(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022161604
(43)【公開日】2022-10-21
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出削減推進方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20221014BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021066543
(22)【出願日】2021-04-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩見 昌志
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 健司
(72)【発明者】
【氏名】草場 毅
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】上野 睦月
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】 家庭向け省エネルギー機器の使用による二酸化炭素の排出削減が促進されるような、二酸化炭素排出削減推進方法を提供すること。
【解決手段】 サーバは、省エネルギー機器を有する複数のユーザのそれぞれから、二酸化炭素クレジットの売却益の希望使途を入力し、複数のユーザのそれぞれを、入力された希望使途によりグループ分けすることにより、希望使途が同じであるユーザにより構成される複数の使途別グループを構築する。また、サーバは、それぞれの使途別グループの構成ユーザがそれぞれ有する省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量の大きさを表す二酸化炭素排出削減指標を使途別グループごとに合算して、二酸化炭素排出削減指標の合算値を使途別グループごとに算出する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて、二酸化炭素の排出削減を推進する二酸化炭素排出削減推進方法であって、前記コンピュータは、
二酸化炭素の排出削減に貢献し得る省エネルギー機器を有する複数のユーザのそれぞれから、二酸化炭素クレジットの売却益の希望使途を入力する希望使途入力ステップと、
複数のユーザのそれぞれを、前記希望使途入力ステップにて入力された希望使途によりグループ分けすることにより、希望使途が同じであるユーザにより構成される複数の使途別グループを構築する使途別グループ構築ステップと、
それぞれの前記使途別グループの構成ユーザがそれぞれ有する省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量の大きさを表す二酸化炭素排出削減指標を前記使途別グループごとに合算して、前記二酸化炭素排出削減指標の合算値を前記使途別グループごとに算出する算出ステップと、
を実行可能に構成される、二酸化炭素排出削減推進方法。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素排出削減推進方法であって、
前記コンピュータは、
前記算出ステップにて前記使途別グループごとに算出した前記二酸化炭素排出削減指標の合算値を表示する表示ステップを実行可能に構成される、二酸化炭素排出削減推進方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の二酸化炭素排出削減推進方法であって、
前記コンピュータは、それぞれの前記ユーザが有する省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量を記憶する記憶ステップを実行可能に構成される、二酸化炭素排出削減推進方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二酸化炭素排出削減推進方法であって、
前記コンピュータは、前記ユーザに、そのユーザが有する省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量が大きいほど大きくなるように決定されるポイントを付与するポイント付与ステップを実行可能に構成され、
前記算出ステップでは、前記コンピュータは、前記ポイント付与ステップにて付与される前記ポイントを前記二酸化炭素排出削減指標として、前記二酸化炭素排出削減指標の合算値を前記使途別グループごとに算出する、二酸化炭素排出削減推進方法。
【請求項5】
請求項4に記載の二酸化炭素排出削減推進方法であって、
前記省エネルギー機器は燃料電池コージェネレーション装置であり、
前記コンピュータは、前記ポイント付与ステップにて、ユーザの居住する住宅での電力使用量に対する前記燃料電池コージェネレーション装置の発電量の割合である発電比率が所定の比率よりも大きい場合に決定されるポイントが、前記発電比率が前記所定の比率以下の場合に決定されるポイントよりも大きくなるように、前記発電比率に応じてポイントを決定する、二酸化炭素排出削減推進方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二酸化炭素排出削減推進方法であって、
前記コンピュータは、各ユーザを、生活環境によりグループ分けすることにより、生活環境が類似するユーザにより構成される複数の生活環境別グループを構築する生活環境別グループ構築ステップを実行可能に構成される二酸化炭素排出削減推進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭向け省エネルギー機器の使用により二酸化炭素排出量の削減を推進するための二酸化炭素排出削減推進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量の削減に向けた取り組みが行われている。例えば日本国では、J-クレジット制度を活用して、温室効果ガスの排出量の削減に寄与する取り組みがなされている。J-クレジット制度とは、省エネルギー機器の導入や森林経営等の取り組みによる、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット(排出権)」として国が認証する制度である。この制度は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット制度が発展的に統合した制度で、認証されたクレジットは、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボン・オフセット等、様々な用途に活用できる。
【0003】
家庭向け省エネルギー機器の使用によっても二酸化炭素の排出量が削減されるので、その削減量に対してJ-クレジット制度に基づいて手続きを行うことにより、二酸化炭素クレジットの認証を受けることができる。しかしながら、この場合、クレジットの認証を受けるための手続きが煩雑であるわりには、認証されるクレジットの規模が小さい。従って、各家庭が個々に手続きを行うことはしていない。
【0004】
このような、二酸化炭素クレジットの規模が小さい家庭向け省エネルギー機器の使用により削減される二酸化炭素に対しても、有効に二酸化炭素クレジットの認証を受けることができるように、グリーン・リンケージ倶楽部が創設されている。このグリーン・リンケージ倶楽部では、各家庭(個人)が所有する省エネルギー機器の使用により削減された二酸化炭素排出量、すなわち省エネルギー機器の使用により創出された二酸化炭素排出削減量を取りまとめて一括して手続きを行う。したがって二酸化炭素クレジットの規模が大きくなり、カーボン・オフセット等に有効に活用され得る。
【0005】
また、特許文献1には、複数の一般家庭や小規模事業者の燃料電池による発電量をそれぞれ計測し、計測した燃料電池の発電量を合算して二酸化炭素排出削減量を算出し、算出した二酸化炭素排出削減量に基づいて二酸化炭素クレジットの認可を受けるように構成されたシステムが開示されている。これによれば、二酸化炭素クレジットの売却益を、一般家庭や小規模事業者に還元することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
(発明が解決しようとする課題)
グリーン・リンケージ倶楽部に登録して二酸化炭素の排出削減に貢献しても、二酸化炭素クレジットの売却益は国庫に納付されるため、売却益は家庭向け省エネルギー機器を有するユーザ(以下、単にユーザと言う)自身に還元されない。また、特許文献1に示す方法により二酸化炭素クレジットの売却益がユーザに還元されたとしても、ユーザ一人一人への還元額が少額なために、ユーザはメリットをさほど感じない。このため、より積極的に二酸化炭素の排出を削減しようといったモチベーションを高めることが難しく、その結果、二酸化炭素の排出削減が十分に促進されない。
【0008】
本発明は、家庭向け省エネルギー機器の使用による二酸化炭素の排出削減が促進されるような、二酸化炭素排出削減推進方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、コンピュータを用いて、二酸化炭素の排出削減を推進する二酸化炭素排出削減推進方法であって、コンピュータは、二酸化炭素の排出削減に貢献し得る省エネルギー機器を有する複数のユーザのそれぞれから、二酸化炭素クレジットの売却益の希望使途を入力する希望使途入力ステップと、複数のユーザのそれぞれを、希望使途入力ステップにて入力された希望使途によりグループ分けすることにより、希望使途が同じであるユーザにより構成される複数の使途別グループを構築する使途別グループ構築ステップと、それぞれの使途別グループの構成ユーザがそれぞれ有する省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量の大きさを表す二酸化炭素排出削減指標を使途別グループごとに合算して、二酸化炭素排出削減指標の合算値を使途別グループごとに算出する算出ステップと、を実行可能に構成される、二酸化炭素排出削減推進方法を提供する。
【0010】
本発明によれば、二酸化炭素排出削減指標の合算値が使途別グループごとに算出されるため、各使途別グループ間での二酸化炭素の排出削減に対する競争意識が高まり、各使途別グループの構成ユーザが一丸となって二酸化炭素の排出の削減を心がけるようになる。その結果、ユーザが有する家庭向け省エネルギー機器の使用による二酸化炭素の排出削減が、全体的に促進される。また、二酸化炭素排出削減指標の合算値が大きい使途別グループの構成ユーザの希望使途に、或いは、二酸化炭素排出削減指標の合算値が目標値に達した使途別グループの構成ユーザの希望使途に、二酸化炭素クレジットの売却益を活用する取り決めを事前に行っておくことにより、より一層、グループ間での競争意識が高まり、さらに家庭向け省エネルギー機器の使用による二酸化炭素の排出削減を促進することができる。
【0011】
上記発明において、各ユーザが有する省エネルギー機器は、家庭向けの省エネルギー機器、すなわち一般家庭に設置することができる程度の大きさの省エネルギー機器である。このような省エネルギー機器として、燃料電池コージェネレーション装置、太陽光発電装置、或いは、省エネルギー製品として推奨されている電気製品(例えば、LED証明等)を例示することができる。
【0012】
また、上記発明において、「希望使途」とは、ユーザが希望する二酸化炭素クレジットの売却益の使い道を意味する。この希望使途は、ユーザ自身の提案による使途でも良いし、予め設定されている複数の使途からユーザが選択した使途であっても良い。また、「二酸化炭素排出削減指標」とは、省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量の大きさを表す値であり、二酸化炭素排出削減量そのものであっても良い。また、二酸化炭素排出削減指標は、例えば省エネルギー機器が燃料電池コージェネレーション装置である場合には、その燃料電池コージェネレーション装置の発電量或いはエネルギー創出量(発電量+発熱量)であってもよい。さらに、二酸化炭素排出削減指標は、二酸化炭素排出削減量が大きいほど大きくなるように決定されるポイントであってもよい。
【0013】
また、コンピュータは、算出ステップにて使途別グループごとに算出した二酸化炭素排出削減指標の合算値を表示する表示ステップを実行可能に構成されるとよい。これによれば、使途別グループごとに、二酸化炭素排出削減指標の合算値が表示されるので、より一層、グループ間での競争意識が高まり、さらに家庭向け省エネルギー機器の使用による二酸化炭素の排出削減を促進することができる。
【0014】
また、コンピュータは、それぞれのユーザが有する省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量を記憶する記憶ステップを実行可能に構成されるとよい。この場合、コンピュータは、それぞれのユーザが有する省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量のデータを、所定期間ごと(例えば月ごと)に継続的に蓄積することもできる。これによれば、コンピュータは、記憶した各ユーザの二酸化炭素排出削減量に基づいて、使途別グループごとに、二酸化炭素排出削減指標の合算値を算出することができる。また、コンピュータは、記憶した各ユーザの二酸化炭素排出削減量に基づいて、二酸化炭素クレジットの申請に係る二酸化炭素排出削減量を算出することができる。この場合、コンピュータは、使途別グループごとに、二酸化炭素排出削減量の合算値を算出してもよいし、全ユーザの二酸化炭素排出削減量の合算値を算出しても良い。
【0015】
また、コンピュータは、ユーザに、そのユーザが有する省エネルギー機器の使用により創出される二酸化炭素排出削減量が大きいほど大きくなるように決定されるポイントを付与するポイント付与ステップを実行可能に構成されるとよい。そして、算出ステップでは、コンピュータは、ポイント付与ステップにて付与されるポイントを二酸化炭素排出削減指標として、二酸化炭素排出削減指標の合算値を使途別グループごとに算出するとよい。これによれば、使途別グループ間で、二酸化炭素排出削減指標の合算値としてのポイントの総計を競い合わせることにより、各使途別グループの構成ユーザが一丸となって二酸化炭素の排出の削減を心がけるようになる。その結果、家庭向け省エネルギー機器の使用による二酸化炭素の排出削減をより一層促進することができる。
【0016】
この場合、省エネルギー機器は燃料電池コージェネレーション装置であるのが良い。そして、コンピュータは、ポイント付与ステップにて、ユーザの居住する住宅での電力使用量に対する燃料電池コージェネレーション装置の発電量の割合である発電比率が所定の比率よりも大きい場合に決定されるポイントが、発電比率が所定の比率以下の場合に決定されるポイントよりも大きくなるように、発電比率に応じてポイントを決定するとよい。これによれば、燃料電池コージェネレーション装置を効率的に使用することにより、付与されるポイントが大きくなるため、各ユーザはより効率的な燃料電池コージェネレーション装置の使用に心がけることになる。その結果、光熱費を削減することができるとともに、二酸化炭素の排出削減により貢献することができる。
【0017】
また、コンピュータは、各ユーザを、生活環境によりグループ分けすることにより、生活環境が類似するユーザにより構成される複数の生活環境別グループを構築する生活環境別グループ構築ステップを実行可能に構成してもよい。これによれば、生活環境が類似するユーザどうしで形成される生活環境別グループ内で、二酸化炭素の排出削減に関する有益な情報交換を行うことにより、二酸化炭素排出削減量の増加に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る二酸化炭素排出削減推進方法を実施するためのシステムの概要を示す。
【
図2】
図2は、二酸化炭素クレジットの売却益の使途を紹介する紹介画面の一例を示す。
【
図3】
図3は、照会画面で選択した使途の詳細表示画面の一例を示す。
【
図5】
図5は、演算部が実行するグループ振り分け処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、使途別グループデータベースの一例を示す。
【
図7】
図7は、演算部が実行する二酸化炭素排出削減量算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、ユーザ別削減量データベースの一例を示す。
【
図9】
図9は、演算部が実行するポイント付与処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、演算部が実行するグループ別二酸化炭素排出削減量算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、演算部が実行するグループポイント算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、各使途別グループのグループ別二酸化炭素排出削減量とグループポイントの表示画面の一例を示す。
【
図13】
図13は、演算部が実行するポイント達成確認処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、演算部が実行する生活環境類似グループ作成処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る二酸化炭素排出削減推進方法を実施するためのシステムの概要を示す。
図1に示すように、このシステムは、複数のユーザが有する省エネルギー機器としての燃料電池コージェネレーション装置1と、クレジット運営機関2と、クレジット認証機関3と、企業等のクレジット売却先4とにより構成される。なお、複数のユーザが有する省エネルギー機器は、一般家庭に設置されるような、家庭向けの省エネルギー機器である。本実施形態では、省エネルギー機器として燃料電池コージェネレーション装置を例示するが、それ以外の家庭向けの省エネルギー機器、例えば太陽光発電装置、或いは、省エネルギー製品として推奨されている電気製品(例えばLED照明)等でも良い。
【0020】
複数のユーザが有する燃料電池コージェネレーション装置1は、燃料及び酸素を用いて発電するとともに、発電に伴い熱を発生する。燃料電池コージェネレーション装置1の発電電力は、一部売電される場合もあるが、本実施形態では、売電される電力は考慮しない。つまり、本実施形態で扱う燃料電池コージェネレーション装置1の発電電力は、ユーザの家庭内の電力負荷に消費される発電電力である。この燃料電池コージェネレーション装置1を用いて発電した場合に単位発電量当たりに排出される二酸化炭素の量は、商用電源等の系統電源が発電する場合に単位発電量当たりに排出される二酸化炭素の量よりも少ない。従って、燃料電池コージェネレーション装置1の発電電力を系統電源に替えて使用すればするほど、削減される二酸化炭素排出量、すなわち創出される二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。さらに、燃料電池コージェネレーション装置1により生じる熱を有効利用することにより、さらに二酸化炭素排出削減量を増加させることができる。燃料電池コージェネレーション装置1によるエネルギー創出量(発電量+発熱量)と二酸化炭素排出削減量とは一定の関係を有している。従って、燃料電池コージェネレーション装置1の発電量及び発熱量に基づいて、二酸化炭素排出削減量を見積もることができる。
【0021】
各ユーザは、燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出される二酸化炭素排出削減量に基づく権利をクレジット運営機関2に譲渡する。クレジット運営機関2は、各ユーザに、二酸化炭素排出削減量に基づく権利の譲渡に対する見返りとしてポイントを付与する。そして、クレジット運営機関2は、各ユーザの燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出される二酸化炭素排出削減量に基づいて、二酸化炭素クレジットの認可申請を、クレジット認証機関3に対して行う。クレジット認証機関3は、認可申請に係る書類を検証し、審議した上で、二酸化炭素クレジットをクレジット運営機関2に認可する。
【0022】
クレジット運営機関2は、クレジット認証機関3に認可された二酸化炭素クレジットを、カーボン・オフセット等によりクレジット売却先4に売却する。これにより、クレジット運営機関2は二酸化炭素クレジットの売却益を得る。売却益を得たクレジット運営機関2は、売却益の一部を、複数のユーザに付与したポイントに応じて各ユーザが希望する使途(希望使途)に活用することができる。こうして二酸化炭素クレジットの売却益の一部がユーザに還元される。
【0023】
クレジット運営機関2は、サーバ10を備える。サーバ10が本発明のコンピュータに相当する。サーバ10は、演算部11、記憶部12、通信部13を備える。演算部11は、後述する各処理を実行することにより各種機能を実現するように構成される。記憶部12は、演算部11にて実行する各処理や、演算部11が各処理を実行する際に必要なデータベース等の情報、各処理の実行により算出された値等を記憶する。通信部13は、外部通信する機能を有する。この通信部13を介してサーバ10はインターネットに接続可能に構成される。なお、記憶部12は、後述するユーザ別削減量データベース、グループ別ユーザデータベース、グループ別ポイントデータベース、生活環境データベース等の、各種のデータベースを記憶している。
【0024】
また、クレジット運営機関2は、サーバ10を通じて、二酸化炭素クレジットの運営に関するウェブサイト(以下、CO2クレジットウェブサイト)を開設している。各ユーザは、自身の所持するパソコン或いはスマートフォン等のユーザ端末からインターネットを介してCO2クレジットウェブサイトにアクセスすることができる。
【0025】
各ユーザが燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出した二酸化炭素排出削減量に基づく権利をクレジット運営機関2に譲渡するために、各ユーザは、クレジット運営機関2にユーザ登録する。この場合、ユーザは、ユーザ端末を用いてCO2クレジットウェブサイトにアクセスし、ユーザ端末の表示画面に表示されたユーザ登録手続き画面に指示される内容に従って登録手続きする。このとき、ユーザは、ユーザID、パスワード、ユーザ端末のメールアドレスをユーザ登録手続き画面に入力する。これにより、ユーザID、パスワード、メールアドレスが、サーバ10に登録される。
【0026】
ユーザ登録が完了した場合、CO2クレジットウェブサイトに各ユーザのマイページが開設される。また、登録したユーザID及びパスワードをCO2クレジットウェブサイトのトップページに入力することにより、登録したユーザのみが閲覧可能な専用サイトがユーザ端末に表示される。また、登録したメールアドレスを通じて、自身のユーザ端末にサーバ10から情報が送信される。
【0027】
各ユーザのマイページでは、それぞれのユーザは、ユーザ登録情報、燃料電池コージェネレーション装置1の発電量及び発熱量の履歴、燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出した二酸化炭素排出削減量の履歴、ポイントの取得履歴、等を閲覧することができる。また、マイページには、各ユーザの生活環境を入力する画面(生活環境入力画面)が表示される。この生活環境入力画面にて、自己の生活環境情報(家族構成、家屋形態、延床面積、太陽光発電の有無、エアコンの使用形態、平日昼間は不在であるか在宅しているか・・・等)を入力することができる。入力した生活環境情報は、マイページに表示されるとともにサーバ10の生活環境データベースに、ユーザごとに記憶される。また、生活環境入力画面に再入力することにより、生活環境情報を修正することができる。
【0028】
CO
2クレジットウェブサイトの専用サイトにて閲覧できるコンテンツには、二酸化炭素クレジットの売却益を活用することができる内容、つまり売却益の使途を紹介するコンテンツが含まれる。
図2は、二酸化炭素クレジットの売却益の使途を紹介する紹介画面の一例を示す。
図2に示す画面は、ユーザ端末に表示される。
図2に示すように、この紹介画面には、二酸化炭素クレジットを活用できる複数の使途の紹介見出し20が表示される。
図2の例では、福祉・慈善団体への寄付、公園・森林の緑化、公共設備への省エネルギー機器の導入、といった内容の紹介見出し20が示される。なお、
図2に示す使途以外にも、例えば、ユーザ自身が何等かの特典や商品を得ることができる二酸化炭素クレジットの使途についての紹介見出しが表示されていてもよい。
【0029】
ユーザが
図2に示す紹介画面に表示された使途の紹介見出し20の一つを選択(クリックまたはタッチ)すると、選択した使途の詳細がユーザ端末の画面に表示される。
図3は、選択した使途の詳細表示画面の一例を示す。
図3の例は、福祉・慈善団体への寄付についての詳細表示画面である。この詳細表示画面には、複数の福祉・慈善団体の名称と、各団体が行っている活動の概要と、その活動に賛同し、二酸化炭素クレジットをその活動に活用することを希望するユーザの人数(利用人数)が、一覧表形式で表示される。また、この詳細表示画面には、表示されている各団体の活動に賛同し、その活動への二酸化炭素クレジットの活用を希望する旨の意思表示を示すためのアイコン(申込アイコン21)が、それぞれの活動に対応して表示される。ユーザは、いずれかの活動に二酸化炭素クレジットを活用する意思がある場合に、その活動に対応する申込アイコン21を操作(クリックまたはタッチ)する。一方、詳細表示画面に表示された活動に賛同せず、それに二酸化炭素クレジットを活用する意思を持たない場合には、ユーザは、この詳細表示画面を閉じ、或いは前の画面(紹介画面)に戻ることができる。
【0030】
ユーザが詳細表示画面の申込アイコンを操作(クリックまたはタッチ)すると、次に、確認画面がユーザ端末に表示される。
図4は、確認画面の一例を示す。
図4に示すように、確認画面には、選択した活動団体が実際に活動を実施した際の写真や、実施した活動の成果等が表示される。また、この確認画面には、表示された活動に二酸化炭素クレジットを活用することを確認するための申込確認アイコン22が表示される。ユーザが、この活動に二酸化炭素クレジットを活用することを決心した場合には、申込確認アイコン22を操作(クリックまたはタッチ)する。一方、確認画面に表示された活動への二酸化炭素クレジットの活用を再考して、やはり別の活動に二酸化炭素クレジットを活用したいと思い直した場合には、ユーザは、この確認画面を閉じ、或いは前の画面(詳細画面)に戻ることができる。
【0031】
ユーザが確認画面の申込確認アイコン22を操作(クリックまたはタッチ)すると、そのユーザのユーザ端末からサーバ10に、二酸化炭素クレジットの売却益の希望使途に関する情報が入力される。例えば、
図4に示す申込確認アイコン22の操作が、ユーザaのユーザ端末から行われた場合、そのユーザ端末からサーバ10に、ユーザaの二酸化炭素クレジットの売却益の希望使途が非営利法人▲▲会への寄付であるという情報が、入力される。このような申込確認アイコン22の操作を複数のユーザのそれぞれが行うことにより、サーバ10は、複数のユーザのそれぞれから、二酸化炭素クレジットの売却益の希望使途を入力する(希望使途入力ステップ)。
【0032】
また、サーバ10の演算部11は、ユーザから上記のように希望使途の入力があると、グループ振り分け処理を実行する。
図5は、演算部11が実行するグループ振り分け処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンが起動すると、演算部11は、まず、
図5のステップ(以下、ステップをSと略記する)11にて、申込対象ユーザを特定する。この特定は、希望使途が入力された(すなわち申込確認アイコン22が操作された)ユーザ端末から送信されているユーザID等により特定することができる。次いで、演算部11は、S12にて、申込確認アイコン22が操作された使途の内容、すなわち希望使途を特定する。この特定は、申込確認アイコン22が操作された確認画面の種類により特定することができる。
【0033】
続いて、演算部11は、S13にて、記憶部12に記憶されている使途別グループデータベースを更新する。
図6は、使途別グループデータベースの一例を示す。
図6に示すように、使途別グループデータベースには、二酸化炭素クレジットの希望使途と、その希望使途に二酸化炭素クレジットの活用を希望するユーザ(構成ユーザ)が対応付けられた状態で記憶されており、それぞれ対応付けられた希望使途と構成ユーザが使途別のグループに分類分けされている。
図6の例では、省エネルギー機器Aを購入するという希望使途を持つユーザが使途別グループAに分類され、この使途別グループAは、ユーザa、ユーザb、ユーザcにより構成される。また、慈善団体Bへの寄付という希望使途を持つユーザが使途別グループBに分類され、この使途別グループBは、ユーザd、ユーザe、ユーザfにより構成される。また、C公園の緑化という希望使途を持つユーザが使途別グループCに分類され、この使途別グループCは、ユーザg、ユーザh、ユーザiにより構成される。そして、電化製品Dの購入という希望使途を持つユーザが使途別グループDに分類され、この使途別グループDは、ユーザj、ユーザk、ユーザlにより構成される。つまり、使途別グループデータベースには、希望使途が同じユーザにより構成される複数の使途別グループが記憶されている。また、各使途別グループの構成ユーザがその使途別グループに登録された月(グループ登録開始月)も、この使途別グループデータベースに記憶されている。
【0034】
演算部11は、S13では、使途別グループデータベースに記憶されている希望使途のうちS12で特定した希望使途の構成ユーザに、S11で特定したユーザを追加するとともにそのユーザの登録開始月を記憶する。これにより、演算部11は使途別グループデータベースを更新する。次いで、演算部11は、S11にて特定されたユーザのメールアドレスに、使途別グループの登録を完了した旨のメッセージを送信する(S14)。その後、サーバ10はこのルーチンを終了する。
【0035】
演算部11は、上記したグループ振り分け処理を、いずれかのユーザのユーザ端末から確認画面の申込確認アイコン22が操作されるごとに実行する。これにより、複数のユーザのそれぞれが、入力された希望使途によりグループ分けされる。その結果、希望使途が同じユーザにより構成される複数の使途別グループが構築される。演算部11によるグループ振り分け処理の実行が、本発明の使途別グループ構築ステップに相当する。
【0036】
また、演算部11は、二酸化炭素排出削減量算出処理を実行することにより、各ユーザが有する燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出された二酸化炭素排出削減量を個別に算出する。
図7は、演算部11が実行する二酸化炭素排出削減量算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、所定の短時間ごとに繰り返し実行される。このルーチンが起動すると、演算部11は、まず
図7のS21にて、現在日時が月初の所定日時(例えば毎月1日の午後12時00分)であるか否かを判断する。現在日時が月初の所定日時でない場合(S21:No)、演算部11はこのルーチンを終了する。一方、現在日時が月初の所定日時である場合(S21:Yes)、演算部11はS22に処理を進める。
【0037】
S22では、演算部11は、先月の月初の午前0時0分から月末の午後11時59分までの間に、各ユーザの燃料電池コージェネレーション装置1の使用により発電した月間発電量E1及び発熱した月間発熱量Q1を、ユーザごとに取得する。ここで、各ユーザが有する燃料電池コージェネレーション装置1は、月間発電量E1及び月間発熱量Q1を算出するとともに算出したデータをサーバ10に送信することができるように構成されており、所定日時(例えば月初の午前9時)に先月の月間発電量E1及び月間発熱量Q1をサーバ10に送信する。演算部11はS22にて、上記のように送信された先月の月間発電量E1及び月間発熱量Q1を、ユーザごとに取得する。
【0038】
次いで、演算部11は、S23にて、先月の月初の午前0時0分から月末の午後11時59分までの間に、ユーザの居住する住宅で使用した電力量である月間使用電力量E0を取得する。ここで、月間使用電力量E0は、各ユーザが居住する住宅に設置されたスマートメータにより算出することができ、算出した月間使用電力量E0は燃料電池コージェネレーション装置1又はスマートメータから出力可能である。従って、燃料電池コージェネレーション装置1又はスマートメータは、所定の日時(例えば月初の午前9時)に、先月の月間使用電力量E0をサーバ10に送信する。演算部11は、S23にて、上記のように送信された先月の月間使用電力量E0を、ユーザごとに取得する。なお、ユーザの住宅にスマートメータが備えられていない場合には、例えばユーザが月初の所定日時まで(例えば月初の午前9時まで)に、先月の月間使用電力量E0を検量メータ等を見て調べ、その結果を電子メールによりユーザ端末からサーバ10に送信することができる。この場合、サーバ10のオペレータが、受信した電子メールに記載の月間使用電力量E0をサーバ10に入力する。これにより、演算部11は、先月の月間使用電力量E0を取得することができる。
【0039】
続いて、演算部11は、S24に処理を進める。S24では、S22にて取得した先月の月間発電量E1及び月間発熱量Q1から、先月の燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出した二酸化炭素排出削減量(月間二酸化炭素排出削減量C1)を算出する。この場合、一般的に認知されている計算式を用いて、或いは、クレジット運営機関2が二酸化炭素クレジットを申請する際に添付する書類に記載した算出式を用いて、先月の月間発電量E1及び月間発熱量Q1から先月の月間二酸化炭素排出削減量C1を算出することができる。
【0040】
次に、演算部11は、S25に処理を進めて、取得した各値(先月の、月間発電量E1、月間発熱量Q1、月間使用電力量E0)及び算出した先月の月間二酸化炭素排出削減量C1を、記憶部12のユーザ別削減量データベースに記憶させる。
図8は、ユーザ別削減量データベースの一例を示す。
図8に示すように、このデータベースには、ユーザ別に、月間発電量E1、月間発熱量Q1、月間使用電力量E0及び月間二酸化炭素排出削減量C1のデータが、ユーザ登録した月から月ごとに継続的に記憶されている。演算部11は、S25では、S22及びS23で取得した各値(月間発電量E1、月間発熱量Q1、月間使用電力量E0)及びS24で算出した月間二酸化炭素排出削減量C1を、このユーザ別削減量データベースの該当月に対応付けて記憶させる。これにより、ユーザ別削減量データベースにこれらのデータが蓄積される。
【0041】
続いて、演算部11は、S26に処理を進める。S26では、演算部11は、S25にてユーザごとにユーザ別削減量データベースに記憶させた月間発電量E1及び月間二酸化炭素排出削減量C1を、各ユーザのマイページにそれぞれアップロードする。その後、演算部11は、このルーチンを終了する。演算部11がこのようなユーザ別二酸化炭素排出削減量算出処理を実行することにより、それぞれのユーザが有する燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出される二酸化炭素排出削減量が、月ごとに月間二酸化炭素排出削減量C1として記憶される。こうして記憶された月間二酸化炭素排出削減量C1がユーザ別削減量データベースにユーザごとに蓄積される。また、各ユーザは、ユーザ端末から自身のマイページにアクセスして、燃料電池コージェネレーション装置1の使用による月間発電量E1及び月間二酸化炭素排出削減量C1を確認することができる。
【0042】
また、演算部11は、ポイント付与処理を実行することにより、各ユーザに、二酸化炭素排出削減量に応じたポイントを付与する。
図9は、演算部11が実行するポイント付与処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、二酸化炭素排出削減量算出処理の実行が終了した直後に実行される。このルーチンが起動すると、演算部11は、まず
図9のS31にて、ユーザ別削減量データベースを参照して、先月の月間発電量E1、月間二酸化炭素排出削減量C1、及び月間使用電力量E0を、ユーザごとに取得する。
【0043】
続いて、演算部11は、S31にて取得した月間二酸化炭素排出削減量C1に基づいて、通常ポイントP1を計算する(S32)。通常ポイントP1は、月間二酸化炭素排出削減量C1が大きいほど大きくなるように決定される。この場合、月間二酸化炭素排出削減量C1に所定の正の係数を乗じて通常ポイントP1を算出してもよい。
【0044】
次に、演算部11は、S33に処理を進めて、発電比率Rを演算する。発電比率Rは、S31にて取得した先月の月間使用電力量E0に対する月間発電量E1の比率として求めることができる。この発電比率は、使用電力量に占める発電電力量の割合を表す。次いで、演算部11は、S34に処理を進めて、S33にて求めた発電比率Rが予め設定されている閾値比率Rthよりも大きいか否かを判断する。閾値比率Rthは任意に設定することができる。閾値比率Rthは、例えば0.8程度に設定することができる。
【0045】
発電比率Rが閾値比率Rth以下である場合(S34:No)、演算部11はS36に処理を進めて、月間取得ポイントPを通常ポイントP1に設定する。一方、発電比率Rが閾値比率Rthよりも大きい場合(S34:Yes)、演算部11はS35に処理を進めて、通常ポイントP1に特別ポイントP2を加算して月間取得ポイントPを算出する。特別ポイントP2は、例えば平均の通常ポイントP1程度に設定することができる。また、S35の処理は、通常ポイントP1に1よりも大きい所定の係数を乗じて月間取得ポイントPを算出する処理であっても良い。
【0046】
S35又はS36にて月間取得ポイントPを算出した後に、演算部11は、算出した月間取得ポイントPを、記憶部12のユーザ別ポイントデータベースに記憶させる(S37)。このユーザ別ポイントデータベースには、月ごとに取得した月間取得ポイントPのデータが、ユーザごとに継続的に記憶されている。演算部11は、S37では、S35又はS36で算出した月間取得ポイントPを、このユーザ別ポイントデータベースの該当月に対応付けて記憶させる。これにより、ユーザ別ポイントデータベースに月間取得ポイントPが、ユーザごとに継続的に蓄積される。次いで、演算部11は、先月の月間取得ポイントPを各ユーザのマイページにアップロードする(S38)。その後、演算部11はこのルーチンを終了する。
【0047】
演算部11がこのようなポイント付与処理を実行することにより、サーバ10は、ユーザに、そのユーザが有する燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出される二酸化炭素排出削減量が大きいほど大きくなるように決定されるポイントを付与する(ポイント付与ステップ)。そして、各ユーザは、ユーザ端末から自身のマイページにアクセスし、燃料電池コージェネレーション装置1の使用により付与されたポイントを確認することができる。こうして各ユーザに付与されるポイントが、本発明の二酸化炭素排出削減指標に相当する。
【0048】
また、演算部11は、グループ別削減量算出処理を実行することにより、二酸化炭素クレジットの売却益の希望使途により振り分けた使途別グループごとに、二酸化炭素排出削減量の合算値を算出する。
図10は、演算部11が実行するグループ別二酸化炭素排出削減量算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、二酸化炭素排出削減量算出処理の実行が終了した後に実行される。このルーチンが起動すると、演算部11は、まず、
図10のS41にて、
図6の使途別グループデータベースに登録されている全ての使途別グループの中から、未だ選択されていない一つの使途別グループを選択する。次いで、演算部11は、使途別グループデータベースを参照して、選択した使途別グループの構成ユーザを全て読み出す(S42)。続いて演算部11は、ユーザ別削減量データベースを参照して、読み出したユーザのそれぞれについて、グループ登録開始月から先月までの月間二酸化炭素排出削減量C1の総和である累積二酸化炭素排出削減量を算出する(S43)。例えば、選択された使途別グループがグループAであり、ユーザaが2020年1月にグループAに登録され、ユーザbが2020年6月にグループAに登録されている場合を想定する。この場合には、演算部11は、ユーザaについて、2020年1月から先月までの月間二酸化炭素排出削減量C1の総和を累積二酸化炭素排出削減量として算出し、ユーザbについて、2020年6月から先月までの月間二酸化炭素排出削減量C1の総和を累積二酸化炭素排出削減量として算出する。なお、各ユーザのグループ登録開始月は、前述したように使途別グループデータベースに記憶されている
【0049】
次いで、演算部11は、S42にて読み出したユーザの全ての累積二酸化炭素排出削減量を合算することにより、グループ別二酸化炭素排出削減量を計算する(S44)。次に、演算部11は、S45に処理を進めて、未だ選択していない使途別グループが無いか否かを判断する。未だ選択していない使途別グループが有る場合(S45:No)、演算部11はS41に処理を戻して、S41以降の処理を繰り返す。一方、未だ選択していない使途別グループが無い場合(S45:Yes)、演算部11は、S46に処理を進めて、各使途別グループのグループ別二酸化炭素排出削減量をCO2クレジットウェブサイトにアップロードする。その後、サーバ10は、このルーチンを終了する。
【0050】
また、演算部11は、グループポイント算出処理を実行することにより、使途別グループごとに、その使途別グループの構成ユーザに付与されたポイントの総計(すなわち二酸化炭素排出削減指標の合算値)であるグループポイントを算出する。
図11は、演算部11が実行するグループポイント算出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、二酸化炭素排出削減量算出処理の実行が終了した後に実行される。このルーチンが起動すると、演算部11は、まず、
図11のS51にて、
図6の使途別グループデータベースに登録されている全ての使途別グループの中から、未だ選択されていない一つの使途別グループを選択する。次いで、演算部11は、使途別グループデータベースを参照して、選択した使途別グループの構成ユーザを全て読み出す(S52)。続いて演算部11は、ユーザ別ポイントデータベースを参照して、読み出したユーザのそれぞれについて、グループ登録開始月から先月までの月間取得ポイントPの総和である累積ポイントを算出する(S53)。例えば、選択されたグループがグループBであり、ユーザcが2020年3月にグループBに登録され、ユーザdが2020年9月にグループBに登録されている場合を想定する。この場合には、演算部11は、ユーザcについて、2020年3月からの先月までの月間取得ポイントPの総和を累積ポイントとして算出し、ユーザbについて、2020年9月から先月までの月間取得ポイントPの総和を累積ポイントとして算出する。
【0051】
次いで、演算部11は、S54に処理を進める。S54では、演算部11は、S52にて読み出したユーザの全ての累積ポイントを合算することにより、グループポイントを計算する(算出ステップ)。次に、演算部11は、S55に処理を進めて、未だ選択していない使途別グループが無いか否かを判断する。未だ選択していない使途別グループが有る場合(S55:No)、演算部11はS51に処理を戻して、S51以降の処理を繰り返す。一方、未だ選択していない使途別グループが無い場合(S55:Yes)、演算部11は、S56に処理を進めて、各使途別グループのグループポイントをCO2クレジットウェブサイトにアップロードする(表示ステップ)。その後、演算部11は、このルーチンを終了する。
【0052】
演算部11が上記したグループ別二酸化炭素排出削減量算出処理及びグループポイント算出処理を実行することにより、CO2クレジットウェブサイトに、使途別グループごとに、グループ別二酸化炭素排出削減量(二酸化炭素排出削減量の合算値)及びグループポイント(累積ポイントの合算値)が表示される。よって、各ユーザは、これらをCO2クレジットウェブサイト上で確認することができる。このとき、例えばグループポイントに基づいて順位を決定し、決定した順位とともに、グループ別二酸化炭素排出削減量及びグループポイントを一覧表形式で表示することができる。
【0053】
図12は、各使途別グループのグループ別二酸化炭素排出削減量とグループポイントの表示画面の一例を示す。
図12によれば、使途別グループごとに、グループポイント、目標ポイント、達成率、グループ別二酸化炭素排出削減量が、一覧表にまとめられている。ここで、目標ポイントの欄には、使途別グループごとに割り当てられている希望使途を実現するために必要なポイントが表示される。この目標ポイントは、希望使途ごとに予め設定される。目標ポイントは、全ての希望使途について同じポイント数であっても良いし、希望使途によって異なったポイント数であっても良い。また、達成率の欄には、目標ポイントに対するグループポイントの百分率が表示される。
【0054】
また、この表によれば、各使途別グループのグループポイントがランキング形式で示されている。具体的には、グループポイントが最も多い使途別グループ(
図12ではグループA)が1位にランク付けされ、以下、グループポイントが多い順に、2位、3位・・・とランク付けされる。なお、グループポイントに代えて達成率に基づいて、各使途別グループをランキング形式で表しても良い。
【0055】
また、演算部11は、ポイント達成確認処理を実行することにより、各使途別グループのグループ別ポイントが目標ポイントに達したか否、及び、達した場合の処理を行う。
図13は、演算部11が実行するポイント達成確認処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、グループ別二酸化炭素排出削減量算出処理及びグループ別ポイント算出処理の実行が終了した後に実行される。このルーチンが起動すると、演算部11は、まず
図13のS61にて、
図6の使途別グループデータベースに登録されている全ての使途別グループの中から、未だ選択されていない一つの使途別グループを選択する。次いで、演算部11は、選択した使途別グループについて、グループポイント算出処理のS54にて計算したグループポイントPGを取得する(S62)。続いて演算部11は、取得したグループポイントPGが、その使途別グループの希望使途について設定されている目標ポイントPG*以上であるか否かを判断する(S63)。
【0056】
グループポイントPGが目標ポイントPG*以上である場合(S63:Yes)、演算部11はS64に処理を進めて、ポイント達成通知をその使途別グループの構成ユーザのユーザ端末に送信する。これにより、その使途別グループの構成ユーザは、グループポイントPGが目標ポイントPG*に達したことを認識することができる。その後、演算部11はS65に処理を進める。また、グループポイントPGが目標ポイントPG*未満である場合(S63:No)、演算部11は、S64の処理を飛ばしてS65に処理を進める。
【0057】
S65では、演算部11は、未だ選択していない使途別グループが無いか否かを判断する。未だ選択していない使途別グループが有る場合(S65:No)、演算部11はS61に処理を戻して、S61以降の処理を繰り返す。一方、未だ選択していない使途別グループが無い場合(S65:Yes)、演算部11は、このルーチンを終了する。演算部11がこのようなポイント達成確認処理を実行することにより、各使途別グループの構成ユーザは、そのグループのグループポイントPGが目標ポイントPG*に到達したか否かを確認することができる。
【0058】
グループポイントが目標ポイントに達した場合、その使途別グループの希望使途が実行される。例えば、
図6のグループAのグループポイントが目標ポイントに達した場合、グループAの構成ユーザ(ユーザa、ユーザb、ユーザc)が共同で使用することができる省エネルギー機器(例えば太陽光発電装置)が購入される。また、
図6のグループBのグループポイントが目標ポイントに達した場合、慈善団体Bへの寄付が実行される。また、
図6のグループCのグループポイントが目標ポイントに達した場合、C公園の緑化が実行される。そして、グループDのグループポイントが目標ポイントに達した場合、グループDの構成ユーザ(ユーザj、ユーザk、ユーザl)のそれぞれに、電化製品Dが贈呈される。なお、各使途別グループの希望使途の実行に必要な資金は、クレジット運営機関2が保有する二酸化炭素クレジットを売却することにより得られる売却益から拠出される。
【0059】
このように、本実施形態によれば、演算部11は、ポイント付与処理を実行することにより、各ユーザに、そのユーザが有する燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出される二酸化炭素排出削減量が大きいほど大きくなるように決定されるポイントを付与する(ポイント付与ステップ)。また、演算部11は、ポイント付与ステップにて付与されるポイントを二酸化炭素排出削減量の大きさを表す指標(二酸化炭素排出削減指標)とし、グループポイント算出処理にてポイント(ユーザの累積ポイント)を使途別グループごとに合算し、その合算値(すなわち二酸化炭素排出削減指標の合算値)をグループポイントとして使途別グループごとに算出する(算出ステップ)。これにより、各使途別グループがポイントの総計を競い合うことになり、各使途別グループ間での二酸化炭素の排出削減に対する競争意識が高まり、各使途別グループの構成ユーザが一丸となって二酸化炭素の排出の削減を心がけるようになる。その結果、ユーザが有する燃料電池コージェネレーション装置1の使用による二酸化炭素の排出削減が促進される。また、グループポイントが目標ポイントに達した場合、その使途別グループの構成ユーザの希望使途が実行されるため、より一層、グループ間での競争意識が高まり、これにより、さらに、燃料電池コージェネレーション装置1の使用による二酸化炭素の排出削減を促進することができる。
【0060】
また、演算部11は、ポイント付与処理にて、算出した全ての使途別グループのグループポイントをCO2クレジットウェブサイト上にランキング形式で表示する(表示ステップ)。これにより、より一層、グループ間での競争意識が高まり、さらに家庭向け省エネルギー機器の使用による二酸化炭素の排出削減を促進することができる。
【0061】
また、記憶部12は、それぞれのユーザが有する燃料電池コージェネレーション装置1の使用により創出される月間二酸化炭素排出削減量C1を、月ごとに継続的にユーザ別削減量データベースに記憶し、蓄積している。このため、記憶した各ユーザの月間二酸化炭素排出削減量C1に基づいて、使途別グループごとにグループポイント及びグループ別二酸化炭素排出削減量を算出することができる。さらに、記憶部12に記憶された各ユーザの二酸化炭素排出削減量に基づいて、二酸化炭素クレジットの申請に係る二酸化炭素排出削減量を算出することができる。
【0062】
また、演算部11は、ポイント付与処理(ポイント付与ステップ)にて、各ユーザに対し、電力使用量に対する燃料電池コージェネレーション装置の発電量の割合である発電比率Rが閾値比率Rthよりも大きい場合に付与されるポイントが、発電比率Rが閾値比率Rth以下の場合に付与されるポイントよりも大きくなるように、発電比率に応じてポイントを決定する。このためユーザは、より多くのポイントを得ようとして、燃料電池コージェネレーション装置1を効率的に使用することに心がける。その結果、光熱費を削減することができるとともに、二酸化炭素の排出削減により貢献することができる。
【0063】
また、演算部11は、生活環境類似グループ作成処理を実行することにより、生活環境が類似しているユーザにより構成される複数の生活環境別グループを構築する。
図14は、演算部11が実行する生活環境類似グループ作成処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチンは、サーバ10のオペレータが所定のコマンドをサーバ10に入力することにより実行される。このルーチンが起動すると、演算部11は、まず、
図14のS71にて、各ユーザの生活環境を分析する。この分析は、サーバ10の記憶部12の生活環境データベースにユーザごとに記憶された生活環境に基づいて行われる。
【0064】
次いで、演算部11は、S72にて、各ユーザの生活環境の分析結果に基づいて、各ユーザを、類似した生活環境の集団にグループ分けする。例えば、家族構成が3人であり、家屋形態がマンションであり、太陽光発電装置が有る集団、或いは、家族構成が5人であり、家屋形態が持ち家であり、太陽光発電装置が無い集団、等に、ユーザをグループ分けする。
【0065】
全てのユーザのグループ分けが終了したら、演算部11はS73に処理を進めて、各ユーザに生活環境類似グループを通知する。この場合、演算部11は、各ユーザのユーザ端末に生活環境類似グループを通知しても良いし、各ユーザのマイページに該当する生活環境類似グループを表示してもよい。その後、演算部11は、このルーチンを終了する。
【0066】
演算部11が上記の生活環境類似グループ作成処理を実行して各ユーザを生活環境によりグループ分けすることにより、生活環境が類似するユーザにより構成される複数の生活環境別グループが構築される(生活環境別グループ構築ステップ)。こうして構築された生活環境別グループ内のユーザどうしで、二酸化炭素排出削減に関する情報を交換することができる手段を講じることにより、似たような生活環境のユーザどうしが二酸化炭素の排出削減に関する有益な情報を共有することができ、その結果、二酸化炭素排出削減をより一層、促進することができる。なお、こうした情報交換を実現するために、例えば、CO2クレジットウェブサイトに、それぞれの生活環境類似グループの専用掲示板を設けて置き、その専用掲示板を介して、同じグループのユーザが情報を発信し合うことができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば上記実施形態では、月ごとに二酸化炭素排出削減量及びポイントを算出した例を示したが、週ごとにこれらを算出してもよいし、毎日算出しても良い。また、上記実施形態では、発電比率Rが閾値比率Rthよりも大きい場合に通常ポイントP1に特別ポイントP2が加算される例を示したが、閾値比率を複数存在させて、段階的に加算される特別ポイントを大きくするように構成しても良い。また、発電比率が大きくなるほど加算される特別ポイントが大きくなるように構成しても良い。このような場合でも、発電比率が所定の比率よりも大きい場合に決定されるポイントが、発電比率が所定の比率以下の場合に決定されるポイントよりも大きくなる。また、上記実施形態では、グループポイントが目標ポイントに到達した使途別グループの希望使途を実現する例について説明したが、所定期間内のグループポイントが最も大きい使途別グループの希望使途を実現するように構成することもできるし、所定期間内のグループポイントが大きい複数の使途別グループの希望使途を実現するように構成することができる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…燃料電池コージェネレーション装置(省エネルギー機器)、2…クレジット運営機関、3…クレジット認証機関、4…クレジット売却先、10…サーバ(コンピュータ)、11…演算部、12…記憶部、13…通信部、21…申込アイコン、22…申込確認アイコン、E0…月間使用電力量、E1…月間発電量、Q1…月間発熱量、C1…月間二酸化炭素排出削減量、P…月間取得ポイント、PG…グループポイント、R…発電比率