混合された層を有してもよい。また、多層構造を有する場合、例えば、外層を構成する木質基材の大きさが、外層に挟まれた内層を構成する木質基材の大きさよりも小さくなるように形成することにより、外層の木質基材の密度を高めることができる。これにより、木質ボードの強度を向上させることができる。木質ボードの厚さを薄くできれば、層の数は限定されず、多層構造でも、単層構造であってもよい。木質ボードの厚さを薄くする観点からは、単層であることが好ましい。
【0020】
木質ボードの厚さは、特に限定されないが、2.5~9mmであることが好ましい。これによれば、十分に薄い木質ボードを得ることができる。
【0021】
木質基材の形状は、特に限定されないが、木材を粉砕し、切削して得られたチップ状、繊維状、フレーク状、ウェハー状、またはストランド状であることが挙げられる。
【0022】
木質基材の材料の種類は、従来公知ものを使用することができ、特に限定されない。例えば、スギ、ヒノキ、スプルース、ファー、ラジアータパイン等の針葉樹、シラカバ、アピトン、カメレレ、センゴン、ラウト、アスペン、ゴムノキ等の広葉樹、イネ科タケ亜科に属するタケ類、ササ類等の植物材料が挙げられる。また、木質基材の材料としては、例えばこれらの樹種の丸太および間伐材等の生材料、工場および住宅建築現場等で発生する端材、部材輸送後に廃棄されるパレット材、建築解体時に発生する解体廃材等が使用される。
【0023】
(木質ボードの製造方法)
本発明の一実施形態に係る木質ボードの製造方法を、
図1に基づいて説明する。
図1は、単層の木質ボード1の製造方法Pの工程を示す図である。
図1に示すように、木質ボード1の製造方法Pは、木質基材調製工程p1と、尿素添加工程p2と、乾燥工程p3と、接着剤付着工程p4と、成形工程p5とを含む。なお、木質基材調製工程p1は必須の工程ではなく、例えば、既製品の木質基材を使用し、尿素添加工程p2から開始してもよい。また、ここでは、単層の木質ボードの製造方法について説明するが、各工程は、多層の木質ボードの製造にも適用可能である。
【0024】
[木質基材調製工程p1]
木質基材調製工程は、木質原材料から木質基材を調製する工程である。木質原材料を公知のチッパー機(例えば、東興産業(株)1軸シュレッダーLR700、ハンマーミルやナイフリングフレーカーなど)などに供給する。供給された原料は、チッパー機等によって粉砕され、公知のフレーカーで切削されることにより、小片状や繊維状の木質基材または粉体状の木質基材を得る。
【0025】
得られた木質基材は、所定の大きさとなるように公知の分級機で分級してもよい。例えば、木質基材の大きさは特に限定されないが、例えば、目開き0.5mm~3.0mmの篩を通過するものが好ましい。
【0026】
[尿素添加工程p2]
尿素添加工程p2は、木質基材調製工程p1によって調製された木質基材に尿素を添加する工程である。尿素は、ホルムアルデヒドを捕捉し、ホルマリンキャッチャー剤として働く。尿素は尿素水の形態で木質基材に添加されてもよい。また、乾燥工程p3前に尿素水を添加することにより、木質基材の含水率を調整することもできる。ここで、尿素は、木質基材100重量部に対して0重量部超10重量部未満添加される。また、前記尿素は、木質基材100重量部に対して5重量部以上10重量部未満であることが好ましい。尿素が上記の範囲の量であれば、木質基材に十分に尿素が含有され、ホルムアルデヒドを効率よく捕捉することができる。
【0027】
木質基材への尿素の添加方法は、特に限定されないが、例えば、尿素水を霧状に噴霧することにより、木質基材に均一に尿素水を添加することができる。
【0028】
[乾燥工程p3]
乾燥工程p3は、尿素添加後の木質基材を乾燥させる工程である。木質基材に水が多く含有されていると、後の成形工程において、製造された木質ボードが破裂する現象、いわゆるパンクが発生する虞があるため、木質基材を乾燥させることが好ましい。
【0029】
木質基材は、含水率が所望の値(例えば、10~15重量%程度)となるように調整するのが望ましい。なお、乾燥方法は特に限定されず、例えば、公知の乾燥炉を使用することができる。また、乾燥温度は、例えば、80~120℃であってもよく、乾燥時間は、例えば、0.5~1時間であってもよい。これにより、木質基材の水分含有量を所望の含水率となるように調整することができる。
【0030】
[接着剤付着工程p4]
接着剤付着工程p4は、乾燥工程p3によって、得られた木質基材に、接着剤を付着させる工程である。接着剤を木質基材に付着させる方法は、木質基材の表面に接着剤を適度に付着させることが出来る方法であれば、その手段は特に限定されない。例えば、木質基材を所定量に計量して、公知のブレンダー機に供給する。ついで、このブレンダー機に所定の接着剤を供給して混合撹拌する。この場合、混合撹拌することによって、木質基材表面に接着剤を均質に付着させることができる。
【0031】
ブレンダー機に接着剤を供給する方法も、特に限定されない。例えば、液体状の接着剤をそのまま添加してもよいし、霧状に噴霧してもよい。特に、接着剤を霧状に噴霧すれば、木質基材の表面により均一に接着剤を付着させることができる。
【0032】
接着剤の付着量は、木質基材の固形分100重量部に対して、10~15重量部であることが好ましく、11~14重量部であることがより好ましい。接着剤の付着量が上記範囲であることにより、木質基材同士を好適に接着させることができる。
【0033】
接着剤付着工程に用いる接着剤は、ユリア樹脂とメラミン樹脂とを含むユリアメラミン系接着剤である。ユリアメラミン系接着剤は、ユリア樹脂と、メラミン樹脂とを混合することによって得られる接着剤であってもよく、または、尿素およびメラミンを、ホルムアルデヒドと付加縮合することによって得られる接着剤であってもよい。接着剤はユリア樹脂:メラミン樹脂を50:50~2:98の重量比率で含む。また、接着剤は、ユリア樹脂:メラミン樹脂を50:50~30:70の重量比率で含むことが好ましく、50:50~40:60の重量比率で含むことがさらに好ましく、50:50~45:55の重量比率で含むことが最も好ましい。ユリア樹脂:メラミン樹脂を上記の重量比率で含むことにより、成形性、耐水性に優れ、かつ、ホルムアルデヒドの放出量が低減された木質ボードを得ることができる。
【0034】
なお、木質ボードの含水率を調整するため、所定量の水を加えてもよい。また、必要に応じて添加剤を加えてもよい。例えば、粘着付与剤、上記の[尿素添加工程p2]で加えた尿素以外のホルマリンキャッチャー剤、硬化促進剤、離型剤、撥水剤、乳化剤、乳化安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、安定剤、界面活性剤、可塑剤、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール、金属触媒、合成ゴムラテックス、アクリル系エマルジョンなどを添加剤として添加してもよい。
【0035】
[成形工程p5]
成形工程p5は、接着剤付与工程p4によって、供給された木質基材を成形して熱を加えながらプレスする工程である。具体的には、供給された木質基材を成形(フォーミング)して、かかる成形体を軽く仮プレスしてシート状のマットを形成する。このとき、フォーミングは、通常の木質ボード製造ラインを使用することができ、例えば、成形台、スチールベルト等を用いて、その上に木質基材を供給して堆積すればよい。ここで、木質基材は、例えば、ローラ―スクリーンのような篩によって分級されてもよく、木質基材を風力で飛ばしながらベルト状に落として堆積させてもよい。シート状のマットを公知の熱プレス機に供給し、熱プレス機において、上下方向から熱盤や熱ロールで本熱プレスし、熱圧成形することにより、所定の厚みの木質ボード1を得る。
【0036】
熱圧成形の条件としては、特に限定されないが、例えば、プレス温度が120~180℃、プレス圧が20~40kg/cm2、プレス時間が60~180秒となるように設定することができる。
【0037】
なお、プレス方法としては、上記のような成形体を成形することができる方法であれば特に限定されない。例えば、バッチ式の方法であってもよいし、連続プレスまたは多段プレスであってもよい。特に、木質ボード1を大量に生産する上では、連続プレス等を用いることが好ましい。例えば、メンデプレス法が用いられる。
【0038】
成形工程において、成形された木質ボード1を養生し、公知のサンダーで表面を研磨してもよい。また、木質ボード1を所定の大きさにカットしてもよい。
【0039】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0040】
〔測定方法〕
以下、本発明の製造方法によって製造された木質ボードについて、実施例に基づき説明する。なお、各木質ボードにおいて行った測定・評価方法は以下の通りである。
【0041】
(1)成形性
成形性は、表面の平滑性および保形性によって評価した。表面の平滑性は、木質ボードの熱圧成形後において、ベルトへの付着物の有無により判定した。保形性は、成形工程p5において、ベルト上で木質基材をフォーミングしてマットを形成した際の、マットの崩れにくさにより判定した。評価基準は以下の通りである。
○:ベルトへの付着物がなく平滑性がある、かつマットが崩れず保形性に優れている。
×:ベルトへの付着物があり表面が荒れている、またはマットが崩れて保形性がない。
【0042】
(2)耐水性
(a)JIS A 5905に準拠して、70℃の温水に2時間、その後25℃の水に1時間浸漬させた試験片の曲げ強度を測定した。試験片として、50mm×150mmの木質ボードを用い、30枚の試験片を評価した。30枚の試験片全てが示す所定の曲げ強度に基づいて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:曲げ強度が11N/mm2以上である。
○:曲げ強度が7.5N/mm2以上11N/mm2未満である。
△:曲げ強度が3.5N/mm2以上7.5N/mm2未満である。
×:曲げ強度が3.5N/mm2未満である。
【0043】
(b)JAS 1類浸漬剥離試験に準拠して、100℃の温水に4時間浸漬させ、60℃で20時間乾燥させ、100℃の温水に4時間浸漬させ、60℃で6時間乾燥させた試験片について剥離試験を行った。試験片として、75mm×75mmの木質ボードを用い、30枚の試験を評価した。30枚の試験片全てが示す所定の結果に基づいて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎~○:木口部分が剥離しない。
△ :剥離しない木口部分が50%以上である。
× :剥離しない木口部分が50%未満である。
【0044】
(3)ホルムアルデヒド放散量
デシケーター法JIS A 1460に準拠して、木質ボードのホルムアルデヒド放散量を測定し、評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:ホルムアルデヒド放散量の区分がF☆☆☆☆レベル、すなわちアルデヒドの放散量の平均値が0.3mg/L以下で、かつ最大値が0.4mg/L以下である。
○:ホルムアルデヒド放散量の区分がF☆☆☆レベル、すなわちアルデヒドの放散量の平均値が0.5mg/L以下で、かつ最大値が0.7mg/L以下である。
×:ホルムアルデヒド放散量の区分がF☆☆レベル以下、すなわちホルムアルデヒドの放散量の平均値が1.5mg/L以下で、かつ最大値が7.0mg/L以下である。
【0045】
(4)コスト性
コスト性は、木質ボードの製造にかかる費用について評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:ユリア系接着剤を用いた木質ボードと同等である。
○:ユリアメラミン系接着剤を用いたボードと同等である。
×:MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)系接着剤を用いたボードと同等である。
【0046】
〔実施例1~4、比較例1~16〕
木片チップに、表1に示す量の尿素を含む尿素水を塗布し、加熱乾燥させた。表1に示す組成(単位:重量%)を含む接着剤を塗布し、プレス機(メンデプレス方式)によりプレス温度130℃、プレス圧30kg/cm2、プレス時間60秒の条件にて熱圧成形することにより、単層の木質ボード(厚み3mm)を得た。
【0047】
【0048】
〔結果〕
尿素を木質基材100重量部に対して5重量部添加し、接着剤として、ユリア樹脂:メラミン樹脂を50:50の重量比率で含有する実施例1、およびユリア樹脂:メラミン樹脂を45:55の重量比率で含有する実施例2~4の木質ボードは、成形性に優れていた。また、両者とも耐水性を備え、ホルムアルデヒドの放出量も少なく、コストも優れていた。
【0049】
一方、接着剤にメラミン樹脂を含まない比較例1~3の木質ボードは、耐水性が悪かった。接着剤にユリア樹脂を含まない比較例11~13の木質ボードは、耐水性は良いが、尿素を木質基材100重量部に対して10重量部添加した比較例13以外は、ホルムアルデヒドの放出量が低減できなかった。
【0050】
尿素を添加しない木質ボードは、ホルムアルデヒドの放出量が多くなった。その一方で、尿素を木質基材100重量部に対して10重量部添加した木質ボードは、ホルムアルデヒドの放出量は低減されたが、木質ボードの成形性が悪くなった。
【0051】
接着剤として、MDIを含む比較例14~16の木質ボードは、耐水性に優れ、ホルムアルデヒドの放出量も低減できたが、成形性が悪く、コスト性も悪かった。
本発明は、木質ボードの製造に利用することができる。また、製造された木質ボードは、床材、壁材、天井材などの建築部材、扉部材、巾木、廻り縁などの造作部材、家具用材料等に幅広く適用することができる。