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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161598
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】排水処理方法、及び、排水処理設備
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/78 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
C02F1/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066535
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】隅 晃彦
(72)【発明者】
【氏名】塚▲崎▼ 旭
(72)【発明者】
【氏名】小倉 正裕
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雅彦
【テーマコード(参考)】
4D050
【Fターム(参考)】
4D050AA13
4D050AA15
4D050AB23
4D050AB24
4D050AB26
4D050AB35
4D050BB02
4D050BD02
4D050BD06
4D050BD08
(57)【要約】
【課題】 オゾンガスの排出量を抑えつつ排水を浄化できる排水処理設備及び排水処理方法を提供することを課題としている。
【解決手段】 被酸化物を含む排水が供給された第1被処理液に、オゾンガスを含む酸化性気体を送り込むことによって前記第1被処理液に酸化処理を施す第1反応工程と、
前記第1反応工程を経た前記第1被処理液の少なくとも一部が流入した第2被処理液に、前記酸化性気体を送り込むことによって前記第2被処理液に酸化処理を施す第2反応工程と、を備え、前記排水を前記第2被処理液へ供給し、前記第2被処理液への前記排水の供給高さが、前記第1被処理液の流入高さよりも上方である、排水処理方法、及び、該方法を実施するための排水処理設備を提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被酸化物を含む排水が供給された第1被処理液に、オゾンガスを含む酸化性気体を送り込むことによって前記第1被処理液に酸化処理を施す第1反応工程と、
前記第1反応工程を経た前記第1被処理液の少なくとも一部が流入した第2被処理液に、前記酸化性気体を送り込むことによって前記第2被処理液に酸化処理を施す第2反応工程と、を備え、
前記排水を前記第2被処理液へ供給し、
前記第2被処理液への前記排水の供給高さが、前記第1被処理液の流入高さよりも上方である、排水処理方法。
【請求項2】
前記第1被処理液又は前記第2被処理液に含まれる前記被酸化物を酸化分解させるために必要な前記酸化性気体の量を決定する必要量決定工程をさらに備える、請求項1に記載の排水処理方法。
【請求項3】
前記第2反応工程を経た前記第2被処理液の少なくとも一部が流入した終段被処理液に前記酸化性気体を送り込むことによって、前記終段被処理液に酸化処理を施す終段反応工程をさらに備え、
前記第1被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記第1被処理液に供給された前記排水中の被酸化物量の比を(A)とし、
前記第2被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記第2被処理液に供給された前記排水中の被酸化物量の比を(B)とし、
前記終段反応工程において、前記終段被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記終段被処理液に供給する前記排水中の被酸化物量の比を(C)としたときに、
前記(C)が前記(A)及び前記(B)のいずれよりも小さい、請求項1又は2に記載の排水処理方法。
【請求項4】
被酸化物を含む排水が供給された第1被処理液に、オゾンガスを含む酸化性気体を送り込むことによって前記第1被処理液に酸化処理を施す第1反応部と、
前記第1反応部の前記酸化処理を経た前記第1被処理液の少なくとも一部が流入した第2被処理液に、前記酸化性気体を送り込むことによって前記第2被処理液に酸化処理を施す第2反応部と、を備え、
前記排水を前記第2被処理液へ供給する構成を有し、
前記第2被処理液への前記排水の供給高さが、前記第1被処理液の流入高さよりも上方である、排水処理設備。
【請求項5】
前記第2反応部の前記酸化処理を経た前記第2被処理液の少なくとも一部が流入した終段被処理液に、前記酸化性気体を送り込むことによって前記終段被処理液に酸化処理を施す終段反応部をさらに備え、
前記第1被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記第1被処理液に供給された前記排水中の被酸化物量の比を(A)とし、
前記第2被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記第2被処理液に供給された前記排水中の被酸化物量の比を(B)とし、
前記終段被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記終段被処理液に供給する前記排水中の被酸化物量の比を(C)としたときに、
前記(C)が前記(A)及び前記(B)のいずれよりも小さくなるように構成されている、請求項4に記載の排水処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、オゾンガスの酸化力を利用して排水を浄化する排水処理方法、及び、該排水処理方法を実施するため排水処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排水に含まれる有機物などの被酸化物をオゾンガスによって酸化処理して、排水を浄化する排水処理方法、及び、該方法を実施するための排水処理設備が知られている。
【0003】
この種の排水処理設備としては、例えば、有機物含有排水の処理が連続的に行われるように構成された複数の反応槽からなる多段式のオゾン反応槽と、オゾンガスを発生させ、前記オゾン反応槽に前記オゾンガスを供給するオゾンガス供給手段と、前記オゾンガス供給手段から供給されたオゾンガスを前記有機物含有排水に溶解させるオゾンガス溶解手段と、前記多段式のオゾン反応槽の第2槽目以降に設けられ、前記オゾン反応槽中の前記有機物含有排水にアルカリ剤を供給するアルカリ供給手段とを備えた、排水処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載の排水処理設備では、オゾンガスによって有機物を分解することができる。詳しくは、最初のオゾン反応槽においてオゾンガスを排水中に溶解させたうえで、第2槽目以降においてアルカリ剤を添加することによって、オゾン分子からのラジカルの発生を促進させる。これにより、排水中の有機物を効率的に分解することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の排水処理設備で実施する排水処理方法のように、ほとんど全ての有機物を分解させるためには、分解に必要な理論的オゾンガス量に対して過剰量のオゾンガスを供給することとなる。そのため、有機物の酸化分解に寄与しなかったオゾンガスが比較的多量に排出される。排出されたオゾンガスは、依然として強い酸化力を有することから、分解処理を施したり、回収して再度利用したりする必要がある。斯かる分解処理や回収再利用を実施する分、排水処理設備及び該設備で実施する排水処理方法にコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-090258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに対して、オゾンガスの排出量を抑えつつ排水を浄化できる、排水処理方法及び排水処理設備が要望されている。
【0008】
本発明は、上記の要望点等に鑑み、オゾンガスの排出量を抑えつつ排水を浄化できる排水処理方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記排水処理方法を実施するための排水処理設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明に係る排水処理方法は、被酸化物を含む排水が供給された第1被処理液に、オゾンガスを含む酸化性気体を送り込むことによって前記第1被処理液に酸化処理を施す第1反応工程と、
前記第1反応工程を経た前記第1被処理液の少なくとも一部が流入した第2被処理液に、前記酸化性気体を送り込むことによって前記第2被処理液に酸化処理を施す第2反応工程と、を備え、
前記排水を前記第2被処理液へ供給し、
前記第2被処理液への前記排水の供給高さが、前記第1被処理液の流入高さよりも上方であることを特徴とする。
【0010】
上記の排水処理方法によれば、第1反応工程において第1被処理液に酸化処理を施すことによって、被酸化物の少なくとも一部がオゾンガスによって酸化分解される。そして、第1反応工程の酸化処理を経た第1被処理液を第2被処理液に流入させ、斯かる第2被処理液にも酸化処理を施す。第2被処理液への酸化処理は、第2被処理液中を浮上するオゾンガスによって実施されるところ、第1被処理液の流入高さよりも上方で供給された排水中の被酸化物を、浮上したオゾンガスが酸化分解するため、オゾンガスが消費される。消費された分、オゾンガスの排出量を抑えることができる。
従って、上記の排水処理設備によれば、オゾンガスの排出量を抑えつつ排水を浄化できる。
【0011】
上記の排水処理方法は、前記第1被処理液又は前記第2被処理液に含まれる前記被酸化物を酸化分解させるために必要な前記酸化性気体の量を決定する必要量決定工程をさらに備えることが好ましい。
必要量決定工程によって、第1被処理液又は第2被処理液に含まれる被酸化物をすべて酸化分解するために必要な酸化性気体の量を予め知ることができる。そのため、第1反応工程において被酸化物が残存するように第1被処理液へ酸化性気体を供給したうえで、第2反応工程において被酸化物がすべて酸化分解されるように第2被処理液へ酸化性気体を供給できる。第2反応工程では、被酸化物が減った第1被処理液を含む第2被処理液に酸化処理を施すため、被酸化物が減っている分、酸化性気体の供給量を少なくできる。よって、酸化性気体の供給量(使用量)を抑えることができ、また、第2被処理液の酸化処理に利用されなかった酸化性気体の放出量を抑制できる。従って、オゾンガスの使用量を抑えることができ、また、オゾンガスの排出量をより抑えることができる。
【0012】
上記の排水処理方法は、前記第2反応工程を経た前記第2被処理液の少なくとも一部を含む終段被処理液に前記酸化性気体を送り込むことによって、前記終段被処理液に酸化処理を施す終段反応工程をさらに備え、
前記第1被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記第1被処理液に供給された前記排水中の被酸化物量の比を(A)とし、
前記第2被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記第2被処理液に供給された前記排水中の被酸化物量の比を(B)とし、
前記終段反応工程において、前記終段被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記終段被処理液に供給する前記排水中の被酸化物量の比を(C)としたときに、
前記(C)が前記(A)及び前記(B)のいずれよりも小さいことが好ましい。
終段反応工程において、終段被処理液へ供給する前記排水中の被酸化物量に対する、終段被処理液へ送り込む酸化性気体の量の比(C)が、第1反応工程又は第2反応工程における上記の比(A)、(B)のいずれよりも小さいことによって、酸化処理を受けた終段被処理液の浄化度を上げることができる。
【0013】
本発明に係る排水処理設備は、被酸化物を含む排水が供給された第1被処理液に、オゾンガスを含む酸化性気体を送り込むことによって前記第1被処理液に酸化処理を施す第1反応部と、
前記第1反応部の前記酸化処理を経た前記第1被処理液の少なくとも一部が流入した第2被処理液に、前記酸化性気体を送り込むことによって前記第2被処理液に酸化処理を施す第2反応部と、を備え、
前記排水を前記第2被処理液へ供給する構成を有し、
前記第2被処理液への前記排水の供給高さが、前記第1被処理液の流入高さよりも上方である。
【0014】
上記の排水処理設備は、前記第2反応部20の酸化処理を経た前記第2被処理液の少なくとも一部を含む終段被処理液に前記酸化性気体を送り込むことによって前記終段被処理液に酸化処理を施す終段反応部をさらに備え、
前記第1被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記第1被処理液に供給された前記排水中の被酸化物量の比を(A)とし、
前記第2被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記第2被処理液に供給された前記排水中の被酸化物量の比を(B)とし、
前記終段被処理液へ送り込む前記酸化性気体量に対する、前記終段被処理液に供給する前記排水中の被酸化物量の比を(C)としたときに、
前記(C)が前記(A)及び前記(B)のいずれよりも小さくなるように構成されていてもよい。
【0015】
上記の排水処理設備によれば、上述した排水処理方法を実施することによって、上記の理由と同様の理由により、オゾンガスの排出量を抑えつつ排水を浄化できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の排水処理方法及び排水処理設備によれば、オゾンガスの排出量を抑えつつ排水を浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態の排水処理方法を実施するための排水処理設備の一例を表した概略図。
図2】他の実施形態の排水処理設備を表した概略図。
図3】別の実施形態の排水処理設備を表した概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態の排水処理設備1について、図面を参照しつつ詳しく説明する。
【0019】
上記実施形態の排水処理設備1は、図1に示すように、被酸化物を含む排水が供給された第1被処理液に、オゾンガスを含む酸化性気体を送り込むことによって前記第1被処理液に酸化処理を施す第1反応部と、
前記第1反応部の前記酸化処理を経た前記第1被処理液の少なくとも一部が流入した第2被処理液に、前記酸化性気体を送り込むことによって前記第2被処理液に酸化処理を施す第2反応部と、を備え、
前記排水を前記第2被処理液へ供給する構成を有し、
前記第2被処理液への前記排水の供給高さが、前記第2被処理液への前記第1被処理液の流入高さよりも上方である。
【0020】
換言すると、上記実施形態の排水処理設備1は、
第1被処理液Aに、オゾンガスを含む酸化性気体Zを送り込むことによって、第1被処理液Aに酸化処理を施す第1反応部10と、
第1反応部10の酸化処理を経た第1被処理液Aの少なくとも一部を含む第2被処理液Bに、酸化性気体Zを送り込むことによって、第2被処理液Bに酸化処理を施す第2反応部20と、を備える。
上記実施形態の排水処理設備1は、被酸化物を含む排水Xを第1反応部10の第1被処理液A、及び、第2反応部20の第2被処理液Bへそれぞれ供給する構成を有し、且つ、第1反応部10での酸化処理を経た第1被処理液Aを、第2被処理液Bへの排水Xの供給高さよりも下方で第2被処理液Bに流入させる構成を有する。
【0021】
また、上記実施形態の排水処理設備1は、図1に示すように、第2反応部20の酸化処理を経た第2被処理液Bの少なくとも一部を含む終段被処理液Cに酸化性気体Zを送り込むことによって、終段被処理液Cに酸化処理を施す終段反応部30をさらに備え、
第1被処理液Aへ送り込む酸化性気体量に対する、第1被処理液Aに供給された排水中の被酸化物量の比を(A)とし、
第2被処理液Bへ送り込む酸化性気体量に対する、第2被処理液Bに供給された排水中の被酸化物量の比を(B)とし、
終段被処理液Cへ送り込む酸化性気体量に対する、終段被処理液Cに供給する排水中の被酸化物量の比を(C)としたときに、
前記(C)が前記(A)及び前記(B)のいずれよりも小さくなるように構成されている。
【0022】
また、上記実施形態の排水処理設備1は、第1反応部10の第1被処理液A、第2反応部20の第2被処理液B、及び、終段反応部30の終段被処理液Cにそれぞれ酸化性気体Zを送り込む送気部40を備える。
また、上記実施形態の排水処理設備1は、第1反応部10の第1被処理液A、及び、第2反応部20の第2被処理液Bにそれぞれ排水Xを供給する排水供給部50を備える。
【0023】
さらに、上記実施形態の排水処理設備1は、図1に示すように、第1被処理液A又は第2被処理液Bに含まれる被酸化物を酸化分解させるために必要な酸化性気体Zの量を決定するための測定装置を有する測定部60をさらに備える。
【0024】
上記実施形態の排水処理設備1は、上記のごとき酸化処理を複数回経ることによって浄化された浄化水Yを得るように構成されている。得られた浄化水Yは、必要に応じて、さらに浄化処理が施され得る。
【0025】
上記の排水処理設備1は、被酸化物を含む排水Xを第1反応部10及び第2反応部20にそれぞれ供給する構成を有する。上記の排水処理設備1は、排水Xを第1反応部10又は第2反応部20へ断続的に供給する半連続式であってもよく、排水Xを第1反応部10又は第2反応部20へ連続的に供給する連続式であってもよい。また、上記の排水処理設備1は、第1反応部10、第2反応部20、及び終段反応部30において酸化処理を終えるごとに第1被処理液Aを第2反応部20へ移し替え、第2被処理液Bを終段反応部30へ移し替えるバッチ式(回分式)であってもよい。
なお、1種の排水Xが、図1に示すように、第1反応部10、第2反応部20、及び必要に応じて終段反応部30へそれぞれ供給されてもよく、複数種の排水が各反応部へそれぞれ供給されてもよい。
【0026】
上記の排水Xとしては、例えば下水、又は、工場排水などが挙げられる。これら排水Xは、酸化性気体Zによって酸化分解される、有機物などの被酸化物を含む。なお、酸化される被酸化物は、例えばアンモニア等の無機物であってもよい。
被酸化物としての有機物は、例えば、蛋白質、炭水化物、油脂などを含んでもよい。また、酸化分解される有機物は、例えば、不飽和結合を分子中に有する芳香族化合物、難分解性化合物などを含む。
上記実施形態の排水処理設備1は、各種有機物を分解させるために有効であり、特に芳香族化合物等、難分解性化合物の分解処理に有効である。
【0027】
上記の酸化性気体Zは、排水Xに含まれる被酸化物を酸化分解できる気体である。上記の酸化性気体Zは、少なくともオゾンガスを含む。オゾンガスは、酸化力を有することから、有機物等を酸化分解することができる。酸化分解された有機物は、より低分子量の有機物となる。よって、オゾンガスを含む酸化性気体Zによって、比較的難分解性の有機物をより低分子量の有機物へ分解できる。
【0028】
送気部40は、上記の酸化性気体Zを第1反応部10、第2反応部20、及び終段反応部30にそれぞれ送り込む構成を有する。
詳しくは、送気部40は、酸化性気体Zを各反応部へ送る送気経路41と、各反応部の各被処理液中で気泡状の酸化性気体Zを浮上させるための散気管42とを有する。送気部40は、送気経路41によって各反応部へ送った酸化性気体Zを各被処理液中へ送り込み、各反応槽の底部に配置された散気管42によって気泡状の酸化性気体Zを各被処理液中へ分散させる構成を有する。
【0029】
送気部40は、各反応部の各被処理液の下部から酸化性気体Zを散気(放出)するように構成されている。
送気部40によって、気泡状の酸化性気体Zを各被処理液中で徐々に上昇させることができる。これにより、各被処理液中の被酸化物と気泡状の酸化性気体Zとを接触させることができる。よって、被酸化物を酸化分解させることができる。このようにして、各被処理液は、酸化処理される。
【0030】
送気部40は、第1反応部10、第2反応部20、及び終段反応部30のすべてに同時に酸化性気体Zを送るように構成されてもよく、一時的にいずれか1つ又は2つの反応部に酸化性気体Zを送るように構成されてもよい。
送気部40は、各反応部に送る酸化性気体Zの量をそれぞれ調節できる構成を有する。
【0031】
排水供給部50は、第1反応部10、及び、第2反応部20にそれぞれ排水Xを供給する構成を有する。詳しくは、排水供給部50は、第1反応部10へ排水Xを供給する第1排水供給経路51と、第2反応部20へ排水Xを供給する第2排水供給経路52とを有する。排水供給部50によって、第1反応部10の第1被処理液Aに排水Xを供給し、また、第2反応部20の第2被処理液Bに排水Xを供給できる。
【0032】
排水供給部50は、終段反応部30に排水Xを供給する構成を有してもよく、有しなくてもよい。換言すると、排水供給部50は、終段反応部30へ排水Xを供給する終段排水供給経路を有してもよく、有しなくてもよい。
【0033】
上記実施形態の排水処理設備1は、図1に示すように、第1排水供給経路51によって、第1反応部10の第1被処理液Aの上部(第1反応槽11の上部)に排水Xを供給する構成を有することが好ましい。同様に、第2排水供給経路52によって、第2反応部20の第2被処理液Bの上部(第2反応槽21の上部)に排水Xを供給する構成を有することが好ましい。
第1被処理液A及び第2被処理液Bの上部(第1反応槽11の上部及び第2反応槽21の上部)にそれぞれ供給された排水Xは、下方から上昇してきた気泡状の酸化性気体Zと接触することとなる。これにより、上述したように、排水中の被酸化物をオゾンガスによって酸化分解させることができる。
特に、第2反応部20の第2被処理液Bの上部(第2反応槽21の上部)に排水Xを供給することによって、後に詳述するように、オゾンガスの排出量を抑えることができる。
【0034】
排水供給部50は、第1反応部10、第2反応部20、及び終段反応部30のすべてに同時に排水Xを供給するように構成されてもよく、一時的にいずれか1つ又は2つの反応部に排水Xを送るように構成されてもよい。
排水供給部50は、各反応部に送る排水Xの量をそれぞれ調節できる構成を有する。
【0035】
第1反応部10は、第1被処理液Aを収容する第1反応槽11を有する。第1反応部10は、第1反応槽11に収容された第1被処理液中で、排水由来の被酸化物を酸化性気体Zによって酸化分解するように構成されている。換言すると、第1反応部10は、第1反応槽11に収容された第1被処理液Aに酸化処理を施すように構成されている。
【0036】
第1反応槽11では、上述したように第1被処理液Aの上部(第1反応槽11の上部)に排水Xが供給され、底部に設置された散気管から気泡状の酸化性気体Zが上昇する。そのため、酸化性気体Zの供給に伴って、第1被処理液Aの下部(第1反応槽11の下部)で比較的浄化度が高くなり、第1被処理液Aの上部(第1反応槽11の上部)で比較的浄化度が低くなり得る。
【0037】
第1反応槽11において、第1被処理液Aが撹拌されてもよいが、被酸化物と酸化性気体Zとの接触確率をできるだけ高めるため、過剰に撹拌されない方が好ましい。例えば、第1被処理液Aは、第1反応槽11内において撹拌装置によって撹拌されなくてもよい。
【0038】
第1反応部10は、酸化処理された第1被処理液Aの少なくとも一部が第1反応槽11の下部(第1被処理液Aの下部)から取り出されるように構成されている。第1被処理液Aは、酸化性気体Zの散気開始高さよりも上方で取り出される。取り出された第1被処理液Aは、第2反応槽21の底部へ移送され、第2被処理液Bの下部(第2反応槽21の下部)に流入する。
【0039】
上記実施形態の排水処理設備1は、第1反応部10の第1被処理液Aを第2反応部20へ移送する第1移送経路71を備える。上記実施形態の排水処理設備1は、第1反応槽11に収容されている第1被処理液Aの少なくとも一部を取り出して、第1移送経路71によって第2反応部20に移送する構成を有する。
【0040】
第2反応部20は、第2被処理液Bを収容する第2反応槽21を有する。第2反応部20は、第2反応槽21に収容された第2被処理液中で、排水由来の被酸化物を酸化性気体Zによって酸化分解するように構成されている。換言すると、第2反応部20は、第2反応槽21に収容された第2被処理液Bに酸化処理を施すように構成されている。
特に言及しない限り、第2反応部20は、第1反応部10と同様に構成され得る。
【0041】
第2反応部20は、第1反応部10で酸化処理を受けた第1被処理液Aが、第2被処理液Bの下部(第2反応槽21の下部)に流入するように構成されている。斯かる流入高さは、第2反応槽21において、第2被処理液Bに酸化性気体Zが送り込まれる高さ(散気が開始される高さ)よりも上方である。よって、第2反応部20に流入した第1被処理液Aは、気泡状の酸化性気体Zと接触する。
また、第2反応部20は、第2反応槽21に収容された第2被処理液Bの上部(第2反応槽21の上部)に排水Xが供給されるように構成されている。排水Xの供給高さは、第2反応槽21へ流入する第1被処理液Aの上記流入高さ、及び、酸化性気体Zの散気開始高さよりも上方である。よって、供給された排水Xに含まれる被酸化物が、上昇してきた酸化性気体中のオゾンガスによって酸化分解される。これに伴い、オゾンガスが消費される。
また、第2反応部20は、第1反応部10と同様に、酸化処理された第2被処理液Bの少なくとも一部が第2反応槽21の下部(第2被処理液Bの下部)から取り出されるように構成されている。第2被処理液Bは、酸化性気体Zの散気開始高さよりも上方で取り出される。取り出された第2被処理液Bは、終段反応槽31の底部へ移送され、終段被処理液Cの下部(終段反応槽31の下部)に流入する。
【0042】
第2反応部20では、上述したように第2被処理液Bの上部(第2反応槽21の上部)に排水Xが供給され、第2反応槽21の底部(第2被処理液Bの下部)から気泡状の酸化性気体Zが上昇する。また、酸化処理を経た第1被処理液Aの第2反応槽21への流入高さは、排水Xの供給高さよりも下方である。よって、第1被処理液Aの流入高さよりも上方に排水Xが供給される。これにより、第1反応部10で酸化処理を経た第1被処理液Aだけでなく、排水由来の被酸化物に対しても、第2被処理液中において浮上したオゾンガスによって酸化処理を施すことができる。排水由来の被酸化物の酸化分解によってオゾンガスが消費された分、被処理液外へのオゾンガスの排出量を抑えることができる。
従って、上記の排水処理設備1によれば、オゾンガスの排出量を抑えつつ排水Xを浄化できる。
また、排水Xに含まれる被酸化物の量を、後述する測定部60によって測定することによって、被酸化物の全て又は大半を酸化分解するためのオゾンガス量をあらかじめ把握して決定することができる。これにより、過剰量のオゾンガスを使用しなくても排水Xを浄化できる。よって、オゾンガスの排出量を抑えるだけでなく、使用量(供給量)も抑えつつ排水Xを浄化できる。
【0043】
なお、第2反応部20は、複数の反応槽を有し、上流側の槽から取り出した被処理液を下流側の反応槽の被処理液の下部(下流側の反応槽の下部)に流入させるように構成されてもよい。この場合、複数の反応槽は、それぞれ第2反応槽21と同様に構成され得る。そして、第2反応部20の最下流側の反応槽で酸化処理を受けた被処理液が、終段反応部30に移送されてもよい。
【0044】
上記実施形態の排水処理設備1は、第2反応部20の第2被処理液Bを終段反応部30へ移送する第2移送経路72を備える。上記実施形態の排水処理設備1は、第2反応槽21に収容されている第2被処理液Bの少なくとも一部を取り出して、第2移送経路72によって終段反応部30に移送する構成を有する。
【0045】
終段反応部30は、上述した第2反応部20と同様に構成されているが、上流側に第2反応部20が配置されている点、排水Xが供給されることが任意である点などにおいて、第2反応部20と異なる。
【0046】
具体的には、終段反応部30は、終段被処理液Cを収容する終段反応槽31を有する。終段反応部30は、終段反応槽31に収容された終段被処理液中で、排水由来の被酸化物を酸化性気体Zによって酸化分解するように構成されている。換言すると、終段反応部30は、終段反応槽31に収容された終段被処理液Cに酸化処理を施すように構成されている。
特に言及しない限り、終段反応部30は、第2反応部20と同様に構成され得る。
【0047】
終段反応部30は、第2反応部20で酸化処理を受けた第2被処理液Bが、終段被処理液Cの下部(終段反応槽31の下部)に流入するように構成されている。斯かる流入高さは、終段反応槽31において、終段被処理液Cに酸化性気体Zが送り込まれる高さ(散気される高さ)よりも上方である。よって、終段反応部30に流入した第2被処理液Bは、気泡状の酸化性気体Zと接触する。
【0048】
本実施形態において、終段反応部30は、終段反応槽31に収容された終段被処理液Cに排水Xが供給されない構成を有してもよい。排水Xが供給されない場合、上述した、終段被処理液Cへ送り込む酸化性気体量に対する、終段被処理液Cに供給する排水中の被酸化物量の比(C)は、0となる。
一方、終段反応部30は、終段反応槽31に収容された終段被処理液Cの上部(終段反応槽31の上部)に排水Xが供給される構成を有してもよい。
なお、終段被処理液Cに排水Xが供給されない終段反応部30は、終段反応槽31の上部から浄化水Yが排出されるように構成されていることが好ましく、終段被処理液Cの上部(終段反応槽31の上部)に排水Xが供給される終段反応部30は、終段反応槽31の下部から浄化水Yが排出されるように構成されていることが好ましい。
【0049】
終段反応部30では、終段反応槽31の底部(終段被処理液Cの下部)から気泡状の酸化性気体Zが上昇する。また、酸化処理を経た第2被処理液Bの終段反応槽31への流入高さは、酸化性気体Zの散気高さ(散気が開始される部位の高さ)よりも上方である。よって、第2反応部20で酸化処理を経た第2被処理液Bを含む終段被処理液中を酸化性気体Zが上昇する。これにより、終段被処理液Cに酸化処理を施すことができる。そして、酸化性気体中のオゾンガスが排水由来の被酸化物を酸化分解し、オゾンガスが消費される。消費された分、オゾンガスの排出量を抑えることができる。
【0050】
終段反応部30では、例えば、終段被処理液Cに供給する排水中の被酸化物量が、第1被処理液Aに供給された排水中の被酸化物量、又は、第2被処理液Bに供給された排水中の被酸化物量のいずれよりも少ない。排水Xの被酸化物量が少ない分、酸化処理後の終段被処理液Cに含まれる被酸化物の量を少なくできる。従って、酸化処理を受けた終段被処理液Cの浄化度を上げることができる。
好ましくは、終段反応部30では、終段被処理液Cへの排水Xの供給量が、第1反応部10及び第2反応部20への排水Xの供給量のいずれよりも少ない。排水Xの供給量が少ない分、酸化処理後の終段被処理液Cに含まれる被酸化物の量を少なくできる。従って、酸化処理を受けた終段被処理液Cの浄化度を上げることができる。
【0051】
測定部60は、第1被処理液A又は第2被処理液Bに含まれる被酸化物を酸化分解させるために必要な酸化性気体Zの量を決定すべく、排水中の被酸化物の量を測定する被酸化物量測定装置61、第1被処理液Aから放出される酸化性気体Zのオゾンガス濃度を測定するオゾンガス測定装置62、又は、第1被処理液A中の酸化還元電位を測定する酸化還元電位(ORP)測定装置63などを有する。
なお、測定部60は、第2被処理液Bから放出される酸化性気体Zのオゾンガス濃度を測定するオゾンガス測定装置62、又は、第2被処理液中の酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定装置63を有することが好ましいが、これら装置を有しなくてもよい。
【0052】
測定部60の被酸化物量測定装置61は、例えば、第1反応部10又は第2反応部20へ供給される前の排水Xの被酸化物の量を測定するように配置されている。
被酸化物量測定装置61としては、例えば、全有機態炭素(TOC)測定装置、化学的酸素要求量(COD)測定装置、アンモニア性窒素濃度測定装置、紫外線吸光光度装置などが採用され得る。
【0053】
例えば、全有機態炭素(TOC)測定装置によって測定した排水中のTOC値を基にして、この排水中に含まれる被酸化物をすべて酸化分解するためのオゾンガス量(オゾンガス理論必要量)を推定して決定できる。具体的には、あらかじめ測定しておいた排水中のTOC値(各種の濃度)と排水供給量との積と、排水中の有機物(有機態炭素)を酸化分解させるために必要な酸化性気体Zの量と、の相関関係を求めておき、斯かる相関関係を基にしてTOC値と排水供給量との積、から上記オゾンガス理論必要量を推定できる。全有機態炭素(TOC)測定装置の測定原理は、排水中の被酸化物の濃度とTOC値との間で相関関係を示すことができれば、特に限定されない。
そして、上記実施形態の排水処理設備1において、上記オゾンガス理論必要量に相当する量の酸化性気体Zを、第1被処理液中に送り込むことができる。これにより、過剰量の酸化性気体を供給する必要がなくなり、酸化性気体の供給量(使用量)を抑えることができる。よって、オゾンガスの供給量(使用量)を抑えることができる。また、オゾンガスの(酸化性気体)の供給量不足も回避できる。
【0054】
測定部60のオゾンガス測定装置62は、例えば、排水Xが供給された第1被処理液中に酸化性気体Zを送り込みつつ、第1被処理液Aから放出されるオゾンガス濃度を測定することができる。このような測定は、例えば、上記実施形態の排水処理設備1を本格的に運転する前に、事前に行うことができる。これにより、排水中に含まれる被酸化物をすべて酸化分解するためのオゾンガス量を推定して決定できる。
【0055】
詳しくは、オゾンガス測定装置62を利用しつつ、例えば以下のようにして排水中に含まれる被酸化物をすべて酸化分解するためのオゾンガス必要量(酸化性気体の必要量)を推定でき、また、上記実施形態の排水処理設備1を稼働できる。
例えば、特定の排水Xを第1被処理液Aに供給し、オゾンガス量が所定量となるように第1被処理液中に酸化性気体Zを送り込みつつ、オゾンガス測定装置62によってオゾンガス濃度を測定する。第1被処理液Aからオゾンガスが放出される場合、送り込む酸化性気体Zの量を減らし、一方、第1被処理液Aからオゾンガスが放出されない場合、送り込む酸化性気体Zの量を増やす。そして、第1被処理液Aからオゾンガスが放出されない場合における酸化性気体Zの送り込み最大量を求める。これにより、上記の特定の排水Xに含まれる被酸化物をすべて酸化分解させるために必要な、上記の所定の排水Xに対するオゾンガス必要量を推定できる。
なお、被酸化物量測定装置61(例えば全有機態炭素(TOC)測定装置)と、オゾンガス測定装置62とを併用して、以下のようにしても上記実施形態の排水処理設備1を稼働できる。具体的には、浄化される排水XのTOC値を測定したうえで、上記のごとくTOC値と排水供給量との積から推定した上記オゾンガス理論必要量を算出する。そして、算出したオゾンガス理論必要量に相当する量の酸化性気体Zを第1被処理液Aに送り込む。送り込む酸化性気体Zの量を増やしていき、オゾンガス測定装置62によってオゾンガスが測定(検出)される場合、送り込む酸化性気体Zの量を減らし、一方、第1被処理液Aから放出されるオゾンガスが測定されない(検出されない)場合、送り込む酸化性気体Zの量を増やす。
【0056】
測定部60の酸化還元電位測定装置63は、例えば、排水Xが供給された第1被処理液中に酸化性気体Zを送り込みつつ、第1被処理液Aの酸化還元電位を測定することができる。第1被処理液Aにおけるオゾンガス濃度が高くなると、酸化還元電位の測定値も高くなる。このような測定は、例えば、上記実施形態の排水処理設備1を本格的に運転する前に、事前に行うことができる。これにより、上記と同様に、排水中に含まれる被酸化物をすべて酸化分解するためのオゾンガス必要量(酸化性気体の必要量)を推定できる。
【0057】
例えば、オゾンガス測定装置62と酸化還元電位測定装置63とを併用して、以下のようにしてオゾンガス必要量(酸化性気体の必要量)を推定でき、また、上記実施形態の排水処理設備1を稼働できる。
具体的には、特定の排水Xを第1被処理液Aに供給し、オゾンガスが比較的少量となるように第1被処理液中に酸化性気体Zを送り込みつつ、酸化還元電位測定装置63によって第1被処理液Aの酸化還元電位を測定する。第1被処理液中に送り込む酸化性気体Zの量を徐々に増加させ、オゾンガス測定装置62によってオゾンガスが検出されたときの酸化性気体Zの量を酸化性気体の必要量(オゾンガス必要量)と推定できる。また、このときの酸化還元電位を基準値とする。そして、排水処理設備1を稼働中には、第1被処理液Aの酸化還元電位が基準値よりも高くなった場合、送り込む酸化性気体Zの量を減らし、一方、の酸化還元電位が基準値よりも低くなった場合、送り込む酸化性気体Zの量を増やす。
また、被酸化物量測定装置61(例えば全有機態炭素(TOC)測定装置)と、酸化還元電位測定装置63とを併用して、例えば以下のように上記実施形態の排水処理設備1を稼働できる。浄化される排水Xのオゾンガス理論必要量を被酸化物量測定装置61によって推定したうえで、オゾンガス理論必要量に相当する量の酸化性気体Zを第1被処理液Aに送り込む。第1被処理液中に酸化性気体Zを送り込みつつ、酸化還元電位測定装置63によって第1被処理液Aの酸化還元電位を測定する。第1被処理液Aの酸化還元電位が設定値以上となった場合、送り込む酸化性気体Zの量を減らし、一方、第1被処理液Aの酸化還元電位が設定値未満である場合、送り込む酸化性気体Zの量を維持するか又は増やすことができる。
【0058】
上記実施形態の排水処理設備1は、第1反応部10の第1被処理液Aだけでなく、第2反応部20の第2被処理液Bに対しても、測定部60の各装置を上記と同様に用いることによって、使用する酸化性気体Zの量を調整できる構成を有する。
【0059】
一般的に、被酸化物の含有量が既知である排水X中の被酸化物をすべて酸化分解させるためには、必要とされるオゾンガスの理論量よりも多いオゾンガスを要する。この原因は、オゾンガスのすべてが被酸化物と反応するとは限らないためである。例えば、被処理液に含まれる被酸化物のすべてを酸化分解させようとすると、理論上必要とされるオゾンガス量の2倍程度のオゾンガスを第1被処理液Aに送り込むこととなる。そのため、被酸化物のすべてを一度にすべて酸化分解させようとした場合、被処理液に送り込む酸化性液体は、理論上必要とされる量よりも多い過剰量となる。その結果、酸化反応によって分解されなかったオゾンガスが、被処理液から放出されることとなる。
これに対して、上記実施形態の排水処理設備1では、例えば以下のような運転によって、オゾンガスの供給量(使用量)と排出量とを抑えつつ排水Xを浄化できる。
例えば、浄化すべき排水Xを第1反応部10と第2反応部20とへ均等に供給する。第1反応部10の第1被処理液Aからオゾンガスが排出されないように、第1被処理液Aに被酸化物を残存させる量の酸化性気体Zを送り込む。酸化処理を受けた第1被処理液Aは、依然として被酸化物を含んでいる。酸化処理を受けた第1被処理液Aは、第2反応部20へ移送され、第2反応部20に供給された排水Xと混合される。第2反応部20の第2被処理液Bでは、第1被処理液Aに含まれていた被酸化物、及び、供給された排水Xに含まれていた被酸化物の両方を酸化分解することとなる。ここで、仮に、被酸化物の全てを酸化分解させるべく、オゾンガスを過剰に送り込んだ場合であっても、第1反応部10によって被酸化物がすでに減少している分、過剰に送り込むオゾンガスの絶対量も少なくなる。オゾンガスの絶対量が減った分、オゾンガスの供給量(使用量)を抑えることができ、また、オゾンガスの排出量を抑えることができる。
一方、仮に、排水Xに含まれる被酸化物を1つの槽内で一度に酸化分解させようとした場合、被処理液に過剰に送り込むオゾンガスの絶対量がより多くなるため、絶対量が多い分、オゾンガスの供給量(使用量)が多くなり、また、被処理液から放出されるオゾンガスの排出量が多くなってしまう。
【0060】
さらに、上記実施形態の排水処理設備1は、第2反応部20の下流側に終段反応部30を備える。終段反応部30に排水Xが供給されない場合、終段反応部30において、終段被処理液中の被酸化物をすべて酸化分解させるべく過剰量の酸化性気体Z(オゾンガス)を送り込んだとしても、オゾンガスの供給量(使用量)及び排出量を抑えることができる。また、排水Xをより浄化することができる。
具体的には、浄化すべき排水Xを第1反応部10と第2反応部20とへ例えば均等に供給する。第1反応部10の第1被処理液A、及び、第2反応部20の第2被処理液Bの両方からオゾンガスが排出されないように、被酸化物を残存させる量の酸化性気体Zをそれぞれの被処理液に送り込む。酸化処理を受けた第2被処理液Bは、依然として被酸化物を含んでいるが、移送された終段反応部30においてさらに酸化処理を受ける。終段反応部30では、すでに酸化処理を受けた第2被処理液Bに含まれていた被酸化物のみを酸化分解することとなる。仮に、被酸化物の全てを酸化分解させるべく、終段被処理液Cに過剰のオゾンガスを送り込んだ場合であっても、第1反応部10及び第2反応部20によって被酸化物がすでに減少している分、過剰に送り込むオゾンガスの絶対量も少なくなる。オゾンガスの絶対量が減った分、オゾンガスの供給量(使用量)及び排出量を抑えることができる。しかも、過剰量のオゾンガスを終段被処理液Cに送り込むことによって、被酸化物のほとんどが酸化分解され得る。よって、浄化度の高い浄化水Yを得ることができる。
なお、第1反応部10及び第2反応部20へそれぞれ供給する浄化すべき排水Xの量は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0061】
次に、他実施形態の排水処理設備1’について、図2を参照しつつ説明する。なお、特に言及しない限り、他実施形態の排水処理設備1’は、上述した実施形態の排水処理設備1と同様の構成を有する。
【0062】
他実施形態の排水処理設備1’は、図2に示すように、終段反応部30を備えていない点で上記実施形態の排水処理設備1と異なる。
他実施形態の排水処理設備1’において、第1反応部10及び第2反応部20などの詳細な構成は、特に言及しない限り、それぞれ前述の図1に示す排水処理設備1の第1反応部10及び第2反応部20などと同様である。
【0063】
他実施形態の排水処理設備1’では、例えば、第2反応部20において、第2被処理液中の被酸化物をすべて酸化分解させるべく過剰量の酸化性気体Z(オゾンガス)を送り込んだとしても、オゾンガスの供給量(使用量)及び排出量を抑えることができる。第1反応部10によって被酸化物がすでに減少している分、過剰に送り込むオゾンガスの絶対量も少なくなり、オゾンガスの絶対量が減った分、オゾンガスの供給量(使用量)及び排出量を抑えることができる。しかも、過剰量のオゾンガスを第2被処理液Bに送り込むことによって、被酸化物のほとんどが酸化分解され得る。よって、浄化度の高い浄化水Yを得ることができる。
【0064】
続いて、別実施形態の排水処理設備1”について、図3を参照しつつ説明する。なお、特に言及しない限り、別実施形態の排水処理設備1”は、上述した実施形態の排水処理設備1と同様の構成を有する。
【0065】
別実施形態の排水処理設備1”は、図3に示すように、第1反応部10の第1反応槽11、第2反応部20の第2反応槽21、及び、終段反応部30の終段反応槽31が一体化されている構成を有する。
別実施形態の排水処理設備1”は、上記の各反応槽が一体化されている点以外は、前述の図1に示す排水処理設備1と同様に構成されている。
【0066】
別実施形態の排水処理設備1”によれば、各層が一体化されている分、設備の設置面積を小さくすることができる。
【0067】
さらに、本発明の排水処理方法の実施形態について説明する。本実施形態の排水処理方法は、例えば上述した排水処理設備1、1’、1”のいずれかを用いて、上述したような方法によって実施できる。
【0068】
本実施形態の排水処理方法は、被酸化物を含む排水が供給された第1被処理液に、オゾンガスを含む酸化性気体を送り込むことによって前記第1被処理液に酸化処理を施す第1反応工程と、
前記第1反応工程を経た前記第1被処理液の少なくとも一部が流入した第2被処理液に、前記酸化性気体を送り込むことによって前記第2被処理液に酸化処理を施す第2反応工程と、を備え、
前記排水を前記第2被処理液へ供給し、
前記第2被処理液への前記排水の供給高さが、前記第1被処理液の流入高さよりも上方である。
【0069】
換言すると、本実施形態の排水処理方法は、
第1被処理液Aに、オゾンガスを含む酸化性気体Zを送り込むことによって、前記第1被処理液Aに酸化処理を施す第1反応工程と、
前記第1反応工程を経た前記第1被処理液Aの少なくとも一部を含む第2被処理液Bに、前記酸化性気体Zを送り込むことによって、前記第2被処理液Bに酸化処理を施す第2反応工程と、を備える。
本実施形態の排水処理方法では、被酸化物を含む排水Xを前記第1被処理液A及び第2被処理液Bへそれぞれ供給し、
前記第1反応工程の酸化処理を経た前記第1被処理液Aを、前記第2被処理液Bへの前記排水Xの供給高さよりも下方で前記第2被処理液Bに流入させる。
【0070】
また、本実施形態の排水処理方法は、前記第1被処理液A又は前記第2被処理液Bに含まれる前記被酸化物を酸化分解させるために必要な前記酸化性気体Zの量を決定する必要量決定工程をさらに備えることが好ましい。
【0071】
また、本実施形態の排水処理方法では、第2反応工程の酸化処理を経た第2被処理液Bの下流側に配置された終段被処理液Cに、酸化性気体Zを送り込むことによって、終段被処理液Cに酸化処理を施す終段反応工程をさらに備え、
第1被処理液Aへ送り込む酸化性気体量に対する、第1被処理液Aに供給された排水中の被酸化物量の比を(A)とし、
第2被処理液Bへ送り込む酸化性気体量に対する、第2被処理液Bに供給された排水中の被酸化物量の比を(B)とし、
終段反応工程において、終段被処理液Cへ送り込む酸化性気体量に対する、終段被処理液Cに供給する排水中の被酸化物量の比を(C)としたときに、
前記(C)が前記(A)及び前記(B)のいずれよりも小さいことが好ましい。
【0072】
必要量決定工程では、第1被処理液A又は第2被処理液Bに含まれる被酸化物のすべてを酸化分解させるために必要な酸化性気体Zの量(以下、オゾンガス理論必要量ともいう)を決定すべく、被酸化物量測定装置61によって、第1反応工程又は第2反応工程のために供給される(必要であれば終段反応工程のために供給される)各排水Xの被酸化物の量を測定する。又は、上記のオゾンガス測定装置62によって第1被処理液A又は第2被処理液B(必要であれば終段被処理液C)から放出される酸化性気体Zのオゾンガス濃度を測定する。又は、第1被処理液A若しくは第2被処理液B中(必要であれば終段被処理液C中)の酸化還元電位をそれぞれ測定する。
なお、必要量決定工程を事前に実施することによって、被酸化物を酸化分解させるために必要なオゾンガス量を予め知っておくことが好ましい。これにより、過剰量のオゾンガスを削減でき、オゾンガスの供給量(使用量)を抑えることができる。
【0073】
必要量決定工程によって、第1被処理液A又は第2被処理液B(必要であれば終段被処理液C)にそれぞれ含まれる被酸化物をすべて酸化分解するために必要な酸化性気体Zの量を推定できる。よって、例えば第1反応工程において被酸化物が残存するように第1被処理液Aへ酸化性気体Zを供給したうえで、第2反応工程において被酸化物がすべて酸化分解されるように第2被処理液Bへ過剰量の酸化性気体Zを供給できる。これにより、第2被処理液Bへ送り込む過剰量の酸化性気体Zの使用量を抑えることができる。よって、第2被処理液Bから放出されるオゾンガスの絶対量を少なくすることができる。従って、オゾンガスの供給量(使用量)を抑えることができ、また、オゾンガスの排出量をより抑えることができる。
【0074】
第1反応工程では、例えば、第1被処理液Aの上部(第1反応槽11の上部)に排水Xを供給する。また、排水Xを含む第1被処理液Aの下部(第1反応槽11の底部)から気泡状の酸化性気体Zを送り込み、排水Xに含まれていた被酸化物を酸化性気体Zのオゾンガスによって酸化分解させる。換言すると、酸化性気体Zによって第1被処理液Aに酸化処理を施す。
第1被処理液Aに送り込んだ気泡状の酸化性気体Zは、第1被処理液中を上昇しつつ被酸化物(有機物など)と接触する。これにより、有機物等が酸化分解され、より低分子量の有機物等へ分解される。
【0075】
第1反応工程において酸化処理を経た第1被処理液Aの少なくとも一部は、取り出されて第2反応工程の第2被処理液Bに流入する。第1被処理液Aを取り出す高さは、排水Xの供給高さよりも下方であり、且つ、酸化性気体Zの散気開始高さよりも上方であることが好ましい。
【0076】
第1反応工程において、第1被処理液Aに含まれる被酸化物をオゾンガスによってすべて酸化分解しなくてもよい。換言すると、第1被処理液Aに含まれる被酸化物をすべて酸化分解するためのオゾンガス理論必要量よりも少ないオゾンガスを第1被処理液Aに送り込んでもよい。さらに換言すると、第1被処理液Aに被酸化物が残存するように、酸化性気体Zを第1被処理液Aに送り込んでもよい。
これにより、第1反応工程においては、第1被処理液Aからのオゾンガスの放出を抑えることができる。
【0077】
第1反応工程でのオゾンガスの使用量を抑制すべく、必要量決定工程で決定したオゾンガス理論必要量を基にして、第1被処理液Aに送り込むオゾンガス量(酸化性気体Zの量)を算出できる。本実施形態の排水処理方法を連続式又は半連続式で実施する場合、第1被処理液Aへの単位時間あたりの排水Xの供給量(流入量)をTOC値に換算した値α[kg-TOC/h]を求める。このとき、例えば、TOC値換算での排水1kgあたりのオゾンガス理論必要量が2kgであった[kg-O/kg-TOC]とすれば、第1被処理液Aに送り込むオゾンガス量は、全ての全有機態炭素(TOC)を過不足なくオゾンガスと反応させると仮定した場合、単位時間あたり、α[kg-TOC/h]×2[kg-オゾンガス/kg-TOC]という算出式によって算出される。この算出値を下回るオゾンガス量となるように酸化性気体Zを送り込むことによって、オゾンガスが酸化分解に使われずに大気中に放出されることを防止できる。
【0078】
第2反応工程は、特に言及がない限り、第1反応工程と同様にして実施できる。第2反応工程は、第1反応工程の酸化処理を経た第1被処理液Aが第2被処理液Bに流入する等の点で、第1反応工程と異なる。
【0079】
第2反応工程では、例えば、第2被処理液Bの上部(第2反応槽21の上部)に排水Xを供給する。また、第2被処理液Bの下部(第2反応槽21の下部)に第1被処理液Aを流入させる。また、排水Xを含む第2被処理液Bの下部(第2反応槽21の底部)から気泡状の酸化性気体Zを送り込み、排水Xに含まれていた被酸化物を酸化性気体Zのオゾンガスによって酸化分解させる。換言すると、酸化性気体Zによって第2被処理液Bに酸化処理を施す。
第2反応工程では、排水Xの供給高さよりも下方で第1被処理液Aを流入させ、第1被処理液Aの流入高さよりも下方から酸化性気体Zを送り込む。第2被処理液Bに送り込んだ気泡状の酸化性気体Zは、第2被処理液中を上昇しつつ被酸化物と接触する。これにより、被酸化物が酸化分解され、より低分子量の被酸化物等へ変換される。
【0080】
第2反応工程では、第1被処理液Aの流入高さよりも下方から酸化性気体Zが浮上し、斯かる流入高さよりも上方に排水Xが供給されるため、浮上したオゾンガスが排水中の被酸化物を酸化分解し、オゾンガスが消費される。消費された分、オゾンガスの排出量を抑えることができる。
従って、上記の排水処理方法によれば、オゾンガスの排出量を抑えつつ排水Xを浄化できる。
【0081】
第2反応工程において酸化処理を経た第2被処理液Bの少なくとも一部は、取り出されて、例えば終段反応工程の終段被処理液Cに流入する。第2被処理液Bを取り出す高さは、排水Xの供給高さよりも下方であり、且つ、酸化性気体Zの送り込み高さ(散気が始まる高さ)よりも上方であることが好ましい。
なお、第2反応工程は、複数回実施してもよい。
【0082】
第2反応工程において、第2被処理液Bに含まれる被酸化物をオゾンガスによってすべて酸化分解しなくてもよい。換言すると、第2被処理液Bに被酸化物が残存するように、酸化性気体Zを第2被処理液Bに送り込んでもよい。
これにより、第2反応工程においては、第2被処理液Bからのオゾンガスの放出を抑えることができる。
【0083】
終段反応工程は、特に言及がない限り、第2反応工程と同様にして実施できる。第2反応工程は、排水Xが供給されない等の点で、第2反応工程と異なる。
【0084】
終段反応工程では、例えば、終段被処理液Cの下部(終段反応槽31の下部)に第2被処理液Bを流入させる。また、被酸化物を含み得る終段被処理液Cの下部(終段反応槽31の底部)から気泡状の酸化性気体Zを送り込み、酸化性気体Zのオゾンガスによって被酸化物を酸化分解させる。換言すると、酸化性気体Zによって終段被処理液Cに酸化処理を施す。
終段反応工程では、第2被処理液Bの流入高さよりも下方から酸化性気体Zを送り込む。終段被処理液Cに送り込んだ気泡状の酸化性気体Zは、終段被処理液中を上昇しつつ被酸化物と接触する。これにより、有機物等の被酸化物が酸化分解され、より低分子量の有機物等へ変換される。
【0085】
本実施形態において、終段反応工程では、終段被処理液Cに排水Xを供給しなくてもよく、一方、終段反応工程において、終段被処理液Cに排水Xを供給してもよい。終段反応工程では、終段被処理液Cに供給する排水中の被酸化物量が、第1被処理液Aに供給された排水中の被酸化物量、又は、第2被処理液Bに供給された排水中の被酸化物量のいずれよりも少なくてもよい。好ましくは、終段被処理液Cに供給する排水Xの量は、第1被処理液Aへの排水Xの供給量及び第2被処理液Bへの排水Xの供給量のいずれよりも少ない。
【0086】
終段反応工程では、終段被処理液Cに供給される排水Xの量が上記のごとく少ない(排水が供給されない)ため、排水Xの量が少ない分、終段被処理液Cに含まれる被酸化物の量を減らすことができる。従って、酸化処理を受けた終段被処理液Cの浄化度を上げることができる。
【0087】
終段反応工程において、終段被処理液Cに含まれる被酸化物をオゾンガスによってすべて酸化分解することが好ましい。換言すると、終段被処理液Cに含まれる被酸化物をすべて酸化分解するためのオゾンガス理論必要量よりも多いオゾンガスを終段被処理液Cに送り込むことが好ましい。さらに換言すると、終段被処理液Cに被酸化物が残存しないように、酸化性気体Zを終段被処理液Cに送り込むことが好ましい。
これにより、終段反応工程においては、終段被処理液Cに含まれる被酸化物のほとんどを酸化分解させることができる。
【0088】
好ましくは、本実施形態の排水処理方法は、第1反応工程において第1被処理液Aに被酸化物が残存するように酸化性気体Zを送り込み、且つ、第2反応工程において第2被処理液Bに被酸化物が残存するように酸化性気体Zを送り込んだうえで、終段反応工程において終段被処理液中の被酸化物がすべて酸化分解されるように実施する。斯かる方法は、例えば以下のようにして実施できる。
【0089】
第1反応工程及び第2反応工程では、例えば、オゾンガス理論必要量に対して0.6倍以上0.9倍以下の量のオゾンガスを含む酸化性気体Zを各被処理液に送り込む。
一方、終段反応工程では、例えば、終段被処理液中のすべての被酸化物を酸化分解させるべく、オゾンガス理論必要量に対して1.1倍以上3.0倍以下の量のオゾンガスを含む酸化性気体Zを各被処理液に送り込む。
斯かる方法を実施した場合、オゾンガスの排出量をより抑えることができる。その理由を以下に説明する。
特定の排水Xが有機物を2部含むと仮定し、この特定の排水Xを浄化処理する。有機物が1部ずつ分配されるように第1反応工程及び第2反応工程にそれぞれ等量の排水Xを供給する。排水Xが供給された第1被処理液Aに、オゾンガス理論必要量の0.8倍量となる酸化性気体Zを送り込む(使用量)。これにより、第1被処理液Aが酸化処理され、第1被処理液Aの有機物量が0.2部となる。
この第1被処理液Aを第2反応工程の第2被処理液Bに流入させる。また、第2被処理液Bには、1部の有機物を含む排水Xを供給する。よって、第2反応工程では、1.2部の有機物を含む第2被処理液Bに酸化処理を施すこととなる。このとき、第2被処理液Bに、1部の有機物を酸化分解するだけの酸化性気体Zを送り込む(使用量)。すると、第2被処理液Bが酸化処理され、第2被処理液Bにおいて残存する有機物量が0.2部となる。
このように酸化処理を受けた第2被処理液Bを終段反応工程の終段被処理液Cに流入させる。終段反応工程では、終段被処理液中の有機物のすべてを酸化分解させるべく、オゾンガス理論必要量よりも多い(過剰の)酸化性気体Zを終段被処理液Cに送り込む。終段被処理液Cに排水Xが供給されない場合、終段被処理液Cにおける有機物量は0.2部である。この終段被処理液Cに対して、例えば、オゾンガス理論必要量の2倍量となる0.4部の有機物を酸化分解させる量の酸化性気体Zを送り込む(使用量)。その結果、終段被処理液Cから放出されるオゾンガスは、換算値で0.2となる。また、オゾンガスの総使用量は、換算値で2.2となる。
一方で、有機物を2部含む特定の排水Xに対して一度の反応工程で酸化処理を施す場合、すべての有機物を酸化分解させるべく終段反応工程と同様に、オゾンガス理論必要量に対し2倍量に設定した酸化性気体Zを送り込むとする。そうすると、放出されるオゾンガスは、換算値で2となる。また、オゾンガスの総使用量は、換算値で4となる。
このように、本実施形態の排水処理方法の好ましい例によれば、オゾンガスの供給量(使用量)を抑えることができる。また、オゾンガスの排出量をより十分に抑えることができる。
【0090】
なお、本実施形態の排水処理方法が終段反応工程を備えない場合、第1反応工程において、オゾンガス理論必要量に対して0.6倍以上0.9倍以下の量のオゾンガスを含む酸化性気体Zを各被処理液に送り込み、第2反応工程において、オゾンガス理論必要量に対して1.1倍以上3.0倍以下の量のオゾンガスを含む酸化性気体Zを各被処理液に送り込んでもよい。
【0091】
本実施形態の排水処理方法では、オゾンガスの使用量を抑えるべく、上述した測定部60の少なくともいずれかの装置によってオゾンガス理論必要量を推定したうえで、例えば以下のように少なくとも第1反応工程を実施し、必要に応じて第2反応工程をさらに実施することが好ましい。
例えば、第1被処理液A(必要に応じて第2被処理液B)に排水Xを供給し、オゾンガス量がオゾンガス理論必要量となるように第1被処理液中(及び第2被処理液中)に酸化性気体Zを送り込みつつ、オゾンガス測定装置62によってオゾンガス濃度を測定する。第1被処理液A(及び第2被処理液B)からオゾンガスが放出(検出)される場合、送り込む酸化性気体Zの量を減らし、一方、第1被処理液Aからオゾンガスが放出(検出)されない場合、送り込む酸化性気体Zの量を増やす。
また、例えば、第1被処理液A(必要に応じて第2被処理液B)に排水Xを供給し、オゾンガス量がオゾンガス理論必要量となるように第1被処理液中(及び第2被処理液中)に酸化性気体Zを送り込みつつ、酸化還元電位(ORP)測定装置63によって第1被処理液中(及び第2被処理液中)の酸化還元電位を測定する。第1被処理液A(及び第2被処理液B)の酸化還元電位が設定値以上となった場合、送り込む酸化性気体Zの量を減らし、一方、第1被処理液A(及び第2被処理液B)の酸化還元電位が設定値未満となった場合、送り込む酸化性気体Zの量を増やす。
【0092】
本実施形態の排水処理方法において、例えば酸化処理を受けた終段被処理液Cには、上記の有機物が酸化分解されることによって生じたより低分子量の有機物が残存し得る。低分子量の有機物が残存した浄化水Yは、さらに浄化処理を受けてもよい。
【0093】
なお、上述した実施形態の排水処理設備、排水処理方法において、第1反応工程と第2反応工程とにそれぞれ供給する排水の量比は、特に限定されない。換言すると、第1反応部10と第2反応部20とにそれぞれ供給する排水の量比は、特に限定されない。
【0094】
また、上述した実施形態の排水処理設備、排水処理方法において、第1反応槽11や第2反応槽21などの各槽の大きさは特に限定されない。各槽の大きさは、互いにほぼ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0095】
上述した実施形態の排水処理設備、排水処理方法などは、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の排水処理設備や排水処理方法などに限定されるものではない。
また、一般の排水処理設備、排水処理方法などにおいて用いられる種々の態様を、本発明の効果を損ねない範囲において、採用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1、 1’、 1”:排水処理設備、
10:第1反応部、 11:第1反応槽、
20:第2反応部、 21:第2反応槽、
30:終段反応部、 31:終段反応槽、
40:送気部、 41:送気経路、 42:散気管、
50:排水供給部、 51:第1排水供給経路、 52:第2排水供給経路、
60:測定部、
61:被酸化物量測定装置、
62:オゾンガス測定装置、 63:酸化還元電位測定装置、
71:第1移送経路、 72:第2移送経路、
X:排水、 Y:浄化水、 Z:酸化性気体(オゾンガス)、
A:第1被処理液、 B:第2被処理液、 C:終段被処理液。
図1
図2
図3